JP4657621B2 - ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粒子、その製造方法及び用途 - Google Patents
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Description
ペロブスカイト型構造のチタン含有複合酸化物微粒子の製造方法としては、フラックス法がある。しかしこの方法では、製造コストが非常に高いばかりでなく、微粒子にするには粉砕するしかなく、そのため、粒径分布が広く、分散性のよくない微粒子になる。
特許文献2の方法は、高価なチタンアルコキサイドを必要とするばかりでなく、内部に取り込まれた水に起因する水酸基が残留するため結晶構造の欠陥が多く、電気的特性に優れたチタン含有複合酸化物が得られにくい。
特許文献3及び特許文献4の方法では、チタン化合物の副生成物及びアルカリ金属水酸化物を生成反応後除去する工程が必要である。その工程でバリウム、ストロンチウムの溶解と水酸基の取り込みが起こるため、バリウムとストロンチウムを任意の比率にコントロールするのが難しく、結晶性の高いチタン含有複合酸化物が得られにくい。
[1]比表面積が1〜100m2/g、一次粒子の平均粒径をD1、二次粒子の平均粒径をD2としたときのD2/D1値が1〜10、一般式(A1XA2(1-X))YTiO3±δ(0≦X≦1,0.98≦Y≦1.02,0≦δ≦0.05;A1及びA2は互いに異なり、各々Ca,Sr,Ba,Pb及びMgから選択される原子である。)で表されるペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子。
[2]0.2≦X≦0.8,0.99≦Y≦1.01,0≦δ≦0.03であり、単結晶である前記1に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子。
[3]A1=Ba、A2=Srである前記1または2に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子。
[4]A1=Ba、A2=Caである前記1または2に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子。
[5]アルカリ金属不純物量が0〜100ppm、塩素不純物量が0〜600ppmである前記1乃至4のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子。
[6]900〜1000℃の温度で0.1〜3時間焼成した場合に、比表面積の減少率が90%以下である前記1乃至5のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子。
[7]900〜1200℃の温度で0.1〜3時間焼成した場合にサイコロ状の形状となる前記1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子。
[8]炭酸塩が3質量%以下含有されている前記1乃至7のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子。
[9]ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粒子1.5gを純水45mlに浸漬したときの単位表面積あたりのA1原子とA2原子の合計抽出量が0〜2μmol/m2である前記1乃至8のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子。
[10]塩基性化合物の存在するpHが10以上のアルカリ性溶液中で、任意の割合のA1(OH)2及びA2(OH)2(A1及びA2は、各々Ca,Sr,Ba,Pb及びMgから選択される原子を表わす。)と、その合計のモル数に対して0.98〜1.02モル倍量の酸化チタンとを、溶液中のA1イオンとA2イオンの合計濃度が投入量の1000分の1以下になるまで反応させ、その後、塩基性化合物を室温〜焼成温度の温度範囲で、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、及び/または熱分解により気化させて除去することを特徴とするペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
[11]A2(OH)2に対するA1(OH)2のモル比率が0.2〜0.8である前記10に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
[12]反応液中の炭酸基の濃度を、CO2換算で0〜500ppmに制御する前記10または前記11に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
[13]酸化チタンがブルーカイト型結晶を含有するものである前記10乃至12のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
[14]酸化チタンがチタン化合物を酸性溶液中で加水分解してなる酸化チタンゾルである前記10乃至13のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
[15]塩基性化合物が、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、及び/または熱分解により気化する物質である前記10乃至14のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
[16]塩基性化合物が、有機塩基である前記10乃至15のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
[17]塩基性化合物が、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドである前記10乃至16のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
[18]前記1乃至9のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子を含む誘電材料。
[19]前記1乃至9のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子を含むペースト。
[20]前記1乃至9のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子を含むスラリー。
[21]前記1乃至9のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子を含む薄膜状形成物。
[22]前記1乃至9のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子を含む誘電体磁器。
[23]前記1乃至9のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子を含む焦電体磁器。
[24]前記1乃至9のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子を含む圧電体磁器。
[25]前記22に記載の誘電体磁器を含むコンデンサ。
[26]前記21乃至25のいずれかに記載の薄膜状形成物、磁器及びコンデンサからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む電子機器。
[27]前記21乃至24のいずれかに記載の薄膜状形成物または磁器を一種または二種以上含むセンサー。
[28]前記1乃至9のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子を用いた誘電体フィルム。
[29]前記28に記載の誘電体フィルムを用いたコンデンサ。
このようなペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粒子及び該粒子を含むスラリー、ペーストは、優れた電気的特性を発揮できるものであり、性能に優れた磁器、薄膜、誘電体フィルム等の誘電材料、圧電材料、焦電材料等が得られる。さらに、これらを電子機器に用いることにより、電子機器の小型化、軽量化が可能となる。上記誘電体フィルムは誘電特性が優れているために、薄膜化しても優れた特性を発揮できるので、基板内コンデンサなどに応用可能である。当該コンデンサを携帯電話やデジタルカメラなどの電子機器に採用すれば、機器の小型化、軽量化、高性能化に極めて有効である。
例えば、本発明の複合酸化物微粒子を900〜1000℃の温度で0.1〜3時間、好ましくは1〜3時間焼成した場合に、比表面積の減少率は90%以下であり、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下である。比表面積の減少率は、乾燥した粉末の比表面積をS1、900〜1000℃の温度で0.1〜3時間、好ましくは1〜3時間焼成した場合の比表面積をS2とすると、下記式(2)により求めることができる。
L:抽出試験に用いた純水量L(g)
G:抽出試験に用いたペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の重量(g)
S:ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の比表面積(m2/g)
反応溶液中のCO2換算濃度は、0〜500質量ppmであり、好ましくは0〜200質量ppmであり、より好ましくは0〜100質量ppmである。反応液中の炭酸基の濃度を減少するために、塩基性化合物を溶解する前の水を製造直前に加熱処理して脱炭酸するのが好ましい。また、反応溶液は、アルカリ性のため、空気中のCO2を吸収しやすい。そのため、反応液が空気と接触しないように、密封もしくは不活性ガスなどを吹き込みながら、反応を行うのが好ましい。
結晶性を高めるには、反応温度をできるだけ高くするのが望ましい。反応温度を高くするには、100℃〜溶液の臨界温度までの水熱反応が可能であるが、このためには、オートクレーブの安全に配慮した設備を必要とする。従って、常圧で100℃以上に煮沸し、温度を保持して行うのが好ましい。また、機械的に撹拌すると、原料同士が混合され好適である。反応時間は、通常、2時間以上であり、好ましくは3時間以上であり、より好ましくは4時間以上である。
本発明に用いられるバリウム塩、ストロンチウム塩等は、水酸化物を使用することが好ましい。水酸化物であれば、無水塩でも水和物でもよく、特に限定されない。
一般に、ペロブスカイト型構造のチタン含有複合酸化物の合成においては、反応、固液分離、乾燥、焼成等の各工程で、一般式(A1XA2(1-X))YTiO3±δにおける酸素の比率(3+δ)が変化するため、結晶構造に欠陥を生じて電気特性が低下しやすい。しかしながら、本発明においては上記に記載した製造方法を採用することで、δの値を非常に小さくすることが可能となる。
本発明に用いられる酸化チタンゾルとしては、特に制限はないが、ブルーカイト型結晶結晶を含有する酸化チタンゾルが望ましい。もしくは、チタン塩を酸性溶液中で加水分解して得られた酸化チタンゾルが望ましい。
一方、中性やアルカリ性の溶液中で加水分解すると、反応速度が大きくなり、初期に多くの核発生が起こることが多い。そのため、粒径は小さいが分散性が悪い酸化チタンゾルとなり、粒子が鬘状に凝集してしまう場合もある。このような酸化チタンゾルを原料として、チタン含有複合酸化物粒子を製造した場合、得られた粒子は粒径が小さくても、分散性が悪いものとなる場合がある。また、陰イオンが酸化チタン粒子の内部に混入しやすくなり、その後の工程でこれらの陰イオンを除去することが難しくなる場合がある。
また、チタン塩の酸性溶液中の濃度は、0.01〜5mol/Lであることが好ましい。これは、濃度が5mol/Lを越えると、加水分解の反応速度が大きくなり、粒径が大きく分散性の悪い酸化チタンゾルが得られる場合があるためであり、0.01mol/L未満では、得られる酸化チタン濃度が少なくなり生産性が悪くなる場合があるためである。
中でも、アンモニウム塩の水酸化物は、水に溶解すると乖離度が高く強い塩基として作用し、反応時に揮発することなく好適である。一方、アンモニアや水に対する溶解性の高いカーボン数の低い有機アミンは、塩基として弱く、低沸点のため使いにくい場合がある。
これら塩基化合物は、特に制限はなく、これらは1種類単独で用いてもよく、2種類以上の化合物を任意の比率で混合して用いても支障はない。
これらの磁器、薄膜状形成物は、コンデンサの材料、センサーなどに用いられる。
本発明のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子を含む充填材を、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種以上に分散させることにより高誘電率のフィルムを得ることが出来る。
本発明のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子以外の充填材を含ませる場合には、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化タンタルなどからなる群より1種以上を選択して使用することが可能である。
熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂は特に制限されず、通常使用されている樹脂を使用することが可能であるが、熱硬化性樹脂としては例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビストリアジン樹脂等が好適である。熱可塑性樹脂としては例えばポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド等が好適である。
本発明のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子を含む充填材を熱硬化性樹脂または/及び熱可塑性樹脂の少なくとも一種以上に均一に分散させるために、予め充填材を溶剤または上記樹脂組成物と溶剤の混合物に分散させスラリーを得るのが望ましい。
溶剤としては特に制限されず、通常使用される溶剤であれば何でも使用可能であるが、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、メチルセルソルブ、を単独で或いは二種以上を混合して用いることが出来る。
充填材を溶剤または上記樹脂組成物と溶剤の混合物に分散させたスラリーを得るためにカップリング剤で処理することが望ましい。カップリング剤としては特に制限される物ではなく、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤があげられる。カップリング剤の親水基が、本発明のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子を含む充填材表面の活性水素と反応し表面に被覆されるため、溶剤への分散性が良好になる。カップリング剤の疎水基は、その選択により樹脂への相溶性を高めることができる。例えば、樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、モノアミノ、ジアミノ、カチオニックスチリル、エポキシ、メルカプト、アニリノ、ウレイドなどのいずれかを官能基の一つに有するシランカップリング剤や、ホスファイト、アミノ、ジアミノ、エポキシ、メルカプトなどのいずれかを官能基の一つに有するチタネート系カップリング剤が好適である。樹脂としてポリイミド樹脂を用いる場合には、モノアミノ、ジアミノ、アニリノなどのいずれかを官能基の一つに有するシランカップリング剤や、モノアミノ、ジアミノなどのいずれかを官能基の一つに有するチタネート系カップリング剤が好適である。これらのうち一種を単独で用いたり、二種以上を混合して用いたりすることができる。
カップリング剤の親水基と本発明のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子を含む充填材表面の活性水素との反応を完結させるため、スラリーにしてから加熱処理する工程を含むのが望ましい。加熱温度と時間に特に制限はないが、100〜150℃で1時間から3時間加熱処理することが好ましい。また、溶剤の沸点が100℃以下のときは、加熱温度は溶剤の沸点以下とし、加熱時間をそれに応じて長くするとよい。
四塩化チタン(住友チタニウム(株)製:純度99.9%)濃度が0.25mol/Lの水溶液を還流冷却器つきの反応器に投入し、塩素イオンの逸出を抑制し、酸性に保ちながら沸点付近まで加熱した。その温度で60分間保持して四塩化チタンを加水分解し、酸化チタンゾル得た。得られた酸化チタンゾルを110℃で乾燥し理学電機(株)製X線回折装置(RAD−B ローターフレックス)で結晶型を調べた結果ブルーカイト型酸化チタンであることがわかった。
水酸化バリウム8水和物を50.5gと水酸化ストロンチウム8水和物を63.8gとした以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム複合物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応させた。理論収量に対する実収量の割合は99.9%であり、比表面積は48m2/gで、ぺロブスカイト型のバリウムとストロンチウムが固溶したBa0.4Sr0.6TiO3複合体であり、形状は球状であった。そのときのX線回析スペクトルを図7に示す。
D1=0.023μm、D2=0.17μmであり、D2/D1=7.4であった。また、この粉体に含まれる炭酸バリウムと炭酸ストロンチウムの合計量は、0.4質量%であった。
乾燥粉体を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、10ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ80ppmのClイオンが含まれていた。
式(3)により算出したバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計の抽出量は、0.32μmol/m2であった。
950℃2時間保持後の比表面積は23m2/gで、式(2)により算出した比表面積の減少率は52%であった。形状は、サイコロ状をしており、単結晶であった。
水酸化バリウム8水和物を0g、水酸化ストロンチウム8水和物を106.3gをとした以外は実施例1と同様の操作でチタン酸ストロンチウム微粒子を製造した。
反応後の液中のストロンチウムイオンの濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応させた。理論収量に対する実収量の割合は99.9%であり、比表面積は46m2/gで、ぺロブスカイト型のSrTiO3であり、形状は球状であった。そのときのX線回析スペクトルを図8に示す。
D1=0.025μm、D2=0.16μmであり、D2/D1=6.4であった。また、この粉体に含まれる炭酸ストロンチウム量は、0.6質量%であった。
乾燥粉体を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、25ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ92ppmのClイオンが含まれていた。
式(3)により算出したイオン抽出量は、0.36μmol/m2であった。
950℃2時間保持後の比表面積は15m2/gで、式(2)により算出した比表面積の減少率は67%であった。形状は、サイコロ状をしており、単結晶であった。
水酸化バリウム8水和物を126.2g、水酸化ストロンチウム8水和物を0gとした以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオン濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応させた。理論収量に対する実収量の割合は99.9%であり、比表面積は39m2/gで、ぺロブスカイト型のBaTiO3であり、形状は球状であった。
D1=0.024μm、D2=0.16μmであり、D2/D1=6.4であった。また、この粉体に含まれる炭酸バリウム量は、0.5質量%であった。
乾燥粉体を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、18ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ100ppmのClイオンが含まれていた。
式(3)により算出されたイオン抽出量は、0.36μmol/m2であった。
950℃2時間保持後の比表面積は4m2/gで、式(2)により算出した比表面積の減少率は90%であった。形状は、球状をしており、単結晶であった。
水酸化バリウム8水和物を1.3gと水酸化ストロンチウム8水和物を105.2gとした以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム複合物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応させた。理論収量に対する実収量の割合は99.9%であり、比表面積は46m2/gで、ぺロブスカイト型のバリウムとストロンチウムが固溶したBa0.01Sr0.99TiO3複合体であり、形状は球状であった。
D1=0.025μm、D2=0.16μmであり、D2/D1=6.4であった。また、この粉体に含まれる炭酸バリウムと炭酸ストロンチウムの合計量は、0.6質量%であった。
乾燥粉体を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、16ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ80ppmのClイオンが含まれていた。
式(3)により算出されたイオンの抽出量は、0.36μmol/m2であった。
950℃2時間保持後の比表面積は16m2/gで、比表面積の減少率は65%であった。形状は、サイコロ状をしており、単結晶であった。
水酸化バリウム8水和物を124.9gと水酸化ストロンチウム8水和物1.1gをした以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム複合物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応させた。理論収量に対する実収量の割合は99.9%であり、比表面積は、43m2/gで、ぺロブスカイト型のBa0.99Sr0.01TiO3であり、形状は球状であった。
D1=0.024μm、D2=0.17μmであり、D2/D1=7.1であった。また、この粉体に含まれる炭酸バリウムと炭酸ストロンチウムの合計量は、0.4質量%であった。
乾燥粉体を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、21ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ95ppmのClイオンが含まれていた。
式(3)により算出されたイオンの合計抽出量は、0.42μmol/m2であった。
950℃2時間保持後の比表面積は5m2/gで、比表面積の減少率は88%であった。形状は、球状をしており、単結晶であった。
実施例1で合成したブルーカイト型酸化チタンゾルの代わりに市販のアナターゼ型酸化チタンゾル(石原産業製STS−02)を用いた以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム複合物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応した。理論収量に対する実収量の割合は99.9%であり、比表面積は57m2/gで、ぺロブスカイト型のバリウムとストロンチウムが固溶したBa0.6Sr0.4TiO3複合体であり、形状は球状であった。
D1=0.018μm、D2=0.17μmであり、D2/D1=9.4であった。また、この粉体に含まれる炭酸バリウムと炭酸ストロンチウムの合計量は、0.5質量%であった。
乾燥粉体を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、20ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ60ppmのClイオンが含まれていた。
式(3)により算出したイオンの合計抽出量は、0.53μmol/m2であった。
950℃2時間保持後の比表面積は30m2/gで、比表面積の減少率は47%であった。形状は、サイコロ状をしており、単結晶であった。
水酸化バリウム8水和物を77.2gと水酸化ストロンチウム8水和物を43.5gとした以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム複合酸化物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応した。理論収量に対する実収量の割合は99.9%であり、比表面積は46m2/gで、ぺロブスカイト型のバリウムとストロンチウムが固溶したBa0.6Sr0.4TiO3複合体であり、形状は球状であった。
D1が0.023μm、D2が0.17μmであり、D2/D1=7.4であった。
また、この粉体に含まれる炭酸バリウムと炭酸ストロンチウムの合計量は、0.5質量%であった。
乾燥粉体を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、10ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ100ppmのClイオンが含まれていた。
式(3)により算出したバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計の抽出量は、0.60μmol/m2であった。
950℃2時間保持後の比表面積は24m2/gで、式(2)により算出した比表面積の減少率は48%であった。形状は、サイコロ状をしており、単結晶であった。
水酸化バリウム8水和物を74.2gと水酸化ストロンチウム8水和物を41.7gとした以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム複合酸化物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応した。理論収量に対する実収量の割合は99.9%であり、比表面積は49m2/gで、ぺロブスカイト型のバリウムとストロンチウムが固溶したBa0.6Sr0.4TiO3複合体であり、形状は球状であった。
D1が0.022μm、D2が0.18μmであり、D2/D1=8.2であった。
また、この粉体に含まれる炭酸バリウムと炭酸ストロンチウムの合計量は、0.4質量%であった。
乾燥粉体を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、20ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ110ppmのClイオンが含まれていた。
式(3)により算出したバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計の抽出量は、0.70μmol/m2であった。
950℃2時間保持後の比表面積は21m2/gで、式(2)により算出した比表面積の減少率は57%であった。形状は、サイコロ状をしており、単結晶であった。
水酸化バリウム8水和物を119.9g、水酸化ストロンチウム8水和物の代わりに水酸化カルシウム1.5gを用いた以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・カルシウム複合酸化物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとカルシウムイオンの合計濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応させた。理論収量に対する実収量の割合は99.8%であり、比表面積は38m2/gで、ぺロブスカイト型のBa0.95Ca0.05TiO3複合体であり、粒子形状を走査型電子顕微鏡で拡大観際したところ、球状であった(図9)。そのときのX線回析スペクトルを図10に示す。
D1=0.027μm、D2=0.21μmであり、D2/D1=7.8であった。また、この粉体に含まれる炭酸バリウム量と炭酸カルシウム量の合計は、0.4質量%であった。
乾燥粉体を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、12ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ70ppmのClイオンが含まれていた。
式(3)により算出されたイオン抽出量は、0.21μmol/m2であった。
950℃2時間保持後の比表面積は7m2/gで、式(2)により算出した比表面積の減少率は82%であった。走査型電子顕微鏡で拡大観際した粒子形状は球状であり(図11)、単結晶であった。そのときのX線回折スペクトルを図12に示す。
水酸化バリウム8水和物の代わりに塩化バリウム2水和物58.6gと水酸化ストロンチウム8水和物の代わりに塩化ストロンチウム6水和物42.7gを用いた以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム複合物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応させた。理論収量に対する実収量の割合は99.9%であり、比表面積は48m2/gで、ぺロブスカイト型のバリウムとストロンチウムが固溶したBa0.6Sr0.4TiO3複合体であり、形状は球状であった。
D1=0.022μm、D2=0.17μmであり、D2/D1=7.7であった。また、この粉体に含まれる炭酸バリウムと炭酸ストロンチウムの合計量は、0.5質量%であった。式(3)より算出されたイオンの合計抽出量は、0.46μmol/m2であった。
950℃2時間保持後の比表面積は25m2/gで、比表面積の減少率は48%であった。形状は、サイコロ状をしており、単結晶であった。しかしながら、乾燥粉末を溶解し、陰イオンクロマトグラフィーでClイオンを測定したところ、粉末1gあたり14000ppmのClイオンが含まれており、この方法で製造されたチタン酸バリウム・ストロンチウム複合物微粒子は、電子材料用には適さないことがわかった。
比較例1において、合成後、水洗、ろ過を繰り返し10回繰り返した。乾燥粉末1gあたりのClイオン量は500μgに低下した。10回目のろ液中のバリウム量は20ppm、ストロンチウム量は15ppmであった。乾燥粉末を溶解して測定したところ、バリウムとストロンチウムの合計とチタンの比は、0.94であった。
TMAHの代わりに20%KOHを用いた以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム複合物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応させた。理論収量に対する実収量の割合は99.9%であり、粒子の比表面積は48m2/gであった。X線回折により評価したところ、ぺロブスカイト型のバリウムとストロンチウムが固溶したBa0.6Sr0.4TiO3複合体であることがわかった。電子顕微鏡で拡大観察したところ、形状は球状であった。
D1=0.022μm、D2=0.16μmであり、D2/D1=7.3であった。また、この粉体に含まれる炭酸バリウムと炭酸ストロンチウムの合計量は、0.5質量%であった。式(3)により算出したイオンの合計抽出量は、0.46μmol/m2であった。
950℃2時間保持後の比表面積は25m2/gで、比表面積の減少率は48%であった。形状は、サイコロ状をしており、単結晶であった。しかしながら、乾燥粉末を溶解し、ICP発光法でKイオンを測定したところ、粉末1gあたり5000ppmのKイオンが含まれており、この方法で製造されたチタン酸バリウム・ストロンチウム複合物微粒子は、電子材料用には適さないことがわかった。
比較例3において、合成後、水洗、ろ過を繰り返し10回繰り返した。乾燥粉末1gあたりのKイオン量は300ppmに低下した。10回目のろ液中のバリウム量は18ppm、ストロンチウム量は12ppmであった。乾燥粉末を溶解して測定したところ、バリウムイオンとストロンチウムイオンの合計とチタンの比は、0.96であった。
TMAHを添加しないかわりに純水368gを用いた以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム合成複合物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の2%になるまで反応させた。理論収量に対する実収量の割合は98%であった。ろ液中の水を蒸発させて、300℃5時間乾燥して、粉体を得た。この粉体をX線回折により調べたところ、原料である水酸化バリウムと水酸化ストロンチウムが含まれることがわかった。式(3)により算出したイオンの合計抽出量は、30μmol/m2であった。
撹拌しながら煮沸を4時間維持するところを12時間とした以外は、比較例5と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム複合物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度は、投入量の1.7%まで反応させた。理論収量に対する実収量の割合は98.3%であった。ろ液中の水を蒸発させて、300℃5時間乾燥して、粉体を得た。この粉体をX線回折により調べたところ、原料である水酸化バリウムと水酸化ストロンチウムが含まれることがわかった。式(3)で算出したバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計抽出量は、26μmol/m2であった。
撹拌しながら煮沸を4時間維持するところを1時間とした以外は、実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム複合物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の0.4%になるまで反応させた。理論収量に対する実収量の割合は99.6%であった。ろ液中の水を蒸発させて、300℃5時間乾燥して、粉体を得た。この粉体をX線回折により調べたところ、原料である水酸化バリウムと水酸化ストロンチウムが含まれることがわかった。式(3)により算出したイオンの合計抽出量は、5μmol/m2であった。
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20質量%水溶液(セイケム昭和製、炭酸根の濃度60ppm以下)を大気中に放置して炭酸基の濃度を6000ppmにした以外は、実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウムを製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の1000分の1以下まで反応させた。理論収量に対する実収量の割合は99.9質量%であった。実施例1と同様にして調べたところ、得られた粉体には、この粉体に含まれる炭酸バリウムと炭酸ストロンチウムの合計量は、6質量%であった。式(3)により算出したイオンの合計の抽出量は、7μmol/m2であった。
水酸化バリウム8水和物を79.5gと水酸化ストロンチウム8水和物を44.6gとした以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム複合酸化物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応した。理論収量に対する実収量の割合は99.9%であり、比表面積は46m2/gで、ぺロブスカイト型のバリウムとストロンチウムが固溶したBa0.6Sr0.4TiO3複合体であったが、X線回折ピークには、不明のものがほんのわずか含まれていた。形状は球状であった。
D1が0.023μm、D2が0.20μmであり、D2/D1=8.7であった。
また、この粉体に含まれる炭酸バリウムと炭酸ストロンチウムの合計量は、0.5質量%であった。
乾燥粉体を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、20ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ120ppmのClイオンが含まれていた。
式(3)により算出したバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計の抽出量は、3.3μmol/m2であった。
水酸化バリウム8水和物を71.9gと水酸化ストロンチウム8水和物を40.4gとした以外は実施例1と同様の操作でチタン酸バリウム・ストロンチウム複合酸化物微粒子を製造した。
反応後の液中のバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計濃度が、投入量の1000分の1以下になるまで反応した。理論収量に対する実収量の割合は99.9%であり、比表面積は51m2/gで、ぺロブスカイト型のバリウムとストロンチウムが固溶したBa0.6Sr0.4TiO3複合体であり、形状は球状であった。
D1が0.021μm、D2が0.19μmであり、D2/D1=9.0であった。
また、この粉体に含まれる炭酸バリウムと炭酸ストロンチウムの合計量は、0.4質量%であった。
乾燥粉体を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、30ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ100ppmのClイオンが含まれていた。
式(3)により算出したバリウムイオンとストロンチウムイオンの合計の抽出量は、3.9μmol/m2であった。
Claims (8)
- 塩基性有機化合物の存在するpHが10以上のアルカリ性溶液中で、Ba(OH)2及びSr(OH)2(Ba(OH)2及びSr(OH)2の合計に対するBa(OH)2のモル比率が0〜0.8である。)と、その合計のモル数に対して0.98〜1.02モル倍量の酸化チタンとを、溶液中のBaイオンとSrイオンの合計濃度が投入量の1000分の1以下になるまで反応させ、その後、塩基性有機化合物を室温〜焼成温度の温度範囲で、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、及び/または熱分解により気化させて除去することを特徴とするペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
- Ba(OH)2及びSr(OH)2の合計に対するBa(OH)2のモル比率が0.2〜0.8である請求項1に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
- 反応液中の炭酸基の濃度を、CO2換算で0〜500ppmに制御する請求項1または請求項2に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
- 酸化チタンがブルーカイト型結晶を含有するものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
- 酸化チタンがチタン化合物を酸性溶液中で加水分解してなる酸化チタンゾルである請求項1乃至4のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
- 塩基性有機化合物が、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、及び/または熱分解により気化する物質である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
- 塩基性有機化合物が、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドである請求項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
- 塩基性有機化合物の存在するpHが10以上のアルカリ性溶液中で、Ba(OH)2及びSr(OH)2(Ba(OH)2及びSr(OH)2の合計に対するBa(OH)2のモル比率が0〜0.8である。)と、その合計のモル数に対して0.98〜1.02モル倍量の酸化チタンとを、溶液中のBaイオンとSrイオンの合計濃度が投入量の1000分の1以下になるまで反応させ、その後、塩基性有機化合物を室温〜焼成温度の温度範囲で、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、及び/または熱分解により気化させて除去し、次いで900〜1200℃の温度で0.1〜3時間焼成することを特徴とするサイコロ状の形状を有するペロブスカイト型チタン含有複合酸化物微粒子の製造方法。
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