JP2009085075A - 内燃機関の吸入空気量制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸気圧が所定値未満であれば、吸気絞り弁を通過する吸入空気の流速が略音速であると判断し、前記吸気圧が前記所定値以上であれば、吸気絞り弁を通過する吸入空気の流速が非音速であると判断する。そして、流速が略音速であるときには、吸気絞り弁の開度から推定される吸入空気量と実際の吸入空気量との偏差に基づいて、開度検出値を補正するための補正値を学習し、流速が非音速であるときには、吸気バルブを通過する吸入空気の流速が略音速になるように、吸気バルブの最大バルブリフト量を学習用のリフト量に切り換え、吸気バルブの開口面積から推定される吸入空気量と実際の吸入空気量との偏差に基づいて、リフト量検出値を補正するための補正値を学習する。
【選択図】図7
Description
上記発明によると、吸気絞り弁を通過する吸入空気の流速が略音速であるか否かによって、吸気絞り弁の開度による吸入空気量の制御誤差を学習させるか、吸気バルブのリフト特性による吸入空気量の制御誤差を学習させるかが切り換えられる。
一方、吸気絞り弁を通過する吸入空気の流速が音速でないときには、吸気バルブのリフト特性によって吸入空気量が変化するので、吸気バルブのリフト特性と吸入空気量との相関を学習させることができる。
上記発明によると、吸気バルブのリフト特性による吸入空気量の制御誤差を学習させるときに、リフト特性を学習に最適な特性に切り換える。
上記発明によると、吸気バルブを通過する吸入空気の流速が略音速であれば、吸気バルブの開口面積によって吸入空気量が決定されることになる。
請求項4記載の発明では、請求項3記載の発明において、吸気バルブのリフト特性を可変とする可変動弁機構が、吸気バルブの最大バルブリフト量を可変とする可変リフト機構を含み、前記最大バルブリフト量を、可変範囲の最小値付近に制御することで、吸気バルブを通過する吸入空気の流速を略音速とするようにした。
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1つに記載の発明において、前記リフト特性に基づきそのときの吸入空気量の基準値を設定し、該基準値と実際の吸入空気量との偏差を算出するようにした。
請求項6記載の発明では、請求項5記載の発明において、吸気バルブのリフト特性を可変とする可変動弁機構が、吸気バルブの最大バルブリフト量を可変とする可変リフト機構と、吸気バルブの作動角の中心位相を可変とする可変バルブタイミング機構とを含み、吸気バルブの最大バルブリフト量及び中心位相に基づいてそのときの吸入空気量を推定するようにした。
請求項7記載の発明では、請求項5又は6記載の発明において、排気バルブの作動角の中心位相を可変とする排気側可変バルブタイミング機構を備え、吸気バルブのリフト特性と共に、排気バルブの作動角の中心位相に基づいてそのときの吸入空気量の基準値を設定するようにした。
請求項8記載の発明では、請求項1〜7のいずれか1つに記載の発明において、吸気バルブのリフト特性を可変とする可変動弁機構が、吸気バルブの最大バルブリフト量を可変とする可変リフト機構と、吸気バルブの作動角の中心位相を可変とする可変バルブタイミング機構とを含み、吸気バルブの最大バルブリフト量による吸入空気量の制御誤差、及び、吸気バルブの作動角の中心位相による吸入空気量の制御誤差をそれぞれ個別に学習するようにした。
請求項9記載の発明では、請求項8記載の発明において、吸気バルブの最大バルブリフト量による吸入空気量の制御誤差を学習してから、吸気バルブの作動角の中心位相による吸入空気量の制御誤差を学習するようにした。
請求項10記載の発明では、請求項8又は9記載の発明において、吸気バルブを通過する吸入空気の流速が略音速の条件で、吸気バルブの最大バルブリフト量による吸入空気量の制御誤差を学習し、吸気バルブを通過する吸入空気の流速が非音速の条件で、吸気バルブの作動角の中心位相による吸入空気量の制御誤差を学習するようにした。
上記発明によると、吸気絞り弁の開度から設定される吸入空気量の基準値と、実際の吸入空気量との偏差は、吸気絞り弁の開度に基づく吸入空気量の制御誤差を示すことになる。
上記発明によると、吸気絞り弁の上流側は大気圧であるから、吸気絞り弁を通過する吸入空気の流速が略音速となるときの吸気圧を特定し、吸気圧が前記特定される領域内の値であるか否かによって、吸気絞り弁を通過する吸入空気の流速が略音速であるか否かを判断する。
上記発明によると、吸気絞り弁の開度による吸入空気量の制御誤差、及び、前記吸気バルブのリフト特性による吸入空気量の制御誤差の学習を行い、吸入空気量制御の精度が確保されてから、空燃比を補正するための学習補正値の更新を許可する。
図1は、実施形態における車両用内燃機関のシステム構成図である。
図1において、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ(吸気絞り弁)103bを開閉する電子制御スロットル装置104が介装され、該電子制御スロットル装置104及び下流の吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
前記燃料噴射弁131には、所定圧に調整された燃料が供給され、エンジンコントロールモジュール(ECM)114から送られる噴射パルス信号の噴射パルス幅(開弁時間)に比例する量の燃料を噴射する。
尚、燃料噴射弁131が燃焼室106内に直接燃料を噴射する筒内直接噴射式内燃機関とすることができ、また、火花点火式内燃機関に代えて圧縮自己着火式内燃機関とすることができる。
前記排気バルブ107は、排気側カムシャフト110に設けられたカム111によって一定の最大バルブリフト量,バルブ作動角及びバルブタイミングを保って開閉駆動される。
前記可変リフト機構112は、吸気バルブ105の最大バルブリフト量をバルブ作動角と共に連続的に可変する機構であって、最大バルブリフト量を増大(減少)変化させるとこれに伴ってバルブ作動角も同時に増大(減少)変化させる機構である。
マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールモジュール114は、予め記憶されたプログラムに従った演算処理によって、燃料噴射量(噴射パルス幅),点火時期,目標吸入空気量,目標吸気管負圧を設定すると共に、これらに基づいて燃料噴射弁131,点火コイル用のパワートランジスタ(図示省略),電子制御スロットル装置104,可変リフト機構112及び可変バルブタイミング機構113に制御信号を出力する。
前記エンジンコントロールモジュール114には、各種センサからの検出信号が入力される。
また、内燃機関101の回転速度NEは、基準クランク角位置REFの検出間隔時間に基づいて検出される。
本実施形態の内燃機関101は、各気筒に一対の吸気バルブ105がそれぞれ設けられており、これら吸気バルブ105の上方に、前記クランクシャフト120によって回転駆動される吸気バルブ駆動軸3が気筒列方向に沿って回転可能に支持されている。
前記吸気バルブ駆動軸3と揺動カム4との間に、吸気バルブ105の作動角及びバルブリフト量を連続的に変更するための可変リフト機構112が設けられている。
尚、図2では、一対の吸気バルブ105について、一方にのみ可変リフト機構112を図示し、他方については図示を省略してある。
前記可変リフト機構112は、図2及び図3に示すように、吸気バルブ駆動軸3に偏心して固定的に設けられる円形の駆動カム11と、この駆動カム11に相対回転可能に外嵌するリング状リンク12と、吸気バルブ駆動軸3と略平行に気筒列方向へ延びる制御軸13と、この制御軸13に偏心して固定的に設けられた円形の制御カム14と、この制御カム14に相対回転可能に外嵌すると共に、一端がリング状リンク12の先端に連結されたロッカアーム15と、このロッカアーム15の他端と揺動カム4とに連結されたロッド状リンク16と、を有している。
上記の構成により、クランクシャフト120に連動して吸気バルブ駆動軸3が回転すると、駆動カム11を介してリング状リンク12がほぼ並進移動すると共に、ロッカアーム15が制御カム14の軸心周りに揺動し、ロッド状リンク16を介して揺動カム4が揺動して吸気バルブ105が開閉駆動される。
これにより、吸気バルブ105の作動角の中心位相が略一定のままで、吸気バルブ105の作動角及び最大バルブリフト量が連続的に変化する。
次に、前記可変バルブタイミング機構113の構成を、図4に基づいて説明する。
前記ベーン式の可変バルブタイミング機構113は、クランクシャフト120によりタイミングチェーンを介して回転駆動されるカムスプロケット51(タイミングスプロケット)と、吸気バルブ駆動軸3の端部に固定されてカムスプロケット51内に回転自在に収容された回転部材53と、該回転部材53をカムスプロケット51に対して相対的に回転させる油圧回路54と、カムスプロケット51と回転部材53との相対回転位置を所定位置で選択的にロックするロック機構60とを備えている。
前記ハウジング56は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面には、横断面台形状を呈し、それぞれハウジング56の軸方向に沿って設けられる4つの隔壁部63が90°間隔で突設されている。
前記第1〜第4ベーン78a〜78dは、それぞれ断面が略逆台形状を呈し、各隔壁部63間の凹部に配置され、前記凹部を回転方向の前後に隔成し、ベーン78a〜78dの両側と各隔壁部63の両側面との間に、進角側油圧室82と遅角側油圧室83を構成する。
前記油圧回路54は、進角側油圧室82に対して油圧を給排する第1油圧通路91と、遅角側油圧室83に対して油圧を給排する第2油圧通路92との2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路91,92には、供給通路93とドレン通路94a,94bとがそれぞれ通路切り換え用の電磁切換弁95を介して接続されている。
前記第1油圧通路91は、回転部材53の基部77内に略放射状に形成されて各進角側油圧室82に連通する4本の分岐路91dに接続され、第2油圧通路92は、各遅角側油圧室83に開口する4つの油孔92dに接続される。
前記エンジンコントロールモジュール114は、前記電磁切換弁95を駆動する電磁アクチュエータ99に対する通電量を、デューティ制御信号に基づいて制御する。
例えば、電磁アクチュエータ99にデューティ比0%の制御信号(OFF信号)を出力すると、オイルポンプ47から圧送された作動油は、第2油圧通路92を通って遅角側油圧室83に供給されると共に、進角側油圧室82内の作動油が、第1油圧通路91を通って第1ドレン通路94aからオイルパン96内に排出される。
一方、電磁アクチュエータ99にデューティ比100%の制御信号(ON信号)を出力すると、作動油は、第1油圧通路91を通って進角側油圧室82内に供給されると共に、遅角側油圧室83内の作動油が第2油圧通路92及び第2ドレン通路94bを通ってオイルパン96に排出され、遅角側油圧室83が低圧になる。
次に、前記エンジンコントロールモジュール114による電子制御スロットル装置104,可変リフト機構112及び可変バルブタイミング機構113の制御(吸入空気量制御)を詳細に説明する。
前記エンジンコントロールモジュール114は、前記制御目標値(目標リフト量)TGVELに基づいて可変リフト機構112をフィードバック制御し、前記制御目標値(目標進角量)TGVTCに基づいて可変バルブタイミング機構113をフィードバック制御する(制御手段)。
前記機関回転速度NEは、前記クランク角センサ117からの検出信号に基づいて算出された値である。
また、目標体積流量比TQH0STは、アクセル開度APO及び機関回転速度NEに基づいて求められる要求空気量Qを、機関回転速度NE及び有効排気量(シリンダ総容積)VOL#で除算することで算出される(TQH0ST=Q/(Ne・VOL#))。
前記TGVTC演算部302では、目標体積流量比TQH0STが大きく、かつ、機関回転速度NEが高いほど、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相が遅角されるように制御目標値TGVTCを算出する。
図6において、第1変換部401では、図中に示すような変換テーブルを用いて、前記目標体積流量比TQH0STを状態量AANV0に変換する。
前記状態量AANV0は、スロットルバルブ開口面積をAt、機関回転速度をNE、排気量(シリンダ容積)をVOL#としたときに、AANV0=At/(Ne・VOL#)で表されるデータである。
尚、前記基本スロットル開口面積TVOAA0は、吸気バルブ105のリフト特性(バルブリフト・バルブタイミング)が、基準のリフト特性であるときに要求されるスロットル開口面積である。
前記補正値KAVELは、吸気バルブ105の作動特性が変化しても一定の空気量を確保するために設定されるもので、具体的には、以下のようにして算出される。
まず、基準圧力比算出部410では、前記吸気バルブ105のリフト特性が前記基準特性であるときの目標マニホールド圧Pm0と大気圧Paとの比(Pm0/Pa)を、目標体積流量比TQH0STと機関回転速度NEに基づいて求める。
一方、目標圧力比設定部412では、前記可変リフト機構112が制御目標値TGVELに制御されたときの目標圧力比(Pm1/Pa)を、目標体積流量比TQH0STと機関回転速度NEに基づいて設定する。
除算部414では、前記KPA0をKPA1で除算して補正値KAVEL(KAVEL=KPA0/KPA1)を算出し、これを前記第3乗算部404に出力する。
前記第3乗算部404において補正値KAVELで補正されたスロットル開口面積TVOAA0は、第2変換部405に出力される。
前記エンジンコントロールモジュール114は、前記目標スロットル開度TGTVOに基づいて電子制御スロットル装置104をフィードバック制御する(制御手段)。
そこで、エンジンコントロールモジュール114は、吸気バルブ105のリフト特性による吸入空気量制御の誤差、及び、スロットルバルブ103bの開度による吸入空気量制御の誤差を検出し、該検出結果に基づいて、吸気バルブ105のリフト特性制御、及び、スロットルバルブ103bの開度制御を補正するための補正値を学習する機能を有しており、係る学習補正機能を以下に説明する。
まず、ステップS501では、学習の許可条件の検出を行う。
具体的には、電子制御スロットル装置104,可変リフト機構112及び可変バルブタイミング機構113の診断結果を読み込み、また、内燃機関101が定常運転状態であるか否か、補機負荷の変化がないか否かを検出し、更に、内燃機関101が完暖状態であるか否かを検出する。
本実施形態では、電子制御スロットル装置104,可変リフト機構112及び可変バルブタイミング機構113が全て正常であり、かつ、内燃機関101が定常運転状態であって補機負荷の変化がなく、更に、内燃機関101が完暖状態である場合に、学習許可条件が成立していると判断する。
学習許可条件が成立していない場合には、ステップS503へ進み、電子制御スロットル装置104,可変リフト機構112及び可変バルブタイミング機構113を、各目標値TGVEL,TGVTC,TGTVOに基づいて通常に制御する。
前記所定圧は、スロットルバルブ103bを通過する吸入空気の流速が略音速になるか否かを判断するための閾値であり、吸気圧PBが前記所定圧未満であれば、スロットルバルブ103bを通過する吸入空気の流速が略音速になっていると推定し、逆に、吸気圧PBが前記所定圧以上であるときには、スロットルバルブ103bを通過する吸入空気の流速は非音速であるものと推定する。
吸気圧PBが前記所定圧未満であって、スロットルバルブ103bを通過する吸入空気の流速が略音速になっていると推定される場合には、ステップS505へ進む。
スロットルバルブ103bを通過する吸入空気の流速が略音速である条件では、内燃機関101の吸入空気量が、スロットルバルブ103bの開口面積で決まり、吸入空気量が吸気バルブ105のリフト特性に影響を受けず、スロットル開度による吸入空気量制御の誤差を高精度に学習させることができる。
即ち、スロットル開度TVOから推定される吸入空気量(基準値)と、エアフローセンサ115で検出された実際の吸入空気量とに差がある場合には、スロットルバルブ103bの汚れやスロットルセンサ118のばらつきなどを原因として、実際のスロットルバルブ103bの開口面積が目標開度TGTVOに見合った値になっていないことによって、目標開度(目標開口面積)に見合う吸入空気量が実際には得られていないことになり、前記目標開度TGTVOに基づいてそのまま制御しても目標空気量が得られないことになる。
まず、ステップS601では、目標開度TGTVOから推定される吸入空気量(設計値)と、エアフローセンサ115で検出された実際の吸入空気量との偏差を、実空気量ばらつき(Qばらつき)として算出する(実空気量ばらつき=設計吸入空気量−実吸入空気量)。
尚、前記設計値を、高度(大気圧)や大気温度に基づいて補正することができる。
前記実空気量ばらつきの絶対値が許容値以下であり、設計値(基準値)と実際値とに偏差があってもその偏差が充分に小さい場合には、スロットル制御の補正値を更新することなく、本ルーチンを終了させる。
一方、前記実空気量ばらつきの絶対値が許容値を超えている場合には、前記実空気量ばらつきが許容値以内になるように補正値を修正すべく、ステップS603以降へ進む。
ステップS603では、前記実空気量ばらつきに予め記憶されたゲインG1を乗算して、その結果をTVO修正値とする。
ステップS605では、スロットルセンサ118の検出角度から前記更新記憶したTVO学習補正値を減算した結果を、TVO制御実角度とし、このTVO制御実角度と目標角度TGTVOとの比較に基づいて、電子制御スロットル装置104がフィードバック制御されるようにする(補正手段)。
従って、前記汚れによるスロットル開口面積の減少分が、スロットル開度をより大きく補正することで相殺されることになり、前記汚れによって吸入空気量が目標よりも少なくなってしまうことを防止でき、スロットル開度によって吸入空気量を高精度に制御できるようになる。
一方、ステップS504で、吸気圧PBが前記所定圧以上であると判断された場合には、スロットルバルブ103bを通過する吸入空気の流速は非音速であって、この場合は、吸入空気量は吸気バルブ105のリフト特性(最大バルブリフト量・作動角の中心位相)に影響を受けて変化することになる。
まず、ステップS506では、可変リフト機構112によって可変とされる最大バルブリフト量を、学習用のリフト量に強制的に制御する。
最大バルブリフト量(吸気バルブ105の開口面積)による吸入空気量制御の誤差を精度良く学習させるには、吸気バルブ105を通過する吸入空気の流速が略音速になるようにすることが好ましいので、前記学習用のリフト量としては、例えば、最大バルブリフト量の可変範囲の最小値(前記制御軸13の回転がストッパで制限される角度位置)、若しくは、最大バルブリフト量の可変範囲の低リフト領域内に設定される所定リフト量とする。
尚、前記ステップS506において最大バルブリフト量を強制的に低下させる場合には、許可条件としてアイドルを含む所定の低負荷域であるか否かを判断し、低負荷領域であるときに学習用リフト量への切換えを許可する。
また、ステップS506における学習用リフト量への変更によって、吸気バルブ105を通過する吸入空気の流速を略音速にすることができない場合には、可変バルブタイミング機構113によって可変とされる作動角の中心位相を、最遅角位置に強制的に動かして、中心位相の違いによって実際の吸入空気量にばらつきが発生することを回避し、学習精度が確保されるようにする。
そして、吸気バルブ105の最大バルブリフト量が実際に学習用のリフト量に収束すると、ステップS508へ進み、最大バルブリフト量による吸入空気量制御の誤差を検出させる。
図10のフローチャートにおいて、ステップS701では、目標リフト量TGVEL等から推定される吸入空気量(設計値)と、エアフローセンサ115で検出された実際の吸入空気量との差を、実空気量ばらつき(Qばらつき)として算出する。
前記設計値(基準値)としての吸入空気量は、図11に示すように、目標リフト量(制御軸13の目標角度)TGVEL,目標進角量TGVTC,機関回転速度NE,吸気圧PB(スロットル開度)に基づいて算出される。
そして、前記設計値(基準値)から、エアフローセンサ115で検出された実際の吸入空気量を減算し、その結果を、実空気量ばらつきにセットする。
前記実空気量ばらつきの絶対値が許容値以下であり、設計値(基準値)と実際値とに偏差があってもその偏差が充分に小さい場合には、最大バルブリフト量制御における補正値の更新を行うことなく、本ルーチンを終了させる。
一方、前記実空気量ばらつきの絶対値が許容値を超えている場合には、前記実空気量ばらつきが許容値以内になるように、最大バルブリフト量制御における補正値を修正すべく、ステップS703以降へ進む。
次いで、ステップS704では、前回までのVEL学習補正値に前記VEL修正値を加算して、VEL学習補正値を更新し記憶させる。
ステップS705では、角度センサ133の検出角度から前記VEL学習補正値を減算した結果を、VEL制御実角度とし、このVEL制御実角度と目標角度TGVELとの比較に基づいて、可変リフト機構112がフィードバック制御されるようにする(補正手段)。
例えば、吸気バルブ105・可変リフト機構112のばらつきや経時劣化によって、目標バルブリフト量に対する実際のバルブ開口面積が減少変化すると、前記実空気量ばらつきはプラスの値に算出され、結果、制御軸13の角度の検出値がマイナス補正されることになり、角度検出値を補正しない場合に比べて制御軸13の角度がより大きな角度に制御されることで、最大バルブリフト量がより大きな値に補正されることになる。
尚、角度センサ133の検出角度を前記VEL学習補正値で補正する代わりに、制御軸13の目標角度(目標バルブリフト量)を補正することで、実際の吸入空気量を設計値(基準値)に近づけることができる。
尚、前記学習の経験は、イグニッションスイッチがONされてからOFFされるまでの1トリップ間における経験とすることができる他、所定の走行時間・走行距離の間における経験とすることができ、更に、TVO学習補正値・VEL学習補正値を1回でも更新した場合に経験したと判断させることができる他、TVO学習補正値・VEL学習補正値が収束した時点で経験したと判断させることができる。
前記空燃比学習とは、実際の空燃比を目標空燃比に近づけるべく燃料噴射量を補正するための空燃比補正値を更新可能に記憶し、前記空燃比センサ137で検出された実際の空燃比に基づいて前記空燃比補正値を更新することを示し、前記空燃比補正値は、例えば機関の運転状態(機関負荷・機関回転速度)で区分される複数の運転領域毎に個別に設定される。そして、前記空燃比学習が許可されていない状態では、前記空燃比補正値の更新が禁止される。
図12のフローチャートは、前記空燃比学習の処理を示すものであり、まず、ステップS1301では、内燃機関101が定常運転状態であるか否かを、スロットル開度の変化などから判断する。
ステップS1302では、空燃比学習の許可条件が成立しているか否かを判断する。
具体的には、吸入空気量学習を経験していて、かつ、ブローバイガスやキャニスタパージが停止している場合に、空燃比学習の許可条件が成立していると判断する。
また、吸入空気量学習の許可条件と空燃比学習の許可条件とを同一とすることができる。
ステップS1303では、そのときの空燃比フィードバック補正値AFALPを最新の空燃比学習値AFGAKUにセットし、空燃比フィードバック補正値AFALPを基準値である1.0にリセットする。
ステップS1304では、空燃比学習マップへの前記空燃比学習値AFGAKUの更新記憶を行わせる。
前記空燃比学習マップは、図13に示すように、機関負荷を代表する基本燃料噴射量TPと機関回転速度NEとで複数に区分される運転領域毎(例えば、8×8の64領域)に前記空燃比学習値AFGAKUを書き換え可能に記憶するものであり、ステップS1304では、前記複数の運転領域のうち、現在の機関負荷(基本燃料噴射量TP)及び機関回転速度NEが該当する運転領域に対して、ステップS1303で求めた空燃比学習値AFGAKUを更新記憶させる。
前記基本燃料噴射量TPは、機関回転速度Ne、エアフローセンサ115で検出される吸入空気量Qa、及び、燃料噴射弁131の流量特性から予め設定されている係数Kに基づき、TP=Qa/NE*Kとして算出される。
ステップS1402では、前記空燃比学習マップからそのときの基本燃料噴射量TP及び機関回転速度NEが該当する運転領域に記憶されている空燃比学習値AFGAKUを読み出す。
ステップS1404では、そのときの目標当量比(目標空燃比)を読み込む。
機関負荷を代表する基本燃料噴射量TPと機関回転速度NEとで複数に区分される運転領域毎に、前記目標当量比(目標空燃比)を記憶した空燃比マップが予め備えられ、該空燃比マップからそのときの基本燃料噴射量TP及び機関回転速度NEが該当する領域の目標当量比(目標空燃比)を読み出すようになっている。
TI=TP×目標当量比×(AFALP+AFGAKU−1)+TS
上式で、TSは、燃料噴射弁131の開弁遅れに対する補正分であり、燃料噴射弁131の電源電圧(バッテリ電圧)に基づいて設定される。
図15のフローチャートは、吸入空気量の学習補正機能の第2実施形態を示す。
そして、ステップS804において、吸気圧センサ136で検出されるスロットルバルブ103bと吸気バルブ105との間の吸気圧(ブースト)PBが所定圧(例えば−358.5mmHg)以上であると判断されて、ステップS806へ進むと、現在の運転状態において、吸気バルブ105を通過する吸入空気の流速が略音速であるか否かを判断する。
前記略音速であるか否かの判断は、そのときの吸気圧(ブースト)PB、最大バルブリフト量、機関回転速度等に基づいて行われる。
そして、吸気バルブ105を通過する吸入空気の流速が略音速であれば、ステップS807へ進み、吸気バルブ105の最大バルブリフト量(リフト特性)による吸入空気量制御誤差の学習(VEL学習補正値の更新)を、前記図10のフローチャートに従って行わせる(第2学習手段)。
吸気バルブ105を通過する吸入空気の流速が略音速の状態では、吸入空気量は、吸気バルブ105の最大バルブリフト量(開口面積)によって変化し、中心位相(吸気バルブ105の閉時期)には影響されないので、最大バルブリフト量(開口面積)による吸入空気量制御の誤差を高精度に学習できる。
前記設計値(基準値)としての吸入空気量は、前記図11に示すように、目標リフト量(制御軸13の目標角度)TGVEL,目標進角量TGVTC,機関回転速度NE,吸気圧PB(スロットル開度)に基づいて算出され、該設計値(基準値)から、エアフローセンサ115で検出された実際の吸入空気量を減算し、その結果を、実空気量ばらつきにセットする。
前記実空気量ばらつきの絶対値が許容値以下であり、設計値(基準値)と実際値とに偏差があってもその偏差が充分に小さい場合には、中心位相制御における補正値の更新を行うことなく、本ルーチンを終了させる。
一方、前記実空気量ばらつきの絶対値が許容値を超えている場合には、前記実空気量ばらつきが許容値以内になるように、中心位相制御における補正値を修正すべく、ステップS903以降へ進む。
次いで、ステップS904では、前回までのVTC学習補正値に前記VTC修正値を加算して、VTC学習補正値を更新し記憶させる。
ステップS905では、センサにより検出された実際の進角値から前記VTC学習補正値を加算した結果を、VTC制御実角度とし、このVTC制御実角度と目標進角値TGVTCとの比較に基づいて、可変バルブタイミング機構113がフィードバック制御されるようにする。
例えば、設計吸入空気量よりも実際の吸入空気量が少なく、前記実空気量ばらつきはプラスの値に算出されると、VTC制御実角度は、より進角側に補正されることになり、VTC学習補正値で検出値を補正しない場合に比べてより遅角側に制御される結果、吸気バルブ105の閉時期IVCが下死点BDCに近づき、吸入空気量が増大されることになる。
ステップS809及びステップS810では、前記ステップS509及びステップS510と同様に、スロットルバルブ103bの開度による吸入空気量制御の誤差の学習(TVO学習補正値の更新)、吸気バルブ105の最大バルブリフト量(リフト特性)による吸入空気量制御の誤差の学習(VEL学習補正値の更新)、及び、吸気バルブ105の作動角の中心位相(リフト特性)による吸入空気量制御の誤差の学習(VTC学習補正値の更新)を経験していることを条件として、空燃比学習を許可する。
図17のフローチャートは、吸入空気量の学習補正機能の第3実施形態を示す。
第3実施形態では、図15のフローチャートに示した第2実施形態に対して、吸気バルブ105の作動角の中心位相(リフト特性)による吸入空気量制御の誤差の学習を行う条件として、吸気バルブ105を通過する吸入空気の流速が非音速であることに加えて、吸気バルブ105の最大バルブリフト量(リフト特性)による吸入空気量制御の誤差の学習を経験済みであることを判断させるようにしてある。
ステップS1008では、吸気バルブ105の最大バルブリフト量(リフト特性)による吸入空気量制御の誤差の学習が経験済みであるか否かを判断する。
まず、吸気バルブ105を通過する吸入空気の流速が略音速である開口面積の小さい領域Aでは、吸入空気量は、吸気バルブ105の最大バルブリフト量(開口面積)によって変化する。
ここで、領域B,Cは共に、吸気バルブ105を通過する吸入空気の流速が非音速の条件であるから、ステップS1006の判別で吸気バルブ105を通過する吸入空気の流速が非音速の条件であると判断されたときに、そのままステップS1009の中心位相による吸入空気量制御の誤差学習を実行すると、領域Bで学習される可能性がある。
これに対し、最大バルブリフト量(開口面積)による吸入空気量の制御誤差を学習済みであれば、領域Bにおける設計吸入空気量と実際値との誤差は、中心位相(閉時期)の制御誤差によるものであることになって、誤学習を回避できる。
これにより、最大バルブリフト量(開口面積)による吸入空気量の制御誤差と、中心位相(閉時期)による吸入空気量制御の誤差を共に高精度に学習させることができる。
図19は、吸入空気量の学習補正機能の第4実施形態を示す。
図19のフローチャートにおいて、ステップS1101〜ステップS1105の各ステップは、前記第1実施形態を示す図7のフローチャートにおけるステップS501〜ステップS505と同様な処理を行う。
前記ステップS1107,ステップS1108では、第1実施形態における前記ステップS506〜ステップS508と同様にして、最大バルブリフト量を学習用の値に切り換えて、最大バルブリフト量による吸入空気量制御の誤差を学習させる。
一方、ステップS1109では、吸気バルブ105の作動角の中心位相を、学習用の中心位相に強制的に切り換える。
尚、前述のように、吸気バルブ105を通過する吸入空気の流速が略音速(領域A)であると、吸入空気量は吸気バルブ105の最大バルブリフト量で決まり、バルブタイミング(閉時期)の影響を受けないので、バルブタイミング(閉時期)による吸入空気量制御の誤差を学習させることができない。
バルブタイミングが学習用の中心位相(最遅角位置)に収束すると、ステップS1110へ進み、中心位相による吸入空気量制御の誤差を学習させる。
ステップS1111及びステップS1112では、前記ステップS509及びステップS510と同様に、スロットルバルブ103bの開度による吸入空気量制御の誤差の学習(TVO学習補正値の更新)、吸気バルブ105の最大バルブリフト量(リフト特性)による吸入空気量制御の誤差の学習(VEL学習補正値の更新)、及び、吸気バルブ105の作動角の中心位相(リフト特性)による吸入空気量制御の誤差の学習(VTC学習補正値の更新)を経験していることを条件として、空燃比学習を許可する。
上記第4の実施形態においても、最大バルブリフト量による吸入空気量の制御誤差が、中心位相による吸入空気量の制御誤差として誤学習されることを防止でき、また、学習用の最大バルブリフト量及び中心位相に切り換えて学習させるので、学習できる条件を待つ必要がなく、学習を速やかに進行させることができる。
前記中間ギア223は、ねじりスプリング229によって遅角方向(図の左方向)へ付勢されており、電磁リターダ224に電圧を印加して磁力を発生すると、ドラム227及びネジ228を介して進角方向(図の右方向)へ動かされる。
前記電磁リターダ224は、前記エンジンコントロールモジュール114からの制御信号により駆動制御される。
また、水平対向やV型などの機関であって、複数のバンクを備え、バンク毎に、電子制御スロットル装置104、可変リフト機構112・可変バルブタイミング機構113を備える場合には、前記吸入空気量の制御誤差を、バンク間における実際の吸入空気量の偏差として検出し、各バンクでの吸入空気量が一致するように、バンク毎にスロットル開度、最大バルブリフト量、中心位相を補正させることができる。
Claims (13)
- 吸気バルブのリフト特性を可変とする可変動弁機構と、
前記吸気バルブ上流の吸気通路に介装される吸気絞り弁と、
前記吸気バルブのリフト特性及び前記吸気絞り弁の開度を制御して、機関の吸入空気量を制御する制御手段と、
前記吸気絞り弁を通過する吸入空気の流速が略音速となる条件であるときに、前記吸気絞り弁の開度による吸入空気量制御の誤差を学習する第1学習手段と、
前記吸気絞り弁を通過する吸入空気の流速が非音速となる条件であるときに、前記吸気バルブのリフト特性による吸入空気量制御の誤差を学習する第2学習手段と、
前記第1学習手段及び第2学習手段による学習結果に基づいて、前記制御手段による前記吸気バルブのリフト特性及び前記吸気絞り弁の開度の制御を補正する補正手段と、
を含んで構成されたことを特徴とする内燃機関の吸入空気量制御装置。 - 前記第2学習手段が、前記吸気バルブのリフト特性を学習用のリフト特性に切り換えて、前記吸気バルブのリフト特性による吸入空気量制御の誤差を学習することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 前記第2学習手段が、前記学習用のリフト特性が、前記吸気バルブを通過する吸入空気の流速が略音速となるリフト特性であることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 前記可変動弁機構が、前記吸気バルブの最大バルブリフト量を可変とする可変リフト機構を含み、
前記第2学習手段が、前記最大バルブリフト量を、可変範囲の最小値付近に制御することで、前記吸気バルブを通過する吸入空気の流速を略音速とすることを特徴とする請求項3記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。 - 前記第2学習手段が、前記リフト特性に基づきそのときの吸入空気量の基準値を設定し、前記基準値と実際の吸入空気量との偏差を算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 前記可変動弁機構が、前記吸気バルブの最大バルブリフト量を可変とする可変リフト機構と、前記吸気バルブの作動角の中心位相を可変とする可変バルブタイミング機構とを含み、
前記第2学習手段が、吸気バルブの最大バルブリフト量及び中心位相に基づいてそのときの吸入空気量の基準値を設定することを特徴とする請求項5記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。 - 排気バルブの作動角の中心位相を可変とする排気側可変バルブタイミング機構を備え、
前記第2学習手段が、前記吸気バルブのリフト特性と共に、前記排気バルブの作動角の中心位相に基づいてそのときの吸入空気量の基準値を設定することを特徴とする請求項5又は6記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。 - 前記可変動弁機構が、前記吸気バルブの最大バルブリフト量を可変とする可変リフト機構と、前記吸気バルブの作動角の中心位相を可変とする可変バルブタイミング機構とを含み、
前記第2学習手段が、前記吸気バルブの最大バルブリフト量による吸入空気量制御の誤差、及び、前記吸気バルブの作動角の中心位相による吸入空気量制御の誤差をそれぞれ個別に学習することを特徴とする特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。 - 前記第2学習手段が、前記吸気バルブの最大バルブリフト量による吸入空気量制御の誤差を学習してから、前記吸気バルブの作動角の中心位相による吸入空気量制御の誤差を学習することを特徴とする請求項8記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 前記第2学習手段が、前記吸気バルブを通過する吸入空気の流速が略音速の条件で、前記吸気バルブの最大バルブリフト量による吸入空気量制御の誤差を学習し、前記吸気バルブを通過する吸入空気の流速が非音速の条件で、前記吸気バルブの作動角の中心位相による吸入空気量制御の誤差を学習することを特徴とする請求項8又は9記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 前記第1学習手段が、前記吸気絞り弁を通過する吸入空気の流速が略音速となる条件で、前記吸気絞り弁の開度から設定される吸入空気量の基準値とそのときの実際の吸入空気量との偏差を算出することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 前記第1及び第2学習手段が、前記吸気絞り弁を通過する吸入空気の流速が略音速となる条件であるか否かを、前記吸気絞り弁と前記吸気バルブとの間における吸気圧に基づいて判断することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。
- 前記第1及び第2学習手段による学習を経験していることを条件として、前記内燃機関の空燃比を目標空燃比に補正するための学習補正値の更新を許可する空燃比学習許可手段を設けたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。
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