JP6902205B2 - ケーブル - Google Patents
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Description
[1]導体の外周に絶縁層を形成した絶縁電線を複数本撚り合わせた多芯撚線の外周にシース層を備えたケーブルにおいて、シース層は、ベースポリマ100質量部に対し、金属水酸化物を170質量部以上260質量部以下含有するノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる架橋物であり、前記ベースポリマは(a)エチレン酢酸ビニル共重合体を含む酸変性されていないポリオレフィン樹脂及び(b)酸変性ポリオレフィン樹脂を(a):(b)=95:5〜60:40の割合で含有するとともに、当該ベースポリマの酢酸ビニル含有量が5質量%以上40質量%以下であり、前記金属水酸化物は、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムからなり、前記水酸化アルミニウムの含有量は、前記水酸化マグネシウムの含有量よりも多く、前記架橋物はゲル分率が80%以上であることを特徴とするケーブル。
[2]前記水酸化アルミニウムは、ベースポリマ100質量部に対して130質量部以上160質量部以下であり、前記水酸化マグネシウムは、ベースポリマ100質量部に対して40質量部以上100質量部以下であることを特徴とする[1]に記載のケーブル。
[3]前記シース層の厚さは、0.2mm以上1.5mm以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のケーブル。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本発明の実施形態に係るケーブルは、導体の外周に絶縁層を形成した絶縁電線を複数本撚り合わせた多芯撚線の外周にシース層を備えたケーブルにおいて、シース層は、ベースポリマ100質量部に対し、金属水酸化物を170質量部以上260質量部以下含有するノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる架橋物であり、前記ベースポリマは(a)エチレン酢酸ビニル共重合体を含む酸変性されていないポリオレフィン樹脂及び(b)酸変性ポリオレフィン樹脂を(a):(b)=95:5〜60:40の割合で含有するとともに、当該ベースポリマの酢酸ビニル含有量が5質量%以上40質量%以下であり、前記金属水酸化物は、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムからなり、前記水酸化アルミニウムの含有量は、前記水酸化マグネシウムの含有量よりも多く、前記架橋物はゲル分率が80%以上である。
まず、本発明の実施形態において使用するノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、ベースポリマ100質量部に対し、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムを170質量部以上260質量部以下含有し、前記水酸化アルミニウムの含有量は、前記水酸化マグネシウムの含有量よりも多いものである。
本発明の実施形態において使用するシース層は、上記ノンハロゲン難燃性樹脂組成物を使用するものであるが、耐油性の観点から架橋物である。架橋処理は、有機過酸化物又は硫黄化合物、シラン化合物等を用いた化学架橋、電子線、放射線等による照射架橋、その他の化学反応を利用した架橋等があるが、いずれの架橋方法も適用可能である。架橋の程度はゲル分率で定義する。ゲル分率の測定は事前に材料を秤量し、110℃に熱したキシレンに24時間浸漬させる。浸漬後に20℃で3時間大気圧で放置し、80℃で4時間真空乾燥させた材料の重量とキシレン浸漬前の重量比(百分率)とする。耐油性の観点から架橋物のゲル分率は80%以上である。
本発明の実施形態において使用する絶縁電線は導体の外周に絶縁層を備える。導体としては、特にその材質を限定するものではないが、銅又は銅合金、アルミ又はアルミ合金を使用することができる。導体の構成についても特にこれを限定するものではないが、単線の他、ケーブルの屈曲性を考慮すると、複数の素線を撚り合わせた撚り線構造を採用するのが好適である。また、適宜これにメッキを施すことも可能であり、例えばスズめっきなどを被覆することもできる。
図1は本発明の一実施形態に係るノンハロゲン難燃性ケーブルの断面図である。図1に示すように、本発明の実施形態に使用する絶縁電線は、導体1と導体1の外周を被覆する絶縁層とを有する。絶縁層は電気絶縁層2及び難燃層3からなる。ケーブル8は、絶縁電線4と、シールド層6と、シース層7とを備える。すなわち、導体1の外周に電気絶縁層2を被覆し、電気絶縁層2の外周に難燃層3を被覆して絶縁電線4を形成する。複数の絶縁電線4を撚り合わせ多芯撚線を形成する。セパレータ5は必要に応じて設けることができ、多芯撚線の外周に巻き回されている。シールド層6はセパレータ5の外周に形成されている。多芯撚線とセパレータ5又は多芯撚線とシールド層6との間には空間が形成されている。シールド層6の外周にシース層7を形成している。セパレータ5としては、その材質を限定するものではないが、アルミラミネートPETテープ等を用いることができる。また、シールド層6としては、その材質を特に限定するものではないが、銅又は銅合金を使用することができる。
(1)絶縁電線の製造
まず、0.18mmの素線を19本撚り合わせたスズめっき導体を用意した。
ポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチックス製、ノバデュラン5026)100重量部に、難燃剤として水酸化マグネシウム(協和化学工業製、キスマ5L)を30重量部添加し、スクリュー径30mm、L/D=40の2軸押出機を用いて混練し、造粒機でこれをペレット化し、難燃層の材料を用意した。
電気絶縁層の材料には、直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマ製、エボリューSP1510)を用い、電気絶縁層厚0.1mm、難燃層厚0.16mmになるように40mm押出機にて2層押出を行い被覆した。得られた絶縁電線を電子線にて照射し架橋を行った。
得られた絶縁電線を2本撚り合わせた多芯撚線を用意し、その上に、32μmのポリエチレンテレフタレートからなるセパレータをラップ巻きし、0.11mmのスズめっき導体を用いて編組密度80%の編組からなるシールド層を形成した。上記シールド層の外周に表1に示すノンハロゲン難燃性樹脂組成物を40mm押出機にて押出被覆した。得られたケーブルを表1に示した照射量で電子線を照射し、シース層を架橋させ、実施例及び比較例のケーブルを作製した。
ケーブルを−40℃の低温槽に4時間以上放置し、φ5mm、φ10mm及びφ20mmのマンドレルに6回巻き付けた。φ5mm、φ10mm及びφ20mmのマンドレルへの巻き付けによりケーブルが割れが発生しなかったものを◎、φ5mmのマンドレルへの巻き付けでは割れが発生したものの、φ10mm及びφ20mmマンドレルへの巻き付けで割れが発生しなかったものを○、φ5mm及びφ10mmマンドレルへの巻き付けで割れが発生したものの、φ20mmマンドレルへの巻き付けで割れが発生しなかったものを△、全てのマンドレルへの巻き付けで割れが発生したものを×とした。
長さ600mmのケーブルを垂直に保ち、60秒炎をあてて、炎を取り去った後、2秒以内に消火したものを◎、10秒以内に消火したものを○、60秒以内に消火したものを△、60秒より長く燃焼したものを×とした。
作製したケーブルから、チューブ状のシース層を剥ぎ取ったのち、6号ダンベル試験片に打ち抜いた。得られたダンベル試験片を70℃に熱したIRM903試験油に168時間浸漬し、その後200mm/minの変位速度で引張試験を実施し、引張強さ及び破断伸びを測定した。引張強さ残率が−30%以上であれば◎、−40%以上−30%未満であれば○、−50%以上−40%未満であれば△、−50%未満であれば×とした。
40mm押出機を用いて、図1に示すケーブルを製造する。表1に示したノンハロゲン難燃性樹脂組成物を押し出して、最高引取速度が100m/min以上であれば◎、50m/min以上であれば○、20mm/min以上であれば△、20mm/minに到達しなければ×とした。
表1に示したノンハロゲン難燃性樹脂組成物を40mm押出機を用いて、図1に示すケーブルを100m製造する。得られたケーブルを450mm径のボビンに巻き取り、40℃の恒温槽に24時間放置し、ケーブルをほどいて、貼り付き痕が無ければ○、貼り付き痕があれば×とした。
シース層のゲル分率を測定した。シース層をナイフで切削分離し、事前に材料を秤量し、110℃に熱したキシレンに24時間浸漬させる。浸漬後に20℃3時間大気圧で放置し、80℃で4時間真空乾燥させた材料の重量とキシレン浸漬前の重量比(百分率)を求めた。ゲル分率が80%以上であれば合格、80%未満であれば不合格とした。
作製したケーブル200mmの片端に50gの錘を吊り下げ、変位量が140mm以上のものを○、140mm未満のものを△とした。
上記試験方法において、総合評価としては、全ての試験において◎または○のものを◎とし、△が含まれるものを○、×が含まれるものを×とした。
2 電気絶縁層
3 難燃層
4 絶縁電線
5 セパレータ
6 シールド層
7 シース層
8 ケーブル
Claims (2)
- 導体の外周に絶縁層を形成した絶縁電線を複数本撚り合わせた多芯撚線の外周にシース層を備えたケーブルにおいて、
前記シース層は、ベースポリマ100質量部に対し、金属水酸化物を170質量部以上260質量部以下含有するノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる架橋物であり、
前記ベースポリマは(a)エチレン酢酸ビニル共重合体を含む酸変性されていないポリオレフィン樹脂及び(b)酸変性ポリオレフィン樹脂を(a):(b)=95:5〜60:40の割合で含有するとともに、当該ベースポリマの酢酸ビニル含有量が5質量%以上40質量%以下であり、
前記金属水酸化物は、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムからなり、前記水酸化アルミニウムの含有量は、前記水酸化マグネシウムの含有量よりも多く、前記ベースポリマ100質量部に対し130質量部以上160質量部以下であり、前記水酸化マグネシウムの含有量は、前記ベースポリマ100質量部に対し40質量部以上60質量部以下であり、
前記架橋物はゲル分率が80%以上であることを特徴とするケーブル。 - 前記シース層の厚さは、0.2mm以上1.5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
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