JP2009088340A - 金属ナノ粒子焼結体の製造方法 - Google Patents

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【課題】金属ナノ粒子を低温焼結させ、金属ナノ粒子焼結体を製造する際、形成される焼結体層全体の導電性のバラツキを抑え、同時に、高い再現性で、得られる焼結体層全体の導電性を1×10-5Ω・cm以下の範囲にすることが可能な金属ナノ粒子焼結体の製造方法の提供。
【解決手段】アルキルアミンで表面を被覆した平均粒子径1〜100nmの金属ナノ粒子を、沸点100℃以上の有機溶媒中に分散した分散液を、塗布した後、1.5気圧〜10気圧の加圧雰囲気下、100℃〜200℃の温度で加熱処理することで、金属ナノ粒子の表面を被覆するアルキルアミンを効率的に離脱させ、金属ナノ粒子焼結体を形成させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属ナノ粒子焼結体を製造する方法に関する。特に、微細な配線パターンの作製に適用可能な、金属ナノ粒子の分散液を塗布し、該塗布層中に含まれる金属ナノ粒子を低温焼結処理することで、高い導電性を有する金属ナノ粒子焼結体層を形成する方法に関する。
近年の電子機器関連分野において、利用される配線基板上の配線パターンの微細化が進んでいる。また、種々の電極パターン部の形成に利用される金属薄膜層に関しても、極薄い膜厚の金属薄膜層の活用が進められている。例えば、スクリーン印刷法を利用して、微細配線形成や薄膜形成を達成する際、超ファインなパターン描画、あるいは極薄い膜厚の薄膜塗布層形成に、極めて粒子径の小さな金属微粒子分散液の応用が図られている。現時点において、前記の用途に応用可能な、金および銀の微粒子分散液が既に商品化されている。
なかでも、金属ナノ粒子を利用して、超ファインな配線パターンを形成する方法に関して、例えば、金ナノ粒子あるいは銀ナノ粒子を用いる際には、既に方法論が確立されている。例えば、金ナノ粒子あるいは銀ナノ粒子を含む、超ファイン印刷用分散液を利用した極めて微細な回路パターンの描画と、その後、金属ナノ粒子相互の焼結を施すことにより、得られる焼結体型配線層において、配線幅および配線間スペースが5〜50μm、体積固有抵抗率が1×10-5Ω・cm以下の配線形成が可能となっている(特許文献1、特許文献2を参照)。
具体的には、金ナノ粒子あるいは銀ナノ粒子を含む、超ファイン印刷用分散液では、金ナノ粒子あるいは銀ナノ粒子の表面をアミン化合物などの被覆剤分子で被覆した上で、分散溶媒中に分散させている。この超ファイン印刷用分散液を所望のパターンに塗布した後、分散溶媒を蒸散させる乾燥処理を施し、さらに、金属ナノ粒子表面を被覆する被覆剤分子を加熱して除去し、金属ナノ粒子の金属表面を互いに接触させ、比較的に低温で焼結を行っている。
特開2002−334618号公報 特開2004−218055号公報
上記の金属ナノ粒子を低温焼結させ、金属ナノ粒子焼結体を製造する手法は、比較的に低い温度で加熱処理を施すことで、導電性に優れた金属ナノ粒子焼結体を作製することが可能であるが、金属ナノ粒子を被覆するアミン化合物の離脱が十分に達成できない条件では、目的とする導電性を達成することができないという課題を有している。
すなわち、予め、比較的に低い沸点を有する分散溶媒を蒸散させた後、さらに、加熱処理を進めると、金属ナノ粒子表面を被覆するアミン化合物は、金属表面から離脱し、該アミン化合物の気体分子となって、気相へ蒸散する。その際、金属ナノ粒子が、層状に積層されている状態では、その積層構造の内部の隙間空間は、蒸散された該アミン化合物の気体分子で占められた状態となる。すなわち、金属ナノ粒子が層状に積層されている状態では、比較的に低い沸点を有する分散溶媒が蒸散して、乾燥状態に至ると、積層構造の内部の隙間空間は、該アミン化合物の蒸気で充満された状態となり、この隙間空間の金属ナノ粒子表面からのアミン化合物の離脱は、緩やかにしか進行しなくなる。この段階でも、金属ナノ粒子の表面を被覆していたアミン化合物による被覆層は部分的に消失しているため、その被覆層が消失した局所的な領域において、金属ナノ粒子相互が接触すると、金属ナノ粒子の融着は進行し、焼結体層が形成されていく。
一方、全体の金属ナノ粒子の表面全体に対して、被覆層が消失した局所的な領域の比率は、その加熱温度における、隙間空間の気相中のアミン化合物分子の局所的な分圧と、金属ナノ粒子表面に吸着しいているアミン化合物の面密度との間の平衡関係が達成される結果、「飽和」する。その「飽和」状態に達すると、積層構造の内部の隙間空間では、アミン化合物の離脱が停止し、また、金属ナノ粒子相互の融着も、それ以上進行できない状態となる。結果的に、形成される焼結体層中において、金属ナノ粒子相互が融着することで形成される導通経路を介して、導電性が付与されるが、金属ナノ粒子相互が融着している箇所の密度が低い場合には、全体の導電性は低い状態に留まる。換言するならば、予め、比較的に低い沸点を有する分散溶媒を蒸散させ、乾燥状態とした時点で、金属ナノ粒子相互が接触している箇所の密度にバラツキがあると、最終的に形成される焼結体層全体の導電性のバラツキが引き起こされる。
本発明は、前記の課題を解決するものである。本発明の目的は、金属ナノ粒子を低温焼結させ、金属ナノ粒子焼結体を製造する際、形成される焼結体層全体の導電性のバラツキを抑え、同時に、得られる焼結体層全体の導電性を、高い再現性で、体積固有抵抗率が1×10-5Ω・cm以下の範囲にすることが可能な金属ナノ粒子焼結体の製造方法を提供することにある。特には、基板上に形成する微細な配線パターンの作製に応用できる、焼結処理温度を150℃以上、300℃以下の範囲に選択した際、焼結処理時間を1時間以下に抑えても、形成される焼結体層全体の導電性のバラツキを抑え、同時に、得られる焼結体層全体の導電性を、高い再現性で、体積固有抵抗率が1×10-5Ω・cm以下の範囲にすることが可能な金属ナノ粒子焼結体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、先ず、従来の手順・条件において、金属ナノ粒子焼結体を製造する際、形成される焼結体層全体の導電性のバラツキを引き起こす要因を探求した。その検討過程において、金属ナノ粒子の分散液を塗布した後、この塗布層に含まれる比較的に低い沸点を有する分散溶媒を蒸散させると、分散されている金属ナノ粒子は、積層構造となるが、この段階では、金属ナノ粒子の表面は、被覆剤分子層が相当の範囲で残留していることを見出した。その場合、被覆剤分子層が残余する部分では、金属ナノ粒子は、被覆剤分子層を介して、接触する状態となる。金属ナノ粒子相互が、被覆剤分子層を介して、接触する状態となる部位では、その後、加熱を行って、金属ナノ粒子の表面上の被覆剤分子を気化させ、除去を図っても、金属ナノ粒子の金属面が互いに接し、融着を引き起こす確率は低いことを見出した。
一方、金属ナノ粒子の表面を被覆している、被覆剤分子の面密度が低くなると、積層状態の金属ナノ粒子が、金属面で接触している部位の比率が急激に増し、金属ナノ粒子相互が、被覆剤分子層を介して、接触する状態となる部位の比率は急速に低下することも見出した。積層状態の金属ナノ粒子が、金属面で接触している部位では、低温加熱によって、融着が進行するため、金属ナノ粒子が、金属面で接触している部位の比率が高くなると、積層状態の金属ナノ粒子全体が、融着の進行に伴って、有意に「嵩体積の収縮」を示すことも確認された。この「嵩体積の収縮」が進むと、当初、金属ナノ粒子間に僅かな隙間が存在していた部位でも、金属ナノ粒子相互が接触し、融着が可能となる。この二次的な効果を含めて、金属ナノ粒子の表面を被覆している、被覆剤分子の面密度を低くすると、塗布層に含まれる金属ナノ粒子は、積層構造を構成し、その内部は、金属ナノ粒子相互の融着部位が高い密度で形成される。その結果、得られる焼結体層全体の導電性を、高い再現性で、体積固有抵抗率が1×10-5Ω・cm以下の範囲にすることが可能であることを見出した。
加熱処理を行っている時点で、金属ナノ粒子の表面を被覆している、被覆剤分子の面密度を低くする条件を検討した結果、金属ナノ粒子の分散液を塗布した後、この塗布層に対して、加熱時、1.5気圧〜10気圧に加圧された雰囲気下で、100℃〜200℃の範囲で加熱処理を施す条件が適することを確認した。すなわち、乾燥処理を施さず、加圧さえた雰囲気下で、塗布層に加熱処理を施すと、分散液中に含まれる分散溶媒の蒸散速度が低くなり、分散溶媒によって、金属ナノ粒子全体が浸漬されている状態で、被覆剤分子の離脱が進み、金属ナノ粒子の表面を被覆している、被覆剤分子の面密度が低くでき、緻密な金属ナノ粒子焼結体が製造されることを確認した。
本発明者らは、上記の一連の知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体の製造方法は、
基板上に、微細な配線パターン形状を有する、金属ナノ粒子焼結体層を製造する方法であって、
平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択する、金属ナノ粒子を含有する分散液を用いて、目的とする微細な配線パターン形状を有する塗布層を基板上に描画する工程と、
前記塗布層中に含まれる金属ナノ粒子の焼成処理を行って、金属ナノ粒子焼結体層を形成する工程を有し、
前記分散液中に含有される、金属ナノ粒子は、該金属ナノ粒子表面の金属原子に対して、アミノ基の窒素原子上の孤立電子対を利用して配位的な結合が可能なアルキルアミンにより、表面を被覆されており、
前記アルキルアミンにより表面を被覆されている金属ナノ粒子は、沸点100℃以上の有機溶媒中に分散されており、
該分散液中に、前記沸点100℃以上の有機溶媒は、金属ナノ粒子100質量部当たり、10質量部〜100質量部の範囲で含有されており;
前記金属ナノ粒子の焼成処理は、
加熱温度を、100℃以上、200℃以下の範囲に選択して、
加熱時の周辺雰囲気の圧力を、1.5気圧〜10気圧の範囲に選択される加圧条件下で実施する
ことを特徴とする金属ナノ粒子相互の焼結体の製造方法である。
その際、分散液中に含有される、金属ナノ粒子には、
金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムの金属種の群から選択される、一種の金属からなるナノ粒子、または、二種以上の金属種からなる合金のナノ粒子が利用できる。
一方、前記金属ナノ粒子の焼成処理における周辺雰囲気は、
還元能を有する気体または化合物の蒸気からなる還元性雰囲気、または、不活性気体中に、還元能を有する気体または化合物の蒸気を含有する混合気体からなる還元性雰囲気であることが好ましい。
例えば、前記還元能を有する気体は、水素ガスであり、
金属ナノ粒子の焼成処理における周辺雰囲気は、
水素ガスまたは、不活性気体中に水素ガスを含有する混合気体からなる還元性雰囲気であり、
該還元性雰囲気中における水素ガスの含有率は、1体積%〜100体積%の範囲に選択されている形態を採用することができる。
あるいは、前記還元能を有する化合物は、酸化によってオキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なヒドロキシ基を有するアルコール化合物あるいは、それらの二種以上を混合したものであり、
金属ナノ粒子の焼成処理における周辺雰囲気は、
前記アルコール化合物、あるいはそれらの二種以上の混合物の蒸気からなる還元性雰囲気、または、不活性気体中に、前記アルコール化合物またはそれらの二種以上の混合物の蒸気を含有する混合気体からなる還元性雰囲気であり、
該還元性雰囲気中における前記アルコール化合物の蒸気の含有率は、1体積%〜100体積%の範囲に選択されている形態を採用することができる。
この形態では、前記アルコール化合物は、
沸点200℃以下の第一級アルコール、エチレングリコール(1,2−エタンジオール)、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオールのいずれかであることが好ましい。
前記不活性気体中に水素分子を含有する混合気体において、利用される前記不活性気体は、
窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、あるいは、それらの二種以上を混合したものであることが望ましい。
さらには、前記金属ナノ粒子の焼成処理における周辺雰囲気は、
不活性気体雰囲気、または、不活性気体中に酸素分子を含有する混合気体の雰囲気であり、
該雰囲気中における酸素分子の含有率は、0体積%〜20体積%の範囲に選択されている形態を採用することもできる。
本発明にかかる金属ナノ粒子相互の焼結体の製造方法では、
前記焼成処理は、前記加圧下、密閉容器内において加熱を行うことができる。
一方、本発明にかかる金属ナノ粒子相互の焼結体の製造方法で利用される、前記分散液中には、
分散溶媒として機能する、沸点100℃以上の炭化水素が、金属ナノ粒子100質量部当たり、20質量部〜70質量部の範囲で含有されていることが好ましい。
例えば、前記分散液中には、
分散溶媒として機能し、且つ、加熱した際、水素原子の供給源としての機能を有する、沸点100℃以上の炭化水素が、金属ナノ粒子100質量部当たり、20質量部〜70質量部の範囲で含有されている形態を採用できる。その際、分散溶媒として機能し、且つ、加熱した際、水素原子の供給源としての機能を有する、前記沸点100℃以上の炭化水素として、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)、または、デカリン(デカヒドロキシナフタレン)を選択すると好ましい。
さらには、前記分散液中には、
分散溶媒として機能する、沸点150℃以上、300℃以下の脂肪族アルコールが、金属ナノ粒子100質量部当たり、20質量部〜70質量部の範囲で含有されている形態を採用できる。
本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体の形成方法では、先ず、アルキルアミンからなる表面被覆層を有する金属ナノ粒子を利用して、描画される微細な配線パターン、あるいは薄い塗布膜を形成する。その際、該分散液中に、該表面被覆層を有する金属ナノ粒子を分散させるための分散溶媒として、沸点100℃以上の有機溶媒を含有させている。従って、加熱温度を100℃以上、200℃以下の範囲に選択し、加熱時の周辺雰囲気の圧力を1.5気圧〜10気圧の範囲に選択する加圧条件下で、加熱処理を実施すると、分散溶媒が残余している状態で、アルキルアミンは、金属ナノ粒子表面から離脱され、金属ナノ粒子の金属表面を互いに接触させることが可能となる。すなわち、金属ナノ粒子の表面は、分散溶媒による液層で覆われた状態で、金属ナノ粒子相互の融着が進行する結果、当初の塗布膜の平面形状を保持した状態で、含まれる金属ナノ粒子相互が緻密に融着した焼結体層の形成が可能となる。すなわち、金属ナノ粒子の表面を覆っている被覆剤分子のアルキルアミンは、加熱処理を行う際、分散溶媒中に一旦溶出した上、蒸散がなされるので、乾燥処理済みの金属ナノ粒子の表面を被覆している状態と比較して、より速やかに、金属表面を被覆するアルキルアミンの離脱が可能となる。結果として、加熱処理時の温度が同じ場合、周辺雰囲気が1気圧である際と比較して、加圧条件下では、処理時間を相対的に短くしても、被覆剤分子のアルキルアミンの除去と、金属ナノ粒子相互の融着を完了させることが可能となる。
以下に、本発明を詳しく説明する。
本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体の製造方法では、所望の微細形状に描画塗布された塗布層に含まれる金属ナノ粒子の表面を被覆している被覆剤分子を、加圧条件下で加熱することにより、離脱させ、金属ナノ粒子相互の融着を起こさせ、焼結体を形成している。この金属ナノ粒子の表面を被覆している被覆剤分子を離脱させる過程では、金属ナノ粒子分散液の塗布層中に、分散溶媒が残留する状態を維持するため、沸点100℃以上の有機溶媒を分散溶媒に用い、さらに、周囲の雰囲気を1.5気圧〜10気圧の加圧状態とすることで、分散溶媒の蒸散速度を低下させている。
1.5気圧〜10気圧の加圧状態において、100℃以上、200℃以下の範囲に加熱すると、1気圧における沸点100℃以上の有機溶媒は、「沸騰状態」ではなく、この加熱温度の液体として存在できる。その状態では、有機溶媒は、徐々に蒸散するが、「沸騰状態」のように、急速な気化を起こしていないため、気化熱によって、液体の温度が「沸点」以上に加熱されない状態ではない。すなわち、加圧状態とすることで、徐々に分散溶媒が蒸散する状況では、加圧されている気相の温度Tと、液相の温度Tは、実質的に等しくなる。
一方、金属ナノ粒子の表面を被覆している被覆剤分子は、液相中に溶解している該被覆剤分子と、吸着・脱着過程を介して、平衡状態となっている。すなわち、温度Tにおいて、金属ナノ粒子の表面を被覆している被覆剤分子の面密度:Cabsorb(T)は、その表面を覆っている分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の濃度:Csol(T)と、
absorb(T)/Csol(T)=Kabsorb・exp{ΔEabsorb/(kT)}
で近似的に記述可能な平衡状態となっている。
また、温度Tにおける、分散溶媒に対する、被覆剤分子の飽和溶解度:Ceq。(T)は、近似的に、
eq。(T)/Ceq。(T0)=exp{−ΔEsol./(kT)}/exp{−ΔEsol./(kT0)}
で記述可能な温度依存性を示す。
さらに、温度Tにおける、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子と、気相中に存在している気体状の被覆剤分子とは、気相−液相間の平衡関係にある。その際、温度Tにおける、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の濃度:Csol(T)と、気相中に存在する気体状の被覆剤分子の分圧:Pvapor(T)は、気相の全体圧力Ptotal(T)が一定の場合、近似的に、
sol(T)/Csol(T0)={Pvapor(T)/Pvapor(T0)}・exp{ΔEvol./(kT)}/exp{ΔEvol./(kT0)}
で記述可能な温度依存性を示す。
従って、室温(T1)では、塗布された分散液中においては、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の濃度:Csol(T1)と平衡する面密度Cabsorb(T1)で、金属ナノ粒子表面を被覆剤分子が覆っている。温度を上昇させると、金属ナノ粒子表面を被覆している被覆剤分子の離脱が進み、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の濃度:Csol(T)は上昇する。一方、その間に、分散溶媒と、その中に溶解している被覆剤分子の蒸散も進むが、含有比率が格段に高い分散溶媒の蒸散速度が優っているため、結果的に、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の濃縮が進む。特に、非加圧条件下においては、分散溶媒の蒸散速度は大きいため、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の濃縮も急速に進むと、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の濃度:Csol(T)は急激に上昇する。
例えば、非加圧条件下において、分散溶媒の沸点に周辺温度が達すると、分散溶媒は、急激に気化し、その気化熱のため、分散液の温度は、この分散溶媒の沸点より僅かに高い温度に一旦固定される。その状態では、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の濃度:Csol(T)は急激に上昇した結果、金属ナノ粒子表面を被覆している被覆剤分子の面密度:Cabsorb(T)との平衡する濃度を超えた状態に達する。従って、一旦減少した、金属ナノ粒子表面を被覆している被覆剤分子の面密度:Cabsorb(T)は、再吸着にともなって、再び上昇する。分散溶媒が完全に蒸散する段階では、金属ナノ粒子表面は、被覆剤分子の再吸着によって、少なくとも、その表面全体を被覆剤分子層で緻密に被覆された状態まで戻っている。この過程において、金属ナノ粒子表面を被覆している被覆剤分子の面密度:Cabsorb(T)は、一旦極小値を示すが、その時点では、金属ナノ粒子相互が金属面を接触している頻度は然程高くない。その後、加熱を継続する間に、金属ナノ粒子相互が金属面を接触している部位では、金属ナノ粒子相互の融着は進行するが、塗布層全体では、この金属ナノ粒子相互の融着がなされている部位の分布比率は高くなく、焼結体層全体の導電性は低い状態となる。
一方、加圧条件下において、塗布された分散液を加熱すると、分散溶媒と、その中に溶解している被覆剤分子の蒸散は進むが、その蒸散速度は、非加圧条件下と比較すると、大幅に緩やかになっている。さらに、加圧条件下においては、1気圧における分散溶媒の沸点(TB)に達しても、「沸騰状態」にならないため、分散溶媒の急激な気化による液温上昇の中断は起こらない。従って、加圧条件下においては、1気圧における分散溶媒の沸点(TB)よりも遥かに高い液温まで達する。その際、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の濃度:Csol(T)は温度とともに上昇し、一方、金属ナノ粒子表面を被覆している被覆剤分子の面密度:Cabsorb(T)は温度とともに減少を継続する。この過程で、金属ナノ粒子表面を被覆している被覆剤分子の面密度:Cabsorb(T)は、一旦極小値を示すが、その極小値は、非加圧条件下での極小値よりも桁違いに低くなっている。その時点において、金属ナノ粒子相互が金属面を接触している頻度は、非加圧条件下における頻度と比較すると、桁違いに高くなっている。その後、加熱を継続する間に、金属ナノ粒子相互が金属面を接触している部位では、金属ナノ粒子相互の融着は進行する結果、塗布層全体では、この金属ナノ粒子相互の融着がなされている部位の分布比率は格段に高くなっており、焼結体層全体の導電性も格段に高い状態となる。
加えて、分散溶媒は、目標とする加熱温度T2に達した時点でも、金属ナノ粒子全体を覆う程度に残留していると、金属ナノ粒子相互の融着が進行する間、周辺雰囲気と金属ナノ粒子が直接接触する状態を回避できている。従って、被覆剤分子層が除去された金属ナノ粒子表面が、酸素分子と接触することで酸化被膜が形成される現象を防止できる。
また、加圧条件下においては、金属ナノ粒子表面を被覆している被覆剤分子の面密度:Cabsorb(T)が一旦極小値を示す時点の液温も、非加圧条件下において、極小値を示す時点の液温よりも、格段に高くなっているため、その時点において、金属ナノ粒子相互が金属面を接触している部位では、金属ナノ粒子相互の融着は相当に進んでいる。結果的に、塗布膜全体において、金属ナノ粒子相互の融着に起因する「見かけの体積収縮」も進んでいるため、金属ナノ粒子相互が金属面を接触している部位の存在比率を更に高くする効果も寄与している。
まず、本発明の方法では、表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子を含有する分散液を用いて、目的とする微細形状導電体の平面形状パターンに合わせて、該分散液の塗布層を描画する。その際、分散質とする表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子の平均粒子径は、100nm以下であり、極めて微細な配線パターンの形成にも応用できる。
例えば、本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体の製造方法では、目的とする微細な配線パターンの描画精度は十分高く、その配線パターンの最小の配線幅を、1〜50μmの範囲、実用的には、5〜50μmの範囲に、対応させて、最小の配線間スペースを、1〜50μmの範囲、実用的には、5〜50μmの範囲に選択する際に、より好適な方法となる。
前記最小の配線幅を考慮して、その精度に対応可能な、焼結体層の形成に用いる金属ナノ粒子として、少なくとも、平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を利用している。一方、前記数μm程度の最小の配線幅に対応して、焼結体層の膜厚もサブμm〜数μmの範囲に選択される。そのため、かかる膜厚における平坦性を十分に満足させる観点からも、使用する金属ナノ粒子の平均粒子径は、1〜100nmの範囲に、より好ましくは、1〜20nmの範囲に選択する。少なくとも、本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体の製造方法を、微細配線パターンの形成に適用する際には、前記の極めて微細な配線パターンを、ナノ粒子の分散液を用いて、高い配線幅の均一性で描画する上では、使用するナノ粒子の平均粒子径は、目標とする最小の配線幅ならびに最小の配線間スペースに対して、その1/10以下に選択することが望ましい。同時に、最小の配線幅に応じて、焼結体配線層の層厚も適宜決定されるが、通常、最小の配線幅と比較し、配線層の層厚は有意に小さな形態である。その際、ナノ粒子の平均粒子径を、1〜100nmの範囲に、より好ましくは、1〜20nmの範囲に選択することで、配線層の層厚のバラツキ、局所的な高さの不均一を抑制することが可能となる。
本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体の製造方法は、使用する表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子の平均粒子径は、1〜100nmの範囲に、より好ましくは、1〜20nmの範囲に選択することで、平均膜厚がサブμm〜数μm、例えば、0.3μm〜2μmの極薄い金属薄膜を形成する際、高い膜厚の均一性、制御性を達成できる。一方、本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体の製造方法は、例えば、平均膜厚が数μm〜数10μm程度、例えば、4μm〜20μmの金属薄膜の形成にも適用できる。
なお、分散液中に含有される、表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子は、被覆剤分子として、該金属ナノ粒子表面の金属原子に対して、アミノ基の窒素原子上の孤立電子対を利用して配位的な結合が可能なアルキルアミンを利用している。従って、分散液の液相部分は、50℃以下の温度において、金属ナノ粒子の表面を被覆しているアルキルアミンの面密度:Cabsorb(T)と平衡する濃度:Csol(T)で、被覆剤分子のアルキルアミンが分散溶媒中に溶解している状態とする。
その際、このアルキルアミンは、金属ナノ粒子の表面に、少なくとも、一分子層に相当する被覆剤分子層を形成することで、分散溶媒中における分散性を維持している。この被覆剤分子層の形成を確実に行うため、金属ナノ粒子100質量部あたり、アルキルアミンを、2質量部〜30質量部の範囲、好ましくは、4質量部〜25質量部の範囲、より好ましくは、5質量部〜20質量部の範囲で含有されている状態を選択することが好ましい。この被覆剤分子のアルキルアミンは、加熱処理することで、金属ナノ粒子表面から離脱できることが必要であるが、分散液を50℃以下の温度で保存する間には、分散液中から容易に蒸散することのないものが好ましい。従って、1気圧における沸点は、60℃以上、300℃以下の範囲、好ましくは、100℃以上、280℃以下の範囲のアルキルアミンを利用することが好ましい。
アルキルアミンとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミンのいずれを利用することも可能である。モノアルキルアミンを利用する際には、炭素数8〜14のアルキル基を有するモノアルキルアミンが好ましい。H2N(CH2R’)の形状を有するアルキルアミン、例えば、ドデシルアミン(融点28.3℃、沸点248℃)、デシルアミン(融点14℃、沸点218℃)などを利用することができる。
ジアルキルアミンを利用する際には、二つのアルキル基の炭素数の合計は、8〜16の範囲が好ましく、その際、利用されるアルキル基が同じであっても、異なっていてもよい。例えば、ジアルキルアミンとして、二つのアルキル基は、炭素数5以上、9以下の範囲のジアルキルアミンが好適に利用できる。特には、炭素数5以上、9以下の範囲のアルキル基を持ち、HN(CH2R’)2の形状を有するジアルキルアミン、例えば、ビス(2−エチルヘキシル)アミン((CH3−CH2−CH2−CH2−CH(C25)−CH22NH;沸点:281℃)などを利用することができる。
室温(T1)では、分散液中には、分散すべき金属ナノ粒子の表面には、被覆剤分子のアルキルアミンが、面密度:Cabsorb(T1)で存在し、それと平衡するように、分散溶媒中には、アルキルアミンが濃度:Csol(T1)で溶解している。従って、分散液全体には、金属ナノ粒子の表面に被覆に使用されているアルキルアミンの量は、金属ナノ粒子の表面積の総和をSとすると、{S・Cabsorb(T1)}であり、分散溶媒中に溶解しているアルキルアミンの量は、分散液の液相部分の総量をVtotal(T1)とすると、{Vtotal(T1)・Csol(T1)}となる。従って、アルキルアミンの総量は、{S・Cabsorb(T1)}+{Vtotal(T1)・Csol(T1)}である。
加熱し、液温がT2に上昇した際、分散溶媒は一部蒸散して、残余する液相部分の総量は、Vtotal(T2)となる。この状態において、分散溶媒中には、アルキルアミンが濃度:Csol(T2)で溶解し、それと平衡するように、金属ナノ粒子の表面にはアルキルアミンが、面密度:Cabsorb(T2)で存在している。その際、アルキルアミンの総量は、{S・Cabsorb(T2)}+{Vtotal(T2)・Csol(T2)}である。
この加熱状態において、残余する液相部分の総量:Vtotal(T2)を、少なくとも、塗布層に存在する金属ナノ粒子全体を浸漬している状態とすることが望ましい。その際、分散溶媒の残余量は、塗布層に存在する金属ナノ粒子全体の隙間を充填可能な量であることが望ましい。従って、利用される分散液中には、1気圧における沸点100℃以上の有機溶媒を、金属ナノ粒子100質量部当たり、10質量部〜100質量部の範囲で含まれる、より好ましくは、20質量部〜70質量部の範囲で含まれることが望ましい。
本発明では、表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子を含有する分散液は、室温において、基板上に目的とする微細なパターン形状に塗布して、塗布層の描画に利用される。この塗布層の描画に利用される前記分散液中では、含有される金属ナノ粒子は、その表面の金属原子に配位的な結合しているアルキルアミンによる被覆剤分子層を有している。前記分散液中では、この被覆剤分子層を構成するアルキルアミンの、分散溶媒に対する親和性を利用することで、表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子は、分散溶媒中に均一に分散された状態となっている。
そのため、分散溶媒として利用される、1気圧における沸点100℃以上の有機溶媒は、アルキルアミンが親和性を有する有機溶媒である必要がある。本発明では、アルキルアミン中のアルキル基部分に対して、親和性を示す有機溶媒を、分散溶媒として利用する。すなわち、アルキルアミンは、疎水性のアルキル基部分と、極性基であるアミノ基、アミノ窒素原子とで構成されるが、分散溶媒として利用する有機溶媒は、室温付近の温度においては、そのアルキル基部分と疎水的な相互作用を介して、親和性を示すものである。被覆剤分子層を構成している、アルキルアミンのアルキル基部分と疎水的な相互作用を介して、有機溶媒分子がアルキルアミンに溶媒和する状態となることで、金属ナノ粒子は、該有機溶媒中に分散される。
上記の100℃以上、200℃以下の温度で加熱することによって、金属ナノ粒子は、その金属面を接する部位で、融着を起こすことが不可欠である。この低温加熱によって融着を起こすため、平均粒子径1〜100nmの範囲に、より好ましくは、1〜20nmの範囲に選択する。その際、金属ナノ粒子を構成する金属は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムの金属種の群から選択される、一種の金属、または、二種以上の金属種からなる合金が利用できる。
一方、アルキルアミン中に存在する、極性基であるアミノ基、アミノ窒素原子に対する親和性を主に利用して、アルキルアミンを溶解可能な有機溶媒は、アルキルアミンに対する親和性は高いが、本発明の目的には、必ずしも適合していない。すなわち、被覆剤分子層を構成している、アルキルアミンのアルキル基部分に対する親和性が乏しいと、アルキル基部分が外面側に露呈している被覆剤分子層の外面を包み込む形状に溶媒和した状態は、容易には達成できない。その結果、表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子が、室温付近の温度でも、該有機溶媒中に均一に分散されている状態を維持することは困難である。
上記分散溶媒の機能を考慮すると、本発明で利用する表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子を含有する分散液では、無極性有機溶媒、あるいは、低極性の有機溶媒を、分散溶媒に選択することが望ましい。具体的には、アルキルアミンに対して、そのアルキル基部分と疎水的な相互作用を介して、親和性を示す、無極性有機溶媒、あるいは、低極性の有機溶媒を、分散溶媒に選択することが望ましい。
例えば、前記の要件を満足する無極性有機溶媒、あるいは、低極性の有機溶媒として、アルキルアミンに対して、そのアルキル基部分と疎水的な相互作用を介して、溶媒和が可能な、沸点100℃以上の炭化水素が好適に利用できる。この沸点100℃以上の炭化水素は、室温では、液状である必要があり、融点は、少なくとも、20℃以下、好ましくは、10℃以下であり、沸点は、100℃以上であるが、加熱処理が完了した時点では、蒸散可能であることが必要である。従って、その沸点は、100℃以上であるが、300℃以下であることが好ましい。
本発明では、加圧雰囲気下で加熱処理を行うことで、分散溶媒が、加熱温度において、急速に気化することを回避しているが、より好ましくは、加熱処理温度よりも、その沸点が高い有機溶媒を利用する。従って、前記沸点100℃以上の炭化水素を分散溶媒に利用する際にも、100℃〜200℃の範囲に選択されている加熱処理温度よりも、その沸点が高い炭化水素を利用することが好ましい。例えば、室温では液体であり、その沸点は、200℃〜300℃の範囲である炭化水素を利用すると好ましい。アルキルアミンに対して、そのアルキル基部分と疎水的な相互作用を介して、溶媒和が可能な、沸点100℃以上の炭化水素、例えば、テトラデカン(融点5.86℃、沸点253.57℃)などの高い沸点を有する鎖式炭化水素溶媒を利用することができる。特には、分散溶媒は、加熱した際、アルキルアミンを容易に溶解する機能を具えていることが必要である。従って、テトラデカンなど、少なくとも、150℃以上の高い沸点を有する鎖式炭化水素溶媒を利用することが好ましい。
また、分散溶媒として利用可能な、沸点100℃以上の炭化水素として、分散溶媒として機能し、且つ、加熱した際、水素原子の供給源としての機能を有する、沸点100℃以上の炭化水素を利用することもできる。本発明では、金属ナノ粒子の表面は、アルキルアミンで構成される被覆剤分子層を設けることで、その金属表面を保護している。従って、金属ナノ粒子の表面には、本来、酸化被膜層は存在していない状態に維持される。しかしながら、表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子を含有する分散液を調製する段階、さらには、調製された分散液を一時保管する段階で、僅かながら、金属ナノ粒子の表面に部分的に酸化が生じることもある。その結果、金属ナノ粒子の表面に、部分的に極薄い酸化被膜が形成される場合がある。
前記の金属ナノ粒子表面に生成される金属酸化物(MO)の被膜を、分散溶媒として含有されている、上記水素原子の供給源としての機能を有する、沸点100℃以上の炭化水素を利用すると、加熱処理を行っている間に除去することも可能である。例えば、分散溶媒として機能し、且つ、加熱した際、水素原子の供給源としての機能を有する、前記沸点100℃以上の炭化水素として、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)、または、デカリン(デカヒドロキシナフタレン)を選択すると好ましい。
水素原子の供給源として機能を有する、沸点100℃以上の炭化水素として、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン:分子量132.21、融点 −31.0℃、沸点 207.2℃)、あるいは、デカリン(デカヒドロキシナフタレン:分子量 138.25、cis体:融点−43.26℃、沸点195.7℃、trans体:融点−31.16℃、沸点185.5℃)を例に採り、それが関与する金属酸化物:MOの還元過程の技術的な特徴を説明する。
テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン:分子量132.21、沸点207.2℃)は、下記の式で示され、ナフタレンに水素添加して作製され、逆に、脱水素によって、ナフタレンに復する。すなわち、テトラリンは、水素供与能を有する炭化水素化合物である。また、テトラリンに水素添加を施すと、デカリン(デカヒドロキシナフタレン:分子量 138.25、cis体:沸点195.7℃、trans体:沸点185.5℃)に変換可能である。このデカリンは、脱水素によって、テトラリンへ復する。すなわち、デカリンも、水素供与能を有する炭化水素化合物である。
Figure 2009088340
先ず、テトラリン上、水素添加された環状の炭素原子は、−CH2−CH2−CH2−CH2−となっている。例えば、1位の炭素原子と2位の炭素原子上の水素原子の立体配置に着目すると、axicial配置を有する水素原子二つが隣接する形状を採りえる。このaxicial配置を有する水素原子二つを利用して、金属酸化物:MOの還元反応を進めることが可能である。
(i) MO+C1012 → C1010+M+H2
まず、ステップ(i)では、金属酸化物:MOのOに対して、テトラリン上、環上のメチレン基(−CH2−)のaxicial配置の水素原子が、>C(H)−H…Oの水素結合型の相互作用を介して、配位する。
(i-1) MO+>C(H)−H→〔>C(H)−H…OM〕
その後、以下の部分還元が進行する。
(i-2) 〔>C(H)−H…OM〕→〔>CH・…HOM(I)〕
さらに、生成したラジカル種[>C・(H)]に、隣接するメチレン基(−CH2−)から水素原子が供与されて、還元反応が完了する。
(i-3) 〔−CH2−C・(H)−…HOM(I)〕→−CH=CH−+M+H2
また、デカリン上、例えば、9位、ならびに10位の炭素原子は、>CH−のメチン構造となっている。例えば、cis−デカリンでは、9位、ならびに10位の炭素原子上の水素原子二つを利用して、金属酸化物:MOの還元反応を進めることが可能である。
(i) MO+C1018 → C1016+M+H2
まず、ステップ(i)では、金属酸化物:MOのOに対して、デカリン上、9位の炭素原子のメチン基(>CH−)の水素原子が、>C(CH<)−H…Oの水素結合型の相互作用を介して、配位する。
(i-1) MO+>C(CH<)−H→〔>C(CH<)−H…OM〕
その後、以下の部分還元が進行する。
(i-2) 〔>C(CH<)−H…OM〕→〔>C・(CH<)…HOM(I)〕
さらに、生成したラジカル種[>C・(CH<)]に隣接するメチン基(−CH<)から、水素原子が供与されて、還元反応が完了する。
(i-3) 〔>C・(CH<)−…HOM(I)〕→>C=C<+M+H2
加えて、アルキルナフテン系炭化水素、例えば、C611−CH2−Rは、シクロヘキサン環上にアルキル基:−CH2−Rが連結される炭素原子は、メチン構造:>CH−となっている。このメチン構造:>CH−の水素原子と、隣接するアルキル基:−CH2−Rのメチレン構造:−CH2−の水素原子とを利用して、金属酸化物:MOの還元反応を進めることが可能である。
(i’) MO+C611−CH2−R → C610=CH−R+M+H2
まず、ステップ(i’)では、金属酸化物:MOのOに対して、シクロアルキル環上のメチン水素(>CH−CH2−R)が、>C(−CH2−R)−H…Oの水素結合型の相互作用を介して、配位する。
(i’-1) MO+>CH−CH2−R→〔>C(−CH2−R)−H…OM〕
その後、以下の部分還元が進行する。
(i’-2) 〔>C(−CH2−R)−H…OM〕→〔>C・(−CH2−R)…HOM(I)〕
さらに、生成したラジカル種[>C・(−CH2−R)]から、隣接するアルキル基(−CH2−R)のメチレン(−CH2−)から水素原子が供与されて、還元反応が完了する。
(i’-3) 〔>C・(−CH2−R)…HOM(I)〕→〔>C=CH−R:M〕+H2
その他、水素原子の供給源として機能を有する、沸点100℃以上の炭化水素として、プロピルシクロヘキサン(沸点:156.8℃)、ジシクロヘキサン(沸点:320℃)、ならびに、ライトサイクルオイル(沸点:220〜240℃)等も挙げることができる。
さらに、分散溶媒として機能し、且つ、加熱した際、酸化によってオキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なヒドロキシ基を有する、沸点100℃以上のアルコール化合物を利用することもできる。その際、前記の金属ナノ粒子表面に生成される金属酸化物(MO)の被膜を、分散溶媒として含有されている、加熱した際、酸化によってオキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なヒドロキシ基を有する、沸点100℃以上のアルコール化合物を利用すると、加熱処理を行っている間に除去することも可能である。
例えば、酸化銀(II):AgOや酸化銀(I):Ag2Oは、酸化剤として機能を有しており、加熱した際、酸化によってオキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なヒドロキシ基を有する、沸点100℃以上のアルコール化合物を作用させると、該アルコール化合物を酸化し、そのヒドロキシ基(>CH−OH、−CH2−OH)を、オキソ基(>C=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換する。その際、酸化銀(II):AgOや酸化銀(I):Ag2Oは、還元されて、金属銀:Ag(0)となる。すなわち、加熱した際、酸化によってオキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なヒドロキシ基を有する、沸点100℃以上のアルコール化合物が還元剤として機能し、酸化銀(II):AgOや酸化銀(I):Ag2Oを、金属銀:Ag(0)へと還元する。
分散溶媒として機能し、且つ、加熱した際、酸化によってオキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なヒドロキシ基を有する、沸点100℃以上のアルコール化合物の好適な例には、沸点が150℃以上の、1−ヘキサノール(沸点157.85℃)、1−オクタノール(沸点196℃)、1−ノナノール(沸点215℃)、1−デカノール(沸点229℃)、2−デカノール(沸点231℃)、1−ドデカノール(融点23.5℃、沸点260〜262℃)、1−テトラデカノール(融点38.26℃、沸点295〜295.7℃)などの脂肪族モノアルコール、エチレングリコール(1,2−エタンジオール:沸点197.6℃)、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール:沸点188.2℃)などのグリコール類、1,3−プロパンジオール(沸点214.22℃)などの脂肪族二価アルコールが含まれる。特には、酸化によって、ホルミル基(−CHO)へと変換可能なヒドロキシ基を有する、脂肪族モノアルコール、または脂肪族二価アルコールのうち、融点が、20℃以上、沸点が150℃以上、300度以下のものが好適に、分散溶媒として利用できる。
なお、分散溶媒に利用される、有機溶媒は、最終的には、蒸散させて除去する。従って、用いる有機溶媒の沸点は、100℃以上、300℃以下の範囲に選択することが望ましい。一般に、加圧下では、有機溶媒の蒸散は抑制されるため、1気圧における沸点が、100℃以上、250℃以下の範囲に、より好ましくは、150℃以上、250℃以下の範囲に選択することが好ましい。
分散溶媒に利用される、有機溶媒は、上述するように、アルキルアミンを溶解する溶媒としても機能する。そのため、アルキルアミンの全含有量と有機溶媒の含有量の比率は、アルキルアミンの全含有量/有機溶媒の含有量が、2/2以下、好ましくは、3/5以下、より好ましくは、1/2以下の範囲に選択することが望ましい。
金、ならびに、周期表第5周期、第6周期の第8族、第9族、第10族の元素:Ru,Rh,Pd、Os,Ir,Ptの各金属は、元々、酸化を受け難い金属であるが、その金属ナノ粒子の表面に生成した酸化被膜は、上記の反応に類似する機構によって、除去することが可能である。その結果、金属ナノ粒子表面に生成される金属酸化物(MO)の被膜は除去される。
本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体の製造方法では、金属ナノ粒子相互の焼結体形成は、金属ナノ粒子が金属表面を接触する際、低温で相互融着を起こす現象を利用している。また、全体として、分散溶媒で覆われた状態で相互融着を進行させる際、加圧雰囲気下で、加熱処理を行っている。その際、該加圧雰囲気は、還元能を有する気体または化合物の蒸気からなる還元性雰囲気、または、不活性気体中に、還元能を有する気体または化合物の蒸気を含有する混合気体からなる還元性雰囲気とすることが好ましい。すなわち、加熱処理を進める際、金属ナノ粒子の表面を被覆する被覆剤分子層が除去されると、その金属ナノ粒子の金属表面は、酸化され易い状態となっている。分散溶媒中に溶存していた酸素分子は、酸素分子を含有していない、前記還元性雰囲気中で加熱処理を開始すると、速やかに分散溶媒中から蒸散(脱離)するため、金属ナノ粒子の金属表面の酸化を回避できる。さらに、分散溶媒が蒸散して、周辺雰囲気に曝される状態となった段階でも、還元性雰囲気下であるため、金属ナノ粒子の金属表面の酸化を回避できる。
例えば、前記還元能を有する気体が、水素ガスである場合、金属ナノ粒子の焼成処理における周辺雰囲気は、水素ガスまたは、不活性気体中に水素ガスを含有する混合気体からなる還元性雰囲気となる。例えば、酸化銀(II):AgOや酸化銀(I):Ag2Oは、酸化剤として機能を有しており、加熱した際、水素分子を作用させると、加熱温度によっては、酸化銀(II):AgOや酸化銀(I):Ag2Oは還元されて、最終的に、金属銀:Ag(0)まで還元することも可能である。金属ナノ粒子の金属表面の酸化を回避する、あるいは、前記の還元反応を進行させる上では、該還元性雰囲気中における水素ガスの含有率は、1体積%〜100体積%の範囲、好ましくは、2体積%〜100体積%の範囲に選択されていることが望ましい。なお、利用される前記不活性気体は、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、あるいは、それらの二種以上を混合したものである。
あるいは、還元性雰囲気の構成に利用される、前記還元能を有する化合物として、酸化によってオキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なヒドロキシ基を有するアルコール化合物あるいは、それらの二種以上を混合したものを利用することできる。その際、金属ナノ粒子の焼成処理における周辺雰囲気は、前記アルコール化合物、あるいはそれらの二種以上の混合物の蒸気からなる還元性雰囲気、または、不活性気体中に、前記アルコール化合物またはそれらの二種以上の混合物の蒸気を含有する混合気体からなる還元性雰囲気となる。金属ナノ粒子の金属表面の酸化を回避する、あるいは、前記の還元反応を進行させる上では、該還元性雰囲気中における前記アルコール化合物の蒸気の含有率は、1体積%〜100体積%の範囲、好ましくは、2体積%〜100体積%の範囲に選択されている形態を採用することができる。この形態では、前記アルコール化合物は、加圧条件下、加熱処理を行う際、気体分子(蒸気)として存在する必要があり、例えば、沸点200℃以下の第一級アルコール、エチレングリコール(1,2−エタンジオール:沸点197.6℃)、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール:沸点188.2℃)、1,3−プロパンジオール(沸点214.22℃)のいずれかを用いることが好ましい。例えば、沸点200℃以下の第一級アルコールとして、炭素数1〜8の直鎖の1−アルカノール(CH3(CH2nOH:n=1〜7)、あるいは、炭素数4〜8の分岐の第一級アルカノールを挙げることができる。なお、利用される前記不活性気体は、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、あるいは、それらの二種以上を混合したものである。
なお、加熱温度T(K)における、前記アルコール化合物の平衡蒸気圧をPeq.(気圧)とすると、還元性雰囲気中に含まれる前記アルコール化合物蒸気の分圧PA(気圧)は、PA≦Peq.となる。その際、複数種のアルコール化合物蒸気を含む形態を選択すると、各アルコール化合物蒸気の分圧PA-i(気圧)の合計は、ΣPA-iとなる。従って、全体圧力Pの該還元性雰囲気中における、全アルコール化合物の蒸気の含有率は、ΣPA-i/P×100%となる。換言するならば、加熱温度T(K)における、各アルコール化合物の平衡蒸気圧をPeq-i(気圧)が、全体圧力Pよりも低い場合であっても、複数種のアルコール化合物蒸気を含む形態を選択することによって、全アルコール化合物の蒸気の含有率:ΣPA-i/P×100%を、100体積%とすることが可能である。
本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体の製造方法では、上述するように、加圧雰囲気として、所謂、還元性雰囲気を利用することが好ましいが、全体として、分散溶媒で覆われた状態で相互融着を進行させるため、周辺雰囲気は、酸素分子を若干含んでいてもよい。例えば、不活性気体雰囲気、または、不活性気体中に酸素分子を含有する混合気体の雰囲気であり、該雰囲気中における酸素分子の含有率は、0体積%〜20体積%の範囲に選択されているものを利用することもできる。なお、利用される前記不活性気体は、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、あるいは、それらの二種以上を混合したものである。
本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体の製造方法では、前記加圧雰囲気において、その圧力は、1.5気圧〜10気圧の範囲に選択して、加熱処理の間、その加圧条件を保持する。通常、この焼成処理は、前記加圧下、密閉容器内において加熱を行うことが好ましい。例えば、加熱温度を100℃に選択する際には、加圧条件として、少なくとも、2.5気圧以上に選択することが好ましい。加熱温度を120℃に選択する際には、加圧条件として、少なくとも、2気圧以上に選択することが好ましい。加熱温度を150℃に選択する際には、加圧条件として、少なくとも、1.5気圧以上に選択することが好ましい。例えば、各加熱温度T(K)において、その加圧条件、圧力P(気圧)は、1.5気圧〜10気圧の範囲内で、下記の式1で表記される下限値Pmin(気圧)以上に選択することが望ましい。
min=(460/T)4 (式1)
一方、金属ナノ粒子相互の融着が進み、全体として、金属ナノ粒子の緻密な焼結体が形成された後、その焼結体内部の隙間空間には、分散溶媒が残余しない状態とする。すなわち、焼成処理が完了した時点では、不要な分散溶媒は、加圧条件下、かかる加熱処理温度において、気化し、蒸散がなされる分散溶媒であることが必要となる。
従って、利用される分散溶媒は、室温では、液状である必要があり、融点は、少なくとも、20℃以下、好ましくは、10℃以下であり、一方、200℃以下に選択される加熱処理温度では、一定水準以上の蒸散性を示す必要もある。従って、分散溶媒として利用する有機溶剤の沸点は、少なくとも、300℃以下、好ましくは、280℃以下であることが好ましい。但し、その沸点が、100℃を下回ると、塗布膜層の描画を行う過程で、分散溶媒の蒸散が相当に進行するため、塗布膜層に含有される金属ナノ粒子の量にバラツキを引き起こす要因ともなる。従って、分散溶媒には、沸点が、少なくとも、100℃以上、300℃以下の範囲である有機溶剤を選択することが好ましい。
一方、分散液を塗布する際、分散液全体の流動性が高いと、横方向の拡がりが大きく、微細な線幅の描画が困難となる。すなわち、分散液全体の粘度を、描画する塗布膜層の形状精度、例えば、最小の線幅に応じて、適宜調整する必要がある。分散液全体に粘性を付与する目的で、分散溶媒中に付粘性成分を添加することができる。この付粘性成分には、沸点が150℃以上の、20℃における粘度が0.9mPa・s以上の粘性を有する炭化水素を利用する。また、分散溶媒として利用する有機溶剤として、粘性を有する炭化水素溶媒を利用することもできる。
この付粘性成分は、通常、高い沸点を示す液状の有機物であるため、例えば、分散溶媒中に含まれる、比較的に沸点の低い他の溶剤成分と比較すると、蒸散性は劣っている。従って、分散液の塗布膜を、加圧条件下で、加熱する際、その昇温過程において、比較的に沸点の低い他の溶剤成分の蒸散が先に進み、分散溶媒全体の量が減少した段階でも、相当の比率で残留する。温度の上昇とともに、付粘性成分の流動性が徐々に増すため、分散液の塗布膜全体の膜厚を平均化させる機能を発揮する。すなわち、分散溶媒全体の量が減少するに伴って、塗布膜全体の膜厚が低減するが、その際、付粘性成分の徐々に流動性が増すため、分散液の厚さが均一化されるように、分散質の金属ナノ粒子の積層構造が構成される。換言するならば、加熱処理が進行し、分散溶媒が蒸散した段階では、残余している付粘性成分は、バインダー、レベリング剤の機能を発揮する。最終的に、この付粘性成分も蒸散すると、緻密に積層された構造において、金属ナノ粒子の表面から被覆剤分子が離脱し、相互に融着が進行した金属ナノ粒子焼結体となっている。
上記のバインダー、レベリング剤の機能を発揮するため、付粘性成分として利用される、炭化水素は、沸点は、少なくとも、150℃以上、好ましくは、200℃以上であることが望ましい。一方、かかる付粘性成分を含む分散溶媒全体中に含まれる、沸点が300℃以上の高沸点溶媒成分の配合量は、表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子の含有量に応じて、金属ナノ粒子が集積した際、バインダーとして機能する上では、少なくとも、その隙間を充填可能な量であることが好ましい。
なお、最終的に、焼結処理を進める際には、残余している付粘性成分など、高沸点溶媒成分の量が不必要に多いと、被覆剤分子層の相当部分は除去されているものの、金属ナノ粒子の一部は、付粘性成分などの高沸点溶媒成分を分散溶媒として、離散的に分散された状態となる。その場合、金属ナノ粒子が沈降し、相互に緻密な接触を達成することに対して、付粘性成分などの高沸点溶媒成分は、その阻害要因となる場合がある。従って、被覆剤分子層が除去された金属ナノ粒子が集積する際、最蜜充填状態を達成した場合に、その隙間を占めるに必要な量の付粘性成分などの高沸点溶媒成分が、加熱処理により被覆剤分子の離脱が完了した時点で残留していることが好ましい。例えば、金属ナノ粒子の体積の総和:Vparticleに対して、配合される付粘性成分の体積:V1と他の分散溶媒の体積V2、Vparticle:{V1+V2}の比率が、少なくとも、5:95〜50:50の範囲、好ましくは、10:90〜40:60の範囲に選択することが望ましい。あるいは、分散液中には、金属ナノ粒子100質量部当たり、付粘性成分とその他の分散溶媒の合計が、20質量部〜2質量部の範囲、好ましくは、10質量部〜2質量部の範囲で含有されている状態とすることが望ましい。
以下に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。これらの実施例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により限定を受けるものではない。
(実施例1〜3)
下記の手順に従って、高流動性ペースト状の銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)を調製する。
銀ナノ粒子原料として、市販されている銀の超微粒子分散液(商品名:独立分散超微粒子Ag1T 真空冶金製)、具体的には、銀超微粒子35質量部、アルキルアミンとして、ドデシルアミン(分子量185.36、融点28.3℃、沸点248℃、比重d4 40=0.7841)7質量部、有機溶剤として、トルエン(沸点110.6℃、比重d4 20=0.867)58質量部を含む、平均粒子径3nmの銀超微粒子の分散液を利用する。なお、該銀超微粒子分散液の液粘度は、1 mPa・s(20℃)である。
先ず、1Lのナス型フラスコ中にて、銀超微粒子分散液Ag1T、500g(Ag35wt%含有)に、ドデシルアミン5.8gを添加・混合し、80℃で1時間加熱攪拌する。攪拌終了後、減圧濃縮により、Ag1T中に含まれる分散溶媒トルエンを脱溶剤する。
前記の脱溶剤後の混合物に対して、含有される銀超微粒子175質量部当たり、N14(テトラデカン、粘度 2.0〜2.3 mPa・s(20℃)、融点5.86℃、沸点253.57℃、比重d4 20=0.7924、日鉱石油化学製)95質量部を添加する。室温(25℃)で攪拌して、均一な分散液とする。攪拌終了後、0.2mメンブランフィルターで分散液の濾過を行う。該銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)は、銀ナノ粒子100質量部あたり、アルキルアミン成分として、ドデシルアミン20質量部、分散溶媒として、N14(テトラデカン)54質量部を含有している。
得られた分散液は、液粘度(B型回転粘度計、測定温度20℃)8mPa・sの、均一な濃紺色の高流動性ペースト状の銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)であった。
先ず、基板上に、インクジェット装置を用いて、銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)を塗布し、配線パターンを描画する。描画される配線パターンにおいて、最小の配線線幅は、50μmであり、この描画直後、銀ナノ粒子分散液の塗布層の層厚は、約20μmであった。
オートクレーブ内に前記塗布層形成を終えた基板を設置後、オートクレーブ内を乾燥空気(窒素80%、酸素20%)で満たす。オートクレーブ内を100〜150℃の任意温度に設定し、5気圧で30分間保持する。
上記の焼成処理によって、作製される焼結体層において、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターン部分の平均膜厚は、実施例1(150℃)では4μm、実施例2(120℃)では7μm、実施例3(110℃)では8μmであった。
また、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターンを利用して、作製された焼結体層の体積固有抵抗率を測定した。算出された体積固有抵抗率は、実施例1(150℃)では8.1μΩ・cm、実施例2(120℃)では1500μΩ・cmであり、実施例3(110℃)では5200μΩ・cmであった。
表1に、実施例1〜3で作製される焼結体層の作製条件、ならびに、評価結果を対比して示す。
Figure 2009088340
(実施例4〜6)
実施例1で調製される高流動性ペースト状の銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)を利用して、基板上に、インクジェット装置を用いて、該銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)を塗布し、配線パターンを描画する。描画される配線パターンにおいて、最小の配線線幅は、50μmであり、この描画直後、銀ナノ粒子分散液の塗布層の層厚は、約20μmであった。
オートクレーブ内に前記塗布層形成を終えた基板を設置後、オートクレーブ内をアルゴン96%、水素4%)で満たす。焼成処理では、オートクレーブ内の温度をそれぞれ、実施例4では、150℃、実施例5では、120℃、実施例6では、110℃に設定し、5気圧、30分間加熱状態に保持する。
上記の焼成処理によって、作製される焼結体層において、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターン部分の平均膜厚は、実施例4(150℃)では3.5μm、実施例5(120℃)では3.9μm、実施例6(110℃)では5.2μmであった。
また、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターンを利用して、作製された焼結体層の体積固有抵抗率を測定した。算出された体積固有抵抗率は、実施例4(150℃)では2.7μΩ・cm、実施例5(120℃)では4.7μΩ・cm、実施例6(110℃)では9.3μΩ・cmであった。
なお、バルクの銀単体は、密度10.49g・cm-3(20℃)、抵抗率1.59μΩ・cm(20℃)を示す。従って、作製された焼結体層は、良好な導電性を示すものと判断される。
実施例1〜3の焼成条件で作製される焼結体層と比較すると、この実施例4〜6の焼成条件で作製される焼結体層は、体積固有抵抗率が大幅に低下している。
表2に、実施例4〜6で作製される焼結体層の作製条件、ならびに、評価結果を対比して示す。
Figure 2009088340
(実施例7)
実施例1で調製される高流動性ペースト状の銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)を利用して、基板上に、インクジェット装置を用いて、該銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)を塗布し、配線パターンを描画する。描画される配線パターンにおいて、最小の配線線幅は、50μmであり、この描画直後、銀ナノ粒子分散液の塗布層の層厚は、約20μmであった。
オートクレーブ内に前記塗布層形成を終えた基板を設置後、オートクレーブ中にAr−4%水素ガスを満たす。焼成処理では、オートクレーブ内の温度を150℃に設定する。上記の焼成処理によって、作製される焼結体層において、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターン部分の平均膜厚は5.5μmであった。
また、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターンを利用して、作製された焼結体層の体積固有抵抗率を測定した。算出された体積固有抵抗率は、3.9μΩ・cmであった。
実施例4の焼成条件で作製される焼結体層と比較すると、この実施例7の焼成条件で作製される焼結体層は、体積固有抵抗率が若干増加している。しかし、実施例7の焼成条件は、実施例4の焼成条件と比較して、より低圧条件であるが、作製される焼結体層の体積固有抵抗率は、十分に低い値となっている。
表3に、実施例7で作製される焼結体層の作製条件、ならびに、評価結果を示す。
Figure 2009088340
(実施例8、9)
実施例1で調製される高流動性ペースト状の銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)を利用して、基板上に、インクジェット装置を用いて、該銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)を塗布し、配線パターンを描画する。描画される配線パターンにおいて、最小の配線線幅は、50μmであり、この描画直後、銀ナノ粒子分散液の塗布層の層厚は、約20μmであった。
実施例8では、オートクレーブ内に前記塗布層形成を終えた基板を設置後、オートクレーブ底に1−ヘキサノール(沸点:157.85℃)を50mL満たす。焼成処理では、オートクレーブ内の温度を150℃に設定する。その際、150℃に達した時点において、周辺雰囲気中の1−ヘキサノール蒸気の分圧は、0.8kg/cm2となっている。
上記の焼成処理によって、作製される焼結体層において、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターン部分の平均膜厚は5.3μmであった。
また、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターンを利用して、作製された焼結体層の体積固有抵抗率を測定した。算出された体積固有抵抗率は、6.9μΩ・cmであった。
実施例9では、オートクレーブ内に前記塗布層形成を終えた基板を設置後、オートクレーブ底にプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール、沸点:188.2℃)を50mL満たす。焼成処理では、オートクレーブ内の温度を150℃に設定する。その際、150℃に達した時点において、周辺雰囲気中のプロピレングリコール蒸気の分圧は、0.27kg/cm2となっている。
上記の焼成処理によって、作製される焼結体層において、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターン部分の平均膜厚は5.1μmであった。
また、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターンを利用して、作製された焼結体層の体積固有抵抗率を測定した。算出された体積固有抵抗率は、4.4μΩ・cmであった。
実施例1の焼成条件で作製される焼結体層と比較すると、この実施例8の焼成条件で作製される焼結体層は、体積固有抵抗率が低下している。一方、実施例4と比較すると体積固有抵抗率は増加している。
表4に、実施例8で作製される焼結体層の作製条件、ならびに、評価結果を示す。
Figure 2009088340
(実施例10、11)
実施例1で調製される高流動性ペースト状の銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)に対して、その炭化水素溶媒をテトラデカンからデカリンまたはデカノールに変更して、それ以外は、同じ条件、組成を選択して、銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)を調製した。
実施例10の銀ナノ粒子インクは、cis−デカリン(沸点195.77℃)を採用している。実施例11の銀ナノ粒子インクは、1−デカノール(沸点229℃)を採用している。
基板上に、インクジェット装置を用いて、該銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)を塗布し、配線パターンを描画する。描画される配線パターンにおいて、最小の配線線幅は、50μmであり、この描画直後、銀ナノ粒子分散液の塗布層の層厚は、約20μmであった。
オートクレーブ内に前記塗布層形成を終えた基板を設置後、オートクレーブ中にAr−4%水素ガスを満たす。焼成処理では、オートクレーブ内の温度を150℃に設定する。
上記の焼成処理によって、実施例10の銀ナノ粒子インクを用いて作製される焼結体層において、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターン部分の平均膜厚は4.0μmであった。また、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターンを利用して、作製された焼結体層の体積固有抵抗率を測定した。算出された体積固有抵抗率は、2.4μΩ・cmであった。
上記の焼成処理によって、実施例11の銀ナノ粒子インクを用いて作製される焼結体層において、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターン部分の平均膜厚は4.0μmであった。また、幅0.1cm、長さ1cmの平面形状のパターンを利用して、作製された焼結体層の体積固有抵抗率を測定した。算出された体積固有抵抗率は、2.6μΩ・cmであった。
実施例4の焼成条件で作製される焼結体層と比較すると、この実施例10、11の銀ナノ粒子インクを用いて、下記表5に示す焼成条件で作製される焼結体層は、体積固有抵抗率が若干低下している。一方、焼結体層平均膜厚は、実施例10、11では、実施例1よりも、若干増加している。
表5に、実施例10、実施例11で作製される焼結体層の作製条件、ならびに、評価結果を実施例4と対比して示す。
Figure 2009088340
本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体の製造方法は、電子機器における電子部品の実装に利用されるプリント配線基板等において、微細な配線パターンを作製する際、例えば、配線の配線幅は50μm以下、かつ配線間スペースは50μm以下である微細な回路パターン用の導電体層の作製に好適に利用できる。特には、形成される膜厚が20μm以下、5μmまでの範囲に適用する際、体積固有抵抗率が10μΩ・cm以下の優れた電導性を有する金属ナノ粒子焼結体型の微細形状導電体層を、高い再現性と生産性で作製可能な手段として利用できる。

Claims (13)

  1. 基板上に、微細な配線パターン形状を有する、金属ナノ粒子焼結体層を製造する方法であって、
    平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択する、金属ナノ粒子を含有する分散液を用いて、目的とする微細な配線パターン形状を有する塗布層を基板上に描画する工程と、
    前記塗布層中に含まれる金属ナノ粒子の焼成処理を行って、金属ナノ粒子焼結体層を形成する工程を有し、
    前記分散液中に含有される、金属ナノ粒子は、該金属ナノ粒子表面の金属原子に対して、アミノ基の窒素原子上の孤立電子対を利用して配位的な結合が可能なアルキルアミンにより、表面を被覆されており、
    前記アルキルアミンにより表面を被覆されている金属ナノ粒子は、沸点100℃以上の有機溶媒中に分散されており、
    該分散液中に、前記沸点100℃以上の有機溶媒は、金属ナノ粒子100質量部当たり、10質量部〜100質量部の範囲で含有されており;
    前記金属ナノ粒子の焼成処理は、
    加熱温度を、100℃以上、200℃以下の範囲に選択して、
    加熱時の周辺雰囲気の圧力を、1.5気圧〜10気圧の範囲に選択される加圧条件下で実施する
    ことを特徴とする金属ナノ粒子相互の焼結体の製造方法。
  2. 分散液中に含有される、金属ナノ粒子が、
    金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムの金属種の群から選択される、一種の金属からなるナノ粒子、または、二種以上の金属種からなる合金のナノ粒子である
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記金属ナノ粒子の焼成処理における周辺雰囲気は、
    還元能を有する気体または化合物の蒸気からなる還元性雰囲気、または、不活性気体中に、還元能を有する気体または化合物の蒸気を含有する混合気体からなる還元性雰囲気である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記還元能を有する気体は、水素ガスであり、
    金属ナノ粒子の焼成処理における周辺雰囲気は、
    水素ガスまたは、不活性気体中に水素ガスを含有する混合気体からなる還元性雰囲気であり、
    該還元性雰囲気中における水素ガスの含有率は、1体積%〜100体積%の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記還元能を有する化合物は、酸化によってオキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なヒドロキシ基を有するアルコール化合物あるいは、それらの二種以上を混合したものであり、
    金属ナノ粒子の焼成処理における周辺雰囲気は、
    前記アルコール化合物、あるいはそれらの二種以上の混合物の蒸気からなる還元性雰囲気、または、不活性気体中に、前記アルコール化合物またはそれらの二種以上の混合物の蒸気を含有する混合気体からなる還元性雰囲気であり、
    該還元性雰囲気中における前記アルコール化合物の蒸気の含有率は、1体積%〜100体積%の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  6. 前記アルコール化合物は、
    沸点200℃以下の第一級アルコール、エチレングリコール(1,2−エタンジオール)、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオールのいずれかである
    ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記不活性気体中に水素分子を含有する混合気体において、利用される前記不活性気体は、
    窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、あるいは、それらの二種以上を混合したものである
    ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  8. 前記金属ナノ粒子の焼成処理における周辺雰囲気は、
    不活性気体雰囲気、または、不活性気体中に酸素分子を含有する混合気体の雰囲気であり、
    該雰囲気中における酸素分子の含有率は、0体積%〜20体積%の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項1また2に記載の方法。
  9. 前記焼成処理は、前記加圧下、密閉容器内において加熱を行う
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記分散液中には、分散溶媒として機能する、沸点100℃以上の炭化水素が、金属ナノ粒子100質量部当たり、20質量部〜70質量部の範囲で含有されている
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記分散液中には、分散溶媒として機能し、且つ、加熱した際、水素原子の供給源としての機能を有する、沸点100℃以上の炭化水素が、金属ナノ粒子100質量部当たり、20質量部〜70質量部の範囲で含有されている
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 分散溶媒として機能し、且つ、加熱した際、水素原子の供給源としての機能を有する、前記沸点100℃以上の炭化水素が、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)、または、デカリン(デカヒドロキシナフタレン)である
    ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記分散液中には、分散溶媒として機能する、沸点150℃以上、300℃以下の脂肪族アルコールが、金属ナノ粒子100質量部当たり、20質量部〜70質量部の範囲で含有されている
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
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