JP2009096099A - 画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で、吐出不良の検出及び記録媒体の搬送不良の検出を可能とする。
【解決手段】インクジェットヘッド2の側面に画像センサ201が取り付けられている。画像センサ201は、インクジェットヘッド2の吐出領域と同じ方向に延びた吐出領域を有している。画像センサ201が用紙を撮像することによって得られた画像データにおける画像に対応した部分に基づいて、ヘッド2からのインク吐出不良の有無が認識される。画像センサ201が用紙を撮像することによって得られた画像データにおける用紙の輪郭を含む部分に基づいて、搬送機構によって搬送されている用紙のヘッド2に対する相対的な位置が認識される。この位置が正常でない場合には、印字データの補正が行われる。
【選択図】図2
【解決手段】インクジェットヘッド2の側面に画像センサ201が取り付けられている。画像センサ201は、インクジェットヘッド2の吐出領域と同じ方向に延びた吐出領域を有している。画像センサ201が用紙を撮像することによって得られた画像データにおける画像に対応した部分に基づいて、ヘッド2からのインク吐出不良の有無が認識される。画像センサ201が用紙を撮像することによって得られた画像データにおける用紙の輪郭を含む部分に基づいて、搬送機構によって搬送されている用紙のヘッド2に対する相対的な位置が認識される。この位置が正常でない場合には、印字データの補正が行われる。
【選択図】図2
Description
本発明は、液体を吐出することによって記録媒体に画像を記録する画像記録装置に関し、特に記録された画像を撮像する画像センサを有する画像記録装置に関する。
近年、記録媒体の幅以上の印字範囲を有するラインヘッドを用いたインクジェットプリンタの開発が進められている。かかるラインプリンタでは、記録媒体の搬送方向に沿った極細い領域の印字を1つのノズルだけが担うことになる。したがって、不吐出、吐出量変動又は吐出方向ズレを起こした吐出不良のノズル数がたとえ少数であるとしても、記録媒体に白抜けライン又はムラが形成されるので、画像品質が大きく劣化してしまう。
そこで、特許文献1に開示されたインクジェット記録装置では、ラインタイプの印字ヘッドの搬送方向に沿った下流側に隣接した位置に、記録紙に印字されたテストパターンを読み取るライン型画像センサを設けている。そして、ライン型画像センサによって得られた画像データから印字ヘッドの吐出不良ノズルを検出し、所定の回復動作を行うようにしている。これによって、吐出不良ノズルを的確に検出し、吐出不良ノズルを無くすことができる。
また、特許文献2には、搬送方向に関してインクジェットヘッドの上流位置にラインセンサを配置したプリンタが開示されている。このプリンタは、ラインセンサによってインクジェットヘッドに対する記録紙の傾きを検知し、その検知結果に応じて印字データを補正することによって、傾きのない画像を記録紙に記録することを可能としている。高速印字の要求に応えるべく記録紙の搬送速度が高まるに連れて、記録紙がシフトしたり傾いて搬送される可能性が高くなってきている。
適正な画像の記録を実現すべく、画像記録装置における上述した2つの課題、すなわち吐出不良と記録媒体の傾きの両方を解決しようとした場合、吐出不良検出用の画像センサと記録媒体の傾き検出用の画像センサとを画像記録装置に設けることになる。しかしながら、2つの画像センサを設けると、装置構成が複雑になると共に装置を低コストで製造することができなくなってしまう。
本発明の目的は、吐出不良の検出及び記録媒体の搬送不良の検出が可能であって、しかも簡単な構成を有する画像記録装置を提供することである。
本発明の画像記録装置は、記録媒体を搬送する搬送機構と、前記搬送機構によって搬送されている記録媒体の表面に向けて液体を吐出する吐出面を有しており、前記吐出面には前記搬送機構による記録媒体の搬送方向と直交する方向に延びた吐出領域が形成された記録ヘッドと、前記搬送機構によって搬送されている記録媒体の表面を撮像可能であって、前記吐出領域と同じ方向に延びた撮像範囲を有する画像センサと、前記記録ヘッドによって画像が記録された記録媒体を撮像するように、前記画像センサを制御する撮像制御手段と、前記画像センサが記録媒体を撮像することによって得られた画像データにおける前記画像に対応した部分に基づいて、前記記録ヘッドからの液体の吐出不良を認識する吐出不良認識手段と、前記画像センサが記録媒体を撮像することによって得られた前記画像データにおける記録媒体の輪郭を含む部分に基づいて、前記搬送機構によって搬送されている記録媒体の前記記録ヘッドに対する相対的な位置を認識する位置認識手段と、前記位置認識手段が認識した前記位置が正常であるか否かを判定する位置判定手段と、前記位置が正常でないと前記位置判定手段が判定したときに、記録媒体に適正な画像が記録されるように前記記録ヘッドに供給される印字データを補正する印字データ補正手段とを備えている。
本発明によると、吐出不良の検出と搬送機構による記録媒体の搬送不良の検出との両方の用途に画像センサを用いることによって、簡単な構成で適正な画像を記録媒体に記録することができる。「適正な画像を記録する」とは、画像が記録媒体の輪郭に対して本来の角度からシフトしたり傾くことなく記録されると共に、縁なし印字を行う場合にあっては記録媒体から画像がはみ出すことなく、縁あり印字を行う場合にあっては画像を取り囲む余白領域の幅が一様となることを意味する。
前記位置認識手段は、前記吐出領域の長手方向に関する記録媒体の位置を認識し、前記印字データ補正手段は、前記位置認識手段が認識した記録媒体の位置に基づいて、記録媒体に記録される画像が前記長手方向に沿ってシフトするような補正を印字データに施すようにしてもよい。これにより、搬送機構によって搬送される記録媒体が幅方向にシフトした場合に、適切な画像を記録することができる。
本発明の画像記録装置は、前記搬送機構によって搬送される記録媒体の幅を記憶する第1の幅記憶手段をさらに備えていてよい。そして、前記位置認識手段は、前記画像センサが記録媒体を撮像することによって得られた前記画像データに、記録媒体の前記搬送方向に沿った一方の端部だけが含まれている場合に、当該一方の端部の位置と、前記第1の幅記憶手段に記憶された記録媒体の幅とから、前記吐出領域の長手方向に関する記録媒体の位置を認識する。これにより、画像センサが比較的短い場合であっても、適切な画像を記録することができる。
前記位置認識手段は、前記搬送方向に対する記録媒体の傾斜角度を認識し、前記印字データ補正手段は、前記位置認識手段が認識した記録媒体の傾斜角度に基づいて、記録媒体に傾きのない画像が記録されるような補正を印字データに施すようにしてもよい。これにより、搬送機構によって搬送される記録媒体が傾いた場合に、適切な画像を記録することができる。
本発明の画像記録装置は、前記搬送機構によって搬送された複数の記録媒体のうち前記位置が正常でない記録媒体の割合が所定値以上であるか否かを判定する頻度判定手段をさらに備えていてよい。そして、前記印字データ補正手段は、前記位置が正常でない記録媒体の割合が前記所定値以上であると前記頻度判定手段が判定した場合にのみ、前記記録ヘッドに供給される印字データを補正する。これにより、記録媒体の搬送不良が突発的に生じた場合に印字データが不必要に補正されるのを防止することができる。
前記画像センサが、前記搬送方向に沿って前記記録ヘッドよりも下流に配置されていてよい。これにより、記録ヘッドで画像が記録された記録媒体をそのまま下流に向けて搬送することで、画像センサによる撮像が可能となる。
本発明の画像記録装置は、前記画像センサが記録媒体を撮像することによって得られた前記画像データに、記録媒体の前記搬送方向に沿った両方の端部が含まれている場合に、当該画像データに基づいて、前記搬送機構によって搬送される記録媒体の幅を導出する幅導出手段と、前記搬送機構によって搬送される記録媒体の幅を記憶する第2の幅記憶手段と、前記幅導出手段が導出した記録媒体の幅と、前記第2の幅記憶手段に記憶された記録媒体の幅とが一致しているか否かを判定する幅判定手段と、2つの記録媒体の幅が一致していないと前記幅判定手段が判定した場合に、その旨を操作者に通知する通知手段とをさらに備えていてよい。これにより、搬送される記録媒体の幅が記憶されたものと一致しない場合に、その旨を操作者に通知することができる。
本発明の画像記録装置は、前記画像センサが記録媒体を撮像することによって得られた前記画像データに、記録媒体の前記搬送方向に沿った両方の端部が含まれている場合に、当該画像データに基づいて、前記搬送機構によって搬送される記録媒体の幅を導出する幅導出手段と、前記幅導出手段が導出した記録媒体の幅と、印字データの印字幅との大小関係を検出する大小関係検出手段とをさらに備えていてよい。このとき、前記印字データ補正手段は、前記幅導出手段が導出した記録媒体の幅が印字データの印字幅と同じ又は印字データの印字幅よりも大きい場合には、印字データの補正をそのサイズに関しては行わず、前記幅導出手段が導出した記録媒体の幅が印字データの印字幅よりも小さい場合には、印字される画像が縮小されて記録媒体内に収まるように印字データを補正する、及び、印字データのうち記録媒体外に対応する領域を削除するのいずれかを行う。これにより、搬送される記録媒体の幅が印字データの印字幅と一致しない場合であっても、適切な記録媒体への記録が可能となる。
さらに、このとき、本発明の画像記録装置は、前記幅導出手段が導出した記録媒体の幅よりも印字データの印字幅のほうが大きい場合に、記録媒体内に収まるように印字データを補正する、及び、印字データのうち記録媒体外に対応する領域を削除するのいずれを行うかを記憶する補正設定記憶手段をさらに備えていてよい。これにより、搬送される記録媒体の幅が印字データの印字幅よりも小さい場合に、操作者の所望する形態での印字が可能となる。
前記位置判断手段は、前記位置認識手段が認識した前記位置が前記印字データ補正手段による印字データの補正を行えば記録媒体に適正な画像が記録できる位置であるか否かを判断し、前記印字データ補正手段は、適正な画像が記録できる位置であると前記位置判断手段が判断したときにのみ、印字データを補正してよい。これにより、無駄な補正が行われるのを事前に取りやめることができる。
前記印字データ補正手段による印字データの補正が終了するまで、前記搬送機構による記録媒体の搬送が減速又は停止させられてよい。これにより、十分な補正時間を確保することが可能となる。
別の観点において、本発明の画像記録装置は、記録媒体を搬送する搬送機構と、前記搬送機構によって搬送されている記録媒体の表面に向けて液体を吐出する吐出面を有しており、前記吐出面には前記搬送機構による記録媒体の搬送方向と直交する方向に延びた吐出領域が形成された記録ヘッドと、前記搬送機構によって搬送されている記録媒体の表面を撮像可能であって、前記吐出領域と同じ方向に延びた撮像範囲を有する一又は複数の画像センサと、前記記録ヘッドによって画像が記録された記録媒体を撮像するように、前記一又は複数の画像センサのうちの少なくともいずれか1つを制御する撮像制御手段と、前記一又は複数の画像センサのうちの少なくともいずれか1つが記録媒体を撮像することによって得られた画像データにおける前記画像に対応した部分に基づいて、前記記録ヘッドからの液体の吐出不良の有無を認識する吐出不良認識手段と、前記一又は複数の画像センサのうちの少なくともいずれか1つが記録媒体を撮像することによって得られた前記画像データにおける記録媒体の輪郭を含む部分に基づいて、前記搬送機構によって搬送されている記録媒体の前記記録ヘッドに対する相対的な位置を認識する位置認識手段と、前記位置認識手段が認識した前記位置が正常であるか否かを判定する位置判定手段と、前記位置が正常でないと前記位置判定手段が判定したときに、記録媒体に適正な画像が記録されるように前記記録ヘッドに供給される印字データを補正する印字データ補正手段とを備えている。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
<インクジェットプリンタの概略構成>
図1に、本発明の一実施形態に係る画像記録装置であるインクジェットプリンタ1を示す。図1に示すインクジェットプリンタ1は、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド2を有するカラーインクジェットプリンタである。インクジェットプリンタ1には、図1中左方に給紙機構11、図1中右方に排紙部12が設けられている。
図1に、本発明の一実施形態に係る画像記録装置であるインクジェットプリンタ1を示す。図1に示すインクジェットプリンタ1は、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド2を有するカラーインクジェットプリンタである。インクジェットプリンタ1には、図1中左方に給紙機構11、図1中右方に排紙部12が設けられている。
インクジェットプリンタ1の内部には、給紙機構11から排紙部12に向かって記録媒体である用紙が搬送される用紙搬送経路が形成されている。給紙機構11には、ピックアップローラ22が設けられている。ピックアップローラ22は、ピックアップモータ132(図6参照)の駆動により回転すると、用紙トレイ21内の最も上方にある用紙を繰り出し、図1中左方から右方に送る。用紙搬送経路の中間部には、用紙搬送機構が配置されている。用紙搬送機構は、二つのベルトローラ6、7と、両ローラ6、7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8とを有している。
搬送ベルト8の外周面8aにはシリコーン処理が施され粘着性を有している。給紙機構11のすぐ下流側には、搬送ベルト8と対向する位置に押さえローラ5が配置されており、給紙機構11から送り出された用紙を搬送ベルト8の外周面8aに押さえ付けている。これにより、外周面8aに押さえ付けられた用紙は、外周面8aの粘着力により保持されながら、搬送方向Bに沿って搬送される。このとき、用紙搬送方向下流側のベルトローラ6は、搬送モータ133(図6参照)から駆動力が与えられ、図1中時計回り(矢印A方向)に回転している。
用紙搬送経路に沿って搬送ベルト8のすぐ下流側には、剥離プレート13が設けられている。剥離プレート13は、搬送ベルト8の外周面8aに保持されている用紙を外周面8aから剥離して、右方の排紙部12へ向けて送るように構成されている。
搬送ベルト8によって囲まれた領域内には、ほぼ直方体形状のプラテン9が配置されている。このプラテン9は、インクジェットヘッド2と対向する位置、つまり上側にある搬送ベルト8の下面と接触しており、搬送ベルト8の内周側からこれを支持している。図1に示すように、プラテン9によって搬送ベルト8の上面とインクジェットヘッド2の下面との間に、所定の間隙が形成される。
図2は、インクジェットプリンタ1の部分的な平面図である。図3は、図2に描かれたIII−III線に沿った断面図である。4つのインクジェットヘッド2は、図2に示すように、それぞれ主走査方向(副走査方向に直交する方向であって、図1の紙面に直交している)に延在し、副走査方向(搬送方向Bに沿った方向)に並設されている。つまり、インクジェットプリンタ1は、主走査方向に延びた吐出領域が形成されたライン式プリンタである。インクジェットヘッド2は、図1及び図3に示すように、その下端にヘッド本体3を有する。ヘッド本体3は、圧力室を含む個別インク流路が複数形成された流路ユニットと、圧力室内のインクに圧力を与えるアクチュエータとが貼り合わされたものであり、主走査方向に細長な直方体形状を有する。ヘッド本体3の底面、即ち吐出面3aには、ノズルの一端である微小径の吐出口3b(図4参照)が多数並べて形成されている。
ヘッド本体3の上面には、図1及び図3に示すように、インクを一時的に貯溜するリザーバユニット10が固定されている。リザーバユニット10は、ヘッド本体3より長く、ヘッド本体3の長手方向両側から突出している。リザーバユニット10は、当該突出した部分において、矩形の開口を有するフレーム4に、吐出面3aが当該開口から下方に露出するように固定されている。より詳細には、フレーム4の対向辺からは、リザーバユニット10を下側から支持する一対のフランジ4aが開口の内側に向かって突出している。フランジ4aとリザーバユニット10の長手方向両端とは、ネジ50で固定されている。吐出面3aは、フレーム4の底面とほぼ同じ高さである。
ヘッド本体3は、吐出面3aと搬送ベルト8のプラテン9によって支持された部分とが対向しつつ平行になり、且つ、吐出面3aと搬送ベルト8との間に僅かな隙間が形成されるように配置されている。当該隙間は、用紙搬送経路の一部を構成している。搬送ベルト8の外周面8a上に保持されつつ搬送されてきた用紙が4つのヘッド本体3のすぐ下方を順に通過する際に、用紙の上面すなわち印字面に向けて各色のインクが吐出されることで、用紙上に所望のカラー画像が形成される。
本実施の形態において、搬送方向に沿って最も下流にあるインクジェットヘッド2の下流側側面には、画像センサ201が取り付けられている。画像センサ201の詳細については後述する。
<昇降機構>
フレーム4は、図2及び図3に示すように、プリンタ1に設けられた一対の昇降機構51により、鉛直方向に移動可能に支持されている。一対の昇降機構51は、副走査方向に関して4つのインクジェットヘッド2を挟んで両側に配置されている。各昇降機構51は、フレーム4を鉛直方向に移動させる駆動源としてのヘッドモータ52と、ヘッドモータ52の軸に固定されたピニオンギヤ53と、ピニオンギヤ53と噛合するラックギヤ54と、ピニオンギヤ53との間にラックギヤ54を挟む位置に配置されたガイド56とを含む。後述するように、昇降機構51は、制御部101の制御に基づいて駆動される。
フレーム4は、図2及び図3に示すように、プリンタ1に設けられた一対の昇降機構51により、鉛直方向に移動可能に支持されている。一対の昇降機構51は、副走査方向に関して4つのインクジェットヘッド2を挟んで両側に配置されている。各昇降機構51は、フレーム4を鉛直方向に移動させる駆動源としてのヘッドモータ52と、ヘッドモータ52の軸に固定されたピニオンギヤ53と、ピニオンギヤ53と噛合するラックギヤ54と、ピニオンギヤ53との間にラックギヤ54を挟む位置に配置されたガイド56とを含む。後述するように、昇降機構51は、制御部101の制御に基づいて駆動される。
昇降機構51に含まれるヘッドモータ52は、インクジェットプリンタ1の一対の本体フレーム1aにそれぞれ固定されている。一対の本体フレーム1aは、副走査方向に関して対向するよう配置されている。ラックギヤ54は、鉛直方向に延在し、その下端がフレーム4の側面に固定されている。ラックギヤ54のピニオンギヤ53とは反対側の側面は、ガイド56と摺動可能に接している。ガイド56は、本体フレーム1aに固定されている。
2つのヘッドモータ52を同調させてピニオンギヤ53を正逆方向に回転させると、ラックギヤ54が上又は下方向に移動する。ラックギヤ54の移動に伴い、フレーム4が4つのインクジェットヘッド2と共に鉛直方向に昇降する。
フレーム4における副走査方向に沿った両辺には、一対のガイドユニット59が配設されている。各ガイドユニット59は、バー58、及び、バー58を挟む一対のガイド57を含む。一対のガイド57は、図3に示すように、鉛直方向に延在し、インクジェットプリンタ1の一対の本体フレーム1bにそれぞれ固定されている。一対の本体フレーム1bは、主走査方向に関して対向するよう配置されている。バー58は、ガイド57と同様に鉛直方向に延在し、フレーム4の上記辺における本体フレーム1bに対向する側面にそれぞれ固定されている。バー58は、一対のガイド57のそれぞれと摺動可能に接している。
ガイドユニット59は、昇降機構51によってフレーム4が鉛直方向に昇降したときに、インクジェットヘッド2の吐出面3aが搬送ベルト8のプラテン9によって支持された部分に対して傾くのを防いでいる。つまり、昇降機構51でフレーム4及びインクジェットヘッド2を鉛直方向に昇降させても、吐出面3aはプラテン9の上面と常に平行となる。その結果、印字時において、用紙に対するインクの着弾精度が向上する。
通常、フレーム4は、昇降機構51によって図3中矢印C方向に移動されて、用紙に印字を行うために4つのインクジェットヘッド2が用紙に対してインクを吐出する印字位置(図3に示す位置)に配置されている。そして、インクジェットヘッド2のメンテナンス時(インクジェットヘッド2からインクを強制的に吐出するパージのとき、吐出面3aに付着したインクを拭き取るとき、及び、吐出面3aをキャップで覆うとき)にだけ、フレーム4は、昇降機構51によって図3中矢印C方向に移動されて、4つのインクジェットヘッド2が印字位置よりも上方にあるヘッドメンテナンス位置に配置される。
<画像センサ>
ここで、図4を参照してインクジェットヘッド2と画像センサ201と用紙との位置関係について説明する。ヘッド本体3の吐出面3aには、4つのインクジェットヘッド2の底面図である図4に示すように、ノズルの一端である微小径の吐出口3bが複数形成されている。そして、吐出面3aには、複数の吐出口3bが主走査方向に等間隔に配列されてなる複数のノズル列(吐出口列)3cが形成されている。これら複数のノズル列3cは、互いに平行である。そして、1つのインクジェットヘッド2に形成されたすべての吐出口3bには、主走査方向に関して互いに同じ位置にあるものはなく、これらの吐出口3bは主走査方向に関して等間隔に配列されている。
ここで、図4を参照してインクジェットヘッド2と画像センサ201と用紙との位置関係について説明する。ヘッド本体3の吐出面3aには、4つのインクジェットヘッド2の底面図である図4に示すように、ノズルの一端である微小径の吐出口3bが複数形成されている。そして、吐出面3aには、複数の吐出口3bが主走査方向に等間隔に配列されてなる複数のノズル列(吐出口列)3cが形成されている。これら複数のノズル列3cは、互いに平行である。そして、1つのインクジェットヘッド2に形成されたすべての吐出口3bには、主走査方向に関して互いに同じ位置にあるものはなく、これらの吐出口3bは主走査方向に関して等間隔に配列されている。
画像センサ201は、副走査方向に沿って最も下流にあるインクジェットヘッド2の下流側側面に取り付けられている。したがって、画像センサ201は、昇降機構51を駆動することによって、フレーム4及び4つのインクジェットヘッド2に連動して4つのインクジェットヘッド2と一体となって移動可能となっている。画像センサ201は副走査方向に沿って最も下流にあるインクジェットヘッド2とフレーム4との間隙に対応するように配置されているので、画像センサ201の下面は、フレーム4に遮られることなく、搬送ベルト8の外周面8aと対向している。
本実施の形態において、画像センサ201は、主走査方向に延びた撮像範囲を有している。すなわち、画像センサ201は、ライン型センサである。画像センサ201の撮像範囲は、主走査方向に関して、インクジェットヘッド2の印字可能範囲と同じ範囲となっている。これに対して、搬送経路を搬送されてくる用紙Pの幅(インクジェットヘッド2の主走査方向に沿った長さ)は、インクジェットヘッド2の印字可能範囲よりも幾分狭くなっている。したがって、用紙Pがその幅方向に若干シフトして搬送されたとしても、画像センサ201は、用紙Pをその全幅にわたって撮像することができる。後述するように、画像センサ201は、用紙上に印字された画像を撮像することによって、吐出不良を検出するため、及び、搬送ベルト8によって搬送されている用紙の位置を検出するために用いられるものである。
図5は、インクジェットヘッド2の副走査方向に沿った、画像センサ201の模式的な断面図である。図5に示すように、画像センサ201は、例えばCCD、CMOSなどからなる撮像素子202と、下面である読み取り面201aと撮像素子202との間にあって撮像素子202上に被撮像物(本実施の形態では、搬送ベルト8で搬送される用紙及び用紙に記録された画像)の光学像を結像させるための結像光学系203と、被撮像物に照射される光の光源であるLED(発光ダイオード)204と、LED204から出射された光が読み取り面201aから被撮像物に向けて出射されるように光を導くライトガイド205とを有している。撮像素子202、結像光学系203、LED204及びライトガイド205は、いずれも主走査方向に長く形成されている。
本実施の形態においては、インクジェットヘッド2の吐出面3aと画像センサ201の読み取り面201aとが同じ高さにある。そして、フレーム4が検査位置にあるとき、搬送ベルト8の外周面8a上に載置された所定厚みの用紙から吐出面3a及び読み取り面201aまでの距離は、当該用紙に印字された画像の光学像が画像センサ201の結像光学系203によって撮像素子202上に結像されるように、つまり画像センサ201が搬送ベルト8の外周面8a上に載置された用紙を撮像したときに得られる画像データが合焦画像を示すように予め決められている。
<メンテナンスユニットの構成>
図2及び図3に戻って、インクジェットヘッド2に対してメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット70について説明する。これら図面に示すように、メンテナンスユニット70がインクジェットヘッド2の左側に配置されている。メンテナンスユニット70は、水平移動可能な2つのトレイ71、75を有している。このうち、トレイ71は、上方に開口したほぼ方形の箱形状を有し、トレイ75を内包している。トレイ71とトレイ75とは、後述の凹部74bと凸部83aとが係合すること、及び、その係合が解除されることで、両者が連結した状態と両者の連結が解除された状態とを切り換え可能になっている。
図2及び図3に戻って、インクジェットヘッド2に対してメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット70について説明する。これら図面に示すように、メンテナンスユニット70がインクジェットヘッド2の左側に配置されている。メンテナンスユニット70は、水平移動可能な2つのトレイ71、75を有している。このうち、トレイ71は、上方に開口したほぼ方形の箱形状を有し、トレイ75を内包している。トレイ71とトレイ75とは、後述の凹部74bと凸部83aとが係合すること、及び、その係合が解除されることで、両者が連結した状態と両者の連結が解除された状態とを切り換え可能になっている。
メンテナンスユニット70が右方に水平移動する際には、予めフレーム4が上方(図3中矢印C方向)のヘッドメンテナンス位置まで移動し、4つの吐出面3aと搬送ベルト8との間にメンテナンスユニット70用のスペースが確保される。この後、メンテナンスユニット70が、図3中矢印D方向に水平移動することになる。トレイ71は、インクジェットヘッド2から遠い方の側面が開放されており、凹部74bと凸部83aとの係合が解かれているとき(例えばパージ動作時)、内包するトレイ75を残して、トレイ71のみが右方に水平移動する。
メンテナンスユニット70のすぐ下方には、廃インク受けトレイ77が配置されている。この廃インク受けトレイ77は、平面視でトレイ71を内包するサイズを有し、トレイ71が図2において右端まで移動したときでも、トレイ71のインクジェットヘッド2と反対側の辺縁部が重なる形状を有している。廃インク受けトレイ77のインクジェットヘッド2に近い方の端部には、インク排出孔77aが形成されている。インク排出孔77aは、廃インク受けトレイ77上に流れ込んだインクを図示しない廃インク溜めに流通させる。
トレイ71内には、インクジェットヘッド2に近い側から順に、ワイパー72及びトレイ75が配置されている。トレイ75内には、各インクジェットヘッド2に対応して、矩形平面形状を有した4つのキャップ76が並べて設けられている。各キャップ76は、その長手方向をインクジェットヘッド2の長手方向に平行とされ、副走査方向にインクジェットヘッド2と同じピッチで配置されている。
キャップ76は、吐出面3aとほぼ同サイズの長方形平面形状を有する板状部材76bと、板状部材76bの周縁部から上方に突出した環状突起76aとからなる。環状突起76aは、ゴムなどの弾性材料から形成されており、吐出面3aの周縁部と対向するサイズと形状を有している。キャップ76は、環状突起76aと吐出面3aの周縁部とが当接したときに、密閉空間を形成する。このようにキャップ76は、吐出面3aを覆うことが可能となっている。また、各キャップ76は、2つのバネ(図示せず)によってトレイ75の底面に支持されつつ上方に付勢されている。
トレイ71には、ワイパー72の他、取り付け部材78が配置された保持部材74が固定されている。保持部材74は、平面形状がコ型形状となっている。保持部材74の副走査方向に沿う部分の上面には、副走査方向に沿って延在した溝74aが形成されている。そして、溝74a内に取り付け部材78及びワイパー72が配置されている。一方、保持部材74から主走査方向に延在した2つの部分の上面には、凹部74bがそれぞれ形成されている。
ワイパー72は、ゴムなどの弾性材料からなる。ワイパー72は、並列した4つのインクジェットヘッド2全体の幅よりも若干長く形成されており、その長手方向が副走査方向に沿うように取り付け部材78に固定されている。取り付け部材78は、ワイパー72と同方向に延在した直方体形状を有している。
トレイ71、75の左右各辺近傍には、凹部74b及び引っ掛け部材83がそれぞれ設けられている。引っ掛け部材83は、主走査方向に延在しており、その中央において回動可能となっている。引っ掛け部材83のインクジェットヘッド2に近い方の端部には、凸部83aが形成されている。引っ掛け部材83が図3中時計回りに回動すると、凸部83aが凹部74bに係合することになる。メンテナンスユニット70の上方には、当接部材84が2つの引っ掛け部材83にそれぞれ対応して配置されている。トレイ71とトレイ75とは、凹部74bと凸部83aとが係合しているか否かに応じて、トレイ71とトレイ75とが連結された状態と両者の連結が解除された状態とを切り換え可能になっている。
当接部材84は回動可能に支持され、図3中時計回りに回動すると、その一端が引っ掛け部材83の他方の端部83bと当接する。そして、これら当接部材84がさらに時計回りに回動すると、引っ掛け部材83が反時計回りに回動して、凸部83aと凹部74bとの係合が解除される。一方、当接部材84が反時計回りに回動して端部83bから離れると、引っ掛け部材83の自重のために凸部83aが凹部74bと係合する。
メンテナンスユニット70は、インクジェットヘッド2のメンテナンス非実行時には、図2及び図3に示すように、インクジェットヘッド2と対向しない「退避位置」にて静止している。そして、メンテナンス実行時には、メンテナンスユニット70がインクジェットヘッド2の吐出面3aに対向した「メンテナンス位置」へと退避位置から水平に移動する。このとき、フレーム4はヘッドメンテナンス位置に配置されているので、ワイパー72やキャップ76の先端が、吐出面3aに接触しない。
なお、メンテナンス実行時においてもパージ動作時には、トレイ75は残してトレイ71だけが退避位置からメンテナンス位置に移動して排出されたインクを受け取る。吐出面3aをキャップ76で覆うときには、トレイ71とトレイ75が凹部74bと凸部83aとの係合によって連結して、キャップ76と吐出面3aとが対向する位置にメンテナンスユニット70が移動する。
各トレイ71、75は、主走査方向に延びた一対のガイド軸96a、96bに摺動可能に支持されている。トレイ71には、2つの軸受け部材97a、97bが設けられている。軸受け部材97a、97bは、保持部材74の左右両側面から突出している。トレイ75には、2つの軸受け部材98a、98bが設けられている。軸受け部材98a、98bは、トレイ75の左右両側面から突出している。また、一対のガイド軸96a、96bは、それぞれの両端が本体フレーム1b、1dに固定されており、両フレーム1b、1d間に互いに平行に配置されている。
ここで、トレイ71、75をガイド軸96a、96bに沿って水平方向(矢印D方向)に移動させる水平移動機構91について説明する。水平移動機構91は、図2に示すように、トレイモータ92、モータプーリ93、アイドルプーリ94、タイミングベルト95、及び、ガイド軸96a、96b等を有する。
トレイモータ92は、副走査方向に平行に延びる本体フレーム1bの端部に形成された取り付け部1cに固定されている。モータプーリ93は、トレイモータ92に接続されており、トレイモータ92の駆動に伴って回転する。アイドルプーリ94は、図2中最も左側の本体フレーム1dに回転可能に支持されている。タイミングベルト95は、ガイド軸96aと平行に配設され、モータプーリ93とアイドルプーリ94との間に架け渡されるように巻回されている。また、タイミングベルト95は、保持部材74に設けられた軸受け部材97aに接続されている。
この構成において、トレイモータ92を駆動すると、モータプーリ93が正又は逆方向に回転するのに伴ってタイミングベルト95が走行する。タイミングベルト95の走行により、タイミングベルト95に軸受け部97aを介して接続されたトレイ71が、水平方向に沿って移動する。保持部材74の凹部74bと凸部83aとが係合しているときは、トレイ71内のワイパー72と、トレイ75内のキャップ76とが一緒に移動する。一方、凸部83aが凹部74bに係合していないときは、トレイ71内のワイパー72だけが移動する。
<制御系>
次に、インクジェットプリンタ1の制御系について、図6を参照して説明する。インクジェットプリンタ1は、プリンタの動作を制御する制御部101を有する。制御部101は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラム及び制御プログラムに使用されるデータが記憶されているROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時記憶するためのRAM(Random Access Memory)とを有している。これらは、モード記憶部141、ヘッド制御部142、搬送制御部143、メンテナンス制御部144、昇降制御部145、撮像制御部146、吐出不良認識部147、位置認識部148、用紙幅記憶部150、用紙幅判定部152、位置判定部153、頻度判定部155、補正パラメータ導出部156、補正パラメータ記憶部157、印字データ補正部158、補正設定記憶部159などとして機能する。
次に、インクジェットプリンタ1の制御系について、図6を参照して説明する。インクジェットプリンタ1は、プリンタの動作を制御する制御部101を有する。制御部101は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラム及び制御プログラムに使用されるデータが記憶されているROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時記憶するためのRAM(Random Access Memory)とを有している。これらは、モード記憶部141、ヘッド制御部142、搬送制御部143、メンテナンス制御部144、昇降制御部145、撮像制御部146、吐出不良認識部147、位置認識部148、用紙幅記憶部150、用紙幅判定部152、位置判定部153、頻度判定部155、補正パラメータ導出部156、補正パラメータ記憶部157、印字データ補正部158、補正設定記憶部159などとして機能する。
モード記憶部141は、インクジェットプリンタ1が後述する通常記録モード及び検査モードのいずれにあるかを記憶している。ここで、通常記録モードとは、操作者の所望する画像を用紙に印字するモードであり、検査モードとは画像センサ201で搬送ベルト8によって搬送されている用紙及びそこに印字された画像を撮像して、吐出不良及び搬送不良を検出するためのモードである。本実施の形態において、検査モードは、数多くの用紙に共通の印字データを用いた印字を行う通常記録モードに先立って行われるものとする。モード記憶部141の記憶内容は、検査モードでの印字実行回数が所定回数を超えたときに自動的に通常記録モードに変更されるほか、操作者の操作に基づいて、PC(パーソナルコンピュータ)100から受信した信号によっても通常記録モードから検査モードへと或いはその逆へと変更される。一変形例として、モード記憶部141の代わりに、出力する信号レベルがいずれのモードであるかに応じて異なるアナログ回路が設けられていてもよい。要は、いずれのモードであるかを指示する何らかのモード指示手段が設けられていればよい。
ヘッド制御部142は、PC100から受信した印字データに基づいて、対応するインクジェットヘッド2からインクが吐出されるように、ヘッド駆動回路121を制御する。
搬送制御部143は、インクジェットプリンタ1が通常記録モードにあるときには、ピックアップモータ132の駆動によりピックアップローラ22が回転して用紙トレイ21内の最も上にある用紙が搬送ベルト8上に送り出されるようにモータドライバ122を制御すると共に、搬送モータ133の駆動によりベルトローラ6が回転して用紙が搬送ベルト8の外周面8a上に保持されつつ搬送されるようにモータドライバ123を制御する。さらに、搬送制御部143は、搬送ベルト8上の用紙が排紙部12に到達した後に搬送モータ133の駆動停止によりベルトローラ6の回転が停止するようにモータドライバ123を制御する。また、搬送制御部143は、インクジェットプリンタ1が検査モードにあるときにも、通常記録モード時と同じような制御を行う。
メンテナンス制御部144は、メンテナンスユニット70を制御する。具体的には、メンテナンス制御部144は、ヘッド2へのインク初期導入時及びパージ時に、トレイモータ92の駆動によりトレイ71が待機位置からメンテナンス位置へと水平移動するように、パージ終了後、トレイモータ92の駆動によりトレイ71がメンテナンス位置から待機位置へと水平移動するように、キャッピング時、トレイモータ92の駆動によりトレイ71、75が待機位置からキャップ位置へと水平移動するように、PC100から印字データを受信したとき、トレイモータ92の駆動によりトレイ71、75がキャップ位置から待機位置へと水平移動するように、モータドライバ127を制御する。さらに、メンテナンス制御部144は、ヘッド2へのインク初期導入時及びパージ時に、ポンプによりインクカートリッジ内のインクがヘッド本体3に強制的に送られるように、ポンプドライバ(共に図示せず)を制御する。
昇降制御部145は、昇降機構51を制御することによって、フレーム4及び4つのインクジェットヘッド2の高さを調整する。具体的には、昇降制御部145は、図2に示すヘッドモータ52を駆動するモータドライバ125(昇降機構51の一部である)を制御する。昇降制御部145は、インクジェットプリンタ1が通常記録モードにあり且つヘッド2へのインク初期導入時及びヘッド2のメンテナンス時には、フレーム4がヘッドメンテナンス位置に位置するように、インクジェットプリンタ1が通常記録モードにあり且つ印字時には、フレーム4が印字位置に位置するように、モータドライバ125を制御する。さらに、昇降制御部145は、インクジェットプリンタ1が検査モードにあるときに、フレーム4が印字位置に位置するように、モータドライバ125を制御する。
撮像制御部146は、インクジェットプリンタ1が検査モードにあるときに、搬送ベルト8の外周面8a上に載置された用紙及びこの用紙に印字された画像を撮像するように、画像センサ201を制御する。この撮像によって得られた画像データは、吐出不良認識部147及び位置認識部148によって解析される。
吐出不良認識部147は、画像が印字された用紙を画像センサ201が撮像することによって得られた画像データの画像に対応した部分に基づいて、インクジェットヘッド2からのインクの吐出不良の有無を、複数の吐出口3bのそれぞれについて認識する。さらに、吐出不良認識部147は、当該認識に基づいてインクジェットヘッド2のメンテナンス動作を行う必要の有無について判断する。ここで、吐出不良は、不吐出、吐出量変動及び吐出方向ズレを含むものとする。
位置認識部148は、画像が印字された用紙を画像センサ201が撮像することによって得られた画像データの用紙の輪郭を含む部分に基づいて、搬送機構によって搬送されている用紙のインクジェットヘッド2に対する相対的な位置、つまり用紙搬送機構のよる用紙の搬送不良の有無を認識する。詳細には、位置認識部148は、インクジェットヘッド2の吐出領域の長手方向に関する用紙の位置(すなわち主走査方向に関するシフト量)、及び、搬送方向に対する用紙の傾斜角度を認識する。用紙のシフト量は、画像データが示す画像内における用紙の一方又は両方の輪郭の位置に基づいて認識される。用紙の傾斜角度は、画像データが示す画像内における用紙の少なくともいずれか1つの辺の傾斜角度に基づいて認識される。
一例として、図7(a)に、用紙Pが破線で示す本来の位置からシフト量S1だけ主走査方向にシフトして搬送された様子を示す。このときのシフト量は比較的小さく、用紙の両端が印字可能範囲内つまりヘッド2の吐出領域の範囲(本実施の形態では撮像範囲に等しい)内にある。また、図7(b)に、用紙Pが破線で示す本来の位置から角度θだけ反時計回りに傾斜して搬送された様子を示す。このときの傾斜角度θは比較的小さく、用紙の全体が印字可能範囲内つまりヘッド2の吐出領域の範囲(本実施の形態では撮像範囲に等しい)内にある。
一変形例として、位置認識部148は、撮像によって得られた画像データに搬送方向に沿った用紙の一方の端部だけが含まれている場合に、当該一方の端部の位置と、用紙幅記憶部150に記憶された用紙の幅に関するデータとから用紙の他端の位置、引いては吐出領域の長手方向に関する用紙の位置を認識する機能を有していてもよい。
一例として、図8に、用紙Pが破線で示す本来の位置からシフト量S2だけ主走査方向にシフトして搬送された様子を示す。本例では、ヘッド2の印字可能範囲が画像センサの撮像範囲よりも広くなっている。このとき、用紙の一端(図8の右端)は印字可能範囲内にあるが撮像範囲から距離S3だけはみ出している。用紙の他端(図8の左端)は撮像範囲内にある。したがって、このような場合に、位置認識部148は、撮像範囲内にある用紙の端部の位置と用紙幅記憶部150に記憶された用紙の幅に関するデータとから用紙の位置を認識する。よって、画像センサ201が比較的短い場合であっても、適切な画像を用紙に印字することができる。
さらに、位置認識部148は、画像センサ201が用紙を撮像することによって得られた画像データに用紙の搬送方向に沿った両方の端部が含まれている場合に、当該画像データに基づいて、用紙の幅を導出する機能(幅導出機能)を有している。
用紙幅判定部152は、位置認識部148が導出した用紙の幅と、用紙幅記憶部150に記憶された用紙の幅とが一致しているか否かを判定する。両者が一致していない場合、用紙幅判定部152は、制御部101に接続された通知用LED128を点灯させる。さらに、用紙幅判定部152は、位置認識部148が導出した用紙の幅と、PC100から供給された印字データの印字幅との大小関係、(つまり、両者が同じか否か、同じでない場合にどちらが他方よりも大きいか否か)を検出する。用紙幅記憶部150に記憶された用紙の幅は、例えば操作者によって入力されたものであってよい。
位置判定部153は、位置認識部148が認識した用紙の位置が正常であるか否かを判定する。ここで、正常であるとは、例えば、用紙のシフト量又は用紙の傾斜角度がゼロ又はそれに極めて近い所定値以下であることを意味している。
また、位置判定部153は、位置認識部148が認識した用紙の位置(シフト量及び傾斜角度)が、印字データ補正部158による印字データの補正を行えば記録媒体に適正な画像が記録できる位置であるか否かを判断する。この判断は、ヘッド2の印字可能範囲と、用紙の位置との相対的な位置関係に基づいて行われる。
頻度判定部155は、検査モードにおける用紙の連続印字枚数が所定枚数(本実施の形態ではN枚)に達したか否か、そして、連続印字枚数が所定枚数に達した場合に、検査モードで搬送及び印字されたN枚の用紙のうちで位置が正常でないと位置認識部148が認識した用紙の枚数が所定値(Nに非常に近い値)以上であるか否か、さらには、位置が正常でないと位置認識部148が認識した用紙の枚数が当該所定値以上である場合において、正常でないすべての用紙のシフト量又は傾斜角度が一定の狭い範囲に分布しているか否かを判定する。
補正パラメータ導出部156は、用紙搬送機構によって4つのインクジェットヘッド2と対向する位置に搬送されてきた用紙が常に一定のシフト量又は一定の傾斜角度を有しているということ(すなわち用紙のシフト量及び傾斜角度には確率的に高い再現性があること)を前提として、当該一定のシフト量又は当該一定の傾斜角度を補償して用紙に適正な画像を印字するために印字データに施されるべき補正に関するパラメータ(以下、「パラメータA」と称することがある)を導出する。ここで、一定のシフト量又は一定の傾斜角度とは、頻度判定部155の判定に係る一定の狭い範囲の代表値(例えば中央値、最頻値又は平均値)に相当するものである。例えば、用紙が常に5mmだけ右にシフトする場合には、印字データが示す画像を5mmだけ右にシフトさせるような印字データの補正パラメータを導出する。これによって、用紙の本来の位置に画像が印字される。また、用紙が常に時計回りに15°傾斜する場合には、印字データが示す画像を15°だけ時計回りに回転させるような印字データの補正パラメータを導出する。これによって、傾きのない画像が用紙に印字される。このようにして補正パラメータ導出部156が導出したパラメータAは、補正パラメータ記憶部157に記憶される。
さらに、補正パラメータ導出部156は、用紙幅判定部152が検出した大小関係を利用して、位置認識部148が導出した用紙の幅がPC100から供給された印字データの印字幅よりも小さい場合には、印字される画像が縮小されて用紙内に収まるような印字データの補正パラメータを導出する、及び、印字データのうち用紙外に対応する領域が削除されるような補正パラメータを導出するのいずれかを行う。いずれを行うかは、補正設定記憶部159に記憶された設定内容に基づいて補正パラメータ導出部156が判断する。このようにして補正パラメータ導出部156が導出した補正パラメータ(以下、「パラメータB」と称することがある)は、補正パラメータ記憶部157に記憶される。パラメータAとパラメータBは、互いに相反するものではなく補正に対する2つの独立したパラメータとして導出され、補正パラメータ記憶部157に記憶される。なお、位置認識部148が導出した用紙の幅がPC100から供給された印字データの印字幅と同じ又は印字データの印字幅よりも大きい場合には、補正パラメータ導出部156は、印字データのサイズに関する補正パラメータ(パラメータB)を導出しない。補正設定記憶部159の記憶内容は操作者の操作に基づいて書き換えられる。
図9は、位置認識部148が導出した用紙の幅W1がPC100から供給された印字データの印字幅W2と同じ又は印字データの印字幅W2よりも大きい場合を例示している。このとき、補正パラメータ導出部156は、印字データのサイズに関する補正パラメータ(パラメータB)を導出しない。
図10(a)を参照して、位置認識部148が導出した用紙の幅W1が印字データの印字幅W3よりも小さい場合について、印字される画像が縮小されて用紙内に収まるように補正パラメータ導出部156が導出する補正パラメータについて説明する。この例で導出される補正パラメータは、印字データの印字幅W3と係数aとの積算値が、用紙の幅W1以下の任意の大きさに設定された画像印字幅W4に等しくなるときの係数aである。
また、図10(b)を参照して、位置認識部148が導出した用紙の幅W1が印字データの印字幅W3よりも小さい場合について、印字データのうち用紙外に対応する領域が削除されるように補正パラメータ導出部156が導出する補正パラメータについて説明する。この例で導出される補正パラメータは、印字データの印字幅W3から用紙の幅W1以下の任意の大きさに設定された画像印字幅W4を減算することによって得られた値を2で割った商W5である。
印字データ補正部158は、通常記録モードにおいて、補正パラメータ記憶部157に記憶された補正パラメータ(パラメータA及びパラメータB)に基づいて、印字データを補正する。これにより、補正された印字データに基づいて印字が行われ、用紙には適正な画像が記録される。
なお、印字データ補正部158は、補正を行えば記録媒体に適正な画像が記録できる位置であると位置判定部153が判断したときにのみ、印字データを補正する。
<プリンタの動作>
次に、本実施の形態に係るインクジェットプリンタ1の動作について、図11に示すフローチャートに即して説明する。動作を開始したインクジェットプリンタ1の制御部101は、まず、ステップS1において、PC100から印字データを含む印字命令を受信するのを待機する。この印字命令には、印字データの印字幅が含まれているものとする。そして、印字命令を受信すると、ステップS2において、モード記憶部141に記憶されたモードが通常記録モード及び検査モードのいずれにあるかを判断する。そして、検査モードであれば(S2:YES)、ステップS3に進む。ステップS3では、搬送制御部143が、ピックアップモータ132の駆動によりピックアップローラ22が回転して用紙トレイ21内の最も上にある用紙が搬送ベルト8上に送り出されるようにモータドライバ122を制御すると共に、搬送モータ133の駆動によりベルトローラ6が回転して用紙が搬送ベルト8の外周面8a上に保持されつつ搬送されるようにモータドライバ123を制御する。それと共に、ヘッド制御部142が、PC100から受信した印字データに基づいた画像が用紙に印字(検査印字)されるように、ヘッド駆動回路121を制御する。
次に、本実施の形態に係るインクジェットプリンタ1の動作について、図11に示すフローチャートに即して説明する。動作を開始したインクジェットプリンタ1の制御部101は、まず、ステップS1において、PC100から印字データを含む印字命令を受信するのを待機する。この印字命令には、印字データの印字幅が含まれているものとする。そして、印字命令を受信すると、ステップS2において、モード記憶部141に記憶されたモードが通常記録モード及び検査モードのいずれにあるかを判断する。そして、検査モードであれば(S2:YES)、ステップS3に進む。ステップS3では、搬送制御部143が、ピックアップモータ132の駆動によりピックアップローラ22が回転して用紙トレイ21内の最も上にある用紙が搬送ベルト8上に送り出されるようにモータドライバ122を制御すると共に、搬送モータ133の駆動によりベルトローラ6が回転して用紙が搬送ベルト8の外周面8a上に保持されつつ搬送されるようにモータドライバ123を制御する。それと共に、ヘッド制御部142が、PC100から受信した印字データに基づいた画像が用紙に印字(検査印字)されるように、ヘッド駆動回路121を制御する。
さらに、ステップS4では、撮像制御部146が、PC100から受信した印字データに基づいた画像が印字された用紙を撮像するように、画像センサ201を制御する。
ステップS5では、吐出不良認識部147が、ステップS4で得られた画像データの画像に対応した部分に基づいて、インクジェットヘッド2からのインクの吐出不良の有無を、複数の吐出口3bのそれぞれについて認識する。この認識結果は、後のステップでメンテナンスを実行するか否かの判断に利用される。
ステップS6では、位置認識部148が、ステップS4で得られた画像データの用紙の輪郭を含む部分に基づいて、主走査方向に関する用紙のシフト量、及び、搬送方向に対する用紙の傾斜角度を認識する。
ステップS7では、図7(a)に示すようにステップS4で得られた画像データに用紙の搬送方向に沿った両方の端部が含まれている場合に、位置認識部148が、当該画像データに基づいて、用紙の幅を導出する。
ステップS8では、用紙幅判定部152が、ステップS7で位置認識部148が導出した用紙の幅と、用紙幅記憶部150に記憶された用紙の幅とが一致しているか否かを判定する。両者が一致していない場合(S8:NO)、ステップS9に進む。ステップS9では、用紙幅判定部152が、通知用LED128を点灯させる。そして、ステップS10では、操作者が検査モードの中断操作又は用紙幅記憶部150に記憶された用紙の幅の変更操作を行うのを所定の待機時間が経過するまで待つ。このように、本実施の形態では、搬送される用紙の幅が記憶されたものと一致しない場合に、その旨を操作者に通知することができる。もし待機時間内に操作者がこれらの操作を行わなかった場合には、ステップS11に進む。
ステップS11では、通常記録モードでの印字において印字データにパラメータAに基づいた補正を施す必要があるか否かが判断される。具体的には、ステップS6で位置認識部148が認識した用紙の位置(シフト量及び傾斜角度)が正常でないと位置判定部153が判定したときに、印字データに補正を施す必要があると判断される。さらには、本実施の形態では、位置認識部148が認識した用紙の位置(シフト量及び傾斜角度)が、印字データ補正部158による印字データの補正を行えば記録媒体に適正な画像が記録できる位置であると位置判定部153が判断した場合にのみ、印字データに補正を施す必要があると判断される。これにより、無駄な補正が行われるのを事前に取りやめることができる。補正の必要がある場合には(S11:YES)、ステップS12に進む。補正の必要がない場合には(S11:NO)、ステップS14に進む。
ステップS12では、まず、頻度判定部155が、検査モードにおける用紙の連続印字枚数が所定枚数(本実施の形態ではN枚)に達したか否かを判定する。そして、連続印字枚数が所定枚数に達している場合には、検査モードで搬送及び印字されたN枚の用紙のうちで位置が正常でないと位置認識部148が認識した用紙の枚数が所定値(Nに非常に近い値)以上であるか否かを判定する。最後に、頻度判定部155は、位置が正常でないと位置認識部148が認識した用紙の枚数が当該所定値以上である場合に、正常でないすべての用紙のシフト量又は傾斜角度が一定の狭い範囲に分布しているか否かを判定する。これら3つの条件がすべて満たされた場合(S12:YES)、ステップS13に進む。これら3つの条件が1つでも満たされない場合(S12:NO)、ステップS14に進む。なお、3つの条件のうち最後の条件が満たされない場合には、搬送機構の故障などが考えられるので、通知用LED128を点灯させて操作者への通知を行ってもよい。
ステップS13では、補正パラメータ導出部156が、ステップS6で位置認識部148が認識した用紙の位置(シフト量及び傾斜角度)からパラメータAを導出する。さらに、通常記録モードでの印字において印字データにパラメータBに基づいた補正を施す必要があるか否かが判断される。具体的には、位置認識部148がステップS7で導出した用紙の幅が、PC100から供給された印字データの印字幅よりも小さいと用紙幅判定部152が判定したときに、印字データに補正を施す必要があると判断される。これにより、規格から外れたサイズの用紙が用いられた場合でも、用紙に適正な画像を印字することが可能となる。
そして、パラメータBに基づいた補正を施す必要があるのであれば、補正パラメータ導出部156は、パラメータBを導出する。具体的には、補正設定記憶部159に記憶された設定内容に基づいて、印字される画像が縮小されて用紙内に収まるような印字データの補正パラメータ、及び、印字データのうち用紙外に対応する領域が削除されるような補正パラメータのいずれかを導出する。このようにして補正パラメータ導出部156が導出したパラメータA及びパラメータBは、補正パラメータ記憶部157に記憶される。本実施の形態では、補正設定記憶部159を設けることによって、搬送される用紙の幅が印字データの印字幅よりも小さい場合に、操作者の所望する形態での印字が可能となっている。
次に、ステップS14では、吐出不良認識部147が、当該認識に基づいてインクジェットヘッド2のメンテナンス動作を行う必要の有無について判断する。吐出不良が生じていない場合、ヘッド2のメンテナンスが不要であると判断され(S14:NO)、ステップS16に進む。吐出不良が生じている場合、ヘッド2のメンテナンスが必要であると判断される(S14:YES)。このとき、吐出不良が生じているのが1つのインクジェットヘッド2だけであれば、当該ヘッド2だけにメンテナンスが必要であると判断されてもよい。そして、ステップS15に進んで、メンテナンスユニット70によるヘッド2のメンテナンスを実行する。そして、メンテナンス終了後には、ステップS16に進む。
ここで、ステップS15において行われるヘッド2のメンテナンスについて、図12(a)及び図12(b)を参照しつつ以下に説明する。図12(a)は、フレーム4が印字位置からヘッドメンテナンス位置に移動し、メンテナンスユニット70のトレイ71がメンテナンス位置に移動したときの側面図である。図12(b)は、ワイパー72により吐出面3aに付着したインクを払拭しているときの側面図である。
吐出不良などに陥っていたインクジェットヘッド2を回復させるパージ動作を行う場合は、昇降機構51によりフレーム4をヘッドメンテナンス位置に移動させる。このとき、2つの駆動モータ52を同調させて駆動し、各ピニオンギヤ53を正方向(図3中時計回り方向)に回転させる。すると、ラックギヤ54がピニオンギヤ53の回転に伴って上方に移動する。ラックギヤ54に固定されたフレーム4は、4つのインクジェットヘッド2とともに上方に移動する。そして、フレーム4がヘッドメンテナンス位置に到達したときに駆動モータ52の回転を停止する。
こうして、吐出面3aと搬送ベルト8との間にメンテナンスユニット70が配置可能なスペースが形成される。このようにフレーム4がヘッドメンテナンス位置にあるとき、インクジェットヘッド2の吐出面3a及びフレーム4の底面は、メンテナンスユニット70がメンテナンス位置に移動してきたときに、ワイパー72及び環状突起76aの先端と接触しない位置となっている。
次に、当接部材84を引っ掛け部材83の端部83bに当接させて凸部83aを凹部74bから離隔させ、凹部74bと凸部83aとの係合を解除する。すわなち、トレイ71とトレイ75との連結が解除された状態となる。そして、この状態で、トレイ71をメンテナンス位置に移動させるように、水平移動機構91のトレイモータ92を駆動してタイミングベルト95を走行させる。そして、トレイ71が、図12(a)に示すように、メンテナンス位置に到達したときにモータ92の駆動を停止する。
続いて、インクタンク内のインクをインクジェットヘッド2へ強制的に送るポンプ(ともに図示せず)を駆動し、インクジェットヘッド2のノズル3bからトレイ71内にインクを吐出するパージ動作を行う。このパージ動作によって、吐出不良に陥っていたノズル3bの詰まりやノズル3b内のインクの増粘が解消される。トレイ71内に吐出されたインクはトレイ71の底面に沿って図12(a)中左側に移動し、廃インク受けトレイ77に流れ込む。そして、廃インク受けトレイ77のインク排出孔77aからパージされたインクが排出される。しかし、一部のインクは、インク滴となって吐出面3aに残留する。
しかる後、昇降機構51によってインクジェットヘッド2を下方に移動させる。このとき、インクジェットヘッド2の高さは、トレイ71が左側(すなわち、退避位置)に移動するときにワイパー72の先端が吐出面3a及びフレーム4の下面と当接可能な高さとされる。そして、図12(b)に示すように、水平移動機構91によってトレイ71を左側に移動させる(すなわち、トレイ71をメンテナンス位置から退避位置に移動させる)。
この動作により、ワイパー72が図9中右から左へ向かう払拭方向(第1の方向)に移動し、ワイパー72による吐出面3aの払拭動作が行われる。このとき、ワイパー72は、その上端がフレーム4の下面より上側にあるので、フレーム4の下面及び吐出面3aと撓みながら接触し、パージによって吐出面3aに付着したインクを拭き取る。以上説明した一連のメンテナンス動作を実行することによって、吐出不良を正常な状態に回復させることができる。
ステップS16では、図示しないカウンタでカウントされる検査モードにおける連続印字枚数パラメータnを、制御部101が1だけインクリメントする。そして、ステップS17では、連続印字枚数パラメータnがN+1に達したか否かを制御部101が判断し、連続印字枚数パラメータnがN+1に達している場合(S17:YES)、ステップS18に進む。連続印字枚数パラメータnがN+1に達していない場合(S17:NO)、ステップS2を経てステップS3に戻って再び上述した検査モードにおけるプロセスを実行する。
ステップS18では、モード記憶部141に記憶されたモードが通常記録モードに切り換えられ、さらに連続印字枚数パラメータnをゼロに初期化する。その後、ステップS2に戻る。したがって、このときステップS2の判断において、通常記録モードであると判断されて(S2:NO)、ステップS19に進む。
ステップS19では、少なくともパラメータAが補正パラメータ記憶部157に記憶されているか否かが判断される。そして、例えばパラメータAとパラメータBとが記憶されている場合(S19:YES)、ステップS20において、ステップS1でPC100から受信した印字データをパラメータA及びパラメータBに基づいて補正する。したがって、用紙搬送機構によって搬送される用紙が幅方向にシフトした場合及び傾いた場合、及び、搬送される用紙の幅が印字データの印字幅と一致しない場合であっても、適切な画像を記録することができる。なお、本実施の形態では、印字データ補正部158による印字データの補正が終了するまで、用紙搬送機構による用紙の搬送が減速又は停止させられる。これにより、十分な補正時間を確保することが可能となる。いずれの補正パラメータも記憶されていない場合(S19:NO)、ステップS21に進む。ステップS21では、補正された印字データに基づいて、ステップS1で受信した印字命令で指示された所定枚数の連続した通常印字を行う。そして、ステップS1に戻る。
以上説明した本実施の形態によると、インクの吐出不良の有無の検出と用紙搬送機構による用紙の搬送不良の検出との両方の用途に画像センサ201を用いることによって、簡単な構成で適正な画像を用紙に印字することができる。したがって、高画質であり、しかも安価で小型のインクジェットプリンタ1を提供できる。そして、一度の用紙搬送によって、吐出不良の検出と搬送機構による用紙の搬送不良の検出との両方を行うことができるので、用紙に良好な記録を行うことが可能となるまでの期間を短くすることができる。そして、検出された用紙の搬送不良を補償する補正を行うようにしているので、適正な画像を用紙に印字することができる。そのため、インクが搬送ベルト8の外周面8a上に着弾して用紙の裏面が汚れたり、それに起因して装置が故障するおそれがなくなる。
また、幅方向に関する用紙の中心を装置の所定位置に合わせるセンター合わせの場合には用紙の位置ずれが生じやすいが、たとえ用紙の位置ずれのために用紙がその幅方向にシフトして搬送されても、印字データをシフト量に合わせて補正することが可能でる。
検査モードにおいて吐出不良が検出された場合にメンテナンス動作を行うようにしているので、通常記録モードにおいて印字された用紙に白抜けライン又はムラなどが形成されるおそれがない。
さらに、搬送不良用紙の発生頻度が所定割合を超える場合にのみパラメータAでの印字データお補正を行うようにしているので、検査モードにおいて例えば多数の用紙のうちで1枚だけに突発的に搬送不良が生じた場合に印字データが不必要に補正されるのを防止することができる。
また、画像センサ201が搬送方向に沿って4つのインクジェットヘッド2よりも下流に配置されているので、インクジェットヘッド2で画像が印字された用紙をそのまま下流に向けて搬送することで、画像センサ201による撮像が可能となる。
なお、検査モードを常に通常記録モードに先駆けて行う必要はない。例えば検査モードを1度行うことによって得られたパラメータAを複数の通常記録モードに係る印字において用いることも可能である。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更を上述の実施の形態に施すことが可能である。例えば、上述した実施の形態では検査モードでN枚の用紙を印字してステップS12において頻度判定部155が3つの条件の判断を行っているが、検査モードでの印字枚数を1枚だけとしてこのような3つの条件の判断を行わなくてもよい。また、位置認識部148が幅導出機能を有していなくてもよい。その場合、印字データ補正部158は、パラメータAを用いた補正のみを行う。
上述した実施の形態は検査モードにおいて画像の印字及び用紙の撮像を行ったが、検査モードを有していない装置においても本発明を実施することが可能である。その場合、通常記録モードで所定枚数の画像の印字及び用紙の撮像を行って、インクの吐出不良及び用紙の搬送不良の検出を行えばよい。このとき、補正パラメータが導出されるまでは適正な画像が印字されないおそれがあるが、その場合には印字完了後に必要な枚数だけ印字を再度行えばよい。
また、画像センサ201が搬送ベルト8による用紙の搬送方向に沿って4つのインクジェットヘッド2よりも上流にあってもよい。その場合、画像が印字された用紙を搬送ベルトに貼り付けたまま搬送ベルトを一周させるか、搬送ベルトを逆回転させてから画像センサ201で撮像を行えばよい。画像センサ201の取付位置は、インクジェットヘッド2の側面に限られるものではなく、フレーム4の側面であってもよい。また、上述した実施の形態では画像センサを1つだけ用いているが、複数の画像センサを用いてもよい。
1 インクジェットプリンタ(画像記録装置)
2 インクジェットヘッド(記録ヘッド)
3 ヘッド本体
3a 吐出面
3b 吐出口
4 フレーム
8 搬送ベルト
8a 外周面
51 昇降機構
141 モード記憶部
142 ヘッド制御部
143 搬送制御部
144 メンテナンス制御部
145 昇降制御部
146 撮像制御部(撮像制御手段)
147 吐出不良認識部(吐出不良認識手段)
148 位置認識部(位置認識手段、幅導出手段)
150 用紙幅記憶部(第1の幅記憶手段、第2の幅記憶手段)
152 用紙幅判定部(幅判定手段、大小関係検出手段)
153 位置判定部(位置判定手段)
155 頻度判定部(頻度判定手段)
156 補正パラメータ導出部(印字データ補正手段)
157 補正パラメータ記憶部(印字データ補正手段)
158 印字データ補正部(印字データ補正手段)
159 補正設定記憶部(補正設定記憶手段)
201 画像センサ
2 インクジェットヘッド(記録ヘッド)
3 ヘッド本体
3a 吐出面
3b 吐出口
4 フレーム
8 搬送ベルト
8a 外周面
51 昇降機構
141 モード記憶部
142 ヘッド制御部
143 搬送制御部
144 メンテナンス制御部
145 昇降制御部
146 撮像制御部(撮像制御手段)
147 吐出不良認識部(吐出不良認識手段)
148 位置認識部(位置認識手段、幅導出手段)
150 用紙幅記憶部(第1の幅記憶手段、第2の幅記憶手段)
152 用紙幅判定部(幅判定手段、大小関係検出手段)
153 位置判定部(位置判定手段)
155 頻度判定部(頻度判定手段)
156 補正パラメータ導出部(印字データ補正手段)
157 補正パラメータ記憶部(印字データ補正手段)
158 印字データ補正部(印字データ補正手段)
159 補正設定記憶部(補正設定記憶手段)
201 画像センサ
Claims (12)
- 記録媒体を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送されている記録媒体の表面に向けて液体を吐出する吐出面を有しており、前記吐出面には前記搬送機構による記録媒体の搬送方向と直交する方向に延びた吐出領域が形成された記録ヘッドと、
前記搬送機構によって搬送されている記録媒体の表面を撮像可能であって、前記吐出領域と同じ方向に延びた撮像範囲を有する画像センサと、
前記記録ヘッドによって画像が記録された記録媒体を撮像するように、前記画像センサを制御する撮像制御手段と、
前記画像センサが記録媒体を撮像することによって得られた画像データにおける前記画像に対応した部分に基づいて、前記記録ヘッドからの液体の吐出不良の有無を認識する吐出不良認識手段と、
前記画像センサが記録媒体を撮像することによって得られた前記画像データにおける記録媒体の輪郭を含む部分に基づいて、前記搬送機構によって搬送されている記録媒体の前記記録ヘッドに対する相対的な位置を認識する位置認識手段と、
前記位置認識手段が認識した前記位置が正常であるか否かを判定する位置判定手段と、
前記位置が正常でないと前記位置判定手段が判定したときに、記録媒体に適正な画像が記録されるように前記記録ヘッドに供給される印字データを補正する印字データ補正手段とを備えていることを特徴とする画像記録装置。 - 前記位置認識手段は、前記吐出領域の長手方向に関する記録媒体の位置を認識し、
前記印字データ補正手段は、前記位置認識手段が認識した記録媒体の位置に基づいて、記録媒体に記録される画像が前記長手方向に沿ってシフトするような補正を印字データに施すことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。 - 前記搬送機構によって搬送される記録媒体の幅を記憶する第1の幅記憶手段をさらに備えており、
前記位置認識手段は、前記画像センサが記録媒体を撮像することによって得られた前記画像データに、記録媒体の前記搬送方向に沿った一方の端部だけが含まれている場合に、当該一方の端部の位置と、前記第1の幅記憶手段に記憶された記録媒体の幅とから、前記吐出領域の長手方向に関する記録媒体の位置を認識することを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。 - 前記位置認識手段は、前記搬送方向に対する記録媒体の傾斜角度を認識し、
前記印字データ補正手段は、前記位置認識手段が認識した記録媒体の傾斜角度に基づいて、記録媒体に傾きのない画像が記録されるような補正を印字データに施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像記録装置。 - 前記搬送機構によって搬送された複数の記録媒体のうち前記位置が正常でない記録媒体の割合が所定値以上であるか否かを判定する頻度判定手段をさらに備えており、
前記印字データ補正手段は、前記位置が正常でない記録媒体の割合が前記所定値以上であると前記頻度判定手段が判定した場合にのみ、前記記録ヘッドに供給される印字データを補正することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像記録装置。 - 前記画像センサが、前記搬送方向に沿って前記記録ヘッドよりも下流に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像記録装置。
- 前記画像センサが記録媒体を撮像することによって得られた前記画像データに、記録媒体の前記搬送方向に沿った両方の端部が含まれている場合に、当該画像データに基づいて、前記搬送機構によって搬送される記録媒体の幅を導出する幅導出手段と、
前記搬送機構によって搬送される記録媒体の幅を記憶する第2の幅記憶手段と、
前記幅導出手段が導出した記録媒体の幅と、前記第2の幅記憶手段に記憶された記録媒体の幅とが一致しているか否かを判定する幅判定手段と、
2つの記録媒体の幅が一致していないと前記幅判定手段が判定した場合に、その旨を操作者に通知する通知手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像記録装置。 - 前記画像センサが記録媒体を撮像することによって得られた前記画像データに、記録媒体の前記搬送方向に沿った両方の端部が含まれている場合に、当該画像データに基づいて、前記搬送機構によって搬送される記録媒体の幅を導出する幅導出手段と、
前記幅導出手段が導出した記録媒体の幅と、印字データの印字幅との大小関係を検出する大小関係検出手段とをさらに備えており、
前記印字データ補正手段は、前記幅導出手段が導出した記録媒体の幅が印字データの印字幅と同じ又は印字データの印字幅よりも大きい場合には、印字データの補正をそのサイズに関しては行わず、前記幅導出手段が導出した記録媒体の幅が印字データの印字幅よりも小さい場合には、印字される画像が縮小されて記録媒体内に収まるように印字データを補正する、及び、印字データのうち記録媒体外に対応する領域を削除するのいずれかを行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像記録装置。 - 前記幅導出手段が導出した記録媒体の幅よりも印字データの印字幅のほうが大きい場合に、記録媒体内に収まるように印字データを補正する、及び、印字データのうち記録媒体外に対応する領域を削除するのいずれを行うかを記憶する補正設定記憶手段をさらに備えていることを特徴とする請求項8に記載の画像記録装置。
- 前記位置判断手段は、前記位置認識手段が認識した前記位置が前記印字データ補正手段による印字データの補正を行えば記録媒体に適正な画像が記録できる位置であるか否かを判断し、
前記印字データ補正手段は、適正な画像が記録できる位置であると前記位置判断手段が判断したときにのみ、印字データを補正することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像記録装置。 - 前記印字データ補正手段による印字データの補正が終了するまで、前記搬送機構による記録媒体の搬送が減速又は停止させられることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像記録装置。
- 記録媒体を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送されている記録媒体の表面に向けて液体を吐出する吐出面を有しており、前記吐出面には前記搬送機構による記録媒体の搬送方向と直交する方向に延びた吐出領域が形成された記録ヘッドと、
前記搬送機構によって搬送されている記録媒体の表面を撮像可能であって、前記吐出領域と同じ方向に延びた撮像範囲を有する一又は複数の画像センサと、
前記記録ヘッドによって画像が記録された記録媒体を撮像するように、前記一又は複数の画像センサのうちの少なくともいずれか1つを制御する撮像制御手段と、
前記一又は複数の画像センサのうちの少なくともいずれか1つが記録媒体を撮像することによって得られた画像データにおける前記画像に対応した部分に基づいて、前記記録ヘッドからの液体の吐出不良の有無を認識する吐出不良認識手段と、
前記一又は複数の画像センサのうちの少なくともいずれか1つが記録媒体を撮像することによって得られた前記画像データにおける記録媒体の輪郭を含む部分に基づいて、前記搬送機構によって搬送されている記録媒体の前記記録ヘッドに対する相対的な位置を認識する位置認識手段と、
前記位置認識手段が認識した前記位置が正常であるか否かを判定する位置判定手段と、
前記位置が正常でないと前記位置判定手段が判定したときに、記録媒体に適正な画像が記録されるように前記記録ヘッドに供給される印字データを補正する印字データ補正手段とを備えていることを特徴とする画像記録装置。
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