JP4115909B2 - 多層配線パターンの形成方法 - Google Patents

多層配線パターンの形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4115909B2
JP4115909B2 JP2003326572A JP2003326572A JP4115909B2 JP 4115909 B2 JP4115909 B2 JP 4115909B2 JP 2003326572 A JP2003326572 A JP 2003326572A JP 2003326572 A JP2003326572 A JP 2003326572A JP 4115909 B2 JP4115909 B2 JP 4115909B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
wiring
insulating
interlayer
conductive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003326572A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005093814A (ja
Inventor
寛 齋藤
雅行 上田
憲明 畑
頼重 松葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Harima Chemical Inc
Original Assignee
Harima Chemical Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Harima Chemical Inc filed Critical Harima Chemical Inc
Priority to JP2003326572A priority Critical patent/JP4115909B2/ja
Publication of JP2005093814A publication Critical patent/JP2005093814A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4115909B2 publication Critical patent/JP4115909B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)
  • Non-Metallic Protective Coatings For Printed Circuits (AREA)
  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)

Description

本発明は、配線基板上に多層状の配線パターンを形成する方法、ならびに、該形成方法で作製される多層配線パターンを有する配線基板に関する。より具体的には、基板の表面上に、複数の配線パターンを、部分的に電気的絶縁層を介して重層した形態で、多層化して形成する方法に関する。
近年、種々の電子部品を実装する際に利用される配線基板において、その回路配線パターンは、電子部品自体の集積化・小型化に付随して、その配線パターンも微細化が図られている。加えて、配線基板上に、電子部品複数個を高密度に実装するため、各電子部品相互の電気的な接続を図る回路配線パターンについて、シート状の絶縁層によって各層間の電気的な分離がなされている、複数の配線層を積層した多層配線基板の利用が進んでいる。この従来型の多層配線基板では、例えば、絶縁基板の表面に、第一層目の回路配線パターンを形成した後、その表面をシート状の絶縁層で被覆し、このシート状の絶縁層の平坦な表面上に、第一層目の回路配線パターンと位置合わせして、第二層目の回路配線パターンを形成することで、配線層の多層化がなされている。最上層の配線パターンと下層の配線パターンとの間の電気的接続には、両層間を分離しているシート状の絶縁層を貫通して、裏面側から形成されるビア・ホール、または表面側から作製されるスルー・ホールを経由して、かかる貫通穴内に導電性材料を充填し、上下の層間を結ぶ電気的経路を設ける手法が利用されている。
従って、積層される回路配線パターン数が増す場合、例えば、3層の配線パターンを積層する際には、最上層に位置する第三層目の回路配線パターンと、最下層に位置する第一層目の回路配線パターンとの間に、電気的接続を形成するためには、第二層目の回路配線パターンを形成する際、予め、第一層目の回路配線パターンと第三層目の回路配線パターンとの接続における中継点として利用される、下層の絶縁層を貫通するスルー・ホールを介する導通端子パッドを同時に形成する。次いで、第三層目の回路配線パターンを形成する際、前記第二層面上の中継点(導通端子パッド)と第三層目の回路配線パターンとの間を接続する、上層の絶縁層を貫通するスルー・ホールを介する導通経路を形成する、逐次的に、絶縁層を貫通する導通経路を、縦方向に延長する工程が利用されている。
また、絶縁層を貫通する、縦方向の導通経路の形成には、スルー・ホールの穴内部に、例えば、導電性ペーストを塗布・充填し、充填された導電性ペーストに加熱処理を施し、導電性材料層を形成する方法などが利用されている。その際、回路配線パターンの配線幅、間隔の微細化を進めると、対応して、スルー・ホールの穴径も小さくされ、この狭い穴径内に緻密に導電性ペーストを充填し、高い導電性を有する導電性材料層を再現性よく形成することが必要となる。特には、絶縁層の層厚とスルー・ホールの穴径との比、所謂アスペクト比が増すとともに、スルー・ホールの穴側壁面を緻密に被覆する導電性ペーストの塗布・充填、つまり、良好なステップ・カバレージを示す導電性ペーストの塗布を高い再現性で行うことが必要となる。
加えて、回路配線パターン複数が積層される際、各積層工程では、下層の配線パターン上を被覆するシート状の絶縁層の表面に、それぞれ位置合わせして、パターニング用マスクを形成して、そのマスク・パターンを利用して、上層の配線パターンを形成するが、最下層の配線パターンと最上層の配線パターンとの間では、直接位置合わせを行うことは容易でなく、中間の各層毎に成される複数の位置合わせを介する、間接的な位置合わせを利用せざるを得ない場合が少なくない。この間接的な位置合わせでは、中間の各層毎に成される複数の位置合わせ工程における、その位置合わせの精度誤差が積み重なると、場合によっては、最下層の配線パターンと最上層の配線パターンとの間では、許容範囲を超える位置合わせ誤差を引き起こすこともある。特に、形成すべき各層の配線パターンの配線幅、間隔の微細化を進めると、対応して、最下層と最上層の間における位置合わせ誤差の許容範囲も小さくなり、各層毎の位置合わせ工程に対して、より一層高い位置合わせ精度が要求されることになる。
また、従来のシート状の絶縁層によって各層間の電気的な分離がなされている、複数の配線層を積層した多層配線基板においては、各層の配線パターン自体は、所望の回路形状にパターニングされた金属メッキ層が、導電体層として利用されていた。一方、各種の回路基板上に、単層の配線パターンを形成する手段としては、前記の所望の回路形状にパターニングされた金属メッキ層に代えて、昨今では、インクジェット印刷法を利用して、微細なパターン描画を行う手法の向上に伴い、導電性金属ペーストを利用する配線パターン形成の応用も進められている。加えて、導電性金属ペーストに利用されている金属フィラーの粒子サイズをより細かなものとすることで、より微細な配線パターンへの応用が進められている。
一方、極めて粒子径の小さな金属超微粒子、少なくとも、平均粒子径が100nm以下である金属超微粒子の製造方法が確立されている。例えば、特開平3−34211号公報には、ガス中蒸発法を用いて調製される10nm以下の金属超微粒子を、分散溶媒中にコロイド状に分散した分散液とその製造方法が開示されている(特許文献1参照)。また、特開平11−319538号公報などには、還元にアミン化合物を用いる還元析出法を利用して、平均粒子径が数nm〜数10nm程度の金属超微粒子を湿式で作製し、コロイド状に分散したものとその製造方法が開示されている(特許文献2参照)。
このナノサイズの平均粒子径を有する金属ナノ粒子を導電性媒体に利用することで、導電性金属ペーストを利用して形成される導電層は、極めて微細な配線パターンへ応用可能なものとなっている。導電性金属ペーストにおいて、数ミクロン・サイズの金属フィラーを用いる際には、バインダー樹脂を利用して、金属フィラー粒子相互を緻密に接触し、固定することで、電気的な導通経路を構成している。一方、平均粒子径数nm〜数10nm程度の金属超微粒子においては、同様な物理的に粒子相互を接触する手法では、かかる接点抵抗に起因する全体の抵抗率の上昇は、平均粒子径がより小さくなるとともにより顕著となる。
一般に、平均粒子径数nm〜数10nm程度の金属超微粒子は、その融点よりも格段に低い温度(例えば、銀であれば、清浄な表面を有する超微粒子では200℃以下においても)で焼結することが知られている。これは、金属の超微粒子においては、十分にその粒子径を小さくすると、粒子表面に存在するエネルギー状態の高い原子の全体に占める割合が大きくなり、金属原子の表面拡散が無視し得ないほど大きくなる結果、この表面拡散に起因して、粒子相互の界面の延伸がなされ焼結が行われるためである。金属ナノ粒子を導電性媒体に利用する際には、この低温で焼結することが可能という特質を利用して、金属ナノ粒子相互が密に焼結で連結されたネットワーク状の焼結体層を形成することにより、接点抵抗に起因する全体の抵抗率の上昇を回避し、金属ナノ粒子の焼結体層全体の体積固有抵抗率として、10×10-6 Ω・cm程度の良好な電気伝導性が達成されている。
加えて、インクジェット印刷法を利用するパターン描画を行う手法における、微細な描画形状精度、再現性、描画位置合わせ精度の急速な向上が進み、例えば、最小線幅/間隔が10μm/10μmを下回るような、極めて微細なパターンを有する塗布層を高い再現性で、また、高い位置合わせ精度で、簡便に形成することが可能となっている。その際、利用する導電性ペーストとして、ナノサイズの平均粒子径を有する金属ナノ粒子を導電性媒体に利用する導電性金属ペーストを採用することで、得られる導電層は、極めて微細な配線パターンへ応用可能なものとなっている。
特開平3−34211号公報 特開平11−319538号公報
従来型の多層配線基板では、各層の配線層のパターニング加工には、パターニング・マスクを利用するため、その下地面として、基板面全体を被覆するように形成される、両層間を分離しているシート状の絶縁層を利用している。そのため、各層の配線層間における導通を図るためには、ビア・ホールやスルー・ホールを介して、層間を縦方向に連結する導電経路を採用している。例えば、層間分離用シート状の絶縁層を貫通するスルー・ホールの穴開け、ならびに、形成されたスルー・ホール内への導電性材料の充填は、各配線層毎に行った後、その上面に層間分離用のシート状の絶縁層を被覆形成するという、段階的な工程を繰り返して、多層配線の作製がなされていた。そのため、大半の場合、最下層の配線パターンと最上層の配線パターンとの間では、直接位置合わせを行うことは容易でなく、中間の各層毎に成される複数の位置合わせを介する、間接的な位置合わせを利用せざるを得ないものであった。この間接的な位置合わせでは、中間の各層毎に成される複数の位置合わせ工程における、その位置合わせの精度誤差が積み重なると、場合によっては、最下層の配線パターンと最上層の配線パターンとの間では、許容範囲を超える位置合わせ誤差を引き起こす大きな要因となっていた。特に、形成される配線パターンが微細化するとともに、中間の各層毎に成される複数の位置合わせ工程によって、間接的な位置合わせがなされる最下層の配線パターンと最上層の配線パターンとの間で、その積み重なった位置合わせ誤差が、許容範囲に留まるか、否かが、その微細化の限度を決定する要因となっている。換言すると、基板面全体を被覆するように形成される、両層間を分離しているシート状の絶縁層を利用している、従来型の多層配線基板では、形成される配線パターンが微細化するとともに、高い再現性、歩留まり率を維持することは、困難なものとなっていた。
加えて、形成される配線パターンが微細化するとともに、層間を縦方向に連結する導電経路としているスルー・ホールの穴径も相応に小さくなり、この狭いスルー・ホールの穴内に、均一に導電性材料の充填を行うことにも、困難さが増している。具体的には、狭いスルー・ホールの穴では、その穴の深さ(層間分離用シート状の絶縁層の層厚)と穴径の比、所謂アスペクト比が大きくなり、その層間分離用シート状の絶縁層上面から、下層の表面(穴底面)との間に、穴側壁面部を均一に被覆する導電性材料の充填を達成する上では、よりステップ・カバレージ特性に優れる導電性材料の充填手法が必要となっていく。導電性ペーストを利用する充填手法は、所謂アスペクト比が大きな穴への導電性材料の充填手法としては、有用であるが、高い流動性を要するため、液粘度を低下させる希釈用溶剤の含有比率が増すと、逆に、ステップ・カバレージ特性は低下する、トレード・オフの関係があり、必ずしも、形成される配線パターンの微細化に十分に対応できない場合も生じていた。
勿論、層間を縦方向に連結する導電経路としているスルー・ホール接続を利用すると、形成される配線パターンの微細化に付随し、その穴開けの位置合わせ精度もより高いものとする必要がある。多層配線の層数の増すとともに、各配線層のパターニング用のマスク位置合わせ工程に加えて、スルー・ホール穴開けの位置合わせ工程は、全体の工程をより煩雑なものとする大きな要素となっている。
本発明は前記の課題を解決するものであり、本発明の目的は、複数の回路配線が、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する形態で積層形成されている、多層の配線層を有する回路基板を作製する際、最下層の配線層に対して、その上層に積層される各配線層が、相互の配線パターン間の位置合わせ精度を、上層のいずれの層においても同程度に維持可能であり、加えて、積層される層間を縦方向に連結する導電経路の形成工程の煩雑さを大幅に解消することも可能であり、さらには、形成される配線パターンの微細化に適合する、新規な構成によって、多層の配線層の形成がなされている回路基板と、その作製方法を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく、鋭意研究、検討を進め、近年、最小配線幅が数μm〜数十μmである微細な回路パターン形成に利用可能な、微細な描画精度と、高い位置選択性を具えるインクジェット描画装置が開発されている点に着目し、微細な回路パターンを有する多層の配線層の形成にも、このインクジェット描画法を利用した導電性ペースト塗布層から作製される導電体層を利用することを着想した。その際、インクジェット描画法は、パターニング用のマスク層を利用せず、直接、ノズル先端の開口から、導電性ペーストの微細な液滴を吐出させ、対象表面上に高い位置選択性で塗布できる利点を有し、また、大きな傾斜角を有する側面に対しても、優れたステップ・カバレージ特性を有する特長の利用を図った。
具体的には、基板上に、先に形成されている、微細な回路パターン形状の導電性ペースト塗布層に対して、その配線パターンの部分を被覆する絶縁性ペースト塗布層をパッド状に基板上に形成すると、かかる部分領域では、絶縁性ペースト塗布層パッド自体の端部ステップ、ならびに、絶縁性ペースト塗布層が被覆する、導電性ペースト塗布層の配線パターン側壁部に相当するステップが存在する。ある程度の流動性を有するペースト塗布で作製されているため、これら絶縁性ペースト塗布層面に存在するステップは、極端に急峻な壁面形状ではなく、傾斜角を有するメサ型の側面となっている。従って、かかる傾斜角を有するメサ型の側面を示すステップに対して、インクジェット法を利用して、導電性ペースト塗布層をさらに積層形成する際、このステップ部においても、平坦部と変わらない塗布層の層厚とすることが可能である。一方、先に形成されている、導電性ペースト塗布層の配線パターン上を交差するように、導電性ペースト塗布層をさらに積層形成する際、その交差部では、上下両層の塗布層は互いに密着され、接触界面で一体化が可能である。
なお、先に形成される導電性ペースト塗布層が、不必要に多くの分散溶媒を残している状態で、更に、分散溶媒を多く含む導電性ペーストを積層塗布すると、導電性ペーストの流動性に由来して、両塗布層の積層されている部位の形状に崩れ・滲みを引き起こす懸念がある。その際には、用いる導電性ペーストとして、反復的に積層塗布した際に、その塗布パターン形状の崩れ・滲みを生ずることのないものを利用することで、かかる懸念を払拭できることが確認された。同様に、絶縁性ペーストに関しても、その塗布後、不必要に多くの溶媒を残している状態とならないように、含有される溶媒の一部を蒸散させる、乾燥処理を施すことで、その塗布膜上に積層塗布される導電性ペーストにおける、塗布パターン形状の崩れ・滲み発生の懸念を払拭できることが確認された。
加えて、絶縁基板上に描画されている、最下層の導電性ペースト塗布層のパターンは、部分的なパッド状の絶縁性ペースト塗布層による被覆に伴い、上方から形状を視覚的に確認できない領域を有するものの、その大半部分は、上層の導電性ペースト塗布層を形成した後でも、露呈した状態に保たれる。従って、上層に形成される導電性ペースト塗布層の各層は、この露呈している最下層の導電性ペースト塗布層のパターンを基準として、その位置合わせを行うことができ、いずれの配線層においても、その位置合わせ精度には、本質的な差違が無いものとなる。
一連の多層配線層の各層用導電性ペースト塗布層、ならびに、その層間分離絶縁膜の各層用絶縁性ペースト塗布層を積層形成した後、一括して、加熱処理を施すことで、導電性ペースト塗布層から導電体層を、絶縁性ペースト塗布層から絶縁体層を平行して形成するので、導電体層と絶縁体層との積層界面は、緻密に接触した形態を保持でき、一方、直接積層されている、導電体層相互は、その接触界面では、塗布した時点で、両塗布層の導電性ペースト間で混合・一体化がなされている結果、加熱処理で得られる導電体層相互の電気的な接続は、極めて良好なものとなることも確認された。
勿論、上下の配線層間の絶縁分離用絶縁体層は、両配線層間の電位差によって、絶縁破壊を生ずることもない、十分に高い絶縁破壊電界強度を有する絶縁性樹脂材料の層であり、また、必要な膜厚とされるが、良好な絶縁特性を有する薄膜フィルム形態で利用可能なポリイミド樹脂などは、前記の要求性能を十分に満足でき、さらには、インクジェット法によって、絶縁性ペースト塗布層として被覆でき、その加熱処理温度、時間も、導電性ペースト塗布層に対する加熱処理温度、時間と、その処理条件の共通化が可能である、すなわち、加熱処理温度を350℃以下、150℃〜350℃の範囲に選択することで、絶縁性ペースト塗布層から、薄膜フィルム形態で利用可能なポリイミド樹脂とでき、また、導電性ペースト塗布層中の金属ナノ粒子が互いに焼結した、良好な導電性を有する焼結体層が形成可能であることをも、本発明者らは確認し、以上に説明した一連の知見に基づき、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板の作製方法は、
絶縁基板上に、複数の回路配線が、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する形態で、積層形成されている、多層の配線層を有する回路基板を作製する方法であって、
前記多層の配線層に含まれる、少なくとも、最下層の第一層目の配線層と、その上層の第二層目の配線層とは、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する部位を複数有する形態をとり、
該配線パターン相互間に部分的に重なりを有する複数の部位は、
該積層部位において、両層の配線層間の絶縁分離を行う第一の層間分離絶縁層を介して積層される層間分離部位と、該積層部位において、両層の配線層が直接積層され、両層間の電気的な接続が達成される層間導通部位とを有する際、
該多層の配線層を有する回路基板を作製する方法は、少なくとも、前記最下層の第一層目の配線層と、その上層の第二層目の配線層とを、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する形態で、積層形成する工程を有し、
前記第一層目の配線層と第二層目の配線層とを積層形成する工程においては、
(1)前記絶縁基板上に、導電性ペーストを、前記第一層目の配線層の配線パターン形状に、インクジェット方式により塗布して、第一層配線用導電性ペースト塗布層を描画する工程、
(2)前記両層の配線層間における積層部位のうち、
層間分離部位の位置については、前記第一層配線用導電性ペースト塗布層の該層間分離部位上面を被覆する形状に、絶縁性ペーストをインクジェット方式により塗布され、かつ、
層間導通部位の位置については、前記第一層配線用導電性ペースト塗布層の該層間導通部位上面は、前記絶縁性ペーストの塗布がなされていない形態として、
前記絶縁基板の全表面のうち、前記層間分離部位の位置を含む部分領域のみに、第一の層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層を描画する工程、
(3)前記絶縁基板上に、導電性ペーストを、前記第二層目の配線層の配線パターン形状に、インクジェット方式により塗布して、
前記両層の配線層間における積層部位のうち、
層間分離部位の位置については、前記第一の層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層上に、導電性ペーストが塗布され、かつ
層間導通部位の位置については、前記第一層配線用導電性ペースト塗布層の上面を被覆する形状に、導電性ペーストが塗布されている形態として、
第二層配線用導電性ペースト塗布層を描画する工程、
(4)前記第一層配線用導電性ペースト塗布層、第一の層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層、第二層配線用導電性ペースト塗布層について、一連の描画工程を終えた後、一括して、加熱処理を施し、導電性ペースト塗布層から導電体層を、絶縁性ペースト塗布層から絶縁体層を形成する加熱処理工程、
前記(1)〜(4)の各工程を設け、
前記絶縁基板上に形成される、前記第一層目の配線層と第二層目の配線層とを、
該層間分離部位においては、前記第一の層間分離絶縁層を介して積層され、かつ、該層間導通部位においてが、両層の配線層が直接積層され、両層間の電気的な接続が達成される形態で積層形成する
ことを特徴とする多層の配線層を有する回路基板の作製方法である。
本発明の回路基板の作製方法においては、
前記絶縁体層形成用の絶縁性ペーストは、絶縁性樹脂層形成用の絶縁性ペーストであり、かつ、
前記導電体層形成用の導電性ペーストは、金属ナノ粒子を導電性成分とする導電性金属ペーストであることが好ましい。その際、
前記導電性金属ペーストを構成する導電性成分である金属ナノ粒子は、平均粒子径が1〜100nmの金属ナノ粒子であることがより好ましい。加えて、
前記導電性金属ペーストを構成する導電性成分である金属ナノ粒子は、
金、銀、銅、白金、パラジウム、スズ、ニッケル、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、鉄、タングステンからなる金属種の群から選択される、一種の金属からなるナノ粒子、または、二種以上の金属種からなる合金のナノ粒子であることが好ましい。
されには、本発明の回路基板の作製方法において、
前記の金属ナノ粒子を導電性成分とする導電性金属ペーストを使用することに伴い、
前記(4)の加熱処理工程における加熱温度は、350℃以下の範囲に選択され、
該加熱処理によって、導電性ペースト塗布層から形成される導電体層は、前記導電性金属ペーストを構成する導電性成分である金属ナノ粒子相互が焼結してなる焼結体型の導電体層であることが、より好ましい。
一方、本発明の回路基板の作製方法では、
絶縁基板上に、複数の回路配線が、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する形態で、
積層形成されている、多層の配線層を形成した後、
該多層の配線層を有する回路基板において、その後の電子部品の実装工程において、該電子部品との電気的接続に供される接続端子部、ならびに、該回路基板上の複数の回路配線と外部との電気的接続に供される末端端子部を除き、
作製された多層の配線層の上面全体を被覆する、表面保護用の絶縁性樹脂層を被覆形成する工程を更に設けることが可能であり、また、好ましい。
加えて、本発明は、上述する、本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板の作製方法を適用することで作製可能な、多層の配線層を有する回路基板の発明をも提供しており、すなわち、本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板は、
絶縁基板上に、複数の回路配線が、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する形態で、
積層形成されている、多層の配線層を有する回路基板であって、
前記多層の配線層に含まれる、少なくとも、最下層の第一層目の配線層と、その上層の第二層目の配線層とは、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する部位を複数有する形態をとり、
該配線パターン相互間に部分的に重なりを有する複数の部位は、
該積層部位において、両層の配線層間の絶縁分離を行う第一の層間分離絶縁層を介して積層される層間分離部位と、該積層部位において、両層の配線層が直接積層され、両層間の電気的な接続が達成される層間導通部位とを有しており、
少なくとも、前記第一層目の配線層と第二層目の配線層との積層構造は、
(1)該第一層目の配線層は、
導電性ペーストを、前記第一層目の配線層の配線パターン形状に、インクジェット方式により塗布して、描画された第一層配線用の導電性ペースト塗布層に対して、加熱処理を施すことで形成される導電体層により形成されており、
(2)前記第一の層間分離絶縁層は、
前記両層の配線層間における積層部位のうち、
層間分離部位の位置については、前記第一層配線用導電性ペースト塗布層の該層間分離部位上面を被覆する形状に、絶縁性ペーストをインクジェット方式により塗布され、かつ、
層間導通部位の位置については、前記第一層配線用導電性ペースト塗布層の該層間導通部位上面は、前記絶縁性ペーストの塗布がなされていない形態として、
前記絶縁基板の全表面のうち、前記層間分離部位の位置を含む部分領域のみに、描画された第一の層間分離絶縁層用の絶縁性ペースト塗布層に対して、加熱処理を施すことで形成される絶縁体層により形成されており、
(3)該第二層目の配線層は、
前記絶縁基板上に、導電性ペーストを、前記第二層目の配線層の配線パターン形状に、インクジェット方式により塗布して、
前記両層の配線層間における積層部位のうち、
層間分離部位の位置については、前記第一の層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層上に、導電性ペーストが塗布され、かつ
層間導通部位の位置については、前記第一層配線用導電性ペースト塗布層の上面を被覆する形状に、導電性ペーストが塗布されている形態として、
描画された第二層配線用導電性ペースト塗布層に対して、加熱処理を施すことで形成される導電体層により形成されており、
前記絶縁基板上に形成される、前記第一層目の配線層と第二層目の配線層とを、
該層間分離部位においては、前記第一の層間分離絶縁層を介して積層され、かつ、該層間導通部位においてが、両層の配線層が直接積層され、両層間の電気的な接続が達成される形状を有する
ことを特徴とする多層の配線層を有する回路基板である。また、本発明の回路基板は、
絶縁基板上に、複数の回路配線が、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する形態で、積層形成されている、多層の配線層に対して、
該多層の配線層を有する回路基板において、その後の電子部品の実装工程において、該電子部品との電気的接続に供される接続端子部、ならびに、該回路基板上の複数の回路配線と外部との電気的接続に供される末端端子部を除き、
前記多層の配線層の上面全体を被覆する、表面保護用の絶縁性樹脂層がさらに設けられている形態とすることが可能であり、また、好ましい。
換言するならば、本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板は、
少なくとも、前記第一層目の配線層と第二層目の配線層との積層構造は、
上述する各構成のいずれかを採る、本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板の作製方法に従って形成されていることを特徴とする回路基板である。なお、本発明の回路基板を、前記多層の配線層の上面全体を被覆する、表面保護用の絶縁性樹脂層を具える形態とする場合には、
少なくとも、前記第一層目の配線層と第二層目の配線層との積層構造と、前記多層の配線層の上面全体を被覆する、表面保護用の絶縁性樹脂層とは、
上述する、表面保護用の絶縁性樹脂層の作製工程を有する構成の、本発明にかなる多層の配線層を有する回路基板の作製方法に従って形成されている
ことを特徴とする回路基板とすることが可能である。
本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板の作製方法を利用すると、各層の配線層の形成工程は、各層毎に、パターニング用マスク形成を行う必要のない、インクジェット法によって、導電性ペースト塗布層を直接、所望の微細パターン形状に描画する手法で形成でき、また、上部の配線層の配線パターンを描画する際、各層間の層間分離層となる絶縁体層は、最下層の配線パターンの一部を被覆しているのみであるので、大部分が露呈している最下層の配線パターンをその位置合わせの基準として利用でき、各層間の位置合わせ誤差は、最小限の水準に保つことが可能となる。加えて、各配線層間を縦方向に電気的に接続する層間導通経路は、直接、両配線層を接触させ、積層することで形成でき、各層間の層間分離層となる絶縁体層を貫通するビア・ホールやスルー・ホールの穴あけ、ならびに、該ビア・ホールやスルー・ホールの穴内部への導電性材料の充填工程に付随する工程上の煩雑さを排除できる利点を有する。
加えて、本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板においては、各配線層の形成に利用する導電性ペーストとして、金属ナノ粒子分散液を利用することで、微細な配線パターンを高い線幅精度で形成でき、この金属ナノ粒子塗布層を焼結処理して得られる、焼結体層は、その体積固有抵抗率を、高い再現性で10×10-6 Ω・cm以下の好適な範囲とすることが可能となり、低インピーダンスでかつ微細な配線パターンを有する多層配線の形成を、高い形状制御性、再現性、且つ簡便に行える利点が得られる。
本発明者らは、多層配線基板は、本来、絶縁基板上に、多層の配線層を作製する際、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する形態で積層形成されている、各配線層においては、配線パターン相互間で重なりを有する部分が、一般に、必要最小限となるように、かかる多層配線基板上に実装される電子部品の配置と、各層の配線パターンとを選択・設計されている点に着目して、本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板では、この限定された、配線パターン相互間に重なりを有する部分領域のみに、部分的に層間分離絶縁層を設けることで、積層された各配線層相互の分離を達成でき、一方、それ以外の各層の配線パターンに重なりが無い部分は、いずれの配線層も、絶縁基板上に形成される形態としている。
その場合、下層の配線層と上層の配線層とは、部分的に設ける層間分離絶縁層を介して、積層される領域では、上層の配線層については、絶縁基板上に直接形成される領域との間で、段差を有する面上に配線パターンを形成する必要がある。従来型の多層配線基板では、各層の配線層のパターニングに、パターン形成用マスクを利用しているため、段差を有する面上においては、マスクを用いたパターニングが困難であるため、層間分離絶縁層として、シート状の絶縁層を、回路基板面全面を被覆するように設けることによって、この平坦なシート状の絶縁層の表面に、パターン形成用マスクを適用していた。本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板では、パターン形成用マスクの利用に代えて、段差を有する面上においては、所望のパターン描画が可能なインクジェット描画法を利用して、配線パターンを目的とする位置に直接描画する手法を利用している。また、配線層に利用する導電体層は、インクジェット描画法に適する、導電性ペーストの塗布層を所望の配線パターンで形成した後、加熱処理を施すことで、焼成される導電体層としている。
そのため、本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板では、絶縁基板上に、最初に形成される、最下層の配線層用パターンは、その後、上層の配線層用パターンを形成する際にも、シート状の絶縁層で被覆され、視覚的に確認が不可能な状態となることはなく、この相当部分が露呈している、最下層の配線層用パターンを、上層の配線層用パターン形成における、位置合わせの基準とすることが可能となっている。すなわち、各層の配線層用パターン形成における、位置合わせは、全て、最下層の配線層用パターンを基準として実施できるので、最上層の配線層用パターンに対しても、その位置合わせ誤差が増すことを回避できる。
一方、各層間において、縦方向の電気的導通は、その層間の配線層用パターン上の、目的とする積層部位において、層間分離絶縁層を設けず、直接、導電性ペーストの塗布層が接触する形態で積層することで達成できる。例えば、従来型の多層配線基板では、最上層の配線層と、最下層の配線層との間に縦方向の電気的導通をとる場合、各層間分離絶縁層毎に、スルー・ホールを介する導通路を設け、それらの連結することで、ようやく目的とする縦方向の電気的導通が可能であるが、本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板では、各層間の縦方向の電気的導通を、煩雑な工程を行うことなく、作製することが可能となっている。
具体的には、導電性ペーストとして、銀などの金属ナノ粒子分散液を用いて、位置合わせてして、インクジェット方式による配線パターン形成を行い、得られる導電性ペースト塗布層を予備乾燥して、余剰な溶剤を除去する。続いて、上層の配線層と交差する位置の中で、層間の導通を図る部分はそのままで、層間の分離を図るべき部分に対して、薄膜でも高い絶縁分離が可能なポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂ペーストを、同じく、位置合わせてして、インクジェット方式により塗布し、得られる絶縁性樹脂ペースト塗布層を予備乾燥して、余剰な溶剤を除去する。さらにその上に、上層の配線層の作製に用いる、銀などの金属ナノ粒子分散液を用いて、位置合わせてして、インクジェット方式による配線パターン形成を行い、得られる導電性ペースト塗布層を予備乾燥して、余剰な溶剤を除去する。以降、作製される多層配線層の層数に応じて、絶縁性樹脂ペースト塗布層と導電性ペースト塗布層との積層工程とを繰り返す。最後に、絶縁基板上に形成されている、絶縁性樹脂ペースト塗布層と導電性ペースト塗布層とを、150〜350℃の低温加熱処理することで、絶縁性樹脂ペースト塗布層は、均一な絶縁性樹脂の薄膜フィルム状の絶縁体層となり、同時に、導電性ペースト塗布層中の銀などの金属ナノ粒子は、相互に焼結した、緻密な焼結体型の導電体層となる。この銀などの金属ナノ粒子による緻密な焼結体型の導電体層を利用することで、配線幅が数μm〜数十μmの微細な回路パターンとした際にも、且つ体積固有抵抗が10μΩ・cm以下の優れた導電特性が達成できる。
本発明の多層の配線層を有する回路基板では、部分的には、層間分離絶縁層と下層の配線層とが、複数段積層された、多数段のステップを有する領域に、導電性ペーストとして、銀などの金属ナノ粒子分散液を用いて、インクジェット方式による配線パターン形成を行う場合もあるが、本発明者らは、例えば、用いる金属ナノ粒子分散液においては、その分散溶媒の含有比率が分散液の液粘度に顕著な影響を与えるので、特定の成分に構成された金属ナノ粒子分散液を微細な液滴として噴射後、飛翔して、対象物上に堆積するまでの間に、この液滴中に含まれる分散溶媒が蒸散すると、濃縮された液の粘度は急速に増し、多数段のステップを有する領域のステップ側面においても、粘度が急速に増したペーストの塗布層は、均一な塗布膜厚さを維持しつつ、作製することが可能であることを見出した。
従って、本発明においては、用いる導電性ペーストとして、例えば、インクジェット法の塗布手段を適用して、微細な平面パターンであって、その焼結体層の膜厚が相対的に厚い、高いアスペクト比を示す微細な金属ナノ粒子焼結体層を、簡便に、また、高い形状制御性、再現性で作製することが可能となるものを利用することが好ましい。
以下に、本発明をより詳細に説明する。
本発明において、導電性ペーストとして利用する金属ナノ粒子分散液は、デジタル高密度配線に対応した低インピーダンスでかつ極めて微細な回路形成に利用される超ファイン印刷用にも利用でき、加えて、作製される面が、ステップ状の段差を示す際にも、微細な平面パターンを有する導電体層を均一な厚さで、該金属ナノ粒子の焼結体層で形成する目的で利用される。従って、先ず、目的とする微細な平面パターンを高い精度で描画するため、含有される金属ナノ粒子は、目標とする超ファイン印刷の線幅、平面形状サイズに応じて、その平均粒子径は1〜100nmの範囲に選択する。好ましくは、平均粒子径を1〜20nmの範囲に選択する。含有される金属ナノ粒子自体の平均粒子径を前記の範囲に選択することで、インクジェット法により、極めて微細な線幅のパターンへの塗布を可能としている。
このように、極めて微細な金属ナノ粒子を用いる際には、乾燥粉体の形態では、粒子同士が接触すると、各々の金属ナノ粒子が付着することにより凝集を起こし、そのような凝集体は、本発明が目的とする微細な線幅に対応できるインクジェット印刷用には適さないものとなる。このナノ粒子同士の凝集を防ぐために、金属ナノ粒子の表面に低分子による被覆層を設け、液体中に分散された状態となっているものを利用する。すなわち、本発明で利用する金属ナノ粒子分散液においては、金属ナノ粒子分散液の塗布層を、350℃以下の低温で加熱処理して、含有されている金属ナノ粒子同士、その接触界面における融着を起こすように、金属ナノ粒子の表面には、酸化膜が実質的に存在しない状態となっているものを利用する。
具体的には、原料とする金属ナノ粒子は、その表面は、かかる金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物1種以上により被覆された状態とする。すなわち、かかる金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物1種以上により、金属ナノ粒子の金属表面を均一に被覆した状態とする、例えば、末端アミノ基を1以上有するアミン化合物などにより被覆された状態を保持しつつ、一種以上の有機溶剤中に分散されてなる金属ナノ粒子の分散液を用いる。
この被覆層の役割は、加熱処理を施すまでは、金属ナノ粒子が互いにその金属表面が直接接触しない状態とすることによって、分散液中に含有される金属ナノ粒子の凝集を抑制し、保管時の耐凝集性を高く維持することである。また、仮に塗布を行う際など、水分や大気中の酸素分子と接しても、金属ナノ粒子の表面は、既に被覆層で覆われており、水分子や酸素分子との直接的な接触に至らないので、水分や大気中の酸素分子による金属超微粒子表面の自然酸化膜の形成も抑制する機能をも有する。
この金属ナノ粒子表面の均一な被覆に利用される化合物は、金属元素と配位的な結合を形成する際、窒素、酸素、またはイオウ原子上の孤立電子対を有する基を利用するもので、例えば、窒素原子を含む基として、アミノ基が挙げられる。また、イオウ原子を含む基としては、スルファニル基(−SH)、スルフィド型のスルファンジイル基(−S−)が挙げられる。また、酸素原子を含む基としては、ヒドロキシ基(−OH)、エーテル型のオキシ基(−O−)が挙げられる。
利用可能なアミノ基を有する化合物の代表として、アルキルアミンを挙げることができる。なお、かかるアルキルアミンは、金属元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、好ましくは100℃以上、より好ましくは、150℃以上の範囲となるものが好ましい。一方、導電性ナノ粒子ペーストの加熱処理を行う際には、金属ナノ粒子表面から離脱した後、最終的には、分散溶媒とともに、蒸散することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、アルキルアミンとして、そのアルキル基は、C8〜C18の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にアミノ基を有するものが用いられる。例えば、前記C8〜C18の範囲のアルキルアミンは、熱的な安定性もあり、また、室温付近での蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。
一般に、かかる配位的な結合を形成する上では、第一級アミン型のものがより高い結合能を示し好ましいが、第二級アミン型、ならびに、第三級アミン型の化合物も利用可能である。また、1,2−ジアミン型、1,3−ジアミン型など、近接する二以上のアミノ基が結合に関与する化合物も利用可能である。また、分散溶媒に溶解可能な程度の比較的分子量が小さいなポリアミン型化合物を利用することもできる。場合によっては、ポリオキシアルキレンアミン型のエーテル型のオキシ基(−O−)を鎖中に含む、鎖状のアミン化合物を用いることもできる。その他、末端のアミノ基以外に、親水性の末端基、例えば、水酸基を有するヒドロキシアミン、例えば、エタノールアミンなどを利用することもできる。
また、利用可能なスルファニル基(−SH)を有する化合物の代表として、アルカンチオールを挙げることができる。なお、かかるアルカンチオールも、金属元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、好ましくは100℃以上、より好ましくは、150℃以上の範囲となるものが好ましい。一方、導電性ナノ粒子ペーストの加熱処理を行う際には、金属ナノ粒子表面から離脱した後、最終的には、分散溶媒とともに、蒸散することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、アルカンチオールとして、そのアルキル基は、C4〜C20が用いられ、さらに好ましくはC8〜C18の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にスルファニル基(−SH)を有するものが用いられる。例えば、前記C8〜C18の範囲のアルカンチオールは、熱的な安定性もあり、また、室温付近の蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。一般に、第一級チオール型のものがより高い結合能を示し好ましいが、第二級チオール型、ならびに、第三級チオール型の化合物も利用可能である。また、1,2−ジチオール型などの、二以上のスルファニル基(−SH)が結合に関与するものも、利用可能である。また、分散溶媒に溶解可能な程度の比較的分子量が小さいなポリチオエーテル型化合物を利用することもできる。
また、利用可能なヒドロキシ基を有する化合物の代表として、アルカンジオールを挙げることができる。一例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類などを挙げることができる。また、分散溶媒に溶解可能な程度の比較的分子量が小さいなポリエーテル型化合物を利用することもできる。なお、かかるアルカンジオールも、金属元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、通常、100℃以上の範囲、より好ましくは、150℃以上の範囲となるものが好ましい。一方、金属ナノ粒子を含む積層塗布層の加熱処理を行う際には、金属ナノ粒子表面から離脱した後、最終的には、分散溶媒とともに、蒸散することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、1,2−ジオール型などの、二以上のヒドロキシ基が結合に関与するものなどが、より好適に利用可能である。
本発明において、利用される金属ナノ粒子分散液に含有される分散溶媒は、少なくとも、分散液の微細な液滴が飛翔する間に、一部蒸散が可能な有機溶剤であり、同時に、室温においては、上述の表面被覆層を設けた金属ナノ粒子を分散させる役割を有するが、加熱した際には、金属ナノ粒子表面の被覆層分子を溶出、離脱することが可能である溶媒としての機能を発揮する。その際、加熱状態における被覆層分子の溶出段階において、蒸散が顕著に進行しない高沸点の液体状有機物を利用する。従って、100℃以上に加熱した際、好ましくは、該分散溶媒100質量部当たり、金属ナノ粒子表面を被覆する前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物を50質量部以上溶解可能な、高溶解性を有する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物からなる混合溶媒を利用する。また、100℃以上に加熱した際、金属ナノ粒子表面を被覆する前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物に対して、任意な組成の相溶物を形成できる有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物からなる混合溶媒、特には、高い相溶性を示すものを利用すると一層好ましい。
具体的には、被覆層分子が、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を利用して、金属ナノ粒子表面上に配位している際、残る炭化水素鎖、骨格部分に対する親和性を利用して、分散溶媒に含まれる有機溶剤は、被覆層分子で覆われた金属ナノ粒子の分散状態の維持、あるいは互いの相溶性を達成させる機能を発揮する。金属ナノ粒子表面への配位的な結合に起因する、被覆層分子の親和力は、物理的吸着よりも強固ではあるものの、加熱に伴って、急速に低下する一方、温度上昇に付随して、有機溶剤の示す溶解特性が増す結果、両者の均衡する温度以上に加熱すると、温度上昇に従って、加速度的に被覆層分子の脱離、溶出が促進される。最終的には、加熱中に存在する分散溶媒の中に、金属ナノ粒子表面の被覆層分子の殆ど全てが溶解され、金属ナノ粒子表面には、実質的に被覆層分子が残留していない状態が達成される。
勿論、この被覆層分子の金属ナノ粒子表面からの溶出過程と再付着過程とは、熱的平衡関係にあるため、加熱時における、該分散溶媒に対する被覆層分子の溶解度は十分に高いことがより望ましい。積層されている金属ナノ粒子相互の隙間に浸潤している分散溶媒へ、被覆層分子の溶出が一旦なされても、かかる狭い隙間を介して、塗布層内部から外縁部へと、被覆層分子が拡散・流出するには、更なる時間を要する。金属ナノ粒子相互の焼結が進行する間における、被覆層分子の再付着を効果的に抑制する上では、上記する高い溶解性を示す有機溶剤の利用が望ましい。
すなわち、分散溶媒として利用される有機溶剤は、金属ナノ粒子表面の被覆層分子に対する親和性を示すものの、室温付近では、かかる有機溶剤中へ金属ナノ粒子表面の被覆層分子は、容易には溶出することはないが、加熱に付随して、溶解度が上昇し、100℃以上に加熱した際には、かかる有機溶剤中へ被覆層分子が溶出可能となるものが利用される。例えば、金属ナノ粒子の表面に被覆層を形成している化合物、例えば、アルキルアミンなどアミン化合物に対しては、そのアルキル基部分と親和性を示す、鎖状の炭化水素基を含有するが、かかるアミン化合物の溶解性が高すぎ、室温付近でも、金属ナノ粒子表面の被覆層が消失するような高い極性を示す溶剤ではなく、非極性溶剤あるいは低極性溶剤を選択することが好ましい。加えて、本発明において、導電性金属ナノ粒子ペーストを実際に利用する際、低温焼成処理を行う温度においても、熱分解などを起こすことがない程度には熱的な安定性を有し、また、沸点は、少なくとも、80℃以上で、好ましくは、150℃以上、300℃を超えない範囲であることが好ましい。また、微細なラインを形成する際、その塗布の工程において、導電性金属ナノ粒子ペーストを所望の液粘度範囲に維持することが必要であり、そのハンドリング性の面を考慮すると、室温付近では容易に蒸散することのない、前記の高沸点を示す、無極性溶媒あるいは低極性溶媒、例えば、炭素数10以上のアルカン類である、テトラデカンなど、炭素数10以上の第一級アルコール類である、1−デカノールなどが好適に用いられる。但し、利用される分散溶媒自体の液粘度は、少なくとも、10 mPa・s(20℃)以下、好ましくは、0.2〜3 mPa・s(20℃)の範囲である溶媒を選択することが望ましい。
一方、本発明においては、かかる金属ナノ粒子分散液は、微細な液滴として噴射して塗布するインクジェット法を適用して、各配線層用の微細なパターン描画に利用される。従って、本発明では、かかる金属ナノ粒子分散液は、採用するインクジェット描画装置に応じて、それぞれ適合する液粘度を有するものに、調製することが必要である。一般的には、微細配線パターンの描画にインクジェット法を利用する際には、該ナノ粒子を含有する分散液は、その液粘度を、2〜30 mPa・s(20℃)の範囲に選択することが望ましい。その際、該ペースト中における分散溶媒の容積比率は、55〜80体積%の範囲に選択されていることがより好ましい。一方、インクジェット法を利用して、微細な液滴を噴射した後、飛翔し、塗布面に着弾する際には、微細な液滴から分散溶媒が一部蒸散する結果、濃縮を受け、その液粘度は、20 Pa・s〜1000 Pa・s(20℃)まで上昇することが望ましい。
本発明において、好適に利用される金属ナノ粒子分散液は、加熱した際、重合を起こし、硬化する熱硬化型のエポキシ樹脂成分など、バインダー樹脂成分や被覆剤分子との反応性を示す酸無水物等を含有していない構成とすることで、低温焼成処理を進める過程においても、内部で、重合物の生成は無く、分散溶媒自体の流動性を顕著に低下させる要因を排除している。
加熱処理に際して、金属ナノ粒子の表面を被覆しているアルキルアミンなどの被覆層分子は上述の分散溶媒中に溶出、離脱され、金属ナノ粒子相互の凝集を抑制していた被覆層が消失し、徐々に金属ナノ粒子の融着、融合による凝集が進行し、最終的にランダムチェーンが形成される。その際、金属ナノ粒子相互の低温焼結が進行するとともに、ナノ粒子間の隙間空間が減少し、全体の体積収縮が起こり、ランダムチェーンが相互に緻密な接触を達成する。そのナノ粒子間の隙間空間が減少する際、この隙間空間を占めている分散溶媒は、流動性を保持するので、ナノ粒子間の隙間が隘路となっても、外部へと押し出され、全体の体積収縮が進行する。この低温焼成過程における、加熱処理温度は、少なくとも、350℃以下、多くの場合、300℃以下、好ましくは、250℃以下の範囲に選択する際、被覆層分子は上述の分散溶媒中に溶出、離脱がなされ、得られる金属ナノ粒子の焼結体は、不均一な金属ナノ粒子の凝集を反映する表面の凹凸の無い、表面が滑らかで鏡面状を示すとともに、より緻密で、極めて低抵抗、例えば、体積固有抵抗率は10×10-6Ω・cm以下の導電体層となる。一方、全体の体積収縮に伴い、外部への押し出される分散溶媒と、それに溶解する被覆層分子は、加熱を継続する間に、徐々に蒸散して、最終的に得られる金属ナノ粒子の焼結体は、残余する有機物量は、極限られたものとなる。具体的には、ハインダー樹脂成分として、前記の低温焼成工程を終えた後も、得られる金属ナノ粒子の焼結体中に残留し、導電体層の構成要素となる熱硬化性樹脂成分などを含有していないので、導電体層中における金属ナノ粒子の焼結体自体の体積占有率が高いものとなる。その結果、金属ナノ粒子の焼結体自体の低い体積抵抗率に加えて、かかる導電体層全体の熱伝導率も、その金属体の体積占有率の高さによって、格段に優れたものとなる。その双方の利点から、流れる電流密度が高い場合における、微細な配線パターンを形成する上で、本発明においては、かかる金属ナノ粒子分散液を利用する微細な焼結体層の形成はより適するものとなる。
本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板の作製方法においては、各配線層用の微細な配線パターンの形成工程では、インクジェット塗布装置、塗布条件に従って、液粘度を適正化した上述の金属ナノ粒子分散液を利用して、目的とする微細なパターンを有する金属ナノ粒子分散液塗布層を直接、絶縁基板上に描画する。
なお、描画にインクジェット法を利用するので、描画される微細パターンの最小線幅に対して、描画される分散液塗布層の平均厚さは、少なくとも、最小線幅の1/2以上、通常は、1/1〜20/1の範囲に選択する必要がある。従って、最終的に得られる緻密な金属焼結体層の平均膜厚は、塗布層中に含有される分散溶媒の蒸散、焼結に伴う凝集・収縮を考慮すると、微細パターンの最小線幅の1/4〜10/1の範囲に選択することがより合理的である。
多くの場合、インクジェット法を利用する描画を終えた直後では、導電性ペースト塗布層中には、余剰の分散溶媒が残留しており、余剰な分散溶媒の量が多いと、分散溶媒の蒸散に伴い、次第に、分散液塗布層の平均厚さが減少するため、その上部に積層される塗布膜と、層分離を引き起こす場合もある。その点を考慮すると、各塗布工程において、インクジェット法を利用する描画を終えた後、ペースト塗布層中に含有される余剰の分散溶媒を予め蒸散させる、予備乾燥過程を設け、分散溶媒の蒸散に伴い、次第に、分散液塗布層の平均厚さが減少する現象を、確実に回避することが好ましい。この予備乾燥過程は、導電性ペースト塗布層だけでなく、絶縁性ペースト塗布層に対しても、その中に含有される余剰の溶媒を予め蒸散させる目的で、設けることが好ましい。
一方、導電性ペースト塗布層から作製される微細な焼結体層は、配線回路基板において、種々の電子部品を実装する際の、配線層用の導電部材として利用するため、金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタンまたはアルミニウムのいずれかを選択することが好ましい。あるいは、前記金属の群のうちから選択される二種以上の金属からなる合金を選択することもできる。従って、本発明にかかる導電性金属ナノ粒子ペーストで利用する金属ナノ粒子は、金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタンまたはアルミニウムの金属からなるナノ粒子、または、これら金属の群のうちから選択される二種以上の金属からなる合金からなるナノ粒子を、その利用用途に応じて、選択することが望ましい。
前記の金属ナノ粒子では、低温焼成過程における、加熱処理温度は、300℃以下、好ましくは、250℃以下の範囲に選択する際も、良好な焼結体を形成することができる。さらには、室温付近でも、これら金属ナノ粒子は、その金属表面を直接接触させると、互いに、融着して、凝集してしまい易い。そのため、例えば、市販されている金属ナノ粒子分散液を原料として、分散溶媒を所望の有機溶剤への変換し、また、適正な分散溶媒の含有比率、液粘度の調整を図って、本発明においては、かかる導電性金属ナノ粒子ペーストを調製する際、例えば、下記する手順を利用することが望ましい。
原料に利用する、金属ナノ粒子分散液としては、金属ナノ粒子の表面をアルキルアミンなどの表面被覆分子で被覆保護し、かかるアルキルアミンなどの表面被覆分子の溶解性は乏しく、留去が可能な無極性溶媒、あるいは、低極性溶媒中、好ましくは、沸点が少なくとも150℃以下の無極性溶媒、あるいは、低極性溶媒中に、表面被覆分子で被覆された金属ナノ粒子は均一に分散されているものを利用する。先ず、アルキルアミンなどの表面被覆分子の離脱を抑制しつつ、該金属ナノ粒子分散液に含有される分散溶媒の除去を行う。該分散溶媒の除去は、減圧留去の手法が適当であるが、この減圧留去の間に、金属ナノ粒子表面の表面被覆分子の脱離を抑制するため、必要に応じて、該被覆層分子に対して、親和性が優り、かつ、減圧留去される分散溶媒よりも、沸点が有意に高い保護用の溶媒成分を添加、混合した上で、減圧留去を行うことができる。例えば、減圧留去される分散溶媒がトルエンであり、金属ナノ粒子の被覆層分子として、アルキルアミンである、ドデシルアミンを利用している場合、前記アルキルアミンに代えて、金属ナノ粒子の被覆層分子に利用可能であり、より沸点の高い別種のアミン類を添加することもできる。この別種のアミン類は、分散溶媒の減圧留去に際し、当初に存在する金属ナノ粒子の被覆層分子の一部を置換する目的で利用することもできる。この別種のアミン類などの、置換される被覆層分子成分には、各種溶媒成分との親和性を有し、同時に、アミノ基などの配位結合可能な基を具える、沸点の高い液状有機化合物が利用可能である。例えば、2−エチルヘキシルアミンや、ジェファーミンEDR148(2,2−(エチレンジオキシ)ビスエチルアミン)などが利用可能である。
本発明において、配線層作製用の導電性ペーストに利用される、金属ナノ粒子分散液を調製する過程において、分散溶媒を上述する高沸点を示す、無極性溶媒あるいは低極性溶媒へと変換、再分散を行う際、表面に被覆層を有する金属ナノ粒子以外に、被覆層が欠落して、凝集を生じた金属ナノ粒子塊が混入する場合もあり、均一な分散化を図った再分散液を、サブ・ミクロン穴径のフィルター、例えば、0.2μmメンブランフィルターで濾過して、凝集を生じた金属ナノ粒子塊を除く処理を施すことが望ましい。この濾過処理を施すことで、目的とする高沸点の分散溶媒中に、表面に被覆層を有する金属ナノ粒子が均一に分散した、高い流動性の分散液により高い確実性で調製される。
一方、本発明において、層間分離絶縁膜は、特定の部分領域のみに形成するため、インクジェット法で絶縁性ペースト塗布層を設けることで作製される。その際、かかる絶縁性ペースト塗布層は、予備乾燥過程を施した後の層厚は、1μm〜10μmの範囲に選択することが好ましい。また、最終的に加熱処理を施した後、得られる層間分離絶縁膜の層厚は、0.5μm〜5μmの範囲に選択することが好ましい。かかる層厚においても、十分な絶縁分離特性を発揮できる、高い絶縁特性を有する絶縁性樹脂を利用し、例えば、絶縁性フィルムに利用されるポリイミド樹脂などが好適である。その際、加熱下、脱水閉環反応により、対応するポリイミド・ポリマーへと変換可能な、中間原料ポリアミック酸を、有機溶媒中に高濃度に溶解して、ペースト状としたものを、絶縁性ペーストとして利用することが望ましい。
少なくとも、層間分離絶縁膜に利用する絶縁性樹脂は、フィルム状とした際、絶縁破壊電界強度は、100kV/mm以上のものが好ましく、また、誘電率εは、少なくとも、1.5〜5.0の範囲、好ましくは、4以下、1.5〜3.0程度の範囲であることが好ましい。
最終的に、導電性ペースト塗布層と絶縁性ペースト塗布層との形成を終えた後、用いている絶縁基板の材質をも考慮して、少なくとも、350℃以下の範囲に選択される低温加熱条件で、加熱処理を施すことで、例えば、導電性ペースト塗布層中に含まれる、金属ナノ粒子相互の焼結がなされ、緻密な焼結体層となる。その際、上下の配線層間で導通をとる部位では、積層されている導電性ペースト塗布層の界面では、両層の金属ナノ粒子相互間でも、焼結がなされ、縦方向にも緻密な焼結体構造を有する層となり、極めて良好な導通特性が得られる。従って、この上下の配線層間で導通をとる部位の接触面積(交差部の面積)は、小さくとも、極めて良好な導通特性が得られる。
なお、本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板では、最下層の配線層から最上層の配線層までは、全て、絶縁基板上に直接形成されている形態となり、そのまま、実装に供することもできるが、電子部品の実装工程において、電子部品との電気的接続に供される接続端子部、ならびに、該回路基板上の複数の回路配線と外部との電気的接続に供される末端端子部を除き、作製された多層の配線層の上面全体を被覆する、表面保護用の絶縁性樹脂層を被覆形成することが好ましい。すなわち、電子部品の実装を行う際、必要としない部分にハンダ材等が付着し、短絡現象を生じたり、また、微細な配線層を傷つけたりすることを回避するため、表面保護用の絶縁性樹脂層を被覆形成することが好ましい。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。これら実施例は本発明にかかる最良の実施態様の一例ではあるものの、本発明は、かかる形態に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例1においては、絶縁基板として、ガラス基板を利用し、その上に、第一層目の配線層と第二層目の配線層とを、銀ナノ粒子を導電性媒体として含むペースト状の分散液を用いて、銀ナノ粒子の焼結体層として形成する際、その配線パターンの重なる部位のうち、層間分離を行う層間分離部位においては、前記第一の層間分離絶縁層として、ポリイミド樹脂層を介して積層され、一方、層間導通部位においては、両層の配線層が直接積層され、両層間の電気的な接続が達成される形状を有する多層配線とした例を示す。
実施例1において、各層の導電体層の作製に利用される導電性金属ペーストとして、インクジェット印刷に適する液粘度を示す、銀ナノ粒子を導電性媒体として含むペースト状の分散液を下記の手順で調製した。
銀ナノ粒子原料として、市販されている銀の超微粒子分散液(商品名:独立分散超微粒子Ag1T 真空冶金製)、具体的には、銀超微粒子35質量部、アルキルアミンとして、ドデシルアミン(分子量185.36、融点28.3℃、沸点248℃、比重d4 40=0.7841)7質量部、有機溶剤として、トルエン(沸点110.6℃、比重d4 20=0.867)58質量部を含む、平均粒子径3nmの銀超微粒子の分散液を利用した。なお、該銀超微粒子分散液の液粘度は、1 mPa・s(20℃)である。
先ず、1Lのナス型フラスコ中にて、銀超微粒子分散液Ag1T、500g(Ag35wt%含有)に、ドデシルアミン5.8gを添加・混合し、80℃で1時間加熱攪拌した。攪拌終了後、減圧濃縮により、Ag1T中に含まれる分散溶媒トルエンを脱溶剤した。
前記の脱溶剤後の混合物に対して、含有される銀超微粒子175質量部当たり、それぞれ、表1に記載する量比率でN14(テトラデカン、粘度 2.0〜2.3 mPa・s(20℃)、融点5.86℃、沸点253.57℃、比重d4 20=0.7924、日鉱石油化学製)を添加し、室温(25℃)で攪拌して、均一な分散液とした。攪拌終了後、0.2mメンブランフィルターで分散液の濾過を行った。得られる実施例1の分散液は、液粘度(B型回転粘度計、測定温度20℃) 8mPa・sの、均一な濃紺色の高流動性ペースト状の銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)であった。なお、バルクの銀単体は、密度10.49g・cm-3(20℃)、抵抗率1.59μΩ・cm(20℃)を示す。
一方、層間分離絶縁層に利用する絶縁体層の作製に使用される絶縁性ペーストとして、ポリイミドペーストを用いた。なお、該ポリイミドペーストは、加熱下、脱水閉環反応により、対応するポリイミド・ポリマーへと変換可能な、中間原料ポリアミック酸を、有機溶媒中に高濃度に溶解して、ペースト状としたものである。具体的には、フレキシブルプリント回路用の絶縁性フィルム基材作製に利用可能なポリアミック酸の溶液として、市販されるポリイミドインク(Q−IP−GWK119、(株)ピーアイ技術研究所 製)を希釈溶媒で希釈し、液粘度 15 mPa・sに調製されている。
先ず、ガラス基板上に、インクジェット装置(日立PS製)を用いて、銀ナノ粒子ペーストを塗布し、第一層配線層用の、最小線幅50μmの微細な配線パターンを描画した。この描画直後の銀ナノ粒子ペースト塗布層の層厚は、10μmであり、次いで、150℃、10分間、加熱乾燥処理を施し、該塗布層中に含まれる分散溶媒 N14 を部分的に除去し、層厚 7μmの第一層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層とした。
第一層配線層の配線パターンと第二層配線層の配線パターンとが、重なる部位のうち、両配線層が層間分離絶縁層を介して積層される、層間分離部位について、両配線パターンの各重なり部分の矩形状に対して、この重なり部分の矩形状と相似的な形状を持ち、それを完全に被覆することが可能なパターン形状に、同じく、インクジェット装置(日立PS製)を用いて、ポリイミドペーストを塗布し、絶縁性ペースト塗布層を描画した。絶縁性ペーストの塗布工程の塗布パターン位置合わせは、先に形成されている第一層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層を基準にして行われる。
この絶縁性ペースト塗布層の塗布パターン形状は、前記層間分離部位の位置を含む部分領域のみを覆っており、それ以外の領域では、前記第一層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層の表面が露呈した状態とされる。描画直後の絶縁性ペースト塗布層の層厚は、10μmであり、次いで、150℃、10分間、加熱乾燥処理を施し、該塗布層中に含まれる溶媒を部分的に除去し、層厚5μmの層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層とした。
さらに、インクジェット装置(日立PS製)を用いて、銀ナノ粒子ペーストを塗布し、第二層配線層用の、最小線幅50μmの微細な配線パターンを描画した。この銀ナノ粒子ペーストの塗布工程の塗布パターン位置合わせも、先に形成されている第一層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層を基準にして行われる。
描画直後の銀ナノ粒子ペースト塗布層の層厚は、10μmであり、次いで、150℃、10分間、加熱乾燥処理を施し、該塗布層中に含まれる分散溶媒 N14 を部分的に除去し、層厚 7μmの第二層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層とした。第一層配線層の配線パターンと第二層配線層の配線パターンとが、重なる部位のうち、層間分離部位については、既に形成されている層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層の表面に、第二層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層は形成される。その際、下層の第一層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層、層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層の各層による段差は、それぞれ、7μm、5μmとなっており、上記の塗布層厚とすることで、各段差側端面に対する第二層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層のステップ・カバレージは良好なものとなっていた。
一方、層間導通部位においては、下層の第一層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層の表面に直接接触して、第二層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層が形成される。かかる層間導通部位では、銀ナノ粒子ペーストを積層塗布した際、下層の銀ナノ粒子ペースト塗布層に、銀ナノ粒子ペースト中に含まれる分散溶媒が一部浸潤するが、それに起因する塗布膜線幅の崩れ・滲みは生じていなかった。また、配線パターンが重なっていない部分は、ガラス基板表面に、第二層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層が直接描画された状態となっている。
描画を終えた、第一層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層、層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層、第二層配線層用銀ナノ粒子ペースト塗布層に、250℃、30分間、加熱処理を施し、銀ナノ粒子ペースト塗布層中の銀ナノ粒子相互の焼成処理を行って、銀ナノ粒子の焼結体層とし、同時に、ポリイミドペースト塗布層中のポリアミック酸は、脱水閉環反応により、対応するポリイミド・ポリマーへと変換され、高絶縁性のポリイミド・フィルム層とした。得られた第一層配線層の銀ナノ粒子焼結体層の層厚は、5μm、第二層配線層の銀ナノ粒子焼結体層の層厚は、5μm、また、両層間に配置される層間分離絶縁層のポリイミド・フィルム層の層厚は、3μmであった。
なお、同じ条件で、別途作製した銀ナノ粒子焼結体層について、その体積固有抵抗率を評価したところ、3.3 μΩ・cm であり、また、ポリイミド・フィルム層の膜厚方向の体積固有抵抗率は、1018 Ω・cmと見積もられた。その際、ポリイミド・フィルム層の誘電率εは、2.9であり、絶縁破壊電界強度は、150kV/mmであった。
また、両層の配線が直交する配置における、層間導通部位に関して、その接触抵抗を見積もったところ、層間導通部の接触面積が50μm×50μmである際、接触抵抗見積値は、3.8μΩ程度であった。直接両層間の接触を図る形態としているため、極めて良好な層間導通特性が達成されている。また、絶縁破壊電界強度から推定される、前記3μm厚さのポリイミド・フィルム層で層間分離された、上下層間に印加可能な、最大電位差は、400Vとなり、通常の使用において、問題の無い範囲であることも確認される。
本発明にかかる多層の配線層を有する回路基板の作製方法は、各配線層のは、低インピーダンスでかつ微細な配線パターンを有する多層配線の形成を、高い形状制御性、再現性、且つ簡便に行う際に、好適に利用可能である。

Claims (10)

  1. 絶縁基板上に、複数の回路配線が、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する形態で、
    積層形成されている、多層の配線層を有する回路基板を作製する方法であって、
    前記多層の配線層に含まれる、少なくとも、最下層の第一層目の配線層と、その上層の第二層目の配線層とは、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する部位を複数有する形態をとり、
    該配線パターン相互間に部分的に重なりを有する複数の部位は、
    該積層部位において、両層の配線層間の絶縁分離を行う第一の層間分離絶縁層を介して積層される層間分離部位と、該積層部位において、両層の配線層が直接積層され、両層間の電気的な接続が達成される層間導通部位とを有する際、
    該多層の配線層を有する回路基板を作製する方法は、少なくとも、前記最下層の第一層目の配線層と、その上層の第二層目の配線層とを、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する形態で、積層形成する工程を有し、
    前記第一層目の配線層と第二層目の配線層とを積層形成する工程においては、
    (1)前記絶縁基板上に、導電性ペーストを、前記第一層目の配線層の配線パターン形状に、インクジェット方式により塗布して、第一層配線用導電性ペースト塗布層を描画する工程、
    (2)前記両層の配線層間における積層部位のうち、
    層間分離部位の位置については、前記第一層配線用導電性ペースト塗布層の該層間分離部位上面を被覆する形状に、絶縁性ペーストをインクジェット方式により塗布され、かつ、
    層間導通部位の位置については、前記第一層配線用導電性ペースト塗布層の該層間導通部位上面は、前記絶縁性ペーストの塗布がなされていない形態として、
    前記絶縁基板の全表面のうち、前記層間分離部位の位置を含む部分領域のみに、第一の層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層を描画する工程、
    (3)前記絶縁基板上に、導電性ペーストを、前記第二層目の配線層の配線パターン形状に、インクジェット方式により塗布して、
    前記両層の配線層間における積層部位のうち、
    層間分離部位の位置については、前記第一の層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層上に、導電性ペーストが塗布され、かつ
    層間導通部位の位置については、前記第一層配線用導電性ペースト塗布層の上面を被覆する形状に、導電性ペーストが塗布されている形態として、
    第二層配線用導電性ペースト塗布層を描画する工程、
    (4)前記第一層配線用導電性ペースト塗布層、第一の層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層、第二層配線用導電性ペースト塗布層について、一連の描画工程を終えた後、一括して、加熱処理を施し、第一層配線用導電性ペースト塗布層から第一層目の導電体層、第二層配線用導電性ペースト塗布層から第二層目の導電体層を、第一の層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層から第一の層間分離絶縁体層を形成する加熱処理工程、
    前記(1)〜(4)の各工程を設け、
    前記絶縁基板上に形成される、前記第一層目の配線層と第二層目の配線層とを、
    該層間分離部位においては、前記第一の層間分離絶縁層を介して積層され、かつ、該層間導通部位においては、両層の配線層が直接積層され、両層間の電気的な接続が達成される形態で積層形成され、
    前記第一の層間分離絶縁層は、ポリイミド樹脂により形成される絶縁性樹脂層であり、
    前記絶縁体層形成用の絶縁性ペーストは、
    前記ポリイミド樹脂により形成される絶縁性樹脂層形成用のポリイミドペーストであり、かつ、
    前記導電体層形成用の導電性ペーストは、
    少なくとも、バインダー樹脂成分を含有してなく、
    平均粒子径が1〜100nmの金属ナノ粒子を導電性成分とし、
    該金属ナノ粒子の表面を、末端アミノ基を1以上有するアミン化合物で均一に被覆されている状態で、
    前記金属ナノ粒子を、沸点が150℃以上、300℃を超えない範囲の有機溶剤から選択される分散溶媒中に分散してなる導電性金属ペーストであり、
    前記(4)の加熱処理工程における加熱温度は、350℃以下の範囲に選択され、
    該加熱処理によって形成される、前記第一層目の配線層と第二層目の配線層は、前記導電性金属ペーストを構成する導電性成分である金属ナノ粒子相互が焼結してなる焼結体型の導電体層である
    ことを特徴とする多層の配線層を有する回路基板の作製方法。
  2. 前記導電体層形成用の導電性ペーストは、
    少なくとも、バインダー樹脂成分を含有してなく、
    沸点が150℃以上、300℃を超えない範囲の、無極性溶媒あるいは低極性溶媒から選択される有機溶剤を分散溶媒とし、
    平均粒子径が1〜20nmの前記金属ナノ粒子を導電性成分とし、
    該金属ナノ粒子の表面を、アルキル鎖の末端にアミノ基を有するアルキルアミンで均一に被覆されている状態で、
    前記金属ナノ粒子を、前記分散溶媒中に分散してなる導電性金属ペーストである
    ことを特徴とする請求項1に記載の回路基板の作製方法。
  3. 前記導電性金属ペーストを構成する導電性成分である金属ナノ粒子は、
    金、銀、銅、白金、パラジウム、スズ、ニッケル、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、鉄、タングステンからなる金属種の群から選択される、一種の金属からなるナノ粒子、または、二種以上の金属種からなる合金のナノ粒子である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の回路基板の作製方法。
  4. 前記(4)の加熱処理工程における加熱温度は、150℃〜350℃の範囲に選択され、
    該加熱処理によって、導電性ペースト塗布層から形成される導電体層は、前記導電性金属ペーストを構成する導電性成分である金属ナノ粒子相互が焼結してなる焼結体型の導電体層である
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の回路基板の作製方法。
  5. 絶縁基板上に、複数の回路配線が、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する形態で、
    積層形成されている、多層の配線層を形成した後、
    該多層の配線層を有する回路基板において、その後の電子部品の実装工程において、該電子部品との電気的接続に供される接続端子部、ならびに、該回路基板上の複数の回路配線と外部との電気的接続に供される末端端子部を除き、
    作製された多層の配線層の上面全体を被覆する、表面保護用の絶縁性樹脂層を被覆形成する工程を更に設ける
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の回路基板の作製方法。
  6. 絶縁基板上に、複数の回路配線が、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する形態で、
    積層形成されている、多層の配線層を有する回路基板であって、
    前記多層の配線層に含まれる、少なくとも、最下層の第一層目の配線層と、その上層の第二層目の配線層とは、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する部位を複数有する形態をとり、
    該配線パターン相互間に部分的に重なりを有する複数の部位は、
    該積層部位において、両層の配線層間の絶縁分離を行う第一の層間分離絶縁層を介して積層される層間分離部位と、該積層部位において、両層の配線層が直接積層され、両層間の電気的な接続が達成される層間導通部位とを有しており、
    少なくとも、前記第一層目の配線層と第二層目の配線層との積層構造は、
    (1)該第一層目の配線層は、
    導電性ペーストを、前記第一層目の配線層の配線パターン形状に、インクジェット方式により塗布して、描画された第一層配線用の導電性ペースト塗布層に対して、加熱処理を施すことで形成される導電体層により形成されており、
    (2)前記第一の層間分離絶縁層は、
    前記両層の配線層間における積層部位のうち、
    層間分離部位の位置については、前記第一層配線用導電性ペースト塗布層の該層間分離部位上面を被覆する形状に、絶縁性ペーストをインクジェット方式により塗布され、かつ、
    層間導通部位の位置については、前記第一層配線用導電性ペースト塗布層の該層間導通部位上面は、前記絶縁性ペーストの塗布がなされていない形態として、
    前記絶縁基板の全表面のうち、前記層間分離部位の位置を含む部分領域のみに、描画された第一の層間分離絶縁層用の絶縁性ペースト塗布層に対して、加熱処理を施すことで形成される絶縁体層により形成されており、
    (3)該第二層目の配線層は、
    前記絶縁基板上に、導電性ペーストを、前記第二層目の配線層の配線パターン形状に、インクジェット方式により塗布して、
    前記両層の配線層間における積層部位のうち、
    層間分離部位の位置については、前記第一の層間分離絶縁層用絶縁性ペースト塗布層上に、導電性ペーストが塗布され、かつ
    層間導通部位の位置については、前記第一層配線用導電性ペースト塗布層の上面を被覆する形状に、導電性ペーストが塗布されている形態として、
    描画された第二層配線用導電性ペースト塗布層に対して、加熱処理を施すことで形成される導電体層により形成されており、
    前記絶縁基板上に形成される、前記第一層目の配線層と第二層目の配線層とを、
    該層間分離部位においては、前記第一の層間分離絶縁層を介して積層され、かつ、該層間導通部位においてが、両層の配線層が直接積層され、両層間の電気的な接続が達成される形状を有し、
    少なくとも、前記第一層目の配線層と第二層目の配線層との積層構造は、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載される、多層の配線層を有する回路基板の作製方法に従って形成されている
    ことを特徴とする多層の配線層を有する回路基板。
  7. 絶縁基板上に、複数の回路配線が、その配線パターン相互間に部分的に重なりを有する形態で、積層形成されている、多層の配線層に対して、
    該多層の配線層を有する回路基板において、その後の電子部品の実装工程において、該電子部品との電気的接続に供される接続端子部、ならびに、該回路基板上の複数の回路配線と外部との電気的接続に供される末端端子部を除き、
    前記多層の配線層の上面全体を被覆する、表面保護用の絶縁性樹脂層がさらに設けられている
    ことを特徴とする請求項6に記載の回路基板。
  8. 少なくとも、前記第一層目の配線層と第二層目の配線層との積層構造と、前記多層の配線層の上面全体を被覆する、表面保護用の絶縁性樹脂層とは、
    請求項5に記載される、多層の配線層を有する回路基板の作製方法に従って形成されている
    ことを特徴とする請求項7に記載の回路基板。
  9. 前記第一の層間分離絶縁層は、ポリイミド樹脂により形成される絶縁性樹脂層であり、
    該ポリイミド樹脂により形成される絶縁性樹脂層の絶縁破壊電界強度は、少なくとも、100kV/mmである
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路基板の作製方法。
  10. 前記第一の層間分離絶縁層は、ポリイミド樹脂により形成される絶縁性樹脂層であり、
    前記ポリイミド樹脂により形成される絶縁性樹脂層形成用のポリイミドペーストは、加熱下、脱水閉環反応により、対応するポリイミド・ポリマーへと変換可能な、中間原料ポリアミック酸を、有機溶媒中に溶解して、ペースト状としたものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の回路基板の作製方法。
JP2003326572A 2003-09-18 2003-09-18 多層配線パターンの形成方法 Expired - Fee Related JP4115909B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003326572A JP4115909B2 (ja) 2003-09-18 2003-09-18 多層配線パターンの形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003326572A JP4115909B2 (ja) 2003-09-18 2003-09-18 多層配線パターンの形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005093814A JP2005093814A (ja) 2005-04-07
JP4115909B2 true JP4115909B2 (ja) 2008-07-09

Family

ID=34456722

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003326572A Expired - Fee Related JP4115909B2 (ja) 2003-09-18 2003-09-18 多層配線パターンの形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4115909B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006120997A1 (ja) * 2005-05-11 2006-11-16 Namiki Seimitsu Houseki Kabushikikaisha 円筒状コイル及びそれを用いた円筒型マイクロモータ
JP4334003B2 (ja) * 2005-06-22 2009-09-16 キヤノン株式会社 回路パターン形成方法および回路基板
JP2007088004A (ja) * 2005-09-20 2007-04-05 Seiko Epson Corp 多層回路基板の製造方法、多層回路基板、及び電気光学装置、並びに電子機器
JP4728755B2 (ja) * 2005-09-22 2011-07-20 ハリマ化成株式会社 導電性接合の形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005093814A (ja) 2005-04-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4284550B2 (ja) 微細な液滴の形状で噴射し、積層塗布可能な金属ナノ粒子分散液
JP4414145B2 (ja) 導電性ナノ粒子ペースト
KR100841665B1 (ko) 동 미립자 소결체형의 미세 형상 도전체의 형성 방법, 그방법을 응용한 동미세 배선 및 동박막의 형성 방법
KR101867978B1 (ko) 금속 나노 입자 페이스트, 금속 나노 입자 페이스트를 이용한 전자 부품 접합체, led 모듈, 및 프린트 배선판의 회로 형성 방법
KR101160701B1 (ko) 기판 및 그 제조방법
JP3900248B2 (ja) 多層配線板およびその形成方法
JP4496216B2 (ja) 導電性金属ペースト
JP3774638B2 (ja) インクジェット印刷法を利用する回路パターンの形成方法
JPWO2002035554A1 (ja) 導電性金属ペースト及びその製造方法
JP4389431B2 (ja) グラビア印刷用導電性ペーストおよびその製造方法、ならびに積層セラミック電子部品
WO2018043681A1 (ja) 銀被覆合金粉末、導電性ペースト、電子部品及び電気装置
WO2005037465A1 (ja) 乾燥粉末状の金属微粒子ならびに金属酸化物微粒子とその用途
CN112272851B (zh) 导电性糊料和烧结体
JP4115909B2 (ja) 多層配線パターンの形成方法
TW201719677A (zh) 導電性糊劑
JP4792203B2 (ja) 導電性ito膜上への金属薄膜層の形成方法、および該方法による導電性ito膜上の金属薄膜層
WO2016052373A1 (ja) 銅粉
CN113226596B (zh) 银浆
TWI751730B (zh) 導電性膏、積層體及Cu基板或Cu電極與導電體的接合方法
KR100784762B1 (ko) 도전성 금속 페이스트
JPH033321B2 (ja)
JP4517290B2 (ja) 金属粒子複合構造体とその製造方法およびそれを用いた異方導電膜

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050819

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070829

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070925

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080125

RD13 Notification of appointment of power of sub attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7433

Effective date: 20080125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080125

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20080228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080416

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110425

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4115909

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110425

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120425

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130425

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130425

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140425

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees