JP2013133793A - スロットル弁開度推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】機関定常時においてエアフローメータにより検出される吸入空気量に基づき、正確にスロットル弁の開度を推定することができるスロットル弁開度推定方法を提供する。
【解決手段】吸気弁閉弁時期が遅角されていて吸気がスロットル弁を亜音速で通過しているときに、スロットル弁の開度を推定するスロットル弁開度推定方法であって、吸気弁閉弁時期を進角して吸気がスロットル弁を音速で通過するようにする第一段階(ステップ103)と、エアフローメータにより吸入空気量を検出する第二段階(ステップ104)と、エアフローメータにより検出された吸入空気量に基づきスロットル弁の開度を推定する第三段階(ステップ105)とを有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関のスロットル弁開度推定方法に関する。
機関定常時において、アクセルペダルの踏み込み量(機関負荷)と、機関回転数とに基づき目標吸入空気量が決定され、エアフローメータにより検出される吸入空気量が目標吸入空気量となるように、アクセルペダルとは連動せずにアクチュエータにより駆動されるスロットル弁の開度をフィードバック制御することが提案されている(特許文献1参照)。
スロットル弁の開度は、スロットル弁開度センサが故障しても、機関定常時において、エアフローメータにより検出される吸入空気量が現在のスロットル弁を通過する吸気量となるために、現在の吸入空気量に基づき現在のスロットル弁の開度を推定することができる。
特開2002−021617 特開2008−303754 特開平11−270369 特開2005−282464 特開2001−065376
前述のようにしてスロットル弁の開度を推定するときに、吸気弁の閉弁時期が吸気下死点より大きく遅角されていて、圧縮行程の吸気弁開弁中に比較的多量の吸気が気筒内からスロットル弁下流側の吸気管へ戻されて吸気管内の圧力が比較的高くなっていると、スロットル弁を通過する吸気量はスロットル弁の開度だけでなく、吸気管内の圧力によっても変化することとなり、正確なスロットル弁の開度を推定することが困難となる。
従って、本発明の目的は、機関定常時においてエアフローメータにより検出される吸入空気量に基づき、正確にスロットル弁の開度を推定することができるスロットル弁開度推定方法を提供することである。
本発明による請求項1に記載のスロットル弁開度推定方法は、吸気弁閉弁時期が遅角されていて吸気がスロットル弁を亜音速で通過しているときに、スロットル弁の開度を推定するスロットル弁開度推定方法であって、前記吸気弁閉弁時期を進角して吸気が前記スロットル弁を音速で通過するようにする第一段階と、エアフローメータにより吸入空気量を検出する第二段階と、前記エアフローメータにより検出された前記吸入空気量に基づき前記スロットル弁の開度を推定する第三段階とを有することを特徴とする。
吸気弁閉弁時期が遅角されていて圧縮行程の吸気弁開弁中に比較的多量の吸気が気筒内からスロットル弁下流側の吸気管へ戻されると、吸気管内の圧力が比較的高くなって、吸気はスロットル弁を亜音速で通過することとなる。このときには、スロットル弁を通過する吸気量はスロットル弁の開度だけでなく、吸気管内の圧力によっても変化することとなるために、正確なスロットル弁の開度を推定することが困難である。本発明による請求項1に記載のスロットル弁開度推定方法によれば、第一段階として、吸気弁閉弁時期を進角して圧縮行程の吸気弁開弁中に気筒内から吸気管へ戻される吸気を少なくして吸気管内の圧力を低下させ、吸気がスロットル弁を音速で通過するようにし、第二段階として、エアフローメータにより吸入空気量を検出し、第三段階として、エアフローメータにより検出された吸入空気量に基づきスロットル弁の開度を推定するようになっている。それにより、第二段階においてエアフローメータにより検出される吸入空気量は、第一段階によって吸気がスロットル弁を音速で通過しているときの吸気量となり、スロットル弁の開度だけにより変化する値となるために、第三段階において、エアフローメータにより検出された吸入空気量に基づき正確にスロットル弁の開度を推定することが可能となる。
本発明によるスロットル弁開度推定方法が適用される内燃機関の概略図である。 スロットル弁開度と流量係数との関係を示すマップである。 スロットル弁開度とスロットル弁の開口面積との関係を示すマップである。 スロットル弁の下流側の吸気圧とスロットル弁の上流側の吸気圧との比に対する関数Φのマップである。 スロットル弁の開度を推定するためのフローチャートである。
図1は、本発明によるスロットル弁開度推定方法が適用される内燃機関を示す概略図である。同図において、1は機関本体であり、2は各気筒共通のサージタンクである。3はサージタンク2と各気筒とを連通する吸気管(シリンダヘッドに形成された吸気ポートを含む)であり、4はサージタンク2の上流側の吸気通路である。各吸気管3には燃料噴射弁5が配置され、吸気通路4におけるサージタンク2の直上流側にはスロットル弁6が配置されている。スロットル弁6は、アクセルペダルに連動するものではなく、ステップモータ等のアクチュエータによって駆動されるものであり、自由に開度設定可能となっている。
7は吸気通路4のスロットル弁6より上流側において吸気流量を検出するエアフローメータである。機関本体1において、8は吸気弁であり、9は排気弁であり、10はピストンである。11はスロットル弁6の開度を検出するためのスロットル弁開度センサである。12はエアクリーナである。吸気弁8は可変バルブタイミング機構(図示せず)により少なくとも閉弁時期が可変とされている。可変バルブタイミング機構は、例えば、吸気弁用カムの位相を変化させるものでも良いし、吸気弁を任意の時期に開閉させることができるアクチュエータとしても良い。
内燃機関1における燃焼空燃比を、例えば、理論空燃比等の所望空燃比にするためには、機関過渡時を含めて気筒内へ流入した吸入空気量を正確に推定することが必要とされる。エアフローメータ7は、機関定常時においては、比較的正確に吸入空気量を測定することができる。しかしながら、機関過渡時においては、急激に変化する吸入空気量に対してエアフローメータ7の出力が直ぐに応答せず、正確な吸入空気量の測定は不可能である。
それにより、機関過渡時においても、正確な吸入空気量を把握することを可能とするために、機関吸気系をモデル化して電子制御装置(図示せず)によって吸入空気量を推定するようにしている。
先ずは、スロットル弁6をモデル化する。吸気がスロットル弁6を通過する際のエネルギ保存則、運動量保存則、及び、状態方程式を使用して、今回のスロットル弁通過空気量mt(i)(g/sec)が、次式(1)によって表される。以下の式を含めて、スロットル弁通過空気量等の変数の添え字(i)は今回を示し、(i−1)は前回を示している。
mt(i)=μ(i)・A(i)・(Pa/(R・Ta(i))1/2)・Φ(Pm(i)/Pa)・・・(1)
ここで、μ(i)は流量係数であり、A(i)はスロットル弁6の開口面積(m3)である。もちろん、機関吸気系にアイドルスピードコントロールバルブ(ISC弁)が設けられている時には、A(i)には、ISC弁の開口面積が加えられる。流量係数及びスロットル弁の開口面積は、それぞれがスロットル弁開度TA(i)(度)の関数となっており、図2及び3には、それぞれのスロットル弁開度TAに対するマップが図示されている。Rは気体定数であり、Ta(i)はスロットル弁上流側の吸気温度(K)であり、Paはスロットル弁上流側の吸気通路圧力(kPa)、すなわち、大気圧(必要に応じて変数として大気圧センサにより測定するようにしても良い)であり、Pm(i)はスロットル弁下流側の吸気管圧力(kPa)である。また、関数Φ(Pm(i)/Pa)は、比熱比kを使用して次式(2)及び(2)’によって表されるものであり、図4にはPm/Paに対するマップが図示されている。
Pm(i)/Pa<=1/(k+1)の場合
Φ(Pm(i)/Pa)=(k/2(k+1))1/2・・・(2)
Pm(i)/Pa>1/(k+1)の場合
Φ(Pm(i)/Pa)
={[(k-1)/2k・(1-Pm(i)/Pa)+Pm(i)/Pa]・(1-Pm(i)/Pa)}1/2
・・・(2)’
次いで、吸気弁をモデル化する。気筒内へ供給される吸入空気量mc(i)(g/sec)は、吸気管圧力Pm(i)に基づきほぼ線形に変化するものであるために、次式(3)によって表すことができる。
mc(i)=Ta(i)/Tm(i)・a・Pm(i)・・・(3)
ここで、Tm(i)はスロットル弁下流側の吸気温度(K)であり、aは、可変バルブタイミング機構により吸気弁8の閉弁時期が遅角されるほど、気筒内から吸気系へ戻される吸気量が増加して結果的に吸気量が減少し、また、機関回転数Nが高いほど、単位時間当たりの吸気量が減少するために、小さくなる係数であり、実機を使用する適合試験等によって吸気弁8の閉弁時期と機関回転数Nとに基づきマップ化しておくことが好ましい。
次いで、吸気管をモデル化する。吸気管内に存在する吸気の質量保存則、エネルギ保存則、及び、状態方程式を使用して、吸気管圧力Pmとスロットル弁下流側の吸気温度Tmとの比における時間変化率は次式(4)によって表され、また、吸気管圧力Pmの時間変化率は次式(5)によって表される。ここで、Vは吸気管の容積(m3)であり、具体的には、サージタンク2と吸気管3との合計容積である。
d/dt(Pm/Tm)=R/V・(mt-mc)・・・(4)
dPm/dt=k・R/V・(mt・Ta-mc・Tm)・・・(5)
式(4)及び式(5)は離散化され、それぞれ、次式(6)及び(7)が得られ、式(7)によって今回の吸気管圧力Pm(i)が得られれば、式(6)によって今回の吸気管内の吸気温度Tm(i)を得ることができる。式(6)及び(7)において、離散時間Δtは、現在の吸入空気量mc(i)を算出する実行間隔とされ、例えば8msである。
Pm(i)/Tm(i)=Pm(i-1)/Tm(i-1)+Δt・R/V・(mt(i-1)-mc(i-1))
・・・(6)
Pm(i)=Pm(i-1)
+Δt・k・R/V・(mt(i-1)・Ta(i-1)-mc(i-1)・Tm(i-1))
・・・(7)
こうして、吸気量を推定する際には、先ず、式(7)を使用して吸気管圧力Pm(i)が算出される。式(7)は、前回の吸気管圧力Pm(i-1)と、前回のスロットル弁通過空気量mt(i-1)と、前回のスロットル弁上流側の吸気温度Ta(i-1)と、前回の吸入空気量mc(i-1)と、前回の吸気管内の吸気温度Tm(i-1)とに基づき、今回の吸気管圧力Pm(i)を算出するようになっている。これらの初期値として、Pm(i-1)には大気圧Paが、Ta(i-1)とTm(i-1)にはスロットル弁上流側の吸気温度Taがそれぞれ実測されて使用され、mt(i-1)には、これらのPm(i-1)及びTa(i-1)を使用して式(1)から算出された値が使用され、また、mc(i-1)には、これらのPm(i-1)、Ta(i-1)及びTm(i-1)を使用して式(3)により算出された値が使用される。
次いで、式(6)を使用して今回の吸気管内の吸気温度Tm(i)が算出される。次いで、式(1)を使用して今回のスロットル弁通過空気量mt(i)が算出される。この式(1)を使用するスロットル弁通過空気量mt(i)の算出において、現在の流量係数μ(i)及び現在のスロットル弁6の開口面積A(i)を決定するための現在のスロットル弁開度TA(i)は、スロットル弁開度センサ11の出力が使用される。
次いで、式(3)を使用して今回の吸入空気量mc(i)が算出される。その後は、今回の吸気管圧力Pm(i)は前回の吸気管圧力Pm(i-1)とされ、今回の吸気管内の吸気温度Tm(i)は前回の吸気管内の吸気温度Tm(i-1)とされ、今回のスロットル弁通過空気量mt(i)は前回のスロットル弁通過空気量mt(i-1)とされ、今回の吸入空気量mc(i)は前回の吸入空気量mc(i-1)とされる。こうして、吸入量mcは、機関始動完了と同時に逐次算出される吸気管圧力Pmに基づき、逐次推定されることとなる。
ところで、スロットル弁開度センサ11が故障したときには、現在のスロットル弁6の開度を推定することが必要となる。本実施例では、スロットル弁開度センサ11が故障したときには、電子制御装置により図5に示すフローチャートに従ってスロットル弁6の開度を推定するようになっている。
先ず、ステップ101において、スロットル弁開度センサ11が故障したか否かが判断される。この判断が否定されるときには、スロットル弁6の開度の推定は必要なく、そのまま終了する。
しかしながら、例えば、スロットル弁開度センサ11が出力信号を発しないときや、アクチュエータを作動してスロットル弁6の開度を変更しているにも係わらずにスロットル弁開度センサ11の出力信号が変化しないときには、スロットル弁開度センサ11は故障していると判断され、ステップ101が肯定されてステップ102へ進む。
ステップ102では、式(7)により算出されるスロットル弁下流側の現在の吸気管圧力と大気圧との比Pm(i)/Paが1/(k+1)より大きいか否かが判断される。ここでkは前述したように比熱比であり、ステップ102の判断が否定されるときには、吸気はスロットル弁6を音速で通過しており、式(2)及び図4に示すように、関数Φの値がスロットル弁下流側の現在の吸気管圧力と大気圧との比Pm(i)/Paに対して一定値となる。
それにより、式(1)で示すスロットル弁通過空気量mt(i)は、スロットル弁6の開口面積A(i)(図2及び3に示すように、流量係数μと共にスロットル弁開度TAから一義的に定まる値であり、また、スロットル弁上流側の吸気温度Ta(i)は正確に測定可能である)だけにより変化する値となる。こうして、ステップ104においてエアフローメータ7により現在の吸入吸気量Qを検出し、次いで、ステップ105において、吸入空気量Qが一定となる機関定常時には、エアフローメータ7により検出される吸入空気量Qとスロットル弁通過空気量mtとは等しくなることを利用して、吸入空気量Qに基づき式(1)を使用してスロットル弁7の開口面積Aを逆算し、こうして算出された開口面積Aからスロットル弁6の開度TAを正確に推定する。
一方、現在の吸気管圧力と大気圧との比Pm(i)/Paが1/(k+1)より大きいときには、吸気はスロットル弁6を亜音速で通過しており、式(2)’及び図4に示すように、関数Φの値は吸気管圧力Pmによって変化する。
それにより、式(1)で示すスロットル弁通過空気量mt(i)は、スロットル弁6の開口面積A(i)だけでなく、吸気管圧力Pm(i)によっても変化する値となり、式(1)を使用してスロットル弁7の開口面積Aを正確に逆算することが困難であり、こうして算出された開口面積Aからスロットル弁6の開度TAを正確に推定することも難しい。
そのために、本フローチャートでは、ステップ102の判断が肯定されるときには、ステップ103において、スロットル弁6の開度を変化させることなく、可変バルブタイミング機構によって吸気弁8の閉弁時期を進角するようになっている。それにより、圧縮行程の吸気弁開弁中に、気筒内から吸気管へ戻される吸気を減少させることにより、吸気管圧力Pm(i)を低下させる。このような吸気弁8の閉弁時期の進角によってエアフローメータ7により検出される吸入空気量Qは増加することとなる。
こうして、吸気管圧力Pm(i)を十分に低下させれば、吸入空気量Qが吸気管圧力の低下により増加せずに一定となり、ステップ102の判断が否定され、吸気がスロットル弁6を音速で通過するようになり、ステップ104において吸入空気量Qが一定となる機関定常時にエアフローメータ7により現在の吸入空気量Qを検出し、次いで、ステップ105において現在の吸入空気量Qに基づき正確にスロットル弁6の開度TAを推定することが可能となる。ステップ102の判断は、吸気弁8の閉弁時期を遅角してもエアフローメータ7により検出される吸入空気量Qが増加しなくなったときに否定されるようにしても良い。
もし、スロットル弁開度センサ11の故障時にスロットル弁6の開度が比較的大きいと、吸気弁8の閉弁時期を進角しても吸気管圧力Pmは十分に低くならず、ステップ102の判断が否定されないこともある。この場合には、スロットル弁6の開度を正確に推定することはできない。
2 サージタンク
3 吸気管
6 スロットル弁
7 エアフローメータ
8 吸気弁

Claims (1)

  1. 吸気弁閉弁時期が遅角されていて吸気がスロットル弁を亜音速で通過しているときに、スロットル弁の開度を推定するスロットル弁開度推定方法であって、前記吸気弁閉弁時期を進角して吸気が前記スロットル弁を音速で通過するようにする第一段階と、エアフローメータにより吸入空気量を検出する第二段階と、前記エアフローメータにより検出された前記吸入空気量に基づき前記スロットル弁の開度を推定する第三段階とを有することを特徴とするスロットル弁開度推定方法。
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