JP2009078960A - 複合酸化物粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一般式ABO3で表される、例えばBaTiO3などの複合酸化物粉末、特に、セラミック電子部品の製造原料としても用いることが可能な微細で高結晶性の複合酸化物を、製造コストの大幅な増大を招くことなく製造できるようにする。
【解決手段】一般式A2BO4(AはBa、Srの1種、BはTiを含む4価金属元素)で表される物質に炭酸ガスを吸収させ、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末と、炭酸化合物とを生成させた後、炭酸化合物を除去して、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末を得る。
炭酸化合物を酸性溶液と接触させて溶解し、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末と分離する。
炭酸ガスを吸収させる際の温度条件を700〜900℃とする。
一般式A2BO4で表される物質としてオルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)を用い、複合酸化物粉末としてBaTiO3粉末を製造する。
【選択図】図1
【解決手段】一般式A2BO4(AはBa、Srの1種、BはTiを含む4価金属元素)で表される物質に炭酸ガスを吸収させ、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末と、炭酸化合物とを生成させた後、炭酸化合物を除去して、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末を得る。
炭酸化合物を酸性溶液と接触させて溶解し、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末と分離する。
炭酸ガスを吸収させる際の温度条件を700〜900℃とする。
一般式A2BO4で表される物質としてオルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)を用い、複合酸化物粉末としてBaTiO3粉末を製造する。
【選択図】図1
Description
本発明は、複合酸化物粉末の製造方法に関し、詳しくは、セラミック電子部品の製造用のセラミック原料などとして用いるのに適した、一般式ABO3(AはBa、Srの少なくとも1種であり、Bは少なくともTiを含む4価金属元素)で表される複合酸化物粉末を製造する方法に関する。
例えば、ペロブスカイト系複合酸化物粉末の一つであるBaTiO3を製造する方法としては、従来より、BaCO3とTiO2の混合スラリーを、ボールミルやサンドミルなどの粉砕手段により機械的に粉砕し、微粒化、均一化した後、乾燥・仮焼することにより、BaTiO3粉末を得る方法が知られている。
そして、この方法によれば、比較的簡単な方法で、安価にBaTiO3の微細粉末を得ることができる。
そして、この方法によれば、比較的簡単な方法で、安価にBaTiO3の微細粉末を得ることができる。
しかしながら、この方法の場合、ボールミルなどの粉砕手段により原料を粉砕する際に用いられるジルコニアボールなどの粉砕媒体の構成成分が、製品であるBaTiO3中に不純物として混入するおそれがあり、高純度のBaTiO3粉末を得ることが困難であるという問題点がある。また、この方法の場合、比較的大きな粒径を有するBaCO3やTiO2を磨砕して微粒化するものであることから、微粒化にも限界があるのが実情であり、十分に微粒化しようとすると磨砕などの処理にコストがかかるという問題点がある。
また、上述の方法の他にも、チタン源として、比表面積が大きく、活性で多くのOH基を含有する含水酸化チタン([Ti(OH)6]2-)を、予めTiCl4やチタンアルコキシドの加水分解を介して調製し、この該含水酸化チタンを水酸化バリウム(Ba(OH)2)と共にオートクレーブ中で加熱し、高温高圧下で、Ba2+のTiO2中への拡散を促進してBaTiO3を合成する、いわゆる「水熱合成法」が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、この方法の場合、大規模な装置が必要となり、また、製造工程もバッチ処理となるため作業性や生産効率が悪く、コストの増大を招くという問題点がある。
さらに、水酸化バリウム(Ba(OH)2)水溶液と、チタン源としてのチタンアルコキシドのアルコール溶液とを、Ba/Tiモル比が1.00〜1.20となるよう調合して、他のアルカリ元素を混入させることなく混合溶液を得た後、この混合溶液を60〜100℃で反応させることによりBaTiO3を製造する方法(アルコキシド水酸化物法)が知られている(特許文献2参照)。
なお、この方法の場合、チタンアルコキシドをBa(OH)2溶液中で加水分解させた場合、反応開始時にアルコキシド溶液が直ちに白濁することから、Ba(OH)2溶液中で、まずTiO2(または〔Ti(OH)6〕2-)を生成させ、その後Ba2+との反応によりBaTiO3を生成させるようにしている。
なお、この方法の場合、チタンアルコキシドをBa(OH)2溶液中で加水分解させた場合、反応開始時にアルコキシド溶液が直ちに白濁することから、Ba(OH)2溶液中で、まずTiO2(または〔Ti(OH)6〕2-)を生成させ、その後Ba2+との反応によりBaTiO3を生成させるようにしている。
しかしながら、この方法の場合、出発原料であるチタンアルコキシドが高価であるという問題点がある。
また、アルコキシドの加水分解に伴って生成するアルコールは、取り扱うにあたって防爆設備が必要となる危険物であるため、設備コストの増大を招くという問題点がある。
また、アルコキシドの加水分解に伴って生成するアルコールは、取り扱うにあたって防爆設備が必要となる危険物であるため、設備コストの増大を招くという問題点がある。
また、本願の出願人は、チタン酸バリウム(BaTiO3)を、炭酸バリウム(BaCO3)の存在下に焼成することにより生成する、一般式A2BO4で表される物質であるBa2TiO4を用いて炭酸ガスを吸収する方法を提案している(特許文献3参照)。
そして、この引用文献3には、Ba2TiO4が炭酸ガスを吸収すると、下記の反応式で示される反応により、BaTiO3とBaCO3が生成することが開示されている。
Ba2TiO4+CO2 → BaTiO3+BaCO3
そして、この引用文献3には、Ba2TiO4が炭酸ガスを吸収すると、下記の反応式で示される反応により、BaTiO3とBaCO3が生成することが開示されている。
Ba2TiO4+CO2 → BaTiO3+BaCO3
上述のように、この特許文献3には、Ba2TiO4に炭酸ガスを吸収させると、BaTiO3とBaCO3が生成することが開示されているが、特に、生成したBaTiO3を有効利用する方法を示すものではなく、特許文献3では、炭酸ガスを放出させることにより、Ba2TiO4に戻して、再び炭酸ガスの吸収に用いるようにしている。
特開2003−252623号公報
特開2002−060219号公報
国際公開第2006/013695号パンフレット
本発明は、上述のような状況下において、一般式ABO3で表される、例えばBaTiO3などの複合酸化物粉末、特に、セラミック電子部品の製造原料としても用いることが可能な、微細で高結晶性の複合酸化物を、製造コストの大幅な増大を招くことなく製造することが可能な複合酸化物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の複合酸化物粉末の製造方法は、
一般式A2BO4(AはBa、Srの少なくとも1種であり、Bは少なくともTiを含む4価金属元素)で表される物質に炭酸ガスを吸収させることにより、反応生成物として、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末と、炭酸化合物とを生成させる工程と
前記反応生成物から前記炭酸化合物を除去して、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末を得る工程と
を具備することを特徴としている。
一般式A2BO4(AはBa、Srの少なくとも1種であり、Bは少なくともTiを含む4価金属元素)で表される物質に炭酸ガスを吸収させることにより、反応生成物として、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末と、炭酸化合物とを生成させる工程と
前記反応生成物から前記炭酸化合物を除去して、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末を得る工程と
を具備することを特徴としている。
なお、前記反応生成物から前記炭酸化合物を除去するにあたっては、前記炭酸化合物を酸性溶液と接触させて溶解した後、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末を分離することが望ましい。
また、前記一般式A2BO4で表される物質に炭酸ガスを吸収させる際の温度条件を、700〜900℃とすることが望ましい。
また、本発明は、前記一般式A2BO4で表される物質がオルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)であり、このオルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)に炭酸ガスを吸収させることにより生成する、前記一般式ABO3で表される複合酸化物粉末がBaTiO3粉末であり、前記炭酸化合物がBaCO3であって、
前記反応生成物から前記BaCO3を除去することにより得られる複合酸化物粉末がBaTiO3粉末であることを特徴としている。
前記反応生成物から前記BaCO3を除去することにより得られる複合酸化物粉末がBaTiO3粉末であることを特徴としている。
また、本発明は、前記複合酸化物粉末が、セラミック電子部品の製造原料として用いられるものであることを特徴としている。
また、本発明は、製造される複合酸化物粉末の比表面積球相当径が200nm以下であることを特徴としている。
一般式A2BO4(AはBa、Srの少なくとも1種であり、Bは少なくともTiを含む4価金属元素)で表される物質に炭酸ガスを吸収させることにより下記の反応が生じ、反応生成物として、一般式ABO3で表される微細な複合酸化物粉末と、炭酸化合物とが生成する。
A2BO4+CO2 → ABO3(複合酸化物粉末)+ACO3(炭酸化合物)
そして、反応生成物から炭酸化合物を除去することにより、一般式ABO3で表される微細で高結晶性の複合酸化物粉末が得られる。
A2BO4+CO2 → ABO3(複合酸化物粉末)+ACO3(炭酸化合物)
そして、反応生成物から炭酸化合物を除去することにより、一般式ABO3で表される微細で高結晶性の複合酸化物粉末が得られる。
すなわち、本発明によれば、原料として高価なアルコキシドを用いたり、高度な粉砕工程を経て微粒化した高コストの酸化チタンや炭酸バリウムを使用したりすることを必要とせずに、一般式ABO3で表される、微細で高結晶性の複合酸化物粉末を効率よく、経済的に製造することができる。
なお、「一般式A2BO4で表される物質」とは、AとBのモル比が上記一般式の通りの、化学量論比のモル比(A/B=2.0)となるもの(例えば、Ba2TiO4)に限らず、副成分(例えば、BaCO3やTiO2など)を含んで、全体組成中の全Aと全Bのモル比(A/B)が2から外れるような場合も含む概念である。これは、全Aと全Bのモル比(A/B)が2から外れるような場合においても、A/B=2.0である一般式A2BO4で表される物質が主要な成分として含まれていれば、炭酸ガスを吸収することにより、一般式ABO3で表される微細な複合酸化物粉末を生成させることができることによる。
また、本発明において、反応生成物から炭酸化合物を除去する際に、炭酸化合物を酸性溶液(例えば、塩酸水溶液)と接触させて溶解し、除去することができる。
すなわち、例えば、一般式A2BO4で表される物質に炭酸ガスを吸収させた場合に生じる炭酸化合物が炭酸バリウム(BaCO3)である場合、炭酸バリウムは、下記の反応式のように塩酸(HCl)と反応して水溶性の塩化バリウムとなり、水に溶解する。
BaCO3+2HCl → BaCl2+H2O+CO2
これに対し、一般式ABO3で表される複合酸化物(例えば、BaTiO3)粉末は、塩酸とは反応せず、粉末として存在するため、固液分離を行うことにより、容易に複合酸化物粉末を回収することができる。
すなわち、例えば、一般式A2BO4で表される物質に炭酸ガスを吸収させた場合に生じる炭酸化合物が炭酸バリウム(BaCO3)である場合、炭酸バリウムは、下記の反応式のように塩酸(HCl)と反応して水溶性の塩化バリウムとなり、水に溶解する。
BaCO3+2HCl → BaCl2+H2O+CO2
これに対し、一般式ABO3で表される複合酸化物(例えば、BaTiO3)粉末は、塩酸とは反応せず、粉末として存在するため、固液分離を行うことにより、容易に複合酸化物粉末を回収することができる。
上述のように、本発明において、「炭酸化合物を酸性溶液と接触させて溶解し」とは、炭酸化合物を酸と反応させて分解し、溶解させて除去できるようにすることを意味する概念である。
また、上記の反応で生成した塩化バリウム(BaCl2)は、炭酸ガスのバブリングや、炭酸ナトリウムの添加により、炭酸バリウムとして回収し、再利用することができる。
また、前記一般式A2BO4で表される物質に炭酸ガスを吸収させるにあたっては、700〜900℃の温度条件下で炭酸ガスを吸収させることにより、A2BO4で表される物質と炭酸ガスを効率よく反応させて、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末を生成させることが可能になり、高い収率で一般式ABO3で表される複合酸化物(例えば、BaTiO3粉末)を製造することが可能になる。
また、700〜900℃の温度範囲で反応温度を制御することにより、一般式ABO3で表される複合酸化物(例えば、BaTiO3粉末)の粒径を制御することができる。
また、700〜900℃の温度範囲で反応温度を制御することにより、一般式ABO3で表される複合酸化物(例えば、BaTiO3粉末)の粒径を制御することができる。
また、一般式A2BO4で表される物質として、オルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)を用い、このオルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)に炭酸ガスを吸収させることにより反応生成物として、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末であるBaTiO3粉末と、炭酸化合物であるBaCO3とを生成させることが可能になり、反応生成物からBaCO3を除去することにより効率よく、微細で高結晶性のBaTiO3粉末を効率よく、経済的に製造することが可能になる。
すなわち、従来の製造方法の場合、通常は、BaTiO3粉末を合成した後に熱処理して結晶性を向上させることが行われているが、本発明によれば、オルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)に炭酸ガスを吸収させることにより、緻密で高結晶性のBaTiO3粉末(微粒子)が生成するので、その後に熱処理を行うことを必要とせずに、緻密で高結晶性のBaTiO3粉末(微粒子)を得ることができる。特に、比表面積球相当径100nm以下、さらには平均粒径が80nm以下の領域で、高結晶性のBaTiO3微粒子を得ることができる。
また、本発明の方法により製造される、一般式ABO3で表される微細、緻密で高結晶性の複合酸化物粉末は、セラミック電子部品の製造原料として好適に用いることができる。そして、本発明の方法により製造された一般式ABO3で表される微細、緻密で高結晶性の複合酸化物粉末(例えば、BaTiO3)を用いることにより、小型化、薄型化され、高性能で経済性にも優れたセラミック電子部品(例えば、セラミックコンデンサなど)を製造することが可能になる。
このように、本発明によれば、セラミック電子部品の製造原料として用いることが可能な付加価値の高い複合酸化物粉末を効率よく製造することができる。
また、本発明の方法によれば、比表面積球相当径が200nm以下の、微細な複合酸化物粉末を製造することが可能であり、このような複合酸化物微粒子は、セラミック電子部品の製造原料としてより好適に用いることができる。
なお、比表面積球相当径とは、複合酸化物粉末の実際の形状にかかわらず、同じ比表面積を有する球体の直径をもって、複合酸化物粉末の粒子径としたものである。
なお、比表面積球相当径とは、複合酸化物粉末の実際の形状にかかわらず、同じ比表面積を有する球体の直径をもって、複合酸化物粉末の粒子径としたものである。
以下に本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の実施例にかかる複合酸化物の製造方法の工程を示すフローチャートである。
以下、図1を参照しつつ本発明の実施例について説明する。
以下、図1を参照しつつ本発明の実施例について説明する。
(1)まず、平均粒径1〜2μm程度のBaCO3とTiO2を用意し、BaCO3とTiO2を、モル比(BaCO3:TiO2)が2:1になるように秤量した(図1のステップ1)。
(2)それから、これに、純水、部分安定化ジルコニア(PSZ)からなる玉石、分散剤、および消泡剤を加えて、ポリポットを用いたボールミルで16〜20時間混合・粉砕し、スラリー化した。
次に、このスラリーを120℃で10時間乾燥し、得られた粉末を1000〜1200℃、2時間保持の条件で焼成し、一般式A2BO4で表される物質であるオルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)を得た(図1のステップ2)。
次に、このスラリーを120℃で10時間乾燥し、得られた粉末を1000〜1200℃、2時間保持の条件で焼成し、一般式A2BO4で表される物質であるオルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)を得た(図1のステップ2)。
(3)それから、このオルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)に、CO2とN2を、体積比20:80の割合で混合した混合ガスを、温度700℃、800℃および900℃の各温度条件下で接触させ、Ba2TiO4とCO2とを反応させた。(図1のステップ3)
Ba2TiO4とCO2との反応式は下記に示す通りであり、反応生成物として、BaTiO3とBaCO3が生成する。
Ba2TiO4+CO2 → BaTiO3+BaCO3
なお、Ba2TiO4から、BaTiO3とBaCO3とを生成させた場合の重量変化率(増加率)は理論的には11.4%程度である。これに対し、生産データ的にも近い値が得られており、反応がほぼ100%で進行することが確認されている。
Ba2TiO4とCO2との反応式は下記に示す通りであり、反応生成物として、BaTiO3とBaCO3が生成する。
Ba2TiO4+CO2 → BaTiO3+BaCO3
なお、Ba2TiO4から、BaTiO3とBaCO3とを生成させた場合の重量変化率(増加率)は理論的には11.4%程度である。これに対し、生産データ的にも近い値が得られており、反応がほぼ100%で進行することが確認されている。
(4)次に、反応生成物である、BaTiO3とBaCO3とが混ざり合った混合粉末を1N塩酸水溶液中に投入し、撹拌することにより、BaCO3とを塩酸(HCl)とを反応させ、BaCO3を塩化バリウム(BaCl2)として塩酸水溶液に溶解させた(図1のステップ4)。
BaCO3+2HCl → BaCl2+H2O+CO2
それから、反応せずにそのまま存在する複合酸化物であるBaTiO3粉末をろ過により分離し、水洗した後、乾燥して、BaTiO3粉末を得た(図1のステップ5)。
BaCO3+2HCl → BaCl2+H2O+CO2
それから、反応せずにそのまま存在する複合酸化物であるBaTiO3粉末をろ過により分離し、水洗した後、乾燥して、BaTiO3粉末を得た(図1のステップ5)。
(5)塩化バリウム(BaCl2)を含むろ液は、例えば、炭酸ガスをバブリングしたり、炭酸ナトリウムを添加したりして、下記の式のように反応させ、バリウムを炭酸バリウムとして回収することができる(図1のステップ6)。
BaCl2+CO2+H2O → BaCO3+2HCl
BaCl2+Na2CO3 → BaCO3+2NaCl
そして、このようにして回収した炭酸バリウムはオルソチタン酸バリウム製造用原料として再利用することができる。
BaCl2+CO2+H2O → BaCO3+2HCl
BaCl2+Na2CO3 → BaCO3+2NaCl
そして、このようにして回収した炭酸バリウムはオルソチタン酸バリウム製造用原料として再利用することができる。
上記実施例の方法で、炭酸ガスの吸収温度を700℃、800℃および900℃と変化させて製造したBaTiO3粉末の結晶相、軸比(c/a)、比表面積、および比表面積球相当径を調べた。その結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明の方法によれば、炭酸ガスの吸収温度が700℃〜900℃の範囲では、実用可能な結晶性(軸比(c/a))、比表面積(比表面積球相当径)の値を有する微細で高品質のBaTiO3(複合酸化物)粉末が得られることがわかる。
また、炭酸ガスの吸収温度を700℃、800℃および900℃と変化させて製造したBaTiO3粉末の結晶についてX線回折分析を行った。図2および図3にX線回折分析の分析プロファイルを示す。なお、図3は図2の要部を拡大して示す図である。
図2および図3に示すように、炭酸ガスの吸収温度を変えて製造した各試料のいずれについても、BaTiO3(正方晶)以外の異相は認められなかった。これより、吸収温度を制御することにより、BaTiO3(正方晶)以外の異相を生成させることなく、得られるBaTiO3粉末の粒子径を制御できることがわかる。
また、炭酸ガスの吸収温度700〜900℃で製造した本発明の実施例にかかるBaTiO3粉末と、背景技術の欄で説明した「水熱合成法」により製造した比較例1のBaTiO3粉末と、同じく、背景技術の欄で説明した「アルコキシド水酸化物法」により製造した比較例2のBaTiO3粉末とについて、比表面積球相当径と軸比(c/a)の関係を調べた。その結果を図4に示す。
上記実施例の方法によれば、特に比表面積球相当径100nm以下の領域で比較例1、2より軸比(c/a)が高い正方晶BaTiO3を製造することが可能になることがわかる。
上述のようにして製造されたBaTiO3粉末は微細で、高結晶性の複合酸化物粉末であり、積層セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品の製造原料として好適に使用することができる。
そして、この微細で、高結晶性のBaTiO3粉末を製造原料として用いることにより、積層セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品の小型化、薄型化などを進めることができる。
そして、この微細で、高結晶性のBaTiO3粉末を製造原料として用いることにより、積層セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品の小型化、薄型化などを進めることができる。
なお、上記実施例では、一般式A2BO4で表される物質が、オルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)であり、オルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)に炭酸ガスを吸収させることにより生成する一般式ABO3で表される複合酸化物粉末がBaTiO3粉末であり、炭酸化合物がBaCO3である場合を例にとって説明したが、上記実施例におけるオルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)の代わりに、オルソチタン酸ストロンチウム(Sr2TiO4)を用い、下記の反応を利用して、微細で、高結晶性のSrTiO3微粒子を製造することも可能である。
Sr2TiO4+CO2 → SrTiO3+SrCO3
また、オルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)を構成するBa、あるいはオルソチタン酸ストロンチウム(Sr2TiO4)を構成するSrの一部をCaで置換した物質を用いた場合や、Ba2TiO4あるいはSr2TiO4中のTiの一部をZrで置換した物質を用いた場合にも、一般式ABO3で表される微細で高結晶性の複合酸化物を製造することが可能である。
また、一般式A2BO4で表される物質が、AとしてBaとSrの両方を含む物質であってもよく、その場合にも一般式ABO3で表される微細で高結晶性の複合酸化物を製造することができる。
Sr2TiO4+CO2 → SrTiO3+SrCO3
また、オルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)を構成するBa、あるいはオルソチタン酸ストロンチウム(Sr2TiO4)を構成するSrの一部をCaで置換した物質を用いた場合や、Ba2TiO4あるいはSr2TiO4中のTiの一部をZrで置換した物質を用いた場合にも、一般式ABO3で表される微細で高結晶性の複合酸化物を製造することが可能である。
また、一般式A2BO4で表される物質が、AとしてBaとSrの両方を含む物質であってもよく、その場合にも一般式ABO3で表される微細で高結晶性の複合酸化物を製造することができる。
本発明はさらにその他の点においても上記の実施例の構成に限定されるものではなく、一般式A2BO4で表される原料の種類、製造される複合酸化物粉末の種類、炭酸ガスの吸収条件、反応生成物から炭酸化合物を除去する方法などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
上述のように、本発明によれば、一般式ABO3で表される、例えばBaTiO3などの複合酸化物粉末、特に、セラミック電子部品の製造原料としても用いることも可能な微細で高結晶性の複合酸化物を、原料として高価なアルコキシドを用いたり、高度な粉砕工程を経て微粒化した高コストの微粉原料を使用したりすることを必要とせずに効率よく、経済的に製造することができる。
したがって、本発明は、例えば、セラミック電子部品の製造原料などとして好適に用いられる、一般式ABO3で表されるBaTiO3などの複合酸化物粉末を製造する場合に広く適用することが可能である。
したがって、本発明は、例えば、セラミック電子部品の製造原料などとして好適に用いられる、一般式ABO3で表されるBaTiO3などの複合酸化物粉末を製造する場合に広く適用することが可能である。
Claims (6)
- 一般式A2BO4(AはBa、Srの少なくとも1種であり、Bは少なくともTiを含む4価金属元素)で表される物質に炭酸ガスを吸収させることにより、反応生成物として、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末と、炭酸化合物とを生成させる工程と
前記反応生成物から前記炭酸化合物を除去して、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末を得る工程と
を具備することを特徴とする複合酸化物粉末の製造方法。 - 前記反応生成物から前記炭酸化合物を除去するにあたって、前記炭酸化合物を酸性溶液と接触させて溶解した後、一般式ABO3で表される複合酸化物粉末を分離することを特徴とする請求項1記載の複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記一般式A2BO4で表される物質に炭酸ガスを吸収させる際の温度条件を、700〜900℃とすることを特徴とする請求項1または2記載の複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記一般式A2BO4で表される物質がオルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)であり、
このオルソチタン酸バリウム(Ba2TiO4)に炭酸ガスを吸収させることにより生成する、前記一般式ABO3で表される複合酸化物粉末がBaTiO3粉末であり、前記炭酸化合物がBaCO3であって、
前記反応生成物から前記BaCO3を除去することにより得られる複合酸化物粉末がBaTiO3粉末であること
を特徴とする請求項1〜3記載の複合酸化物粉末の製造方法。 - 前記複合酸化物粉末が、セラミック電子部品の製造原料として用いられるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記複合酸化物粉末の比表面積球相当径が200nm以下であることを特徴とする請求項5記載の複合酸化物粉末の製造方法。
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JP2011073928A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Murata Mfg Co Ltd | セラミック粉末の製造方法 |
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2007
- 2007-09-27 JP JP2007251490A patent/JP2009078960A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011073927A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Murata Mfg Co Ltd | セラミック粉末の製造方法 |
JP2011073928A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Murata Mfg Co Ltd | セラミック粉末の製造方法 |
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