JP2002124138A - 絶縁電線 - Google Patents

絶縁電線

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JP2002124138A
JP2002124138A JP2000315594A JP2000315594A JP2002124138A JP 2002124138 A JP2002124138 A JP 2002124138A JP 2000315594 A JP2000315594 A JP 2000315594A JP 2000315594 A JP2000315594 A JP 2000315594A JP 2002124138 A JP2002124138 A JP 2002124138A
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insulating
resin
insulated wire
layer
conductor
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JP2000315594A
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Mamoru Kondo
守 近藤
Ikujiro Uda
郁二郎 宇田
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Sumitomo Wiring Systems Ltd
AutoNetworks Technologies Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Wiring Systems Ltd
AutoNetworks Technologies Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
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    • Y02A30/14Extreme weather resilient electric power supply systems, e.g. strengthening power lines or underground power cables

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲンガスを発生することなく、耐摩耗
性、難燃性、耐水性に優れた絶縁電線を安価なコストで
市場に提供すること。 【解決手段】 導体の外周にハロゲン成分を含有しない
絶縁樹脂材料からなる複数の絶縁層を有する絶縁電線で
あって、絶縁層として、導体の外周に設けられる耐水性
樹脂を主成分とする絶縁内層と、この絶縁内層の外周に
設けられる耐摩耗性及び難燃性樹脂を主成分とする絶縁
外層とを含むよう形成する。絶縁内層はポリオレフィン
樹脂、絶縁外層はポリアミド樹脂により形成されている
ことが好ましい。ポリオレフィン樹脂は、発泡倍率が体
積で30%から50%の範囲にある発泡ポリオレフィン
樹脂であることが好ましい。また、絶縁層は、電子線照
射架橋されていることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁電線に関し、
更に詳しくは、電気導体の外周に被覆される絶縁層がハ
ロゲン成分を含有しない絶縁樹脂材料からなり、自動
車、電気機器などの配線としての用途に好適な絶縁電線
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の絶縁電線の導体に被覆さ
れる絶縁層に用いられる絶縁樹脂材料としては、ポリ塩
化ビニル樹脂が一般的に用いられており、これに耐摩耗
性、難燃性、耐水性等の必要特性に応じて、可塑剤や充
填剤等が適宜配合され、また、これらの添加剤の種類や
添加量等が調整されてきた。しかしながら、ポリ塩化ビ
ニル樹脂は、その分子鎖中に塩素を含んでいることか
ら、火災時や焼却廃棄時に腐食性のある有害なハロゲン
ガスを発生するという問題がある。
【0003】そこで近年、ノンハロゲン系の難燃性樹脂
組成物が種々研究されており、ポリオレフィン樹脂にハ
ロゲン成分を含まない難燃剤を配合したものなどが提案
されている。例えば、特開平5−301996号公報に
は、ポリオレフィンに高密度ポリエチレンをブレンド
し、これに難燃剤として金属水酸化物を配合したノンハ
ロゲン系難燃性樹脂組成物が開示されている。
【0004】また、特開平5−12924号公報には、
電気特性、耐外傷性、可撓性、耐薬品性を向上させた絶
縁電線として、導体外周に、エチレン・α−オレフィン
共重合体、エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合
体の少なくとも1種を含有するポリオレフィン組成物か
らなる内絶縁層と、その外周にハロゲンを含まない耐熱
性樹脂を主成分とした外絶縁層を備えた絶縁電線が開示
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
特開平5−301996号公報に示されるノンハロゲン
難燃性樹脂組成物は、高密度ポリエチレンの高結晶性及
び難燃剤である金属水酸化物の多量配合(ポリオレフィ
ンと高密度ポリエチレンのブレンドポリマ100重量部
に対し、金属水酸化物50〜300重量部配合)により
耐摩耗性及び難燃性を向上させた組成物であり、この難
燃性樹脂組成物を絶縁電線の絶縁層として用いた場合、
耐摩耗性、難燃性、耐水性については問題は無いが、難
燃性向上のために高価な金属水酸化物を多量に配合する
ことによる高コスト化は避けられない。
【0006】一方、耐摩耗性をより向上させるために結
晶性の高密度ポリエチレンをポリオレフィンに多量にブ
レンドすると、非晶質部分が少なくなって難燃剤を多量
に混合できなくなり、難燃性が低下するといった問題が
あった。
【0007】また、後者の特開平5−12924号公報
に示される絶縁電線は、主として、高温での耐加熱変形
性の向上及び溶融・分解を防ぐために、内絶縁層として
エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オ
レフィン・ポリエン共重合体等からなるポリオレフィン
組成物を用い、外絶縁層として結晶性ポリマー、結晶性
芳香族ポリマー等からなる耐熱性樹脂を用いるものであ
る。
【0008】そしてこのような構成とすることにより、
耐薬品性を向上させるために外絶縁層の耐熱性樹脂を加
熱して結晶化処理を施した場合でも、熱による内絶縁層
の加熱変形や発泡等の不具合を回避しつつ、耐薬品性、
高温での耐加熱変形性に優れた絶縁電線を得ることがで
きるようになるものである。
【0009】しかしながら、この絶縁電線では、高温に
おける内絶縁層の加熱変形や溶融・分解による発泡を防
ぐため、内絶縁層に分子量の大きなポリオレフィン共重
合体を含有させなければならず(分子量が大きくなる
程、融点が高くなり、熱特性に優れるようになるた
め)、ポリオレフィン共重合体に比較して分子量が小さ
く、ポリオレフィン共重合体を含まないポリオレフィン
樹脂のみにより内絶縁層を形成することができないの
で、その分キログラム単価が高くなり、樹脂容積当たり
の絶縁層の材料コストが高くなるという問題がある。
【0010】更に、分子量、重合度の増加に伴い溶融樹
脂の粘度が高くなり、導体外周への絶縁層の押出成形等
の成形性が低下することにより、成形不良や生産性の低
下、あるいは押出温度を上げることによる生産性コスト
高等を生じさせることも懸念される。
【0011】本発明が解決しようとする課題は、火災時
や焼却廃棄時に腐食性のある有害なハロゲンガスを発生
することなく、しかも耐摩耗性、難燃性、耐水性に優れ
た絶縁電線を安価なコストで市場に提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明に係る絶縁電線は、請求項1に記載のよう
に、導体の外周にハロゲン成分を含有しない絶縁樹脂材
料からなる複数の絶縁層を有する絶縁電線であって、前
記絶縁層は、前記導体の外周に設けられる耐水性樹脂を
主成分とする絶縁内層と、該絶縁内層の外周に設けられ
る耐摩耗性及び難燃性樹脂を主成分とする絶縁外層とを
含むことを要旨とするものである。
【0013】本発明に係る絶縁電線は、導体の外周にハ
ロゲン成分を含有しない絶縁樹脂材料からなる複数の絶
縁層を有しているので、火災時や焼却廃棄時に腐食性の
ある有害なハロゲンガスを発生することがない。そして
その複数の絶縁層は、導体の外周に設けられる耐水性樹
脂を主成分とする絶縁内層を含んでいるので、耐水性が
損なわれることがなく、更に、この絶縁内層の外周に設
けられる耐摩耗性及び難燃性樹脂を主成分とする絶縁外
層を含んでいるので、耐摩耗性及び難燃性が向上する。
【0014】ここで、導体としては、銅、アルミニウム
などからなる細線を撚り合わせたり、撚り合わせた後に
圧縮させたものを好適に用いる。そして、ハロゲン成分
を含有しない耐水性樹脂としては、ポリオレフィン樹
脂、エチレン共重合体樹脂等が具体的に挙げられ、ハロ
ゲン成分を含有しない耐摩耗性及び難燃性樹脂として
は、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、
ポリカーボネート樹脂等が具体的に挙げられ、コストに
合わせて適宜選択することができるものである。
【0015】尚、導体と絶縁内層、絶縁内層と絶縁外層
の間には、付与したい他の必要特性に応じた絶縁層を含
むことができるものであり、各絶縁層の厚さについて
も、必要性能に応じて適宜決定することができ、特に限
定されるものではない。
【0016】またここで、導体の外周に直接設けられる
絶縁内層と、この絶縁内層の外周に直接設けられる絶縁
外層との2層構造からなる絶縁層とした場合には、構造
が簡易になり、原材料コストの低減、材料ロスの低下、
生産工程の減少などによるコスト削減効果がより高めら
れ、耐摩耗性、難燃性、耐水性に優れた絶縁電線をより
安価なコストで得ることができるようになる。
【0017】また、請求項2に記載のように、前記絶縁
内層はポリオレフィン樹脂、前記絶縁外層はポリアミド
樹脂により形成されていることが好ましい。
【0018】ポリオレフィン樹脂は、絶縁内層として重
要な耐水性に極めて優れ、かつ、他の耐水性樹脂に比べ
コストに優れるという観点から好ましい。具体的には、
ポリエチレン(高密度、中密度、低密度ポリエチレ
ン)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等が挙げら
れ、中でもポリエチレンが好適である。そして更には高
密度ポリエチレンが最も好適である。ポリエチレンは、
ポリオレフィン樹脂の中でも耐水性、コストの両面にお
いて特に優れるからであり、高密度ポリエチレンは、低
密度、中密度ポリエチレンに比べ、結晶化度が高く、耐
熱性にも優れるからである。
【0019】また、ポリアミド樹脂は、結晶性高分子で
あり、高い融点を有することから絶縁外層として重要な
耐摩耗性及び難燃性に極めて優れ、かつ、他の耐摩耗性
及び難燃性樹脂に比べコストに優れるという観点から好
ましい。具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイ
ロン610、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられ
る。
【0020】また、請求項3に記載のように、前記ポリ
オレフィン樹脂は、発泡体であることが好ましい。ポリ
オレフィン樹脂は、耐水性に優れる反面、易燃性である
ため、その使用量が少ない程、絶縁電線の難燃性向上に
対する効果がより大きくなるとともに、コスト削減効果
がより一層高められるためである。
【0021】この際、請求項4に記載のように、前記発
泡ポリオレフィン樹脂の発泡倍率は、体積で30%から
50%の範囲にあることが好ましい。発泡倍率が、この
範囲内にあれば、強度を十分に維持しつつ、安価なコス
トで難燃性を向上させることができるためである。尚、
発泡倍率が、体積で50%より大きいと絶縁内層の強度
が低下して変形が生じる傾向があるので好ましくない。
【0022】そしてまた、請求項5に記載のように、前
記絶縁層は、電子線照射架橋されていることが好まし
い。絶縁層の摩耗量は、摩擦熱による絶縁材料の軟化に
より加速されることから、電子線照射をすることによっ
て、絶縁層中の高分子の分子間及び分子内に架橋が生
じ、耐熱性及び強度が向上し、更に耐摩耗性が向上する
ためである。
【0023】本発明に係る絶縁電線の絶縁層には、必要
に応じてハロゲン成分を含有しない難燃剤、柔軟剤、老
化防止剤、加工助剤、軟化剤などを適宜添加できるもの
であり、更に電子線架橋を施す場合には、ハロゲン成分
を含有しない架橋剤、架橋助剤などを加えても良く、用
途に合わせて適宜選択することができるものである。
【0024】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0025】図1は、本発明の一実施例に係る絶縁電線
の断面図を示したものである。絶縁電線10は、複数本
(本実施例では7本)の銅線を撚り合わせた導体12の
外周にハロゲン成分を含有しない2層の絶縁層14によ
り形成されており、この絶縁層14は、導体12の外周
に直接被覆された耐水性樹脂を主成分とする絶縁内層1
6と、更にこの絶縁内層16の外周に直接被覆された耐
摩耗性及び難燃性樹脂を主成分とする絶縁外層18から
構成されている。
【0026】(実施例1)実施例1として、断面積0.
5mm(外径0.85mm)の導体12の外周に絶縁
内層16として高密度ポリエチレン(三井石油化学工業
(株)製 「ハイゼックス5305E」)を0.2mm
厚に押出被覆した後、絶縁外層18として、6ナイロン
(宇部興産(株)製 「1030B」)を0.1mm厚
に押出被覆することにより、外径1.45mmの絶縁電
線を作製した。
【0027】(実施例2)実施例2として、断面積0.
5mm(外径0.85mm)の導体12の外周に絶縁
内層16としてポリプロピレン((株)トクヤマ 製
「RB110」)を0.15mm厚に押出被覆した後、
絶縁外層18として、12ナイロン(宇部興産(株)製
「3035LU」)を0.15mm厚に押出被覆する
ことにより、外径1.45mmの絶縁電線を作製した。
【0028】(実施例3)実施例3として、断面積0.
5mm(外径0.85mm)の導体12の外周に絶縁
内層16として発泡倍率が体積で40%の高密度ポリエ
チレン(三井石油化学工業(株)製 「ハイゼックス5
305E」)を0.2mm厚に押出被覆した後、絶縁外
層18として、6ナイロン(宇部興産(株)製 「10
30B」)を0.1mm厚に押出被覆することにより、
外径1.45mmの絶縁電線を作製した。
【0029】(実施例4)実施例4として、断面積0.
5mm(外径0.85mm)の導体12の外周に絶縁
内層16として発泡倍率が体積で60%の高密度ポリエ
チレン(三井石油化学工業(株)製 「ハイゼックス5
305E」)を0.2mm厚に押出被覆した後、絶縁外
層18として、6ナイロン(宇部興産(株)製 「10
30B」)を0.1mm厚に押出被覆することにより、
外径1.45mmの絶縁電線を作製した。尚、この実施
例4は絶縁内層の発泡倍率が体積で50%を越えた場合
の特性を見るためのものである。
【0030】図2は、実施例との比較における絶縁電線
の断面図を示したものである。絶縁電線20は、複数本
(本比較例では7本)の銅線を撚り合わせた導体22の
外周にハロゲン成分を含有しない絶縁樹脂材料からなる
1層の絶縁層24を直接被覆した構成になっている。
【0031】(比較例1)比較例1として、断面積0.
5mm(外径0.85mm)の導体22の外周に絶縁
層24として高密度ポリエチレン(三井石油化学工業
(株)製 「ハイゼックス5305E」)100重量部
に対してノンハロゲン難燃剤である水酸化マグネシウム
(協和化学工業(株) キスマ5A)を80重量部添加
したものを0.2mm厚に押出被覆することにより、外
径1.45mmの絶縁電線を作製した。
【0032】(比較例2)比較例2として、断面積0.
5mm(外径0.85mm)の導体22の外周に絶縁
層24として6ナイロン(宇部興産(株)製 「103
0B」)を0.15mm厚に押出被覆することにより、
外径1.45mmの絶縁電線を作製した。
【0033】次に上記のようにして作製した各絶縁電線
について、耐摩耗性試験、難燃性試験、耐水性試験を行
い、以下のように評価を行った。
【0034】初めに、耐摩耗性試験について説明する。
耐摩耗性として、社団法人自動車技術会規格「JASO
D608−92」に準拠し、ブレード往復法による耐
摩耗性試験を行った。荷重は7Nとし、ブレードが導体
に接触するまでの往復回数が150回以上であるものを
合格とした。その結果、本発明に係る実施例1〜3と比
較例2の供試片は合格であったが、実施例4の供試片
は、耐摩耗性試験の際、絶縁内層の高密度ポリエチレン
発泡体がやや変形した。また、比較例1の供試片は、往
復回数50回でブレードが導体に接触し、耐摩耗性は不
十分であった。
【0035】次に、難燃性試験について説明する。難燃
性として、社団法人自動車技術会規格「JASO D6
08−92」に準拠し、各絶縁電線を300mmの長さ
に切り出して供試片とし、各供試片を鉄製の試験箱に入
れて水平に支持し、ブンゼンバーナーの還元炎を15秒
当てた後の残炎時間を測定した。この際、残炎時間が1
5秒以内を合格と判定し、15秒を越えるものを不合格
と判定した。その結果、本発明の実施例1〜4と比較例
1及び2の全ての供試片が合格であった。
【0036】次に、耐水性試験について説明する。耐水
性として、各絶縁電線を40℃の水中に1日浸漬した
後、絶縁抵抗を測定した。この際、絶縁抵抗が1010
(Ω・cm)以上のものを合格とした。その結果、本発
明に係る実施例1〜4と比較例1については合格であっ
たが、比較例2については絶縁抵抗が10(Ω・c
m)となり、実用に供することができず、耐水性は不合
格であった。
【0037】以上について、絶縁電線の作製条件と評価
結果をまとめたものを表1に示す。尚、表1において、
合格を「○」、不合格を「x」、不合格ではないが性能
がやや劣るものを「△」として表してある。
【0038】
【表1】
【0039】表1から分かるように、本発明の実施例に
係る実施例1〜3の各絶縁電線は、耐摩耗性、難燃性、
耐水性、コストを全て満足しており、また、実施例4は
やや耐摩耗性が低下したが使用に耐え得るのに対し、比
較例1及び2の絶縁電線については耐摩耗性あるいは耐
水性に問題があり、使用に耐え得るものではなかった。
【0040】すなわち、実施例1〜3の各絶縁電線は、
耐摩耗性、難燃性、耐水性、コストに優れている。ま
た、実施例4の絶縁電線は、絶縁内層を形成する高密度
ポリエチレンの発泡倍率が体積で60%と高すぎるた
め、絶縁内層の強度が低下して変形が生じる傾向が確認
された。
【0041】一方、比較例1の絶縁電線は、高密度ポリ
エチレンの易燃性を改善し、難燃性を付与するため、耐
水性に優れた高密度ポリエチレンの絶縁層(1層構造)
にノンハロゲン難燃剤である水酸化マグネシウムを添加
しているため、耐水性、難燃性については問題なかっ
た。しかしながら、6ナイロンや12ナイロンなどの耐
摩耗性に優れたポリアミド樹脂を使用していないため、
十分な耐摩耗性が得られないことが分かる。これは、高
密度ポリエチレンは、6ナイロンや12ナイロンなどに
比べ融点が低く、摩擦熱により、樹脂の軟化が加速した
ためである。
【0042】尚、比較例1の絶縁電線では、難燃性付与
のため添加する金属水酸化物が高価であるため、材料コ
スト面での評価も他の実施例品あるいは比較例品よりも
低いものとなった。
【0043】また、比較例2の絶縁電線は、結晶性で、
高い融点を有する6ナイロンを絶縁層(1層構造)に使
用したことにより、耐摩耗性、難燃性については問題な
かった。しかしながら、耐水性が悪く、実用に供するこ
とができなかった。これは、一般に、ポリアミド樹脂
は、他の樹脂に比較してアミド基(−NHCO−)を主
鎖中に有するため、極性が強く、親水性があり、吸水性
が大きくなる傾向があるためである(12ナイロンのよ
うにCの数が増すと脂肪族性が強くなり、吸水率が小さ
くなるものもある)。
【0044】したがって、本発明に係る実施例品、特に
実施例1〜3の絶縁電線のように、導体の外周を形成す
る複数の絶縁層としては、導体の外周に直接又は他の絶
縁層を介して耐水性樹脂を主成分とする絶縁内層を設
け、そしてこの絶縁内層の外周に直接又は他の絶縁層を
介して耐摩耗性及び難燃性樹脂を主成分とする絶縁外層
を設けるようにすることが好ましいことが分かる。
【0045】以上実施例について説明したが、本発明は
上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣
旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能であることは勿
論である。本実施例品では、絶縁内層にポリオレフィン
樹脂及び発泡させたポリオレフィン樹脂を用いたが、難
燃性を向上させるために、ノンハロゲン系難燃剤として
水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カル
シウムなどの金属水酸化物をコストに応じて添加するこ
とができるものであり、特に限定されるものではない。
【0046】また、上記各実施例では、絶縁層が2層構
造からなる絶縁電線を用いたが、導体と絶縁内層、絶縁
内層と絶縁外層の間に付与したい他の必要特性に応じた
絶縁層を含むことができるのは勿論のことである。
【0047】
【発明の効果】本発明に係る絶縁電線によれば、導体の
外周にハロゲン成分を含有しない絶縁樹脂材料からなる
複数の絶縁層を有しているので、火災時や焼却廃棄時に
腐食性のある有害なハロゲンガスを発生することがない
という効果がある。そしてその複数の絶縁層は、導体の
外周に設けられる耐水性樹脂を主成分とする絶縁内層を
含んでいるので、耐水性が損なわれることがなく、更
に、この絶縁内層の外周に設けられる耐摩耗性及び難燃
性樹脂を主成分とする絶縁外層を含んでいるので、耐摩
耗性及び難燃性が向上するという効果がある。
【0048】また、絶縁内層としてポリオレフィン樹
脂、絶縁外層としてポリアミド樹脂を用いた場合には、
他の耐水性樹脂、耐摩耗性及び難燃性樹脂に比べ、より
安価なコストで、耐摩耗性、難燃性、耐水性を向上させ
ることができ、更に絶縁内層がポリオレフィン樹脂の発
泡体である場合には、耐水性に優れる反面、易燃性であ
るポリオレフィン樹脂の使用量を少なくすることができ
るので、絶縁電線の難燃性向上に対する効果がより大き
くなるとともに、コスト削減効果がより一層高められる
という効果がある。
【0049】この際、発泡ポリオレフィン樹脂の発泡倍
率が、体積で30%から50%の範囲にある場合には、
強度を十分に維持しつつ、安価なコストで難燃性を向上
させることができるという効果がある。
【0050】そしてまた、絶縁層に電子線照射架橋を施
した場合には、絶縁層中の高分子の分子間及び分子内に
架橋が生じ、耐熱性及び強度が向上し、更に耐摩耗性が
向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る絶縁電線の断面図で
ある。
【図2】 比較のための絶縁電線の断面図である。
【符号の説明】
10 絶縁電線 12 導体 14 絶縁層 16 絶縁内層 18 絶縁外層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 守 愛知県名古屋市南区菊住1丁目7番10号 株式会社ハーネス総合技術研究所内 (72)発明者 宇田 郁二郎 愛知県名古屋市南区菊住1丁目7番10号 株式会社ハーネス総合技術研究所内 Fターム(参考) 5G309 LA08 LA09 RA03 RA05 RA14 5G313 AB03 AB07 AB09 AC02 AD03 AE02 AE05 FA01 FB03 FC10 FD02 FD10 5G315 CA03 CB02 CC09 CD02 CD09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体の外周にハロゲン成分を含有しない
    絶縁樹脂材料からなる複数の絶縁層を有する絶縁電線で
    あって、前記絶縁層は、前記導体の外周に設けられる耐
    水性樹脂を主成分とする絶縁内層と、該絶縁内層の外周
    に設けられる耐摩耗性及び難燃性樹脂を主成分とする絶
    縁外層とを含むことを特徴とする絶縁電線。
  2. 【請求項2】 前記絶縁内層はポリオレフィン樹脂、前
    記絶縁外層はポリアミド樹脂により形成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 【請求項3】 前記ポリオレフィン樹脂は、発泡体であ
    ることを特徴とする請求項2に記載の絶縁電線。
  4. 【請求項4】 前記発泡ポリオレフィン樹脂の発泡倍率
    が、体積で30%から50%の範囲にあることを特徴と
    する請求項3に記載の絶縁電線。
  5. 【請求項5】 前記絶縁層が、電子線照射架橋されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至4に記載の絶縁電線。
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