JP2009108671A - 壁面化粧構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】隣接した乾式ボード間の目地部にシーリング材及び/またはパテ材が充填され、乾式ボード及び目地部を含む全面に仕上塗材層が形成されてなる壁面化粧構造体において、前記仕上塗材層は、ガラス転移温度30℃以下の合成樹脂エマルション(A)、粒子径1〜200nmの水分散性シリカ(B)、ポリフルオロアルキル基とノニオン性または両性の親水基を有する含フッ素化合物(C)、及び粒子径0.05〜5.0mmの骨材(D)を必須成分とすることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
さらに、振動や温度変化等に起因するボードの変位等による化粧塗膜のひび割れ等を防ぐため、ボードの変位等に追従可能な比較的伸び性のある化粧塗膜を選定することが一般的である。
しかしながら、特許文献1〜2に挙げるような汚染防止型の塗材は伸び性に乏しいものが多く、ただ単に塗付しただけでは、ボードの変位等に対する追従性を確保することが難しい。一方、追従性を確保するために、伸び性を付与した場合、優れた汚染防止性を確保することが難しく、ボードの変位等に対する追従性と汚染防止性を両立させることは困難であった。また特許文献1〜2に挙げるような塗材では、目地部の段差や不陸等が目立ちやすく、美観性を損ねてしまうおそれもある。
1.隣接した乾式ボード間の目地部にシーリング材及び/またはパテ材が充填され、乾式ボード及び目地部を含む全面に仕上塗材層が形成されてなる壁面化粧構造体において、
前記仕上塗材層は、
ガラス転移温度30℃以下の合成樹脂エマルション(A)、粒子径1〜200nmの水分散性シリカ(B)、ポリフルオロアルキル基とノニオン性または両性の親水基を有する含フッ素化合物(C)、及び粒子径0.05〜5.0mmの骨材(D)を必須成分とし、前記合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し、固形分換算で前記水分散性シリカ(B)を0.1〜100重量部、前記含フッ素化合物(C)を0.01〜10重量部、前記骨材(D)を100〜4000重量部含む仕上塗材によって形成されたものであることを特徴とする壁面化粧構造体。
また、シーリング材及び/またはパテ材の充填前には、予めバックアップ材の充填やプライマー塗付等の処理を行ってもよいし、充填後には、表面研磨、補強材積層等の処理を行ってもよい。
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等のカルボキシル基含有モノマー;
N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド等のアミノ基含有モノマー;
ビニルピリジン等のピリジン系モノマー;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;
スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族モノマー;
アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;
アクロレイン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン等のカルボニル基含有モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有モノマー;
塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー;
その他、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、クロロプレン等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。このうち、重合性モノマーとしてアルコキシシリル基含有モノマーを含む場合は、(B)成分との相互作用により塗膜物性向上を図ることができる。
なお、本発明では、ガラス転移温度の異なる2種以上の合成樹脂エマルションを用いるブレンドタイプでもよいし、ガラス転移温度の異なる2種以上の合成樹脂からなるコアシェル型合成樹脂エマルションタイプでもよいし、また、これらの複合タイプでもよい。
本発明では特に、ガラス転移温度が0℃以上30℃以下(好ましくは5℃以上25℃以下、さらに好ましくは10℃以上20℃以下)である合成樹脂エマルション(以下、「(a−1)成分」ともいう。)と、(a−1)成分よりもガラス転移温度が5℃以上(好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上)低い合成樹脂エマルション(以下、「(a−2)成分」ともいう。)を用いることが好ましい。より具体的には、(a−1)成分のガラス転移温度が15℃以上30℃以下、(a−2)成分のガラス転移温度が−50℃以上15℃未満であることが好ましい。
また(a−1)成分と(a−2)成分の混合比率は、特に限定されないが、固形分重量比率で(a−1)成分:(a−2)成分が、10:90〜90:10(さらには20:80〜80:20)であることが好ましい。
また、(A)成分として、(a−1)成分、(a−2)成分の他に、ガラス転移温度が30℃超の合成樹脂エマルション等、他の結合材が含まれていてもよい。
なお、本発明のガラス転移温度は、フォックス(FOX)の式より計算される値である。
このような(B)成分を使用することによって、形成塗膜の耐水性、汚染防止性等をより高めることができる。
両性の親水基としては、4級アンモニウムのハロゲン塩、ベタイン等の含窒素両性親水基が挙げられる。このうち、4級アンモニウムのハロゲン塩中のハロゲンとしては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。ベタインは、4級アンモニウムと酸の陰イオンを有するものであり、酸としてはカルボン酸等が挙げられる。(C)成分における親水基としては、特にベタイン構造を有する含窒素両性親水基が好適である。
(C)成分としては、その0.01%水溶液の25℃における表面張力が20mN/m以下(さらには18mN/m以下)であるものが好適である。
また(B)成分と(C)成分の混合比率が、重量比率で100:0.01〜100:100(好ましくは100:0.05〜100:30、さらに好ましくは100:0.1〜100:10)であることが好ましい。(B)成分に対し、(C)成分が少なすぎる場合は、耐汚染性において十分な物性が得られ難くなる。また、(B)成分に対し、(C)成分が多すぎる場合は、塗膜の外観、耐水性等に支障をきたすおそれがある。
このような顔料と上記(D)成分と組み合わせて使用することで、優れた美観性を有する壁面化粧構造体を得ることができる。
エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート等のエステル類、
等が挙げられる。
造膜助剤が少なすぎる場合は、造膜性に劣る場合がある。また、造膜助剤が多すぎる場合は、塗料の安定性等に支障をきたすおそれがある。
このようなアルキレンオキサイド鎖含有化合物を含むことによって、貯蔵安定性に優れた塗膜を得ることができる。
また、アルキレンオキサイド鎖含有化合物の重量平均分子量は、特に限定されないが、200以上5000以下、さらには300以上3000以下、さらには500以上2000以下であることが好ましい。200より小さいと、添加による向上効果が得られにくい。
アルキレンオキサイド鎖含有化合物が上記混合比率より少なすぎる場合は、貯蔵安定性に劣る場合がある。また、アルキレンオキサイド鎖含有化合物が多すぎる場合は、耐水性等に支障をきたすおそれがある。
塗装方法は、仕上塗材の種類により適宜選定することができ、例えば、コテ塗り、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等を採用することができ、1回または複数回塗装することができる。塗装時には水等で希釈することによって、仕上塗材の粘性を適宜調製することもできる。希釈割合は、通常0〜20重量%程度である。塗装後の乾燥は通常、常温で行えばよいが、必要に応じ適宜加熱することも可能である。
仕上塗材層の厚みは特に限定されず、適宜設定することができるが、通常0.5〜10mm程度である。
また、得られた仕上塗材層は可塑剤移行防止効果も有し、耐汚染性向上に大きく寄与する。
下塗材層としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂系下塗材、エポキシ樹脂系下塗材、ウレタン樹脂系下塗材、塩化ビニル系下塗材等によって形成することができる。下塗材層は、1層からなるものでもよいし、2層以上からなるものでもよい。下塗材層の厚みは通常、仕上塗材層より小さく0.01〜1mm程度である。
また、仕上塗材層の上には、必要に応じ保護層を設けることもできる。
・エマルションB:アクリル樹脂エマルション(メチルメタクリレート−スチレン−2−エチルヘキシルアクリレート−(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)−メタクリル酸共重合体、pH8.9、固形分50重量%、最低造膜温度26℃、ガラス転移温度17℃)
・エマルションC:アクリル樹脂エマルション(メチルメタクリレート−スチレン−シクロヘキシルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)−メタクリル酸共重合体、pH8.7、固形分50重量%、最低造膜温度38℃、ガラス転移温度32℃)
・エマルションD:アクリル樹脂エマルション(メチルメタクリレート−スチレン−シクロヘキシルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)−メタクリル酸共重合体、pH8.7、固形分50重量%、最低造膜温度17℃、ガラス転移温度5℃)
・顔料:酸化チタン分散液(固形分70重量%)
・造膜助剤:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
・増粘剤:ポリウレタン系増粘剤
・消泡剤:シリコーン系消泡剤
・水分散性シリカA:シリカゾル(pH7.6、固形分20重量%、平均1次粒子径27nm、電気伝導度0.6mS/cm)
・水分散性シリカB:シリカゾル(pH9.3、固形分20重量%、平均1次粒子径20nm、電気伝導度1.8mS/cm)
・含フッ素化合物A:パーフルオロアルキルアミンオキシド(有効成分30重量%、0.01%水溶液の表面張力16.0mN/m(25℃))
・含フッ素化合物B:パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(有効成分30重量%、0.01%水溶液の表面張力17.5mN/m(25℃))
・含フッ素化合物C:パーフルオロアルキルベタイン(有効成分30重量%、0.01%水溶液の表面張力16.0mN/m(25℃))
・含フッ素化合物D:パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩(固形分30重量%、0.01%水溶液の表面張力17.0mN/m(25℃))
・含フッ素化合物E:トリフルオロエタノール(有効成分100重量%)
・アルキレンオキサイド鎖含有化合物:メトキシポリエチレングリコール(重量平均分子量:1000)
・骨材:粒子径120〜300μmの着色骨材混合物
表1に示す配合に従い、常法により各原料を均一に混合して仕上塗材1〜20を製造した。表1の配合量は重量部にて表示した。
(1)貯蔵安定性
仕上塗材1を製造した後、直ちに粘度を測定した。次に、仕上塗材1を容器に入れて密閉し、50℃雰囲気で15日間貯蔵した後、再び粘度を測定した。
○:粘度変化10%未満
△:粘度変化10%以上50%未満
×:粘度変化50%以上
150mm×75mm×3mmのスレート板に対し、エポキシ系下塗材を乾燥膜厚が30μmとなるように塗装し、標準状態で8時間乾燥させた後、仕上塗材を乾燥膜厚が1mmとなるように塗装し、標準状態で7日間乾燥させることにより試験体を作製した。
以上の方法で得られた試験体の塗膜表面の接触角を測定した。接触角の測定は、協和界面科学株式会社製CA−A型接触角測定装置にて行った。結果は表2に示す。
窯業系サイディングボード(900×2400×12mm)を2枚用意し、板間に10mm幅の目地部を設け、そこに変性シリコーン系シーリング材を打設したものを下地とした。
この下地の目地部に、パテ材1(湿気硬化型ウレタン樹脂パテ材、固形分95重量%、樹脂:充填剤=100:90(固形分比)、抗張積260N/mm、伸び450%)を目地近傍のサイディングボード表面にわたって目地幅の15倍の幅で充填塗付し、直ちにクロスを貼り付けた。室温で4時間乾燥させた後、再度、パテ材1を塗付し平滑にならし、室温で16時間乾燥させた。
その後、目地部を含むサイディングボード全体に水性エポキシ樹脂系下塗材を塗装(乾燥厚み約0.03mm)して下塗材層を形成させた。室温で2時間乾燥後、仕上塗材1を凹凸状(乾燥厚み約2〜3mm)に塗装して化粧仕上が施された壁面を得た。
その結果、目地部の目立ちもなく均一な仕上りで、美観性に優れた壁面が得られた。
◎:目地部の目立ちもなく均一な仕上りで、優れた美観性の壁面が得られた。
○:目地部の目立ちもなく均一な仕上りで、良好な美観性の壁面が得られた。
△:一部目地部等の目立ちがあり、美観性に劣っていた。
×:美観性に欠けていた。
300×150×0.8mmのアルミニウム板を、上端から3分の1の位置で、内角度が135度になるように折り曲げたものを試験基材とした。この試験基材の凸面に、エポキシ系下塗材を乾燥膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥させた。次に、仕上塗材1を乾燥膜厚が2mmとなるように万能ガンにて塗装し、標準状態で7日間乾燥養生した。
以上の方法で得られた試験体を、面積の広い面を垂直にして大阪府茨木市で南面向きに設置し、3ヵ月間屋外曝露を行った。このとき垂直面における雨筋汚れ状態を目視観察し、汚れの程度に応じて5段階(優:5>4>3>2>1:劣)で評価した。結果は表2に示す。
スレート板(70×70×6mm)を2枚用意し、板間に10mm幅の目地部を設け、そこに可塑剤含有変性シリコーン系シーリング材を打設したものを下地とした。
この下地の目地部に、パテ材1(湿気硬化型ウレタン樹脂パテ材、固形分95重量%、樹脂:填剤=100:90(固形分比)、抗張積260N/mm、伸び450%)を目地近傍のサイディングボード表面にわたって目地幅の15倍の幅で充填塗付し、室温で4時間乾燥させた後、再度、パテ材1を塗付し平滑にならし、室温で16時間乾燥させた。
その後、目地部を含むスレート板全体に水性エポキシ樹脂系下塗材を塗装(乾燥厚み約0.03mm)して下塗材層を形成させた。室温で2時間乾燥後、仕上塗材1を凹凸状(乾燥厚み約2〜3mm)に塗装して化粧仕上を施し、試験体を得た。
得られた試験体について、標準状態で引張り試験機にて水平方向に30%変位させたときの表面状態を目視観察し、異常が認められなかったもの:5>4>3>2>1:割れ、剥れ等の異常が認められたもの、の5段階で追従性を評価した。結果を表2に示す。
(4)追従性試験と同様の方法で試験体を作製した。得られた試験体について、温度80℃の状態で7日間放置後、室温にて静置し、試験体が室温となった状態で水平に置き、8号黒色珪砂を散布した後に垂直に立て、付着した8号黒色珪砂の量を目視にて観察した。このときの付着の程度により、評価を行った。評価は以下の通りである。結果を表2に示す。
◎:全く付着しない
○:ほとんど付着しない
△:付着する
×:著しく付着する
仕上塗材1の替わりに、仕上塗材2〜20を用いた以外は実施例1と同様にして、壁面化粧構造体を製造した。
得られた仕上塗材、壁面化粧構造体に対し、実施例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
Claims (1)
- 隣接した乾式ボード間の目地部にシーリング材及び/またはパテ材が充填され、乾式ボード及び目地部を含む全面に仕上塗材層が形成されてなる壁面化粧構造体において、
前記仕上塗材層は、
ガラス転移温度30℃以下の合成樹脂エマルション(A)、粒子径1〜200nmの水分散性シリカ(B)、ポリフルオロアルキル基とノニオン性または両性の親水基を有する含フッ素化合物(C)、及び粒子径0.05〜5.0mmの骨材(D)を必須成分とし、前記合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し、固形分換算で前記水分散性シリカ(B)を0.1〜100重量部、前記含フッ素化合物(C)を0.01〜10重量部、前記骨材(D)を100〜4000重量部含む仕上塗材によって形成されたものであることを特徴とする壁面化粧構造体。
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