JP2022157916A - ポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022157916A
JP2022157916A JP2021062435A JP2021062435A JP2022157916A JP 2022157916 A JP2022157916 A JP 2022157916A JP 2021062435 A JP2021062435 A JP 2021062435A JP 2021062435 A JP2021062435 A JP 2021062435A JP 2022157916 A JP2022157916 A JP 2022157916A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyphenylene sulfide
spinning
less
shear rate
yarn
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021062435A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022157916A5 (ja
Inventor
裕之 山下
Hiroyuki Yamashita
文登 森川
Fumito Morikawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KB Seiren Ltd
Original Assignee
KB Seiren Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KB Seiren Ltd filed Critical KB Seiren Ltd
Priority to JP2021062435A priority Critical patent/JP2022157916A/ja
Publication of JP2022157916A publication Critical patent/JP2022157916A/ja
Publication of JP2022157916A5 publication Critical patent/JP2022157916A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

【課題】 紡糸や延伸工程での操業性、効率よく繊維を得ることができ、毛羽や単糸切れの少ない品位の高いポリフェニレンスルフィド繊維を得ること。【解決手段】 口金ノズル孔部の紡糸ドラフトと剪断速度との関係が(1)~(5)のいずれか1の条件を満たし、口金ノズル孔部のランド長(L)とノズル孔の直径(D)の比である、L/Dが0.8~4の口金を用いて紡糸する、主たる構成単位がp-フェニレンスルフィド単位であるポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法である。(1)紡糸ドラフト5以上7.5未満の時、剪断速度85,000~140,000(2)紡糸ドラフト7.5以上9.5未満の時、剪断速度60,000~100,000(3)紡糸ドラフト9.5以上14未満の時、剪断速度45,000~80,000(4)紡糸ドラフト14以上18未満の時、剪断速度20,000~60,000(5)紡糸ドラフト18以上180未満の時、剪断速度5,000~40,000【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法に関する。
工業用フィルターは、耐薬品性や寸法安定性、熱耐久性等の点から、現在では、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、液晶ポリエステルなどからなるメッシュ織物が多く使用されている。特に、ポリフェニレンスルフィド製のメッシュ織物は、耐薬品性、寸法安定性やコストパフォーマンスに優れ、高度なフィルター性能が求められる分野に適しているため、広く用いられている。さらに、近年、フィルターの高性能化から、単糸繊度の極細化、細物のモノフィラメント、かなりの太い繊維など要求される繊度、単糸繊度、物性(強度、収縮率)など多岐にわたる。これに伴って、繊維の生産性や均一性なども重要視されている。
特許文献1は、高強度、高伸度で熱的寸法安定性の高いポリフェニレンスルフィド繊維を直接紡糸延伸法で延伸し、毛羽や糸切れの少なくする主に延伸工程での製造方法について記載されている。
また、特許文献2には、高強度、高伸度で熱的寸法安定性の高いポリフェニレンスルフィド繊維を直接紡糸延伸法で延伸する手法で、メルトフローレート、口金のL/D、冷却法、延伸条件などを規定し、毛羽や糸切れの少なくする製造方法について記載されている。
特許第4962361号公報 特開2001-262436号公報
しかしながら、特許文献1のポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法では、具体的には、インターレースを使用し糸の5から20個/mの交絡を入れ、糸を収束させるなどして製造されており、毛羽数は1千万km当たり、20個を超える個数があり、糸品位が優れているものではなかった。
特許文献2のポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法に規定されているL/Dは2.5~8が良いと記載されているが、L/Dが高すぎると、ノズル孔部の背圧が高くなり過ぎて、パック内の後圧が高くなり、紡糸不可、長時間の紡糸ができないという課題がある。また、ゲルやコンタミの混入を除去するためのフィルターのクリアランスを細かくできない恐れがある。また、紡糸油剤として、平滑剤、活性剤、乳化剤などを主成分とする水系エマルジョンが使用されているが、ポリエーテル類やホスホン酸塩などの制電剤が含まれている記述は無く、毛羽の減少対策には不十分である。
したがって、本発明は上記の課題を解決し、紡糸や延伸工程での操業性、効率よく繊維を得ることができ、毛羽や単糸切れの少ない品位の高いポリフェニレンスルフィド繊維を得ることを目的とする。
本発明者は、ポリフェニレンスルフィド繊維において、特定の紡糸ノズル孔部のL/Dの紡糸ドラフト及び剪断速度にすることによって、繊維中の含まれる毛羽数の低減を可能にして、品位の高い繊維が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、第一に、口金ノズル孔部の紡糸ドラフトと剪断速度との関係が(1)~(5)のいずれか1の条件を満たし、口金ノズル孔部のランド長(L)とノズル孔の直径(D)の比である、L/Dが0.8~4の口金を用いて紡糸する、主たる構成単位がp-フェニレンスルフィド単位であるポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法である。
(1)紡糸ドラフト5以上7.5未満の時、剪断速度85,000~140,000
(2)紡糸ドラフト7.5以上9.5未満の時、剪断速度60,000~100,000
(3)紡糸ドラフト9.5以上14未満の時、剪断速度45,000~80,000
(4)紡糸ドラフト14以上18未満の時、剪断速度20,000~60,000
(5)紡糸ドラフト18以上180未満の時、剪断速度5,000~40,000
本発明は第二に、紡糸油剤の成分として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールから選ばれる1種からなる単成分ポリエーテルまたは2種以上を共重合した共重合ポリエーテルを含むことを特徴とする上記ポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法である。
本発明は第三に、紡糸油剤として、オクチルホスフォネート塩を含むことを特徴とする上記の低乾熱性ポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法である。
本発明は第四に、単糸繊度4dtex以上であり、100万mあたりの毛羽数が2個以下であるポリフェニレンスルフィド繊維である。
本発明は第五に、単糸繊度2dtexを超えて4dtex未満であり、100万mあたりの毛羽数が5個以下であるポリフェニレンスルフィド繊維である。
本発明は第六に、単糸繊度2dtex以下であり、100万mあたりの毛羽数が8個以下であるポリフェニレンスルフィド繊維である。
本発明のポリフェニレンスルフィド繊維によれば、紡糸ノズル孔部のL/Dの紡糸ドラフト及び剪断速度を特定することによって、紡糸及び延伸操業性の大きな向上と繊維中の毛羽の低減し、繊維の品位の向上ができる。
本発明の繊維の製造方法において、紡糸ドラフトと剪断速度との関係を示すグラフの例である。 本発明の繊維の製造方法において、紡糸ドラフトと剪断速度との関係を示すグラフの他の例である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、ポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法としては、例えば、紡糸機を用いて、樹脂を溶融し、溶融した樹脂をフィルターでろ過した後、紡糸ノズル、口金ノズル孔部を介して紡出する。その後、糸条は冷却ゾーンにて冷却固化し、所定の紡糸速度でワインディングし、未延伸糸ボビンを採取し、延伸機にて、延伸及び熱セットを行い、延伸糸を製造する方法コンベンショナル法が好適に挙げられる。
本発明におけるポリフェニレンスルフィド樹脂は、主たる繰り返し単位(構成単位)としてp-フェニレンスルフィド単位を有するポリマーからなるポリフェニレンスルフィドである。
ポリフェニレンスルフィドのポリマータイプには、架橋タイプ、半架橋タイプ、線状タイプ(リニアー型)があるが、紡糸、延伸性において線状タイプが好ましい。
さらに本発明の効果を損なわない範囲内で、各種金属酸化物、カオリン、シリカなどの無機物や、着色剤、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤、末端基封止剤、相溶化剤等の各種添加剤をポリフェニレンスルフィドに少量含有しても良い。
本発明におけるポリフェニレンスルフィド樹脂のメルトフローレート(MFR)は100~250g/10minが好ましい。さらに好ましくは130~200g/10minである。紡糸をし易い点から、100g/min以上が好ましい。繊維の強度を保持し、フィルターのようなメッシュ織物に強度耐久性を持たせて好適に使用する点から、250g/minを以下であることが好ましい。
本発明におけるポリフェニレンスルフィド樹脂の紡糸前のペレットの水分率として、100ppm以下が好ましく、さらに好ましくは10~50ppmである。100ppmを超える場合、紡糸での糸切れの原因や、泡(気泡)の混入が発生し、紡糸操業性が低くなる恐れがある。
本発明におけるポリフェニレンスルフィド樹脂のペレットは、予備乾燥として、真空乾燥による低分子量成分をできるだけ除去したものが好ましく、乾燥温度は130~190℃、乾燥時間は6~12時間が好ましい。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂ペレットの溶融は、エクストルーダー型紡糸機を使用することが好ましい。紡糸温度は300~330℃にし、紡糸フィルターのクリアランスはコンタミやゲル除去、毛羽軽減の観点から、40dtex以下に関しては、5~15μmが好ましく、40dtexを超えるものは、15~30μmが好ましい。樹脂を溶融後、フィルターでろ過した後、紡糸用ノズルを用い、ノズル孔より紡出する。
本発明に使用される口金ノズル孔部での紡糸ドラフトは、紡糸速度と口金ノズル孔部の吐出線速度との比にて表される。また、口金ノズル孔部での剪断速度(γ)は、ノズル平均半径をr(cm)、単孔当たりのポリマー吐出量をQ(cm/sec)とするとき、γ=4Q/πrで計算される。紡糸ドラフトや剪断速度は、繊度やフィラメント数に応じ、適宜ノズル孔のランド長(L)や孔径(D)を選択し、以下の紡糸ドラフト及び剪断速度になるよう、選択することが好ましい。紡糸ドラフト5以上7.5未満の時、剪断速度85,000~140,000、紡糸ドラフト7.5以上9.5未満の時、剪断速度60,000~100,000、紡糸ドラフト9.5以上14未満の時、剪断速度45,000~80,000、紡糸ドラフト14以上18未満の時、剪断速度20,000~60,000、紡糸ドラフト18以上180未満の時、剪断速度5,000~40,000である。各剪断速度の下限未満のとき、ノズル孔部の背圧が低くなり、ポリマーの流れが不安定となったり、糸斑や、捲き付け中及び捲取り中のノズル直下での糸切れが頻繁に発生するなど、紡糸不良となる。また、各剪断速度の上限を超えるとき、ノズル孔部の背圧が高くなりすぎるため、パック内の後圧高くなり、紡糸不可、長時間の紡糸ができないことが挙げられる。また、ゲルやコンタミの混入を除去するためのフィルターのクリアランスを細かくできない恐れがある。
なお、図1及び図2は、剪断速度と紡糸ドラフトをプロットした例である。黒塗りの点(◆)は本発明の実施例の範囲内のものであり、白抜きの点(◇)は本発明の範囲外のものである。
本発明における口金ノズル孔部の口金ノズル孔部のランド長(L)とノズル孔の直径(D)の比は、L/Dが0.8以上、4以下が好ましく、さらに好ましくは1.5~2.3である。L/Dが0.8未満では、背圧が不安定となり、糸の斑や製糸性を損なう恐れがある。また、L/Dが2.5以上の場合、ランド部での圧損が大きくなり、背圧が高くなり過ぎて、紡糸できなくなったり、紡糸フィルターのフィルトレーション強化が難しくなり、製造する繊維の毛羽数を増やす原因となる可能性がある。
本発明におけてノズルから吐出されたポリマーは紡糸直下の保温筒と冷却ゾーンを通り、冷風を吹き付けて固化させるとよい。その時の冷風の温度は、20~30℃が好ましい。冷風の風速は、20~45m/minがこのましい。延伸後の単糸繊度が1.5dtex以下の場合は、冷風の風速は、20~30m/minであることがより好ましい。また、冷却ゾーンは口金直下100mm以下とすることが好ましい。
本発明の油剤付与方法は冷却ゾーン通過後に紡糸油剤を付与する。油剤の付与方法としては、ロールに接触させて付与する、ガイドに接触させて付与するなど、公知の付与方法を用いることができる。
本発明におけるポリフェニレンスルフィド繊維の後工程通過性、品位の良好な織物や編物、メッシュを得る点などから、糸条油剤付着量(OPU)は、モノフィラの場合、0.15~0.5質量%が好ましい。より好ましくは、0.25~0.35質量%である。0.15質量%未満では、静電気が発生し易く、製織などの取り扱い性が劣る傾向がある。0.5質量%超える場合、製織時のスカム発生し易い傾向があり、メッシュ織物、工業用フィルターの品位に影響を及ぼすことや、紡糸捲取工程での、ボビン崩れの原因となる恐れがある。また、マルチフィラメントの場合、0.5~1.5質量%が好ましい。より好ましくは、0.6~1.2質量%である。0.5質量%未満では、静電気が発生し易く、製織時などの取り扱い性が劣る傾向がある。1.5質量%超える場合、製織時のスカム発生し易い傾向があり、メッシュ織物、工業用フィルター等の品位に影響する恐れがある。
本発明におけるポリフェニレンスルフィド繊維の紡糸油剤は、制電剤であるポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールのような単成分ポリエーテルまたは、これらのポリエーテルのうち2種以上を共重合した共重合ポリエーテルからなるポリエーテル成分を含むものであることが好ましい 。これらの油分のうち、共重合ポリエーテルが好ましく、例えばアルキルPO/EOなどが挙げられる。なお平滑成分であるポリエーテル成分は繊維表面に油膜を形成するが、共重合ポリエーテルを用いることで油膜はより強固になり、捲取り中に生じる捲き締りによるパッケージ内層の繊維へのダメージを軽減することで物性バラつきが抑えられる他に、強固な油膜のため各種ガイドでの擦過で油膜が剥がれにくくなり、繊維の摩擦係数が小さくなり高次工程通過性が良好になると考えられる。
上記ポリエーテル成分の平均分子量は2000~13000が好ましく、より好ましくは3000~10000である。平均分子量2000以上で繊維表面に強固な油膜を形成することが出来、平均分子量が13000以下であれば、紡糸油剤の粘度は、油分であるポリエーテル成分の平均分子量が増加することにより高くなり、繊維表面の摩擦係数は高くなるが、高次工程通過性には影響を及ぼさない傾向があるためである。
紡糸油剤に含まれるポリエーテル系制電剤含有量 としては、4~50%が好ましく、さらに好ましくは、5~30%である。4%未満の場合、繊維表面に良好な油膜が形成されず、剥がれやすくなり、高次工程通過性が悪くなる恐れがある。また50%を超える場合には、平滑性が無くなることや紡糸油剤の粘度が高くなりすぎて、ガイドやローラーの汚染や生地の染色斑などの欠点を発生させる恐れがある。
また、上記制電剤の他に平滑剤として、一般的に使用される紡糸用の鉱物油や脂肪酸エステルや乳化剤を添加しても構わない。
本発明において、低乾熱性(150℃、20分での評価で収縮率3.5%以下)のポリフェニレンスルフィド繊維においては、紡糸油剤として、制電剤であるホスフォネート(ホスフォン酸塩)を含むものが好ましい。具体例として、ヘキシルペンチルホスフォネート、ヘプチルペンチルホスフォネート、オクチルペンチルホスフォネート、デシルペンチルホスフォネート、フェニルペンチルホスフォネート、ジブチルペンチルホスフォネート、ジヘキシルホスフォネート、ヘプチルホスフォネート、ペンチルホスフォネート、オクチルホスフォネート、及びフェニルホスフォネートが挙げられる。中でも、特にオクチルホスフォネートカリウム塩が好ましい。
平滑剤として、脂肪酸エステルが好ましく、種類は問わない。また、乳化剤を併用しても構わない。またポリエーテル系も混用しても構わない。
紡糸油剤に含まれ、制電剤であるホスフォネート系油剤含有量としては、油剤の全構成100質量%としたとき、10~100質量%が好ましく、さらに好ましくは、30~60質量%である。下限未満の場合、繊維表面に良好な油膜が形成されず、剥がれやすくなることや、延伸での糸切れやロールへの単糸捲きが発生する恐れがある。
本発明において、実質的に紡糸油剤を繊維表面に付着させる方法としては、付着させる際に、油分を全量に対して1質量%~20質量%水に分散させた水系エマルションとして用いることが好ましく、1質量%~20質量%の水系エマルションが更に好ましい。このエマルション濃度が20質量%を超える高濃度の水系エマルションを用いると所定の油分を付着させたときに物性が安定しなくなることがあるためにこのような低濃度の水系エマルションが好ましい。
本発明の巻き取りにおいて、糸条に油剤付与されたのち、所定の紡糸速度のゴデッドロールを介して、未延伸糸が捲き取られる。紡糸速度については、400~3600m/minが好ましい。
本発明のポリフェニレンスルフィド未延伸糸で、低乾熱特性を必要としないマルチフィラメントの延伸に用いる好適な延伸機は、例えば、ゴムローラと一対となったフィードロール(1stR)と予備加熱を行うロールヒーター(2ndR)、ドローロール(3rdR)、ロールヒーターとドローロール間になるプレートヒーターで構成され、スピンドル駆動でパーン捲き取られる方式のものが挙げられる。
上記ロールヒーターの温度は、100~120℃が好ましく、さらに好ましくは、105~110℃である。
上記プレートヒーターの熱セット温度は、様々な工業用フィルターなどに使用することを勘案すると、160~190℃が好ましい。
延伸速度は、500~1200m/minが好ましく、さらに好ましくは、600~1000m/minである。
延伸倍率は、1stR―2ndR間で1.01~1.05倍が好ましく、さらに好ましくは、1.01~1.03倍である。2ndR―3rdR間では、繊維の目標伸度30%など、延伸倍率を調整して設定すればよい。
本発明のポリフェニレンスルフィド未延伸糸で、上記低乾熱特性を必要としないモノフィラメントの延伸に用いる好適な延伸機は、ゴムローラと一対となったフィードロール(1stR)と予備加熱を行うロールヒーター(2ndR)、コールドロール(3rdR)、ドローロール(4thR)、コールドロールとドローロール間になるプレートヒーターで構成され、スピンドル駆動でパーン捲き取られる方式のものが挙げられる。
上記ロールヒーターの温度は、100~120℃が好ましく、さらに好ましくは、105~110℃である。
上記熱セット温度は、様々な工業用フィルターなどに使用ことを勘案すると、160~190℃が好ましい。
延伸速度は、500~1200m/minが好ましく、さらに好ましくは、600~1000m/minである。
延伸倍率は1stR―2ndR間で1.01~1.05倍が好ましく、さらに好ましくは、1.01~1.03倍である。3rdR―4thR間では、主にパーンヒケ軽減のため、緩和処理を行うため、0.95~0.99倍が好ましく、さらに好ましくは、0.965~0.985倍である。2ndR―3rdR間では、繊維の目標伸度30%など、延伸倍率を調整して設定すればよい。
本発明のポリフェニレンスルフィド未延伸糸で、上記低乾熱特性を必要とするマルチフィラメントの延伸に用いる好適な延伸機は、ゴムローラと一対となったフィードロール(1stR)と予備加熱を行うロールヒーター(2ndR)、熱セットを行うロールヒーター(3rdR、4thR)、ドローロール(5thR)で構成され、スピンドル駆動でパーン捲き取られる方式のものが挙げられる。
ロールヒーターの温度は、100~120℃が好ましく、さらに好ましくは、105~110℃である。
3rd及び4thRの熱セット温度は、様々な工業用資材などに使用することを勘案すると、3rdRは100~160℃が好ましく、4t-hRは180~225℃が好ましい。
延伸速度は、500~1200m/minが好ましく、さらに好ましくは、600~1000m/minである。
延伸倍率は、1stR―2ndR間で1.01~1.05倍が好ましく、さらに好ましくは、1.01~1.03倍である。3rdR―4thR間では、1~1.1倍が好ましい。4thR―5thR間では、主に緩和処理を行うため、0.95~0.99倍が好ましく、さらに好ましくは、0.965~0.985倍である。2ndR―3rdR間では、繊維の目標伸度23%など、延伸倍率を調整して設定すればよい。
本発明におけるポリフェニレンスルフィドのマルチフィラメントについては、必要に応じて、ドローロール通過後、インターレースノズル(I/L)を導入し、糸に交絡を入れても構わない。この場合、交絡数は8~25個/mの範囲が好ましく、さらに好ましくは、10~20個/mである。
本発明におけるポリフェニレンスルフィド繊維の毛羽数としては、100万mあたり単糸繊度が4dtex以上のとき、毛羽数が2個以下であり、単糸繊度が2dtexを超え、4dtex未満のとき、毛羽数が5個以下、単糸繊度が2dtex以下のとき、8個以下であることが好ましい。さらに好ましくは、各単糸繊度において、100万mあたりの毛羽数が2個未満であることが好ましく、毛羽が無いことが最も好ましい。毛羽数が上記範囲内であれば、従前のものよりも生地欠点が低減され、高精度、高性能が必要とされるフィルターなどの製品に特に好適に使用できるものとなる。
本発明におけるポリフェニレンスルフィド繊維の横断面形状は特に限定されず、繊維の外形は円形、三角、四角、中空などなんでも良い。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。実施例におけるフィラメントの物性、評価は、以下の通りとした。
A.MFR
JIS K 7210(2014年)に準じて、温度315.5℃、荷重5000gの条件でMFR値を測定した。
B. 繊度
JIS L 1013に準じ、試料を枠周1.125mの検尺機を用い、120回/minの速度で捲き取り、その質量を量り、繊度を求めた。これを5回測定し、平均値を算出した。
C.破断強度、破断伸度
JIS L 1013に準じ、島津製作所製のAGS-1KNGオートグラフ引張試験機を用い、試料糸長20cm、定速引張速度20cm/minの条件で測定する。荷重-伸び曲線での荷重の最高値を繊度で除した値を破断強度(cN/dtex)とし、その時の伸び率を破断伸度(%)とする。
D.乾熱収縮率
150℃乾熱収縮率は、JIS L1013(1999) 8.18.2bの方法で、150℃に加熱された乾燥機を用い、測定した。
E. 毛羽数
延伸糸をクリールに置き、糸をリングテンサーでテンションを与え、レーザー式検知タイプの検出器(大広社製、Flufe Detector)に糸を通し、測定速度400m/minにて計測した。1本あたり10万m測定し、100万mあたりに換算し求めた。次に、本数が10本平均を算出し、100万m当たりの毛羽数とした。
F.紡糸及び延伸時糸切れ評価(総合評価)
紡糸時点で、ボビンの採取、捲き付け不可の場合、またはサッカーで糸を吸うとノズル直下で切れる場合を「×」、「×」ではなく延伸時に延伸ローラーに単糸捲付きや糸切れが発生する、または毛羽検査での100万m当たりの毛羽数が以下の個数を超えるか、いずれか一以上が該当する場合を「△」、「×」「△」ではなく、問題無く製品を採取できたものを「〇」とした。
〔実施例1〕
MFRが160g/10minのp-ポリフェニレンスルフィド樹脂(水分率:20ppm) を準備し、紡糸温度328℃で溶融した。溶融したポリフェニレンスルフィドを、孔を72個有する紡糸用口金(L/D:0.35mm/0.17mm)を用い、未延伸糸の繊度が120dtexとなる吐出量で吐出した。吐出したポリフェニレンスルフィドの糸条は、ユニフロー型冷却装置にて25℃の冷風で冷却した。その後、糸条は、脂肪酸エステルと鉱物油などの平滑剤と乳化剤を95質量%、油剤主成分当たり、共重合ポリエーテル成分を5質量%で構成された油剤で、その油剤を18質量%の水系エマルション油剤をオイリングノズルで付与(糸条油脂付着量:0.8質量%)し、次いで、糸条を速度1570m/minで非加熱の2つのゴデッドロールに通し、ワインダーでボビンを捲き取り、6kg捲きのカットファイバー用ポリフェニレンスルフィド未延伸糸ボビンを得た。
〔実施例2〕
MFRが160g/10minのp-ポリフェニレンスルフィド樹脂(水分率:20ppm) を準備し、紡糸温度328℃で溶融した。溶融したポリフェニレンスルフィドを、孔を72個有する紡糸用口金(L/D:0.35mm/0.17mm)を用い、未延伸繊度が269dtexとなる吐出量で吐出した。吐出したポリフェニレンスルフィドの糸条は、ユニフロー型冷却装置にて25℃の冷風で冷却した。その後、糸条は、脂肪酸エステルと鉱物油などの平滑剤と乳化剤を95質量%と油剤主成分当たり、共重合ポリエーテル成分を5質量%で構成された油剤で、その油剤を18質量%の水系エマルション油剤をオイリングノズルで付与(糸条油脂付着量:0.8質量%)した。次いで、糸条を速度1570m/minで非加熱の2つのゴデッドロールに通し、ワインダーでボビンを捲きとり、ポリフェニレンスルフィド未延伸糸ボビンを得た。次の延伸工程では、クリール、非加熱のフィードロール(1stR)、予備加熱用のヒーターロール(2ndR)、ドローロール間に設置した熱セットを施すプレートヒーターと捲取部で構成される延伸機を用いて延伸する。クリールに未延伸糸ボビンを設置し、100℃で予備加熱し、3.2倍で延伸、172℃で熱セットし、延伸速度800m/minで捲き取り、ポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
〔比較例1〕
紡糸工程で、未延伸繊度が294dtexとなる吐出量で吐出し、糸条を速度900m/minで未延伸ボビンを得て、延伸工程で、延伸倍率を3.5倍とする以外は、実施例2と同様に、ポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
〔比較例2〕
紡糸用口金(L/D:0.35mm/0.17mm)を用い、繊度が84dtexとなる吐出量で吐出し、糸条を速度3150m/minで非加熱の2つのゴデッドロールに通し、ワインダーでボビンを捲きとり、ポリフェニレンスルフィド半延伸糸を得た以外は、実施例1と同様に、ポリフェニレンスルフィド繊維を得た。
〔実施例3〕
MFRが160g/10minのp-ポリフェニレンスルフィド樹脂(水分率:20ppm) を準備し、紡糸温度328℃で溶融した。溶融したポリフェニレンスルフィドを、孔を2個有する紡糸用口金(L/D:0.6mm/0.6mm)を用い、未延伸糸の繊度が116dtexとなる吐出量で吐出した。吐出したポリフェニレンスルフィドの糸条は、ユニフロー型冷却装置にて25℃の冷風で冷却した。その後、糸状は、脂肪酸エステルと鉱物油などの平滑剤と乳化剤が88質量%と共重合ポリエーテル成分を12質量%で構成される油剤で、その油剤を10質量%に調整した水系エマルション油剤をオイリングノズルで付与(糸条油脂付着量:0.35質量%)した。次いで、糸条を速度1560m/minで非加熱の2つのゴデッドロールに通し、ワインダーでボビンを捲き取り、ポリフェニレンスルフィド未延伸糸ボビンを得た。次の延伸工程では、クリール、非加熱のフィードロール(1stR)、予備加熱用のロールヒーター(2ndR)、コールドロール(3rdR)、コールドロールとドローロール間に設置した熱セットを施すプレートヒーターと捲取部で構成される延伸機を用いた。クリールに未延伸糸ボビンを設置し、100℃で予備加熱し、3.5倍で延伸後、180℃で熱セットし0.96倍で緩和させ、延伸速度800m/minで捲取り、ポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
〔比較例3〕
紡糸用口金(L/D:0.45mm/0.6mm)を用いるよう変更する以外は、実施例3と同様に、ポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
〔実施例4〕
MFRが160g/10minのp-ポリフェニレンスルフィド樹脂(水分率:20ppm) を準備し、紡糸温度328℃で溶融した。溶融したポリフェニレンスルフィドを、孔を72個有する紡糸用口金(L/D:0.5mm/0.23mm)を用い、未延伸糸の繊度が850dtexとなる吐出量で吐出した。吐出したポリフェニレンスルフィドの糸条は、ユニフロー型冷却装置にて25℃の冷風で冷却した。その後、糸条は、脂肪酸エステルと鉱物油などの平滑剤と乳化剤の油剤50質量%と、オクチルホスフォネートカリウム50質量%で構成される油剤で、その油剤を18質量%の水系エマルション油剤として調整しオイリングノズルで付与(糸条油脂付着量:1質量%)し、次いで、糸条を速度1550m/minで非加熱の2つのゴデッドロールに通し、ワインダーでボビンを捲き取り、ポリフェニレンスルフィド未延伸糸のボビンを得た。次の延伸工程では、クリール、非加熱のフィードロール(1stR)、予備加熱用のヒーターロール(2ndR)、熱セットを施す2つのヒーターロール(3rdR、4thR)とドローロール(5thR)と捲取部で構成される延伸機を用いた。クリールに未延伸ボビンを設置し、2ndR(100℃)で予備加熱、3rdR(110℃)、4thR(220℃)に熱セットし、1st-2ndR間/2nd-3rdR間/3rd-4thR間/4th-5thR間のそれぞれの延伸倍率が、1.03倍/3.38倍/1.00倍/0.978倍で延伸し、延伸速度800m/minで捲き取り、低乾熱ポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
〔比較例4~6〕
紡糸用口金(L/D:1mm/0.23mm、0.18mm/0.23mm、0.35mm/0.15mm)にそれぞれ変更する以外は、実施例4と同様に、低乾熱性のポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
〔実施例5〕
紡糸速度900m/minに変更し、未延伸糸の繊度1060dtexの未延伸糸のボビンを得、クリールに未延伸ボビンを設置し、2ndR(100℃)で予備加熱、3rdR(110℃)、4thR(220℃)に熱0セットし、1st-2ndR間DR/2nd-3rdR間DR/3rd-4thR間DR/4th-5thR間DRのそれぞれの延伸倍率が、1.03倍/4.27倍/1.00倍/0.978倍とする以外は、実施例4と同様に、低乾熱性のポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
〔実施例6〕
紡糸用口金(L/D:35mm/0.17mm)を用いるよう変更する以外は、実施例5と同様に、低乾熱性のポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
〔実施例7〕
MFRが160g/10minのp-ポリフェニレンスルフィド樹脂(水分率:20ppm) を準備し、紡糸温度328℃で溶融した。溶融したポリフェニレンスルフィドを、孔を72個有する紡糸用口金(L/D:0.5mm/0.23mm)を用い、未延伸糸の繊度が250dtexとなる吐出量で吐出した。吐出したポリフェニレンスルフィドの糸条は、ユニフロー型冷却装置にて25℃の冷風で冷却した。その後、糸条は、脂肪酸エステルと鉱物油などの平滑剤と乳化剤の油剤50質量%と、オクチルホスフォネートカリウム50質量%とで構成された油剤で、その油剤を18質量%の水系エマルション油剤として調整し、オイリングノズルで付与(糸条油脂付着量:1質量%)した。次いで、糸条を速度3200m/minで非加熱の2つのゴデッドロールに通し、ワインダーでボビンを捲きとり、ポリフェニレンスルフィド半延伸糸のボビンを得た。
〔実施例8〕
MFRが160g/10minのp-ポリフェニレンスルフィド樹脂(水分率:20ppm) を準備し、紡糸温度328℃で溶融した。溶融したポリフェニレンスルフィドを、孔を72個有する紡糸用口金(L/D:0.4mm/0.2mm)を用い、未延伸糸の繊度が548dtexとなる吐出量で吐出した。吐出したポリフェニレンスルフィドの糸条は、ユニフロー型冷却装置にて25℃の冷風で冷却した。その後、糸条は、脂肪酸エステルと鉱物油などの平滑剤と乳化剤成分の油剤50質量%とオクチルホスフォネートカリウム50質量%とで構成した油剤で、その油剤を18質量%の水系エマルション油剤として調整し、オイリングノズルで付与(糸条油脂付着量:1質量%)した。次いで、糸条を速度1200m/minで非加熱の2つのゴデッドロールに通し、ワインダーでボビンを捲きとり、ポリフェニレンスルフィド未延伸糸のボビンを得た。次の延伸工程では、クリール、非加熱のフィードロール(1stR)、予備加熱用のヒーターロール(2ndR)、熱セットを施す2つのヒーターロール(3rdR、4thR)とドローロール(5thR)と捲取部で構成される延伸機を用いた。クリールに未延伸ボビンを設置し、2ndR(100℃)で予備加熱、3rdR(110℃)、4thR(220℃)に熱セットし、1st-2ndR間DR/2nd-3rdR間DR/3rd-4thR間DR/4th-5thR間DRのそれぞれの延伸倍率が、1.03倍/3.26倍/1.00倍/0.978倍で延伸し、延伸速度800m/minで捲き取り、低乾熱性のポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
〔実施例9〕
紡糸用口金(L/D:0.5mm/0.23mm)、紡糸用油剤がオクチルホスフォネートカリウムを100質量%使用し、それを18質量%の水系エマルション油剤に変更する以外は、実施例8と同様に、低乾熱性のポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
〔実施例10〕
紡糸用口金(L/D:0.5mm/0.25mmに変更する以外は、実施例8と同様に、低乾熱性のポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
〔実施例11〕
紡糸用口金(L/D:0.4mm/0.2mm)を使用し、紡糸速度1000m/minで未延伸繊度565dtexの未延伸糸のボビンを得、延伸工程で、クリールに未延伸糸のボビンを設置し、2ndR(100℃)で予備加熱、3rdR(110℃)、4thR(220℃)に熱セットし、1st-2ndR間DR/2nd-3rdR間DR/3rd-4thR間DR/4th-5thR間DRのそれぞれの延伸倍率が、1.03倍/3.36倍/1.00倍/0.978倍で延伸し、延伸速度800m/minで捲き取る以外は、実施例8と同様に、低乾熱性のポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
〔比較例7~10〕
紡糸用口金(L/D=0.4mm/0.2mm、0.5mm/0.23mm、0.5mm/0.25mm、0.4mm/0.16mm)をそれぞれ使用し、紡糸速度800m/minで未延伸糸の繊度581dtexの未延伸糸のボビンを得、延伸工程で、クリールに未延伸糸のボビンを設置し、2ndR(100℃)で予備加熱、3rdR(110℃)、4thR(220℃)に熱セットし、1st-2ndR間DR/2nd-3rdR間DR/3rd-4thR間DR/4th-5thR間DRのそれぞれの延伸倍率が、1.03倍/3.46倍/1.00倍/0.978倍で延伸し、延伸速度800m/minで捲取る以外は、実施例10と同様に、低乾熱ポリフェニレンスルフィド延伸糸を得た。
実施例1~11、比較例1~10のポリフェニレンスルフィドの製造条件、糸物性、各評価の結果について、表1、表2に示す。
Figure 2022157916000001

Figure 2022157916000002
紡糸ノズル孔部のL/D、紡糸ドラフト及び剪断速度を制御し、特定の紡糸油剤を併用した実施例1~11のポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法によれば、紡糸及び延伸操業性が大きく向上し、また得られた繊維は、繊維中の大きく毛羽低減し、品位の良い繊維であった。また、その後の後工程通過性も非常によく、品質の良い製品が得られた。
ノズル孔部の紡糸ドラフトが120で、剪断速度が、3992sec-1と低い比較例1の製造方法によれば、ノズル孔部の背圧が不十分となり、紡糸中ゴデッドロールに捲き付けた瞬間、ノズル直下糸切れが多発し、ポリフェニレンスルフィド繊維のボビンを採取ができなかった。
紡糸ドラフトが非常に高い比較例2から得られたポリフェニレンスルフィド半延伸繊維は、ノズル直下での細化が大きくなり、単糸切れが発生した。100万mあたりの毛羽数の評価では平均12個検出され、繊維の品位が悪く、紡糸操業性もあまり良いものでなかった。
L/Dが0.75と小さい比較例3の製造方法によればノズル孔部の背圧が安定せず、ノズル直下のポリマースウェルがノズル面に対し直交せず、変な傾きに吐出されるなど紡糸中に不具合が多く、口金のノズル直下では糸切れなども多数発生し、紡糸操業性も悪かった。また、得られた繊維は太さ斑などがあり、糸品位の悪いものとなった。
L/Dが4.35と高い比較例4の製造方法によれば、口金のノズル孔部の背圧が高くなり、パック内の後圧上昇により長時間の紡糸が難しく、正常な紡糸ができなかった。
L/Dが0.78と小さい比較例5の製造方法によれば、口金のノズル孔部の背圧が安定せず、ノズル直下のポリマースウェルが変な向きに吐出されるなど紡糸中に不具合が多く、口金のノズル直下では糸切れなども多数発生し、紡糸操業性も悪かった。また、得られた繊維は太さ斑などがあり、糸品位の悪いものとなった。
剪断速度が高い比較例6の製造方法によれば、口金のノズル孔の直径が小さいところに、ポリマー流量を多く流すため、剪断速度が高くなり、ノズル孔部の背圧は十分となるが、パック内の後圧が非常に高くなり、後圧上限近くとなりボビンに満捲を採取できなかった。
ノズル孔部の剪断速度が低い比較例7~9の製造方法によれば、口金のノズル孔部の背圧が不十分となり、紡糸中ゴデッドロールに捲き付けた瞬間、ノズル直下糸切れが多発し、ポリフェニレンスルフィド繊維をボビンに採取ができなかった。
また紡糸ドラフトが低い比較例10の製造方法によれば、紡糸ができなかった。
このように、実施例1~11の得られたポリフェニレンスルフィド繊維製造方法によれば、紡糸及び延伸操業性が優れていた。そして得られたポリフェニレンスルフィド繊維は、繊維中の毛羽が大きく低減された、品位の良い繊維であった。また、その後の整経、製織、加工などの後工程通過性も非常によく、品質の良い生地が得られた。得られた繊維、生地は各種製品に好適に適用できる。

Claims (6)

  1. 口金ノズル孔部の紡糸ドラフトと剪断速度との関係が(1)~(5)のいずれか1の条件を満たし、口金ノズル孔部のランド長(L)とノズル孔の直径(D)の比である、L/Dが0.8~4の口金を用いて紡糸する、主たる構成単位がp-フェニレンスルフィド単位であるポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法。
    (1)紡糸ドラフト5以上7.5未満の時、剪断速度85,000~140,000
    (2)紡糸ドラフト7.5以上9.5未満の時、剪断速度60,000~100,000
    (3)紡糸ドラフト9.5以上14未満の時、剪断速度45,000~80,000
    (4)紡糸ドラフト14以上18未満の時、剪断速度20,000~60,000
    (5)紡糸ドラフト18以上180未満の時、剪断速度5,000~40,000
  2. 紡糸油剤の成分として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールから選ばれる1種からなる単成分ポリエーテルまたは2種以上を共重合した共重合ポリエーテルを含むことを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法。
  3. 紡糸油剤として、オクチルホスフォネート塩を含むことを特徴とする請求項1記載の低乾熱性ポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法。
  4. 単糸繊度4dtex以上であり、100万mあたりの毛羽数が2個以下であるポリフェニレンスルフィド繊維。
  5. 単糸繊度2dtexを超えて4dtex未満であり、100万mあたりの毛羽数が5個以下であるポリフェニレンスルフィド繊維。
  6. 単糸繊度2dtex以下であり、100万mあたりの毛羽数が8個以下であるポリフェニレンスルフィド繊維。
JP2021062435A 2021-03-31 2021-03-31 ポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法 Pending JP2022157916A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021062435A JP2022157916A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 ポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021062435A JP2022157916A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 ポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022157916A true JP2022157916A (ja) 2022-10-14
JP2022157916A5 JP2022157916A5 (ja) 2024-04-30

Family

ID=83559410

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021062435A Pending JP2022157916A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 ポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022157916A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI496966B (zh) 聚酯單絲、及其製造方法、及使用其之網版用紗之製造方法
US20100285315A1 (en) Polyphenylene sulfide fiber and process for producing the same
JP5470930B2 (ja) 液晶ポリエステル繊維の製造方法
CA3103960C (en) Method for producing nonwoven fabric with improved filtration performance
CN111164243A (zh) 莱赛尔型纤维素长丝生产方法
EP4112789A1 (en) Polyphenylene sulfide monofilament, method for manufacturing same, and fiber package
JP2022157916A (ja) ポリフェニレンスルフィド繊維の製造方法
JP6283352B2 (ja) ポリフェニレンスルフィドモノフィラメントおよびその製造方法
JPWO2008146690A1 (ja) スクリーン紗用モノフィラメント及びスクリーン紗の製造方法
JP7456383B2 (ja) 高精細ハイメッシュフィルター用芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント
JP7402648B2 (ja) ポリフェニレンスルフィドモノフィラメントとその製造方法及びそのパッケージ
JP7453832B2 (ja) ポリフェニレンスルフィドモノフィラメントからなる繊維パッケージ及びその製造方法
US20220112627A1 (en) Cellulose filament process
CN109477248B (zh) 聚烯烃系纤维及其制造方法
JP2022157916A5 (ja)
JP2004052173A (ja) 高強度ポリエステルモノフィラメント及びその製造方法
JPS6158565B2 (ja)
KR101143658B1 (ko) 폴리비닐클로라이드와 접착력이 우수한 폴리에스테르 섬유및 그의 제조방법
JPH08267948A (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント及びその製造方法
JP5141870B2 (ja) 弗素系樹脂モノフィラメント、その製造方法および工業織物
JP3271401B2 (ja) ポリエステル繊維の製造方法
JP2023111771A (ja) 生分解性ポリエステル繊維およびその製造方法
JP2005133249A (ja) 分繊用ポリ乳酸マルチフィラメントとその製造方法
JP2009084720A (ja) 熱可塑性合成繊維の製造方法
CA2336014A1 (en) Coarse titer elastane and wet spinning method for producing the same

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230925

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240419