JP2005132926A - 防水シート用塗料組成物及び防水層の施工方法 - Google Patents

防水シート用塗料組成物及び防水層の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐候性、柔軟性、防水シートとの密着性に優れた防水シート用塗料組成物を提供する。
【解決手段】防水シートに塗布することにより耐久性を付与するための防水シート用塗料組成物に関する。シリコーンエマルジョンにアクリル系モノマーをグラフト共重合した、内層がシリコーン成分、外層がアクリル成分からなるアクリル−シリコーン系エマルジョンと、粘着防止剤として疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンを含有する。前記アクリル−シリコーン系エマルジョンの樹脂固形物100重量部に対する前記疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンの樹脂固形分の含有量が2〜20重量部の範囲となるようにする。
【選択図】なし

Description

本発明は、建築物の屋根や屋上等に敷設される防水シートに塗布することにより耐久性を付与するための防水シート用塗料組成物、及びこの防水シート用塗料組成物を用いた、建築物における防水層の施工方法に関するものである。
一般に、建築物には、降雨による水分の侵入を防止するために、屋上や屋根等にゴムシート等からなる防水シートを設けて、防水層(露出防水層)を形成することが行われている。
このような防水シートは降雨や日照、及び季節による温度の変化等に曝されることから、非常に厳しい環境変化においても防水性能を維持することが要求されるが、防水シートは施工後、長期の年月を経ると、可塑剤の揮散等によるクラックの発生や紫外線による表面劣化等により、どうしても防水性能が低下してしまう。そこで、従来、防水シートには、耐久性を向上するために塗料を塗布することが行われている(特許文献1,2参照)。
このような防水シートに適用される塗料としては、例えばエマルジョンタイプではアクリル系あるいはアクリルスチレン系、溶剤タイプではゴム型などの樹脂に、体質顔料、着色顔料、湿潤剤、消泡剤等を配合したものが用いられている。
特開平11−5938号公報 特開2002−106118号公報
しかし、従来、上記のように耐久性向上のための塗装を施した防水シートでは、塗装が劣化しなければ防水シート自体は15〜20年或いはそれ以上の耐久性を有するのに対して、塗膜の耐久性は5〜7年程度であり、このため、防水シートを全面的に取り替えるまでの間に塗膜を2〜3回程度塗り直さなければならなかった。
このような塗料の耐久性を改善するために、塗料中に耐久性の高いポリマー、例えばフッ素系、アクリル−シリコーン系のポリマーを配合することも考えられるが、これらのポリマーは比較的硬いため、塗料と防水シートとの密着性や追従性を十分に得ることができないという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、耐候性、柔軟性、防水シートとの密着性に優れた防水シート用塗料組成物、及びこの防水シート用塗料組成物を用いた、建築物に対する防水層の施工方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る防水シート用塗料組成物は、防水シートに塗布することにより耐久性を付与するための防水シート用塗料組成物において、シリコーンエマルジョンにアクリル系モノマーをグラフト共重合した、内層がシリコーン成分、外層がアクリル成分からなるアクリル−シリコーン系エマルジョンと、粘着防止剤として疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンを含有し、且つ前記アクリル−シリコーン系エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対する前記疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンの樹脂固形分の含有量が2〜20重量部の範囲であることを特徴とするものである。
また、本発明に係る防水層の施工方法は、建築物の外面に防水シートを敷設し、この防水シートの表面に請求項1に記載の防水シート用塗料組成物を塗布して塗膜を形成することを特徴とするものである。
本発明によれば、防水シート用塗料組成物を防水シートに塗布すると、耐候性、柔軟性、防水シートとの密着性に優れた塗膜を形成することができ、これにより、塗料の塗り直しの頻度を低減することが可能となり、防水シートの耐久性を長期に亘り維持することができるものである。しかも、粘着防止剤の働きにより、塗膜の耐汚染性と耐水性が向上するのみならず、耐候性や光沢に優れ、更に保存安定性も良好なものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明に係る防水シート用塗料組成物は、アクリル−シリコーン系エマルジョンと、粘着防止剤として疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンとを、主成分として含有する。
上記アクリル−シリコーン系エマルジョンとしては、シリコーンエマルジョンにアクリル系モノマーをグラフト共重合して得られるものが用いられる。これは内層(コア)がシリコーン成分、外層(シェル)がアクリル成分からなる、コア/シェル型エマルジョンである。
上記のシリコーンエマルジョンとしては、例えばSH基含有ポリシロキサンのエマルジョンを挙げることができる。このSH基含有ポリシロキサンは、バルク重合、乳化重合等の周知のシリコン重合方法によって製造できる。ポリシロキサン中のSH基の劣化を防止する上では、比較的穏やかな重合条件をとることのできる乳化重合法を用いることが好ましい。
このSH基含有ポリシロキサンの具体的な構成は特に制限されないが、ジメチルシロキサン単位と、SH基含有シロキサン単位と、ビニル重合性官能基含有シロキサン単位とを含むものを用いることができ、例えばケイ素原子の数を基準にして、ジメチルシロキサン単位の含有量が50〜99mol%、ビニル重合性官能基含有シロキサン単位及びSH基含有シロキサン単位の合計量が1〜50mol%(好ましくは2mol%以上20mol%未満)、このうちSH基含有シロキサン単位の含有量が0.1〜30mol%(好ましくは0.5〜30mol%、更に好ましくは1〜20mol%)の範囲となるものを用いると、透明性、ラテックスの安定性、取扱性に優れ、また原料コストも抑制でき、更にエマルジョンの粘性を自在に制御することが可能となる。ここで、SH基含有シロキサン単位及びビニル重合性官能基含有シロキサン単位の含有量として最も好ましい組み合わせの一つとしては、その合計量が3〜6mol%の範囲で、且つ、SH基含有シロキサン単位の含有量が0.1〜3mol%の範囲となるようにするものであり、この場合、ポリシロキサンを用いて得たエマルジョンより形成される塗膜は、その透明性を確保できる最小量に近い官能基含有シロキサンを用いつつ、エマルジョンの粘性を自在に制御することが可能となる。
また、粘性を自在に制御するためには、アクリル系モノマーとのグラフト重合を行う前のポリシロキサンは架橋されていないことが好ましく、このためには、ポリシロキサン中の三官能以上のシランによるシロキサン架橋成分が5mol%以下、好ましくは1mol以下となり、4官能シランの含有量が1mol%以下、好ましくは0.2mol%以下、更に好ましくは0mol%となるようにする。
このようなSH基含有ポリシロキサンは、乳化重合によって調製する場合は、例えばドデシルベンゼンスルホン酸を乳化剤兼重合触媒とし、SH基含有ポリシロキサンと環状シリコンオリゴマーあるいは、アルコキシシラン等を原料として重縮合することにより、好適に行うことができる。
このポリシロキサンを調製するに際して用いられる二官能ないし一官能シラン化合物に導入される不活性なケイ素原子上の置換基は、一般的にアルキル基、フェニル基あるいはこれらの誘導体であるが、好ましくはメチル基又はフェニル基であり、その合計量は二官能シランの場合1個であり、一官能シランの場合は2個となる。
一方、アクリル系モノマーとしては、アルキルメタクリレート、アルキルアクリレート、シクロアルキルメタクリレート、シクロアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−アルコキシメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
このようなアクリル系モノマーから構成される外層(シェル)のアクリル成分のガラス転移点は、−30〜70℃の範囲であることが好ましい。
上記のシリコーンエマルジョンとアクリル系モノマーとの使用量の比率は適宜設定されるが、シリコーンエマルジョンに対するアクリル系モノマーの使用量(重量)が0.5〜20倍の範囲となるようにすることが好ましく、更に好ましくは2〜20倍の範囲とするものであり、この場合、塗膜の硬度、柔軟性、耐水性、耐久性等のバランスを高度に保つことができる。
シリコーンエマルジョンに対するアクリル系モノマーの乳化グラフト重合に用いるラジカル重合開始剤は、乳化ラジカル重合に用いられる周知のものが利用できる。アクリル系モノマーの仕込み方法は、とくに限定されないが、シリコーンエマルジョンのグラフト活性点との共重合をより効率的に進める上では、重合開始前にあらかじめシリコーンエマルジョンとアクリル系モノマーの少なくとも一部をよく混合しシリコーンエマルジョン粒子にアクリル系モノマーを含浸させておくことが好ましい場合もある。
このアクリル−シリコーン系エマルジョンの粒子径は任意に変更できるが、通常の平均粒子径は、0.01〜1μm程度である。またエマルジョン中の樹脂成分(樹脂固形分)の含有量は適宜調整されるが、例えば40〜50重量%の範囲となるようにすることができる。
このようなアクリル−シリコーン系エマルジョンとしては、具体的には例えば三菱レイヨン社から提供されている「ダイアナールLX2200」等が挙げられる。
また、上記の疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンとしては、カルボン酸官能性の第1のポリマーおよびポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックの第2のポリマーを含むものを用いることができる。
上記第1のポリマーは、好ましくはその全量に対して15〜75重量%、更に好ましくは20〜55重量%のエチレン性不飽和カルボン酸官能性モノマーを共重合単位として含む。エチレン性不飽和カルボン酸官能性モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノブチルフマレート、無水マレイン酸等が挙げられる。特に、第1のポリマーの全量に対して25〜40重量%のアクリル酸単位が含まれていることが好ましい。
第1のポリマーは、重合単位として、更に少なくとも1つのモノエチレン性不飽和モノマーを含むことが好ましい。このモノエチレン性不飽和モノマーとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、N−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;ウレイド(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリルおよび(メタ)アクリルアミド;スチレン、α−メチルスチレン、または他のアルキル置換スチレン;ブタジエン;酢酸ビニル、ビニルプロピオネート、または他のビニルエステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、およびN−ビニルピロリドンのようなビニルモノマーを挙げることができる。
また、上記第1のポリマーは、重量平均分子量が4000〜16000の範囲であり、且つガラス転移点が70℃よりも高いものであることが好ましい。この第1のポリマーは、公知のフリーラジカル付加重合にて調製することができる。
また上記のポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックの第2のポリマーは、重量平均分子量が3000〜20000の範囲であり、またHLB値が16〜32の範囲であるものが好ましい。
このブロックコポリマーは、通常25℃において固体である。ポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ブロックコポリマーは、2以上のブロックを含み、それぞれのブロックはポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイドで構成されている。このブロックポリマーは、公知の方法で調製することができ、モノ又はジ−ヒドロキシ末端であることができる。たとえば、ポリエチレンオキサイドポリマーとプロピレンオキサイドとを反応させて、ポリ(プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)トリブロックポリマーを得ることができる。別法として、ポリプロピレンオキサイドポリマーとエチレンオキサイドとを反応させ、ポリ(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド)トリブロックポリマーを得ることができる。
上記の第1のポリマーと第2のポリマーとは、前者対後者が重量比率で80〜97:20〜3の割合となるように、疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョン中に配合されることが好ましい。
このエマルジョン中の樹脂成分(樹脂固形分)の含有量は適宜調整されるが、例えば15〜20重量%の範囲となるようにする。
そして、本発明に係る防水シート用塗料組成物は、上記のアクリル−シリコーン系エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して、上記の粘着防止剤として疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンを樹脂固形分換算で2〜20重量部の範囲で含有する。このため、アクリル−シリコーン系エマルジョンを配合していることから、塗膜の耐候性等の耐久性を著しく向上することができ、且つこのようにアクリル−シリコーン系のエマルジョンを用いているにもかかわらず、粘着防止剤として疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンを配合していることにより、塗膜の耐汚染性を向上すると共に、柔軟性及び防水シートとの密着性を向上することができるものである。
ここで、通常は塗膜の粘着性を低減すると、同時に塗膜の防水シート等との密着性も低下してしまうものであるが、本発明では、粘着防止剤として上記のように疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンを配合したことから、塗膜の粘着性を低減して耐汚染性を向上すると共に、塗膜と防水シートとの密着性を維持することを可能としたのである。
このとき、疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンの上記配合量が5重量部に満たないと塗膜に耐汚染性、柔軟性、防水シートとの密着性を十分に付与することができず、また50重量部を超えると逆に塗膜の柔軟性や密着性が損なわれるおそれがある。
また、本発明に係る防水シート用塗料組成物には、他の種々の添加剤を含有させることもできる。例えば体質顔料分散体、着色顔料分散体、湿潤剤、消泡剤、増粘剤等を含有させることができる。
以上のような防水シート用塗料組成物を用い、防水シートに塗布、乾燥することで塗膜を形成して、建築物の外面の露出面などに防水層を形成することができる。すなわち、まず建築物の外面、例えば屋上や屋根等に防水シートを敷設し、この防水シートの表面に上記のような防水シート用塗料組成物を塗布、乾燥することで塗膜を形成して、建築物に防水層を形成することができるものである。
このように形成される防水層の塗膜は、優れた耐汚染性と柔軟性と耐候性とを有し、また防水シートとの間に優れた密着性を有することとなる。このため、防水シートの耐久性を向上すると共に、塗膜自体の寿命も向上し、塗料の塗り直しの頻度を低減したり或いは防水シートの寿命が尽きるまで塗り直しを不要としたりすることが、可能となるものである。また、粘着防止剤の働きにより、塗膜の耐汚染性と耐水性が向上するのみならず、耐候性や光沢に優れ、更に組成物の保存安定性も良好なものである。
上記の防水シートとしては、建築物の屋上や屋根等に敷設することで降雨による水分の侵入防止等の防水処理を施すために用いられるものであれば、適宜のゴムシート等を適用することができ、例えばEPDM加硫ゴム、ポリオレフィン型熱可塑性エラストマー、塩化ビニル樹脂等から形成されるものが挙げられる。
以下、本発明の内容を実施例に示す。
(実施例1〜3、比較例1〜4)
各実施例及び比較例について、表1に示す各成分組成を有する塗料用組成物を調製した。
この塗料用組成物を、ゴムシート(三ツ星ベルト株式会社製「ネオ・ルーフィングE)の表面に塗布乾燥して、塗膜を形成した。
尚、比較例3は従来から用いられている一般的なアクリル系塗料(三ツ星ベルト株式会社製「ネオ・カラーA」)を用い、比較例4では耐候性試験の対比対象として塩化ビニル樹脂シートを用意した。
表1中の各成分の詳細は、次の通りである。
・アクリル−シリコーン系エマルジョン:三菱レイヨン社製「ダイアナールLX2200」、樹脂成分量(樹脂固形分量)46重量%
・疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョン:樹脂成分量(樹脂固形分量)21.5重量%
(評価)
〈シート密着性評価〉
1.伸長密着
各実施例及び比較例について、塗料用組成物が塗布されたゴムシートを200%伸長ささせた後に元に戻す動作を10回繰り返した。そして、処理後の塗膜の割れの様子を観察し、次のような評価基準で評価した。
「○」…変化なし。「△」…一部塗膜にしわが発生。「×」…塗膜がシートから剥離。
2.碁盤目試験
各実施例及び比較例について、形成した塗膜にカッターナイフを用いて碁盤目状のキズを付けた後、セロファン粘着テープを用いた剥離試験を行い、次のような評価基準で評価した。
「○」…変化なし。「△」…塗膜剥離5%以下。「×」…塗膜剥離5%超。
3.ブリスター試験
各実施例及び比較例について、形成した塗膜を70℃の温水に二日間浸漬したものについて、塗膜の浮きを観察し、次の評価基準にて評価した。
「○」…変化なし。「△」…一部に小さな浮き発生。「×」…全面に浮き発生。
4.ブロッキング試験
各実施例及び比較例について、塗膜同士を重ね合わせた状態で3.9kPa(40g/cm2)の圧力をかけ、70℃で2日間放置した後、塗膜の割れを観察し、次の評価基準で評価した。
「○」…変化なし。「△」…塗膜剥離5%以下。「×」…塗膜剥離5%超。
〈促進耐候性試験〉
1.光沢保持率
各実施例及び比較例について、形成した塗膜に、下記の条件での紫外線照射試験を1500時間行い、光沢計にて表面光沢を測定した。そして、紫外線照射前の表面光沢を100とした場合の試験後の表面光沢にて評価した。
・試験機器:ダイプラメタルウェザーKU−R4−W型
・試験サイクル:紫外線照射6時間(雰囲気温度63℃)と、湿潤雰囲気(雰囲気温度30℃)での2時間曝露の繰り返し
・紫外線強度:65MW/cm2
2.色差
上記の光沢保持率と同様の紫外線照射試験を行った後、色差計による測定を行い、紫外線照射前のものを0として、評価した。
3.表面亀裂
上記の光沢保持率と同様の紫外線照射試験を行った後の塗膜の表面を顕微鏡で観察し、次の評価基準にて評価した。
「○」…亀裂なし。「△」…一部ヘアクラック発生。「×」…深い亀裂発生。
〈粘着防止効果の評価〉
ゴムシートに塗料を塗布したものを、常温で24時間放置して養生した後、60℃の恒温槽に、塗膜が上面に配置されるように水平に載置した。この塗膜の中央に50mm×50mmのガーゼを5枚重ね、このガーゼの中央に直径40mm、質量500kgで底面が平坦な錘を載置し、18時間放置した。これを恒温槽から取りだした後、ガーゼを塗膜から引き剥がし、次の評価基準にて塗膜とガーゼとの粘着の程度を評価した。
「○」…抵抗なくガーゼが剥がせる。「△」…ガーゼの引き剥がし時にやや抵抗がある。「×」…ガーゼの引き剥がし時に抵抗がある。
以上の結果を下記の表1に示す。
この結果から明らかなように、実施例1〜3ではシート密着性と促進耐候性の試験結果が非常に優れたものであるのに対して、疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンを含有しない比較例1ではシート密着性の評価が悪化し、この疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンの含有量が過剰な比較例2ではシート密着性と促進耐候性の試験結果が悪化し、一般アクリル系塗料を用いた比較例3と塩化ビニル樹脂シートを用いた比較例4では促進耐候性の試験結果が悪化した。

Claims (2)

  1. 防水シートに塗布することにより耐久性を付与するための防水シート用塗料組成物において、シリコーンエマルジョンにアクリル系モノマーをグラフト共重合した、内層がシリコーン成分、外層がアクリル成分からなるアクリル−シリコーン系エマルジョンと、粘着防止剤として疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンを含有し、且つ前記アクリル−シリコーン系エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対する前記疎水性ポリカルボン酸共重合体エマルジョンの樹脂固形分の含有量が2〜20重量部の範囲であることを特徴とする防水シート用塗料組成物。
  2. 建築物の外面に防水シートを敷設し、この防水シートの表面に請求項1に記載の防水シート用塗料組成物を塗布して塗膜を形成することを特徴とする防水層の施工方法。
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