JP2009081118A - 固体高分子形燃料電池構造体及びこれを用いた固体高分子形燃料電池 - Google Patents

固体高分子形燃料電池構造体及びこれを用いた固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電解質膜の破損を防止しつつ、良好なガスバリア性及びガスケットに対する溶着性を有する固体高分子形燃料電池構造体及びこれを用いた固体高分子形燃料電池を提供する。
【解決手段】電解質膜−触媒層接合体10と、電解質膜−触媒層接合体10の両面に溶着された枠状の補強シート4と、触媒層3の周囲を囲むように補強シート4上に設置されたガスケット6とを備えている。補強シート4は中央部に開口部41を有しており、触媒層3が外周縁部31を除いて開口部41から露出している。また、各補強シート4は、第1の溶着層42と、第1の溶着層42上に形成されたガスバリア層43と、ガスバリア層43上に形成された第2の溶着層44とを有している。第1の溶着層42は電解質膜2の外周縁部21及び触媒層3の外周縁部31に溶着し、第2の溶着層44はガスケット6に溶着している。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池及びこれを用いた固体高分子形燃料電池に関するものである。
燃料電池は、電解質の両面に電極が配置され、水素と酸素の電気化学反応により発電する電池であり、発電時に発生するのは水のみである。このように従来の内燃機関と異なり、二酸化炭素等の環境負荷ガスを発生しないために次世代のクリーンエネルギーシステムとして普及が見込まれている。その中でも特に固体高分子形燃料電池は、作動温度が低く、電解質の抵抗が少ないことに加え、活性の高い触媒を用いるので小型でも高出力を得ることができ、家庭用コージェネレーションシステム等として早期の実用化が見込まれている。
この固体高分子形燃料電池は、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜を用い、この電解質膜の両面に触媒層及びガス拡散層を順に積層している。そして、この触媒層及びガス拡散層からなる電極の周囲を囲むようにガスケットを配置し、さらにこれをセパレータで挟んだ構造を有している(例えば、特許文献1の図2参照)。また、ガスケットは位置精度の観点から電極の一回り外側を囲むように設置されているため、ガスケットと電極との間には隙間が形成されており、この隙間部分に対応する電解質膜は、電極またはガスケットのどちらにも押さえられていない状態となっている。ここで、上記固体高分子形燃料電池で発電・非発電を繰り返すと、電解質膜は、湿潤状態と乾燥状態とを繰り返すが、この上記隙間部分に対応する電解質膜は、電極またはガスケットで押さえられていないため、膨張と収縮が繰り返される。この結果電解質膜に応力が生じて疲労してしまい、電解質膜が破損してしまうといった問題があった。
この問題を解消するため、例えば特許文献1に開示された固体高分子形燃料電池は、電極とガスケットとの間の隙間に補強膜をさらに設けている。この補強膜は、ガスケットと同様に中央部に開口部を有する枠状に形成されており、その外周縁部がガスケットと電解質膜との間に挟まれており、その内周縁部は、セパレータとガス拡散層との間に挟まれている。このように、特許文献1の固体高分子形燃料電池は、補強膜によって、ガスケットと電極との間の隙間部分を拘束し、電解質膜の膨張・収縮を抑制している。
特許第3052536号公報
上記固体高分子形燃料電池は、電解質膜−電極接合体がガスケットと一体になっていないが、取り扱いの観点から電解質膜−電極接合体や電解質膜−触媒層接合体とガスケットとが一体になっている固体高分子形燃料電池構造体が要望されている。しかしながら、上記固体高分子形燃料電池は、電解質膜−電極接合体をガスケット付きとすると、補強膜はポリオレフィン系樹脂などの溶着性を有する樹脂を使用する必要があるため、ガスバリア性が不十分となる。また、これを防ぐために補強膜のガスバリア性を向上させると、ガスケットとの溶着性が不十分となってしまうといった問題がある。
そこで、本発明は、電解質膜の破損を防止しつつ、良好なガスバリア性及びガスケットに対する溶着性を有する固体高分子形燃料電池構造体及びこれを用いた固体高分子形燃料電池を提供することを課題とする。
本発明に係る固体高分子形燃料電池構造体は、上記課題を解決するためになされたものであり、固体高分子電解質膜、及び前記電解質膜の外周縁部を除いて両面に形成された触媒層からなる電解質膜−触媒層接合体と、中央部に開口部を有し、前記触媒層が外周縁部を除いて前記開口部から露出するように前記電解質膜−触媒層接合体の両面にそれぞれ溶着された枠状の補強シートと、前記触媒層の周囲を囲むように前記各補強シート上に設置されたガスケットと、を備え、前記各補強シートは、第1の溶着層と、前記第1の溶着層上に形成されたガスバリア層と、前記ガスバリア層上に形成された第2の溶着層とを有しており、前記第1の溶着層が前記電解質膜の外周縁部及び前記触媒層の外周縁部に溶着し、前記第2の溶着層が前記ガスケットに溶着している。
このように構成された固体高分子形燃料電池構造体は、触媒層が形成されていない電解質膜の外周縁部に補強シートが溶着されているため、電解質膜の外周縁部は補強シートによって拘束される。よって、電解質膜の外周縁部は膨張・収縮が抑制され、ひいては電解質膜の破損を防止することができる。また、補強シートが、第1の溶着層、ガスバリア層、及び第2の溶着層の3層構造となっている。そして、補強シートは、電解質膜−触媒層接合体に溶着する層として第1の溶着層を有しており、ガスケットと溶着する層として第3の溶着層を有している。また、補強シートは、第1の溶着層と第2の溶着層との間にガスバリア層が存在する。このため、燃料ガスや酸化剤ガスなどのガスが外部へ漏れることをガスバリア層で防止しつつ、第1の溶着層及び第2の溶着層で、ガスケットを電解質膜−触媒層接合体へと確実に溶着することができる。なお、上記「ガスバリア層」とは、固体高分子形燃料電池の発電に用いられる燃料ガスや酸化剤ガスの透過を防止する層のことをいい、例えば、これに限定されるものではないが、ポリエステル系樹脂などを好ましく用いることができる。
上記固体高分子形燃料電池構造体は、種々の構成をとることができるが、例えば、上記補強シートの開口部から露出した触媒層上に形成されたガス拡散層をさらに備えた構成とすることもできる。
また、本発明に係る他の固体高分子形燃料電池構造体は、上記課題を解決するためになされたものであり、固体高分子電解質膜、前記電解質膜の外周縁部を除いて両面に形成された触媒層、及び前記各触媒層上に形成されたガス拡散層からなる電解質膜−電極接合体と、中央部に開口部を有し、前記ガス拡散層が外周縁部を除いて前記開口部から露出するように前記電解質膜−電極接合体の両面にそれぞれ溶着された枠状の補強シートと、前記触媒層及びガス拡散層の周囲を囲むように前記各補強シート上に設置されたガスケットと、を備え、前記各補強シートは、第1の溶着層と、前記第1の溶着層上に形成されたガスバリア層と、前記ガスバリア層上に形成された第2の溶着層とを有しており、前記第1の溶着層が前記電解質膜の外周縁部及び前記ガス拡散層の外周縁部に溶着し、前記第2の溶着層が前記ガスケットに溶着している。
このように構成された固体高分子形燃料電池構造体は、触媒層が形成されていない電解質膜の外周縁部に補強シートが溶着されているため、電解質膜の外周縁部は補強シートによって拘束される。よって、電解質膜の外周縁部は膨張・収縮が抑制され、ひいては電解質膜の破損を防止することができる。また、補強シートが、第1の溶着層、ガスバリア層、及び第2の溶着層の3層構造となっている。そして、補強シートは、電解質膜−電極接合体に溶着する層として第1の溶着層を有しており、ガスケットと溶着する層として第3の溶着層を有している。また、補強シートは、第1の溶着層と第2の溶着層との間にガスバリア層が存在する。このため、燃料ガスや酸化剤ガスなどのガスが外部へ漏れることをガスバリア層で防止しつつ、第1の溶着層及び第2の溶着層で、ガスケットを電解質膜−電極接合体へと確実に溶着することができる。
上記各固体高分子形燃料電池構造体は、種々の構成をとることができるが、例えば、上記補強シートは、第1の溶着層が第2の溶着層よりも低い融点を有していることが好ましい。このように構成された固体高分子形燃料電池は、補強シートを電解質膜−触媒層接合体又は電解質膜−電極接合体に溶着させる際、まず、第1の溶着層の融点よりも高く、第2の溶着層の融点よりも低い温度で溶着することができる。これにより、まず、第1の溶着層のみを溶融させて、補強シートを電解質膜−触媒層接合体又は電解質膜−電極接合体に溶着させることができる。そして、その後、第2の溶着層の融点よりも高い温度で溶着することで、第2の溶着層を溶融させてガスケットと溶着させることができる。このような溶着方法をとることによって、電解質膜−触媒層接合体又は電解質膜−電極接合体に与える熱を少なくすることができ、熱的損傷を低減することができる。
また、本発明に係る固体高分子形燃料電池は、上記課題を解決するためになされたものであり、上記記載のいずれかの固体高分子形燃料電池構造体と、前記各ガス拡散層及びガスケット上に設置されたセパレータと、を備えている。
このように構成された固体高分子形燃料電池は、触媒層が形成されていない電解質膜の外周縁部に補強シートが溶着されているため、電解質膜の外周縁部は補強シートによって拘束される。よって、電解質膜の外周縁部は膨張・収縮が抑制され、ひいては電解質膜の破損を防止することができる。また、補強シートが、第1の溶着層、ガスバリア層、及び第2の溶着層の3層構造となっている。そして、補強シートは、電解質膜−触媒層接合体又は電解質膜−電極接合体に溶着する層として第1の溶着層を有しており、ガスケットと溶着する層として第3の溶着層を有している。また、補強シートは、第1の溶着層と第2の溶着層との間にガスバリア層が存在する。このため、燃料ガスや酸化剤ガスなどのガスが外部へ漏れることをガスバリア層で防止しつつ、第1の溶着層及び第2の溶着層で、ガスケットを電解質膜−触媒層接合体又は電解質膜−電極接合体へと確実に溶着することができる。
本発明によれば、電解質膜の破損を防止しつつ、良好なガスバリア性及びガスケットに対する溶着性を有する固体高分子形燃料電池構造体及びこれを用いた固体高分子形燃料電池を提供することができる。
以下、本発明に係る固体高分子形燃料電池構造体及びこれを用いた固体高分子形燃料電池の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る固体高分子形燃料電池の正面断面図、図2は本実施形態に係る固体高分子形燃料電池の平面図、図3は、ガスケットが設置された電解質膜−電極接合体の外周縁部の詳細を示す拡大正面断面図である。なお、図2において、説明を分かりやすくするため、セパレータ及びガスケットの記載を省略している。
図1及び図2に示すように、固体高分子形燃料電池1は、平面視矩形状の電解質膜2を備えており、電解質膜2の上面及び下面に電解質膜2よりも一回り小さい平面視矩形状の触媒層3が形成されている。この電解質膜2の両面に触媒層3が形成されたものを電解質膜−触媒層接合体10という。このように、触媒層3は電解質膜2よりも一回り小さく形成されているため、電解質膜2の外周縁部21上には触媒層3が形成されていない。なお、電解質膜2の外周縁から触媒層3の外周縁までの距離C(図3参照)は、0.1〜5mmであることが好ましい。
そして、この電解質膜−触媒層接合体10の上面及び下面に、中央に開口部41を有する枠状の補強シート4がそれぞれ溶着されている。各補強シート4は、3層構造となっており、電解質膜2側から順に、第1の溶着層42、ガスバリア層43、第2の溶着層44を備えている。第1の溶着層42は、電解質膜−触媒層接合体10に溶着するよう構成されている。この第1の溶着層42上に、燃料電池の発電に用いられる燃料ガスや酸化剤ガスの透過を防止するガスバリア層43が形成されている。さらにこのガスバリア層43上に、後述するガスケット6と溶着するよう構成された第2の溶着層44が形成されている。この第2の溶着層44は第1の溶着層42よりも高い融点を有しており、第2の溶着層44の融点は第1の溶着層42の融点に比べて30〜60℃程度高いことが好ましい。第1の溶着層42は1〜50μmとすることが好ましく、ガスバリア層43の膜厚は、6〜20μmとすることが好ましく、さらに第2の溶着層44の膜厚は、1〜50μmとすることが好ましい。補強シート4が電解質膜−触媒層接合体10に溶着された状態では、触媒層3がその外周縁部31を除いて補強シート4の開口部41から露出しているとともに、触媒層3の外周縁部31と電解質2の外周縁部21上に補強シート4が溶着されている。なお、触媒層3の外周縁から補強シート4の内周縁までの距離B(図3参照)は、1〜10mmとすることが好ましい。また、補強シート4は、電解質膜2よりも一回り大きく形成されているため、電解質膜2の外側で、電解質膜2からはみ出た各補強シート4の外周縁部45同士が溶着されている。この補強シート4の外周縁から電解質膜2の外周縁までの距離D(図3参照)は10〜100mmであることが好ましい。
そして、上記各補強シート4上に、電極Eの周囲を囲むように枠状のガスケット6がそれぞれ設置されている。このガスケット6は、補強シート4の第2の溶着層44によって溶着されている。このように、電解質膜−触媒層接合体10に補強シート4が設置され、さらにガスケット6が設置されたものが、本願の請求項1に記載の固体高分子形燃料電池構造体に相当する。
そして、補強シート4の開口部41から露出している触媒層3上に平面視矩形状のガス拡散層5が形成されている。このガス拡散層5の外周縁から補強シート4の内周縁までの距離A(図3参照)は、0〜1mmであることが好ましい。このように、触媒層3上にガス拡散層5が形成されて電極Eを構成しており、電解質膜2の両面に電極Eが形成されたものを電解質膜−電極接合体20という。また、電解質膜−電極接合体20に、補強シート4とガスケット6とが設置されたものが、本願の請求項2に記載の固体高分子形燃料電池構造体に相当する。
このように設置されたガスケット6及び電極E上にセパレータ7が設置されている。セパレータ7は、ガス拡散層5と対向する領域にガス流路71が形成されている。
次に上記のように構成された固体高分子形燃料電池1の各構成要素の材質について説明する。
電解質膜2は、例えば、基材上に水素イオン伝導性高分子電解質を含有する溶液を塗工し、乾燥することにより形成される。水素イオン伝導性高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂、より具体的には、炭化水素系イオン交換膜のC−H結合をフッ素で置換したパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー(PFS系ポリマー)等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このような水素イオン伝導性高分子電解質の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)等が挙げられる。水素イオン伝導性高分子電解質含有溶液中に含まれる水素イオン伝導性高分子電解質の濃度は、通常5〜60重量%程度、好ましくは20〜40重量%程度である。なお、電解質膜2の膜厚は通常20〜250μm程度、好ましくは20〜80μm程度である。
触媒層3は、公知の白金含有の触媒層(カソード触媒及びアノード触媒)である。詳しくは、触媒層3は、触媒粒子を担持させた炭素粒子及び水素イオン伝導性高分子電解質を含有する。触媒粒子としては、例えば、白金や白金化合物等が挙げられる。白金化合物としては、例えば、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄等からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と、白金との合金等が挙げられる。なお、通常は、カソード触媒層に含まれる触媒粒子は白金であり、アノード触媒層に含まれる触媒粒子は前記金属と白金との合金である。また、水素イオン伝導性高分子電解質としては、上述した電解質膜2に使用されるものと同じ材料を使用することができる。
補強シート4は、第1の溶着層42、ガスバリア層43、及び第2の溶着層44から構成されているが、第1の溶着層42を構成する材料としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂、ガスバリア性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレンと不飽和駆カルボン酸との共重合体、あるいはそれらを変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アイオノマー樹脂等の樹脂を挙げることができる。また、第2の溶着層44を構成する材料としては、同様に、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂、ガスバリア性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等、エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレンと不飽和駆カルボン酸との共重合体、あるいはそれらを変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アイオノマー樹脂の樹脂を挙げることができる。第1の溶着層41の材質により、第2の溶着層は第1の溶着層よりも融点が高い材料を適宜選択すれば良い。また、ガスケットの溶着までを同時に行なう場合は、第1の溶着層と第2の溶着層は同質の材料でも良い。
ガスバリア層43は、水蒸気、水、燃料ガス及び酸化剤ガスに対するバリア性を有するポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルテンペン、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドなどを好ましく使用することができる。なお、ポリエステルは、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等を挙げることができる。
ガス拡散層5としては、公知であり、燃料極、空気極を構成する各種のガス拡散層を使用でき、燃料である燃料ガス及び酸化剤ガスを効率よく触媒層3に供給するため、多孔質の導電性基材からなっている。多孔質の導電性基材としては、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロス等が挙げられる。
ガスケット6としては、熱プレスに耐えうる強度を保ち、かつ、外部に燃料及び酸化剤を漏出しない程度のガスバリア性を有しているものを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートシートやテフロン(登録商標)シート、シリコンゴムシート、ニトリルゴムシート、エチレンプロピレンゴムシート、アクリルゴムシート等を例示することができる。
セパレータ7としては、公知であり、燃料電池内の環境においても安定な導電性板であればよく、一般的には、カーボン板にガス流路71を形成したものが用いられる。また、セパレータ7をステンレス等の金属により構成し、金属の表面にクロム、白金族金属又はその酸化物、導電性ポリマーなどの導電性材料からなる被膜を形成したものや、同様にセパレータを金属によって構成し、該金属の表面に銀、白金族の複合酸化物、窒化クロム等の材料によるメッキ処理を施したもの等も使用可能である。
次に上述した固体高分子形燃料電池1の製造方法について図面を参照しつつ説明する。図4は、本実施形態に係る固体高分子形燃料電池1の製造方法を示す説明図である。
図4に示すように、上述した材料からなる電解質膜2を準備し、この電解質膜2の両面に触媒層形成用転写シート8を重ねて配置する。ここで触媒層形成用転写シート8とは、転写される触媒層3が転写用基材81に形成されたものである。この触媒層形成用転写シート8の製造方法について説明すると、まず、上述した触媒粒子を担持させた炭素粒子及び水素イオン伝導性高分子電解質を適当な溶剤に混合、分散して触媒ペーストを作製する。そして、形成される触媒層3が所望の膜厚になるように触媒ペーストを公知の方法に従い、必要に応じて離型層を介して転写用基材81上に塗工する。このとき、触媒層3が、電解質膜2よりも一回り小さい形状となるように、触媒ペーストを転写用基材81に塗工する。触媒ペーストの塗工方法としては、スクリーン印刷や、スプレーコーティング、ダイコーティング、ナイフコーティングなどの公知の塗工方法を挙げることができる。また、上記の溶剤としては、各種アルコール類、各種エーテル類、各種ジアルキルスルホキシド類、水またはこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でもアルコール類が好ましい。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、等の炭素数1〜4の一価アルコール、各種の多価アルコール等が挙げられる。転写用基材81としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリパルバン酸アラミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート等の高分子フィルムを挙げることができる。また、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐熱性フッ素樹脂を用いることもできる。さらに転写用基材81は、高分子フィルム以外にアート紙、コート紙、軽量コート紙等の塗工紙、ノート用紙、コピー用紙などの非塗工紙であっても良い。転写用基材81の厚さは、取り扱い性及び経済性の観点から通常6〜100μm程度、好ましくは10〜30μm程度程度とするのがよい。従って、転写用基材81としては、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。
そして、触媒ペーストを塗工した後、所定の温度及び時間で乾燥することにより転写用基材81上に触媒層3が形成される。乾燥温度は、通常40〜100℃程度、好ましくは60〜80℃程度である。乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、通常5分〜2時間程度、好ましくは10分〜1時間程度である。
図4に戻って、固体高分子形燃料電池の製造方法について説明を続ける。上述したように作製した触媒層形成用転写シート8を触媒層3が電解質膜1に対面するように配置し(図4(a))、転写シート8の背面側から加熱プレスを施して触媒層3を電解質膜2に転写させて、転写シート8の転写用基材81を剥離する(図4(b))。作業性を考慮すると、触媒層3を電解質膜2の両面に同時に積層することが好ましいが片面ずつ触媒層3を形成することもできる。加熱プレスの加圧レベルは、転写不良を避けるために、通常0.5〜20MPa程度、好ましくは1〜10MPa程度がよい。また、この加圧操作の際に、転写不良を避けるために加圧面を加熱するのが好ましい。加熱温度は、電解質膜2の破損、変形等を避けるために、通常200℃以下、好ましくは150℃以下がよい。このように電解質膜2の両面に触媒層3を形成することで電解質膜−触媒層接合体10が形成される。このとき、触媒層3は、電解質膜2よりも一回り小さいため、電解質膜2の外周縁部21は露出された状態となっている。
次に、このようにして形成された電解質膜−触媒層接合体10に、補強シート4を取り付ける(図4(c))。この工程について図5を参照しつつ詳細に説明する。図5は、電解質膜−触媒層接合体10に補強シート4を取り付ける工程を示した平面図である。図5に示すように、上述した材料からなる2枚の補強シート4を第1の溶着層42同士が対向するように重ねて、1辺を残した残り3辺を互いに溶着させる。これによって、2枚の補強シート4は、コ字状に溶着部が形成されるとともに、左側の一辺が開口している袋体となる(図5(a))。なお、この溶着方法は種々の公知の方法を採用することができ、例えば、高周波溶着や、熱風式溶着、熱板式溶着、インパルス式溶着、コテ式溶着、超音波溶着などを採用することができる。
補強シート4によって袋体を形成すると、次に、この袋体を構成する各補強シート4の中央部に電解質膜−触媒層接合体10の触媒層3よりも一回り小さい易除去領域46を形成する(図5(b))。なお、この易除去領域46とは、容易に取り除ける領域のことをいい、例えば、その外周縁にミシン目を入れることや、一部だけ残して切込みを入れること等によって形成することができる。このように易除去領域46が形成された袋体に、その溶着されていない左側から、電解質膜−触媒層接合体10を挿入して所定位置まで移動させる(図5(c))。この所定位置とは、電解質膜−触媒層接合体10の触媒層3が外周縁部31を除いて易除去領域46に対向している位置のことをいう。
電解質膜−触媒層接合体10を所定位置まで移動させた後、易除去領域46の外周縁のミシン目を切断して易除去領域46を各補強シート4から取り外すことで、各補強シート4の中央部に開口部41が形成される(図5(d))。このように易除去領域46が各補強シート4から取り外されて開口部41が形成されると、電解質膜−触媒層接合体10の触媒層3が外周縁部31を除いて各開口部41から露出した状態となる。そして、この状態で補強シート4の溶着されていなかった残りの部分を公知の方法で溶着させる。このとき、第1の溶着層42が融点よりも高い温度となるよう、且つ第2の溶着層44が融点よりも低い温度となるように熱を加える。これにより、第1の溶着層42のみを溶融させることで、補強シート4の第1の溶着層42は、電解質−触媒層接合体10の触媒層3の外周縁部31や、電解質膜2の外周縁部21に溶着するとともに、第1の溶着層42同士でも溶着する。以上の工程によって、補強シート付き電解質膜−触媒層接合体が完成する(図5(e)、図4(c))。
図4に戻って、固体高分子形燃料電池1の製造方法の説明を続ける。上述した補強シート付き電解質膜−触媒層接合体の補強シート4上にガスケット6を配置する。そして、第2の溶着層44の融点よりも高い温度を加えることで第2の溶着層44を溶融させて、第2の溶着層44とガスケット6とを溶着させる(図4(d))。これが本願の請求項1に記載の固体高分子形燃料電池構造体に相当する。
続いて、各補強シート4の開口部41から露出している触媒層3上に、ガス拡散層5を熱圧着により積層形成する(図4(e))。これが、本願の請求項2に記載の固体高分子形燃料電池構造体に相当する。そして、セパレータ7を、ガス流路71がガス拡散層5と対向するように、ガス拡散層5及びガスケット6上に配置して、ガス拡散層5とセパレータ7とが電気的に接続するようにセパレータ7で該電解質膜−電極接合体を挟持することによって、固体高分子形燃料電池1が完成する(図4(f))。
以上のように、本実施形態では、電解質膜2の外周縁部21は、溶着された補強シート4によって拘束されているため、電解質膜2の膨張・収縮を抑制することができ、その結果、電解質膜2の破損を防止することができる。また、補強シート4は、第1及び第2の溶着層42,44とガスバリア層43を有しているので、燃料ガスや酸化剤ガスが外部へ漏れることを確実に防止し、且つ、ガスケット6を電解質膜−触媒層接合体10に強固に固定することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、補強シート4の開口部41から、触媒層3が外周縁部31を除いて露出されていたが、図6に示すように、各補強シート4の開口部41から外周縁部51を除いてガス拡散層5が露出するように形成することもできる。なお、この場合は、まず、電解質膜−電極接合体20を作製し、この電解質膜−電極接合体20を補強シート4によって挟持して溶着することで作製する。そして、その後は上記実施形態と同様にガスケット6、セパレータ7を設置して固体高分子形燃料電池を作製する。
また、上記実施形態では、補強シート4を一旦、袋体にして、電解質膜−触媒層接合体10を挿入するという製造方法を採用しているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、電解質膜−触媒層接合体10の両面に、予め開口部41が形成された補強シート4を、溶着層43が電解質膜−触媒層接合体10を向くようにそれぞれ配置し、公知の溶着方法などよって電解質膜−触媒層接合体10の両面に補強シート4を溶着させて、補強シート付き電解質膜−触媒層接合体を作製することもできる。
また、上記実施形態では、補強シート4は、第1の溶着層42、ガスバリア層43と第2の溶着層44の3層から構成されているが、第1の溶着層42が電解質膜−触媒層接合体10又は電解質膜−電極接合体20に溶着され、第2の溶着層44がガスケット6に溶着されるようになっていれば、4層以上であってもよい。
また、上記実施形態では、固体高分子形燃料電池1を構成する電解質膜2や触媒層3、ガス拡散層5など全て平面視矩形状として説明したが、特に形状は限定されるものではなく、例えば平面視円形状とすることもできる。
また、上記実施形態では、電解質膜−触媒層接合体10に補強シート4を溶着させた後に、ガスケット6を設置し、さらにその後にガス拡散層5を形成しているが、その他にも種々の製造方法をとることができ、例えば、上記実施形態と同様に電解質膜−触媒層接合体10に補強シート4を溶着させた後に、ガス拡散層5とガスケット6とが一体となったガスケット付きガス拡散層を設置することもできる。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
電解質膜2は、75×75mmの大きさに切断された膜厚50μmのNRE212CS(Dupont社製)を使用した。
次に、触媒形成用転写シート8を次の要領で作製した。まず、白金触媒担持カーボン(白金担持量:45.7wt%、田中貴金属社製、TEC10E50E)2gに、1−ブタノール10g、3−ブタノール10g、フッ素樹脂(5wt%ナフィオンバインダー、デュポン社製)20g及び水6gを加え、これらを分散機にて攪拌混合することにより、触媒形成用インク組成物を調製した。次に、該インクをポリエステルフィルム(東レ製、X44、25μm)に触媒層乾燥後の白金重量が0.4mg/cmとなるように塗工し、触媒形成用転写シート8を作製した。
以上のように作製した触媒形成用転写シート8を60×60mmの大きさに切断し、電解質膜2の両面それぞれに触媒層3が電解質膜2側を向くように中心を合わせて配置した。そして、135℃、5.0MPa、150秒の条件で熱プレスすることで、電解質膜2の両面に触媒層3を形成し、電解質膜−触媒層接合体10を作製した。なお、触媒層3の厚さは20μmである。
続いて、補強シート4を作製した。補強シート4のガスバリア層43として、二軸延伸ポリエチレンナフタレート(帝人社製、テオネックス、12μm)を使用した。このポリエチレンナフタレートの一方の面上に、溶融押出し法により、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリプロピレンを15μmの厚さで押し出し第2の溶着層44を形成した。また、ポリエチレンナフタレートの他方の面上に、溶融押し出し方によって、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリエチレンを15μmの厚さで押し出し、第1の溶着層42を形成した。この補強シート4を110×110mmの大きさに切断し、その中央部に50×50mmの大きさの開口部41を形成した。そして、補強シート4を第1の溶着層42が電解質膜−触媒層接合体10を向くように、電解質膜−触媒層接合体10の両面に中心を合わせて配置し、100℃、1.0MPa、30秒の条件で熱プレスすることで補強シート4の第1の溶着層42を電解質膜−触媒層接合体10に溶着させて、補強シート付き電解質膜−触媒層接合体を作製した。そして、第2の溶着層44の上に、エチレンプロピレンゴム製のガスケット(NOK社製、EPDM、厚さ200μm)を配置後、130℃、1.0MPa、30秒の条件で熱プレスした。そして、補強シート4の開口部41内に大きさ50×50mmのガス拡散層5(東レ社製、TGP−H−090、275μm)を設置した。
(比較例1)
上記実施例と同様の材料・方法で、電解質膜−触媒層接合体を作成した。そして、この電解質膜−触媒層接合体の触媒層上に50×50mmの大きさのガス拡散層(東レ社製、TGP−H−090、275μm)を形成して、触媒層及びガス拡散層の周囲を囲むようにガスケットを配置し、ガスケット付き電解質膜−電極接合体を作成した。
(評価方法)
実施例1の補強シート付き電解質膜−電極接合体及び比較例1の電解質膜−電極接合体について、セパレータ7を設置して固体高分子形燃料電池をそれぞれ作製し、負荷変動サイクル試験を実施した。このときの測定条件は、セル温度80℃、燃料利用率70%、酸化剤利用率40%、加湿温度50℃とした。負荷変動条件は1分間間隔で0.01A/cm2と0.3A/cm2を走査することで行なった。電流電圧測定評価の結果、実施例1の燃料電池セルの耐久性時間は1000時間であり、比較例1の燃料電池セルの耐久性時間は300時間であった。水素ガスリーク量を電気的に測定した結果、実施例1の燃料電池セルは1mA/cm2と、期性能とほぼ同等であったが、比較例1の燃料電池では10mA/cm2以上であり電解質膜の劣化による水素漏れが示唆された。評価後、燃料電池セルを分解したところ、実施例1では電解質膜の破損は見られなった。一方、比較例1、目視により電解質膜2の破損が見られた。
このように、実施例1の固体高分子形燃料電池では、耐久時間の上昇がみられることから、本発明の固体高分子型燃料電池を用いると電解質膜破損の問題が解決されたことがわかる。
本発明に係る固体高分子形燃料電池の実施形態を示す正面断面図である。 本発明に係る固体高分子形燃料電池の実施形態を示す平面図である。 本実施形態に係る電解質膜−電極接合体の周縁部の詳細を示す拡大正面断面図である。 本実施形態に係る固体高分子形燃料電池の製造方法を示す説明図である。 本実施形態に係る補強シート付き電解質膜−触媒層接合体の製造方法を示す説明図である。 本発明に係る固体高分子形燃料電池の他の実施形態を示す正面断面図である。
符号の説明
1 固体高分子形燃料電池
2 固体高分子電解質膜
3 触媒層
31 触媒層の外周縁部
4 補強シート
41 開口部
42 第1の溶着層
43 ガスバリア層
44 第2の溶着層
5 ガス拡散層
51 ガス拡散層の外周縁部
6 ガスケット
7 セパレータ
10 電解質膜−触媒層接合体
20 電解質膜−電極接合体

Claims (5)

  1. 固体高分子電解質膜、及び前記電解質膜の外周縁部を除いて両面に形成された触媒層からなる電解質膜−触媒層接合体と、
    中央部に開口部を有し、前記触媒層が外周縁部を除いて前記開口部から露出するように前記電解質膜−触媒層接合体の両面にそれぞれ溶着された枠状の補強シートと、
    前記触媒層の周囲を囲むように前記各補強シート上に設置されたガスケットと、を備え、
    前記各補強シートは、第1の溶着層と、前記第1の溶着層上に形成されたガスバリア層と、前記ガスバリア層上に形成された第2の溶着層とを有しており、前記第1の溶着層が前記電解質膜の外周縁部及び前記触媒層の外周縁部に溶着し、前記第2の溶着層が前記ガスケットに溶着している、固体高分子形燃料電池構造体。
  2. 前記各開口部から露出した触媒層上に形成されたガス拡散層をさらに備えた、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池構造体。
  3. 固体高分子電解質膜、前記電解質膜の外周縁部を除いて両面に形成された触媒層、及び前記各触媒層上に形成されたガス拡散層からなる電解質膜−電極接合体と、
    中央部に開口部を有し、前記ガス拡散層が外周縁部を除いて前記開口部から露出するように前記電解質膜−電極接合体の両面にそれぞれ溶着された枠状の補強シートと、
    前記触媒層及びガス拡散層の周囲を囲むように前記各補強シート上に設置されたガスケットと、を備え、
    前記各補強シートは、第1の溶着層と、前記第1の溶着層上に形成されたガスバリア層と、前記ガスバリア層上に形成された第2の溶着層とを有しており、前記第1の溶着層が前記電解質膜の外周縁部及び前記ガス拡散層の外周縁部に溶着し、前記第2の溶着層が前記ガスケットに溶着している、固体高分子形燃料電池構造体。
  4. 前記補強シートは、第1の溶着層が第2の溶着層よりも低い融点を有する、請求項1から3のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池構造体。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池構造体と、
    前記各ガス拡散層及びガスケット上に設置されたセパレータと、を備えた固体高分子形燃料電池。
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