以下、添付図面を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。
本例においては、例えば各種方式のデジタルデータを基地局との間で無線伝送することで、通話やデータ通信などを行う無線電話装置(携帯電話端末)に適用したものである。そして、本例の携帯電話端末には、無線電話としての機能部の他に、オーディオ再生機能部を内蔵させてある。
図1は、本例の携帯電話端末100の外観の一例を示した図である。本例の携帯電話端末100は、第1筐体110と第2筐体120とを接合部101で回動自在に接合させたいわゆる折り畳み型の携帯電話端末として構成してある。図1は、両筐体110,120を開いた状態で示してあり、その開いたときに内側になる面の第1筐体110側には、携帯電話として使用される複数のキーで構成されるキー入力部111が配置してある。キー入力部111として用意されたキーとしては、0〜9の数字や*,#の記号のキーや、発信操作などを行うキーや、各種機能を設定するキーが用意されている。その機能キーの内の1つのキー111aは、電話機能を停止させて、後述するオーディオ再生機能だけを作動させるモードを設定及び解除するためのキーとしてある。なお以下の説明では、電話機能を停止させてオーディオ再生機能だけを作動させるモードを電話機能停止モードと称し、キー111aを電話機能停止モード設定キーと称する。この電話機能停止モードの詳細については後述する。
また、一部のキー111b,111cについては、第2筐体120側に配置してある。さらに、第1筐体110の側面には、回転操作と押下操作とが可能なジョグダイヤル部112が配置してあり、このジョグダイヤル部112の操作によっても各種操作が可能としてある。ジョグダイヤル部112の操作によって、オーディオ再生機能を操作することも可能としてある。
また、第1筐体110の下端部には通話用のマイクロホン113が配置してあり、第2筐体120の上端部には通話用のスピーカ122が配置してあり、このマイクロホン113とスピーカ122とを通話者の口と耳元に近づけることで通話ができるようにしてある。第2筐体120の中央部には、表示部123を構成する表示パネルが配置してあり、数字,文字,図形などにより、動作状態や登録された電話番号、受信した文字メールなどの電話に関連した各種表示が可能としてある。また、後述するオーディオ再生機能に関連した表示も可能としてある。
第1筐体110には、メモリカード装着部114が設けてあり、例えば筐体の側面側からメモリカード10を挿入させて装着できるようにしてある。本例の場合に使用可能なメモリカード10としては、例えばスティク状(細長の薄板状)に構成された樹脂パッケージ内に不揮発性の半導体メモリを収納させたものを使用する。
第2筐体120には、上端にホイップアンテナ121が取付けてあり、側面部に各種端子が配置してある。具体的には、ヘッドホンジャック124と、オーディオ入力ジャック125と、データ通信用ポート126とが配置してある。ヘッドホンジャック124については、ヘッドホン装置に供給するオーディオ信号(音声信号)の出力部と、ヘッドホン装置が内蔵するマイクロホンが拾った音声信号の入力部と、ヘッドホン装置に取付けられたリモートコントロール装置と通信を行うための入出力部とが、一体化されている。データ通信用ポート126については、例えばパーソナルコンピュータ装置などと接続するためのポートであり、例えばUSB(Universal Serial Bus)と称される規格のインターフェース用ポート、或いはIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers )1394規格のインターフェース用ポートとする。
ヘッドホンジャック124に装着されるプラグ121を備えたヘッドホン装置20としては、その信号線の途中にリモートコントロール部22が取付けてある。このリモートコントロール部22には、表示部23と、キー24とボリュームと、マイクロホン26とが取付けてある。そして、信号線の先端部には、左右のヘッドホンユニット27L,27Rが取付けてある。
図2は、本例の携帯電話端末100を閉じた状態の表面側(即ち第2筐体120側の面)を示した図である。この面には、オーディオ再生のための操作を行う複数のキー111dと、再生音量を調整するためのボリュームキー111eが配置してある。さらに、再生されたオーディオを出力させるスピーカ143が配置してある。このスピーカ143は、電話の着信時の呼び出し音などを鳴らすためにも使用される。
図3は、本例の携帯電話端末100を閉じた状態の裏面側(即ち第1筐体110側の面)を示した図である。この面には、バッテリ(二次電池)の装着部151が設けてあると共に、装着部141に装着されたメモリカード10を取り外すためのリジェクトスイッチ152が配置してある。
次に、本例の携帯電話端末100の内部構成を、図4を参照して説明する。無線電話用の回路としては、アンテナ121がアンテナ共用器131を介して受信回路132と送信回路134に接続してある。受信回路132では、指示されたチャンネルの受信処理を行い、受信回路132で受信された信号を、音声処理部133に供給して、無線伝送された音声信号や各種データを復調して抽出し、音声信号についてはスピーカ122から出力させる。また、マイクロホン113が出力する音声信号を音声処理部133に供給して、無線伝送用に変調するなどの処理を行い、その処理された信号を送信回路134で所定のチャンネルの送信信号とする送信処理を行い、その送信信号をアンテナ121から無線送信させる。これらの音声処理部133と受信回路132と送信回路134での処理は、中央制御ユニット(CPU)135の制御により実行される。CPU135は、この携帯電話端末内での各種信号処理を制御するマイクロプロセッサであり、オーディオ再生機能についても、このCPU135が制御する。
CPU135には、この端末の動作に必要な情報が記憶されるROM136と、電話帳情報などのユーザが登録した情報が記憶されるRAM137とが接続してあり、CPU135が随時記憶情報を読出すようにしてある。この場合、ROM136は、所定の処理を行ったとき一部の記憶データの書換えが可能なフラッシュメモリとしてあり、電話機能に関する登録情報を書き込ますようにしてある。このROM136に記憶される電話機能に関する登録情報としては、この電話端末に固有の識別番号であるIDデータや、無線電話会社への契約の有無の情報や、契約を行った場合には、電話会社から付与された電話番号の情報などがある。また、オーディオ再生機能に関する契約が必要な場合には、その契約に関する情報をROM136に書き込ませるようにしても良い。
キー入力部111やジョグダイヤル部112を操作した情報は、CPU135に供給され、CPU135がその操作情報に基づいた動作を実行させるようにしてある。キー入力部111には、図1に示した電話機能停止モード設定キー111aなどの各種キーが含まれる。表示部123での表示についても、CPU135が制御する。
ここまで説明した構成は、基本的には電話機能に関連した構成である。なお、図4に示したアンテナ共用器131と受信回路132と音声処理部133と送信回路134を、ここでは電話処理部100aと称する。
次に、オーディオ再生機能に関した構成について説明すると、本例の場合には、オーディオデータを所定の方式(例えばATRACK3方式)で圧縮されたデータを、メモリカード10に記憶させるようにしてある。このオーディオデータが記憶されたメモリカード10がメモリカード装着部114に装着されたとき、メモリカード10の記憶データが、CPU135の制御によりデコーダ138に供給され、デコーダ138で圧縮されたデータの逆圧縮処理を行って元のデータに戻し、戻されたデータをデジタル・アナログ変換器139に供給して、アナログオーディオ信号とし、その変換されたオーディオ信号を出力端子124aに供給する。この出力端子124aは、図1に示すヘッドホンジャック124の内部に配された端子である。
出力端子124aに得られる信号には、デジタル・アナログ変換器139の出力と、音声処理部133からの通話用音声の出力とが、加算器140で加算されて供給されるようにしてあり、電話端末として通話を行っている際には、ヘッドホン装置20で通話用音声を聞き取ることもできるようにしてある。そして、出力端子124aに接続されたヘッドホン装置にそのオーディオ信号を供給して出力させる。なお、デジタル・アナログ変換器139の出力に対して、増幅などのアナログ信号処理を行う場合もある。
また、デジタル・アナログ変換器139が出力するオーディオ信号を、増幅器142を介して端末の表面に取付けられたスピーカ143に供給して出力させることも可能としてある。デジタル・アナログ変換器139の出力系統の選択は、CPU135により制御される。
本例のオーディオ再生機能部は、入力したオーディオ信号(又は音声信号)を、装着されたメモリカード10に記録(記憶)させる機能も備える。この記録機能のために、デジタルオーディオデータの入力端子125を備えて、その入力端子125に得られるオーディオデータを、デコーダ138に供給する。本例のデコーダ138は、この記録用に入力データをエンコードするエンコーダとしての機能も可能としてあり、CPU135の制御でエンコードされたデータを、メモリカード装着部114に装着されたメモリカード10に記憶させるようにしてある。なお、デコーダ138でのデコード処理やエンコード処理は、ここでは音楽などのオーディオデータを処理するのに適した方式の処理としてある。
図1に示すヘッドホンジャック124は、図4に示す出力端子124aの他に、ヘッドホンに内蔵されたマイクロホンからの音声信号の入力端子124bと、リモートコントロール用の入出力端子124cとを備える。入力端子124bに得られる音声信号については、アナログ/デジタル変換器141を介してデコーダ138に供給し、オーディオデータの場合と同様にエンコードして、メモリカード10に記憶させることもできるようにしてある。また、入力端子124bに得られるマイクロホンからの音声信号については、音声処理部133に供給して、マイクロホン113から入力した音声と同様に、通話用音声として処理できるようにしてある。リモートコントロール用の入出力端子124cは、CPU135が、ヘッドホン装置20内のリモートコントロール部22と通信を行うための端子であり、リモートコントロール部22内の表示部23での表示をCPU135が制御すると共に、キー24の操作情報などをCPU135が判断する。なお、リモートコントロール用の信号をオーディオ信号(音声信号)に重畳して、リモートコントロール用の入出力端子124cを出力端子124aと共通の端子とすることも可能である。なお、図4に示したデコーダ(エンコーダ)138とデジタル/アナログ変換器139とアナログ/デジタル変換器141を、ここでは録音再生部100bと称する。
また、本例の携帯電話端末100は、パーソナルコンピュータ装置などの情報機器と通信を行うためのデータ通信用ポート126を備えて、そのポート126にインターフェース部144が接続してあり、インターフェース部144を介してポート126と接続された相手側の機器と、CPU135及びデコーダ138が通信をできるようにしてある。このポート126を使用した外部の機器との通信では、例えば外部の機器からポート126に供給されるオーディオデータを、デコーダ138に供給して、記録(記憶)用に圧縮して、メモリカード装着部114に装着されたメモリカード10にそのデータを記憶させたり、或いはメモリカード10に記憶されたオーディオデータを、デコーダ138で逆圧縮し、そのデータをポート126に接続された機器に供給すること等が可能である。また、無線電話回線を経由してこの端末が受信したデータを、CPU135の制御でポート126に供給して、外部の機器に供給したり、逆に外部の機器からポート126に得られるデータを、CPU135の制御で無線電話回線側に送出させることもできる。
また、無線電話回線を経由してこの端末の受信回路132が受信したオーディオデータなどの各種データを、CPU135の制御で、メモリカード114に記憶させることも可能としてある。この場合、受信したデータが既に記憶用にエンコードされたデータである場合、デコーダ138でのエンコード処理を省略してメモリに書き込ませても良い。
このようにして、本例の携帯電話端末には、オーディオデータや音声データを記録(記憶)し再生する機能部が内蔵されている。なお、本例の場合には、メモリカード10が装着部114から着脱自在であるので、例えば他のオーディオ機器でオーディオデータを記憶させたメモリカード10を、本例の携帯電話端末100に装着して、再生させることも可能である。
ここで本実施の形態においては、この携帯電話端末が内蔵した再生機能部の動作を、電話端末としての動作に関連して制限するようにしてある。以下、その動作の制限処理の例について説明する。図5は、再生機能部の動作制限処理の一例を示したフローチャートである。端末内での動作を制御するCPU135では、ヘッドホン装置20に取付けられたリモートコントロール部22又は端末100に取付けられたキー入力部111などの操作で、オーディオや音声の再生又は記録に関する操作があるか否か判断する(ステップS11)。ここで、該当する操作が行われたと判断したとき、CPU135に接続されたROM136に電話登録に関する情報の記憶があるか否か判断する(ステップS12)。ここでの判断としては、例えばこの端末装置に割り当てられた電話番号情報の記憶があるか否か判断する。或いは、直接登録の有無に関する情報がある場合には、その登録の有無の情報から判断する。
ステップS12の判断で、登録がないと判断したときには、例えば携帯電話端末100の表示部123やリモートコントロール部22の表示部23に、オーディオ再生(記録)機能が無効であることを表示させ、メモリカード10に記憶されたデータの再生処理(記録処理)をCPU135が実行させないように制限させる(ステップS13)。このときの表示部123での表示としては、例えば図6に示すように、「オーディオ機能は使えません」などと表示させる。
また、ステップS12の判断で、電話に関する登録がある端末であると判断した場合には、端末100に内蔵された二次電池の残量が、オーディオ再生又は記録が可能な残量以上であるか否か判断する(ステップS14)。ここでは、残量が30%以上であるとき、再生や記録が可能であるものとし、それ以下の残量である場合には、電話の発信や着信のために必要な電池残量であるものとして、端末の再生機能部は作動させないようにしてある。ステップS14の判断で、再生又は記録が可能な残量以下であると判断したときには、例えば携帯電話端末100の表示部123に、電池残量不足でオーディオ再生(記録)が行えないことを表示させ、メモリカード10に記憶されたデータの再生処理(記録処理)をCPU135が実行させないように制限させる(ステップS15)。
ステップS14の判断で、電池残量が十分であると判断した場合には、ステップS11で判断した操作よる再生動作又は記録動作を開始させる(ステップS16)。
このようにして、携帯電話端末100が内蔵した再生(記録)機能部の動作を制限させることで、この携帯電話端末100が電話会社などに契約されていない端末装置である場合に、端末装置が再生装置や記録装置として使用されることがなく、携帯電話端末を管理する電話会社側で、端末100に組み込まれた機能を適切に管理できるようになる。
図5に示した例では、携帯電話端末100での登録情報の記憶の有無に基づいて機能制限を行うようにしたが、無線電話回線(ここでの無線電話回線には制御データなどをやり取りする回線についても含む)を介して端末100が受信した情報に基づいて、機能制限を行うようにしても良い。図7は、この場合の動作例を示したフローチャートであり、図5のフローチャートのステップS12での判断を、ステップS21に示したオーディオ機能が無効となる情報の受信があったか否かの判断に変えてある。そして、このステップS21で、オーディオ機能が無効となる情報の受信があったと判断したとき、ステップS13に移って、例えば携帯電話端末100の表示部123やリモートコントロール部22の表示部23に、オーディオ再生(記録)機能が無効であることを表示させ、メモリカード10に記憶されたデータの再生処理(記録処理)をCPU135が実行させないように制限させる。そして、ステップS21で、オーディオ機能が無効となる情報の受信がないと判断したとき、ステップS14に移って、電池残量が一定量以上あるとき、再生又は記録の動作を実行させる。
ステップS21でのオーディオ機能が無効となる情報の受信としては、例えば携帯電話端末100を位置登録させるために、無線電話システムの基地局側に位置登録要求信号を伝送させたとき、その要求に対する返送で、位置登録を拒否するリジェクト信号を受信したとき、そのリジェクト信号をオーディオ機能が無効となる情報として判断するようにしても良い。
このリジェクト信号が受信される状態の例を、図8に示すと、例えば無線電話会社に契約されていた携帯電話端末100を、その電話会社の取扱店に持っていって、その契約の解約処理を行ったとする(ステップS51)。このとき、電話端末100に記憶されている契約情報(電話番号情報)を消去する処理は、行わなくても良い。この契約の解約処理を行った取扱店では、電話会社の管理センタに、該当するID番号の携帯電話端末100が解約されたことを通知する。この通知があった後は、電話会社の管理センタでは、同じID番号の携帯電話端末100から位置登録要求信号の伝送(ステップS53)があったとき、そのID番号の端末は契約されていない端末であると判断して、端末に対して位置登録を拒否するリジェクト信号を伝送し(ステップS54)、その信号を受信した端末では、無線電話端末としての発信や着信ができない状態になる。
なお、ステップS53での位置登録要求信号の伝送は、例えば携帯電話端末100の電源を投入させたときに、その電源投入時の初期動作として実行させる。また、電源投入後の動作中において、端末の現在位置が変化して、端末100で受信する基地局のIDが変化した場合において、位置登録要求信号を伝送させる場合がある。また、図8の例では、ユーザが解約を申し出た場合の処理としたが、特定の端末100のユーザが不正使用(又は電話料金の未払い)していると電話会社側が判断した場合に、該当するID番号の携帯電話端末100が解約されたものとしてセンタ側が扱うようにして、機能制限させるようにしても良い。
このようにして、無線通信で端末が受信したデータに基づいて端末内の再生(記録)機能部の動作を制限させることで、この携帯電話端末100内のフラッシュメモリに記憶された情報などを書き換えることなく、携帯電話端末を管理する電話会社側だけでの処理で、端末100に組み込まれた機能を適切に管理できるようになる。
また、ここまでの例では、端末100側で記憶データや受信データに基づいて契約がないと積極的に判断できる例としたが、単に端末100での使用状態から機能制限を行うようにしても良い。図9は、この場合の動作例を示したフローチャートであり、図5のフローチャートのステップS12での判断を、ステップS31に示した、無線電話としての発信又は着信が所定期間以上(ここでは30日以上)無いか有るかの判断に変えてある。そして、このステップS31で、30日以上電話としての発信又は着信が無いと判断したとき、ステップS13に移って、例えば携帯電話端末100の表示部123やリモートコントロール部22の表示部23に、オーディオ再生(記録)機能が無効であることを表示させ、メモリカード10に記憶されたデータの再生処理(記録処理)をCPU135が実行させないように制限させる。そして、ステップS31で、30日以内に無線電話としての発信又は着信があると判断した場合には、ステップS14に移って、電池残量が一定量以上あるとき、再生又は記録の動作を実行させる。
この図9のフローチャートの処理の場合におけるステップS13での表示例としては、例えば図10に示すように、「オーディオ機能がロックされています電話をかけるとロックが解除されます」と表示させて、電話としての使用があるとオーディオ機能の制限が解除されることをユーザに告知するようにしても良い。
このようにして、端末そのものでの使用状態だけから端末内の再生(記録)機能部の動作を制限させることでも、端末100に組み込まれた機能を適切に管理できるようになる。即ち、上述した例では電話端末としての契約が解除されてから30日を経過した後に、この端末に組み込まれたオーディオの再生機能部が使用できなくなり、契約のない端末で再生機能部が無制限に使用されることがなくなる。
次に、本実施の形態の無線電話端末100が備える電話機能停止モードについて説明する。既に説明したように本例の無線電話装置(端末)には、記録再生部100bとその周辺回路で構成されるオーディオの再生機能部が内蔵させてあり、電話機能停止モード設定キー111a(図1参照)を操作したときには、無線通信機能である無線電話機能だけを停止させることができるようにしてある。この部分的に機能を停止させるモードの設定は、例えば無線電話端末内の各部の動作を制御するCPU135による制御で実現する。
図11のフローチャートは、CPU135の制御で電話機能停止モードを設定させる際の動作例を示したものである。この例では、電話機能停止モード設定キー111aが操作されて、該当するモードを設定させるユーザ操作が行われたことをCPU135が判断したとき(ステップS41)、現在の動作状況が、記録再生部100bを使用してメモリカード10に記憶された音楽(又は音声)の再生中であるか否か判断する(ステップS42)。ここで、再生中であると判断したときには、電話処理部100aでの無線電話の待ち受け処理をオフ状態として(ステップS43)、基地局と無線通信を行わないように制御する。そして、音楽の再生を続行させる(ステップS44)。
またステップS42で音楽(又は音声)の再生中でないと判断したときには、このときの電話機能停止モードが、音楽再生可能なモードであるか否か判断する(ステップS45)。ここで、電話機能停止モードについて、音楽再生機能についても停止させるモードとして予めユーザ等による登録操作などで設定されている場合には、CPU135の制御で、記録再生部100bを使用した音楽の再生機能についてもオフ状態とする(ステップS46)。そして、ステップS45で音楽再生可能なモードであると判断した場合と、ステップS46での処理が行われた後には、電話処理部100aでの無線電話の待ち受け処理をオフ状態として(ステップS47)、基地局と無線通信を行わないように制御する。
また、この電話機能停止モードが設定された状況で、電話機能停止モード設定キー111aが操作された場合には、そのモードを設定させる際にオフ状態とした機能部をオン状態とする。なお、例えば電話機能停止モードが設定された状況のままで、この無線電話端末100の電源キーが操作されて、端末100全体の電源がオフ状態になった場合には、その後の電源キーの操作で電源を再度投入させたとき、電話機能停止モードが解除されるようにする。或いは、電源を再投入時にも、電話機能停止モードが設定されたままとなるようにしても良い。これらの電源再投入時のモード設定状況については、例えばユーザ設定で予めいずれかの処理を選択して登録できるようにしても良い。
図12は、図11のフローチャートに示した電話処理部100aでの電話機能のオン・オフ制御と、記録再生部100bのオン・オフ制御とを、CPU135の制御で実現する構成の例を示したものである。この例では、電源回路161からの電源電圧の各部100a,100bへの供給の制御で、各部の動作の実行及び停止を制御するようにしたものである。具体的には、電源回路161から電話処理部100aへの電源供給路に電源供給スイッチ162を設け、電源回路161から記録再生部100bへの電源供給路に電源供給スイッチ163を設け、両電源供給スイッチ162,163のオン・オフをCPU135がモード設定状況に基づいて制御するようにしてある。なお、電源回路161は、例えば端末100に内蔵された電池から取り出した電源を、端末100内の各回路を作動させるための電圧に変換する回路である。このようにすることで、CPU135の制御に基づいてモードを良好に設定することができる。電話機能停止モードが設定されたときには、この端末100での待ち受けや発信ができない状況になる。
図13は、CPU135を使用しないでモード設定を行う場合の構成の一例を示したものである。この例では、例えば電話機能停止モード設定キー111aの押圧に連続して切換わるモード切換スイッチ164を設ける。このスイッチ164とキー111aの関係としては、例えばキー111aを押圧する毎に、可動接点164mが一方の固定接点164aと他方の固定接点164bとの間での切換わりを繰り返す構成とする。
そして、モード切換スイッチ164の可動接点164mに電源回路161から得られる電源を、スイッチ164の切換えにより選択的に電源供給スイッチ162及び163の制御端子に動作電圧として供給する構成としたものである。具体的には、例えばモード切換スイッチ164の可動接点164mが一方の固定接点164aと接続しているとき、ダイオードD1を介してスイッチ162をオン状態とする電圧信号を供給し、ダイオードD2を介してスイッチ163をオン状態とする電圧信号を供給する。従って、この状態では電話処理部100aと記録再生部100bの双方に電源が供給されて、双方の処理部100a,100bが作動する。そして、モード切換スイッチ164の可動接点164mが他方の固定接点164bと接続しているとき、ダイオードD3を介してスイッチ163だけをオン状態とする電圧信号を供給する。従って、この状態では記録再生部100bにだけ電源が供給されて、電話処理部100aは作動しなくなる。
このようにして、スイッチの切換え制御を行う構成によって、記録再生部100bにだけ電源を供給して作動させるモードを設定できるようにしても良い。
また、ここまでの説明では、電話機能停止モードを設定させたとき、電話処理部100aを構成する回路の動作を全て停止させるようにしたが、一部の回路の動作だけを停止させても良い。具体的には、電話機能停止モードは、基本的には無線電話端末100から電波を発信させることができない状況のときに使用するモードであるので、電波を出力させる動作を行う回路だけを停止させても良い。
図14は、この一部の回路の動作だけを停止させる場合の構成例を示した図である。この例では、送信回路134を、電源回路161からの電源で作動するようにし、送信回路134内の増幅回路134cへの電源の供給路に、CPU135によりオン・オフ制御できる電源供給スイッチ165を設けたものである。即ち、送信回路134としては、例えば図14に示すように、送信データを変調する変調回路134aと、その変調された送信信号を送信チャンネルに周波数変換する周波数変換回路134bと、その周波数変換回路134bで周波数変換された送信信号を送信用の出力に増幅する増幅回路134cとを設けて、増幅回路134cの出力をアンテナ共用器131を介してアンテナ121に供給する構成とする。そして、電話機能停止モードが設定されたとき、増幅回路134cへの電源の供給だけを停止させて、送信回路134内の他の回路134a,134bについては電源を供給したままとする。また図14には図示しないが、受信回路132及び音声処理部133(図1参照)についても電源を供給したままとする。
このように構成することで、電話機能停止モードを設定したとき、増幅回路134cからアンテナ共用器131を介したアンテナ121への送信信号の供給がなくなり、この端末100からの電波の信号がなくなる。そして、その他の送信処理や受信処理を行う回路については、電源が供給されたままであるので、例えば電話機能停止モードを解除させたとき、直ちに送信や受信ができる状況にすることができる。なお、電話機能停止モードを設定させた状況で、図1に示す受信回路132や音声処理部133を作動させたままとしておくことで、例えば基地局からの伝送される信号を受信する処理だけは可能となる。従って、この例の場合には、電話機能停止モードを設定させた状況であっても、例えばこの端末100の現在位置が、通信エリア内であるか否かの判断と、その判断に基づいた圏内表示などを行うことは可能である。
なお、図14の例では、送信回路134内の最終段の増幅回路134cへの電源供給だけを制御するようにしたが、送信回路134内のその他の回路が備える増幅回路(図示せず)などへの電源供給を同様に制御しても良い。
また、電話機能停止モードを設定させたときには、送信回路134内の全ての回路への電源の供給だけを停止させて、受信回路132や音声処理部133への電源の供給を行うようにしても良い。このようにしても、図14に示した場合と同様に、受信機能だけを作動させておくことができる。
なお、受信回路132を作動させて、受信回路132内で高周波処理を行うことによって、若干の高周波信号が端末の外部に漏れる場合に、その高周波信号の漏れが問題になる場合には、電話機能停止モードを設定させたとき、受信回路132についても電源の供給をオフにする等して、受信処理を停止させるようにしても良い。
なお、ここまでの説明では、装着されたメモリカードには、オーディオデータを記録(記憶)させて、その記録されたオーディオデータを再生するようにしたが、携帯電話端末が内蔵したマイクロホンが収録した音声データや、電話として使用中の通話音声のデータを、メモリカード内のメモリに記憶させて、必要なときに再生する音声記録再生装置としても良い。この場合、記憶させるデータの処理としては、音楽などのオーディオデータを記憶させる場合のエンコード処理(圧縮処理)とデコード処理(逆圧縮処理)と同じでも良いが、会話用音声に適したより圧縮率の高いエンコード処理やデコード処理を行うようにしても良い。
また、上述した実施の形態では、携帯電話端末の登録状況や使用状況に基づいた機能制限処理として、端末に組み込まれたオーディオの記録再生機能を、全て制限するようにしたが、その記録再生機能の内の一部だけを、電話としての契約などに基づいて制限するようにしても良い。例えば、無線電話回線を介して所定のセンタから端末100にダウンロードさせてメモリカード10内のメモリに記憶させたオーディオデータの再生だけを、電話としての契約に基づいて制限し、他の機器でメモリカード10に記憶させたオーディオの再生については、電話としての契約の有無によっては制限しないようにしても良い。この場合、メモリカード10に電話回線を介してダウンロードさせたオーディオデータを記憶させた際には、そのことを示す情報を付加して記憶させておけば良い。
また、上述した実施の形態では、使用される記録媒体(記憶媒体)としてメモリカードを使用したが、他の記録媒体を使用しても良い。また、メモリを記憶媒体として使用する場合に、そのメモリが端末装置内に予め組み込まれたものを使用して、交換できないようにしても良い。
また、上述した実施の形態では、オーディオデータや音声データの再生機能や記録(記憶)機能を電話端末装置に組み込むようにしたが、その他の機能を電話端末装置に組み込むようにした場合にも、その組み込まれた機能を同様に制御しても良い。例えば、オーディオデータの代わりに、画像データやゲームプログラムなどをメモリに記憶させて、その再生機能(実行機能)を端末装置に組み込んだ場合に、その画像の再生機能やゲームの実行機能の制限を同様の処理で行うようにしても良い。
また例えば、電話機能停止モードを設ける場合にも、そのモード設定時に、端末装置に組み込まれた記録再生機能部以外の機能部を作動させて、電話機能部を停止させるようにしても良い。例えば、図15に示すように、無線通信端末内に、電話処理部100aの他に、メールデータ処理部100cを設けて、そのメールデータ処理部100cで、受信した文字や画像のメールデータの表示や編集、メールデータとして送信するための文字や画像の入力などを行う構成とした場合に、電源回路161から電話処理部100aへの電源供給路に電源供給スイッチ162を設け、電源回路161からメールデータ処理部100cへの電源供給路に電源供給スイッチ163を設けて、両スイッチ162,163の制御を、図12の例の場合と同様に、電話機能停止モードの設定状況に応じてCPU135が制御するようにしても良い。この図15に示すように構成することで、この端末の無線電話機能を停止させた状態(待ち受けや発信ができない状態)で、表示部での文字メールなどの表示や入力などは可能になる。
さらに、無線通信端末に、インターネットなどのブラウザの閲覧機能部を内蔵させて、電話機能停止モードを設定したとき、その閲覧機能部に受信して蓄積されたデータの表示だけは可能として、電話機能部を停止させるようにしても良い。この場合には、電話機能停止モードの設定中には、そのモードを設定する前に蓄積したデータの表示だけが可能であり、電話機能部で受信したデータをリアルタイムに表示させる場合には、電話機能停止モードを解除させる必要がある。
また、上述した実施の形態では、電話機能停止モードを設定したとき、動作を停止させる回路への電源の供給の制御により動作を停止させる処理を説明したが、その他の方法により動作を停止させるようにしても良い。例えば、電源は供給したままで、CPUなどの制御により作動しないように規制するようにしても良い。
また、上述した実施の形態では、通信端末として無線電話回線を使用する携帯電話端末としたが、通信回線を運用するシステム側に登録された特定の端末装置だけが使用できる通信システムにおいて、各端末装置が備える通信機能以外の機能を、同様に制御しても良い。
10…メモリカード、20…ヘッドホン装置、22…リモートコントロール部、23…表示部、24…キー、25…ボリューム、26…マイクロホン、100…携帯電話端末、100a…電話処理部、100b…録音再生処理部、100c…メールデータ処理部、110…第1筐体、111…キー入力部、111a…電話機能停止モード設定キー、113…マイクロホン、114…メモリカード装着部、120…第2筐体、121…アンテナ、122…スピーカ、123…表示部、124…ヘッドホンジャック、125…オーディオ入力ジャック、126…データ通信用ポート、132…受信回路、133…音声処理部、134…送信回路、135…中央制御ユニット(CPU)、138…デコーダ(エンコーダ)、139…デジタル・アナログ変換器、141…アナログ/デジタル変換器、161…電源回路、162,163,165…電源供給スイッチ、164…モード切換スイッチ