JP2013001778A - 防水材及び防水層の改修方法 - Google Patents

防水材及び防水層の改修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐汚染性及び耐候性に優れ、かつ、高い付着性を有し、プライマー及びトップコートを必要としない遮熱性に優れた防水材及び前記防水材による防水層の改修方法を提供する。
【解決手段】本発明の防水材は、Tgが−40℃〜−20℃であるコアシェル型エマルション、吸油量が10〜40mg/100gである体質顔料、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含有する防水材であって、その日射反射率が50%以上であることを特徴とする。また、本発明の防水層の改修方法は、前記防水材を施工することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、建築物の遮熱性を有する防水材及び防水層の改修方法に関する。
近年、屋外建築物用の防水材には、環境面を考慮して水系塗材が要求されている。
水系塗材においては、低温での伸びを出すために塗材を構成するエマルションのガラス転移温度(以下、Tg)を低く設定することが一般的に行われている。また、屋外建築物の屋根を中心として、中空バルーン等の添加等により近赤外線等を反射することで遮熱性を付与する試みがなされている。
しかし、Tgを下げることで塗材に粘着性が生じ、耐汚染性を満たさなくなる。屋外建築物用の塗材を塗布して形成される塗膜には、汚染物質の塗膜への付着や固定化を防ぐために、耐汚染性の特性が要求されており、このようなTgの低い塗材を用いる場合には、トップコートが必要とされる。更に、接着強度を満足するためにプライマーも必要とされる。また、中空バルーンの添加による遮熱性能の付与は、塗膜性能低下を引き起こす。
このような問題点を解決するものとして特許文献1記載の塗材組成物がある。また、遮熱性を付与するものとして特許文献2、3記載の塗材組成物がある。
特開2009−249414号公報 特開2004−204017号公報 特開2005−34766号公報
特許文献1の防水材は、耐汚染性を獲得するためにエマルションのTgを高く設定している。更に、塗料の伸びが不足するため、高沸点溶剤を入れて可塑性を付与している。
しかし、防水材に高沸点溶剤を入れることで塗膜自体は軟らかくなるが、その一方で加熱伸縮性状が悪くなることが本発明者らにより明らかとなった。このような防水材は、塩化ビニルシートからなる防水層の改修には適さず、伸縮によるストレスから塩化ビニルシートに破断が生じてしまう。
特許文献2の防水材は、中空バルーンを添加する方法によって、遮熱性を付与している。
しかし、防水材に中空バルーンを添加した場合、防水性能を左右する塗膜の伸び、強度が低下する。また、トップコートに中空バルーンを添加した場合、トップコート自体の膜厚が薄いため期待する効果が得られにくい。
特許文献3は、反射率の高い白色塗膜の上に透過率の高い材料を塗布することにより、遮熱性を付与する工法である。
しかし、透過率が高い材料を塗布する場合は、隠蔽性が不足するため、仕上がりに影響を与える。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、耐汚染性及び耐候性に優れ、かつ、高い付着性を有し、プライマー及びトップコートを必要としない遮熱性に優れた防水材及び前記防水材による防水層の改修方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の防水材は、Tgが−40℃〜−20℃であるコアシェル型エマルション、吸油量が10〜40mg/100gである体質顔料、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含有する防水材であって、その日射反射率が50%以上であることを特徴とする。
(2)本発明の防水材は、前記コアシェル型エマルションを40〜70質量%、前記体質顔料を10〜40質量%、及び前記着色顔料を3.8質量%以上含有することが好ましい。
(3)本発明の防水材は、前記着色顔料が二酸化チタンであることが好ましい。
(4)本発明の防水材は、前記体質顔料の平均粒径が2〜20μmであることが好ましい。
(5)本発明の防水層の改修方法は、前記本発明の防水材を防水層に施工することを特徴とする。
(6)本発明の防水層の改修方法は、トップコートを防水層に施工する工程を有することが好ましい。
(7)本発明の防水層の改修方法は、前記防水層が塩化ビニルシートからなることが好ましい。
(8)本発明の防水層の改修方法は、前記防水層がFRPからなることが好ましい。
(9)本発明の防水層の改修方法は、前記防水層がウレタン防水材からなることが好ましい。
(10)本発明の防水層の改修方法は、前記防水層が合成ゴムシートからなることが好ましい。
本発明の防水材によれば、耐汚染性及び耐候性に優れるため、トップコートを必要とせず、かつ、高い付着性を有するため、プライマーを必要とせずに種々の建造物に直接施工することができる。
また、本発明の防水材によれば、遮熱性に優れているため、防水材に中空バルーンなどの塗膜物性に影響を与えるものを添加する必要のないことから、塗膜物性を好適に調整可能である。
更に本発明の防水材を中塗り材として使用することにより、通常の遮熱性を持つトップコートを塗布する工法よりも優れた遮熱性を付与するこができる。
本発明の防水層の改修方法によれば、プライマー及びトップコートを必要とせず、優れた遮熱効果を有するため施工工程の低減が可能となり、すべての施工工程において中塗りの材料だけで、仕上げることができ、施工管理が容易なものとなる。また塗料の付着性が特に良好なため、他の素材によって施工された防水層を容易に改修することができる。
実施例及び比較例に係るランプ照射試験の説明図である。 実施例及び比較例に係る防水材中の二酸化チタン含有量と近赤外域日射反射率の関係図である。
[コアシェル型エマルション]
本発明の防水材は、Tgが−40℃〜−20℃であるコアシェル型エマルション、吸油量が10〜40mg/100gである体質顔料、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含有する防水材であって、その日射反射率が50%以上である。
ここでいう日射反射率とは、JIS K 5602で求められる近赤外域の日射反射率である。
本発明の防水材を構成する合成樹脂全体のTgは、−40℃〜−20℃であることが必須である。Tgが、−40℃未満であると、十分な耐汚染性を獲得することができない。
また、本発明の防水材を構成する合成樹脂としては、コアシェル型であることが必須である。前記合成樹脂がコアシェル型でない場合、−40℃〜−20℃のTgでは、付着性を獲得することができない。本発明の防水材においては、コアシェル型エマルションのシェル部のTgがコア部のTgより低くなるように、コアシェル型エマルション組成物を構成する単量体成分を選択することが好ましい。このような選択により、塗膜強度を損なうことなく、付着性を維持することができる。
本発明の防水材は、前記コアシェル型エマルションを40〜70質量%含有することが好ましく、55〜60質量%含有することがより好ましい。
コアシェル型エマルションとしては、アクリル樹脂エマルション、アクリルシリコン樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、ポリエステル樹脂エマルション、アルキド樹脂エマルション、メラミン樹脂エマルションなどが挙げられ、耐候性、樹脂設計の自由度の高さ、コスト面等の観点から、アクリル樹脂エマルションが好ましい。
アクリル樹脂エマルションとしては、アクリル系単量体、及びアクリル系単量体と共重合可能な単量体とをラジカル共重合により得られるものが使用できる。
使用可能な上記単量体としては、特に限定はないが、(メタ)アクリレート系単量体、芳香族炭化水素系ビニル単量体、ビニルエステルやアリル化合物、ニトリル基含有ビニル系単量体、エポキシ基含有ビニル系単量体、水酸基含有ビニル系単量体等が挙げられる。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
(メタ)アクリレート系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族炭化水素系ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
ビニルエステルやアリル化合物としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレート等が挙げられる。
ニトリル基含有ビニル系単量体としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
エポキシ基含有ビニル系単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基含有ビニル系単量体としては、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシスチレン、アロニクス5700(東亜合成化学(株)製)、placcelFA−1、placcelFA−4、placcelFM−1、placcelFM−4(以上、ダイセル化学(株)製)、HE−10、HE−20、HP−10、HP−20(以上日本触媒(株)製)、ブレンマーPEPシリーズ、ブレンマーNKH−5050、ブレンマーGLM(以上日本油脂(株)製)、水酸基含有ビニル系変性ヒドロキシアルキルビニル系モノマー等が挙げられる。
その他の単量体としては、東亜合成化学(株)製のマクロモノマーである、AS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−5などの化合物、ビニルメチルエーテル、プロピレン、ブタジエン等が挙げられる。
また、エマルションの安定性を向上させることが可能な親水性を有するビニル系単量体を使用してもよい。
前記ビニル系単量体としては、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−スルホエチルメタクリレートナトリウム、2−スルホエチルメタクリレートアンモニウム、ポリオキシアルキレン鎖を有するビニル系単量体が挙げられる。
ポリオキシアルキレン鎖を有するビニル系単量体としては、ポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
ポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、日本油脂(株)製ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、AE−90、AE−200、AE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、AP−400、AP−550、AP−800、700PEP−350B、10PEP−550B、55PET−400、30PET−800、55PET−800、30PPT−800、50PPT−800、70PPT−800、PME−100、PME−200、PME−400、PME−1000、PME−4000、AME−400、50POEP−800B、50AOEP−800B、AEP、AET、APT、PLE、ALE、PSE、ASE、PKE、AKE、PNE、ANE、PNP、ANP、PNEP−600、共栄社化学(株)製ライトエステル130MA、041MA、MTG、ライトアクリレートEC−A、MTG−A、130A、DPM−A、P−200A、NP−4EA、NP−8EA、EHDG−A、日本乳化剤(株)製MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RMA−1120、RMA−564、RMA−568、RMA−506、MPG130−MA、Antox MS−60、MPG−130MA、RMA−150M、RMA−300M、RMA−450M、RA−1020、RA−1120、RA−1820、新中村化学工業(株)製NK−ESTER M−20G、M−40G、M−90G、M−230G、AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G、AM−90G、LA、三洋化成(株)製エレミノールRS−30等が挙げられる。
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの重合性の不飽和結合を2つ以上有する単量体を使用してもよい。この場合、生成した粒子内部に架橋を有する構造となり、形成した塗膜の耐水性が向上する。
また、トリフルオロ(メタ)アクリレート、ペンタフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有ビニル系単量体を使用してもよい。これにより、高度な撥水・撥油を有するフッ素含有アクリル系樹脂エマルションが作製可能である。
また、上記単量体にカルボニル基含有ビニル系単量体を使用してもよい。これにより、ヒドラジンおよび/またはヒドラジド基を含有する化合物を配合した架橋型アクリル樹脂エマルションが作製可能である。
上記アクリル樹脂エマルションは、通常の合成方法を採用することで得ることができ、エマルションの粒子径および安定性、さらには塗料組成物中の有機溶剤含有量を低減させることを考慮すると乳化重合法が好ましい。
前記乳化重合法には特に限定がなく、例えば、バッチ重合法、モノマー滴下重合法、乳化モノマー滴下重合法などの各種乳化重合法の中から適宜選択して採用することができる。
乳化重合に際しては、通常用いられるイオン性または非イオン性の界面活性剤を用いることができる。
イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤、スルホン酸塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアリルエーテルサルフェート、オクチルフェノキシエトキシエチルスルホネート、ポリオキシエチレントリデシルエーテルサルフェート等が挙げられる。
スルホン酸塩としては、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、イソオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
アンモニウム塩としては、イミダゾリンラウレート、アンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。
また、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレン類;L−77、L−720、L−5410、L−7602、L−7607(以上、ユニオンカーバイド社製)などのシリコーンを含む非イオン系の界面活性剤等が挙げられる。
本発明においては、界面活性剤として1分子中に重合性二重結合を有する反応性界面活性剤を用いることが耐水性、耐候性の点で好ましい。また、特に分子内にポリオキシアルキレン基を有する反応性界面活性剤を用いた場合には、機械的安定性を向上させることができる。
アクリル樹脂エマルション中の樹脂固形分濃度は、20〜70質量%が好ましく、より好ましくは30〜60質量%となるように調整する。50〜55質量%が特に好ましい。
アクリル樹脂エマルションとしては、全体のTg(ガラス転移温度)が−40℃〜−20℃であれば、特に限定されず、DIC(株)製ボンコート、ウォーターゾール、日本触媒(株)製アクリセット、ユーダブル、昭和高分子(株)製ポリゾール、ヘンケルジャパン(株)製ヨドゾール、カネビノール、旭化成工業(株)製ポリトロン、ポリデュレックス、中央理化工業(株)製リカボンド、ダウコーティングマテリアルズ製プライマル、BASFジャパン(株)製アクロナール、クラリアントポリマー(株)製モビニール、(株)カネカ製ゼムラック、カネビラック等が挙げられる。
[体質顔料]
本発明の防水材においては、Tgが−40℃〜−20℃であるコアシェル型エマルションを用いているため、引張強度を上げる目的で体質顔料を加えるが、塗膜防水材としての要求性能である伸びも確保する必要がある。
そのため、本発明の防水材は、吸油量が10〜40mg/100gである体質顔料を含有する。
前記体質顔料の吸油量としては、10〜40mg/100gであり、10〜40mg/100gが好ましく、22〜27mg/100gがより好ましい。吸油量が10〜40mg/100gである場合、塗材の強度が十分確保される。10mg/100g以上である場合、体質顔料の平均粒径は過大とならず、平滑な塗膜を維持することができ、40mg/100g以下である場合、粘度が上昇しすぎることなく、塗布性が維持される。
尚、本発明における体質顔料の吸油量は、JIS K 5101の規定に準拠した煮あまに油法によって測定して求められるものである。
本発明の防水材は、前記体質顔料を10〜40質量%含有することが好ましく、25〜30質量%含有することがより好ましく、25〜28質量%含有することが特に好ましい。
前記体質顔料の平均粒径としては、上記吸油量の範囲を満たすものが好ましく、2〜20μmがより好ましく、3〜10μmが特に好ましい。
本発明の防水材に用いられる体質顔料としては、クレー(カオリンなど)、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、マイカ、硫酸バリウムおよびシリカ等が挙げられ、炭酸カルシウムが好ましい。
[着色顔料]
本発明の防水材は、カーボンブラック以外の着色顔料を含有し、カーボンブラックを実質的に含有しない。ただし、防水材の日射反射率が50%以上となるように配合する必要があり、80%以上が特に好ましい。尚、本発明における日射反射率とは、JIS K 5602で求められる近赤外域における日射反射率である。
着色顔料としては、例えば、ニ酸化チタン等の白色顔料;鉄黒、アニリンブラック、銅・クロムブラック、コバルトブラック、銅・マンガン・鉄ブラック等の複合酸化物系顔料などの黒色顔料;黄色酸化鉄、チタンイエロー、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アゾメチンイエロー、ビスマスバナデート、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー等の黄色顔料;パーマネントオレンジ等の橙色顔料;赤色酸化鉄、ナフトールAS系アゾレッド、アンサンスロン、アンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドン系赤顔料、ジケトピロロピロール、ウォッチングレッド、パーマネントレッド等の赤色顔料;コバルト紫、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料;コバルトブルー、フタロシアニンブルー、スレンブルーなどの青色顔料;フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などを挙げることができ、二酸化チタンが好ましい。
光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム粉、ブロンズ粉、銅粉、錫粉、リン化鉄、亜鉛粉等のメタリック顔料;金属酸化物コーティング雲母粉、マイカ状酸化鉄等の真珠光沢調顔料などを挙げることができる。
これらの着色顔料及び光輝性顔料は、単独で又は2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
本発明において、前記着色顔料の使用割合としては、2〜20質量%含有することが好ましく、3.8〜10質量%含有することが特に好ましい。ただし、着色顔料の種類によって、流動性や塗膜の日射反射率が変わるので注意が必要であり、近赤外線の吸収率が高いカーボンブラックは含有しないほうが好ましい。
[高沸点溶剤]
また、本発明においては、可塑成分として高沸点溶剤を加えてもよい。
前記高沸点溶剤としては、例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエーテルポリオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエステル等が挙げられ、沸点200℃以上のものが好ましく、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールノルマルブチルエーテルがより好ましく、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート特に好ましい。
かかる高沸点溶剤については、防水材に可塑性を付与する観点から使用してもよいが、加熱伸縮の観点から使用しないほうがよい。
[消泡剤]
本発明において、形成塗膜の仕上がり性、塗料製造段階において発生する泡を抑制、破泡する等を目的として消泡剤を含有することが好ましい。
本発明においては消泡剤として、疎水性シリカ又は脂肪族アミド消泡剤、鉱油やシリコーンオイル、シリコーンエマルション、ポリオルガノシロキサン化合物等のシリコン化合物が挙げられ、脂肪族アミド消泡剤が好ましい。
疎水性シリカとしては、シリカを有機変性したものであり、例えば、鉱物由来あるいは合成系のシリカ微粒子の表面等にあるシラノール基にオルガノハロシラン、ジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、トリメトキシオクチルシラン、トリメチルシラン等を反応結合させて得られた化合物;シリカ微粒子と末端にヒドロキシル基を有するジメチルポリシロキサン又はジメチルハイドロジエンポリシロキサン等を混合して200〜300℃で加熱処理してシリカ微粒子表面にアルキルポリシロキサンを結合させて得られた化合物;シリカ微粒子表面にシリコーンオイルを気相吸着することにより得られる化合物等が挙げられ、これらは1種あるいは2種以上併用して用いることができる。
本発明において、前記消泡剤は、0.01〜5質量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜2.0質量%の範囲内であることがより好ましい。
[粘性調整剤]
また、本発明において、塗布作業性、顔料沈降防止等の観点から粘性調整剤を含むことが好ましい。
前記粘性調整剤としては、水溶性ケイ酸アルカリ、モンモリロナイト、コロイド状アルミナ等の無機系化合物;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体系化合物;プルロニックポリエーテル、ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルウレタン変性物、ポリエーテルエポキシ変性物等のポリエーテル系化合物;ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリアクリル酸系化合物;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルベンジルアルコール共重合物等のポリビニル系化合物;カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質誘導体;ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合物の部分エステル、乾性油脂肪族アリルアルコールエステル−無水マレイン酸の反応物のハーフエステル等の無水マレイン酸共重合体等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用できる。
前記粘性調整剤の使用量としては、0.1〜5質量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜1.5質量%の範囲内であることがより好ましい。
[分散剤]
また、本発明において、分散剤を含むことが好ましい。
前記分散剤の使用量としては、0.1〜5質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜1.5質量%の範囲内であることがより好ましい。
[アルコール系溶剤]
本発明の防水材に配合可能な有機溶剤としては、エステル類、エーテル類、ケトン類、アルコール類などが挙げられ、アルコール類が好ましい。
エステル類としては、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、2,2,4−トリメチルペンタジオール−1,3−モノイソブチレートなど、エーテル類としては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサンなど、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトンなど、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
これらの有機溶剤は1種単独でもよく、また2種以上併用してもよい。前記有機溶剤の使用量としては、0.1〜5質量%の範囲内であることが好ましく、1〜2質量%の範囲内であることがより好ましい。
[その他]
本発明の防水材は、必要に応じて、硬化触媒、芳香剤、脱臭剤、抗菌剤、中和剤、界面活性剤、水性撥水剤、防腐剤、防カビ剤、防藻剤、凍結防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、低汚染化剤、可塑剤等の塗料用添加剤を含有することができる。
[施工方法]
本発明の防水材を適用することのできる素材(被塗物)としては、特に限定されず、具体的には、モルタル、コンクリート、ALC(軽量気泡コンクリート)、ウレタン、アクリルウレタン、塩化ビニル、FRPを含む各種プラスチック、合成ゴム、砂付きルーフィング、等が挙げられる。
本発明の防水材は付着性に優れているため、本発明の防水材を用いた施工方法としては、前記素材の上に、プライマーなしで前記防水材を施工する方法、屋外曝露を受けた前記素材または既存塗膜の上に、プライマーなしで直接前記防水材を施工する方法等が挙げられる。
本発明の防水材のみを施工しても十分遮熱効果が得られるが、特に遮熱性が求められる金属屋根に対して、錆止め塗料を塗布した後に、本発明の防水材を施工してもよい。この場合、錆止め塗料としては、2液反応硬化型エポキシ変性錆止め塗料が好ましい。
既存塗膜を構成する仕上げ塗材としては、単層弾性塗材、合成樹脂エマルションペイント、ウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂系エナメル塗料、塩化ビニル樹脂系塗料、吹付タイル、樹脂リシン系塗料、その他公知の各種有機系塗料、またセメントリシン系、セメントスタッコ系、ケイ酸質系等の無機系塗料がある。
また、本発明の防水材は耐候性に優れているため、本発明の防水材を用いた施工方法としては、トップコートなしで前記防水材を施工する方法が挙げられる。
ただし、本発明の防水層の改修方法としては、防水層にトップコート由来の性質を付与するために、トップコートを防水層に施工する工程を有していてもよく、多様な色彩の外観を得るために、遮熱性を有するトップコートを塗布することがより好ましい。
塗布方法としては、刷毛、ローラー刷毛、エアスプレー、エアレススプレー等を用いた公知の方法が挙げられる。本発明においては、付着性に優れた塗料を用いるので、素材そのままや既存塗膜に対して塗布するときは、シーラーやプライマー処理を行う必要はなく、直接、塗布することができる。
塗布量は、塗料の固形分濃度や密度、素材や既存塗膜あるいは中塗材層の種類や用途、模様の有無等に応じ、適宜変更することが好ましい。通常、均一の厚みをもった塗膜を形成するためには、塗料粘度を80〜120KUに、塗布量は0.8〜2.0kg/m を数回に分けて塗布する。
本発明の防水材を用いた施工方法はかかる特徴を有するため、防水層の改修方法に適している。
[塩化ビニルシート防水層の改修方法]
本発明の防水層の改修方法は、前記本発明の防水材を塩化ビニルシートからなる防水層(以下、塩化ビニルシート防水層)表面に直接施工する方法である。
塩化ビニルシート防水層は、塩化ビニル樹脂系ルーフィングシートを、接着工法、絶縁ないし断熱工法等により施工したものである。
雨水、風、日射等により経年劣化した塩化ビニルシート防水層の改修方法としては、既設防水層の上に新たに塩化ビニルシートを施工する方法や、劣化した塩化ビニルシートを撤去した後に新たに塩化ビニルシートを施工する方法が挙げられる。
既設防水層の上に新たに塩化ビニルシートを施工する方法においては、新設防水層と既設防水層との間に生じる膨れを考慮しなければならない点に難がある。
劣化した塩化ビニルシートを撤去した後に新たに塩化ビニルシートを施工する方法においては、撤去後、ポリマーセメントやポリマーモルタル等により被補修面を平滑に仕上げる等の下地処理を行う必要があり、作業に熟練を要する。
さらに、接着剤を用いて施工する場合には、接着剤の臭気が環境面から問題となっている。
また、他の改修方法として、ウレタン塗膜防水材を防水層に塗布して施工する改修方法が挙げられる。前記改修方法においては、ウレタン塗膜防水材と塩化ビニルシートとの接着性が悪いため、塩化ビニルシートとの接着性に優れたプライマーを使用する必要がある。
更に、防水層に用いる塩化ビニルシートは浮かし張りにより施工されていることが多く、ウレタン塗膜防水の経年劣化による収縮や液状の超速硬化ウレタン塗布時の加温により、塩化ビニルシートに過剰なストレスがかかり、施工後に塩化ビニルシートの膨れや破断が生じやすいといった問題点がある。
本発明の防水層の改修方法は、前記本発明の防水材を塩化ビニルシート防水層表面に直接塗布して施工し、防水層を新設する方法である。
本発明の防水材は、付着性、耐候性、加熱伸縮性能に優れている。そのため、本発明の防水層の改修方法によれば、防水材施工前のプライマーの塗布が不要である。またトップコートが不要であり、施工後に塩化ビニルシートに物理的なストレスが生じることがない。
更に、本発明の防水材は水性であるため、塩化ビニルシートを劣化させる恐れがない。
[FRP防水層の改修方法]
本発明の防水層の改修方法は、前記本発明の防水材をFRPからなる防水層(以下、FRP防水層)表面に直接施工する方法である。
FRP防水施工とは、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂やウレタン(メタ)アクリレート樹脂をガラスマットや有機繊維等の補強材に含浸して硬化させ、防水性を有する皮膜を得る工法である。
近年、建造物の屋上、ベランダ等には、前記FRP防水施工が施されている。このような建造物に施工されたFRP防水層が経年劣化した場合、既設のFRP防水層の上に新たにFRPを施工するのが一般的である。
しかしながら、FRP防水施工は上記構成からなる工法であるため、前記施工方法には臭気や混合攪拌の手間、硬化不良等の問題があり、更に、作業に熟練を要する。
本発明の防水材は、一液型水性塗材であり、ローラー刷毛により塗布可能であるため、本発明のFRP防水層の改修方法によれば、前記問題点を全て解消することができる。
また、他の改修方法として従来の塗膜防水材を用いる場合、FRP防水層は、層表面にワックスが存在するため、前記塗膜防水材を前記防水層表面に接着させることはできない。
対策としては、接着性に優れたプライマーを防水層表面に塗布した後に、前記塗膜防水材を接着させる方法や、サンディングにより前記防水層表面を目荒らしした後、前記塗膜防水材を物理的に接着させる方法が挙げられる。
しかしながら、環境汚染を考慮して水性プライマーを用いる場合、前記水性プライマーは接着性を十分に満たさない。また、目荒らしをする場合、ガラス繊維が飛散するため施工時に難がある。
本発明のFRP防水層の改修方法は、本発明の防水材をFRP防水層表面に直接塗布して施工し、防水層を新設する方法である。
本発明の防水材は、付着性及び耐候性に優れているため、本発明のFRP防水層の改修方法によれば、塗膜防水材施工前のプライマーの塗布及び塗膜防水材施工後のトップコート処理が不要である。更に、本発明の防水材は水性であるため、居住環境での改修においても安全に作業をすることができる。
本発明のFRP防水層の改修方法は、特に限定されないが、FRP防水施工が施される屋上、ベランダ、バルコニー、屋根等で用いられる。
[ウレタン塗膜防水層の改修方法]
本発明の防水層の改修方法は、前記本発明の防水材をウレタン塗膜防水材からなる防水層(以下、ウレタン塗膜防水層)表面に直接施工する方法である。
上述したように、本発明の防水材は、既存のウレタン塗膜に対しても付着性に優れている。よって、本発明のウレタン塗膜防水層の改修方法によれば、塗膜防水材施工前のプライマーの塗布が不要である。
[合成ゴムシート防水層の改修方法]
本発明の防水層の改修方法は、前記本発明の防水材を合成ゴムシートからなる防水層(以下、合成ゴムシート防水層)表面に直接施工する方法である。
上述したように、本発明の防水材は、合成ゴムに対しても付着性に優れている。よって、本発明の合成ゴムシート防水層の改修方法によれば、塗膜防水材施工前のプライマーの塗布が不要である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
コアシェル型エマルション組成物(ダウコーティングマテリアルズ社製、エラスティン2885)58.4質量%、分散剤(ダウコーティングマテリアルズ社製;プライマル850FF)0.9質量%、二酸化チタン7.7部質量%、炭酸カルシウム(平均粒径5.4μm、吸油量24mg/100g)26.9質量%および消泡剤0.8質量%を混合分散して、分散ペーストを調製した。さらに、消泡剤を0.2質量%、増粘剤0.2質量%と分散ペーストを混合撹拌して、実施例1の防水材を得た。尚、カーボンブラックの含有率は0質量%である。
実施例1の防水材を以下に示す付着試験方法で測定し、結果を表1に示した。
(1) 標準養生後の付着
実施例1の防水材を基材に塗布後、23℃、50%RH中で24時間養生し、(3)に示す付着試験を行った。
(2) 耐水試験後の付着
(1)の試験後、実施例1の防水材を塗布した基材を水に24時間浸漬し、取り出した後、23℃、50%RH中で24時間養生し、(3)に示す付着試験を行った。
(3)付着試験方法(JIS K 5600−5−6に準拠)
基材に形成させた塗膜にカッターで、2mm幅の碁盤目状の切込みを100マス分入れた。切り込みの上にセロハンテープを貼り、そのセロハンテープをすばやく剥がし、100マス中何マス剥がれたかを確認した。表中、剥がれたマス数/100マスを記載した。
Figure 2013001778
表1に示すとおり、本発明の防水材は、モルタル、コンクリート、ALC(軽量気泡コンクリート)、アクリルウレタン、塩化ビニル、合成ゴム、砂付ルーフィングに優れた付着性を示し、さらに優れた耐水性を示した。
実施例1の防水材の遮熱性を以下に示す方法で評価し、結果を表2に示した。
(1) 日射反射率(JIS K 5602に準拠)
実施例1の防水材をJIS K 5600−4−1の4.1.2に規定する隠ぺい率試験紙に塗布し、黒部塗面に関して分光光度計で測定し、JIS K 5602による近赤外域における日射反射率を記載した。
Figure 2013001778
表2に示すとおり、実施例1の防水材は、非常に高い日射反射率を示した。
(比較例1)
比較例1としてアトミクス社製、アトレーヌ水性トップLを用いた。
(比較例2)
比較例2として東亜合成社製、アロンコートを用いた。
実施例1及び比較例1〜2の防水材を以下に示す汚染性試験方法で測定し、結果を表3に示した。
(1) 汚染性試験
実施例1及び比較例1〜2の塗料を30milアプリケーターで塗布し、各温度で1週間養生した。その後、カーボン紙を塗膜上に置き、その上に500gの錘を24時間載せ、カーボン紙の張り付き状況を下記基準で目視評価した。
○:張り付きが全くない
△:張り付きが目立たない程度にある
×:張り付きが目立つ
Figure 2013001778
表3に示すとおり、実施例1で得られた本発明の防水材は、比較例1や2と比較して、優れた耐汚染性を示した。
(比較例3)
コアを有しない構造でTgが約20℃の樹脂(ボンコートYG−609(DIC(株))Tg19℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で防水材を得た。
(比較例4)
コアを有しない構造でTgが約0℃の樹脂(ボンコート550EF(DIC(株))Tg0℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で防水材を得た。
(比較例5)
コアを有しない構造でTgが約−20℃の樹脂(アクロナールYJ−2741D(BASFジャパン(株))Tg−14℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で防水材を得た。
(比較例6)
コアを有しない構造でTgが約−40℃以下の樹脂(ポリゾールAP−5575(昭和高分子(株))Tg−60℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で防水材を得た。
実施例1及び比較例3〜6の防水材を以下に示す試験方法で測定し、結果を表4に示した。
(1) 塗膜強度
塗膜引張強度を下記基準で評価した。
○:23℃引張試験測定値に対する−20℃引張測定値の比率が100%以上400%以下、且つ23℃引張試験測定値に対する60℃引張測定値の比率が30%以上
△:23℃引張試験測定値に対する−20℃引張測定値の比率が401%以上500%以下、且つ23℃引張試験測定値に対する60℃引張測定値の比率が30%以上
×:23℃引張試験測定値に対する−20℃引張測定値の比率が501%以上、且つ23℃引張試験測定値に対する60℃引張測定値の比率が30%以上
(2) 塗膜伸び率
−20℃における塗膜引張伸び率を下記基準で評価した。
○:70%以上
△:60%以上70%未満
×:60%未満
(3) 付着性
塩ビシートに対する付着性を上述した付着試験方法を用いて評価した。
○:剥がれたマス数が10マス以下/100マス
△:剥がれたマス数が11マス以上30マス以下/100マス
×:剥がれたマス数が31マス以上/100マス
(4) 耐汚染性
表3に示される試験項目の記載と同様であるため、省略する。
Figure 2013001778
表4に示すとおり、実施例1で得られた本発明の防水材は、Tgの低い比較例6と比較して、優れた耐汚染性を示した。さらに、実施例1で得られた本発明の防水材は、Tgが高い比較例5と比較して、優れた塗膜強度及び付着性を示した。
(実施例2)
炭酸カルシウム(平均粒径5.4μm、吸油量24mg/100g)を30.3質量%
用いた以外は、実施例1と同様の方法で塗料を得た。
(比較例7)
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを2質量%用いた以外は、実施例2と同様の方法で防水材を得た。
実施例1〜2及び比較例7の防水材を以下に示す試験方法で測定し、結果を表5に示した。
(1) 加熱伸縮性能試験
JIS A 6021に準拠し、80℃で168時間加熱後、測長器で塗膜の長さを測定し、加熱処理前の塗膜の長さに対する伸縮率を算出した。
Figure 2013001778
表5に示すとおり、実施例1及び実施例2で得られた本発明の防水材は、高沸点溶剤を除いたため、加熱後の伸縮率がJIS A 6021建築用塗膜防水材屋根用アクリルゴム系の規格範囲内だった。
(比較例8)
消泡剤として脂肪族アミノ酸を1質量%、ポリシロキサンを1質量%用いた以外は、比較例7と同様の方法で塗料を得た。
実施例1〜2及び比較例7〜8の防水材を以下に示す試験方法で測定し、結果を表6に示した。
(1) 増粘性試験
防水材を入れた容器を55℃で14日間養生する。その後、粘度測定を行った。
Figure 2013001778
表6に示すとおり、消泡剤脂肪族アミド系を含む実施例1、実施例2で得られた本発明の防水材及び比較例7は、増粘しなかった。一方、ポリシロキサン系消泡剤を含む比較例8では増粘し、ゲル化した。
(比較例9)
炭酸カルシウム(平均粒径1.0μm、吸油量27mg/100g)を30.3質量%
用いた以外は、比較例8と同様の方法で防水材を得た。
実施例1〜2及び比較例9の防水材を以下に示す試験方法で測定し、結果を表7に示した。
(1)アルカリ処理後の引張性能試験
JIS A6021建築用塗膜防水材屋根用アクリルゴム系に準拠し、アルカリ処理後、引張試験機で、樹脂の引張強さを測定し、引張性能の引張強さに対する比(百分率)の平均値を示した。
Figure 2013001778
表7に示すとおり、炭酸カルシウム(平均粒径5.4μm、吸油量24mg/100g)を含む実施例1及び実施例2で得られた本発明の防水材は、アルカリ処理後の引張強さ比がJIS A 6021建築用塗膜防水材屋根用アクリルゴム系の規格範囲内だった。
(比較例11、実施例3、4)
表8に示されるように、炭酸カルシウムと二酸化チタンの比率以外は、実施例1と同様の方法で比較例11、実施例3、4の防水材を得た。
(比較例12)
表8に示されるように、近赤外線を吸収するカーボンブラックを0.15質量%加えた以外は、実施例1と同様の方法で防水材を得た。
実施例1、3、4及び比較例11、12の防水材を以下に示す試験方法で測定し、結果を表8に示した。
(1) 日射反射率測定
JIS R 5602に準拠して測定し、近赤外域の日射反射率を求め記載した。
(2) ランプ照射試験
図1のように、乾燥した塗膜に100Wのハロゲンランプを照射し、それぞれの塗膜表面温度を表8に示す表面温度℃「単体」の欄に、記載した。また、実施例1、3、4及び比較例11、12の防水材を塗布した基材にアトミクス(株)製アトムレイズ水性トップSGのトップコートを塗布した。これらの塗膜について、同様に(2)ランプ照射試験を行い、その表面温度を測定した。結果を表8に示す表面温度℃「トップコート塗布」の欄に示した。
Figure 2013001778
表8に示すとおり、二酸化チタンを3.8質量%以上含有している実施例1、3、4の防水材は、単体での日射反射率が80%以上であることが確認された。
また、実施例1、3、4の防水材は、日射反射率が低い比較例11、12の防水材を使用したときと比べて、遮熱性を有するトップコートを使用したときでも、表面温度を低減させる効果が顕著に見られることが確認された。
更に、表8に示した結果を基に、防水材中の二酸化チタン含有量と近赤外域日射反射率の関係を図2に示した。図2より、二酸化チタン含有量が増大するにつれて、近赤外域日射反射率が高くなっていることが分かる。本実施例において、二酸化チタンを3.8質量%以上になると、近赤外域日射反射率は、ほぼ飽和の領域にあることが見出された。
(比較例10)
比較例10として、アトミクス(株)製イージーワンスーパー(ウレタン塗膜防水材)を用いた。
実施例1の防水材を塗布した基材にトップコートとして複数の色相のアトミクス(株)製アトムレイズ水性トップSGを塗布した。比較例10の防水材を塗布した基材にトップコートとして複数の色相のアトミクス(株)製アトレーヌUトップG(ウレタン塗膜防水材用トップコート、2液溶剤形アクリルウレタン樹脂塗料)を塗布した。なお、それぞれのトップコートは同色名で表記したものは、同色となるように色相を調整した。
これらの塗膜について、同様に(1)日射反射率測定(2)ランプ照射試験を行い、結果を表9に示した。
Figure 2013001778
表9に示すとおり、実施例1の防水材は、一般的な塗膜防水材の仕様である比較例10の防水材に比べて、日射反射率が高く、同じ色相対比で表面温度が7〜13℃低いことが確認された。特に、日射反射率の高い色相のトップコートを使用した場合、塗膜の表面温度が低くなることが確認された。
実施例1及び比較例12の防水材を塗布した基材にトップコートとして複数の色相のアトミクス(株)製アトムレイズ水性トップSGを塗布した。これらの塗膜について、上記(2)ランプ照射試験を行い、塗膜の表面温度の測定結果を表10に示した。
Figure 2013001778
表10に示すとおり、遮熱性を有するトップコートを塗布した場合においても、実施例1の防水材を中塗りにすることで、約3℃表面温度が低くなることが確認された。
以上の結果から、本発明によれば、耐汚染性、耐候性及び遮熱性に優れた防水材、及びかかる防水材を用いた防水層の改修方法を提供できることが明らかである。

Claims (10)

  1. Tgが−40℃〜−20℃であるコアシェル型エマルション、吸油量が10〜40mg/100gである体質顔料、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含有する防水材であって、その日射反射率が50%以上であることを特徴とする防水材。
  2. 前記コアシェル型エマルションを40〜70質量%、前記体質顔料を10〜40質量%、及び前記着色顔料を3.8質量%以上含有する請求項1に記載の防水材。
  3. 前記着色顔料が二酸化チタンである請求項1又は2に記載の防水材。
  4. 前記体質顔料の平均粒径が2〜20μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載の防水材。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の防水材を防水層に施工することを特徴とする防水層の改修方法。
  6. トップコートを防水層に施工する工程を有する請求項5記載の防水層の改修方法。
  7. 前記防水層が塩化ビニルシートからなる請求項5又は6に記載の防水層の改修方法。
  8. 前記防水層がFRPからなる請求項5又は6に記載の防水層の改修方法。
  9. 前記防水層がウレタン塗膜防水材からなる請求項5又は6に記載の防水層の改修方法。
  10. 前記防水層が合成ゴムシートからなる請求項5又は6に記載の防水層の改修方法。

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