JP2009094124A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性のある有機EL素子を提供する。
【解決手段】陽極、発光層及び陰極をこの順に有し、発光層が、少なくとも下記の化合物(a)、(b)及び(c)を含み、化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位(EaT1)から化合物(b)の最低励起一重項状態のエネルギー準位(EbS1)へのエネルギー移動効率が、溶液条件で10〜40%である有機エレクトロルミネッセンス素子。
(a)燐光発光性有機化合物
(b)蛍光発光性有機化合物
(c)上記(a)及び(b)の最低励起三重項状態のエネルギー準位よりも高い最低励起三重項のエネルギー準位を有する有機化合物
【選択図】図2

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。さらに詳しくは、電圧印加時の発光が主に燐光発光材料からの燐光に由来する蛍光・燐光同時発光型有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンスをELと略記する)素子は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子の再結合エネルギーにより蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。イーストマン・コダック社のC.W.Tangらによる積層型素子による低電圧駆動有機EL素子の報告がなされて以来、有機材料を構成材料とする有機EL素子に関する研究が盛んに行われている。
Tangらは,トリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウムを発光層に、トリフェニルジアミン誘導体を正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じ込めること等が挙げられる。
この例のように、有機EL素子の素子構造としては、正孔輸送(注入)層、電子輸送発光層の二層型、又は正孔輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の三層型等がよく知られている。こうした積層型構造素子では、注入された正孔と電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がされている。
近年、有機EL素子の発光層に蛍光材料の他に、燐光材料を利用することが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。燐光材料を用いることで、有機EL素子の発光層において有機燐光材料の励起状態の一重項状態と三重項状態とを利用し、高い発光効率が達成されている。有機EL素子内で電子と正孔が再結合する際には、スピン多重度の違いから一重項励起子と三重項励起子とが1:3の割合で生成すると考えられているので、燐光性の発光材料を用いることにより、蛍光のみを使った素子に比べて発光効率が3〜4倍向上すると考えられる。
しかし、燐光材料としては重原子金属(Ir,Pt,Os等)錯体が使用され、これらからの燐光発光はレスポンスが遅く、また、耐久性の点でさらなる改良が望まれていた。
このような問題を解決する1つの方法として、三重項励起子から一重項励起子へのエネルギー移動を用いて、一重項励起子に由来する発光(即ち、蛍光発光)を促す発光メカニズムが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
この発光メカニズムを用いた有機EL素子について、赤色、黄色及び青色の発光がすでに報告されているので、フルカラーELディスプレイを実現するためにも上記の発光メカニズムは重要な発光技術と位置付ける事ができる。
ところで、上記発光メカニズムを用いた青色有機EL素子の問題点として、電圧印加時の発光が主に最低励起一重項状態からの蛍光に由来するため、高い発光量子収率を有し、かつ短波長発光(350〜430nm付近)する材料が必要となることが挙げられる。しかしながら、このような材料として、合成及び供給が困難な遷移金属錯体を使用する必要があった。また、この遷移金属錯体から蛍光材料へのエネルギー移動効率が十分に高い(目安として溶液条件で51%以上)ことが要求される。このように非常に困難な条件があるため、特に青色発光領域における発光の制御が困難であった。従って、上記発光メカニズムに一層の改善が求められていた。
特許文献1及び2には、電圧印加時のEL素子の発光が主に最低励起一重項状態に由来する蛍光発光であって、蛍光発光が増幅される有機化合物の構造及び有機EL素子が記載されている。
特許文献1では、黄色の燐光発光を示す三座配位子を有する白金錯体から、黄色蛍光を発する材料(ルブレン)にエネルギー移動させることによって、ルブレンの黄色蛍光を主とした発光する素子が記載されている。この素子では、素子の耐久性や外部量子収率が向上すると記載されている。
しかし、燐光・蛍光材料におけるエネルギー準位が低いため、耐久性を有する青色発光の素子を得ることは不可能である。
また、特許文献2には、青色燐光発光を示す遷移金属錯体(FIrppy)から青色蛍光を発する縮環芳香族化合物にエネルギー移動することによって、縮環芳香族化合物の青色蛍光を促している素子構成が記載されている。この素子では、外部量子収率が向上する
しかし、電圧印加時の発光が主に最低励起一重項状態からの蛍光発光としているため、FIrppyから縮環芳香族化合物へのエネルギー移動が高効率である必要があり、青色領域における発光の制御が困難という問題点がある。
尚、上記特許文献1又は2における「電圧印加時のEL素子の発光が主に最低励起一重項状態からの蛍光発光」とは、EL素子から得られる発光成分のうち、51%以上が一重項励起子からの発光(蛍光)であり、残り49%以下が三重項励起子からの発光(燐光)のこと、即ち、電圧印加時の発光が主に蛍光発光の有機EL素子であることを意味する。
特許文献3には、発光層に短波長発光及び長波長発光する、異なる青色発光性材料を用いた蛍光・燐光ハイブリット素子が記載されている。具体的には、短波長発光を示すドーパント(アントラセンジフェニルアミン等)から、長波長発光を示すドーパント(テトラ(t−ブチル)ペリレン、FIrpic等)にエネルギー移動することによって、長波長発光を示すドーパントの発光を促している。これにより、外部量子収率等が向上すると記載されている。
しかし、実施例にはドーパントに蛍光発光性材料を用いた例しか記載されていない。
特開2006−140182号公報 特開2005−116520号公報 特開2007−194213号公報 D.F.O’Brien and M.A.Baldo et al "Improved energy transfering electrophosph−orescent devices" Applied Physics letters Vol.74 No.3, pp442−444,(1999). M.A.Baldo, M.E.Thompson and S.R.Forrest "High−efficiency fluorescent organic light−emitting devices using a phosphorescent sensitizer" Nature Vol.403, pp750−753,(2000).
本発明は、上述した発光メカニズムを使用した耐久性のある有機EL素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、発光層に(a)燐光発光性有機化合物、(b)蛍光発光性有機化合物、及び(c)上記(a)及び(b)の最低励起三重項状態のエネルギー準位よりも高い最低励起三重項状態のエネルギー準位を有する有機化合物を使用し、燐光を主とする蛍光及び燐光を同時発光する素子とすることにより、素子の耐久性が向上でき、青色発光の波長制御を容易化できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の有機EL素子が提供される。
1.陽極、発光層及び陰極をこの順に有し、前記発光層が、少なくとも下記の化合物(a)、(b)及び(c)を含み、前記化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位(EaT1)から前記化合物(b)の最低励起一重項状態のエネルギー準位(EbS1)へのエネルギー移動効率が、溶液条件で10〜40%である有機エレクトロルミネッセンス素子。
(a)燐光発光性有機化合物
(b)蛍光発光性有機化合物
(c)前記(a)及び(b)の最低励起三重項状態のエネルギー準位よりも高い最低励起三重項のエネルギー準位を有する有機化合物
2.下記式(1)及び(2)の関係を満たす1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
EaT1>EbS1 (1)
EcT1−EaT1<1.0eV (2)
(式中、EaT1は前記化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位であり、EbS1は前記化合物(b)の最低励起一重項状態のエネルギー準位であり、EcT1は前記化合物(c)の最低励起三重項状態のエネルギー準位である。)
3.前記化合物(a)の最低励起三重項状態からの発光量子収率が0.7以上であり、前記化合物(b)の最低励起一重項状態からの発光量子収率が0.5以上であり、前記化合物(b)の項間交差の量子収率が0.5以下である、1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.青色発光の際には、前記化合物(a)が遷移金属錯体であり、化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位が3.4〜4.2eVであり、前記化合物(b)の最低励起一重項状態のエネルギー準位が2.4〜3.4eVである、1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極をこの順で有する、1〜4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.上記1〜5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置。
本発明により、耐久性(半減寿命)が向上し、青色発光の波長制御が容易である有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
本発明の有機EL素子は、陽極、発光層及び陰極をこの順に有する。そして、発光層が少なくとも、(a)燐光発光性有機化合物、(b)蛍光発光性有機化合物、及び(c)上記(a)及び(b)の最低励起三重項状態よりも高い最低励起三重項エネルギー準位を有する有機化合物を含む。
図1は本発明の一実施形態である有機EL素子の構成を示す概略断面図である。
この有機EL素子は、ガラス基板1上に陽極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7及び陰極8をこの順で有する。
尚、素子構成はこれに限定されず、例えば、下記の構成1〜4でもよい。また、必要により正孔阻止層等の公知の層を形成してもよい。しかしながら、図1に示す素子構成が好ましい。
1.陽極/発光層/陰極
2.陽極/正孔注入又は輸送層/発光層/電子注入又は輸送層/陰極
3.陽極/正孔注入又は輸送層/発光層/陰極
4.陽極/発光層/電子注入又は輸送層/陰極
また、本発明の発光層は、図1に示すように1層で構成してもよく、2層以上が積層された構成であってもよい。
本発明の有機EL素子では、発光層が少なくとも上記(a)、(b)及び(c)の有機化合物を含有し、発光の主体は化合物(a)からの燐光発光である。発光層が上記化合物を含有することにより、素子の耐久性が向上する。
図2は、発光層における上記化合物間のエネルギー移動及び発光を説明するための図である。図2のエネルギー移動及びエネルギー準位の関係性を有することで化合物(b)からの蛍光発光が促され、また、素子の発光が主に化合物(a)からの燐光に由来するようにできる。
図2において、ExS0(xはa、b、又はcを示す。以下同様である。)は、それぞれ化合物(a)〜(c)の基底状態のエネルギー準位を示す。図2では、各化合物の基底状態のエネルギー準位を基準(0eV)としている。
ExS1は、化合物(x)の最低励起一重項エネルギー準位を示し、ExT1は、化合物(x)の最低励起三重項エネルギー準位を示す。
破線矢印(11,12,13,15、16)は各化合物間のエネルギー移動を示す。
本発明では、化合物(c)の最低励起三重項エネルギー準位EcT1が他の化合物よりも高いエネルギー準位を有する。化合物(c)はホストであり、各化合物間のエネルギー移動は化合物(c)から開始すると考えている。化合物(c)と化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位は互いに近い値であることが好ましい。
尚、EcT1は化合物(a)及び化合物(b)の最低励起三重項状態よりも高いことが好ましい。
エネルギー準位が図2に示される関係にある場合の有機EL素子の発光メカニズムは次のようになる。まず、両極間に電圧を印加することにより化合物(c)が励起され、最終的に最低励起一重項状態(エネルギー準位EcS1)と最低励起三重項状態(エネルギー準位EcT1)が25%:75%の割合で生成する。
次に、化合物(c)の最低励起三重項状態(エネルギー準位EcT1)から化合物(a)の最低励起三重項状態(エネルギー準位EaT1)へエネルギー移動(矢印16)が起きる。また、化合物(c)の最低励起一重項状態(エネルギー準位EcS1)から化合物(a)の最低励起一重項状態(エネルギー準位EaS1)へエネルギー移動(矢印15)が起こり、項間交差による緩和(矢印11)により最低励起三重項状態(エネルギー準位EaT1)へ遷移する。ここで、化合物(a)の最低励起一重項状態(エネルギー準位EaS1)から化合物(b)の最低励起一重項状態(エネルギー準位EbS1)へのエネルギー移動(図示せず)も起こり得るが、化合物(a)の最低励起一重項状態(エネルギー準位EaS1)の比率が項間交差の緩和により25%より低くなっているため全体から見ればその寄与は小さい。
次に、化合物(a)の最低励起三重項状態(エネルギー準位EaT1)から化合物(b)の最低励起一重項状態(エネルギー準位EbS1)へエネルギー移動(矢印12)が起こる事によって、化合物(b)の基底状態(エネルギー準位EbS0)へ遷移する過程(矢印14)で蛍光を放射する。
また、化合物(b)の最低励起一重項状態(エネルギー準位EbS1)から化合物(b)の最低励起三重項状態(エネルギー準位EbT1)への項間交差による緩和(矢印13)も起こり得るが、化合物(b)は蛍光発光性化合物であるため、項間交差による緩和の寄与は無視できるほど小さい。
次に、化合物(a)の最低励起三重項状態(エネルギー準位EaT1)から化合物(b)の最低励起一重項状態(エネルギー準位EbS1)へエネルギー移動12によって移動しなかった三重項励起子は、化合物(a)の最低励起三重項状態(エネルギー準位EaT1)から化合物(a)の基底状態(エネルギー準位EaS0)へ遷移する過程(矢印17)で燐光を放射する。
本発明の素子において、化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位(EaT1)から化合物(b)の最低励起一重項状態のエネルギー準位(EbS1)へのエネルギー移動(図2中、矢印12)の効率は、10〜40%であり、特に、20〜40%であることが好ましい。この規定により、本発明の素子の発光の主体は化合物(a)からの燐光発光となる。
本発明の有機EL素子は、電圧印加時の発光が主に燐光発光であり、また、蛍光と燐光を同時に発光する有機EL素子である。従って、燐光を発する化合物から蛍光を発する化合物へのエネルギー移動が高効率である必要がない。そのため、高エネルギー準位からの発光を必要とする、青色領域における発光の制御も容易となる。
また、本発明の有機EL素子は耐久性がよい。これは本発明の素子が蛍光・燐光同時発光であることが大きく関係している。一般的に、有機EL素子では蛍光発光性有機化合物の方が燐光発光性有機化合物に比べて耐久性がよい。従って、発光させるエネルギーを蛍光発光性有機化合物に分散させることで、燐光発光性有機化合物に掛かる負担を減少させることができる。そのため、燐光発光性材料のみを用いたEL素子に比べて長寿命化すると考えられる。
尚、本発明では化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位(EaT1)から化合物(b)の最低励起一重項状態のエネルギー準位(EbS1)へのエネルギー移動の効率を以下のようにして決定する。
はじめに、測定対象である化合物A(燐光発光性有機化合物)のみを溶媒に溶かし、化合物Aが吸収を示す波長で、パルス幅が化合物Aの最低励起三重項状態の寿命より十分に短いパルスレーザーを照射する。これにより、化合物Aには最低励起一重項状態(エネルギー準位EAS1)を経て最低励起三重項状態(エネルギー準位EAT1)が生じる。最低励起三重項状態から基底状態に遷移する際に燐光が発生する。この燐光発光寿命(発光寿命A)を測定する。
次に、測定対象である化合物A(燐光発光性有機化合物)と化合物B(蛍光発光性有機化合物)を溶媒に溶かし、上記と同様にパルスレーザーを照射し、化合物Aに由来する燐光の発光寿命(発光寿命A+B)を測定する。
発光寿命Aと発光寿命(A+B)を比較することにより、化合物Aの最低励起三重項状態(エネルギー準位EAT1)から化合物Bの最低励起一重項状態(エネルギー準位EBS1)へのエネルギー移動の有無を判断できる。
即ち、化合物Aの最低励起三重項状態から化合物Bの最低励起一重項状態(エネルギー準位EBS1)にエネルギー移動する場合は、発光寿命(A+B)は発光寿命Aより短くなるか、又は観察されなくなる。
これは、化合物Aの最低励起三重項状態から、化合物Bの最低励起一重項状態にエネルギー移動したことにより、燐光として放射されるエネルギーが減少するためである。
一方、エネルギー移動がない場合は、発光寿命(A+B)と発光寿命Aは同程度となる。尚、化合物Aの最低励起三重項状態(エネルギー準位EAT1)よりも化合物Bの最低励起一重項状態(エネルギー準位EBS1)が高い場合も同様である。
発光寿命(A+B)と発光寿命Aから、エネルギー移動速度を算出し、これに発光寿命(A+B)を乗ずることによりエネルギー移動効率を計算できる。詳細については実施例に記載する。
本発明において、化合物(a)の発する燐光の発光量は、化合物(b)の発する蛍光の発光量よりも多い。本発明の有機EL素子から得られる発光成分のうち、具体的に、51%以上が三重項励起子からの発光(燐光)であり、残り49%以下が一重項励起子からの発光(蛍光)である。さらに好ましくは、70%以上が燐光、30%以下が蛍光である。本発明において、化合物(a)の発する燐光の発光量、及びから化合物(b)の発する蛍光の発光量の割合は、それぞれ下記の計算式により決定する。
燐光の発光量=「化合物(a)の最低励起三重項状態からの発光量子収率」×「化合物(a)から化合物(b)の最低励起一重項状態にエネルギー移動しなかった効率」
蛍光の発光量=「化合物(b)の最低励起一重項状態からの発光量子収率」×「化合物(a)から化合物(b)の最低励起一重項状態にエネルギー移動した効率」
上記の各項目は、化合物(a)及び化合物(b)を含む溶液を試料として測定する。詳細は実施例に記載する。
本発明の素子では、下記式(1)及び(2)の関係を満たすことが好ましい。
EaT1>EbS1 (1)
EcT1−EaT1<1.0eV (2)
尚、特に好ましくは、下記式(2’)を満たす。
EcT1−EaT1<0.5eV (2’)
式中、EaT1は化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位であり、EbS1は化合物(b)の最低励起一重項状態のエネルギー準位であり、EcT1は化合物(c)の最低励起三重項状態のエネルギー準位である。
上記式(1)を満たすことにより、化合物(a)の最低励起三重項状態から化合物(b)の最低励起一重項状態へのエネルギー移動が起こることとなる。
また、上記式(2)を満たすことにより、化合物(c)の最低励起三重項状態から化合物(a)の最低励起三重項状態へエネルギー移動が起こることとなる。
本発明の素子で使用する化合物(a)としては、最低励起一重項状態のエネルギー準位EaS1から最低励起三重項状態のエネルギー準位EaT1への項間交差による緩和が起こりやすいものが望ましい。
また、青色発光の際には化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位EaT1は3.4eV〜4.2eVの間に存在することが望ましい。この範囲であれば、純青色の光が得られる。
また、化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位EaT1からの燐光発光において、発光量子収率は0.7以上が好ましく、さらに好ましくは0.8以上、より好ましいのは1.0である。
本発明の素子で使用する化合物(b)としては、最低励起一重項状態のエネルギー準位EbS1から最低励起三重項状態のエネルギー準位EbT1への項間交差による緩和が起こりにくいものが望ましい。
また、青色発光の際には化合物(b)の最低励起一重項状態のエネルギー準位EbS1は2.4eV〜3.4eVの間に存在することが望ましい。この範囲であれば、純青色の光が得られる。
化合物(b)の最低励起一重項状態のエネルギー準位EbS1からの蛍光発光については、発光量子収率の値としては0.5以上が好ましく、さらに好ましくは0.8以上、より好ましいのは1.0である。
化合物(b)の項間交差の量子収率の値については0.5以下が好ましく、より好ましいのは0.3以下、より好ましいのは0である。
以下、本発明の特徴である発光層の構成及び材料について説明し、さらに、正孔輸送層等、その他の構成部材について説明する。
1.発光層
発光層は、電界印加時に陽極又は正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極又は電子注入層より電子を注入することができる機能、注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能、電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能を有するものである。
上述のとおり、本発明の有機EL素子の発光層は、化合物(a)〜(c)を含有する。発光層は、これら化合物を一層に含む単層構造でもよく、また、各化合物の1種又は2種を含む二層以上の積層構造でもよい。
発光層全体に占める、化合物(a)の含有率は5〜15重量%が好ましく、特に、5〜10重量%が好ましい。
発光層全体に占める、化合物(b)の含有率は1〜10重量%が好ましく、特に、1〜7重量%が好ましい。
(1−1)燐光発光性有機化合物 (化合物(a))
化合物(a)は燐光性の発光材料であり、燐光量子収率が高く、発光素子の外部量子収率をより向上させることができるという点で、イリジウム錯体、オスミウム錯体、白金錯体等の遷移金属錯体が好ましく、イリジウム錯体及び白金錯体がより好ましく、シクロメタル化イリジウム錯体が最も好ましい。シクロメタル化イリジウム錯体の具体例としては、以下に示すものが好ましい。
Figure 2009094124
Figure 2009094124
(式中、Meはメチル基を示す。)
また、化合物(a)の最低励起三重項状態から化合物(b)の最低励起一重項状態へのエネルギー移動を考慮すると、燐光発光する遷移金属錯体の発光寿命は30μs以下が好ましく、さらに好ましくは20μs以下である。
尚、化合物(a)には、複核錯体や二種類以上の錯体の複錯体も使用できる。
(1−2)蛍光発光性有機化合物 (化合物(b))
化合物(b)としては、従来から知られている発光性色素等の、蛍光を発光する有機化合物が使用できる。具体的には、以下に示す発光性色素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2009094124
Figure 2009094124
(式中、Etはエチル基を示す。)
(1−3)有機化合物 (化合物(c))
化合物(c)としては、例えばカルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するもの及びアリールシラン骨格を有するもの等が挙げられる。
例えば、式(C−I)及び(C−II)で表されるものが好ましい。
(Het−)nA (C−I)
Het(−A)m (C−II)
〔式中、Hetは置換もしくは無置換のカルバゾリル基、アリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基等の、含窒素、酸素又は硫黄ヘテロ芳香族化合物基を表し、Aは下記式(E)で表される基である。n,mはそれぞれ1〜3の整数である。
(M’)p−(L)q−(M”)r (E)
(M’及びM”はそれぞれ独立に、環を形成する炭素数が2〜40の窒素含有ヘテロ芳香族環であり、環に置換基を有していてもよい。また、M’及びM”は、同一でも異なっていてもよい。Lは単結合、炭素数6〜30のアリーレン基、炭素数5〜30のシクロアルキレン基又は炭素数2〜30のヘテロ芳香族環であり、環に結合する置換基を有していてもよい。pは0〜2、qは1〜2、rは0〜2の整数である。ただし、p+rは1以上である。)〕
上記式(C−I)及び(C−II)で表される化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2009094124
また、以下の式(D−I)及び(D−II)で表される化合物も化合物(c)として用いることができる。
Figure 2009094124
(式中Q〜Qはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基を表し、L及びqは上述した式(E)に定めたものと同じである。)
〜Qの脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)であり、アルキル基であると好ましい。
〜Qのアリール基は、単環又は縮合環であり、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、ペンタフルオロフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等が挙げられる。
〜Qの複素環基は、単環又は縮合環であり、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数2〜10の複素環基であり、好ましくは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子の少なくとも一つを含む芳香族複素環基である。この複素環基の例としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、セレノフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、カルバゾール、アゼピン等が挙げられ、好ましくは、フラン、チオフェン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリンであり、より好ましくはフラン、チオフェン、ピリジン、キノリンであり、さらに好ましくはキノリンである。
〜Qで表される脂肪族炭化水素基、アリール基及び複素環基は置換基を有していてもよい。置換基として、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、芳香族複素環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、芳香族複素環基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族複素環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、芳香族複素環基である。
〜Qは、好ましくは脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基であり、より好ましくは脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12のもの)又はアリール基であり、さらに好ましくは脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数2〜10のもの)である。
式(D−I)及び(D−II)で表される具体例としては下記のような構造が挙げられるが、この例に限定されるものではない。
Figure 2009094124
2.正孔注入層・正孔輸送層
正孔注入層又は正孔輸送層の材料としては、正孔を輸送する能力を持ち、陽極からの正孔注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成した励起子の電子注入層又は電子注入材料への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、オリゴアリーレン類、オリゴチオフェン類、ベンジジン型トリフェニルアミン類、スチリルアミン型トリフェニルアミン類、スターバースト型トリフェニルアミン類、テトラシアノテトラアザトリフェニレン類と、それらの重合体、及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン等の高分子、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(PANI/CSA)等に代表される導電性高分子等の高分子材料、酸化ゲルマニウム、酸化モリブデン等に代表される無機酸化物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
正孔注入材料の中で、さらに効果的な正孔注入材料は、芳香族三級アミン誘導体又はフタロシアニン誘導体である。
芳香族三級アミン誘導体の具体例は、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン等、もしくはこれらの芳香族三級アミン骨格を有したオリゴマーもしくはポリマーであるが、これらに限定されるものではない。
フタロシアニン(Pc)誘導体の具体例は、HPc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、ClSiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等のフタロシアニン誘導体及びナフタロシアニン誘導体であるが、これらに限定されるものではない。
3.電子注入層・電子輸送層
電子注入層又は電子輸送層の材料としては、電子を輸送する能力を持ち、陰極からの電子注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、該電子注入層が含窒素環誘導体を主成分として含有すると好ましい。
電子注入・輸送材料としては、分子内にヘテロ原子を1個以上含有する芳香族ヘテロ環化合物が好ましく用いられ、特に含窒素環誘導体が好ましい。
この含窒素環誘導体としては、例えば、下記式(A)で表されるものが好ましい。
Figure 2009094124
A1〜RA6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、オキシ基、アミノ基、又は炭素数1〜40の炭化水素基であり、これらは置換されていてもよい。
このハロゲン原子の例としては、塩素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
また、置換されていても良いアミノ基の例としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基が挙げられる。
炭素数1〜40の炭化水素基としては、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。このアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基の例としては、前記と同様のものが挙げられ、アルコキシカルボニル基は−COOY’と表され、Y’の例としては前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
Mは、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)又はインジウム(In)であり、Inであると好ましい。
式(A)のLは、下記式(A’)又は(A”)で表される基である。
Figure 2009094124
(式中、RA7〜RA11は、それぞれ独立に、水素原子又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40の炭化水素基であり、互いに隣接する基が環状構造を形成していてもよい。また、RA12〜RA26は、それぞれ独立に、水素原子又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40の炭化水素基であり、互いに隣接する基が環状構造を形成していてもよい。)
式(A’)及び(A”)のRA7〜RA11及びRA12〜RA26が示す炭素数1〜40の炭化水素基としては、式(A)のRA1〜RA6の具体例と同様のものが挙げられる。
また、RA7〜RA11及びRA12〜RA26の互いに隣接する基が環状構造を形成した場合の2価の基としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ジフェニルメタン−2,2’−ジイル基、ジフェニルエタン−3,3’−ジイル基、ジフェニルプロパン−4,4’−ジイル基等が挙げられる。
式(A)で表される含窒素環の金属キレート錯体の具体例を以下に示すが、これら例示化合物に限定されるものではない。
Figure 2009094124
Figure 2009094124
Figure 2009094124
上記の含窒素環誘導体としては、含窒素5員環誘導体も好ましく、含窒素5員環としては、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、オキサトリアゾール環、チアトリアゾール環等が挙げられ、含窒素5員環誘導体としては、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ピリジノイミダゾール環、ピリミジノイミダゾール環、ピリダジノイミダゾール環である。
特に好ましくは、下記式(B)で表されるものである。
Figure 2009094124
式(B)中、Lは二価以上の連結基を表し、例えば、炭素、ケイ素、窒素、ホウ素、酸素、硫黄、金属(例えば、バリウム、ベリリウム)、芳香族炭化水素環、芳香族複素環等が挙げられ、これらのうち炭素原子、窒素原子、ケイ素原子、ホウ素原子、酸素原子、硫黄原子、アリール基、芳香族複素環基が好ましく、炭素原子、ケイ素原子、アリール基、芳香族複素環基がさらに好ましい。
のアリール基及び芳香族複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の好適例は、上述した式(D−I)のQ〜Qの脂肪族炭化水素基で例示したものと同様である。
の具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2009094124
式(B)におけるXB1は、−O−、−S−又は=N−RB1を表す。RB1は、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基を表す。RB1の好適例は、上述した式(D−I)のQ〜Qで例示したものと同様である。
B1として、好ましくは−O−、=N−RB1であり、より好ましくは=N−RB1である。
B1は、芳香族環を形成するために必要な原子群を表す。ZB1で形成される芳香族環は芳香族炭化水素環、芳香族複素環のいずれでもよく、具体例としては、例えば、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、テルロフェン環、イミダゾール環、チアゾール環、セレナゾール環、テルラゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ピラゾール環等が挙げられ、好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環であり、さらに好ましくはベンゼン環、ピリジン環であり、特に好ましくはピリジン環である。
B1で形成される芳香族環は、さらに他の環と縮合環を形成してもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては前記Lで表される基の置換基として挙げたものと同様であり、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、複素環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、複素環基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族複素環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、芳香族複素環基である。
B1は、1〜4の整数であり、2〜3であると好ましい。
式(B)で表される含窒素5員環誘導体のうち、さらに好ましくは下記式(B’)で表されるものが好ましい。
Figure 2009094124
式(B’)中、RB2、RB3及びRB4は、それぞれ式(B)におけるRB1と同様であり、また好ましい基も同様である。
B2、ZB3及びZB4は、それぞれ式(B)におけるZB1と同様であり、また好ましい範囲も同様である。
B2、LB3及びLB4は、それぞれ連結基を表し、式(B)におけるLの例を二価としたものが挙げられ、好ましくは、単結合、二価の芳香族炭化水素環基、二価の芳香族複素環基、及びこれらの組み合わせからなる連結基であり、より好ましくは単結合である。LB2、LB3及びLB4は置換基を有していてもよく、置換基としては式(B)におけるLで表される基の置換基として挙げたものと同様であり、また好ましい置換基も同様である。
Yは、窒素原子、1,3,5−ベンゼントリイル基又は2,4,6−トリアジントリイル基を表す。1,3,5−ベンゼントリイル基は2,4,6−位に置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、芳香族炭化水素環基、ハロゲン原子等が挙げられる。
式(B)又は(B’)で表される含窒素5員環誘導体の具体例を以下に示すが、これら例示化合物に限定されるものではない。
Figure 2009094124
Figure 2009094124
また、電子注入層又は電子輸送層の材料として、電子欠乏性含窒素5員環又は電子欠乏性含窒素6員環骨格と、置換又は無置換のインドール骨格、置換又は無置換のカルバゾール骨格、置換又は無置換のアザカルバゾール骨格を組み合わせた構造を有する化合物等も挙げられる。また、好適な電子欠乏性含窒素5員環又は電子欠乏性含窒素6員環骨格としては、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、トリアゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、キノキサリン、ピロール骨格及び、それらがお互いに縮合したベンズイミダゾール、イミダゾピリジン等の分子骨格が挙げられる。これらの組み合わせの中で好ましくはピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン骨格と、カルバゾール、インドール、アザカルバゾール、キノキサリン骨格が挙げられる。前述の骨格は置換されていても無置換であってもよい。
電子輸送性化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2009094124
Figure 2009094124
電子注入層及び電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。これらはπ電子欠乏性含窒素ヘテロ環基であることが好ましい。
電子注入層又は電子輸送層が、絶縁体や半導体で構成されていれば、電流のリークを有効に防止して、電子注入性を向上させることができる。このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用するのが好ましい。電子注入層又は電子輸送層がこれらのアルカリ金属カルコゲナイド等で構成されていれば、電子注入性をさらに向上させることができる点で好ましい。具体的に、好ましいアルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、NaS及びNaSeが挙げられ、好ましいアルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS及びCaSeが挙げられる。また、好ましいアルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl及びNaCl等が挙げられる。また、好ましいアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF及びBeF等のフッ化物や、フッ化物以外のハロゲン化物が挙げられる。
また、電子注入層又は電子輸送層を構成する半導体としては、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、Sb及びZnの少なくとも一つの元素を含む酸化物、窒化物又は酸化窒化物等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。また、電子注入層又は電子輸送層を構成する無機化合物が、微結晶又は非晶質の絶縁性薄膜であることが好ましい。電子注入層又は電子輸送層がこれらの絶縁性薄膜で構成されていれば、より均質な薄膜が形成されるために、ダークスポット等の画素欠陥を減少させることができる。
尚、このような無機化合物としては、上述したアルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられる。さらに、電子注入層又は電子輸送層は、仕事関数が2.9eV以下の還元性ドーパントを含有していてもよい。ここで、還元性ドーパントとは、電子輸送性化合物を還元ができる物質と定義される。したがって、一定の還元性を有するものであれば、様々なものが用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物又は希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体、希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも一つの物質を好適に使用することができる。
具体的に、好ましい還元性ドーパントとしては、Na(仕事関数:2.36 10eV)、K(仕事関数:2.28eV)、Rb(仕事関数:2.16eV)及びCs(仕事関数:1.95eV)からなる群から選択される少なくとも一つのアルカリ金属や、Ca(仕事関数:2.9eV)、Sr(仕事関数:2.0〜2.5eV)及びBa(仕事関数:2.52eV)からなる群から選択される少なくとも一つのアルカリ土類金属が挙げられ、仕事関数が2.9eVのものが特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性ドーパントは、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも一つのアルカリ金属であり、さらに好ましくは、Rb及びCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子注入域への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
また、仕事関数が2.9eV以下の還元性ドーパントとして、これら2種以上のアルカリ金属の組合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、CsとNaとKとの組み合わせであることが好ましい。Csを組み合わせて含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子注入域への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
4.電極
陽極は、正孔を正孔輸送層又は発光層に注入する役割を担うものであり、4.5eV以上の仕事関数を有することが効果的である。本発明に用いられる陽極材料の具体例としては、酸化インジウム錫合金(ITO)、酸化錫(NESA)、金、銀、白金、銅等が適用できる。
また、陰極としては、電子注入層又は発光層に電子を注入する目的で、仕事関数の小さい材料が好ましい。陰極材料は特に限定されないが、具体的にはインジウム、アルミニウム、マグネシウム、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−スカンジウム−リチウム合金、マグネシウム−銀合金等が使用できる。
本発明における有機EL素子の各層の形成方法は、特に限定されない。従来公知の真空蒸着法、スピンコーティング法等による形成方法を用いることができる。本発明の有機EL素子に用いる有機層は、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)あるいは溶媒に溶かした溶液のディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法による公知の方法で形成することができる。
有機EL素子の各有機層の膜厚は特に制限されないが、一般に膜厚が薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆に厚すぎると高い印加電圧が必要となり効率が悪くなるため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
尚、有機EL素子の基板としては、発光材料の発光波長に対して透明な絶縁性基板が使用でき、ガラスのほかポリカーボネートを始めとする透明プラスチック等の既知の材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。
本発明の有機EL素子は、既知の方法でマトリックス方式又はセグメント方式による画素を構成することができ、これによりディスプレイ装置を製造することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例及び比較例の発光層で使用した材料は以下のとおりである。K−17、K−11、K−20、及びT−1が化合物(a)に対応し、I−7が化合物(b)に対応し、D−1が化合物(c)に対応する。
Figure 2009094124
上記化合物について、エネルギー準位等を以下のようにして測定した。
(1)エネルギー準位
各化合物をジクロロメタン溶媒に溶かし、分光蛍光光度計(F−4500形分光蛍光光度計)により吸収及び発光スペクトルを室温(D−1のみ77K)で測定し、最低励起一重項状態及び最低励起三重項状態のエネルギー準位を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2009094124
化合物(a)に対応するK−17のEaT1が3.4eVであり、3.4〜4.2eVの範囲にある。また、化合物(b)に対応するI−7のEbS1が2.7eVであり、2.4〜3.4eVの範囲にある。このため、K−17とI−7の組み合わせを用いた有機EL素子は純青色発光が期待できる。
(2)発光量子収率及び項間交差の量子収率の測定
測定対象をジクロロメタン溶媒(濃度:1.0×10−5M)に溶かし、積分球(浜松ホトニクス(株)製の量子収率測定装置C9920−01)により発光量子収率を室温条件で測定した。結果を表2に示す。
Figure 2009094124
(3)化合物(a)の最低励起三重項状態から化合物(b)の最低励起一重項状態へのエネルギー移動の解析
図3に化合物(a)及び化合物(b)のエネルギー準位及びエネルギー移動の状態を示す。
図3に示すような、溶液条件における化合物(a)[K−17、K−11、K−20、T−1]の最低励起三重項状態(エネルギー準位EaT1)から化合物(b)[I−7]の最低励起一重項状態(エネルギー準位EbS1)へのエネルギー移動(図中、矢印22)の効率を以下のように算出した。
化合物(a)のみを、ジクロロメタン溶媒に溶解し、1.0×10−5Mの溶液(溶液A)とした。
また、化合物(a)のジクロロメタン溶液(1.0×10−5M)と、化合物(b)のジクロロメタン溶液(1.0×10−6M)を、溶液容量比が1:1となるように混合し、溶液Bとした。
室温下、溶液A及び溶液Bにパルスレーザー(波長:337nm、出力:2mJ/パルス、パルス幅:約700ps)を照射し、化合物(a)の最低励起三重項状態(EaT1)からの燐光発光寿命を測定した。使用装置は下記のとおりである。
・過渡蛍光寿命測定装置(浜松ホトニクス(株)製、蛍光寿命測定装置C4780)
・ピコ秒パルスレーザー(LTB Lasertechnik Berlin社製、窒素レーザー MNL 200)
結果を表3に示す。
Figure 2009094124
溶液Aよりも化合物(b)を添加した溶液Bの方が、燐光発光寿命が短くなっているため、上記のエネルギー移動22が生じていることが確認できた。
以下のように、溶液Aの燐光発光寿命の逆数から溶液Bの燐光発光寿命の逆数を減ずることで、各化合物(a)の最低励起三重項状態(EaT1)から化合物(b)(I−7)の最低励起一重項状態(EbS1)へのエネルギー移動22の速度(k22[a:b])が求められる。
Figure 2009094124
上記で計算したエネルギー移動22の速度に、溶液Bの燐光発光寿命を乗じることで、エネルギー移動22の効率(η22[a:b])を算出することができる。
Figure 2009094124
上記の測定結果は、化合物(a)としてK−17、K−11又はK−20及び化合物(b)としてI−7を用いた場合に、本発明の発光メカニズムが起きていることを明らかとしている。一方、化合物(a)としてT−1及び化合物(b)としてI−7を用いた場合では、上記の発光メカニズムが起きていないことがわかった。
[有機エレクトロルミネッセンス素子の作製]
実施例1
化合物(a)としてK−17を、化合物(b)としてI−7を、化合物(c)としてD−1を用いて、ガラス基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子を作製した。
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極付きガラス基板をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。洗浄後のITO透明電極が形成されている側の面上に、真空蒸着法で正孔注入層として、下記に示す(TPD232)を85nmの膜厚で成膜した。
同様に、正孔輸送層として4、4’、4”−トリス(カルバゾール−9−イル)−トリフェニルアミン(TCTA)を10nmの膜厚で成膜した。
ついで、I−7及びD−1との混合物(I−7とD−1の質量比は1.0:20)を、正孔輸送層上に真空蒸着法で5nmの膜厚で成膜した(発光層A)。
その上に、K−17及びD−1の混合物(K−17とD−1の質量比は2.0:20)を真空蒸着法で10nmの膜厚で成膜した(発光層B)。
さらに、発光層Bに続けて、同様にして発光層A、発光層B及び発光層Aをこの順に形成し、5層構造(全厚35nm)の発光層とした。
続いて、膜厚25nmの下記に示すB−20、続いて膜厚5nmのトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)を真空蒸着法により成膜した。(B−20)膜は正孔阻止層として機能し、(Alq)膜は電子輸送層として機能する。
さらに、膜厚1nmのフッ化リチウムを真空蒸着法により成膜し、電子注入層とした。最後に膜厚150nmのアルミニウム(Al)陰極を真空蒸着法により成膜し、有機EL素子を作製した。
尚、本実施例の発光層は多積層構造を有しているが、化合物(a)〜(c)のエネルギー準位及びエネルギー移動が本発明の関係にあれば、単層でも2層以上の積層構造でもよい。
Figure 2009094124
この有機EL素子に、Al電極をマイナス、ITO透明電極をプラスにして直流電圧Vを印加した。その結果、電圧12.8V、電流密度1mA/cmにて64.3cd/mの発光が得られ、発光効率は6.43cd/Aであった。また、発光のCIE座標は(CIE X:CIE Y=0.15:0.24)であった。発光は純青色であった。
図4に実施例1で作製した有機EL素子の発光スペクトルを示す。
尚、表2に示した各量子収率、及びエネルギー移動22の効率(η22[a:b])から計算した発光における燐光と蛍光の割合は、燐光が約63%、蛍光が約37%と考えられる。
実施例2
発光層において、K−17の代わりにK−11を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し評価した。
その結果、電圧10.6V、電流密度1mA/cmにて94.3cd/mの発光が得られ、発光効率は9.43cd/Aであった。また、発光のCIE座標は(CIE X:CIE Y=0.17:0.34)であり、青色発光であった。
実施例1と同様に測定した燐光と蛍光の割合は、燐光が約74%、蛍光が約26%であった。
実施例3
発光層においてK−17の代わりにK−20を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し評価した。
その結果、電圧13.6V、電流密度1mA/cmにて34.3cd/mの発光が得られ、発光効率は3.11cd/Aであった。また、発光のCIE座標は(CIE X:CIE Y=0.18:0.32)であり、青色発光であった。
実施例1と同様に測定した燐光と蛍光の割合は、燐光が約87%、蛍光が約13%であった。
比較例1
発光層においてK−17の代わりにT−1を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し評価した。
その結果、電圧9.8V、電流密度1mA/cmにて112cd/mの発光が得られ、発光効率は7.16cd/Aであった。また、発光のCIE座標は(CIE X:CIE Y=0.21:0.38)であり、青緑色発光であった。
実施例1と同様に測定した燐光と蛍光の割合は、燐光が約12%、蛍光が約88%であった。
比較例2
TCTAからなる正孔輸送層上に、K−17及びD−1の混合物(K−17とD−1の質量比は1.5:20)を、真空蒸着法で30nm成膜して発光層とした以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し評価した。
比較例3
TCTAからなる正孔輸送層上に、I−7及びD−1の混合物(I−7とD−1の質量比は1.0:20)を、真空蒸着法で35nm成膜して発光層とした以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し評価した。
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた有機EL素子を用い、Al電極をマイナス、ITO透明電極をプラスにして発光輝度が200cd/mになるまで直流電圧を印加した。点灯開始時の発光輝度から輝度が半減する時間(半減寿命)を測定した。結果を表4に示す。
尚、半減寿命は実施例1の発光寿命を100とした相対値で表した。
Figure 2009094124
本発明の有機EL素子は、発光効率が高く長寿命であり、各種表示素子、ディスプレイ、看板、インテリア等の分野に適用でき、特にカラーディスプレイの表示素子として適している。
本発明の一実施形態の有機EL素子の概略断面図である。 本発明の有機EL素子におけるエネルギー移動及びエネルギー準位の関係を説明するための図である。 化合物(a)及び化合物(b)のエネルギー準位及びエネルギー移動の関係を示す図である。 実施例1で作製した有機EL素子の発光スペクトルである。
符号の説明
1 ガラス基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極
EaS0 化合物(a)の基底状態
EaS1 化合物(a)の最低励起一重項状態
EaT1 化合物(a)の最低励起三重項状態
EbS0 化合物(b)の基底状態
EbS1 化合物(b)の最低励起一重項状態
EbT1 化合物(b)の最低励起三重項状態
EcS0 化合物(c)の基底状態
EcS1 化合物(c)の最低励起一重項状態
EcT1 化合物(c)の最低励起三重項状態

Claims (6)

  1. 陽極、発光層及び陰極をこの順に有し、
    前記発光層が、少なくとも下記の化合物(a)、(b)及び(c)を含み、
    前記化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位(EaT1)から前記化合物(b)の最低励起一重項状態のエネルギー準位(EbS1)へのエネルギー移動効率が、溶液条件で10〜40%である有機エレクトロルミネッセンス素子。
    (a)燐光発光性有機化合物
    (b)蛍光発光性有機化合物
    (c)前記(a)及び(b)の最低励起三重項状態のエネルギー準位よりも高い最低励起三重項のエネルギー準位を有する有機化合物
  2. 下記式(1)及び(2)の関係を満たす請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    EaT1>EbS1 (1)
    EcT1−EaT1<1.0eV (2)
    (式中、EaT1は前記化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位であり、EbS1は前記化合物(b)の最低励起一重項状態のエネルギー準位であり、EcT1は前記化合物(c)の最低励起三重項状態のエネルギー準位である。)
  3. 前記化合物(a)の最低励起三重項状態からの発光量子収率が0.7以上であり、
    前記化合物(b)の最低励起一重項状態からの発光量子収率が0.5以上であり、
    前記化合物(b)の項間交差の量子収率が0.5以下である、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 青色発光の際には、
    前記化合物(a)が遷移金属錯体であり、化合物(a)の最低励起三重項状態のエネルギー準位が3.4〜4.2eVであり、
    前記化合物(b)の最低励起一重項状態のエネルギー準位が2.4〜3.4eVである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極をこの順で有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置。
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