JP2009107908A - 人工石材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】製鋼スラグおよび高炉スラグ微粉末を主体とする原料と水の混練物Aをヤードに打設して水和硬化させ、その水和固化体を粗破砕して人工石材を製造する方法において、ヤードに複数条の平行な畝を設け、該畝間の溝に混練物Aを打設する。畝間に細長い水和固化体が形成されるので、粗破砕工程では水和固化体を幅方向で2面破砕するだけで塊状石材が得られ、粗破砕作業を極めて効率的に行えることなどにより、スラグ原料の水和固化体からなる人工石材を高い生産性で製造できる。
【選択図】図1
Description
このような水和固化体の製造方法の一つとして、原料と水の混練物をヤードに打設し、硬化後に粗破砕して人工石材を得る方法が知られている(非特許文献1)。この方法で得られる不定形な人工石材は、港湾土木材料である被覆石、根固め石、捨石、潜堤材などに特に適している。
したがって本発明の目的は、製鋼スラグと高炉スラグ微粉末を主体とする原料と水の混練物をヤードに打設して水和硬化させ、この水和固化体を粗破砕して人工石材を製造する方法において、高い生産性で人工石材を製造することができる製造方法を提供することにある。
[1]製鋼スラグおよび高炉スラグ微粉末を主体とする原料と水の混練物(A)をヤードに打設して水和硬化させ、その水和固化体を粗破砕して人工石材を製造する方法において、ヤードに複数条の平行な畝を設け、該畝間の溝に混練物(A)を打設することを特徴とする人工石材の製造方法。
[2]製鋼スラグおよび高炉スラグ微粉末を主体とする原料と水の混練物(A)をヤードに打設して水和硬化させ、その水和固化体を粗破砕して人工石材を製造する方法において、ヤードに畝を設けるととともに、該畝と平行な型枠板を配置し、前記畝と型枠板間の溝に混練物(A)を打設することを特徴とする人工石材の製造方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、混練物(A)の打設体長手方向で適宜間隔をおいた位置に、打設体の幅方向に沿って溝または複数の穴部を形成したことを特徴とする人工石材の製造方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法において、原料が、さらに、粉粒状の高炉水砕スラグ、フライアッシュ、アルカリ刺激材の中から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする人工石材の製造方法。
(a)畝間または畝と型枠板間に細長い水和固化体が形成されるので、粗破砕工程では水和固化体を幅方向で2面破砕(破断)するだけで塊状石材が得られ、粗破砕工程で4面の破砕(破断)を行っていた従来法に較べて、粗破砕作業を効率化できる。
(b)混練物の打設工程では、畝間または畝と型枠板間に混練物を流し込むだけでよく、従来法のように打設した混練物を平らにならす必要がないため、従来法に較べて打設作業も効率化できる。
(d)混練物の打設体長手方向で適宜間隔をおいた位置に、打設体の幅方向に沿って溝または複数の穴部を形成しておくことにより、粗破砕工程において少ない工数で水和固化体を破砕(破断)することができ、粗破砕作業をより効率的に行うことができる。
この製造方法が実施されるヤードに特別な制限はなく、畝が形成できるような普通の屋外の地面でよい。また、この製造方法において、ヤードに複数条の平行な畝を形成するには、地面に盛土をしてもよいし、溝を造るように地面を掘り起こしてもよい。但し、作業効率の面では前者の方が好ましい。盛土などによって畝を構成することになる地面(ヤード)の構成土は、混練物Aと混ざっても良いように、原料のスラグや人工石材の端材(粉粒物、小塊など)からなることが好ましい。
まず、図1(イ)に示すように、1つの施工区S内で重機(バックホーなど)により地面1に所定の幅と長さで盛土2を行う。なお、通常は1つのヤード内で適宜なレイアウトにより複数の施工区Sが設けられる。
次いで、図1(ロ)に示すように、重機(バックホーなど)で盛土2の長手方向に複数条の平行な溝3を形成し(盛土2の一部を溝状に取り除く)、これにより盛土2の残部で複数条の平行な畝4が形成される。なお、盛土2や畝4の形成時に、重機を用いてそれらの締め固めを行ってもよい。
1つの施工区Sにおいて形成される溝3の本数(条数)に特別な制限はないが、作業効率および重機の可動範囲などの面から2〜5本(条)程度が適当であり、本実施形態では3本(条)の畝4により2本(条)の溝3が形成されている。また、1つの施工区Sの長さ(畝4および溝3の長さ)に特別な制限はなく、ヤードの大きさ、重機の移動効率などの面から決めればよい。
混練物Aの打設厚さ(打設体5の厚さ)は、製造すべき石材のサイズ(粒径)に応じて適宜決められるが、通常20〜80cm程度が適当である。なお、混練物Aの原料に関しては、後述する。
打設体5(水和固化体)を粗破砕して得られた塊状石材6は、ショベルカーなどで施工区Sから掻き出され、必要に応じてグリズリーなどで篩い分けされた後、さらにストックヤードなどで数週間程度養生し、製品となる。
図2(a)に示すような、打設体5の長手方向で適宜間隔をおいた位置p(打設体5を幅方向で破砕すべき位置)に、図2(b-1)の場合には打設体幅方向に沿って溝7aが形成され、また、図2(b-2)の場合には打設体幅方向に沿って複数の穴部7bが間隔的に形成されている。これらの溝7aや穴部7bの形成方法は任意であるが、例えば、打設した混練物Aの流動性が無くなってから、重機(例えば、コンクリートブレーカー)の作業アームの一部を打設体5の上面から内部に押し込むなどして形成することができる。通常、混練物Aの流動性は打設後60〜90分程度で無くなるので、それ以降に溝7aや穴部7bを形成すればよい。
図2のように、打設体5を粗破砕(破断)すべき位置に幅方向に沿って溝7
aまたは複数の穴部7bを適正に形成しておけば、コンクリートブレーカーなどの重機による一撃で打設体5の全幅を破断させることができる。
なお、上下の打設体5a,5bどうしの接合をより確実に防止するために、混練物Aを打設して打設体5aを形成し、その混練物Aの流動性が無くなった後、原料に配合される細骨材や他のスラグなどの粉粒物9を打設体5aの上に撒いて薄い層を作り、その上にさらに混練物Aを打設して打設体5bを形成することが好ましい。
この製造方法が実施されるヤードに特別な制限はなく、畝が形成できるような普通の屋外の地面でよい。また、この製造方法において、ヤードに畝を形成するには、地面に盛土をしてもよいし、溝を造るように地面を掘り起こしてもよい。
まず、図4(イ)に示すように、1つの施工区S内で地面に型枠板8を立設・固定するとともに、その型枠板8の両側に接するようにして、型枠板長手方向に沿って重機(バックホーなど)により地面1に所定の幅と長さで盛土2を行う。なお、1つの施工区Sにおいて、2つ以上の型枠板8を並列的に設けてもよい。
次いで、図4(ロ)に示すように、重機(バックホーなど)で型枠板8の両側の盛土2の長手方向に溝3を形成し(盛土2の一部を溝状に取り除く)、これにより型枠板8の両側に盛土2の残部で畝4が形成される。
この混練物Aの打設体5を適当な時間養生させて適度に硬化させた後、図4(ニ)に示すように、重機(例えば、コンクリートブレーカー)を用い、打設体5(水和固化体)の長手方向で適宜間隔をおいた位置pをその幅方向で破砕(破断)し、塊状石材6とする。この塊状石材6は、ショベルカーなどで施工区Sから掻き出され、必要に応じてグリズリーなどで篩い分けされた後、さらにストックヤードなどで数週間程度養生し、製品となる。
(i)畝4間または畝4と型枠板8間に細長い水和固化体(打設体5)が形成されるので、粗破砕工程では水和固化体を幅方向で2面破砕(破断)するだけで塊状石材が得られ、粗破砕作業を効率化できる。
(ii)混練物Aの打設工程では、畝4間または畝4と型枠板8間に混練物Aを流し込むだけでよく、混練物Aを平らにならす必要がないため、打設作業も効率化できる。
(iv)打設体長手方向で適宜間隔をおいた位置に、打設体5の幅方向に沿って溝7aまたは複数の穴部7bを形成しておくことにより、粗破砕工程において少ない工数で水和固化体を破砕(破断)することができ、粗破砕作業をより効率的に行うことができる。
本発明で用いる粉粒状の製鋼スラグおよび高炉スラグ微粉末を主体とする原料は、粉粒状の製鋼スラグが水和固化体の主たる骨材となり、高炉スラグ微粉末が水和固化体の主たる結合材となる。
粉粒状の製鋼スラグの種類に特別な制限はない。製鋼スラグとしては、転炉脱炭スラグ、溶銑予備処理スラグ(例えば、脱燐スラグ、脱珪スラグ)、電気炉スラグ、二次精錬スラグ、造塊スラグなどが挙げられ、これらの2種以上を用いてもよい。なお、製鋼スラグのなかでも溶銑予備処理スラグは、free−CaOが少ないために大気エージングの終了が早いだけでなく、free−MgO相が少ないため水和膨張による割れなどが生じにくいので、特に好ましい。
製鋼スラグは、スラグ粒子の粒径が大きいほど、内部にfree−CaOやfree−MgOの粒を含む可能性が高くなり、水和固化体の膨張安定性にとって問題が生じる可能性が高くなるので、粒径25mm以下のものが好ましい。
また、水和固化体の主たる結合材となる高炉スラグ微粉末は、JIS A 6206:1997に適合したもの使用することが好ましい。
前記粉粒状の高炉水砕スラグは、基本的には骨材の一部として配合されるが、弱い水硬性を有しているので、水和固化体中にあっては、アルカリ刺激材によりアルカリ刺激を受けて固化し、強度にも寄与する。
前記フライアッシュはポゾラン物質として働き、長期材齢での強度向上に役立つとともに、水和固化体全体としてのアルカリ性を低減させ、水和固化体を水に浸したときに溶出するアルカリ物質の量を低減させる働きもある。
一般的な原料配合割合としては、例えば、製鋼スラグを60〜85質量%、高炉スラグ微粉末を5〜30質量%程度(残部は水)とし、必要に応じて他の成分(高炉水砕スラグ、フライアッシュ、アルカリ刺激材などの1種以上)を適量加える。
なお、本発明例では、打設体幅方向に図2のような溝7a等を形成しない方法(発明例1,3)と、打設体幅方向に図2のような溝7aを形成する方法(発明例2,4)の二通りを行った。
表1によれば、本発明例は比較例(従来法)に較べて生産速度が極めて高く、また、製品歩留まりも大きく向上している。また、打設体幅方向に図2のような溝7aを形成した発明例2,4では、特に優れた生産性と製品歩留まりが得られている。
2 盛土
3 溝
4 畝
5,5a,5b 打設体
6 塊状石材
7a 溝
7b 穴部
8 型枠板
9 粉粒物
60,61 角部
A 混練物
S 施工区
p 位置
Claims (5)
- 製鋼スラグおよび高炉スラグ微粉末を主体とする原料と水の混練物(A)をヤードに打設して水和硬化させ、その水和固化体を粗破砕して人工石材を製造する方法において、
ヤードに複数条の平行な畝を設け、該畝間の溝に混練物(A)を打設することを特徴とする人工石材の製造方法。 - 製鋼スラグおよび高炉スラグ微粉末を主体とする原料と水の混練物(A)をヤードに打設して水和硬化させ、その水和固化体を粗破砕して人工石材を製造する方法において、
ヤードに畝を設けるととともに、該畝と平行な型枠板を配置し、前記畝と型枠板間の溝に混練物(A)を打設することを特徴とする人工石材の製造方法。 - 溝内に混練物(A)を打設し、該混練物(A)の流動性が無くなった後、その上にさらに混練物(A)を打設することを特徴とする請求項1または2に記載の人工石材の製造方法。
- 混練物(A)の打設体長手方向で適宜間隔をおいた位置に、打設体の幅方向に沿って溝または複数の穴部を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の人工石材の製造方法。
- 原料が、さらに、粉粒状の高炉水砕スラグ、フライアッシュ、アルカリ刺激材の中から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の人工石材の製造方法。
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