JP2010218772A - 多層絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導体と、前記導体を被覆する2層以上の絶縁層とを有する多層絶縁電線であって、前記絶縁層のうち、最外層が、結晶性樹脂からなるベース樹脂75〜95質量%と液晶ポリマー5〜25質量%とからなる樹脂組成物を含む高分子材料から形成され、前記最外層の膜厚が他の絶縁層の膜厚よりも薄い多層絶縁電線。
【選択図】なし
Description
このような規格のもとで、従来、主流の座を占めている変圧器は、図2に断面図で例示するような構造が採用されてきた。この変圧器は、フェライトコア1上のボビン2の周面両側端に沿面距離を確保するための絶縁バリヤ3が配置された状態でエナメル被覆された一次巻線4が巻回されたのち、この一次巻線4の上に、絶縁テープ5を少なくとも3層巻回し、更にこの絶縁テープの上に沿面距離を確保するための絶縁バリヤ3を配置したのち、同じくエナメル被覆された二次巻線6が巻回された構造である。
図1で示した変圧器を製造する場合、用いる1次巻線4及び2次巻線6では、いずれか一方もしくは両方の導体4a(6a)の外周に少なくとも3層の絶縁層4b(6b),4c(6c),4d(6d)が形成されていることが前記したIEC規格との関係で必要になる。
また、前記のフッ素樹脂押出の場合では、絶縁層はフッ素系樹脂で形成されているので、耐熱性は良好であるという利点を備えているが、樹脂のコストが高く、さらに高剪断速度で引っ張ると外観状態が悪化するという性質がある。そのために製造スピードを上げることが困難で、絶縁テープ巻と同様に電線コストが高いものになってしまうという問題点がある。
このようにして形成される押出絶縁層の全体の厚みは通常、各層の厚みは20〜60μm、3層では60〜180μmの範囲内にあるようにされている。このことは、絶縁層の全体の厚みが薄すぎると得られた発熱による機器への影響で電気特性の低下が大きく、実用に不向きな場合があり、逆に厚すぎると小型化に不向きであり、コイル加工が困難になるなどの場合があることによる。
しかしながら、近年の電気・電子機器の小型化に伴い、絶縁被覆層の厚さを薄くすることが求められている。一方で、絶縁被覆層の厚さを薄くすることで、発熱による機器への影響が懸念されることから、より高い耐熱性が必要とされている。また、絶縁被覆層の厚さを薄くすることで、ワニス等で処理における耐溶剤性が低下することが懸念されるため、より高い耐溶剤性が求められている。
すなわち本発明は、
(1)導体と、前記導体を被覆する2層以上の絶縁層とを有する多層絶縁電線であって、前記絶縁層のうち、最外層が結晶性樹脂からなり、前記最外層の膜厚が他の絶縁層の膜厚よりも薄いことを特徴とする多層絶縁電線、
(2)前記最外層の膜厚が5〜20μmであることを特徴とする(1)項に記載の多層絶縁電線、
(3)前記結晶性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィドのいずれか1つであることを特徴とする(1)または(2)に記載の多層絶縁電線、
(4)前記結晶性樹脂が、液晶ポリマー5〜25質量%を含有するポリエステル系樹脂であることを特徴とする(1)または(2)項に記載の多層絶縁電線、
(5)前記結晶性樹脂が、熱可塑性エラストマー1〜20質量%を含有することを特徴とする(3)または(4)のいずれか1項に記載の多層絶縁電線、
(6)前記結晶性樹脂が、ポリアミドであることを特徴とする(1)または(2)に記載の多層絶縁電線、
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の多層絶縁電線を用いてなることを特徴とする変圧器、および
(8)導体の外周に、少なくとも1層の絶縁層を押出し被覆し、次いで、被覆された絶縁層の外周に、結晶性樹脂組成物を押出し被覆して、膜厚が他の絶縁層の膜厚よりも薄い最外層を形成することを特徴とする多層絶縁電線の製造方法、
を提供するものである。
本実施態様に用いられる結晶性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフレート(PEN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド(PA)が挙げられ、PET、PBT、PPS、およびPAが好ましい。
本発明において「結晶性樹脂」とは、高分子鎖の一部に規則正しく配列された結晶組織を持つ樹脂を意味する。
また、本発明において「液晶ポリマー」とは、メソゲン基を含み、ポリエステル等と共重合させることで260〜350℃で流動性を有する液晶相を示す重合体を意味する。
このような溶融液晶性ポリエステルとしては、(i)長さの異なる剛直な直線性のポリエステル2種をブロック共重合して得られる剛直さ成分同士の共重合型のポリエステル、(ii)剛直な直線性のポリエステルと剛直な非直線性のポリエステルをブロック共重合して得られる非直線性構造導入型のポリエステル、(iii)剛直な直線性のポリエステルと屈曲性のあるポリエステルの共重合による屈曲鎖導入型のポリエステル、(iv)剛直鎖で直線性のポリエステルの芳香族環上へ置換基を導入した核置換芳香族導入型ポリエステルがある。
これらの中で、(I)、(II)、(V)に示す組み合わせのものが好ましく、さらに好ましくは(V)に示す組み合わせのものが挙げられる。
液晶ポリマー以外のポリエステル系樹脂と液晶ポリマーの混合方法は任意の方法を用いることができる。
熱可塑性エラストマーが20質量%より多いと耐熱性がやや低くなる。これは、結晶性樹脂組成物のベース樹脂や液晶ポリマーに比べて、エラストマー成分の耐熱性が低いためと推定される。
上記の反応性を有する官能基を含有する樹脂は、同一分子内で該官能基含有単量体成分を0.05〜30質量部有することが好ましく、0.1〜20質量部有することがより好ましい。該官能基を含有する単量体成分量が少なすぎると本発明の効果を発揮しにくく、また多すぎると前記ポリエステル系樹脂組成物との過反応によるゲル化物が発生しやすく、好ましくない。
上記の反応性を有する官能基は、絶縁電線においては、実質的に全ての基が反応したものとなる。
絶縁層の全体の厚み(被膜厚さ)は3層では50〜120μmの範囲内にあるようにすることが好ましい。このことは、絶縁層の全体の厚みが薄すぎると得られた耐熱多層絶縁電線の電気特性の低下が大きく、実用に不向きな場合があり、逆に厚すぎると小型化に不向きであり、コイル加工が困難になるなどの場合があることによる。
最外層以外の絶縁層の各層の膜厚は20〜60μmが好まく、30〜50μmがさらに好ましい。また、最外層以外の絶縁層を形成する材料も特に限定はないが結晶性樹脂であることが好ましい。
PET 80質量%、LCP 15質量%、熱可塑性エラストマー 5質量%を2軸押出機を用いて混合し樹脂組成物を得た。次にこの樹脂組成物を単軸押出機を用いて、線径1.0mmの銅線からなる導体上に順に第1層、第2層、第3層を順次押出し被覆した。被覆された第1〜第3層は冷却することで、一体化せず、多層絶縁電線とすることができる。第1層の膜厚は20μm、第2層の膜厚は20μm、第3層の膜厚は15μmであった。
なお、PETとしては帝人化成製、商品名帝人PETを、LCPとしてはユニチカ製、商品名ロッドランを用いた。また、熱可塑性エラストマーは「ボンドファースト7M」(商品名:住友化学工業社製)を用いた。
第1層の膜厚を16μm、第2層の膜厚を28μm、第3層の膜厚を32μmとした以外は、実施例1と同様にして多層絶縁電線を製造した。
第1層の膜厚を29μm、第2層の膜厚を19μm、第3層の膜厚を28μmとした以外は、実施例1と同様にして多層絶縁電線を製造した。
第1層の膜厚を30μm、第2層の膜厚を32μm、第3層の膜厚を19μmとした以外は、実施例1と同様にして多層絶縁電線を製造した。
第1層の膜厚を41μm、第2層の膜厚を34μm、第3層の膜厚を35μmとした以外は、実施例1と同様にして多層絶縁電線を製造した。
上記の実施例1〜2、並びに比較例1〜3絶縁電線を用い、順次、250℃×1hr、175℃×20hr、225℃×3hr、175℃×21hr、225℃×3hr、175℃×21hr、225℃×3hr、30℃×95%×48hrの条件で処理した湿熱後耐電圧を測定した。
結果を図3に棒グラフにより示した。また、図3に各多層絶縁電線の絶縁層全体の厚さ(被膜厚さ)を折れ線グラフにより示した。
図3に示されるように、実施例1および2の多層絶縁電線は、比較例1ないし3の多層絶縁電線に比べ湿熱後耐電圧の値が高く、特に、実施例2では、ほぼ同じ被膜厚さの比較例1および2に比べ耐電圧は2倍以上の値であった。
線径1.0mmの銅線からなる導体上に、PET(帝人化成製、商品名帝人PET)を厚さ40μmに被覆して第1層を形成し、次いで、PPS(DIC製、商品名FZ2200A8)を厚さ41μmに被覆して第2層を形成し、次いで、PA66(エムスケミージャパン 製、商品名グリロン)を厚さ20μmに被覆して第3層を形成し、多層絶縁電線を製造した。
この多層絶縁電線について試験例1と同様に湿熱後耐電圧を測定した結果、耐電圧は10.1kVであった。
第1層の膜厚を35μm、第2層の膜厚を36μm、第3層の膜厚を36μmとした以外は実施例3と同様にして多層絶縁電線を製造した。
この多層絶縁電線について試験例1と同様に湿熱後耐電圧を測定した結果、耐電圧は9.4kVであった。
線径1.0mmの銅線からなる導体上に、PET(帝人化成製、商品名帝人PET)を厚さ33μmに被覆して第1層を形成し、次いで、PPS(DIC製、商品名FZ2200A8)を厚さ19μmに被覆して第2層を形成し、多層絶縁電線を製造した。
この多層絶縁電線について試験例1と同様に湿熱後耐電圧を測定した結果、耐電圧は4.7kVであった。
第1層の膜厚を34μm、第2層の膜厚を34μmとした以外は実施例4と同様にして多層絶縁電線を製造した。
この多層絶縁電線について試験例1と同様に湿熱後耐電圧を測定した結果、耐電圧は1.5kVであった。
2 ボビン
3 絶縁バリヤ
4 一次巻線
4a 導体
4b,4c,4d 絶縁層
5 絶縁テープ
6 二次巻線
6a 導体
6b,6c,6d 絶縁層
Claims (8)
- 導体と、前記導体を被覆する2層以上の絶縁層とを有する多層絶縁電線であって、前記絶縁層のうち、最外層が結晶性樹脂からなり、前記最外層の膜厚が他の絶縁層の膜厚よりも薄いことを特徴とする多層絶縁電線。
- 前記最外層の膜厚が5〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の多層絶縁電線。
- 前記結晶性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィドのいずれか1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の多層絶縁電線。
- 前記結晶性樹脂が、液晶ポリマー5〜25質量%を含有するポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の多層絶縁電線。
- 前記結晶性樹脂が、熱可塑性エラストマー1〜20質量%を含有することを特徴とする請求項3または4に記載の多層絶縁電線。
- 前記結晶性樹脂が、ポリアミドであることを特徴とする請求項1または2に記載の多層絶縁電線。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の多層絶縁電線を用いてなることを特徴とする変圧器。
- 導体の外周に、少なくとも1層の絶縁層を押出し被覆し、次いで、被覆された絶縁層の外周に、結晶性樹脂を押出し被覆して、膜厚が他の絶縁層の膜厚よりも薄い最外層を形成することを特徴とする多層絶縁電線の製造方法。
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