JP2004315344A - 単結晶セラミックス粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非晶質状態の粒子の発生を抑制するとともに、樹脂材料への分散性、充填性に優れた球状の単結晶粒子を容易に得る。
【解決手段】 原料粉体をキャリアガスとともに加熱処理領域に供給し、加熱処理領域に供給された原料粉体に最終的に作製したいセラミックスの融点未満であってかつ当該融点−200℃以上の温度の加熱処理を施し、加熱処理で得られた生成物を冷却する。
【選択図】図1

Description

本発明は、単結晶セラミックス粒子の製造方法に関するものである。
従来、誘電体粒子や磁性フェライト粒子等のセラミックス粒子が多くの分野で使用されている。例えば誘電体粒子として、チタン酸バリウムや酸化チタン等は誘電性、圧電性および焦電性に優れ、磁器コンデンサやフィルタ、センサ等の材料として用いられている。
セラミックス粒子を磁器コンデンサ用の材料として使用する場合、誘電率が高く、損失の小さいものが望まれる。また磁性フェライト材料として使用する場合は、損失が小さく、透磁率がフラットに高周波域まで伸びているものが望まれる。これら特性はセラミックス粒子の形状、粒径、純度、反応性等の物性に依存する。例えば、セラミックス粒子が多結晶や不定形の粒子であると、局部的異常粒成長を起こし、あるいは組成の不均一を生じやすくなり、磁気的特性や電気的特性の劣化を招くことになる。したがってセラミックス粒子は結晶粒界や不純物を有せず、単相であり、また単結晶であることが好ましい。また、さらに優れた特性を得るため、セラミックス粒子は2種類以上の金属と酸素の化合物であることが好ましい。
しかし、優れた特性を有するセラミックス粒子を製造することは難しい。例えば固相反応法では、最終生成物の組成に対応した金属酸化物の混合粒子を空気中や不活性ガス中で焼成することにより、2種類以上の金属と酸素の化合物である金属酸化物の誘電体を得ることができるが、単相の粒子を得ることが難しい。また、共沈法等の液相法では、金属塩の水溶液或いは有機溶媒溶液から水和物などの金属酸化物の前駆体(一次粒子)を製造し、この前駆体を空気中や不活性ガス中で焼成してセラミックス粒子を得る。しかし、結晶性に優れた誘電体粒子を得ることは難しく、また金属酸化物の前駆体の結合が強く最終的に大きな塊として得られるため、誘電体粒子を得るためには焼成後の誘電体を粉砕しなければならない。このようにして得られる粒子では、個々の粒子の形状が不定形であり、また粒度分布も広いものとなり、さらに不純物が混入する可能性も高い。
そこで、粒子の形状や粒度分布を改良した水熱合成法や気相反応法等も提案されているが、いずれも生産性やコストの点で工業的に効率的に製造することは困難である。また特開平7−33579号公報(特許文献1)には、溶液に原料を溶解させたものを加水分解や共沈法等により酸化物の微粒子を形成し、微粒子を熱処理して結晶化および粒子の成長を促し、さらに得られたものに含まれるガラスを溶解除去し、粒径の揃った単結晶粒子を得る方法が開示されている。しかし、この方法では工程が複雑であり、工業的に量産するのが困難である。
また、特開平9−263496号公報(特許文献2)には、平均粒径が10μm以下のチタン酸バリウムを1618℃未満1200℃以上で焼結させて、単結晶のチタン酸バリウムを得る方法が開示されている。この方法では、チタン酸バリウムの融点より低い温度で、焼結時に温度勾配を付けて異常粒成長をさせ、単結晶のチタン酸バリウムを形成している。しかし、この方法では、得られるチタン酸バリウムの粒径が500μm程度と大きく、微粒子を得るものではない。また単結晶は多結晶体中に含有された状態で得られるので、単結晶を取り出すには多結晶体を濃塩酸中に浸漬させて粒界部分を破壊する工程が必要である。
ところで、セラミックス粒子は、粒子のみを単体として利用する場合もあるが、樹脂材料と複合化した複合材料として利用することもある。複合材料として用いられるセラミックス粒子には、樹脂材料に対する分散性、充填性が要求される。樹脂材料に対する分散性、充填性を確保するための一つの要素として、粒子の粒径がある。
しかし、前記した共沈法で得られるセラミックス粒子は粒径が微細すぎて樹脂材料に対する分散性、充填性を確保することができない。また、前記した固相反応法により得られたセラミックス粒子は、粉砕により得られるものであるため粒子の形態が不定形となり、樹脂材料に対する分散性、充填性を確保することができない。また、特許文献2に記載の単結晶のチタン酸バリウムは粒径が大きいので、高い充填性を得ることが難しい。
本発明者等は優れた特性を有する球状の単結晶セラミックス粒子を得るために、セラミックス成分からなる粉体をキャリアガスとともに加熱処理領域に供給する粉体供給工程と、加熱処理領域に供給された粉体を当該粉体の融点以上に加熱する加熱処理工程と、加熱処理工程で得られた生成物を冷却することにより単結晶セラミックス粒子を得る冷却工程とを備える製造方法を先に提案している(特願2002−160798号)。
特開平7−33579号公報 特開平9−263496号公報
特願2002−160798号にて提案した方法は、樹脂材料への分散性、充填性に優れた球状の単結晶セラミックス粒子を容易に得るために好適な方法である。ところが、本発明者等の検討によると、当該方法で得られた球状の粒子の中には、非晶質状態の粒子が含まれることがあることを確認した。
本発明は、非晶質状態の粒子の発生を抑制するとともに、樹脂材料への分散性、充填性に優れた球状の単結晶粒子を容易に得るために好適な方法を提供することを目的とする。
前述した特願2002−160798号にて提案した方法の特徴は、出発原料粉体に加熱領域にて融点以上の熱エネルギーを与え、一度、結晶性を壊すことにある。したがって、原料粉体がたとえ、不定形な一塊の破粉粒、微粒子が凝集した形の顆粒であったとしても、それを溶融させることにより一粒(球状)の液滴を作製し、表面張力によって球状となり、球状のまま冷却領域へ運ばれることで真球状に再結晶した単結晶セラミックス粒子が得られることを説明している。
特願2002−160798号においては、加熱温度が融点よりも低い場合、例えば、不定形な一塊の粉砕粉であれば不定形のまま、微粒子が凝集した形の顆粒であれば、加熱領域を通過後、中空孔および各粒子が凝集したセラミック粒子が形成されると説明がなされている。
ところが本発明者等の検討によると、出発原料粉体の性状によっては、加熱温度が融点未満の場合であっても単結晶の粒子を得ることができることを確認した。
本発明は原料粉体をキャリアガスとともに加熱処理領域に供給し、加熱処理領域に供給された原料粉体に最終的に作製したいセラミックスの融点未満であってかつ当該融点−200℃以上の温度の加熱処理を施し、この加熱処理で得られた生成物を冷却することを特徴とする単結晶セラミックス粒子の製造方法である。
本発明の単結晶セラミックス粒子の製造方法において、原料粉体を浮遊させながら加熱処理を施し、かつ生成物を冷却することが望ましい。
本発明の単結晶セラミックス粒子の製造方法において、原料粉体は、顆粒から構成することもできるし、又は顆粒のような集合体としてではなく単独で存在する粒子から構成することもできる。原料粉体が顆粒の場合、浮遊状態で、顆粒を構成する一次粒子同士が加熱処理により固相拡散する。また、原料粉体が単独の粒子から構成される場合には、単独の粒子同士が浮遊状態で接触し、かつ接触した状態で単独の粒子同士が加熱処理により固相拡散する。また、この固相拡散により、複数の粒子から1つの単結晶粒子が構成されることになる。
本発明によれば、融点未満の加熱温度であっても単結晶セラミックス粒子を作製することができる。しかも、この作製の過程で非晶質の球状粒子が作製されることがない。
以下本発明の実施の形態を説明する。
本発明による単結晶セラミックス粒子の製造工程概略の一例を図1に基づき説明する。図1に示すように、本発明の製造方法は、原料を粉砕して1次粒子を得る。次いで、1次粒子から顆粒を形成し、この顆粒を加熱処理領域に供給する。加熱処理領域で所定温度に加熱されて生成された生成物は冷却され、その後に後処理に移行する。なお、ここでは顆粒からなる粉体を加熱処理する例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、1次粒子形成工程において、セラミックス成分からなる原料より1次粒子を形成する。1次粒子形成工程では、セラミックス成分からなる原料を粉砕し、好ましくは平均粒径が1μm以下となるように調整する。この粒径は、最終的に得られる単結晶セラミックス粒子の粒径を左右するだけではなく、このような粒径の1次粒子を用いることにより、単結晶セラミックス粒子の品質を優れたものとすることができる。粉砕方法は特に限定されないが、例えばボールミル等を使用することができる。
本発明におけるセラミックス成分とは、セラミックスとして認識される酸化物、窒化物、炭化物等の化合物を包含している。また、単一のセラミックスのみならず、複数のセラミックスの混合体、複合酸化物、複合窒化物等の複合化合物をも包含している。セラミックス成分の具体例として、誘電体材料や磁性材料がある。
誘電体材料としては、例えば、チタン酸−バリウム−ネオジウム系セラミックス、チタン酸−バリウム−錫系セラミックス、鉛−カルシウム系セラミックス、二酸化チタンセラミックス、チタン酸バリウム系セラミックス、チタン酸鉛系セラミックス、チタン酸ストロンチウム系セラミックス、チタン酸カルシウム系セラミックス、チタン酸ビスマス系セラミックス、チタン酸マグネシウム系セラミックス等や、CaWO4系セラミックス、Ba(Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba(Mg,Ta)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,Ta)O3系セラミックス、アルミナ等を挙げることができる。これらは単独または2種類以上を混合して使用できる。なお、二酸化チタン系セラミックスとは、組成的には二酸化チタンのみを含む系、または二酸化チタンに他の少量の添加物を含む系であり、主成分として二酸化チタンの結晶構造が保持されているものを意味する。他の系のセラミックスについても同様である。また、二酸化チタンはTiO2で示される物質で種々の結晶構造を有するものであるが、誘電体セラミックスとして使用されているのはルチル構造のものである。
磁性材料としては、磁性を持つ酸化物を使用する。例えば、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Mn−Mg−Zn系フェライト、Ni−Cu−Zn系フェライト等を挙げることができる。また、Fe23やFe34等の酸化鉄であってもよい。
なお、これらセラミックス成分を構成する1次粒子は、市販されているセラミックス微粒子、例えば、金属塩から作製した金属酸化物粒子(湿式沈殿法、噴霧熱分解法、スプレー法等による粒子)を使用することもでき、その他、セラミックス成分を形成するための組成物や材料を焼成することによって1次粒子を得ることができる。その中でも、溶液による出発原料を用いることにより、粉砕工程を経て得られる粒子よりも粒子の粒度分布をシャープに作製できる。例えば、炭酸バリウムと酸化チタンを混合して顆粒を得て、この顆粒を適当な大きさに粉砕したものを焼成して反応させることによりセラミックス成分(1次粒子)としてのチタン酸バリウムを得ることができる。
1次粒子としては、固相反応法により仮焼した後に粉砕した粉砕粉、溶液法から得た粒子のいずれであってもよい。ただし、活性度が高いことが必要である。融点未満の温度で固相拡散を行って単結晶を得るためである。ここで、活性度が高いとは、仮焼きした後に粉砕した粉砕粉の場合には、完全に焼結反応を進めていない状態を言う。例えば、2種類以上の出発原料粒子を仮焼きする場合には、単一相が現れる温度範囲の中で、できるだけ低い温度で仮焼きを終了させることが望ましい。溶液法により作製された粒子は一般的に活性度が高く本発明にとって望ましい。ただし、溶液法により作製された粒子であっても、その後に加熱処理が施された場合には高い活性度を失うことがある。なお、溶液法とは、ゾルゲル法、共沈法、水熱合成法、あるいは蓚酸法を含む概念である。
次に、顆粒を得るためのスラリを作製する。スラリは、1次粒子を溶媒に適量添加した後に、ボールミル等の混合機を用いて混合することにより得ることができる。溶媒としては水やエタノールを用いることができるが、1次粒子の分散性を向上するために、分散剤を添加することが推奨される。分散剤の添加量は、1次粒子の粒度に関連するが、おおよそ1次粒子の重量に対して1%程度である。1次粒子同士を機械的に結合するための結合剤、例えばPVA(ポリビニルアルコール)を添加することもできる。得られたスラリをスプレー・ドライヤにより噴霧して液滴を形成する。
ここで、スプレー・ドライヤとしてのスプレー・ノズルは、上記のスラリと圧縮気体とを噴霧するためのものであり、2流体ノズル、あるいは4流体ノズル等を用いることができる。圧縮気体(例えば、空気、窒素ガス等)とともにスプレー・ノズルから吐出されたスラリは微粒化されて噴霧を形成する。噴霧中の液滴の粒径は、スラリと圧縮気体との比率によりコントロールすることができるし、スラリ濃度によってもコントロールできる。液滴の粒径をコントロールすることにより、最終的に得られる単結晶セラミックス粒子の粒径を制御することができる。スプレー・ノズルによる噴霧の工程は、所定のチャンバー内で行われる。なお、加熱下で乾燥を兼ねた噴霧乾燥法によって顆粒を得ても良い。噴霧乾燥法を用いると、粉砕粉のように巨大な粒子が混入することがほとんどないため、最終的に得られる製品の品質の信頼性を確保することができる。
このようにしてスプレー・ノズルを用いると、本発明において使用するのに適した粒径の小さな顆粒を得ることができ、例えば1〜10μm程度の微細な顆粒を得ることができる。この粒径は、最終的に得られる単結晶セラミックス粒子の粒径を左右する。粒径は、前述のように、スラリと圧縮気体との比率によってコントロールすることができるし、スラリ濃度によってもコントロールでき、またスラリ同士を衝突させることにより小さな液滴を作製することもできる。
以上の原料粉体は、キャリアガスとともに加熱処理領域に供給する。粉体供給工程を実施する具体的な構成として、図1には、キャリアガスと顆粒とを別途用意し、ノズルNを介してキャリアガスとともに顆粒を加熱処理領域に供給する形態を記載している。キャリアガスとしては、各種ガスが使用でき、例えば、酸素、窒素、アルゴン、アンモニア及び空気等のガスを用いることができる。
セラミックス成分から成る粉体を加熱処理領域に供給する手法は、図1に記載された方式に限定されない。例えば、セラミックス成分から成る粉体に対してキャリアガスを含む圧縮ガスを吹き付けることにより加熱処理領域に供給する方式を採用することができる。また、分散機を利用した供給、分級機や粉砕機の出力を利用した供給、つまり分級または粉砕することで出力側から得られる粒子を加熱処理領域に送り込むことも可能である。
本実施の形態おいては、セラミックス成分から成る粉体の噴霧は乾燥状態であっても、水分等を含んだ湿潤状態であってもよい。
次に、供給された原料粉体、具体的には顆粒は所定の温度に加熱されることにより、単結晶セラミックス粒子を得る。本発明はこのときの加熱温度を融点未満とする。原料粉体を構成する粒子の活性度が高いために、融点未満の温度において粒子同士が固相拡散を行って単結晶の粒子が生成される。単結晶化されることによる結晶性の向上にともない、誘電体セラミックスであれば誘電特性、磁性材料であれば磁気特性の向上が図られる。このとき、熱エネルギーが加えられることによって、表面エネルギーが小さくかつ安定な球状をなす。また、溶融状態からの凝固でないため、生成される粒子が非晶質となることを防ぐことができる。
加熱処理は、加熱炉で実現される。加熱方式としては、電気による加熱、ガスの燃焼熱による加熱および高周波加熱等の公知の方式を採用することができる。特に、電気管状炉は、燃焼ガスによる方法に比べて炉内の雰囲気の制御が容易である。セラミックス成分から成る粉体は炉内で気流を生成するキャリアガスとともに加熱炉内を浮遊した状態で単結晶化および球状化される。セラミックス成分からなる粉体の流速は、作製したいセラミックス粒子の粒径、捕集効率、加熱温度に応じて適宜定めることになるが、概ね0.05〜10m/sの範囲、とりわけ0.5〜5m/sの範囲で選択するのが望ましい。粉体の流速は、キャリアガスの流速を制御することにより変えることができる。
加熱の条件、特に温度および時間はセラミックスの組成によって適宜定められる。加熱の条件として、加熱炉内の雰囲気は、例えば誘電体材料や磁性材料等、目的とする最終生成物である単結晶セラミックス粒子の種類に応じて酸化性雰囲気、還元性雰囲気または不活性雰囲気が選択される。なお選択された雰囲気に応じて、キャリアガスを選択することができ、または必要なガスを加熱炉内へ供給する。
加熱温度としては、最終的に作製したいセラミックスの融点未満に設定する。本発明は、活性度の高い原料粉体を用いているために、融点未満の加熱温度であっても、単結晶を得ることができる点に特徴を有している。加熱処理の温度は、低すぎると固相拡散が行なわれないため、融点−200℃以上、望ましくは融点−100℃以上とする。ただし、この温度は処理される原料粉体の組成によって適宜設定されるべきである。
本発明は、固相拡散反応を利用するが、加熱時間が長いほど固相拡散反応を進めるのに有利である。原料粉体の大きさにも影響されるが、本発明が志向する粒径であれば、0.1〜10秒程度の加熱時間を採用すればよい。
最終的に作製したい粒子の粒径は、原料粉体の大きさ及び加熱処理温度によって制御することができる。例えば、原料粉体の平均粒径が0.3μmのチタン酸バリウム(融点=1610℃)のとき、例えば1μm径の粒子を作製したい場合には、1420℃以上の温度で加熱処理することができ、1500℃以上の温度で作製することが好ましい。例えば、長さ2m、内径80mmのアルミナ炉心管を加熱して、そこに粉体を分散供給、冷却させることでチタン酸バリウムの単結晶粒子を得る場合に、得たい平均粒径が0.2μmであれば1420℃以上かつ融点未満、0.2〜1μmであれば1500℃以上かつ融点未満、1μm以上であれば1600℃以上かつ融点未満の加熱温度とすることにより、球状単結晶粒子を作製することが可能である。
なお、加熱温度が融点未満であるために、得られる粒子には球形度の低いものも存在するが、完全に溶融させる温度を与えた後に冷却して作製する方法と比較し、非晶質な粒子が混在することを避けられる。しかし、溶液法などによる合成粉を出発原料として用いる場合は内部にイグロス成分を多く含んでいるため、粉体を作製すると内部に多くのポアが生じる。イグロス成分を除去するためには、700℃前後に加熱する脱培処理を行なうことが有効で、この処理を行った原料を用いることでポアの無い単結晶粒子を作製できる。
溶液法で得られた原料を用いて単結晶粒子を作製した場合は、固相反応法による仮焼き体から得られる粉砕粉を原料とした場合と比較し、表面が綺麗な単結晶粒子が作製される傾向がある。溶液法で得られた原料の活性度が高いことの影響ではないかと推測される。
固相反応法による仮焼き体から得られる粉砕粉を出発原料として単結晶粒子を作製する場合、単一相を作り出すための仮焼温度を700〜1000℃程度で行うのが望ましいが、単一相が得られる温度であれば700℃前後と低めの温度とすることがより好ましい。1000℃よりも高い温度の熱エネルギーを与えてしまうと粒子の活性度が低下し、より低温での原子拡散が悪くなり単結晶粒子の作製が容易でなくなる。固相反応法による粉砕粉を出発原料として単結晶粒子を作製する場合、単結晶粒子が得られてもその形状が歪んでしまうことがある。
本実施の形態のように、固相状態にある原料粉体を乾燥状態で加熱炉に供給すると、固相状態にある原料粉体を液体に分散させて供給する噴霧熱分解法と比較して、液体の存在による減熱がなくなるため、より少ないエネルギーで単結晶粒子を製造することができる。この場合、例えば作製された顆粒を、一旦保持・保管されることなく、直接キャリアガスと共に加熱処理工程の加熱炉に供給することができる。
加熱処理で得られた生成物は冷却される。具体的には、加熱炉中に冷却ゾーンを設けるか、または加熱炉からキャリアガスとともに大気中に排出されることにより生成物を冷却する。この冷却は、放冷でもよいが冷却媒体を用いて強制的に冷却することもできる。この冷却工程を経ることにより所望する単結晶セラミックス粒子を得る。生成物を比較的急激に冷却することにより、生成物の球体の形状が保たれる。また、冷却工程では、加熱された粉体がそのまま冷却されるため、得られる単結晶セラミックス粒子は粒径が0.1〜10μm程度と小さな粒径のものを得ることができる。さらに好ましくは0.5〜5μm程度のものを得ることができる。冷却速度は、加熱温度から−50℃の範囲では1〜100℃/sec、それ以下の温度範囲では100〜800℃/secとすることができる。
冷却工程後には、例えばサイクロンやバグフィルタによって粒子を捕集する一方、キャリアガスについては適切な排ガス処理を行った後に排気される。
以上のようにして得られるセラミックス粒子は、単結晶であり、かつ球形とすることができる。ここで「球形」とは、表面が平滑な完全な球形のほか、極めて真球に近い多面体を含む。具体的には、Wulffモデルで表されるような安定な結晶面で囲まれた等方的な対称性を有し、かつ球形度が1に近い多面体粒子も含まれる。ここで「球形度」とは、Wadellの実用球形度、すなわち粒子の投射面積に等しい円の直径の粒子の投射像に外接する最小円の直径の比である。本実施の形態では、球形度は0.9〜1であることが好ましく、さらに好ましくは0.95〜1である。球形度が0.9以上であると、単結晶セラミックス粒子を樹脂材料に分散した複合材料として利用するとき、単結晶セラミックス粒子が樹脂材料に対して均一に分散しやすくなり、さらにプレスされる場合において不均一性に起因したクラックを発生しづらい。
このように、本実施の形態で得られる単結晶セラミックス粒子は結晶粒界や不純物を有さず、単相で、且つ単結晶である。そのため、この単結晶セラミックス粒子は、誘電体材料や磁性材料として使用する場合に、磁性または誘電特性の向上に寄与できる、優れた特性を示す。
また本実施の形態に記載の方法で単結晶セラミックス粒子を形成すると、従来の方法で使用されている酸や有機溶媒を使用しないので、有害ガス等の発生もなく、また比較的安価な設備によって製造することができる。さらに本発明において、加熱処理領域に供給される原料粉体は、顆粒に限らず、単独で存在する粒子を含み、また、その形状も限定されない。
さらに、本実施の形態では粒径が小さく、且つ球形である単結晶セラミックス粒子を得ることができる。このような単結晶セラミックス粒子は凝集性が低く、分散性と充填性に優れたものとなる。したがって、得られた単結晶セラミックス粒子を樹脂と混合して複合材料を形成することができる。このとき、複合材料中に単結晶セラミックス粒子を30〜98wt%の範囲で含有することが好ましい。また、この樹脂として、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の双方が利用可能であり、具体的にはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、メラミン樹脂、シアネートエステル系樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂、液晶ポリマー、フッ素系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂のうち少なくとも一種類以上含んだ樹脂等を挙げることができる。
以上の考え方は、単結晶セラミックス粒子が磁性体材料から構成される場合にも適用することができる。つまり、相対的に融点の低い磁性体材料中に、相対的に融点の高い磁性体材料からなる単結晶セラミックス粒子が分散、保持された複合磁性材料を得ることができる。
本発明では、以上の複合材料を種々の電子部品に適用することができる。その1例が図2および図3に示されている。図2は、電子部品の1例である高周波モジュールを示す斜視図である。この高周波モジュールは、複合誘電体層5の表面に、ダイオード6、トランジスタ7およびチップ抵抗8が実装されている。また、高周波モジュールは、複合誘電体層5の裏面および内部にグランド電極1を配設している。さらに、高周波モジュールは、その内部に、スルーホール導体2、コンデンサ形成電極3が配設されている。そして、この複合誘電体層5に、以上説明した複合誘電体材料を適用する。また、図3は、電子部品の1例であるチップコイルを示す斜視図である。このチップコイルは、複合磁性体層14の内部に、コイル形成導体13とスルーホール導体12とを配設している。さらに、このチップコイルは、複合磁性体層14の側面に、外部端子電極11が形成されている。そして、この複合磁性体層14に、前述した複合磁性体材料を適用する。なお、以上は電子部品のあくまで例示であり、基板等の他の電子部品に本発明の複合磁性材料を適用できることはいうまでもない。
以下、本発明をより具体的な実施例に基づいて説明する。
<第1実施例>
出発原料として、市販されている高純度炭酸バリウム(日本化学工業(株)製 F03:純度 99.9、平均粒径0.3μm)と高純度酸化チタン(東邦チタニウム(株)製 HT2301、平均粒径0.2μm)とをmol比で1対1となるように秤量し、純水を加えてスラリを得た。このスラリをボールミルにて12時間混合処理した。スラリを乾燥処理して得た混合粒子を1000℃で2時間仮焼きした後に、ボールミルを用いて5時間及び24時間粉砕を行った。5時間の粉砕処理で得られた粒子は平均粒径が0.6μm(粒度分布が0.2〜1.5μm)、 24時間の粉砕処理で得られた粒子は平均粒径が0.3μm(粒度分布が0.1〜1μm)である。
以上の粒子と表面処理剤(TSL8113:GE東芝シリコーン(株)、2wt%)を混合・分散機に投入して混合、分散することにより、粒子に表面処理を行ない、原料粉体を得た。原料粉体は、供給機を用いて、供給機中にある分散機で分散しながらキャリアガス(酸素ガス、流量4l/min)で加熱炉へ供給した。加熱炉は内径が55mmのアルミナ炉心管を用い、炉内の加熱温度は1400℃、1500℃及び1600℃(平均粒径0.3μmの粒子のみ)の3種類とした。
平均粒径が0.3μmの原料粉体を1400℃で加熱処理した粒子をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察したところ、大部分が単結晶化されることなく多結晶凝集体をなしていることが確認された。
原料粉体の粒度分布が0.1〜1μmであるのに対して、加熱処理された粒子の粒度分布の上限が5μmなのは、単独で存在する複数の原料粉体が加熱処理中により集まった状態で固相拡散をして1つの新たな粒子を形成したためである。
平均粒径が0.3μmの原料粉体を1500℃で加熱処理した場合の粒子の粒度分布は0.1〜5μmである。この中で、0.1〜1μmの粒径を有する球状の粒子は、上記と同様のSEM観察により単結晶であることが確認された。また、この粒子の球形度は0.95であった。
平均粒径が0.3μmの原料粉体を1600℃で加熱処理した場合の粒子の粒度分布は0.1〜5μmである。この中で、0.1〜2μmの粒径を有する球状の粒子は、上記と同様のSEM観察により単結晶であることが確認された。また、この粒子の球形度は0.98であった。
仮焼き温度を1200℃とする以外は上記の1500℃の加熱処理と同様にして粒子を得た。この粒子の粒径は0.1〜5μmである。SEM観察により、1μm前後の粒子が粉砕粉の形状のままであり、大部分単結晶化されることなく多結晶凝集体をなしていることが確認された。このように、仮焼温度が1200℃と高くなり出発原料の活性度が悪くなると、融点未満の加熱温度では単結晶粒子を得ることができない。
図4は、1000℃で仮焼きした後の粉砕粉及び1200℃で仮焼きした粉砕粉のTG−DTA(示差熱・熱重量同時測定装置)の解析結果を示すグラフである。図4に示すように、Tf1<Tf2、Ts1<Ts2となっており、1000℃で仮焼きしたものは1200℃で仮焼きしたものより、低温で反応が始まっており、活性度が高いことがわかる。なお、Tf1は1000℃で仮焼きした後の粉砕粉の吸熱ピーク、Tf2は1200℃で仮焼きした後の粉砕粉の吸熱ピークである。また、Ts1は1000℃で仮焼きした後の粉砕粉の発熱ピーク、Ts2は1200℃で仮焼きした後の粉砕粉の発熱ピークである。
図5に1500℃で加熱処理して得られた粒子のSEM像を、また、図6に1600℃で加熱処理して得られた粒子のSEM像を示しておく。また、図7は、1500℃及び1600℃で加熱処理して得られた粒子のX線回折結果を示すチャートである。正方晶のBaTiO3のピークのみが観察されている。さらに、図8に1500℃で加熱処理して得られた粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)像及び電子回折像を、図9に1600℃で加熱処理して得られた粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)像及び電子回折像を示す。以上の図5〜図9により、BaTiO3からなる球状でかつ単結晶の粒子が作製されたことが確認できた。なお、BaTiO3の融点は、前述したとおり1610℃である。
平均粒径が0.6μmの原料粉体を1400℃、1500℃で加熱処理したものは、SEM観察により、大部分単結晶化されることなく多結晶凝集体をなしていることが確認された。
<第2実施例>
水熱合成法により作製されているチタン酸バリウム(堺化学工業(株)製 BT05、平均粒径0.5μm)と表面処理剤(TSL8113:GE東芝シリコーン(株)、2wt%)を混合・分散機に投入して混合、分散することにより、粒子に表面処理を行ない、原料粉体を得た。原料粉体は、供給機を用いて、供給機中にある分散機で分散しながらキャリアガス(酸素ガス、流量4l/min)で加熱炉へ供給した。加熱炉は内径が55mmのアルミナ炉心管を用い、炉内の加熱温度は1500及び1600℃の2種類とした。
炉内を通過した粒子とキャリアガスをバグフィルタに通過させることにより作製粒子とキャリアガスとを分離し、作製粒子を捕集した。
1500℃の加熱処理及び1600℃の加熱処理において捕集された粒子の粒度を測定したところ、1500℃、1600℃の加熱処理したものはともに、0.5〜5μmの粒度分布を有していた。SEM観察により、捕集された粒子のほとんどは単結晶粒子であることが確認された。この単結晶粒子はファセットがあり、かつ1500℃の加熱処理のものは0.5〜1μm程度、1600℃の加熱処理のものは0.5〜2μm程度の粒径を有する球形粒子である。なお、この粒子の球形度はそれぞれ0.95、0.97であった。
捕集された粒子の中には単結晶粒子よりも粒径が大きい多結晶粒子が一部存在している。このように粒径の大きな粒子が作製されるのは、原料粉体の分散状態が不十分のままにキャリアガスにより加熱処理領域に運ばれることが要因と考えられる。また、作製された球状単結晶粒子の中には非晶質粒子と思われる粒子は観察されなかった。これは、粒子作製のための加熱温度が融点未満のためであり、融点以上で単結晶粒子を作製する方法と比較し、単結晶粒子となるメカニズムが異なっているためと思われる。
1500℃の加熱処理により得られた粒子と1600℃の加熱処理により得られた粒子との相違点は、1600℃の加熱処理により得られた単結晶粒子の粒径が、1500℃の加熱処理により得られた単結晶粒子より大きいことである。単結晶粒子の粒径の差異は、加熱温度に起因しているものと解される。つまり、原料粉体が同一であっても、加熱温度を制御することにより、得られる単結晶粒子の粒径を制御することができる。
図10に示すように1500℃の加熱処理により得られた粒子についてX線回折により正方晶のチタン酸バリウムのピークが観察されたことから、粒径が1μm及び粒径が2μmの粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)観察を行った。その電子線透過回折結果から、これら粒子は正方晶のチタン酸バリウム単結晶からなることが確認された。
<第3実施例>
水熱合成法により作製されているチタン酸バリウム(堺化学工業(株)製 BT01、平均粒径0.1μm)と表面処理剤(TSL8113:GE東芝シリコーン(株)、2wt%)を混合・分散機に投入して混合、分散することにより、粒子に表面処理を行ない、原料粉体を得た。原料粉体は、供給機を用いて、供給機中にある分散機で分散しながらキャリアガス(酸素ガス、流量4l/min)で加熱炉へ供給した。加熱炉は実施例1と同様であり、その加熱温度を1420℃に設定した。
補修した粒子は、0.1〜3μmの粒度分布を有していた。SEM観察により、補修された粒子は単結晶粒子であり、この単結晶粒子の粒径は0.3μm以下であることが確認された。また、この粒子の球形度は、0.97であった。
得られた粒径が0.1μm及び粒径が0.3μmの単結晶粒子についてTEM観察を行ったところ、電子線透過回折の結果から、これら粒子は正方晶のチタン酸バリウム単結晶から構成されることが確認された。
<第4実施例>
水熱合成法により作製されているチタン酸バリウム(堺化学工業(株)製 BT03、平均粒径0.3μm)と表面処理剤(TSL8113:GE東芝シリコーン(株)、2wt%)を混合・分散機に投入して混合、分散することにより、粒子に表面処理を行ない、原料粉体を得た。原料粉体を、供給機を用いて、供給機中にある分散機で分散しながらキャリアガス(酸素ガス、流量4l/min)で加熱炉へ供給した。加熱炉は実施例1と同様であり、その加熱温度を1400℃及び1420℃の2種類に設定した。
1420℃で加熱処理された粒子は、0.1〜3μmの粒度分布を有していた。SEM観察により、0.1〜0.5μmの粒径を有する粒子は単結晶粒子であることが確認された。また、この粒子の球形度は、0.97であった。
一方、1400℃で加熱処理された粒子は、0.1〜0.5μmの粒径を有するものは一部単結晶になっているのが観察されたが、ほとんどが多結晶凝集体であった。
<第5実施例>
水熱合成法により作製されているチタン酸バリウム(堺化学工業(株)製 BT01、平均粒径0.1μm)を出発原料とし、以下に示す方法により、平均粒径0.7μmの顆粒を作製した。
上記チタン酸バリウムからなる粉体に対して、分散剤(A−30SL:東亞合成(株))を粉体全重量に対して10.0wt%、結合剤としてのポリビニルアルコールを粉体全重量に対して0.5wt%添加するとともに、粉体の濃度が50.0wt%になるように水を加えた後に、ボールミル(ジルコニアボール使用)で12時間撹拌して水分散スラリを作製した。
以上により得たスラリを原料として、スプレー・ドライヤ(藤崎電機(株):MDL−050)を用いて顆粒を作製した。具体的には、送液ポンプによりスラリをスプレー・ドライヤ中に導入する。このスラリは、下記4流体ノズルから下記ガス流量にてスプレー・ドライヤ内部に噴霧する。スプレー・ドライヤ内部は200℃に保持されており、乾燥された顆粒を得ることができる。
噴霧ノズル:4流体ノズル(藤崎電機(株):SF4003)
ガス(空気)流量:80l/min
送液ポンプ速度:50ml/min
スプレー・ドライヤ内部温度:200℃
以上により得られた顆粒を原料粉体とし、供給機を用いて、供給機中にある分散機で分散しながらキャリアガス(酸素ガス、流量4l/min)で加熱炉へ供給した。加熱炉は実施例1と同様であり、その加熱温度を1400℃、1500℃の2種類とした。
1400℃で加熱処理された粒子は、SEM観察により、大部分が単結晶化されることなく多結晶凝集体をなしていることが確認された。1500℃で加熱処理された粒子は、0.5〜3μmの粒度分布を有していた。0.5〜1.2μmの粒径を有する球状の粒子は、上記と同様のSEM観察により、単結晶粒子であることが確認された。
<第6実施例>
出発原料として、市販されている高純度酸化マグネシウム(宇部マテリアルズ(株)製 MH−V05P、平均粒径0.3μm)と高純度酸化チタン(東邦チタニウム(株)製 HT2301、平均粒径 0.2μm)とを、化学量論的にチタン酸マグネシウムを構成するように、mol比で1対1に秤量した。さらに炭酸マンガン(中央電気工業(株)製 C2−SP、平均粒径0.5μm)を、当該チタン酸マグネシウムに対し0.5mol%になるように秤量し、純水を粉体と同重量入れて固形分が50wt%のスラリを得た。なお、これらの出発原料は、いずれも固相法により作製されたものである。このスラリをボールミルにて12時間混合処理した。スラリを乾燥処理して得た混合粒子を1000℃で5時間仮焼きした後に、再びボールミルを用いて24時間粉砕を行ない平均粒径0.4μmの粒子を作製した(粒度分布が0.2〜1μm)。
以上の粒子と表面処理剤(TSL8113:GE東芝シリコーン(株)、2wt%)を混合・分散機に投入して混合、分散することにより、粒子に表面処理を行い、原料粉体を得た。原料粉体は供給機を用いて、供給機中にある分散機で分散しながらキャリアガス(酸素ガス、流量4l/min)で加熱炉へ供給した。加熱炉は内径が55mmのアルミナ炉芯管を用い、炉内の温度は1600℃、1640℃の2種類とした。
1600℃で加熱処理した粒子をSEMで観察したところ、粒度分布の上限が7μmであった。1μm未満の粒子の中に単結晶粒子が観察された。また、1μm以上の粒子の中には複数のグレインからなる多結晶体が観察された。
また、1640℃で加熱処理した粒子をSEMで観察した。その1例を図11に示しておくが、3μm以下の粒子の中に単結晶粒子が観察された。この単結晶粒子の球形度は0.95であった。なお、この単結晶粒子は、原料粉体として酸化マグネシウム及び酸化チタンを用いていることから、チタン酸マグネシウム(融点 1650℃)から構成されている。
<第7実施例>
アルコキシド法により、粒子径100nm以下からなるチタン酸マグネシウムを作製し、焼成・粉砕工程により平均粒径0.3μm(粒度分布0.1〜1μm)の出発原料を作製した。この出発原料と表面処理剤(TSL8113:GE東芝シリコーン(株)、2wt%)を混合・分散機に投入して混合、分散することにより、粒子に表面処理を行い、原料粉体を得た。原料粉体は供給機を用いて、供給機中にある分散機で分散しながらキャリアガス(酸素ガス、流量4l/min)で加熱炉へ供給した。加熱炉は内径が55mmのアルミナ炉芯管を用い、炉内の温度は1600℃、1640℃の2種類とした。
1600℃で加熱処理した粒子をSEMで観察したところ、粒度分布の上限が8μmであった。2μm未満の粒子の中に単結晶粒子が観察された。また、2μm以上の粒子の中には複数のグレインからなる多結晶体が観察された。
1640℃で加熱処理した粒子のSEM像を図12に示す。また、6μm以下の粒子について行ったX線回折チャートを図13に、さらにTEM(透過型電子顕微鏡)像及び電子回折像を図14に示す。以上の結果より、この粒子は正方晶のチタン酸マグネシウムからなる単結晶であることが確認された。また、この単結晶粒子の球形度は0.97であった。
<第8実施例>
出発原料として、市販されている高純度酸化鉄(堺化学工業(株)製 FRO−6、平均粒径0.06μm)、高純度酸化ニッケル(森村商事(株)製、平均粒径2μm)及び高純度酸化亜鉛(本荘ケミカル(株)製、平均粒径0.4μm)、高純度酸化銅(古河機械金属(株)、平均粒径0.8μm)をmol比で50対25対15対10となるように秤量し、純水を加えて固形分が50wt%のスラリを得た。このスラリをボールミルにて12時間混合処理した。スラリを乾燥処理して得た混合粒子を800℃で4時間仮焼きした後に、再びボールミルを用いて24時間粉砕を行ない平均粒径0.5μmの粒子(粒度分布が0.2〜1.5μm)を作製した。
以上の粒子を表面処理剤(TSL8113:GE東芝シリコーン(株)、2wt%)を混合・分散機に投入して混合、分散することにより、粒子に表面処理を行い、原料粉体を得た。原料粉体は供給機を用いて、供給機中にある分散機で分散しながらキャリアガス(酸素ガス、流量4l/min)で加熱炉へ供給した。加熱炉は内径が55mmのアルミナ炉芯管を用い、炉内の温度は1350℃、1550℃の2種類とした。
1350℃で加熱処理した粒子をSEMで観察したところ、殆ど未溶融状態のままだった。1550℃で加熱処理した粒子のSEM像を図15に示すが、ファセットが見える球状粒子が観察された。また、5μm以下の粒子について行ったX線回折チャートを図16に示す。以上の結果より、この粒子はNi−Cu−Znフェライトからなる単結晶粒子であることが確認された。また、この単結晶粒子の球形度は0.94であった。なお、Ni−Cu−Znフェライトの融点は約1600℃である。
本実施の形態における単結晶セラミックス粒子の製造工程概略を示す図である。 本発明により得られた単結晶セラミックス粒子が適用される高周波モジュールを示す透視斜視図である。 本発明により得られた単結晶セラミックス粒子が適用されるチップコイルを示す透視斜視図である。 第1実施例において、1000℃で仮焼きした後の粉砕粉及び1200℃で仮焼きした粉砕粉のTG−DTAの解析結果を示すグラフである。 第1実施例において、1500℃で加熱処理して得られた粒子のSEM像を示す写真である。 第1実施例において、1600℃で加熱処理して得られた粒子のSEM像を示す写真である。 第1実施例において、1500℃及び1600℃で加熱処理して得られた粒子のX線回折結果を示すチャートである。 第1実施例において、1500℃で加熱処理して得られた粒子のTEM像及び電子回折像を示す写真である。 第1実施例において、1600℃で加熱処理して得られた粒子のTEM像及び電子回折像を示す写真である。 第2実施例において、1500℃で加熱処理して得られた粒子のX線回折結果を示すチャートである。 第6実施例において、1640℃で加熱処理して得られた粒子のSEM像を示す写真である。 第7実施例において、1640℃で加熱処理して得られた粒子のSEM像を示す写真である。 第7実施例において、1640℃で加熱処理して得られた粒子のX線回折結果を示すチャートである。 第7実施例において、1640℃で加熱処理して得られた粒子のTEM像及び電子回折像を示す写真である。 第8実施例において、1550℃で加熱処理して得られた粒子のSEM像を示す写真である。 第8実施例において、1550℃で加熱処理して得られた粒子のX線回折結果を示すチャートである。
符号の説明
1…グランド電極、2…スルーホール導体、3…コンデンサ形成電極、5…複合誘電体層、6…ダイオード、7…トランジスタ、8…チップ抵抗、11…外部端子電極、12…スルーホール導体、13…コイル形成導体、14…複合磁性体層

Claims (5)

  1. 原料粉体をキャリアガスとともに加熱処理領域に供給し、
    前記加熱処理領域に供給された前記原料粉体に最終的に作製したいセラミックスの融点未満であってかつ当該融点−200℃以上の温度の加熱処理を施し、
    前記加熱処理で得られた生成物を冷却することを特徴とする単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  2. 前記原料粉体を浮遊させながら前記加熱処理を施し、かつ前記生成物を冷却することを特徴とする請求項1記載の単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  3. 前記原料粉体は、顆粒又は単独で存在する粒子からなることを特徴とする請求項1又は2記載の単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  4. 浮遊状態で、前記顆粒を構成する一次粒子同士が前記加熱処理により固相拡散することを特徴とする請求項3に記載の単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  5. 前記単独で存在する粒子同士が浮遊状態で接触し、かつ接触した状態で前記単独の粒子同士が前記加熱処理により固相拡散することを特徴とする請求項3に記載の単結晶セラミックス粒子の製造方法。
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