JP2011073927A - セラミック粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】BaとTiとを含む配合原料を熱処理して合成される、ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミック粉末であって、仮焼・合成度が高く、特性の良好なセラミック粉末を確実に提供することが可能なセラミック粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】仮焼・合成したセラミック粉末に含まれる炭素量を測定し、該炭素量の値からセラミック粉末の合成度を評価する。
セラミック粉末を強熱し、発生するCO2に由来する炭素量を求め、その値を炭素量の値としてセラミック粉末の合成度を評価する。
また、仮焼・合成したセラミック粉末をpH3以下の酸性水溶液に浸漬することにより発生するCO2に由来する炭素量を測定し、該炭素量の値からセラミック粉末の合成度を評価する。
セラミック粉末をpH3以下の酸性水溶液に浸漬し、BaCO3が分解することにより発生するCO2に由来する炭素量を測定し、該炭素量の値からセラミック粉末の合成度を評価する。
【選択図】図3

Description

本発明はセラミック粉末の製造方法に関し、詳しくは、BaとTiとを含む原料粉末を焼成することによりペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックを合成する工程を経て製造されるセラミック粉末の製造方法に関する。
従来から、セラミックコンデンサなどに用いられる誘電体材料としては、主成分としてチタン酸バリウム(BaTiO3)が広く用いられている。このチタン酸バリウムは、通常、炭酸バリウム(BaCO3)粉末と酸化チタン(TiO2)粉末を混合し、1000〜1300℃の高温で熱処理(仮焼)して合成する工程を経て製造される。
また、このチタン酸バリウムを誘電体として用いたセラミックコンデンサの性能(特性)を安定させるためには、チタン酸バリウムの仮焼・合成度を安定させることが必要であり、そのためにはチタン酸バリウムの仮焼・合成度を正確に評価することが必要になる。
ところで、セラミックコンデンサなどに用いられるペロブスカイト型の結晶構造を有する誘電体セラミックとして、チタンを含有し、X線回折によるc軸の格子定数とa軸の格子定数の比c/aが1.009以上であるチタン酸バリウム粉末、さらには、周期律表第2a族元素を含むチタン酸バリウムが提案されている(特許文献1参照)。
このチタン酸バリウムは、特許文献1の段落0024に記載されているように、「……c軸の格子定数とa軸の格子定数の比c/aは、正方晶性の指標となっており、cとaとが同一である立方晶が少なくなり、cがaより大きい正方晶が大きくなると、c/aが大きくなって正方晶性の高い粉末となる。従って、粉末のc/aを1.009以上にすることによって、この粉末を用いて作製した焼結体の正方晶の割合を高くでき、その結果、高い誘電率を得ることができる。」とされている。
すなわち、特許文献1に開示されているように、c軸の格子定数とa軸の格子定数の比(軸比)c/aを評価することにより、チタン酸バリウムの正方晶化の度合いを評価することが可能になることから、軸比c/aは、仮焼・合成度を評価するには有効な指標となる。
しかしながら、軸比c/aは、例えばBaCO3粉末やTiO2粉末に含まれる不純物などの量によっても影響を受けるため、条件によって仮焼・合成度の評価の信頼性が低下するという問題点がある。
そのため、このような変動要因の影響を受けないチタン酸バリウムの仮焼・合成度を評価する方法の確立が必要とされているのが実情である。
また、チタン酸バリウム粉末の製造方法として、焼成によりBaTiO3粉末を生成する金属化合物混合物を、700〜1000℃で仮焼成し、得られた中間焼成物中のBaCO3の量が全Baのうちの3〜8モル%となるように調整した後、900〜1050℃で該中間焼成物を本焼成するようにしたBaTiO3粉末の製造方法が提案されている(特許文献2)。
そして、この方法によれば、本焼成後に実質的にチタン酸バリウムのみからなる粉末を得ることができるとされている。
しかしながら、特許文献2の発明は、中間焼成物中のBaCO3の全Baに対する割合を調べて、微粒でかつ高い正方晶性を有する正方晶性を有するチタン酸バリウムを得ようとするものであって、最終的なチタン酸バリウムの仮焼・合成度を評価するものではなく、本焼成工程の条件などによっては、最終的に得られるチタン酸バリウム粉末の特性がばらつく場合があり、信頼性が低いという問題点がある。
特開2002−167281号公報 特開2005−314153号公報
本発明は、上記課題を解決するものであり、少なくともBaとTiとを含み、ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミック粉末の仮焼・合成度を、不純物などの変動要因の影響を受けずに、効率よく評価することが可能で、合成度が高く、特性の良好なセラミック粉末を確実に提供することが可能なセラミック粉末の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のセラミック粉末の製造方法は、
少なくともBaとTiとを含む配合原料を仮焼することにより合成される、ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミック粉末の製造方法であって、
仮焼・合成したセラミック粉末に含まれる炭素量を測定し、該炭素量の値から前記セラミック粉末の合成度を評価する工程を備えていること
を特徴としている。
また、前記炭素量の値から前記セラミック粉末の合成度を評価するにあたって、前記セラミック粉末を強熱し、発生するCO2に由来する炭素量を求め、その値を前記炭素量の値として前記セラミック粉末の合成度を評価することを特徴としている。
また、本発明のセラミック粉末の製造方法は、
少なくともBaとTiとを含む配合原料を仮焼することにより合成される、ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミック粉末の製造方法であって、
仮焼・合成したセラミック粉末をpH3以下の酸性水溶液に浸漬することにより発生するCO2に由来する炭素量を測定し、該炭素量の値から前記セラミック粉末の合成度を評価する工程を備えていること
を特徴としている。
また、前記炭素量の値から前記セラミック粉末の合成度を評価するにあたって、前記セラミック粉末をpH3以下の酸性水溶液に浸漬し、前記セラミック粉末に含まれるBaCO3が分解することにより発生するCO2に由来する炭素量を測定し、該炭素量の値から前記セラミック粉末の合成度を評価することを特徴としている。
また、本発明は、前記セラミック粉末がBaTiO3を主たる成分とするものである場合に特に有意義である。
本発明のセラミック粉末の製造方法は、BaとTiとを含む配合原料を熱処理することにより合成されたセラミック粉末に含まれる炭素量を測定し、該炭素量の値からセラミック粉末の合成度を評価する工程を備えており、セラミック粉末の合成度を不純物などの変動要因の影響を受けにくく、効率よく評価することができる。したがって、合成度の低いセラミック粉末を除外して、合成度の高い特性の良好なセラミック粉末を確実に提供することが可能になる。
BaとTiとを含む配合原料を熱処理することにより合成される、ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックの代表的なものに、チタン酸バリウム(BaTiO3)があり、このBaTiO3を合成する際に副成分としてBa2TiO4が生成する場合がある。
そして、このBa2TiO4は、大気雰囲気中のCO2を吸収して、下記の式(1)に示すように、BaTiO3とBaCO3を生成する。
Ba2TiO4 + CO2 ⇒ BaTiO3 + BaCO3 (1)
したがって、このBaCO3に由来する炭素量を測定することにより、BaTiO3の合成度を評価することが可能になる。
なお、上述のように、BaとTiとを含む配合原料を熱処理することにより合成されるセラミック粉末は、通常、このBaCO3に由来する炭素以外の炭素を含む場合が少ないことから、セラミック粉末中の炭素量を測定することにより、その合成度を効率よく評価することができる。
Ba2TiO4がCO2を吸収してBaTiO3とBaCO3を生成している過程においては、BaCO3の含有率が変化しつつあることから、その過程でBaCO3に由来する炭素量を測定しても正確な合成度を求めることはできないので、正確な合成度を求めるためには、原則的には、Ba2TiO4のほぼ全量が、CO2と反応してBaTiO3とBaCO3になってから炭素量を測定することが必要である。
ただし、Ba2TiO4がCO2を吸収してBaTiO3とBaCO3を生成する反応は時間との関係においてある一定の関係で進行するため、例えば、大気中における保管時間による補正を加えることを前提として、仮焼・合成後に、所定時間を経過した時点で炭素量を測定して、合成度を評価するように構成することも可能である。
また、本発明においては、CO2に由来する炭素量を測定するようにしているが、場合によっては発生するCO2そのものを測定し、その値により合成度を評価するように構成することも可能である。
また、セラミック粉末を強熱し、発生するCO2に由来する炭素量を求めることにより、BaとTiとを含む配合原料を熱処理することにより合成される、ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミック粉末に含まれる炭素量を確実にしかも効率よく求めることが可能になり、その値に基づいてセラミック粉末の合成度を評価することにより、不純物などの変動要因の影響を受けずに、効率よくセラミック粉末の仮焼・合成度を評価することが可能になる。
また、本発明のセラミック粉末の製造方法は、セラミック粉末をpH3以下の酸性水溶液に浸漬することにより発生するCO2に由来する炭素量を測定し、該炭素量の値から前記セラミック粉末の合成度を評価するようにしているので、BaCO3などの炭酸塩に由来する炭素量を選択的に求めることが可能になり、それに基づいて、セラミック粉末の合成度を評価することにより、不純物などの変動要因の影響を受けずに、確実にしかも効率よくセラミック粉末の仮焼・合成度を評価することができる。
また、セラミック粉末に含まれるBaCO3の分解により発生するCO2に由来する炭素量を測定することにより、さらに確実に、変動要因の影響を受けずにセラミック粉末の仮焼・合成度を評価することができる。
また、本発明によれば、セラミック粉末がBaTiO3を主たる成分とするものである場合により確実に仮焼・合成度を評価して、特性の良好なセラミック粉末を効率よく得ることができる。
仮焼・合成直後および大気中で保管した後のチタン酸バリウム粉末の、Ba2TiO4に着目したX線回折チャートを示す図である。 仮焼・合成直後および大気中で保管した後のチタン酸バリウム粉末の、BaCO3に着目したX線回折チャートを示す図である。 実施例において、[炭素量の測定1]の方法で測定した、各試料の全炭素量W1と比誘電率εrの関係を示す図である。 実施例において、[炭素量の測定2]の方法で測定した、各試料の無機炭酸塩由来の炭素量W2と比誘電率εrの関係を示す図である。 比較例において調べた、チタン酸バリウム粉末の軸比c/aと、焼結体試料の比誘電率εrの関係を示す図である。 比較例において調べた、チタン酸バリウム粉末の222面の回折ピークの面積分幅と、焼結体試料の比誘電率εrの関係を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
[炭素量を測定することによる合成度の評価について]
出発原料として、炭酸バリウム(BaCO3)粉末と酸化チタン(TiO2)粉末を準備し、BaとTiのモル比(Ba/Ti)が1.00をいくらか超えるように、BaCO3粉末とTiO2粉末を秤量する。それから、BaCO3粉末とTiO2粉末の合計が、スラリー全体に対し、30重量%になるように純水を加え、さらに、分散剤を適量加えて、媒体型攪拌ミルに投入し、混合・粉砕してスラリーを作製する。
次いで、得られたスラリーを脱水乾燥した後、所定温度に加熱した回転式の管状炉に投入し、仮焼・合成を行うことにより、チタン酸バリウム粉末を作製する。
そして、仮焼・合成直後のチタン酸バリウム粉末、および、大気中で90日間保管した粉末について、X線回折を行う。
図1に、仮焼・合成直後および大気中で90日保管した後のチタン酸バリウム粉末の、Ba2TiO4に着目したX線回折による解析結果を示し、図2に、仮焼・合成直後および大気中で90日保管した後のチタン酸バリウム粉末の、BaCO3に着目したX線回折による解析結果を示す。
仮焼・合成直後のチタン酸バリウム粉末の場合、BaTiO3結晶相による回折ピーク以外に、28.58°、29.29°付近に回折ピークが見られ、Ba2TiO4が生成していることがわかる。
これに対し、大気中で90日間保管した後のチタン酸バリウム粉末については、Ba2TiO4の回折ピークが消滅し、代わってBaCO3の回折ピークが表れることがわかる。これは、仮焼・合成段階でBa2TiO4が生成し、このBa2TiO4が大気中のCO2を吸収し、式(1)の反応により、BaCO3が生成したことによるものである。
Ba2TiO4 + CO2 ⇒ BaTiO3 + BaCO3 (1)
すなわち、チタン酸バリウムを仮焼・合成したとき、その合成度によって生成するBa2TiO4の量が異なり、Ba2TiO4が大気中のCO2を吸収して生成するBaCO3の量が異なる。
したがって、Ba2TiO4が変成して生成するBaCO3を定量することにより、チタン酸バリウムの合成度を評価(検査)することができる。つまり、合成度が高く、仮焼・合成段階で主としてBaTiO3のみが生成する場合には、Ba2TiO4の生成量が少ないため、Ba2TiO4がCO2を吸収して、BaTiO3とBaCO3となり安定状態となった段階でBaCO3を定量した場合にも、BaCO3の定量値は低い値となる。
なお、仮焼・合成したチタン酸バリウム粉末を大気中に保管した場合、チタン酸バリウム粉末に含まれるBa2TiO4が大気中のCO2を吸収して、実質的にその全量がBaTiO3とBaCO3となるまでには約90日の保管が必要であることが発明者等の予備的な試験により確認されている。ただし、CO2雰囲気中に保管する方法、CO2雰囲気中で例えば700℃に加熱する方法、高温のCO2雰囲気中を通過させる方法、炭酸塩水溶液中に浸漬する方法などにより、Ba2TiO4のほぼ全量がBaTiO3とBaCO3となるまでの期間を短縮する(反応を加速する)ことも可能である。
そして、チタン酸バリウム粉末中のBaCO3を測定するにあたっては、BaCO3に由来する炭素を測定することにより、効率よくBaCO3の生成量を知ることが可能になり、仮焼・合成直後の合成度を測定することが可能になる。
なお、BaCO3を定量する方法としては、以下の実施例で説明するように、チタン酸バリウム粉末を強熱してCO2を発生させ、このCO2中の炭素を定量することによりBaCO3の量を求める方法、あるいは、チタン酸バリウム粉末に酸(例えば塩酸)を作用させてBaCO3を下記の式(2)の反応により分解させてCO2を放出させ、発生したCO2に由来する炭素を定量することによりBaCO3の量を求める方法を適用することが望ましい。なお、求めたBaCO3の量の量から、仮焼・合成直後に生成したBa2TiO4の量を算出することが可能で、その量から仮焼・合成度を効率よく評価することができる。
BaCO3 + 2HCl ⇒ BaCl2 + H2O + CO2 (2)
この実施例では、出発原料として、炭酸バリウム(BaCO3)粉末と酸化チタン(TiO2)粉末を用いた。そして、BaとTiのモル比(Ba/Ti)が1.005になるように、BaCO3粉末とTiO2粉末を秤量した。
それから、BaCO3粉末とTiO2粉末の合計が、スラリー全体に対し、30重量%になるように純水を加え、さらに、分散剤を適量加えて攪拌・混合した後、さらに媒体型攪拌ミルに投入し、混合・粉砕してスラリーを作製した。
次に、作製したスラリーを脱水・乾燥した後、所定の温度範囲内に制御した回転式の管状炉に投入し、熱処理(仮焼)することにより、チタン酸バリウムの合成を行った。
なお、チタン酸バリウムを合成するにあたっては、回転式の管状炉の温度を、1200〜1300℃の範囲で変化させて合成度の異なるチタン酸バリウム粉末(表1の試料番号1〜14の試料)を作製した。
それから、得られた各チタン酸バリウム粉末を大気中に90日間放置し、チタン酸バリウム粉末に含まれているBa2TiO4を大気中のCO2と反応させて、実質的にそのすべてがBaCO3とBaTiO3になるようにした。
そして、大気中に90日間放置した後の、試料番号1〜14の各チタン酸バリウム粉末について、以下に説明する[炭素量の測定1]および[炭素量の測定2]の方法で、各チタン酸バリウム粉末に含まれる炭素量を測定した。
なお、この実施例では、仮焼・合成したチタン酸バリウム粉末を大気中に90日間放置した後、炭素量を測定するようにしたが、CO2雰囲気中に保管する方法、CO2雰囲気中で例えば700℃に加熱する方法、高温のCO2雰囲気中を通過させる方法、炭酸塩水溶液中に浸漬する方法などにより、Ba2TiO4のほぼ全量がBaTiO3とBaCO3となるのに要する時間を短縮することができる。
[炭素量の測定1]
試料番号1〜14のチタン酸バリウム粉末から、それぞれ所定量を分取し、株式会社島津製作所製TOC−V(SSM−5000Aオプション付)装置の、900℃加熱炉に投入して、発生したCO2に由来する炭素量(全炭素量)W1(ppm)を測定した。
なお、試料番号1〜14のすべてのチタン酸バリウム粉末について炭素量(全炭素量)W1を測定するのに要した実質時間T1は70分であり、各試料当たりの、全炭素量W1の測定に要した実質時間T10は5分であった。
[炭素量の測定2]
上述の炭素量の測定1の場合と同様に、表1の試料番号1〜14のチタン酸バリウム粉末から、それぞれ所定量を分取し、株式会社島津製作所製TOC−V(SSM−5000Aオプション付)装置に投入し、酸性水溶液を加えpH3以下のスラリーを作製した。作製した直後のスラリーを200℃加熱炉に投入し、発生したCO2に由来する炭素量(無機炭酸塩由来の炭素量)W2(ppm)を測定した。
なお、この[炭素量の測定2]の方法で、試料番号1〜14のすべてのチタン酸バリウム粉末について炭素量(無機炭酸塩由来の炭素量)W2を測定するのに要した実質時間T2は70分であり、各試料当たりの、無機炭酸塩由来の炭素量W2の測定に要した実質時間T20は5分であった。
次に、試料番号1〜14の各チタン酸バリウム粉末と、CaZrO3粉末を用いて、組成比が、(Ba0.88Ca0.12)(Ti0.88Zr0.12)O3になるように秤量した。さらに目的とする電気特性を得るために、MgTiO3粉末、Y23粉末、SiO2粉末、Al23粉末を所定量秤量した。
そして、これら原料粉末を純水中に投入し、さらに分散剤とバインダーを添加した後、ボールミル混合して、スラリーを得た。得られたスラリーを乾燥・造粒した後、一軸プレス機により円板状の成形体を作製し、所定の温度で焼成することにより、試料番号1〜14の各チタン酸バリウム粉末に対応する各焼結体試料を得た。
それから、得られた焼結体試料の表面に蒸着により銀電極を形成し、静電容量を測定して比誘電率を算出した。
表1に、上記の[炭素量の測定1]および[炭素量の測定2]の方法で測定した全炭素量W1および無機炭酸塩由来の炭素量W2、測定に要した時間T1およびT2、焼結体試料の比誘電率εrを示す。
Figure 2011073927
また、上述の[炭素量の測定1]の方法で測定した、各試料の全炭素量W1と焼結体試料の比誘電率εrの関係を図3に示す。
また、上述の[炭素量の測定2]の方法で測定した、各試料の無機炭酸塩由来の炭素量W2と焼結体試料の比誘電率εrの関係を図4に示す。
表1および図3より、各試料の全炭素量W1と焼結体試料の比誘電率εrとの間に良好な1次の相関があることがわかる。
なお、各試料の全炭素量W1と焼結体試料の比誘電率εrとの関係についての、残差の二乗和R2の値は0.7699であった。
このことから、上述のように、900℃に加熱して発生するCO2に由来する炭素量を測定することにより、チタン酸バリウム粉末の仮焼・合成度を精度よく評価できることがわかる。
表1および図4より、各試料の無機炭酸塩由来の炭素量W2と焼結体試料の比誘電率εrとの間に良好な1次の相関があることが確認された。
なお、各試料の無機炭酸塩由来の炭素量W2と焼結体試料の比誘電率εrとの関係についての、残差の二乗和R2の値は0.8313であった。
このことから、上述のように、酸性水溶液を加えてpH3以下にしたスラリーを200℃加熱炉に投入し、発生したCO2に由来する炭素量(無機炭酸塩由来の炭素量)を測定するようにした場合にも、チタン酸バリウム粉末の仮焼・合成度を精度よく評価できることがわかる。
なお、[炭素量の測定1]の方法で測定した全炭素量W1には、Ba2TiO4が大気中のCO2と反応して、生成したBaCO3に由来する炭素以外の炭素(例えば、有機物質に由来する炭素など)を含みうるが、[炭素量の測定2]の方法で測定した無機炭酸塩由来の炭素量W2は、CO2に由来する無機炭素以外の炭素を含まないことから、無機炭酸塩由来の炭素量W2に基づいて合成度を評価することにより、[炭素量の測定1]の方法で測定した全炭素量W1から合成度を評価する場合よりも、さらに精度よく合成度を評価することができる。
[比較例]
上記実施例1で仮焼・合成した、表1の試料番号1〜14のチタン酸バリウム粉末から、それぞれ所定量を分取し、X線回折により、c軸の格子定数とa軸の格子定数の比(軸比)c/a、および222面の回折ピークの面積分幅を測定してチタン酸バリウムの合成度を評価した。
軸比c/aと、上記実施例1で作製した焼結体試料の比誘電率εrの関係を図5に示す。
また、222面の回折ピークの面積分幅と、上記実施例1で作製した焼結体試料の比誘電率εrの関係を図6に示す。
図5に示すように、各試料の軸比c/aと、焼結体試料の比誘電率εrの間には、良好な1次の相関は得られなかった。
また、残差の二乗和R2も0.0807と低い値にとどまった。
また、図6に示すように、各試料の222面の回折ピークの面積分幅と、焼結体試料の比誘電率εrの間にも、良好な1次の相関は得られなかった。
また、残差の二乗和R2も0.0556と低い値にとどまった。
この比較例の方法と、上記実施例の方法、すなわち、全炭素量W1あるいは無機炭酸塩由来の炭素量W2を測定する方法とを比較すると、軸比c/aや、222面の回折ピークの面積分幅から合成度を評価する場合に比べて、上記実施例の方法の方が、精度よく合成度を評価できることが確認された。
したがって、本発明のようにして、仮焼・合成したセラミック粉末の合成度を調べ、合成度の低いセラミック粉末を除外することにより、合成度の高い特性の良好なセラミック粉末を確実に提供することができる。
なお、本発明の方法により製造されるセラミック粉末は、積層セラミックコンデンサ用の誘電体材料として特に有効に用いることが可能である。ただし、その用途は積層セラミックコンデンサに限らず、誘電体材料が用いられるLC複合部品などの種々の用途に広く用いることが可能である。
本発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、仮焼・合成度の評価の対象となるセラミック粉末の大気中における保管時間、Ba2TiO4をCO2と反応させてBaTiO3とBaCO3にするための加速手段を適用するか否か、セラミック粉末を強熱することにより発生するCO2に由来する炭素量を求める方法、仮焼・合成したセラミック粉末をpH3以下の酸性水溶液に浸漬することにより発生するCO2に由来する炭素量を求める方法などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。

Claims (5)

  1. 少なくともBaとTiとを含む配合原料を仮焼することにより合成される、ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミック粉末の製造方法であって、
    仮焼・合成したセラミック粉末に含まれる炭素量を測定し、該炭素量の値から前記セラミック粉末の合成度を評価する工程を備えていること
    を特徴とするセラミック粉末の製造方法。
  2. 前記炭素量の値から前記セラミック粉末の合成度を評価するにあたって、前記セラミック粉末を強熱し、発生するCO2に由来する炭素量を求め、その値を前記炭素量の値として前記セラミック粉末の合成度を評価することを特徴とする請求項1記載のセラミック粉末の製造方法。
  3. 少なくともBaとTiとを含む配合原料を仮焼することにより合成される、ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミック粉末の製造方法であって、
    仮焼・合成したセラミック粉末をpH3以下の酸性水溶液に浸漬することにより発生するCO2に由来する炭素量を測定し、該炭素量の値から前記セラミック粉末の合成度を評価する工程を備えていること
    を特徴とするセラミック粉末の製造方法。
  4. 前記炭素量の値から前記セラミック粉末の合成度を評価するにあたって、前記セラミック粉末をpH3以下の酸性水溶液に浸漬し、前記セラミック粉末に含まれるBaCO3が分解することにより発生するCO2に由来する炭素量を測定し、該炭素量の値から前記セラミック粉末の合成度を評価することを特徴とする請求項3記載のセラミック粉末の製造方法。
  5. 前記セラミック粉末がBaTiO3を主たる成分とするものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック粉末の製造方法。
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