JP4517290B2 - 金属粒子複合構造体とその製造方法およびそれを用いた異方導電膜 - Google Patents

金属粒子複合構造体とその製造方法およびそれを用いた異方導電膜 Download PDF

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Description

本発明は、例えば異方導電膜等として使用可能な金属粒子複合構造体と、その効率的な製造方法と、かかる金属粒子複合構造体を用いた異方導電膜とに関するものである。
例えば、フレキシブルプリント配線板(FPC)等の導体回路に設けた、実装用の電極上に、半導体パッケージを、いわゆるフリップチップボンディングなどによって実装したり、あるいは、2つ以上のFPCの導体回路同士を、接続部分に設けた電極を介して接続したりするエレクトロニクス実装の分野においては、高密度実装化が進んでおり、隣接する電極間のピッチがますます狭くなる傾向にある。
エレクトロニクス実装における実装方法の1つに、熱接着性を有するフィルム状の異方導電膜を用いる方法がある(例えば、特許文献1、2参照)。異方導電膜は、通常は、粉末状の導電成分を、個々の導電成分間を絶縁する絶縁性と、導電成分を保持して膜を形成する機能(成膜性)と、さらに必要に応じて、熱接着するための接着剤としての機能(接着性)とを兼ね備えた、熱可塑性樹脂や硬化性樹脂等のバインダからなる膜中(接着性は、上記膜に積層してもよい接着層によって機能分離することができる)に分散させた構造を有する。
上記の構造を有する異方導電膜は、導電成分と固形のバインダとを、当該バインダを溶解する溶媒とともに所定の割合で配合して塗布液を形成し、この塗布液を、下地上に塗布して塗膜を形成すると共に、乾燥させて溶媒を除去することで固化させたのち、下地からはく離することで製造される。また、異方導電膜は、例えば、バインダとして液状の硬化性樹脂等を用いることで溶媒を省略した塗布液を、下地上に塗布した後、硬化性樹脂を半硬化させて固形化することでも製造できる。
また、異方導電膜においては、熱接着した際に隣り合う電極間が短絡するのを防止するため、膜の面方向の導電抵抗(「絶縁抵抗」という)が高くなるように、導電成分の分布密度を調整しておく。そして、導電接続したいFPCと半導体パッケージの間や、あるいはFPC同士の間に異方導電膜を挟んだ状態で熱接着を行うと、異方導電膜が、熱接着時の加熱、加圧によって厚み方向に圧縮されることで、当該厚み方向の導電成分の分布密度が上昇して、導電成分同士が互いに近接もしくは接触して導電ネットワークを形成する結果、厚み方向の導電抵抗(「接続抵抗」という)が低くなる。
しかし、この際、異方導電膜の、面方向における導電成分の分布密度は増加しない。つまり、面方向は、絶縁抵抗が高く導電率が低い初期の状態を維持する。そのため、異方導電膜の、面方向の絶縁抵抗によって、隣り合う電極間の絶縁を維持して短絡を防止しながら、厚み方向の接続抵抗によって、多数の電極−バンプ間、電極−電極間を一度に、そして、それぞれ独立して導電接続することができる。それとともに、FPCと半導体パッケージの間、あるいはFPC同士の間を、異方導電膜を介して、熱接着によって固定できるため、実装作業が容易である。
異方導電膜中に含まれる導電成分としては、例えば、その粒径が数μm〜数十μm程度で、かつ形状が、粒状、球状、薄片状(鱗片状、フレーク状)などであるNi粉末や、あるいは表面に金メッキを施した樹脂粉末などの、種々の金属粉末が実用化されている。しかし、従来の異方導電膜は、前記のように、導電成分を配合した塗布液を、下地上に塗布して乾燥、固化させるか、または半硬化させたのち、下地からはく離する等して製造されるため、異方導電膜の全面に亘って、均一で、かつ良好な異方導電特性を得るのが難しいという問題がある。
すなわち、上記のように、粒径の小さい金属粉末等の導電成分を、通常は、バインダとして樹脂分を含むため、比較的、粘度の高い塗布液中に均一に分散させるのは容易でなく、導電成分の分散が不十分であると、製造した異方導電膜中に、導電成分の凝集塊を生じて、隣り合う電極間の絶縁を維持することができずに絶縁不良を生じたり、凝集塊以外の部分で導電成分の分布密度が不足して、電極−バンプ間、電極−電極間を確実に導電接続できなくなったりするおそれがある。
そこで、比表面積が大きいため塗布液中に均一に分散させやすい鎖状の金属粉末を、導電成分として用いて、異方導電膜を製造することが提案されている(特許文献3参照)。また、この特許文献3には、異方導電膜の異方導電特性をさらに向上するために、上記鎖状の金属粉末の少なくとも一部を、Ni等の磁性材料によって形成すると共に、下地面と交差する方向に磁場を印加した下地上に散布して、磁場の方向に配向させた状態で、バインダを含む塗布液を塗布し、固化させて、バインダからなる膜を形成することで、多数の金属粉末の、基材上での分布状態を、上記膜中に固定して異方導電膜を製造することも記載されている。
上記の製造方法によれば、異方導電膜中に含まれる多数の、鎖状の金属粉末を、膜の厚み方向に配向させることができる。そのため、異方導電膜の異方導電特性を向上することができる。また、磁場を印加した下地上に散布された多数の金属粉末のうち、下地面と直接に接触する第1層目の、多数の金属粉末は、いずれも、同じ極性に磁化されるため、隣り合うもの同士の間の磁気的な斥力により、互いに、ほぼ等間隔を維持した状態で、下地上に分布する。
そのため、この第1層目の金属粉末の上に、さらに金属粉末を散布することにより、第1層目の金属粉末の上側の端部からさらに上方に、磁場の方向に沿って、直鎖状または分岐鎖状に連なって形成される、複数の金属粉末による導電ネットワークを、下地の面方向に、分布の不均一や凝集塊等を生じることなく、ほぼ均一に分布させることができる。
特開平6−102523号公報(第0009欄、第0010欄、図2) 特開平8−115617号公報(第0003欄〜第0006欄、図1) 特開2003−331951号公報(請求項1、16、第0020欄、第0039欄〜第0040欄)
ところが、発明者が検討したところ、上記特許文献3に記載の方法で異方導電膜を製造するためには、下地面と交差する方向に磁場を印加することで、前記のように、鎖状の金属粉末を、下地面に、均一に分布させるために、磁石が必要である分、製造コストが高くつくという問題があることが明らかとなった。
本発明の目的は、その全面に亘って、均一で、かつ良好な異方導電特性を有する異方導電膜等を、比較的、容易、かつ安価に製造することができる、新規な、金属粒子複合構造体と、その効率的な製造方法とを提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記の金属粒子複合構造体を用いて製造され、その全面に亘って、均一で、かつ良好な異方導電特性を有する異方導電膜を提供することにある。
請求項1記載の発明は、基材と、この基材の表面に、互いに接触しないように離間して分布される、多数の金属粒子とを備え、個々の金属粒子が、一次粒子径200nm以下の金属微粒子を含む分散液を、基材の表面に塗布し、乾燥させて塗膜を形成したのち、前記塗膜を、200℃以上で、かつ金属微粒子を形成する金属の融点未満の温度で熱処理して、塗膜中に分散する多数の金属微粒子を液滴状に凝集させることによって前記基材の表面に生成され、液滴を基材の表面に面接触させた形状を有すると共に、それぞれの金属粒子の、基材の表面方向の粒径が0.1〜20μmであることを特徴とする金属粒子複合構造体である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の金属粒子複合構造体を製造する方法であって、一次粒子径200nm以下の金属微粒子を含む分散液を、基材の表面に塗布し、乾燥させて塗膜を形成する工程と、形成した塗膜を、200℃以上で、かつ金属微粒子を形成する金属の融点未満の温度で熱処理して、塗膜中に分散する多数の金属微粒子を液滴状に凝集させることによって、基材の表面に、互いに接触しないように離間して分布した状態で、多数の金属粒子を生成させることを特徴とする金属粒子複合構造体の製造方法である。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の金属粒子複合構造体の基材上に、絶縁性のバインダを含む塗布液を塗布し、固化させて、バインダからなる膜を形成することで、多数の金属粒子の、基材上での分布状態を、上記膜中に固定したことを特徴とする異方導電膜である。
請求項1記載の発明の金属粒子複合構造体においては、多数の金属粒子が、いずれも、基材の表面方向の粒径が0.1〜20μmという微細な、そして、液滴を基材の表面に面接触させた安定な形状に形成されていると共に、基材の表面に、あらかじめ、互いに接触しないように離間して、ほぼ均等に分布された状態で形成される。そのため、その全面に亘って、均一で、かつ良好な異方導電特性を有する異方導電膜を、磁石等を必要とせずに、容易、かつ安価に製造することが可能となる。
また、請求項2記載の発明によれば、上記金属粒子のもとになる、一次粒子径が200nm以下の微細な金属微粒子を含む分散液を、基材の表面に塗布して塗膜を形成した後、200℃以上で、かつ金属微粒子を形成する金属の融点未満の温度で熱処理して、塗膜中に分散する多数の金属微粒子を液滴状に凝集させるだけで、請求項1記載の発明の金属粒子複合構造体を、効率的に製造することができる。これは、上記温度範囲の熱処理をした際に、塗膜中の多数の金属微粒子が、いわゆる久保効果によって、液体のような挙動をして、複数個ずつ、液滴状に凝集する結果、液滴が基材の表面に付着した形状を有する金属粒子が形成されるという知見に基づくものである。
また、請求項2記載の発明によれば、出発原料としての金属微粒子の粒径、基材の種類や表面状態、熱処理の温度や時間等の条件を調整することで、生成する金属粒子の、基材の表面方向の粒径や、基材表面での、隣り合う金属粒子間の距離等を調整することができる。そのため、製造した金属粒子複合構造体を用いて形成する異方導電膜の異方導電特性等を、容易に調整できるという利点もある。
さらに、請求項3記載の発明の異方導電膜は、請求項1記載の発明の金属粒子複合構造体を用いて形成されるため、その全面に亘って、均一で、かつ良好な異方導電特性を有するものとなる。
〈金属粒子複合構造体とその製造方法〉
図1は、本発明の実施例1で製造した金属粒子複合構造体1の一部を拡大した走査型電子顕微鏡写真、図2は、上記実施例1の金属粒子複合構造体1の一部をさらに拡大した走査型電子顕微鏡写真、図3は、上記実施例1の金属粒子複合構造体1のうち、基材2上に形成された1つの金属粒子3を側面から見た状態を示す走査型電子顕微鏡写真である。
図1および図2を参照して、金属粒子複合構造体1は、基材2と、この基材2の表面に、互いに接触しないように離間して分布された、多数の金属粒子3とを備えている。また、図3を参照して、個々の金属粒子3は、それぞれ、液滴を基材2の表面20に面接触させた形状に形成されている。
上記金属粒子3の、基材2の表面方向の粒径は、0.1〜20μmの範囲に限定される。粒径が0.1μm未満である金属粒子3を、基材2の表面に均一に分布させた状態で形成することは、実質的に困難である。また、形成できたとしても、個々の金属粒子3が、物理的、あるいは化学的に不安定なものとなってしまう。特に、金属粒子3を形成する金属の融点未満の温度で変形したり、基材2上を移動したりしやすくなって、良好な分布状態を維持できないという問題を生じる(これも、先に述べた久保効果による)。
一方、粒径が20μmを超える場合には、本発明の金属粒子複合構造体1を用いて異方導電膜を形成した際に、当該異方導電膜の面方向の絶縁抵抗が低くなって、隣り合う電極間の絶縁を維持することができずに絶縁不良を生じると言う問題がある。これらの問題が発生するのをより確実に防止して、良好な異方導電特性を有する異方導電膜等を形成すること等を考慮すると、金属粒子3の、基材2の表面方向の粒径は、上記の範囲内でも、特に、2〜10μmであるのが好ましい。
なお、本発明では、金属粒子3の、基材2の表面方向の粒径を、下記の方法で求められる粒径の平均値でもって規定することとする。すなわち、基材2上の、任意の複数個所において、当該基材2の、金属粒子3が分布された表面の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、撮影した写真の、実際の寸法が100×125μmである矩形状の領域内に写された全ての金属粒子3について、画像解析によって面積を求める。そして、求めた面積と一致する面積を有する仮想円の直径を算出して、個々の金属粒子3の、基材2の表面方向の粒径とし、そのようにして求めた全ての金属粒子3の粒径の平均値を算出して、その金属粒子複合構造体1における、金属粒子3の、基材2の表面方向の粒径とする。
金属粒子3を形成する金属としては、金属粒子複合構造体1の用途に応じて、その用途において、金属粒子3に求められる機能を満足する種々の金属が、いずれも使用可能である。例えば、本発明の金属粒子複合構造体1を用いて異方導電膜を形成する場合には、金属粒子3を、白金、金、銀、銅、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、およびオスミウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属またはその合金などの、導電性に優れた金属によって形成すればよい。
また、基材2は、やはり、金属粒子複合構造体1の用途に応じて、その用途において基材2に求められる機能を満足する種々の材料によって形成することができる。また、次に説明する本発明の製造方法によって金属粒子複合構造体1を製造する場合、基材2には、熱処理による多数の金属微粒子の凝集によって、所定の粒径と分布状態とを有する金属粒子3を形成できることも求められる。また、熱処理の温度に耐える耐熱性を有していることも求められる。基材2は、これらの条件の兼ね合い等を考慮して選択すべきである。
例えば、本発明の金属粒子複合構造体1を用いて異方導電膜を形成する場合、基材2は、最終的に、製品である異方導電膜からはく離されるため、異方導電膜の用途において基材2に求められる機能というものは存在しない。そのため、基材2には、専ら、熱処理による多数の金属微粒子の凝集によって、所定の粒径と分布状態とを有する金属粒子3を形成できる特性を有する上、熱処理の温度に耐える耐熱性を有することが求められる。つまり、熱処理によって変形したりしない上、熱処理時に液体のように挙動する金属微粒子に対する適度な親和性を有すること、具体的には、基材2を形成する材料や、基材2の表面状態等によって規定される、金属微粒子を形成する特定の金属に対する親和性が、高すぎたり低すぎたりしないことが求められる。
基材2の、金属微粒子に対する親和性が高すぎる場合には、熱処理時に、金属微粒子が液滴状に凝集せず、基材2の表面に膜状に広がってしまって、金属粒子3が形成されないおそれがある。また、基材2の、金属微粒子に対する親和性が低すぎる場合には、形成される金属粒子3の、基材2の表面に対して面接触する接触面積が小さくなる。そのため、金属粒子3が、基材2の表面に塗布液を塗布する際に加わる流れの圧力によって下地上を移動しやすくなり、その分布に偏りを生じて、均一な異方導電特性を有する異方導電膜を形成で生きなくなる。前記例示の、導電性に優れた金属類と組み合わせて、均一で、かつ良好な異方導電特性を有する異方導電膜を形成できる基材2としては、例えば、青板ガラスガラス、無アルカリガラス等の各種ガラス類、アルミナ系、シリカ系等の各種セラミック類等が挙げられる。
本発明の金属粒子複合構造体1は、先に説明したように、一次粒子径200nm以下の金属微粒子を含む分散液を、基材の表面に塗布し、乾燥させて塗膜を形成し、次いで、200℃以上で、かつ金属微粒子を形成する金属の融点未満の温度で熱処理して、塗膜中に分散する多数の金属微粒子を液滴状に凝集させることによって、基材の表面に、互いに接触しないように離間して分布した状態で、多数の金属粒子を生成させる、本発明の製造方法によって製造することができる。この製造方法によれば、本発明の金属粒子複合構造体1を、効率的に製造することができる。
金属粒子3のもとになる金属微粒子の一次粒子径が200nm以下に限定されるのは、200nmを超える粒径の大きな金属微粒子は、前記の温度範囲に加熱しても液体のような挙動をせず、液滴状に凝集させることができないためである。なお、金属微粒子の一次粒子径の、下限については、特に限定されないが、実用上は、1nm以上であるのが好ましい。また、多数の金属微粒子を、できるだけ良好に、液滴状に凝集させて、粒径や分布状態の揃った良好な金属粒子3を形成すること等を考慮すると、金属微粒子の一次粒子径は、上記の範囲内でも、特に、1〜50nmであるのが好ましい。金属微粒子の一次粒子径は、本発明では、レーザードップラー法を応用した粒度分布測定装置を用いて測定される粒度分布のピーク値でもって規定することとする。
金属微粒子は、例えば、水中で、金属のイオンを還元して析出させることによって製造するのが好ましい。具体的には、例えば、水に、金属のイオンのもとになる水溶性の金属化合物と、必要に応じて分散剤とを溶解すると共に、還元剤を加えて、好ましくは、かく拌下、一定時間、金属のイオンを還元反応させることによって、金属微粒子が製造される。かかる液相還元法によって製造される金属微粒子は、形状が球状ないし粒状で揃っていると共に、粒度分布がシャープで、しかも、一次粒子径が小さいという特徴を有している。
金属のイオンのもとになる、水溶性の金属化合物としては、これに限定されないが、例えば、白金の場合は、ジニトロジアンミン白金(II)〔Pt(NO2)2(NH3)2〕や、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物〔H2(PtCl6)・6H2O〕等が挙げられ、金の場合は、テトラクロロ金(III)酸四水和物〔HAuCl4・4H2O〕等が挙げられ、銀の場合は、硝酸銀(I)〔AgNO3〕やメタンスルホン酸銀〔CH3SO3Ag〕等が挙げられる。
また、銅の場合は、硝酸銅(II)〔Cu(NO3)2〕や硫酸銅(II)五水和物〔CuSO4・5H2O〕等が挙げられ、パラジウムの場合は、硝酸パラジウム(II)硝酸溶液〔Pd(NO2)2/H2O〕や塩化パラジウム(II)溶液〔PdCl2〕等が挙げられ、ルテニウムの場合は、硝酸ルテニウム(III)溶液〔Ru(NO3)3〕等が挙げられる。さらに、ロジウムの場合は、塩化ロジウム(III)溶液〔RhCl3・3H2O〕等が挙げられ、イリジウムの場合は、ヘキサクロロイリジウム(III)酸六水和物〔2(IrCl6)・6H2O〕等が挙げられ、オスミウムの場合は、ヘキサクロロオスミウム酸(IV)アンモニウム〔(NH4)2OsCl5〕等が挙げられる。
還元剤としては、液相の反応系中で金属のイオンを還元することで、金属微粒子として析出させることができる種々の還元剤が、いずれも使用可能である。かかる還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、遷移金属元素のイオン(三価のチタンイオン、二価のコバルトイオン等)が挙げられる。ただし、析出させる金属微粒子の一次粒子径をできるだけ小さくするためには、金属のイオンの還元、析出速度を遅くするのが有効であり、還元、析出速度を遅くするためには、できるだけ還元力の弱い還元剤を選択して使用することが好ましい。
還元力の弱い還元剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールや、あるいはアスコルビン酸等を挙げることができる他、エチレングリコール、グルタチオン、有機酸類(クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等)、還元性糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラフィノース、スタキオース等)、および糖アルコール類(ソルビトール等)等を挙げることができ、中でも、還元性糖類や、その誘導体としての糖アルコール類が好ましい。
分散剤としては、水に対して良好な溶解性を有する、種々の分散剤が、いずれも使用可能であるが、特に、分子量30000以下程度の高分子分散剤が、好適に使用される。また、分散剤としては、異方導電膜を用いて接続する電極やバンプ、これらの近傍に配置される電子部品等が劣化するのを防止することを考慮すると、硫黄、リン、ホウ素およびハロゲン原子を含まない有機化合物が好ましい。これらの条件を満足する、好適な分散剤としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等のアミン系の高分子分散剤や、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の、分子中にカルボン酸基を有する炭化水素系の高分子分散剤、ポバール(ポリビニルアルコール)、あるいは、1分子中に、ポリエチレンイミン部分とポリエチレンオキサイド部分とを有する共重合体等の、高分子分散剤が挙げられる。
金属微粒子の一次粒子径を、前記の範囲に調整するには、金属化合物、分散剤、還元剤の種類と配合割合とを調整すると共に、金属化合物を還元反応させる際に、かく拌速度、温度、時間、pH等を調整すればよい。
本発明の製造方法では、上記の、還元反応によって金属微粒子を析出させた後の反応溶液を、そのままで、基材2の表面に塗布して塗膜を形成するための分散液として使用することもできる。また、製造した金属微粒子を、適当な溶媒に分散させて新たな分散液を調製して、塗膜の形成に使用することもできる。新たな分散液を調製するための溶媒としては、水、または、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。
水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、2−エトキシエタノール、グリセリン、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等の水溶性の含窒素有機化合物類;および酢酸エチル等が挙げられる。水溶性有機溶媒は、それぞれ1種単独で使用できる他、2種以上を併用することもできる。
本発明では、分散液を用いて塗膜を形成するための塗布方法に最適な物性を有するように、分散媒として、水や水溶性有機溶媒を用い、その配合割合や、水溶性有機溶媒の種類、あるいは、2種以上の水溶性有機溶媒を併用する場合は、その組み合わせ等が適宜、選択される。たとえば、スピンコート法やスプレー法による塗膜の形成においては、分散液が、できるだけ低粘度であることが求められ、逆に、ディップコート法による塗膜の形成においては、分散液が、適度な粘度を有していることが求められる。
そこで、これらの物性を満足するために、水と、水溶性有機溶媒との配合割合や、水溶性有機溶媒の種類、2種以上の水溶性有機溶媒を併用する場合の組み合わせ等が選択される。また、それとともに、金属微粒子の一次粒子径や配合割合、分散剤の分子量や配合割合、分散剤の種類等も、選択される。
分散液は、従来同様に、金属微粒子を、ロ別、洗浄、乾燥、解砕等の各工程を経て粉末状とした後、必要に応じて追加の分散剤と共に、分散媒中に分散させて製造することができる。しかし、分散液は、前記のように水中で、金属のイオンを還元して金属微粒子を析出させた後の、液相の反応系から、析出させた金属微粒子を完全に分離する工程を経ることなしに、製造するのがより好ましい。
具体的には、金属微粒子を析出させた後の、液相の反応系を遠心分離して、金属微粒子より軽い不純物を除去したり、水洗して水溶性の不純物を除去したりし、次いで、例えば、ロータリーエバポレータを用いたり、加熱したり、あるいは、再び遠心分離して上澄み液を除去したりすることで、所定の濃度に濃縮した後、所定量の水および/または水溶性有機溶媒を加えることによって分散液が製造される。この際、反応系中には、金属微粒子の製造に使用した分散剤が含まれているため、通常は必要ないが、場合によっては、前記と同様の分散剤を新たに追加してもよい。
上記の工程を経て製造される分散液は、金属微粒子の凝集による粗大で不定形な粒子の発生を防止して、液相還元法によって形成される金属微粒子の、形状が球状ないし粒状で揃っていると共に、粒度分布がシャープで、しかも、一次粒子径が小さいという特徴をそのまま維持することができる。したがって、上記の分散液を用いて塗膜を形成すれば、その後の熱処理によって、塗膜中の金属微粒子を均一に凝集させることができるため、基材2の表面に、粒径および形状の揃った金属粒子3を、均一に分布させることができる。
本発明の製造方法においては、基材2の表面に形成した塗膜を、前記のように、200℃以上で、かつ金属微粒子を形成する金属の融点未満の温度で熱処理することによって、塗膜中に分散する多数の金属微粒子を液滴状に凝集させて、基材の表面に、多数の金属粒子を生成させる。熱処理の温度が200℃以上に限定されるのは、200℃未満では、多数の金属微粒子を、基材の表面でスムースに移動させて、液滴状に凝集させることができず、基材の表面に、多数の金属微粒子がその場で軟化して一体化したような、不連続な膜が形成されてしまうためである。
また、熱処理の温度が、金属微粒子を形成する金属の融点未満に限定されるのは、融点以上の温度で熱処理した場合には、却って、多数の金属微粒子をスムースに凝集させることができず、基材2の表面に、きれいな液滴状を呈する金属粒子3を、均一に分布させることができないためである。なお、熱処理の温度を、上記の範囲内でも高くするほど、また、熱処理の時間を長くするほど、より多数の金属微粒子が、1つの金属粒子に凝集され、それに伴って、個々の金属粒子3の、基材2の表面方向の粒径が大きくなると共に、単位面積あたりに形成される金属粒子3の数が少なくなる傾向がある。そのため、製造する金属粒子複合構造体1に求められる金属粒子3の粒径や分布状態等に応じて、熱処理の温度を上記の範囲内で、また時間等を任意の範囲内で、適宜、調整するのが好ましい。
また、基材2の表面に形成する塗膜の厚み(すなわち金属微粒子の量)等を調整することによっても、金属粒子3の粒径や分布状態を調整することができる。また、塗膜の厚みを調整するためには、分散液中の金属微粒子の濃度を調整したり、分散剤の量や種類を変更して、分散液の粘度を調整したり、分散液の、基材表面への塗布方法を変更したりすればよい。
上記の製造方法によって製造される、本発明の金属粒子複合構造体1は、基材2の表面に、形状および粒径の揃った微細な金属粒子3が、互いに接触しないように離間して分布されるという、これまでにない特殊な構造を有することから、例えば、メンブランスイッチパネル用の面状接点基材等の、様々な用途展開が期待できる。その中でも、特に、次に述べる異方導電膜の出発原料として、金属粒子複合構造体1は、好適に使用可能である。
〈異方導電膜〉
本発明の異方導電膜は、上記金属粒子複合構造体1の基材2上に、絶縁性のバインダを含む塗布液を塗布し、固化させて、バインダからなる膜を形成することで、多数の金属粒子3の、基材2上での分布状態を、上記膜中に固定した後、膜を、固定した多数の金属粒子3ごと、基材2からはく離して製造される。
膜のもとになるバインダとしては、先に説明したように、個々の金属粒子3間を絶縁する絶縁性と、金属粒子3を保持して膜を形成する成膜性と、さらに必要に応じて、熱接着するための接着剤としての接着性とを兼ね備えた、熱可塑性樹脂や硬化性樹脂等が挙げられる。特に好ましくは、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂等が使用可能である。塗布液は、バインダが固形の熱可塑性樹脂や硬化性樹脂である場合には、当該バインダを、適当な溶媒に溶解して調製される。また、バインダが液状硬化性樹脂である場合は、当該液状硬化性樹脂を単独で使用して調製される。また、液状硬化性樹脂を、その粘度を調整するために、溶媒や反応性希釈剤等で希釈して塗布液を調製してもよい。
上記の塗布液を、金属粒子複合構造体1の基材2上に塗布し、バインダが固形の熱可塑性樹脂や硬化性樹脂である場合は、溶媒を乾燥、除去して固化させ、また、バインダが液状の硬化性樹脂である場合は半硬化反応によって固化させて、前記のように、バインダからなる固形の膜を形成することで、多数の金属粒子3の、基材2上での分布状態を、上記膜中に固定した後、膜を、固定した多数の金属粒子3ごと、基材2からはく離して異方導電膜が製造される。固形の硬化性樹脂を、圧着時の熱によって硬化反応させるためには、塗布液中に、潜在性硬化剤を配合しておけばよい。
異方導電膜を形成するバインダの膜の厚みは、通常の、半導体パッケージ等の実装用の場合、圧着によって、半導体パッケージ等を、配線板に設けた電極上に確実に熱接着させることを考慮すると、5〜50μm程度であるのが好ましい。また、圧着によって両者を熱接着させた際に、膜中に固定された金属粒子3によって、電極−バンプ間等を良好に導電接続させることを考慮すると、金属粒子3は、上記膜の厚みの、およそ1〜50%の高さ(基材2の表面方向と直交する方向の高さ)を有しているのが好ましい。金属粒子3の高さは、理想的な液滴状の金属粒子3の場合には、その、基材2の表面方向の粒径に比例して増減させることができるので、あらかじめ、基材2上に形成する金属粒子の粒径を、その後に形成する膜の厚みに応じて適宜、調整しておけばよい。
〈金属粒子複合構造体の製造〉
実施例1:
一次粒子径が15nmである銀微粒子を含む分散液を、あらかじめ洗浄した無アルカリガラス基材の表面に、スピンコート法(回転数:2000rpm)によって塗布し、100℃で10分間、加熱して乾燥させて、厚み0.4μmの塗膜を形成した。なお、分散液中の銀微粒子の一次粒子径は、先に説明したように、レーザードップラー法を応用した粒度分布測定装置〔日機装(株)製のナノトラック(登録商標)粒度分布測定装置UPA−EX150〕を用いて測定される粒度分布のピーク値で表した。
次に、上記塗膜が形成された無アルカリガラス基材を、あらかじめ400℃に加熱した電気炉に入れて30分間、熱処理した後、取り出して、室温に冷却して、その表面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、図1および図2に示すように、基材2の表面に、塗膜中の銀微粒子が液滴状に凝集して生成した多数の銀粒子3が、互いに接触しないように離間して分布しているのが確認された。また、個々の銀粒子3は、図3に示すように、液滴を基材2の表面20に面接触させた形状を有することも確認された。さらに、先に説明した電子顕微鏡写真と画像解析とを利用した方法によって、基材2の表面に分布した銀粒子3の、基材2の表面方向の粒径を求めたところ、2μmであった。
実施例2:
電気炉の温度を450℃としたこと以外は実施例1と同様にして熱処理した後、取り出して、室温に冷却して、その表面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、実施例1と同様に、基材2の表面に、塗膜中の銀微粒子が液滴状に凝集して生成した多数の銀粒子3が、互いに接触しないように離間して分布しているのが確認された。また、個々の銀粒子3は、液滴を基材2の表面20に面接触させた形状を有することも確認された。さらに、基材2の表面に分布した銀粒子3の、基材2の表面方向の粒径を求めたところ、3.5μmであった。そして、このことから、熱処理の条件を変更することで、形成される銀粒子の、基材2の表面方向の粒径を調製できることが確認された。
比較例1:
基材として、あらかじめ洗浄した青板ガラスを使用すると共に、電気炉の温度を180℃としたこと以外は実施例1と同様にして熱処理した後、取り出して、室温に冷却して、その表面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、基材2の表面に、不連続な銀の膜が形成されているのが確認された。そして、このことから、熱処理の温度は200℃以上である必要があることが確認された。
実施例3:
一次粒子径が10nmである銀−パラジウム合金微粒子(パラジウム含量:5重量%)を含む分散液を使用すると共に、電気炉の温度を600℃としたこと以外は実施例1と同様にして熱処理した後、取り出して、室温に冷却して、その表面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、実施例1と同様に、基材2の表面に、塗膜中の銀−パラジウム合金微粒子が液滴状に凝集して生成した多数の銀−パラジウム合金粒子3が、互いに接触しないように離間して分布しているのが確認された。また、個々の銀−パラジウム合金粒子3は、液滴を基材2の表面20に面接触させた形状を有することも確認された。さらに、基材2の表面に分布した銀−パラジウム合金粒子3の、基材2の表面方向の粒径を求めたところ、5μmであった。
実施例4:
一次粒子径が25nmである銀−金合金微粒子(金含量:10重量%)を含む分散液を、あらかじめ洗浄したアルミナ(Al23)基材の表面に、ディップコート法によって塗布し、100℃で10分間、加熱して乾燥させて、厚み0.2μmの塗膜を形成した。
次に、上記塗膜が形成されたアルミナ基材を、あらかじめ250℃に加熱した電気炉に入れて30分間、熱処理した後、取り出して、室温に冷却して、その表面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、実施例1と同様に、基材2の表面に、塗膜中の銀−金合金微粒子が液滴状に凝集して生成した多数の銀−金合金粒子3が、互いに接触しないように離間して分布しているのが確認された。また、個々の銀−金合金粒子3は、液滴を基材2の表面20に面接触させた形状を有することも確認された。さらに、基材2の表面に分布した銀−金合金粒子3の、基材2の表面方向の粒径を求めたところ、1μmであった。
実施例5:
一次粒子径が2nmであるパラジウム微粒子を含む分散液を、あらかじめ洗浄したシリカ(SiO2)基材の表面に、スプレー法によって塗布し、100℃で10分間、加熱して乾燥させて、厚み0.05μmの塗膜を形成した。
次に、上記塗膜が形成されたシリカ基材を、あらかじめ800℃に加熱した電気炉に入れて30分間、熱処理した後、取り出して、室温に冷却して、その表面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、実施例1と同様に、基材2の表面に、塗膜中のパラジウム微粒子が液滴状に凝集して生成した多数のパラジウム粒子3が、互いに接触しないように離間して分布しているのが確認された。また、個々のパラジウム粒子3は、液滴を基材2の表面20に面接触させた形状を有することも確認された。さらに、基材2の表面に分布したパラジウム粒子3の、基材2の表面方向の粒径を求めたところ、1μmであった。
実施例6:
一次粒子径が50nmである金微粒子を含む分散液を、あらかじめ洗浄したアルミナ基材の表面に、ディップコート法によって塗布し、100℃で10分間、加熱して乾燥させて、厚み3μmの塗膜を形成した。
次に、上記塗膜が形成されたアルミナ基材を、あらかじめ600℃に加熱した電気炉に入れて30分間、熱処理した後、取り出して、室温に冷却して、その表面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、実施例1と同様に、基材2の表面に、塗膜中の金微粒子が液滴状に凝集して生成した多数の金粒子3が、互いに接触しないように離間して分布しているのが確認された。また、個々の金粒子3は、液滴を基材2の表面20に面接触させた形状を有することも確認された。さらに、基材2の表面に分布した金粒子3の、基材2の表面方向の粒径を求めたところ、10μmであった。
〈異方導電膜の製造〉
実施例7:
(異方導電膜用の塗布液の調製)
固形エポキシ樹脂〔旭化成ケミカルズ(株)製の品番6099〕28重量部、固形エポキシ樹脂〔旭化成ケミカルズ(株)製の品番6144〕12重量部、マイクロカプセル型潜在性硬化剤〔旭化成ケミカルズ(株)製の品番HX3721〕16重量部、酢酸ブチル45重量部、およびメチルイソブチルケトン15重量部を混合して異方導電膜用の塗布液を調製した。
(異方導電膜の製造)
実施例1で製造した、無アルカリガラス基材の表面に、当該基材の表面方向の粒径が2μmである多数の銀粒子が分布した銀粒子複合構造体の、銀粒子が分布した表面に、上記の塗布液を塗布し、室温(23℃)で乾燥して固化させて、膜を形成することで、多数の銀粒子の、基材上での分布状態を、上記膜中に固定した。そして、膜を、固定した多数の金属粒子ごと基材からはく離して、厚み10μmの異方導電膜を製造した。
(接続抵抗の測定)
幅15μm、長さ50μm、厚み2μmの金電極が15μm間隔で配列された電極パターンを有するFPCの、上記電極パターン上に、上記で製造した異方導電膜を貼り付け、80℃に加熱しながら、0.1N/mm2の圧力で加圧して仮接着した。次に、この異方導電膜上に、片面にアルミニウム膜を蒸着したガラス基板を、アルミニウム膜が異方導電膜と接するように重ねた状態で、200℃に加熱しながら、3N/mm2の圧力で加圧して本接着した。そして、異方導電膜とアルミニウム膜とを介して導電接続された隣り合う2つの金電極間の抵抗値を測定し、この測定値を1/2にして、異方導電膜の厚み方向の接続抵抗としたところ、0.1Ωであって、厚み方向の導電性は極めて良好であることが判った。
(絶縁抵抗の測定)
幅15μm、長さ50μm、厚み2μmの金電極が15μm間隔で配列された電極パターンを有するFPCの、上記電極パターン上に、上記で製造した異方導電膜を貼り付け、80℃に加熱しながら、0.1N/mm2の圧力で加圧して仮接着した。次に、この異方導電膜上に、アルミニウム膜を蒸着していないガラス基板を重ねた状態で、200℃に加熱しながら、3N/mm2の圧力で加圧して本接着した。そして、隣り合う2つの金電極間の抵抗値を測定して、異方導電膜の面方向の絶縁抵抗としたところ、1000GΩであって、面方向の絶縁性も極めて良好であることが判った。
本発明の実施例1で製造した金属粒子複合構造体の一部を拡大した走査型電子顕微鏡写真である。 上記実施例1の金属粒子複合構造体の一部をさらに拡大した走査型電子顕微鏡写真である。 上記実施例1の金属粒子複合構造体のうち、基材上に形成された1つの金属粒子を側面から見た状態を示す走査型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 金属粒子複合構造体
2 基材
3 金属粒子

Claims (3)

  1. 基材と、この基材の表面に、互いに接触しないように離間して分布される、多数の金属粒子とを備え、個々の金属粒子が、一次粒子径200nm以下の金属微粒子を含む分散液を、基材の表面に塗布し、乾燥させて塗膜を形成したのち、前記塗膜を、200℃以上で、かつ金属微粒子を形成する金属の融点未満の温度で熱処理して、塗膜中に分散する多数の金属微粒子を液滴状に凝集させることによって前記基材の表面に生成され、液滴を基材の表面に面接触させた形状を有すると共に、それぞれの金属粒子の、基材の表面方向の粒径が0.1〜20μmであることを特徴とする金属粒子複合構造体。
  2. 請求項1記載の金属粒子複合構造体を製造する方法であって、一次粒子径200nm以下の金属微粒子を含む分散液を、基材の表面に塗布し、乾燥させて塗膜を形成する工程と、形成した塗膜を、200℃以上で、かつ金属微粒子を形成する金属の融点未満の温度で熱処理して、塗膜中に分散する多数の金属微粒子を液滴状に凝集させることによって、基材の表面に、互いに接触しないように離間して分布した状態で、多数の金属粒子を生成させることを特徴とする金属粒子複合構造体の製造方法。
  3. 請求項1記載の金属粒子複合構造体の基材上に、絶縁性のバインダを含む塗布液を塗布し、固化させて、バインダからなる膜を形成することで、多数の金属粒子の、基材上での分布状態を、上記膜中に固定したことを特徴とする異方導電膜。
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