JP2009093837A - 多層絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的特性を備えた上で、難燃性及び耐摩耗性を兼ね備えた多層絶縁電線を提供すること。
【解決手段】本発明の多層絶縁電線は、絶縁層のうち最外層がJIS K7210で規定するメルトフローレイトが20.0g/10分以下(280℃、2.16kgf荷重)、あるいは10.0g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)の樹脂で構成され、前記最外層以外の絶縁層の少なくとも1層が、合成樹脂類100質量部に対して金属水和物30〜300質量部を含有する樹脂組成物で構成するようにしたので、絶縁電線として必要な機械的特性を備えるとともに、最外層が主として難燃性及び耐摩耗性を、最外層以外の絶縁層が主として難燃性を向上させ、難燃性、耐摩耗性及び機械的特性を兼ね備えた、環境にも優しい多層絶縁電線となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、多層絶縁電線に関する。さらに詳しくは、難燃性及び耐摩耗性を兼ね備え、自動車、鉄道車両、電気・電子機器等に使用される多層絶縁電線に関する。
自動車、鉄道車両、電気・電子機器等の構成部材やこれらの中に配設される絶縁電線の絶縁被覆材料としては、耐熱性、耐寒性、耐湿性に加えて難燃性、耐摩耗性等の種々の特性が要求される。また、それらを構成する樹脂材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)系樹脂や分子中に臭素(Br)原子や塩素(Cl)原子を含有するハロゲン系難燃剤を含有するポリオレフィン系樹脂が広く使用されていた。このような材料を用いた製品を適切な処理をせずに廃棄した場合にあっては、様々な問題が発生しており、例えば、これらの製品を埋め立て廃棄した場合には、材料中に含まれるリン系化合物や、可塑剤・重金属安定剤として鉛系化合物等が溶出してしまうという問題があり、焼却廃棄した場合には、腐食性のハロゲン系ガスやダイオキシン等が発生するという問題があった。
このため、近年、有害な重金属や腐食性のハロゲン系ガス等の発生がないノンハロゲン難燃性樹脂組成物が検討され、一部においては実用化されている。検討ないし実用化されているノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、ベース樹脂としてポリオレフィン系樹脂を使用し、難燃性を向上させるために水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水和物を混合したものが広く知られており、また、当該樹脂組成物のベース樹脂としては、多量の金属水和物を分散させやすいエチレン系共重合体が用いられていた。
このようなポリオレフィン系樹脂ないしはエチレン系共重合体をべース樹脂とした樹脂組成物は、水酸化マグネシウム等の金属水和物を多量に混合することにより難燃性は向上する一方、摩耗性や引張特性等の機械的特性が低下するという問題があった。これに対して、摩耗性の低下を抑制するため、ベース樹脂に対して、比較的硬度の高く摩耗性も良好なポリプロピレンや高密度ポリエチレンの添加量を増すことも考えられるが、被覆電線の柔軟性が損なわれ、また樹脂組成物の加工性も悪くなるため好ましくなかった。また、電線被覆を外層と内層の多層構造とし、外層には耐摩耗性に優れたポリアミド(ナイロン)樹脂を使用して、内層にはポリプロピレン、エチレン系共重合体、スチレン系エラストマー等からなるベース樹脂に金属水和物を添加した樹脂組成物を使用して、耐摩耗性を向上させた多層絶縁電線も提供されている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2002−170442号公報([請求項1]、[0015])
しかしながら、外層にポリアミド(ナイロン)樹脂を被覆する前記した従来の多層絶縁電線は、耐摩耗性は一定の水準を保つ一方で難燃性が十分でなく、例えば、燃焼時に樹脂が溶融してたれ落ちてしまうといった問題があり、その改善が求められていた。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、機械的特性を備えた上で、難燃性及び耐摩耗性を兼ね備えた多層絶縁電線を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る多層絶縁電線は、金属導体に少なくとも2層以上の絶縁層が形成された多層絶縁電線であって、前記絶縁層のうち最外層がJIS K7210で規定するメルトフローレイトが20.0g/10分以下(280℃、2.16kgf荷重)、あるいは10.0g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)の樹脂で構成され、前記最外層以外の絶縁層の少なくとも1層が、合成樹脂類100質量部に対して金属水和物30〜300質量部を含有する樹脂組成物で構成されたことを特徴とする。
本発明の請求項2に係る多層絶縁電線は、前記した請求項1において、前記最外層を構成する樹脂がポリアミド系樹脂であることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る多層絶縁電線は、前記した請求項1または請求項2において、前記最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する樹脂組成物のJIS K7210で規定するメルトフローレイトが5.0g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)であることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る多層絶縁電線は、前記した請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、前記最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する合成樹脂類の主成分がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る多層絶縁電線は、前記した請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、前記最外層の厚さが0.05mm以上で、前記最外層以外の絶縁層の厚さが0.1mm以上であることを特徴とする。
本発明の請求項1に係る多層絶縁電線は、絶縁層の構成を多層として、最外層としてメルトフローレイトが20.0g/10分以下(280℃、2.16kgf荷重)、あるいは10.0g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)の樹脂を採用し、最外層以外として合成樹脂類100質量部に対して金属水和物30〜300質量部を含有する樹脂組成物で構成するようにしたので、絶縁電線として必要な機械的特性を備えるとともに、最外層が主として難燃性及び耐摩耗性を、最外層以外の絶縁層が主として難燃性を向上させ、難燃性、耐摩耗性及び機械的特性を兼ね備えた、環境にも優しい多層絶縁電線となる。このように、本発明の多層絶縁電線は難燃性に優れているので、燃焼された場合であっても樹脂が溶融してたれ落ちてしまうといったこともない。
本発明の請求項2に係る多層絶縁電線は、最外層を構成する樹脂としてポリアミド系樹脂を採用するようにしているので、最外層の耐摩耗性を確実に向上させることができるとともに、難燃性にも改善効果が認められ、さらにポリアミド系樹脂は汎用樹脂であることから、絶縁電線の低コスト化を図ることもできる。
本発明の請求項3に係る多層絶縁電線は、最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する樹脂組成物のJIS K7210で規定するメルトフローレイトが5.0g/10分以下としているので、最外層以外の絶縁層を構成する樹脂組成物の難燃性及び成形時の混練性等を向上させることができる。
本発明の請求項4に係る多層絶縁電線は、最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する合成樹脂類としてポリオレフィン系樹脂を選択しているので、従来使用されてきたポリ塩化ビニルコンパウンドの代替という点からも最適であり、また、樹脂組成物のベース樹脂として所定の機械的特性等を付与することができる。
本発明の請求項5に係る多層絶縁電線は、最外層の厚さが0.05mm以上で、前記最外層以外の絶縁層の厚さが0.1mm以上としているので、最外層とそれ以外の層とのバランスがよく、機械的強度、難燃性等のバランスが良好となる多層絶縁電線が提供可能となる。
以下、本発明の多層絶縁電線について説明する。本発明の多層絶縁電線は、金属導体に少なくとも2層以上の絶縁層が形成され、絶縁層のうち最外層がJIS K7210で規定するメルトフローレイトが20.0g/10分以下(280℃、2.16kgf荷重
(約21.2N荷重。本願について同。))もしくは10.0g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)の樹脂で構成され、最外層以外の絶縁層の少なくとも1層が、合成樹脂類100質量部に対して金属水和物30〜300質量部を含有する樹脂組成物で構成される。
(I)最外層:
本発明の多層絶縁電線を構成する最外層は、JIS K7210で規定するメルトフローレイト(MFR)が20.0g/10分以下(280℃、2.16kgf荷重)、あるいは10.0g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)となる樹脂を使用する。最外層を構成する樹脂としてMFRをかかる範囲とすることにより、優れた耐摩耗性を維持した状態で、難燃性が向上された多層絶縁電線が提供可能となる。一方、280℃、2.16kgf荷重でのMFRが20.0g/10分を超える場合、あるいは230℃、2.16kgf荷重でのMFRが10.0g/10分を超える場合にあっては、燃焼時もしくは着火源が近づいた時に溶融し延焼を促進してしまうという問題がある。280℃、2.16kgf荷重でのMFRは15.0g/10分以下であることが好ましく、0.05〜10.0g/10分であることが特に好ましい。また、230℃、2.16kgf荷重でのMFRが7.0g/10分以下であることが好ましく、0.05〜7.0g/10分であることが特に好ましい。
ここで、本発明における、最外層を構成する樹脂とメルトフローレイトを測定する温度(230℃と280℃)との関係は、温度を230℃としたときに測定が困難と考えられる樹脂(例えば、ポリアミド系樹脂ではナイロン66、ポリエステル系樹脂ではポリエチレンテレフタレート等)については、280℃、2.16kgf荷重の条件で測定して、20.0g/10分以下であるものを採用すればよく、温度を230℃として測定に問題がない樹脂については、メルトフローレイトを230℃、2.16kgf荷重の条件で測定して、10.0g/10分以下であるものを採用し、あるいは280℃、2.16kg荷重の条件で測定して、20.0g/10分以下であるものを採用すればよい。
最外層として適用可能な樹脂としては、前記のメルトフローレイトとなるポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂や、ポリアミド(ナイロン)等のポリアミド系樹脂が挙げられ、これらの樹脂を採用すると最外層の耐摩耗性を確実に向上させることができるとともに、難燃性にも改善効果が認められ、さらに汎用樹脂の採用により絶縁電線の低コスト化を図ることもできる。このうち、ポリアミド系樹脂は難燃性及び耐摩耗性に優れており特に好ましい。ポリアミド系樹脂としては、前記したMFRとなるナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等を使用することができる。これらのポリエステル系樹脂やポリアミド系樹脂は、その1種類を単独で使用してもよく、また、その2種類以上を組み合わせて樹脂組成物として使用するようにしてもよい。
なお、最外層として適用可能な樹脂としては、以上に挙げた樹脂のうち、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレートは、メルトフローレイトを280℃、2.16kgf荷重の条件で測定して、20.0g/10分以下であるものを採用し、それ以外の樹脂(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612等のポリアミド系樹脂、及びポリブチレンテレフタレート等)は、メルトフローレイトを230℃、2.16kgf荷重の条件で測定して、10.0g/10分以下であるものを採用し、あるいは280℃、2.16kg荷重の条件で測定して、20.0g/10分以下であるものを採用すればよい。
(II)最外層以外の絶縁層:
本発明の多層絶縁電線の絶縁層を構成する最外層以外の絶縁層の少なくとも1層は、従来公知の合成樹脂類をベース樹脂とすることができ、「かかるベース樹脂である合成樹脂類に対して特定量の金属水和物を添加した樹脂組成物」(以下、「特定の樹脂組成物」とする場合もある。)で構成される。最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する特定の樹脂組成物のベース樹脂を従来公知の合成樹脂類としても、多層絶縁電線の機械的特性、耐熱性及び耐寒性を良好なものとする。なお、本発明の多層絶縁電線を構成する最外層以外の絶縁層は、単層としてもよく、また、樹脂組成物の構成が異なる2層以上を組み合わせて形成するようにしてもよい。
最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する特定の樹脂組成物を構成する合成樹脂類として使用することができる合成樹脂は、ハロゲン成分を実質的に有しない合成樹脂が使用され、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン系共重合体に代表されるポリオレフィン系樹脂や、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、アイオノマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂エラストマーや、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンターポリマー、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムが挙げられる。これらの合成樹脂は、その1種類を単独で使用してもよく、また、これらの2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。本発明において、最外層以外の絶縁層を構成する合成樹脂は、最外層以外の絶縁層を構成する樹脂組成物の難燃性及び成形時の混練性等を向上させるという観点から、JIS K7210に規定されるメルトフローレイト(MFR)が、5.0g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)であることが好ましい。
最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する合成樹脂類の主成分としては、前記した合成樹脂のうちポリオレフィン系樹脂(後記する酸変性物も含む。)とすることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂は、従来使用されてきたポリ塩化ビニルコンパウンドの代替という点からも最適であり、また、樹脂組成物のベース樹脂として所定の機械的特性等を付与することができる。当該ポリオレフィン系樹脂は、最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する合成樹脂類の主成分とすべく、合成樹脂類全体に対して50質量%以上含有されることが好ましく、70〜100質量%とすることがさらに好ましく、80〜100質量%とすることが特に好ましい。
ポリオレフィン系樹脂のうち、ポリプロピレンとしては、プロピレンホモポリマー(H−PP)、エチレン・プロピレンブロック共重合体(B−PP)、エチレン・プロピレンランダム共重合体(R−PP)等が挙げられる。本発明において、これらのポリプロピレン系樹脂は、最外層以外の絶縁層を構成する樹脂組成物の難燃性及び成形時の混練性等を向上させるという観点から、JIS K7210に規定されるメルトフローレイト(MFR)が、5.0g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)であることが好ましい。
ポリエチレンとしては、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。また、エチレン系共重合体としては、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体(EBA)等のエチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体、アイオノマー等が挙げられる。これらのポリエチレンやエチレン系共重合体は、最外層以外の絶縁層を構成する樹脂組成物の難燃性及び成形時の混練性等を向上させるという観点から、JISK 7210に規定されるメルトフローレイト(MFR)が、5.0g/10分以下(230℃、2.16kg荷重)であることが好ましい。
なお、本発明の多層絶縁電線の最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する特定の樹脂組成物を構成する合成樹脂類としては、不飽和カルボン酸及び/またはその誘導体で変性されたもの(酸変性物)を使用することもできる。不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸が、不飽和カルボン酸の誘導体としては、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル等がある。ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン系共重合体、及びこれらの酸変性物は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する特定の樹脂組成物において、ベース樹脂となる合成樹脂類に対して添加される金属水和物は、多層絶縁電線の難燃性を向上させる目的で添加される。本発明において使用可能な金属水和物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらの1種類を単独で使用してもよく、また、これらの2種類以上を組み合わせて使用することができる。本発明にあっては、難燃性を効率よく向上させるという観点から、これらの金属水和物のうち水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムを使用するか、あるいはこれらを組み合わせた混合物を使用することが好ましい。金属水和物としては、具体的には、例えば、水酸化マグネシウムとしてキスマ(協和化学(株)製)、マグニフィン(アルベマール社製)等が挙げられる。金属水和物の平均粒径は、合成樹脂類に対する分散性を良好にするため、例えば、0.3〜5.0μm程度とすることが好ましく、0.5〜1.0μm程度とすることが特に好ましい。
また、金属水和物は、合成樹脂等への分散性を考慮して、表面処理剤で処理されているものを使用することが好ましい。このような表面処理剤としては、高級脂肪酸のアルカリ金属塩では、例えば、カプリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、リノール酸ナトリウム等が、高級脂肪酸では、例えば、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、高級脂肪族アルコール、チタンカップリング剤では、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルバイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等、シランカップリング剤では、例えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノカップリング剤、シリコンオイル、各種リン酸エステル等を挙げることができる。
前記のベース樹脂としての合成樹脂類に対する金属水和物の含有量としては、合成樹脂類100質量部に対して30〜300質量部である。金属水和物を合成樹脂類100質量部に対してかかる範囲で含有することにより、多層絶縁電線の難燃性を効率よく向上させることができる。その一方、含有量が30質量部より少ないと実用に耐えられる難燃性を得ることができず、含有量が300質量部を超えると引張特性が低下し、多層絶縁電線が本来の柔軟性を失ってしまうほか、成形する際の成形加工性が低下するという問題が生じる場合がある。合成樹脂に対する金属水和物の含有量は、合成樹脂類100質量部に対して50〜150質量部であることが好ましい。
また、最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する特定の樹脂組成物には、合成樹脂類に対する金属水和物の分散性を向上させ、さらに当該絶縁層の機械的特性や耐摩耗性を向上させるために、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エチレン・プロピレンゴムを添加することもできる。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられ、これらの類を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの樹脂の例としては、「DYNARON」(商品名、JSR社製)、「アサプレン」「タフテック」「タフプレン」(商品名、旭化成社製)、「クレイトン」(商品名、クレイトンポリマー社製)、「スミフレックス」(商品名、住友ベークライト社製)、「セプトン」「ハイブラー」(商品名、クラレ社製)等が挙げられる。かかるスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エチレン・プロピレンゴムの添加は、特に、合成樹脂類としてポリオレフィン系樹脂を採用したときに効果的である。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、エチレン・プロピレンゴムとポリオレフィンをブレンドしたものや、ブレンドする際に有機過酸化物でゴム部分を架橋したもの、共重合したもの等があげられる。このようなものとしては、「DYNARON」(商品名、JSR社製)、「サントプレーン」(商品名、AESジャパン社製)、「オレフレックス」(商品名、日本ポリオレフィン社製)、「スミフレックス」(商品名、住友ベークライト社製)、「ミラストマー」(商品名、三井化学社製)、「住友TPE」(商品名、住友化学社製)、「CATALLOY」(商品名、MONTELL社製)、「SPX」(商品名、三菱化学社製)等がある。これらのスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エチレン・プロピレンゴム及びそれらの酸変性物は、1種類を単独で使用してもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エチレン・プロピレンゴムの含有量は、合成樹脂類100質量部に対して、これらを0〜95質量部含有させることが好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマー等の含有量をかかる範囲とすることにより、各種樹脂同士や樹脂と金属水酸化物の分散性が向上し、機械特性を向上できる。スチレン系熱可塑性エラストマー等の含有量は、合成樹脂類100質量部に対して5〜50質量部含有させることが特に好ましい。
また、最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する、合成樹脂類100質量部に対して金属水和物30〜300質量部を含有する樹脂組成物は、JIS K7210で規定するメルトフローレイトが5.0g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)であることが好ましい。最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する樹脂組成物のメルトフローレイトをかかる範囲にすることにより、当該層の難燃性及び成形時の混練性等を向上させることができる。その一方、かかる樹脂組成物のメルトフローレイトが5.0g/10分を超えると、難燃性の向上がそれほど認められない場合がある。なお、本発明におけるかかるメルトフローレイトは、合成樹脂類と金属酸化物が混合された樹脂組成物に対しての値である。メルトフローレイトは、0.2g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)であることが特に好ましい。
更には、本発明の多層絶縁電線における最外層以外の絶縁層における少なくとも1層については、JIS K6253によるショアD硬度が55以上であることが好ましい。最外層以外の絶縁層の少なくとも1層のショアD硬度をかかる範囲とすることにより、多層絶縁電線に優れたカットスルー抵抗を付与して、機械的強度や耐摩耗性が向上される。なお、ショアD硬度を55以上とするためには、最外層以外の絶縁層の少なくとも1層に適用する樹脂の構成として、硬度の高い合成樹脂を選択することが好ましい。ショアD硬度は、60以上とすることが特に好ましい。
そして、本発明の多層絶縁電線における最外層以外の絶縁層における少なくとも1層を構成する樹脂組成物については、JIS K7201で規定する酸素指数を20以上とすることが好ましい。酸素指数が20以上であれば、難燃性が更に向上することとなる。
なお、本発明の多層絶縁電線にあっては、前記した合成樹脂類100質量部に対して金属水和物30〜300質量部含有する樹脂組成物で構成された絶縁層が最外層以外の少なくとも1層であればよいが、本発明の効果を発揮するためには、最外層以外の絶縁層にあっては、当該樹脂組成物で構成された絶縁層の厚さが最外層以外の絶縁層全体の50〜100%であることが好ましく、80〜100%であることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
最外層以外の絶縁層として、最外層の内側に複数の絶縁層が存在する場合、最外層の内側に存在する複数の絶縁層のうち前記した特定の樹脂組成物からなる最外層以外の少なくとも1層を除く他の絶縁層を構成可能な合成樹脂としては、ハロゲン成分を実質的に有しない合成樹脂、不飽和カルボン酸及び/またはその誘導体等が挙げられ、例えば、ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体等のポリオレフィン系樹脂、アイオノマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂エラストマーや、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンターポリマー、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムが挙げられる。また、前記した熱可塑性樹脂等を不飽和カルボン酸及び/またはその誘導体で変性した酸変性物等の樹脂材料を用いることができる。また、これらの合成樹脂は、その1種類を単独で使用してもよく、また、これらの2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。最外層の内側に存在する複数の絶縁層のうち、前記した特定の樹脂組成物からなる最外層以外の少なくとも1層とこれを除く他の絶縁層の配置は、いずれの層を最外層側(最外層と接する層側のこと。以下同。)としても良いが、最外層の内側に存在する複数の絶縁層のうち、前記した特定の樹脂組成物からなる層を最外層側に、他の絶縁層を電線側に形成することが好ましい。絶縁層の配置をこのようにすることにより、難燃性の向上がより確実なものとなる。
なお、本発明の多層絶縁電線を構成する最外層及び最外層以外の全ての層を形成する絶縁層には、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、前記した以外の各種の樹脂成分やゴム成分、及び各種の添加剤を必要に応じて適宜添加することができる。添加剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、プロセスオイル、シリコンオイル、紫外線吸収剤、カーボンブラック、分散剤、顔料、染料、ブロッキング防止剤、架橋剤、架橋助剤等が挙げられ、また、用途によっては、従来から慣用されている赤燐、ポリリン酸化合物、ヒドロキシ錫酸亜鉛、錫酸亜鉛、ほう酸亜鉛、炭酸カルシウム、ハイドロタルサイト、酸化アンチモン等の難燃助剤を添加してもよい。
本発明の多層絶縁電線は、最外層及び最外層以外の全ての層を形成する絶縁層を構成する樹脂ないし樹脂組成物を、従来公知のタンデム押出法やコモン押出法を用いて、銅線、錫メッキ銅線、アルミ線等の金属導体に押出被覆することにより簡便に製造することができる。導体の太さは、特に制限はないが、断面積を0.05mm以上とすればよく、0.05〜5.0mmとすることが好ましい。
また、絶縁層の厚さとしては、特に制限はないが、例えば、最外層の厚さは、0.05mm以上であることが好ましく、最外層以外の絶縁層の厚さは、最外層以外の層の合計で0.1mm以上とすることが好ましい。最外層及び最外層以外の厚さをかかる範囲とすることにより、機械的強度、難燃性のバランスが良好となる。最外層は、0.05〜0.4mmとすることが特に好ましく、最外層以外の絶縁層の厚さは、最外層以外の層の合計で0.2〜1.0mmとすることが特に好ましい。
また、本発明の多層絶縁電線を製造するにあたり、最外層及び最外層以外の絶縁層を構成する樹脂等を予め溶融混練してペレット化するようにしてもよい。ペレット化するには、前記した各成分及び必要により添加した添加剤を、例えば、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等の従来公知の混練装置で溶融混練することにより簡便に製造することができる。また、二軸混練押出機を使用した場合、工程を連続的に実施することができる。なお、最外層以外の樹脂組成物の混練温度としては、金属水和物の分解温度以下(例えば、水酸化マグネシウムであれば340℃以下)に設定することが好ましい。ペレット化する場合の押出量等、その他の製造条件については、使用する樹脂成分等の種類により適宜決定することができる。
また、本発明の多層絶縁電線を構成する最外層及び最外層以外の絶縁層については、必要に応じて架橋するようにしてもよい。樹脂組成物に架橋処理を施すことにより樹脂組成物の耐熱性をさらに向上させることができる。架橋方法としては、常法による電子線照射架橋法や化学架橋法を採用することができる。電子線の照射線量は1〜30Mradが適当であり、効率よく架橋をおこなうために、各層を構成する樹脂ないしは樹脂組成物にメタクリレート系化合物、アリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物等の多官能性化合物を架橋助剤として添加してもよい。
電子線照射架橋法の場合は、本発明の樹脂組成物を成形した後に常法により電子線を照射することによって架橋を行うことができる。一方、化学架橋法による場合は、樹脂組成物に有機パーオキサイド等を従来公知の架橋剤として添加し、成形した後に常法により加熱処理して架橋を行うようにすればよい。
以上説明した本発明の多層絶縁電線は、絶縁層の構成を多層として、最外層としてメルトフローレイトが20.0g/10分以下(280℃、2.16kgf荷重)、あるいは10.0g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)の樹脂で、また、最外層以外の絶縁層の少なくとも1層として合成樹脂類100質量部に対して金属水和物30〜300質量部を含有する樹脂組成物で構成するようにしたので、絶縁電線として必要な機械的特性を備えるとともに、最外層が主として難燃性及び耐摩耗性を、最外層以外の絶縁層が主として難燃性を向上させ、難燃性、耐摩耗性及び機械的特性を兼ね備えた多層絶縁電線を提供することができ、例えば、燃焼された場合であっても樹脂が溶融してたれ落ちてしまうといった問題もない。
また、本発明の多層絶縁電線は、絶縁層の構成材料がハロゲン成分を含まないため、燃焼時にハロゲンガスやダイオキシン等の有毒なガスが発生せず、火災時における有毒ガスの発生や二次災害等を防止することができ、焼却や埋め立て等の廃棄の際にも問題なく処分を行うことができる、環境にも優しい多層絶縁電線となる。
よって、本発明の多層絶縁電線は、耐摩耗性、難燃性、機械的特性等が必要とされる自動車、鉄道車両、電子機器等に配設される電線として使用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[実施例1〜8、比較例1〜3]
実施例1〜8及び比較例1〜3の多層絶縁電線を形成する材料の構成を表1に示した。また、使用した材料の詳細は下記のとおりである。なお、樹脂成分についてのメルトフローレイト(MFR)は、JIS K7210の規定に従って、下記の温度条件及び荷重条件により測定した。
(最外層)
(1)ポリアミド系樹脂(ナイロン11)
MFR : 3.0g/10分(230℃、2.16kgf荷重)
10.0g/10分(280℃、2.16kgf荷重)
(2)ポリアミド系樹脂(ナイロン12)
MFR : 5.0g/10分(230℃、2.16kgf荷重)
15.0g/10分(280℃、2.16kgf荷重)
(3)ポリアミド系樹脂(ナイロン12)
MFR : 30.0g/10分(230℃、2.16kgf荷重)
50g以上/10分(280℃、2.16kgf荷重)
(4)ポリアミド系樹脂(ナイロン6)
MFR : 5.0g/10分(230℃、2.16kgf荷重)
15.0g/10分(280℃、2.16kgf荷重)
(5)ポリアミド系樹脂(ナイロン66)
MFR : 10.0g/10分(280℃、2.16kgf荷重)
(内層)
内層は、合成樹脂類として下記(6)〜(13)の樹脂材料を用いた。(14)の水酸化マグネシウムと混合した樹脂組成物のメルトフローレイト(230℃、2.16kgf荷重)を表1中に示している。
(6)エチレン・アクリル酸エチル共重合体(エチレン・エチルアクリレート)(EEA)
(7)エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)
(8)高密度ポリエチレン(HDPE)
(9)直鎖状低密度ポリエチレン−1(LLDPE−1)
MFR : 1.0g/10分(230℃、2.16kgf荷重)
(10)直鎖状低密度ポリエチレン−2(LLDPE−2)
MFR : 20.0g/10分(230℃、2.16kgf荷重)
(11)ポリプロピレン(PP)
(12)スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)
(13)酸変性ポリエチレン(酸変性PE)
品名 : ポリボンド(POLYBOND)3009(クロンプロン社製)
(14)金属水和物(水酸化マグネシウム)
品名 : キスマ5A(協和化学工業(株)製)
平均粒径: 1.0μm
なお、多層絶縁電線は、混練機としてバンバリーミキサーを用い、外層及び内層を構成する各成分を混練し、タンデム押出機を用いて、断面積が1.0mmの銅からなる導体上に表1に示す所定の厚さで押出被覆して製造した。なお、比較例2は内層を、比較例3は外層を設けない単層の絶縁電線とした。
[試験例1]
実施例1〜8及び比較例1〜3で得られた多層絶縁電線について、下記の基準で「難燃性」及び「耐摩耗性」について比較・評価した。結果を表1に示す。
(難燃性)
電線を45度でイカダ状に並べ、アルコールランプで着火して燃焼させた。2分後にアルコールランプを離し、自消性が認められた場合を「◎」、少し時間がかかるが自消性が認められた場合を「○」、自消性が認められなかった場合を「×」として難燃性を判定した。
(耐摩耗性)
荷重をかけたピアノ線を、電線の絶縁層の長手方向に揺動させて所定時間の耐磨耗試験を行い、3段階で相対評価を行い、耐摩耗性を判定した。評価は、被覆層が摩耗しないか、ほとんど磨耗しない場合を「◎」、被覆層が磨耗するが導体が露出しない場合を「○」、被覆層の磨耗により導体が露出する場合を「×」、として判定した。
(樹脂組成物の構成及び評価結果)
Figure 2009093837
表1に示すように、本発明の実施例に示される多層絶縁電線は、優れた難燃性及び耐摩耗性を示すものであった。一方、外層として230℃、2.16kgf荷重でのメルトフローレイトが20.0g/10分を超え(30.0g/10分)、280℃、2.16kgf荷重でのメルトフローレイトが10.0g/10分を超える(50g以上/10分)ナイロン12を使用した比較例1、及び内層を設けずメルトフローレイトが5.0g/10分のナイロン12(0.4mm)を単層の絶縁層として用いた比較例2は難燃性が悪く、外層を設けずエチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)(0.4mm)を単層の絶縁層として用いた比較例3は耐摩耗性が悪かった。
なお、実施例8は内層として230℃、2.16kgf荷重でのメルトフローレイトが5.0g/10分を超える(6.0g/10分)樹脂組成物を用いた結果であるが、実施例4と比較して難燃性について若干劣るものの、依然良好な特性を示した。
本発明は、機械的特性を備えた上で、難燃性及び耐摩耗性に優れた多層絶縁電線であるので、例えば、自動車や鉄道車両、電気・電子機器に配設される絶縁電線として有利に使用することができる。

Claims (5)

  1. 金属導体に少なくとも2層以上の絶縁層が形成された多層絶縁電線であって、
    前記絶縁層のうち最外層がJIS K7210で規定するメルトフローレイトが20.0g/10分以下(280℃、2.16kgf荷重)、あるいは10.0g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)の樹脂で構成され、
    前記最外層以外の絶縁層の少なくとも1層が、合成樹脂類100質量部に対して金属水和物30〜300質量部を含有する樹脂組成物で構成されたことを特徴とする多層絶縁電線。
  2. 前記最外層を構成する樹脂がポリアミド系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の多層絶縁電線。
  3. 前記最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する樹脂組成物のJIS K7210で規定するメルトフローレイトが5.0g/10分以下(230℃、2.16kgf荷重)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多層絶縁電線。
  4. 前記最外層以外の絶縁層の少なくとも1層を構成する合成樹脂類の主成分がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多層絶縁電線。
  5. 前記最外層の厚さが0.05mm以上で、
    前記最外層以外の絶縁層の厚さが0.1mm以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の多層絶縁電線。
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