JP6227298B2 - 積層体 - Google Patents
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1.着色層の上に、
合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し、
平均粒子径1nm以上200nm未満の水分散性シリカを固形分重量比率で0.005重量部以上50重量部以下、
平均粒子径1μm以上250μm以下の光輝性顔料を0.01重量部以上100重量部以下含む光輝層用組成物により形成される光輝層、
を積層し、
上記合成樹脂エマルションが、アクリル樹脂エマルションであり、
上記光輝性顔料が、アルミニウムフレーク顔料、蒸着アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆合成マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆板状酸化鉄、グラファイト、ステンレスフレーク、金属チタンフレーク顔料、板状硫化モリブデン、板状塩化ビスマス、ホログラム顔料、コレステリック液晶ポリマー、金属蒸着高分子フィルムの破砕品から選ばれることを特徴とする積層体。
2.前記着色層は、平均粒子径0.01mm以上5mm以下の着色粒子を含むことを特徴とする1.に記載の積層体。
具体的に、合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し、平均粒子径1nm以上200nm未満の水分散性シリカを固形分重量比率で0.005重量部以上50重量部以下、平均粒子径100nm以上300μm以下の光輝性顔料を0.01重量部以上100重量部以下含むことを特徴とするものである。
本発明の作用の詳細は不明であるが、おそらく、水分散性シリカの表面移行作用とともに光輝性顔料も光輝層表面へと移行し、光輝層表面付近にて光輝性顔料のキラキラ感が効率よく発揮されること、さらに、光輝性顔料の周囲に存在する水分散性シリカが光輝性顔料のキラキラ感をより増幅させる効果があるため、と考えられる。
水分散性シリカを含まない、あるいは少なすぎる場合は、光輝性顔料が表面へと効率よく移行されず、光輝性顔料によるキラキラ感、高級感の向上がみられない。また、水分散性シリカの平均粒子径が小さすぎる場合は、光輝性顔料の塗膜表面への移行がすすみにくく、高級感、奥行き感の向上がみられない。また、水分散性シリカの平均粒子径が大きすぎる場合は、水分散性シリカ自体が不安定となってしまう。
光輝性顔料を含まない、あるいは少なすぎる場合は高級感、奥行き感に劣り、光輝性顔料が多すぎる場合は、キラキラ感が目立ち、かえって意匠性に悪影響を及ぼす場合がある。また、光輝性顔料の平均粒子径が小さすぎる場合は、光輝性顔料の存在が薄くなり、光輝性顔料の平均粒子径が大きすぎる場合は、光輝層表面への移行がすすみにくく、高級感、奥行き感の向上がみられない。
このような水分散性シリカは、上記のように光輝性顔料を補助する効果に加えて、耐汚染性の向上効果にも大きく寄与するものである。特に水分散性シリカの平均粒子径が小さすぎる場合は、耐汚染性において十分な効果が得られないおそれがある。また、水分散性シリカの平均粒子径が大きすぎる場合は、積層体の外観に悪影響を及ぼすおそれがある。本発明では、平均粒子径が異なる2種以上の水分散性シリカを使用することもできる。
なお、水分散性シリカの平均粒子径は、フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(「FE‐SEM S‐4100」株式会社日立製作所製)等によって測定することができる。また、水分散性シリカの平均粒子径は、平均一次粒子径のことをいう。
本発明では、光輝性顔料としては、平均粒子径が100nm以上300μm以下(好ましくは500nm以上250μm以下、より好ましくは1μm以上200μm未満、さらに好ましくは2μm以上190μm以下)のものを、合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し0.01重量部以上100重量部以下(好ましくは0.05重量部以上80重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以上60重量部以下)混合して用いることを特徴とするものである。このような範囲であることにより、着色粒子による意匠性を有しつつ、光輝性顔料のキラキラ感が現れ、高級感のある優れた美観性を付与することができる。
なお、光輝性顔料の平均粒子径は、フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(「FE‐SEM S‐4100」株式会社日立製作所製)等によって測定することができる。
重合性モノマー成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等のカルボキシル基含有モノマー;
N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド等のアミノ基含有モノマー;
ビニルピリジン等のピリジン系モノマー;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;
スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族モノマー;
アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;
アクロレイン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン等のカルボニル基含有モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有モノマー;
塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー;
その他、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、クロロプレン等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
このうち、重合性モノマーとしてアルコキシシリル基含有モノマーを含む場合は、後述する水分散性シリカとの相互作用により塗膜物性向上を図ることができる。
また、合成樹脂エマルションの平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは5nm以上400nm以下、より好ましくは10nm以上300nm以下、さらに好ましくは50nm以上250nm以下、最も好ましくは80nm以上180nm以下である。特に、本発明の合成樹脂エマルションの平均粒子径は、上記光輝性顔料よりも小さく、上記水分散性シリカよりも大きいことが好ましく、このような場合は、奥行き感が表出しやすく、より優れた意匠を形成することができる。
なお、合成樹脂エマルションの平均粒子径は、動的光散乱法によって測定される値である。具体的には、動的光散乱測定装置(「LB‐550」株式会社堀場製作所製)等を用いて測定することができる。(測定温度は25℃。)
合成樹脂エマルションと水分散性シリカが化学的に結合することによって、耐割れ性等の塗膜物性を確保しつつ、耐汚染性を発揮させることが可能となる。
着色層としては、合成樹脂エマルションと着色粒子を含む着色層用組成物により形成されるものが好ましい。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。また着色粒子表面に、赤外線反射性等の機能を有する化合物を被覆することもできる。
着色粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは0.01mm以上5mm以下、より好ましくは0.05mm以上4mm以下、さらに好ましくは0.1mm以上3mm以下、最も好ましくは0.2mm以上2mm以下である。特に、本発明の着色粒子は、上記水分散性シリカ、光輝性顔料の粒子径よりも大きいものを使用することが好ましい。着色粒子の平均粒子径が、水分散性シリカ、光輝性顔料の粒子径よりも大きいことにより、奥行き感が表出しやすく、より優れた意匠を形成することができる。
このような着色粒子のうち、色相や粒子径、形状の異なる2種以上の着色粒子を組み合わせることによって、意匠性の幅を広げ、優れた意匠性の表面を表出することができる。
なお、着色粒子の平均粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。
このような鱗片状粒子は、肉眼でその形状等が確認できる程度の大きさであり、鱗片状という特異な形状と、反射の角度とにより、見る角度により輝度感を変化させることができ、奥行き感、高級感のある優れた意匠を得ることができる。また、耐割れ性等の塗膜物性の向上も期待できる。大きさが小さすぎると、その形状等が肉眼で確認し難く、その存在感が薄れ、奥行き感が得られにくい。また大きすぎると、奥行き感が得られにくくなる場合がある。
鱗片状粒子としては、例えば、白雲母、合成雲母、シリカフレーク、ガラスフレーク、樹脂フレーク、アルミフレーク、マイカフレーク等が挙げられ、また、これら表面は、光輝性顔料、無機着色顔料、有機着色顔料、蛍光顔料、蓄蛍光顔料によって着色されたものでもよい。本発明では光輝性鱗片状粒子が好ましく、特に、鱗片状粒子表面が光輝性顔料よって着色されたものがより好適に用いられる。
なお、鱗片状粒子の大きさとは、鱗片状粒子を水平面に安定に静置させ、上から観察したときの最大直径のことである。
鱗片状粒子の大きさは、光学顕微鏡(BHT−364M、オリンパス光学工業株式会社製)等で測定することができる。
建築物、土木構造物等の基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、ALC板、サイディング板、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。またこれら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、フィラーやパテによる処理等)が施されたものでもよく、既に被膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。また基材は、平坦であっても、凹凸を有するものであってもよい。
積層方法としては特に限定されないが、(1)基材の上に、着色層用組成物を塗付積層した後、光輝層用組成物を塗付積層する方法、
(2)予め、着色層と光輝層からなる積層体を形成させておき、該積層体を基材の上に貼着する方法等が挙げられる。
次いで、着色層用組成物を塗付積層後、着色層用組成物が硬化するかあるいは半硬化の状態で、光輝層用組成物を塗付積層する。塗装には、各種塗装器具が使用でき、塗付け量は、0.01〜0.8kg/m2、より好ましくは0.02〜0.5kg/m2である。
また積層体を得た後、基材に対し、光輝層側を表面に向け、接着剤・粘着剤を介して貼り付けることができる。
基材(スレート板)の上に、下塗材(結合材:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度20℃))をスプレーガンを用いて、塗付け量0.1kg/m2で塗装し、標準状態(気温23℃、相対湿度50%)にて硬化、乾燥させた。
次に、表3‐1〜3‐3の原料を用い、表2‐1〜2‐4に示す配合にて製造した着色層用組成物をスプレーガンを用いて、塗付け量4.0kg/m2で塗装し、標準状態で48時間乾燥させ、着色層を得た。
次に着色層の上に、表3‐1〜3‐3の原料を用い、表1‐1〜1‐4に示す配合にて製造した光輝層用組成物をスプレーガンを用いて、塗付け量0.3kg/m2で塗装し、標準状態で24時間乾燥させ、光輝層を得、試験体1〜85を得た。
得られた試験体1〜85に対し、塗膜表面を目視にて観察し、表面の意匠性を評価した。
評価は、高級感・奥行き感が感じられる優れた意匠のものを「10」、高級感・奥行き感が感じられない意匠のものを「1」とし、10段階評価で行った。結果は表4に示す。
Claims (2)
- 着色層の上に、
合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し、
平均粒子径1nm以上200nm未満の水分散性シリカを固形分重量比率で0.005重量部以上50重量部以下、
平均粒子径1μm以上250μm以下の光輝性顔料を0.01重量部以上100重量部以下含む光輝層用組成物により形成される光輝層、
を積層し、
上記合成樹脂エマルションが、アクリル樹脂エマルションであり、
上記光輝性顔料が、アルミニウムフレーク顔料、蒸着アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆合成マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆板状酸化鉄、グラファイト、ステンレスフレーク、金属チタンフレーク顔料、板状硫化モリブデン、板状塩化ビスマス、ホログラム顔料、コレステリック液晶ポリマー、金属蒸着高分子フィルムの破砕品から選ばれることを特徴とする積層体。 - 前記着色層は、平均粒子径0.01mm以上5mm以下の着色粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
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