JP2009084721A - 熱可塑性繊維のローラ油剤付与装置および熱可塑性繊維の製造方法 - Google Patents

熱可塑性繊維のローラ油剤付与装置および熱可塑性繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】糸条長手方向の油剤付着を安定化させ、高品質に生産することが可能な熱可塑性繊維のローラ油剤付与装置および熱可塑性繊維の製造方法を提供する
【解決手段】熱可塑性樹脂の紡出糸条を冷却装置で冷却した後、この紡出糸条に対し給油ローラにて油剤を付与するローラ油剤付与装置において、前記給油ローラ4が、ローラ外周面の軸心方向に1mm以上の深さ、軸心平行方向に10mm〜80mmの幅を形成した溝部3を少なくとも1箇所以上有していることを特徴とするローラ油剤付与装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱可塑性繊維の製造工程において、糸条の長手方向への油剤付着を安定化させ、高品質に生産することが可能な熱可塑性繊維のローラ油剤付与装置および熱可塑性繊維の製造方法に関するものである。
近年、急成長を続けるエレクトロニクス分野では、熱可塑性繊維、特にモノフィラメントが、プリント回路基板のスクリーン印刷用メッシュクロスをはじめ、自動車、家電などに利用される成形フィルター用途などに使用されている。例えば、スクリーン印刷の用途では、Tシャツやのぼり旗、看板、自動販売機プレート、車のパネル、屋外・屋内サイン、ボールペン、各種カード類、ネームプレート、スクラッチ、点字、CD・DVD、プリント基板、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイなどが挙げられる。また、フィルター用途では、洗濯水中のゴミ再付着を防止するリントフィルター、エアコンの中に装着されている室内のホコリ・塵を除去するフィルター、掃除機の中にもホコリ・塵・ゴミを除去する成形フィルター、医療分野では気泡などの除去する輸血キットや人工透析回路用フィルター、自動車分野では燃料ポンプ、燃料噴射装置といった燃料の流路や、ABS、ブレーキ、トランスミッション、パワーステアリング、横滑り防止装置や燃費向上・出力アップのための最新機構であるVVTといった油圧回路においても、電磁弁へのゴミや異物の混入を防止し、ろ過してキレイにするという大切な役割を果たしている。
中でも、近年急成を続けるエレクトロニクス分野や自動車分野では、より鮮明な印字性能や高いフィルター性能化が要求されている。そのため、スクリーン紗と呼ばれるモノフィラメントを製織した紗織物は、軽量化・薄地化が進み、紗織物の品位に対する要求が高まっており、ヨコヒケや糸削れ等のない品質の均一なモノフィラメントの実現がしきりに要求されているのが実情である。
スクリーン紗に用いられるモノフィラメントの製造方法については、例えば、溶融紡糸用口金パックを用いてポリマーを吐出させ、冷却装置による冷却気流により冷却後、油剤付与装置で給油し、第1ゴデロールで引取り、第2ゴデロールを介して、巻き取る方法が一般的である(例えば、特許文献1および2参照)。
また、合成繊維の油剤を付与する手段としては、所定厚さの油膜を形成させたオイリングローラーに糸条を接触させて油剤を付与するローラ油剤付与方式、あるいは、走行糸条に対して横断する形で油剤溜め溝を設けて、接糸面に対して135°〜180°の交差角度を形成して交差する油剤供給面を有している給油ガイドを用い、連続的に計量供給した所定量の油剤を走行糸条に付与するガイド油剤付与方式(例えば、特許文献3参照)などで均一付着性を高めている。
しかしながら、モノフィラメントの場合は、マルチフィラメントで見られる互いの位置をわずかに変えたりたりすることで、均一付着性を向上させるマイグレーション効果や単糸間の僅かな隙間から油剤を吸い上げる毛細管現象効果がないため、糸条長手方向への均一油剤付着は非常に困難であった。
さらにまた、オイリングローラーの外周面の円周方向に沿って溝を形成し、その溝に油剤を保持させて、一定深さの油剤溜まりを形成させて、糸条をこの溝の底部に接触走行させることにより、糸条長手方向への均一油剤付着を図る方式(例えば、特許文献4参照)も採用されており、この方式によれば、前記溝部を安定して糸条が走行し、巻き取ることが可能であれば、糸条長手方向への均一油剤付着性の向上は期待できる。
しかしながら、ポリアミドモノフィラメントの場合では、糸揺れや糸条振動が生じないように糸道規制部材によって糸条を規制しても、紡糸張力が非常に低いため、随伴気流などの影響によりオイリングローラー上で糸揺れが発生し、前記溝部から糸条が外れる現象が発生するという問題があった。
特開2003−138429号公報 特開2005−42217号公報 特開平11−286824号公報 特開2005−299019号公報
本発明の目的は、上記の問題点を解決しようとするものであり、糸条長手方向の油剤付着を安定化させ、ヨコヒケや糸削れがなく、高品質の糸条を生産することが可能な熱可塑性繊維のローラ油剤付与装置および熱可塑性繊維の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明によれば、熱可塑性樹脂の紡出糸条を冷却装置で冷却した後、この紡出糸条に対し給油ローラにて油剤を付与するローラ油剤付与装置において、前記給油ローラが、ローラ外周面の軸心方向に1mm以上の深さ、軸心平行方向に10mm〜80mmの幅を形成した溝部を少なくとも1箇所以上有していることを特徴とするローラ油剤付与装置が提供される。
また、本発明の熱可塑性繊維の製造方法は、熱可塑性樹脂を溶融紡糸し、紡出糸条を冷却装置で冷却した後、ローラ油剤付与装置により油剤付与処理し、幾つかのローラにより引き回し、巻取る熱可塑性繊維の製造方法において、上記のローラ油剤付与装置を使用し、このローラ油剤付与装置における溝部にて、糸条に対し油剤を付与することを特徴とし、この場合には、前記熱可塑性繊維の形態がモノフィラメントであること、および前記熱可塑性樹脂がポリアミドであることが好ましい条件である。
本発明によれば、糸長手方向の油剤付着斑を抑制し、ヨコヒケや糸削れがなく良好で高品質な熱可塑性繊維を得ることができる。また、このようにして得られたボリアミドモノフィラメントを製織した紗織物は、スクリーン紗印刷用途、フィルター用途、スピーカー用フィルター用途などに有用である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の熱可塑性繊維の溶融紡糸装置の一例を示す正面概念図である。
図1に示したように、本発明においては、熱可塑性樹脂を溶融し(図示せず)、紡糸口金1から紡出させた紡出糸条Yを、冷却装置2によりガラス転移温度以下に冷却した後、この紡出糸条Yにローラ油剤付与装置4により油剤付与処理し、第1ゴデットローラ7、7’に数回巻いた後、第2ゴデットローラ8、8’に数回巻き、巻取装置9で巻き取る。また、糸の要求物性に応じて、第1ゴデットローラ7、7’と第2ゴデットローラ8、8’間で延伸・熱処理したり、糸条の収束性を向上させるためにエアーなどにより交絡付与を行ったりしてもよい。
図2は、本発明の熱可塑性繊維のローラ油剤付与装置の一例を示す拡大図である。
本発明のローラ油剤付与装置は、ローラ(以後、「給油ローラ」ともいう)4と、この給油ローラ4と油剤とを収納する油剤供給トラフ5と、糸道規制ガイド6とから構成されているが、例えば図2に例示するように、給油ローラ4は、ローラ外周面の軸心方向Dに1mm以上の深さ、軸心平行方向Lに10mm〜80mmの幅を形成した溝部3を少なくとも1箇所以上有していることが必要である。
給油ローラ4と糸条Yとの接触面および糸条Yの外周面に均一に油剤を付与するためには、糸径以上の油膜厚みが要求される。油膜厚みは、使用する紡糸油剤成分によっても影響を受け、紡糸油剤温度が25℃の常温で5mm/sec以上の粘性を有する油剤構成の時に高い効果を示す。すなわち、油膜厚みを保持するためには、分子間力の大きな油剤成分ほど油膜厚み保持力が高くなると言える。また、糸径以上の油膜厚みを形成させるため、給油ローラ外周面の軸心深さ方向Dが1mm以上あれば良いが、好ましくは1mm〜5mm、さらに好ましくは1mmから3mmとすることにより、安定した油膜厚みを保持することができる。1mm未満である場合は、糸径以上の油膜厚みを形成することが難しくなり、糸条長手方向に油剤の付着斑が発生してしまう。
さらに、溝部3の幅が10mmより狭い場合は、糸条が随伴気流などで左右に揺れた(以後、「糸揺れ」とも言う)際に、溝から糸条が外れてしまい、糸条長手方向の油分付着量が変動する問題が生じてしまう。また逆に、80mmより幅が広くなると、油剤の表面張力による油剤ピックアップ効果が小さくなり、油膜厚みの保持力が低減し、安定した油膜厚みを形成することができなくなる。好ましくは10mm〜50mmである。
安定した油剤厚みを形成させるためには、給油ローラ4上に溝部3は少なくとも1箇所以上あれば良く、給油ローラ4上に溝部3を2箇所、3箇所と増やしても良い。特に、熱可塑性樹脂の繊維形態がモノフィラメントの場合は、引き取り速度(図1でいう第1ゴデッドローラ7の速度)が800m/min以下と低速であることから、ポリマーの自重で第1ゴデッドローラに7引き取られる。そのため、紡糸張力(図1でいう第1ゴデッドローラに糸条が入る直前の張力)が1g以下と非常に低く、給油ローラ軸心平行方向に左右5mm程度の糸揺れが生じるため、1糸条当たり10mm以上のピッチを有することが好ましい。故に、溝幅3の設計としては、10mm×糸条数で溝幅長80mm以下で設計することがさらに好ましい。例えば、10糸条を本発明の給油ローラを用い、油剤付与する場合の給油ローラの溝幅の設計としては、10mm×5糸条で50mmの溝幅を有した溝を2箇所形成させた、給油ローラの設計となる。
本発明のローラ油剤付与装置における給油ローラ4の材質については、特に限定しないが、耐摩耗性が良好なステンレス製、セラミック製などでよく、表面形状は鏡面、梨地ローラなどが挙げられる。好ましくは、ステンレス製などの金属製、表面粗度がRmax1μm〜Rmax6μmの梨地がよく、さらに好ましくは、梨地表面にハードクロムメッキなどを施したものが好ましい。
本発明のローラ油剤付与装置における給油ローラ4の溝部3と糸条Yとの接触長については、特に限定しないが、糸長手方向に安定した油膜を形成させるためには、5mmから15mm、好ましくは8mm〜10mmがよい。接触長の調整は給油ローラ4下部に設置された糸道規制ガイド6により行うのが一般的である。
本発明のローラ油剤付与装置における給油ローラ4の溝部3と油剤供給トラフ5に溜められた油剤との浸漬長については、特に限定しないが、給油ローラ4への油剤ピックアップを安定化させるためには、5mmから20mm、好ましくは8mm〜15mmがよい。
本発明に用いる繊維の形態について、特に限定しないが、マルチフィラメントやモノフィラメントなどであり、さらに好ましくはモノフィラメントである。
本発明でいう熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなど、溶融紡糸可能な樹脂であればよく、好ましくはポリアミド樹脂である。本発明における熱可塑性樹脂を構成するポリマーには、目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤、たとえば、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤等を必要に応じて共重合、或いは混合しても良い。また、ポリアミドとしては、ポリカプラミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリドデカノアミド、ポリヘキサメチレンアゼラミド、等などからなるモノフィラメントが挙げられる。特に、紗織物用ポリアミドモノフィラメントとして、ポリカプラミド(ナイロン6)モノフィラメントおよびポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)モノフィラメントであることが好ましい。さらに好ましくは、耐熱性に良好なポリヘキサメチレンアジパミドがさらに好ましい。
本発明の熱可塑性繊維の製造方法は、上記ローラ油剤付与装置を備えた溶融紡糸装置を用いて製造されれば、特に限定はしない。例えば、第1ゴデットローラと第2ゴデットローラに片掛けし巻き取る片掛単ゴデットローラプロセスや、4個以上のゴデットローラを用い、延伸・熱処理させるネルソンDSDプロセスや未延伸糸の状態で巻取り、後工程で延伸・熱処理するコンベンショナルプロセスなどいずれでも良いが、特に、高速製糸法が生産性には好ましく、さらに好ましくは、ネルソンDSDプロセスである。
本発明の熱可塑性繊維の製造方法において用いる油剤は、油剤温度が25℃の常温で、粘性5mm/sec以上10mm/sec以下の油剤であることが好ましい。粘性が5mm/secより低い場合は、安定した油膜厚みが得られない場合があり、糸条長手方向に油剤付着斑が生じる可能性が高くなる。また、粘性が10mm/secを超えると、安定した油膜厚みは得られるものの、糸条へのかくてん性が損なわれやすくなり且つ、ゴデットローラの汚れ堆積量も増えることから、品質異常を招く恐れがある。また、糸条への紡糸油剤付着量としては、0.5〜1.2重量%付着していることが好ましい。
本発明の熱可塑性繊維の製造方法において、糸条繊度は特に限定はしないが、糸直径が30〜80μm(糸条繊度が7〜50デシテックス)の場合に極めて効果がある。30μm未満の場合でも効果はあるが、これまでの公知技術でも良好に得ることができる。
かかる構成からなる本発明のローラ油剤付与装置および熱可塑性繊維の製造方法によれば、糸条長手方向の油剤付着斑を抑制し、ヨコヒケや糸削れがない高品質な熱可塑性繊維を得ることができる。
また、このようにして得られた熱可塑性樹脂からなるモノフィラメントを製織した紗織物は、近年急成を続けるエレクトロニクス分野や自動車分野において、より鮮明な印字性能や高いフィルター性能化が要求されているスクリーン紗印刷用途、フィルター用途、スピーカー用フィルター用途などに特に有用である。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、実施例中の特性値の測定は、次のとおりに行った。
A.ウースター斑
zellweger uster社製 USTER TESTER IIIを用いて試料長:250m、測定糸速度:50m/minを12.5%HIで4個測定し、繊維長手方向の太さの変動を求めた。U%(HI)レベルが平均値で0.8%未満を◎、0.8%以上〜1.0%未満を○、1.0%以上〜1.2%未満を△、1.2%以上を×と4段階評価で示し、△以上を合格と判定した。○は良好、◎は優れると判定した。
B.強度
オリエンテック社製の“テンシロン”を用いて測定した。具体的には、初荷重として繊度(デシテックス)の1/33のグラム数の荷重を加え、試料長50cm、引張速度50cm/分の条件で測定し、引張最高強力を求め、それを繊度で割った値を強度とした。1パッケージにつき3回の測定を4パッケージ行い、その平均値を強度とした。
C.ヨコヒケ
織り設計として経糸254本/吋、緯糸256本/吋になるよう織機を用い1kg巻きのドラムを緯打ち込みし、生織おけるバンド状の光沢差について観察を行った。ヨコヒケがない状態を◎、ヨコヒケ弱レベルを○、ヨコヒケ中レベルを△、ヨコヒケ強レベルを×と4段階で評価し、○以上を合格と判定した。
D.糸削れ
織り設計として経糸254本/吋、緯糸256本/吋になるよう織機を用い1kg巻きのドラムを緯打ち込みし、織機における筬汚れについて観察を行った。筬汚れがない状態を◎、筬汚れ弱レベルを○、筬汚れ中以上を×と3段階で評価し、○以上を合格とした。
E.98%硫酸相対粘度
98%硫酸溶液で試料を振とう溶解し、これをオストワルド粘度測定装置により、25℃の恒温下で試料溶液の落下秒数を測定し、98%硫酸溶液に対する試料溶液の粘度比で表した。
[実施例1〜4、比較例1]
98%硫酸相対粘度2.80のナイロン66樹脂を295℃で溶融し、口金孔径φ0.60の吐出孔を円周状に4孔配列した紡糸口金1より糸条Yを吐出し、口金下流側面に設けた加熱手段により加熱された加熱気体流路(図示せず)から口金へ水蒸気を200℃、10mmAqの量で供給した後、一方方向から冷却風が出る冷却装置2にて糸条Yを冷却し、φ100の直径を有する給油ローラ4に円周溝3を2箇所設けたローラ油剤付与装置を用い、給油ローラ4と油剤供給トラフ5に溜められた油剤との浸漬長を10mmに調整および給油ローラ4の円周溝部3と糸条Yとの接糸長を9mmに調整した糸道規制ガイド6に、4フィラメントの糸条を円周溝3当たり2糸条ずつに糸分けして油剤付与させ、第1ゴデットローラ7,7’に3.5回で引き取った後、次の第2ゴデットローラ8,8’に4.5回巻き、且つ第1ゴデットローラと第2ゴデットローラ間で4倍に延伸した後、巻取装置9により3000m/minで巻き取り、17デシテックス、1フィラメントのポリアミドモノフィラメント繊維を得た。ローラ油剤付与装置のスペックとして、給油ローラ4の円周溝3の軸心平行方向(L)を20mm幅に固定し、給油ローラ4の軸心方向(D)に1mm(実施例1),3mm(実施例2),5mm(実施例3),7mm(実施例4)とし、比較例として、円周溝3のない給油ローラ(比較例1)で評価した結果を表1に示す。
Figure 2009084721
表1の結果から明らかなように、実施例3および実施例4においては、ヨコヒケ,糸削れレベルが良好な結果を得た。また、実施例1および実施例2においては、さらにヨコヒケ,糸削れレベルが向上出来たことを確認した。言い換えれば、糸長手方向の油剤付着斑が十分に抑制できたと言える。一方、比較例1では、ヨコヒケレベルが悪く、糸削れによるスカムの発生量も多いことが確認できたことから、フラットタイプの給油ローラでは、特にモノフィラメントの様な糸径の大きい糸に対しての糸長手方向の油剤付着斑を抑制するのは難しいと考えられる。
[実施例5〜8、比較例2]
98%硫酸相対粘度2.80のナイロン66樹脂を295℃で溶融し、口金孔径φ0.60の吐出孔を円周状に2孔配列した紡糸口金1より糸条Yを吐出し、口金下流側面に設けた加熱手段により加熱された加熱気体流路(図示せず)から口金へ水蒸気を200℃、10mmAqの量で供給した後、一方向から冷却風が出る冷却装置2により糸条Yを冷却し、φ100の直径を有する給油ローラ4に円周溝3を2箇所設けたローラ油剤付与装置を用い、給油ローラ4と油剤供給トラフ5に溜められた油剤との浸漬長を10mmに調整および給油ローラ4の円周溝部3と糸条Yとの接糸長を9mmに調整した糸道規制ガイド6に、2フィラメントの糸条を円周溝3当たり1糸条ずつに糸分けして油剤付与させ、第1ゴデットローラ7,7’に3.5回巻き取った後、次の第2ゴデットローラ8,8’に4.5回巻き、且つ第1ゴデットローラと第2ゴデットローラ間で4倍に延伸した後、巻取装置9により2500m/minで巻き取り、50デシテックス、1フィラメントのポリアミドモノフィラメント繊維を得た。ローラ油剤付与装置のスペックとして、給油ローラ4の円周溝3の軸心方向(D)を3mmに固定し、給油ローラ4の軸心平行方向(L)に10mm(実施例5),40mm(実施例6),60mm(実施例7),80mm(実施例8)とし、比較例として、給油ローラ4の軸心平行方向(L)に5mm(比較例2)で評価した結果を表2に示す。
Figure 2009084721
表2の結果から明らかなように、実施例7および実施例8においては、ヨコヒケ,糸削れレベルが良好な結果を得た。また、実施例5および実施例6においては、さらに糸削れレベルが向上出来たことを確認した。一方、比較例2では糸揺れにより円周溝から糸か外れる現象が発生したこともあり、強度が低下し、ヨコヒケ,糸削れレベルも悪かった。
[実施例9〜10、比較例3]
98%硫酸相対粘度2.80のナイロン66樹脂を295℃で溶融し、口金孔径φ0.60の吐出孔を円周状に6孔配列した紡糸口金1より糸条Yを吐出し、口金下流側面に設けた加熱手段により加熱された加熱気体流路(図示せず)から口金へ水蒸気を200℃、10mmAqの量で供給した後、一方方向から冷却風が出る冷却装置2により糸条Yを冷却し、φ100の直径を有する給油ローラ4に円周溝3を1箇所設けたローラ油剤付与装置を用い、給油ローラ4と油剤供給トラフ5に溜められた油剤との浸漬長を10mmに調整および給油ローラ4の円周溝部3と糸条Yとの接糸長を9mmに調整した糸道規制ガイド6に、6フィラメントの糸条を糸分けして油剤付与させ、第1ゴデットローラ7,7’に3.5回巻き取った後、次の第2ゴデットローラ8,8’に4.5回巻き、且つ第1ゴデットローラと第2ゴデットローラ間で4倍に延伸した後、巻取装置9により3000m/minで巻き取り、17デシテックス、1フィラメントのポリアミドモノフィラメント繊維を得た。ローラ油剤付与装置のスペックとして、給油ローラ4の円周溝3の軸心方向(D)を3mmに固定し、給油ローラ4の軸心平行方向(L)に60mm(実施例9),80mm(実施例10)とし、比較例として、給油ローラ4の軸心平行方向(L)に100mm(比較例3)で評価した結果を表3に示す。
Figure 2009084721
表3の結果から明らかなように、実施例9および実施例10においては、ヨコヒケ,糸削れレベルが良好な結果を得た。一方、比較例3では、油膜厚みの保持力が低減し、安定した油膜厚みを形成することができなかったため、ヨコヒケ,糸削れレベルが悪くなった。
本発明によれば、糸条長手方向の油剤付着斑を抑制し、ヨコヒケや糸削れがない高品質な熱可塑性繊維を得ることができ、このようにして得られた熱可塑性樹脂からなるモノフィラメントを製織した紗織物は、近年急成を続けるエレクトロニクス分野や自動車分野において、より鮮明な印字性能や高いフィルター性能化が要求されているスクリーン紗印刷用途、フィルター用途、スピーカー用フィルター用途などに特に有用である。
図1は本発明を実施するために使用する製造装置の一例を示す正面図である。 図2は図1のローラ油剤付与装置の拡大図である。
符号の説明
1:口金
2:冷却装置
3:円周溝
4:給油ローラ
5:油剤供給トラフ
6:糸道規制ガイド
7,7’:第1ゴデットローラ
8,8’:第2ゴデットローラ
9:巻取装置
Y:糸条

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂の紡出糸条を冷却装置で冷却した後、この紡出糸条に対し給油ローラにて油剤を付与するローラ油剤付与装置において、前記給油ローラが、ローラ外周面の軸心方向に1mm以上の深さ、軸心平行方向に10mm〜80mmの幅を形成した溝部を少なくとも1箇所以上有していることを特徴とするローラ油剤付与装置。
  2. 熱可塑性樹脂を溶融紡糸し、紡出糸条を冷却装置で冷却した後、ローラ油剤付与装置により油剤付与処理し、幾つかのローラにより引き回し、巻取る熱可塑性繊維の製造方法において、請求項1に記載のローラ油剤付与装置を使用し、このローラ油剤付与装置における溝部にて、糸条に対し油剤を付与することを特徴とする熱可塑性繊維の製造方法。
  3. 前記熱可塑性繊維の形態がモノフィラメントであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性繊維の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂がポリアミドであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性繊維の製造方法。
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