JP7202778B2 - 二チタン酸バリウム系セラミックスおよび圧電素子 - Google Patents

二チタン酸バリウム系セラミックスおよび圧電素子 Download PDF

Info

Publication number
JP7202778B2
JP7202778B2 JP2017245555A JP2017245555A JP7202778B2 JP 7202778 B2 JP7202778 B2 JP 7202778B2 JP 2017245555 A JP2017245555 A JP 2017245555A JP 2017245555 A JP2017245555 A JP 2017245555A JP 7202778 B2 JP7202778 B2 JP 7202778B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
barium dititanate
barium
based ceramics
dititanate
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017245555A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019112243A (ja
Inventor
一真 吉川
洋幸 角田
潤 恒吉
孝 後藤
宏和 且井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku University NUC
Seiko Instruments Inc
Original Assignee
Tohoku University NUC
Seiko Instruments Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku University NUC, Seiko Instruments Inc filed Critical Tohoku University NUC
Priority to JP2017245555A priority Critical patent/JP7202778B2/ja
Publication of JP2019112243A publication Critical patent/JP2019112243A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7202778B2 publication Critical patent/JP7202778B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

本発明は、二チタン酸バリウム系セラミックスおよび圧電素子に関する。
二チタン酸バリウム(BaTi)は強誘電材料であり、有害物質である鉛を含有していない。一方、強誘電材料として広く用いられているチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(ZrTi(1-x))は鉛を含有している。このため、二チタン酸バリウムは環境配慮型の代替材料として期待されている。また、二チタン酸バリウムは450℃付近で2~3万と高い誘電率を示し、次世代の強誘電材料として有望視されている。
しかし、二チタン酸バリウムは、結晶内の酸素が熱により欠損しやすい。欠損した酸素はキャリアを生み出し、伝導性の発現の原因となるため、絶縁性が悪化することが知られている。二チタン酸バリウムの絶縁性を保つためには、酸素欠損による電荷の過不足を、化学的手法によって相殺する必要がある。
電荷補償を化学的に行う方法として、二チタン酸バリウムの構成元素であるチタン(Ti)を、イオン価数が異なる別元素で置換する方法が提案されている。
元素置換法を用いた二チタン酸バリウム系セラミックスの製造方法の例として、炭酸バリウム(BaCO)、酸化チタン(TiO)、および酸化ジルコニウム(ZrO)の混合粉末原料を950℃で固相反応させた後にアーク溶融することにより、Tiサイトの一部をZrで置換する方法が知られている(非特許文献1)。
特許第4953234号公報
X.Y.Yue、R.Tu、and T.Goto、Materials Transactions、49、120(2008).
しかし、二チタン酸バリウム系セラミックスの強誘電性は、結晶構造内におけるTiの結晶構造的な変位が要因で発現する。Tiを別元素で置換すると、たとえ絶縁性が向上したとしても、強誘電性が変化する。このため、絶縁性と強誘電性を共に得ることが困難である。また、強誘電性を発揮するためには、結晶性を有するセラミックスを作製する必要がある。
特許文献1には、ランタノイドを添加した二チタン酸バリウム系ガラスを作製する方法が提案されている。しかしながら、ガラスは、結晶構造を持たない非晶質である。ガラスは、強誘電性の要因であるTiの結晶構造的変位が存在しない、あるいは定義できないため、強誘電性を持たない。
以上の背景から、酸素の欠損に起因する絶縁性の低下を元素置換により防ぎ、かつ、強誘電性を発現する二チタン酸バリウム系セラミックスの必要性が高まっていた。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案された物であり、熱による酸素の欠損に起因する絶縁性の低下を防ぎ、かつ高い強誘電性を有する二チタン酸バリウム系セラミックスを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた。
その結果、以下に示す二チタン酸バリウム系セラミックスでは、熱による酸素の欠損に起因する絶縁性の低下を防ぎ、かつ高い強誘電性を有することを見出した。すなわち、本発明は以下の事項に関する。
(1)本発明の一様態にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは、一般式:Ba(1-x)Tiで表される組成を有し、前記一般式において、MはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、前記一般式においてx、y、zのそれぞれは、0<x≦0.1、1.5<y<2.5、3.9<z<6.1、の関係を満たす。
(2)上記態様にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは、前記一般式において、MはLa、Nd、Eu、Dy、HoおよびLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素であってもよい。
(3)上記態様にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは、前記一般式において、xが、0<x≦0.005の関係を満たしてもよい。
(4)上記態様にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは、出発原料の平均粒径以上1mm以下の平均グレイン直径を有していてもよい。
(5)本発明の一様態にかかる圧電素子は、上記態様にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスを備える。
上記態様にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは、強誘電性に寄与するチタンを置換せず、バリウムを置換しているため、強誘電性を維持できる。また上記態様にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは、価数が3価のランタノイド元素で、2価のバリウムサイトを置換する為、酸素欠損に起因する絶縁性の低下を防ぐことができる。また、上記態様にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは、分極処理に耐える絶縁性を有しているので、圧電体としても使用することが可能である。
本発明の実施例1に係る二チタン酸バリウム系セラミックスの分極(P)-電場(E)曲線の一例を示す図である。 本発明の実施例2に係る二チタン酸バリウム系セラミックスの分極(P)-電場(E)曲線の一例を示す図である。 本発明の実施例3に係る二チタン酸バリウム系セラミックスの分極(P)-電場(E)曲線の一例を示す図である。 本発明の実施例4に係る二チタン酸バリウム系セラミックスの分極(P)-電場(E)曲線の一例を示す図である。 本発明の比較例1に係る二チタン酸バリウム系セラミックスの分極(P)-電場(E)曲線の一例を示す図である。
以下、本実施形態について、図面を用いてその構成を説明する。以下の説明において例示される材料、方式等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではない。
(二チタン酸バリウム系セラミックス)
本発明の実施形態に係る二チタン酸バリウム系セラミックスは、一般式:Ba(1-x)Tiで表される組成を有する。
なお、本明細書において、セラミックスとは、X線回折において、明瞭なブラッグ回折ピークが観察される物質のことをいう。またセラミックスは、微小な単結晶の凝集体である。そのため、走査電子顕微鏡等で、単結晶が無秩序な方位をとって集合し、凝集している構造(グレイン構造)を観察できる。
一般式中のMは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれる1種類以上の元素(ランタノイド元素)である。またこれらの元素の中でも、La、Nd、Eu、Dy、HoおよびLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素が特に好ましい。
これらの元素のイオンは、二チタン酸バリウムのBa2+イオンと同じ配位数12でBa2+と近いイオン半径を有している。このため、Ba2+イオンと効果的に置換することができる。さらに、二チタン酸バリウム中で、Mとして選ぶ元素は3価の価数をもつイオンになる。Ba2+イオンと異なる価数を有するため、二チタン酸バリウム系セラミックスにおける電荷補償をおこなうことができる。
二チタン酸バリウムの結晶構造内でMが置換する結晶サイトはBaである。二チタン酸バリウムにおける強誘電性発現を担うTiにはほとんど置換しない。このため、Mの置換が二チタン酸バリウムの強誘電性に与える影響は少ない。
また、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuは互いに化学的性質がよく似ており、互いに置換することも容易である。そのため、MをLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから2種類以上選んでも、同時に二チタン酸バリウム内に置換することが可能である。
一般式中のxは、二チタン酸バリウムにおけるBa2+サイトにおけるMの置換率を表す。すなわち、x=0.005の場合、全Ba2+サイトの0.5%をMが占めることを意味する。xは、0<x≦0.1であり、0<x≦0.05であることが好ましく、0≦x≦0.005であることがさらに好ましい。
一般式中のyは、二チタン酸バリウムにおけるTiの組成比を表す。Tiの組成比はストイキオメトリには、2.0である。しかしながら、原料の秤量誤差および生成後の二チタン酸バリウム内のTiイオンの価数ゆれに起因して、僅かに組成がぶれる場合がある。そのため、yは、1.5<y<2.5であり、1.8≦y≦2.2であることが好ましい。
一般式中のzは、二チタン酸バリウムにおける酸素(O)の組成比を表す。酸素の組成比は、電気的中性条件から、陽イオンの総価数を補償するようにして定まる。より詳細には、Ba、MおよびTiの価数と、xおよびyの比率とによって決定される。一般式中のzの値は、酸素欠損を考慮した値を含んでおり、3.9<z<6.1の範囲内となる。
第1実施形態にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは、二チタン酸バリウムBaTiを置換した物質が主たる成分であり、異相を実質的に含まない。ここで、「実質的に」とは、一般的に許容される程度(1mol%程度)の不純物の存在を許容することを意味する。
二チタン酸バリウムは化学的および熱的に準安定な物質である。そのため、液相を介さない固相反応により生成することは難しく、多くの場合では所定の二チタン酸バリウム系セラミックスと異なる組成を持つ異相が材料中に介在してしまう。異相が介在すると、二チタン酸バリウム系セラミックスの強誘電性及び絶縁性の低下の原因となる。第1実施形態にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスのように元素置換を行った場合は、特に異相への変質が生じやすい。
これに対し、第1実施形態にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは、異相を実質的に含まないため、強誘電性及び絶縁性に優れる。
なお、混入するおそれがある不純物としては、例えば、BaTiO、BaTi、BaTi1740等のチタン酸バリウム系酸化物が挙げられる。また、酸化チタン(TiO)や炭酸バリウム(BaCO)等の二チタン酸バリウム系セラミックスの原料に含まれる不純物、坩堝による混合工程などの製造工程において混入が想定される坩堝成分等の不可避不純物の混入も想定される。
第1実施形態に係る二チタン酸バリウム系セラミックスは、平均グレイン直径が出発原料の平均粒径以上、1mm以下であることが好ましい。平均グレイン直径が上記範囲よりも大きいと界面抵抗が小さくなり絶縁性が低下する。また平均グレイン直径が上記範囲よりも小さいと分極が小さくなり強誘電性が低下する。いずれの場合も実用に適さないため、上記の範囲にあることが好ましい。ここで「平均グレイン直径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)で二チタン酸バリウム系複合酸化物の任意の断面を測定した際におけるグレインの平均直径を意味する。「平均グレイン直径」は、25000倍の画像で撮影した断面における任意のグレインの粒径を5箇所測定し、その平均値から求める。出発原料の平均粒径とは、二チタン酸バリウム系セラミックスを作製する際の原料粉末の平均粒径を意味し、仮焼き処理前の粉砕後の平均粒径を指す。
(二チタン酸バリウム系セラミックスの製造方法)
第1実施形態にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスの製造方法は、特に限定されない。例えば、酸化物粉末を用いた固相反応法、有機化合物を用いたゾル・ゲル法を用いることができる。
一方で、第1実施形態にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは準安定相である。そのため、固相反応法で作製する場合は、温度条件等を調整することが好ましい。また準安定状態で反応を進めるために、焼成条件は低温とすることが好ましい。焼成条件が低温の条件下でも反応を進めるために、原料はボールミリング等で充分微細化することが好ましい。ボールミリングの際にエタノール、アセトン等の低粘度の溶媒を用いると、原料を微細化し易い。
以下、固相反応法を用いて、15gのBa0.999La0.001Tiの組成式で表記される二チタン酸バリウム系セラミックスを作製する場合の一例について説明する。
まず、酸化物粉末等の出発原料を秤量して、目的とする重量比で混合する。出発原料としては、BaCO粉末、La粉末、TiO粉末を用いる。BaCO粉末は9.446g、La粉末は0.0078g、TiO粉末は7.654gでそれぞれ秤量する。
次いで、秤量した出発原料を、エタノールを用いて湿式混合し(1回目混合)、これを仮焼きする。仮焼きにより、湿式混合後、乾燥させた混合粉末を焼結させる。仮焼きは、電気炉等を用いることができ、例えば大気雰囲気下で、900℃、8時間行う。仮焼き後の混合粉末は反応により原料粉末となる。この原料粉末をさらにエタノールを用いて湿式混合(2回目混合)し、乾燥させる。
次に、上記で作製した原料粉末を用いて、二チタン酸バリウム系セラミックスを作製する方法について説明する。
作製した原料粉末を、適当量を秤量し、硬質炭素製の型に入れ、放電プラズマ装置内で本焼成する。本焼成の条件は、例えば1050℃で5分間、真空雰囲気下とする。本焼結によって、焼結後のセラミックスの真密度に対する相対密度が90%以上となる。
一方で、真空雰囲気下で本焼結を行った場合、セラミックス内で酸素欠損が生じる。そのため、アニールによって酸素を再度供給する。アニールは電気炉内で例えば1000℃で12時間、大気雰囲気で行う。
なお、本明細書において、「真密度」は、物質自身が占める体積だけを密度算定用の体積とした密度を意味する。そのため、「真密度に対する相対密度」とは、表面に凹凸がある粒子の外周を体積とする粒子密度の真密度に対する相対値を意味する。
以上のようにして、二チタン酸バリウム系セラミックスが得られる。なお、上記に説明した二チタン酸バリウム系セラミックスの作製方法は一例であり、原料の種類や形状・サイズ、仮焼き時の温度・時間・時雰囲気はこれに限定されない。
上述のように、本実施形態にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは、強誘電性に寄与するチタンを置換せず、バリウムを置換しているため、強誘電性を維持できる。また本実施形態にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは、価数が3価のランタノイド元素で、2価のバリウムサイトを置換する為、酸素欠損に起因する絶縁性の低下を防ぐことができる。
また本実施形態の二チタン酸バリウム系セラミックスは、充分な絶縁性を有しており、圧電性の付与に必要な分極処理を行うことができる。このため、圧電素子に適用可能である。圧電素子の用途としては、発振回路、プリンタヘッド、圧電振動、ジャイロセンサなどが挙げられる。従来、用いられているチタン酸ジルコン酸鉛とは異なり、鉛を含有していない。生産から廃棄までの間、周囲の環境を汚染することがないため、環境への負荷を低減できる。さらにまた、本実施形態の二チタン酸バリウム系セラミックスはチタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムといった材料よりもキュリー点が高く、450℃付近で2~3万と高い誘電率を示す。このため、本実施形態の二チタン酸バリウム系セラミックスは高温環境においても、使用することが出来る。
(実施例1)
出発原料として、酸化バリウム(BaO)粉末、酸化チタン(TiO)粉末、酸化ランタン(III)(La)を秤量した。Ba、Ti、Laのモル比が0.999:2:0.001となるように秤量した。
秤量した3種類の原料粉末を、エタノールとともにメノウ製の乳鉢に入れ、乳棒を用いて混合した。その後、大気雰囲気で電気炉により混合した原料粉末を乾燥した。
次いで、混合した原料粉末を、大気雰囲気で電気炉により温度を900℃に加熱し、8時間、仮焼きをおこなった。
仮焼き後の混合粉末をエタノールとともにメノウ製の乳鉢に入れ、乳棒を用いて混合した(2回目混合)。その後、大気雰囲気で電気炉により仮焼き後の混合粉末を乾燥し、セラミックス原料粉末を得た。
次いで、2回目混合で得たセラミックス原料粉末を、0.8g秤量した。秤量したセラミックス原料粉末を硬質炭素製の型に入れた。セラミックス原料粉末の厚みは1mmであった。
型に入ったセラミックス原料粉末を、放電プラズマ焼結装置を用いて、真空雰囲気で1050℃に加熱し、30MPaの圧力を加えながら、5分間本焼結を行った。温度は放射温度計により測定し、測定結果を元に内部の温度を制御した。
本焼結により得た焼結体を、電気炉により1000℃で12時間保持(アニール)し、二チタン酸バリウム系セラミックスを得た。得られた二チタン酸バリウム系セラミックスの組成は、Ba0.999La0.001Tiであった(表1参照)。アニールの前後で、試料の色は黒色から白色に変化していた。本焼結で得た焼結体に酸素欠損が生じていたために黒色を呈したが、アニールにより酸素が供給された結果、酸化物に特徴的な白色に変化したと考えられる。
(実施例2)
実施例2では、出発原料について、酸化ランタン(III)(La)を酸化ユウロピウム(III)(Eu)に置き換え、Ba、Ti、Euのモル比が0.999:2:0.001となるように秤量した点以外は、実施例1と同様の条件で二チタン酸バリウム系セラミックスを作製した。得られた二チタン酸バリウム系セラミックスの組成は、Ba0.999Eu0.001Tiであった(表1参照)。
(実施例3)
実施例3では、出発原料の一つである酸化ランタン(III)(La)を酸化ルテチウム(III)(Lu)に置き換え、Ba、Ti、Luのモル比が0.999:2:0.001となるように秤量した点以外は、実施例1と同様の条件で二チタン酸バリウム系セラミックスを作製した。得られた二チタン酸バリウム系セラミックスの組成は、Ba0.999Lu0.001Tiであった(表1参照)。
(実施例4)
実施例4では、Ba、Ti、Euのモル比が0.995:2:0.005となるように秤量した点以外は、実施例2と同様の条件で二チタン酸バリウム系セラミックスを作製した。得られた二チタン酸バリウム系セラミックスの組成は、Ba0.995Eu0.005Tiであった(表1参照)。
(比較例1)
比較例1では、酸化ランタン(III)(La)を用いず、Ba、Tiのモル比が1:2となるように秤量した点以外は、実施例1と同様の条件で二チタン酸バリウム系セラミックスを作製した。得られた二チタン酸バリウム系セラミックスの組成は、BaTiであった(表1参照)。
Figure 0007202778000001
実施例1~4及び比較例1に係る二チタン酸バリウム系セラミックスについて、X線回折の測定を行った。実施例1~4および比較例1に示す全てのサンプルについて、明瞭なブラッグ回折ピークが観測された。実施例1~4では、物質に由来する特定のピークのみが確認され、異相の存在は確認されなかった。またその他の実施例2~4においても異相の存在が確認されないことを確認した。これに対し、比較例1は、所定のピークに加え、介在物として一般に知られる、BaTiOやBaTi1740に対応するピークが観測された。
以上の結果から、実施例1~4にかかる二チタン酸バリウム系セラミックスは、異相を実質的に含んでいないことを確認した。
また実施例1~4及び比較例1に係る二チタン酸バリウム系セラミックスについて、強誘電性評価のために電場(E)に対する分極(P)の変化(以下、P-E曲線)をソーヤ・タワー法により測定した。測定の際には、常誘電特性の影響を排して強誘電性を評価するため、二重波法を用いた。実施例1~4の測定結果をそれぞれ図1~4に、比較例1の測定結果をそれぞれ図5に示す。比較例1に係る試料に比べて、実施例1~4に係る試料では、円曲状の湾曲が大きく軽減し、強誘電性を特徴付けるヒステリシス形状の曲線が得られた。すなわち、実施例1~4に係る二チタン酸バリウム系セラミックスは、高い絶縁性及び誘電性を有していることが確認できる。

Claims (4)

  1. 一般式:Ba(1-x)Tiで表される組成を有し、
    前記一般式において、MはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    前記一般式においてx、y、zのそれぞれは、
    0<x≦0.1、
    1.5<y<2.5、
    3.9<z<6.1、
    の関係を満たし、
    平均グレイン直径が1mm以下である、二チタン酸バリウム系セラミックス。
  2. 前記一般式において、MはLa、Nd、Eu、Dy、HoおよびLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素である、請求項1に記載の二チタン酸バリウム系セラミックス。
  3. 前記一般式において、xが、0<x≦0.005の関係を満たす、請求項1又は2に記載の二チタン酸バリウム系セラミックス。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の二チタン酸バリウム系セラミックスを備えた圧電素子。
JP2017245555A 2017-12-21 2017-12-21 二チタン酸バリウム系セラミックスおよび圧電素子 Active JP7202778B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017245555A JP7202778B2 (ja) 2017-12-21 2017-12-21 二チタン酸バリウム系セラミックスおよび圧電素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017245555A JP7202778B2 (ja) 2017-12-21 2017-12-21 二チタン酸バリウム系セラミックスおよび圧電素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019112243A JP2019112243A (ja) 2019-07-11
JP7202778B2 true JP7202778B2 (ja) 2023-01-12

Family

ID=67221196

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017245555A Active JP7202778B2 (ja) 2017-12-21 2017-12-21 二チタン酸バリウム系セラミックスおよび圧電素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7202778B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020255887A1 (ja) 2019-06-17 2020-12-24 パナソニックIpマネジメント株式会社 定温容器

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011219351A (ja) 2010-03-25 2011-11-04 Seiko Instruments Inc BaTi2O5系複合酸化物およびBaTi2O5系複合酸化物の製造方法
JP2012197201A (ja) 2011-03-22 2012-10-18 Seiko Instruments Inc BaTi2O5系複合酸化物の製造方法
WO2017119497A1 (ja) 2016-01-08 2017-07-13 正毅 千葉 変換器

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4953234B2 (ja) * 2006-09-14 2012-06-13 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 チタン系酸化物ガラスおよびその製造方法
JP6948672B2 (ja) * 2017-08-09 2021-10-13 株式会社ノリタケカンパニーリミテド チタン酸バリウム系複合酸化物の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011219351A (ja) 2010-03-25 2011-11-04 Seiko Instruments Inc BaTi2O5系複合酸化物およびBaTi2O5系複合酸化物の製造方法
JP2012197201A (ja) 2011-03-22 2012-10-18 Seiko Instruments Inc BaTi2O5系複合酸化物の製造方法
WO2017119497A1 (ja) 2016-01-08 2017-07-13 正毅 千葉 変換器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019112243A (ja) 2019-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Yuan et al. High-temperature stable dielectrics in Mn-modified (1-x) Bi 0.5 Na 0.5 TiO 3-xCaTiO 3 ceramics
US8293668B2 (en) Dielectric ceramic composition
Balakt et al. Giant pyroelectric properties in La and Ta co-doped lead-free 0.94 Na0. 5Bi0. 5TiO3-0.06 BaTiO3 ceramics
Hayati et al. Effects of Bi2O3 additive on sintering process and dielectric, ferroelectric, and piezoelectric properties of (Ba0. 85Ca0. 15)(Zr0. 1Ti0. 9) O3 lead-free piezoceramics
JP5228915B2 (ja) 半導体磁器組成物とその製造方法
JPWO2007094115A1 (ja) 圧電磁器組成物
JP2010052999A (ja) 圧電セラミックス及びその製造方法並びに圧電デバイス
JP2013028478A (ja) 誘電体磁器組成物、および電子部品
KR20120134928A (ko) 비스무스(Bi)계 복합 페로브스카이트 무연 압전 세라믹스 및 그 제조 방법
Liu et al. Enhanced dielectric tunability and reduced dielectric loss in the La/Fe co-doped Ba0. 65Sr0. 35TiO3 ceramics
Xu et al. Dielectric and ferroelectric behaviour of Zr-doped BaTiO3 perovskites
Ichikawa et al. Fabrication and characterization of (100),(001)-oriented reduction-resistant lead-free piezoelectric (Ba, Ca) TiO3 ceramics using platelike seed crystals
JP2013063874A (ja) 誘電体磁器組成物および電子部品
Yoon et al. The effect of pre-milling/pre-synthesis process and excess Ba on the microstructure and dielectric/piezoelectric properties of nano-sized 0.94 [(Bi0. 5Na0. 5) TiO3]–0.06 [Ba (1+ x) TiO3]
Khandelwal et al. Impact of crystal structure and microstructure on electrical properties of Ho doped lead-free BCST piezoceramics
JP7202778B2 (ja) 二チタン酸バリウム系セラミックスおよび圧電素子
KR102385814B1 (ko) 우수한 기계적 품질 계수 및 높은 상전이 온도를 가지는 무연 압전 세라믹스 및 그 제조방법
US20220144640A1 (en) Dielectric inorganic composition
KR102380196B1 (ko) 우수한 물성을 가지는 비스무스 페라이트-티탄산 바륨계 친환경 무연 압전 세라믹스 및 그 제조방법
Yang et al. Low temperature sintering of PMN ceramics by doping with SrO
Perumal et al. Structural, dielectric, piezoelectric and ferroelectric properties of lead-free (1-x) Na0. 5 Bi0. 5 TiO3-xBaTiO3 (x= 0.00, 0.04, 0.06, 0.08) ceramic
Hernández-López et al. Influence of Y2O3 on the structure of Y2O3-doped BaTiO3 powder and ceramics
JP5062244B2 (ja) 誘電体粉末
JP5834674B2 (ja) 誘電体磁器組成物および電子部品
Fisher et al. Low-temperature sintering of barium calcium zirconium titanate lead-free piezoelectric ceramics

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180201

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201012

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210921

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211028

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20211207

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20220210

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20220621

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20220823

C23 Notice of termination of proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23

Effective date: 20221115

C03 Trial/appeal decision taken

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03

Effective date: 20221213

C30A Notification sent

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012

Effective date: 20221213

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7202778

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150