JP4810336B2 - 化粧シート材 - Google Patents

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Description

本発明は、その表面に塗膜層が設けられた新規な化粧シート材に関するものである。
建築物の屋根、屋上等に用いる板状の材料は、金属系、セメント系等の無機質材料、ゴム系、樹脂系、アスファルト系等の有機質材料に大別される。このうち、後者の有機質材料は一般に可とう性を有することから、防水性、加工性等の点で優れた性能を発揮することが可能である。但し、このような有機質材料は、無機質材料に比べ経年的に劣化が進行しやすいため、その表面は塗膜等によって保護することが望ましい。
例えば、特開2003−321905号公報(特許文献1)には、改質アスファルトコンパウンド層の表面に水分散型塗料による塗膜層を設けた防水シートが記載されている。特開2004−1560003号公報(特許文献2)には、ガラス転移温度が−20〜20℃の熱可塑性樹脂と顔料を必須成分とする塗料を、可とう性を有する防水シートの表面に塗付することが記載されている。また、特開2005−21868号公報(特許文献3)には、軟質防水シートの表面に、合成樹脂エマルションと可塑剤を主成分とする塗料を塗付することが記載されている。
このように、シート材表面に塗膜層を設けることで、種々の色彩を付与するとともに、耐久性、耐候性等の向上を図ることができる。
特開2003−321905号公報 特開2004−1560003号公報 特開2005−21868号公報
しかし、上述の特許文献に記載の塗料は、いずれも一般的な熱可塑性樹脂をバインダーとするものであり、温度に対する依存性が高く、高温領域では軟らかく、低温領域では硬くなるという性質を有している。そのため、温度条件によっては、塗膜がシート材の可とう性に追従することができず、塗膜表面に割れが生じる場合がある。特に低温領域下においては、このような問題が発生しやすい。
特許文献3のように塗膜が可塑剤を含む場合は、このような問題は多少緩和されるが、その一方で、可塑剤の表面移行により塗膜表面が汚れやすくなるという問題が生じる。このような問題は、自動車等からの排出ガスによって大気中に油性の汚染物質等が浮遊している都心や都市近郊部において顕著であり、シート材の美観性を大きく損ねてしまう要因となる。
本発明は、以上のような問題点に鑑みなされたものであり、その表面に塗膜層を設けた化粧シート材において、シート材が変位した場合であっても表面塗膜のひび割れ発生を防ぐとともに、長期にわたり美観性を保持することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、外層がアクリル樹脂であり、その中に特定のシリコーン樹脂とアクリル樹脂を内包する多層構造型合成樹脂エマルションと、顔料及び/または骨材を含む塗料によってシート材表面を被覆することに想到し、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.可とう性を有するシート材の表面に塗膜層が設けられた化粧シート材であって、
当該塗膜層は、外層がガラス転移温度20〜100℃のアクリル樹脂であって、内層に環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂及びガラス転移温度−60〜20℃のアクリル樹脂を含み、内層におけるシリコーン樹脂とアクリル樹脂の重量比率が70:30〜1:99である多層構造型合成樹脂エマルション(A)、顔料及び/または骨材(B)を含む塗料によって形成されたものであることを特徴とする化粧シート材。
本発明の化粧シート材は、シート材が変位した場合であっても、表面塗膜のひび割れ発生を防ぎ、長期にわたり美観性を保持することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明におけるシート材は、可とう性を有するものであり、主に建築物の屋根、屋上等に用られるものである。このようなシート材は通常有機質材料を母体とするものである。有機質材料の具体例としては、例えばエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、ブチルゴム、クロロプレンゴム等のゴム系材料、塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等の樹脂系材料、アスファルト系材料等が挙げられる。本発明では、これらの有機質材料を組み合わせて積層加工したシート、合成繊維シートや不織布等を積層したシート、断熱層を積層加工したシート等を使用することもできる。シート材は、既存塗膜を有するものであってもよい。また、シート材には、必要に応じプライマー等による下地処理を施しておいてもよい。
本発明では、上述のようなシート材の表面に塗膜層を設ける。この塗膜層は、特定の多層構造型合成樹脂エマルション(A)と、顔料及び/または骨材(B)を含む塗料によって形成されるものである。
このうち、多層構造型合成樹脂エマルション(A)(以下「(A)成分」という)は、外層がTg20〜100℃のアクリル樹脂であって、内層に環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂及びTg−60〜20℃のアクリル樹脂を含むものである。本発明では、このような(A)成分を使用することにより、可とう性シート材に対する追従性が高まり、優れたひび割れ防止性を具備する塗膜が形成できる。さらに、本発明では、可塑剤添加に依存することなく、このような性能が得られるため、耐汚染性能の点でも有利である。(A)成分における外層と内層の重量比率は、通常80:20〜20:80、好ましくは70:30〜30:70である。
(A)成分の外層は、(メタ)アクリル酸エステル、必要に応じその他のモノマーとの共重合体である。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他のモノマーとしては、例えばカルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、ピリジン系モノマー、水酸基含有モノマー、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、芳香族モノマー等が挙げられる。このうち、(メタ)アクリル酸エステルとしてt−ブチル(メタ)アクリレートを使用すれば、密着性が高まり、塗膜の膨れや剥れの発生が防止でき、美観性維持の点で有利である。
(A)成分における外層のアクリル樹脂は、カルボキシル基を有するものが好適である。このようなカルボキシル基を生成させるためには、外層を構成するモノマーとしてカルボキシル基含有モノマーを使用すればよい。カルボキシル基含有モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等が挙げられる。このうち、特にアクリル酸、メタクリル酸から選ばれる1種以上が好適である。カルボキシル基含有モノマーの使用量は、(A)成分の樹脂固形分に対し、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。このようなカルボキシル基の導入により、密着性等を高めることができる。
(A)成分の外層のTgは、通常20〜100℃、好ましくは30〜90℃である。外層のTgがこのような範囲よりも低すぎる場合は、粘着性が強くなり、耐汚染性において十分な物性が得られ難くなる。また、上塗層を設ける場合は、上塗層に割れが生じやすくなる。Tgが高すぎる場合は、シート材への追従性が低下し、割れが生じやすくなる。
(A)成分の内層には、環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂と、Tg−60〜20℃のアクリル樹脂を含む。本発明では、(A)成分の内層がこのような特定2種の樹脂によって構成されることにより、幅広い温度領域において、優れた追従性を発揮することができる。内層におけるシリコーン樹脂とアクリル樹脂の重量比率は、通常70:30〜1:99、好ましくは60:40〜3:97である。
このうち、シリコーン樹脂は、環状シロキサン化合物を重合して得られるものである。環状シロキサン化合物としては、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。このような環状シロキサン化合物を重合する際には、直鎖状シロキサン化合物、分岐状シロキサン化合物、アルコキシシラン化合物等を用いることもできる。このうち、アルコキシシラン化合物としては、分子中に1個以上のアルコキシル基を有するシラン化合物が使用でき、例えばテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等の他、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等が使用できる。シリコーン樹脂の平均分子量は、通常10000以上、好ましくは50000以上である。
(A)成分の内層を構成するアクリル樹脂のTgは−60〜20℃(好ましくは−50〜10℃)に設定する。このTgが低すぎる場合は、耐汚染性が不十分となり、上塗層を設ける場合は上塗層に割れが生じやすくなる。逆に高すぎる場合はシート材への追従性が低下してしまう。(A)成分の内層を構成するアクリル樹脂は、Tgがこのような範囲内となるように、(メタ)アクリル酸エステルと必要に応じその他のモノマーを共重合体して得ることができる。
(A)成分の内層におけるこれら2種の樹脂の形態は特に限定されず、相互に均一に混ざり合った形態であってもよく、シリコーン樹脂が内部・アクリル樹脂が外部に存在する形態、アクリル樹脂が内部・シリコーン樹脂が外部に存在する形態、アクリル樹脂中にシリコーン樹脂が分散した形態、シリコーン樹脂中にアクリル樹脂が分散した形態等であってもよい。
(A)成分の製造方法は特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂の水分散物の存在下で、内層を構成するアクリル樹脂を乳化重合により合成した後、外層を構成するアクリル樹脂を乳化重合により合成する方法等を採用することができる。
本発明で用いる塗料では、上記(A)成分に加え、顔料及び/または骨材(B)(以下「(B)成分」という)を必須成分とする。この(B)成分は、シート材表面に美観性を付与する成分である。本発明では、この(B)成分の種類や混合比率等を調整することにより、所望の色彩・凹凸模様等を付与することができる。
このうち、顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、陶土、チャイナクレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪石粉、珪藻土、アルミニウム顔料、パール顔料等が挙げられる。これら顔料の粒子径は通常50μm未満(好ましくは40μm以下)である。
一方、骨材としては、自然石、自然石の粉砕物等の天然骨材、及び着色骨材等の人工骨材から選ばれる少なくとも1種以上を好適に使用することができる。具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、石灰石、珪石、珪砂、砕石、雲母、珪質頁岩、及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、ゴム粒、貝殻片、プラスチック片等が挙げられる。これらに着色処理を施したものも使用できる。骨材の粒子径は通常0.05〜5mm程度である。
(B)成分は、顔料容積濃度が3〜80%(好ましくは5〜60%)となる範囲内で混合することが望ましい。顔料容積濃度が3%より小さい場合は、膨れ、剥れ等が発生しやすくなり、着色性、隠ぺい性の点においても不利である。顔料容積濃度が80%よりも大きな場合は、塗膜に割れが発生しやすくなる。
なお、本発明における顔料容積濃度は、塗膜の全容積中に占める(B)成分容積(顔料と骨材の合計容積)の百分比であり、塗料を構成する各成分の配合割合と比重に基づき算出される値である。
本発明では、顔料容積濃度を上記範囲内で高く設定することにより、艶消しタイプの塗料、下地調整機能を有する塗料等を得ることができる。このような場合、顔料容積濃度は30〜80%(好ましくは35〜70%、より好ましくは40〜60%)に設定すればよい。
本発明で用いる塗料においては、上述の成分の他に通常塗料に使用可能な成分を含むこともできる。このような成分としては、例えば、繊維、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、架橋剤、撥水剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。本発明の塗料は、以上のような成分を常法により均一に混合することで製造することができる。
このうち、架橋剤としては、カルボキシル基と反応可能な官能基を有する架橋剤(C)(以下「(C)成分」という)が好適である。本発明では、このような(C)成分を使用することにより、膨れ防止性、剥れ防止性、汚れ防止性等を高めることができる。この(C)成分を使用する場合、(A)成分としては、外層にカルボキシル基を有するものを使用する。
(C)成分における、カルボキシル基と反応可能な官能基としては、例えば、カルボジイミド基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。このうち、本発明では特にエポキシ基が好適である。
エポキシ基を有する反応性化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。この他、エポキシ基含有モノマーの重合体(ホモポリマーまたはコポリマー)からなる水溶性樹脂やエマルションを挙げることもできる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
(C)成分の比率は、使用する(C)成分の反応性の程度等にもよるが、通常(A)成分の樹脂固形分100重量部に対し0.1〜50重量部(好ましくは0.3〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部)である
本発明では、上記塗料をシート材表面に塗付することで、塗膜を形成する。塗装方法としては、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等を採用することができる。塗膜の厚みは特に限定されず、適宜設定することができるが、通常は0.02〜2mm程度である。本発明では、建築物の屋根、屋上等において施工後、経年劣化したシート材を対象として、上記塗料を塗付することもできる。
上記塗膜層の上には、必要に応じ上塗材を塗付することにより上塗層を設けることもできる。上塗材としては、例えば、合成樹脂エマルションペイント、つや有り合成樹脂エマルションペイント、非水分散形樹脂エナメル等のフラット系塗料等が使用できる。これら上塗材の結合材としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等が使用可能である。これらは1種または2種以上で使用することができる。また、これら結合材は架橋反応性を有するものであってもよい。
本発明では、前述のような塗料によって塗膜層を形成させるため、上塗層の割れ、可塑剤移行による汚染等を抑制することもできる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(塗料の製造)
表1に示す配合に従い、各原料を常法により混合・攪拌することによって塗料を製造した。原料としては下記のものを使用した。顔料容積濃度は42%に設定した。
・樹脂1:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸)、
内層;シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、アクリル樹脂(Tg−50℃、構成成分;n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート)、シリコーン樹脂と内層アクリル樹脂の重量比18:82、
外層と内層の重量比45:55、固形分50重量%、カルボキシル基含有モノマー3重量%(固形分中)
・樹脂2:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸)、
内層;アクリル樹脂(Tg−50℃、構成成分;n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート)、
外層と内層の重量比50:50、固形分50重量%、カルボキシル基含有モノマー3重量%(固形分中)
・樹脂3:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸)、
内層;シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、
外層と内層の重量比50:50、固形分50重量%、カルボキシル基含有モノマー3重量%(固形分中)
・樹脂4:アクリル樹脂エマルション(Tg12℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸、固形分50重量%、カルボキシル基含有モノマー3重量%(固形分中))
・架橋剤:エポキシ基含有化合物(ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル)
・顔料1:重質炭酸カルシウム(平均粒子径4μm、比重2.7)
・顔料2:酸化チタン(平均粒子径0.3μm、比重4.2)
・造膜助剤:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
・可塑剤:フタル酸ジ−2−エチルヘキシル
・分散剤:ポリカルボン酸系分散剤(固形分30重量%)
・増粘剤:ポリウレタン系増粘剤(固形分30重量%)
・消泡剤:シリコン系消泡剤(固形分50重量%)
Figure 0004810336
(実施例1)
可とう性シート材として、市販のアスファルトシングルを用意し、その表面に上記方法で得た塗料1を、それぞれ塗膜厚みが0.3mmとなるようにスプレー塗装し、標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で14日間養生して化粧シート材を得た。
得られた化粧シート材を標準状態で折り曲げたところ、ひび割れの発生は認められなかった。同様に0℃下で折り曲げても、ひび割れの発生は認められなかった。
また、得られた化粧シート材を50℃恒温槽に14日間放置した後、シート材を水平に置いて放冷し、その表面に汚れ成分(黒色硅砂)を散布し、2時間放置した。次いで、試験板を垂直に立てた後、汚れ成分の残存の程度により耐汚染性を確認したところ、汚れ成分はほとんど残存しなかった。
一方、得られた化粧シート材について、水浸漬(23℃)18時間→−20℃3時間→50℃3時間を1サイクルとする温冷繰返し試験を合計10サイクル行い、標準状態に約1時間置いて、塗膜表面の状態を目視にて観察したところ、異常(膨れ又は割れ)はほとんど認められなかった。
(実施例2)
塗料1に代えて塗料2を使用した以外は、実施例1と同様の方法で化粧シート材を作製した。
得られた化粧シート材を標準状態で折り曲げたところ、ひび割れの発生は認められなかった。同様に0℃下で折り曲げても、ひび割れの発生は認められなかった。
また、耐汚染性試験において、汚れ成分は残存しなかった。温冷繰返し試験において、異常は全く認められなかった。
(比較例1)
塗料1に代えて塗料3を使用した以外は、実施例1と同様の方法で化粧シート材を作製した。
得られた化粧シート材を標準状態で折り曲げたところ、ひび割れの発生は認められなかったが、0℃下でひび割れの発生が認められた。
また、耐汚染性試験において、汚れ成分はほとんど残存しなかったが、温冷繰返し試験において、一部異常が認められた。
(比較例2)
塗料1に代えて塗料4を使用した以外は、実施例1と同様の方法で化粧シート材を作製した。
得られた化粧シート材を標準状態で折り曲げたところ、ひび割れの発生は認められなかったが、0℃下でひび割れの発生が認められた。
耐汚染性試験においては、一部汚れ成分が残存した。温冷繰返し試験においては、一部異常が認められた。
(比較例3)
塗料1に代えて塗料5を使用した以外は、実施例1と同様の方法で化粧シート材を作製した。
得られた化粧シート材を標準状態で折り曲げたところ、ひび割れの発生は認められなかったが、0℃下でひび割れの発生が認められた。
耐汚染性試験においては、一部汚れ成分が残存した。温冷繰返し試験においては、一部異常が認められた。
(比較例4)
塗料1に代えて塗料6を使用した以外は、実施例1と同様の方法で化粧シート材を作製した。
得られた化粧シート材を標準状態で折り曲げたところ、ひび割れの発生は認められなかった。0℃下でもひび割れの発生は認められなかった。
耐汚染性試験においては、汚れ成分が著しく残存した。温冷繰返し試験においては、一部異常が認められた。

Claims (1)

  1. 可とう性を有するシート材の表面に塗膜層が設けられた化粧シート材であって、
    当該塗膜層は、外層がガラス転移温度20〜100℃のアクリル樹脂であって、内層に環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂及びガラス転移温度−60〜20℃のアクリル樹脂を含み、内層におけるシリコーン樹脂とアクリル樹脂の重量比率が70:30〜1:99である多層構造型合成樹脂エマルション(A)、顔料及び/または骨材(B)を含む塗料によって形成されたものであることを特徴とする化粧シート材。
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