JP2009068910A - X線検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】X線検査装置に使用されるX線遮蔽カーテンの耐久性を向上することが可能な技術を提供する。
【解決手段】X線検査装置1は、搬入口2aから搬入された物品3を搬出口2bに搬送するコンベア22と、コンベア22で搬送される物品3にX線26を照射するX線照射部24と、X線照射部24からの物品3を透過したX線26を検出するラインセンサ25と、搬入口2a及び搬出口2bに設けられたX線遮蔽カーテン23とを備えている。X線遮蔽カーテン23はタングステン含有層を有している。
【選択図】図2
【解決手段】X線検査装置1は、搬入口2aから搬入された物品3を搬出口2bに搬送するコンベア22と、コンベア22で搬送される物品3にX線26を照射するX線照射部24と、X線照射部24からの物品3を透過したX線26を検出するラインセンサ25と、搬入口2a及び搬出口2bに設けられたX線遮蔽カーテン23とを備えている。X線遮蔽カーテン23はタングステン含有層を有している。
【選択図】図2
Description
本発明は、物品にX線を照射して当該物品を検査するX線検査装置に関する。
従来からX線検査装置に関して様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、X線が装置側方から外部に漏れることを防止する技術が開示されている。また特許文献2には、扉の開閉時の作業者の負担を軽減することができ、かつ良好な衛生状態を保ちやすくする技術が開示されている。
なお特許文献3には、放射線遮蔽材に関する技術が開示されている。
特許文献1に記載されているように、X線検査装置においては、装置外部にX線が漏れることを防止するために、検査対象たる物品の搬入口及び搬出口にX線遮蔽カーテンが設けられることがある。この場合には、物品はX線遮蔽カーテンを押しのけながら搬入口あるいは搬出口を通過する。複数の物品を連続して検査する場合には、物品が頻繁にX線遮蔽カーテンに当たることから、X線遮蔽カーテンには優れた耐久性が要求される。
そこで、本発明は上記の点に鑑みて成されたものであり、X線検査装置に使用されるX線遮蔽カーテンの耐久性を向上することが可能な技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、搬入口から搬入された物品を搬出口に搬送する搬送部と、前記搬送部で搬送される前記物品にX線を照射するX線照射部と、前記X線照射部からの前記物品を透過した前記X線を検出するX線検出部と、前記搬入口及び前記搬出口の少なくとも一方に設けられたX線遮蔽カーテンとを備え、前記X線遮蔽カーテンは、タングステン含有層を有している、X線検査装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のX線検査装置であって、前記X線遮蔽カーテンは、前記タングステン含有層に積層された、ポリオレフィン樹脂から成る保護層を有している。
また、請求項3の発明は、請求項2に記載のX線検査装置であって、前記保護層は、前記タングステン含有層の両面に積層されている。
また、請求項4の発明は、請求項1に記載のX線検査装置であって、前記X線遮蔽カーテンは、前記タングステン含有層の両面に積層された、当該タングステン含有層よりも弾力性が高い保護層を有している。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のX線検査装置であって、前記タングステン含有層では、タングステンの含有率が70重量%以上80重量%以下に設定されている。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載のX線検査装置であって、前記タングステン含有層の厚みは0.3mm以上1.0mm未満に設定されている。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載のX線検査装置であって、前記X線遮蔽カーテンには、暖簾状に複数の短冊部が垂れ下がるように所定間隔で複数のスリットが設けられており、前記所定間隔は10mm以上20mm以下に設定されている。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載のX線検査装置であって、前記X線遮蔽カーテンには、暖簾状に複数の短冊部が垂れ下がるように所定間隔で複数のスリットが設けられており、前記複数の短冊部のそれぞれの長さは、100mm以上320mm以下に設定されている。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載のX線検査装置であって、前記X線遮蔽カーテンの色は青色に設定されている。
また、請求項10の発明は、請求項2及び請求項3のいずれか一つに記載のX線検査装置であって、前記保護層の厚みは0.08mm以上0.1mm以下に設定されている。
また、請求項11の発明は、請求項1に記載のX線検査装置であって、前記X線遮蔽カーテンを吊り下げる吊り下げ部材と、前記X線遮蔽カーテンの上端部に取り付けられた、前記吊り下げ部材が挿入される挿入空間を有する取り付け部材とをさらに備え、前記取り付け部材はX線が透過する材料から成り、前記タングステン含有層の上端は、前記挿入空間の内部にまで進入している。
また、請求項12の発明は、請求項11に記載のX線検査装置であって、前記タングステン含有層の前記上端は、前記吊り下げ部材に接触していない。
また、請求項13の発明は、請求項1に記載のX線検査装置であって、前記X線遮蔽カーテンを吊り下げる吊り下げ部材と、前記X線遮蔽カーテンの上端部に取り付けられた、前記吊り下げ部材が挿入される挿入空間を有する取り付け部材とをさらに備え、前記取り付け部材はX線を遮蔽する金属材料から成る。
また、請求項14の発明は、請求項13に記載のX線検査装置であって、前記取り付け部材の下端部は、前記X線遮蔽カーテンの前記上端部と対向し、かつ前記下端部の先端に向かうほど前記上端部から離れていく前記上端部に向かって凸の曲面を有する。
また、請求項15の発明は、請求項13に記載のX線検査装置であって、前記取り付け部材は、前記X線遮蔽カーテンの前記上端部を面接触で挟み込む挟持部分を有する。
また、請求項16の発明は、請求項15に記載のX線検査装置であって、前記取り付け部材と前記X線遮蔽カーテンの前記上端部とは、前記挟持部分よりも上方の位置でボルト止めされている。
請求項1の発明によれば、X線遮蔽カーテンはタングステン含有層を有しているため、X線遮蔽カーテンにおけるX線の遮蔽機能を維持しつつ、物品が当たるX線遮蔽カーテンの柔軟性を高めて耐久性を向上することできる。
また、請求項2の発明によれば、X線遮蔽カーテンでは、タングステン含有層にポリオレフィン樹脂から成る保護層が積層されているため、当該保護層によって物品のX線遮蔽カーテンへの衝突を吸収することができる。さらに、X線遮蔽カーテンの柔軟性を向上することができるとともに、保護層がタングステン含有層から剥がれにくくなる。その結果、X線遮蔽カーテンの耐久性がさらに向上する。
また、請求項3の発明によれば、保護層がタングステン含有層の両面に積層されているため、タングステン含有層と保護層との膨張率の相違によるX線遮蔽カーテンの変形を抑制することができるとともに、物品の搬送方向が変化した場合であってもX線遮蔽カーテンの向きを変更する必要が無い。
また、請求項4の発明によれば、X線遮蔽カーテンでは、タングステン含有層にそれよりも弾力性が高い保護層が積層されているため、当該保護層によって物品のX線遮蔽カーテンへの衝突を吸収することができる。その結果、X線遮蔽カーテンの耐久性をさらに向上することができる。さらに、タングステン含有層の両面に保護層が積層されているため、タングステン含有層と保護層との膨張率の相違によるX線遮蔽カーテンの変形を抑制することができるとともに、物品の搬送方向が変化した場合であってもX線遮蔽カーテンの向きを変更する必要が無い。
また、請求項5の発明によれば、X線遮蔽カーテンのタングステン含有層では、タングステンの含有率が70重量%以上80重量%以下に設定されているため、X線遮蔽カーテンのX線の遮蔽機能を維持しつつ、X線遮蔽カーテンの柔軟性がさらに向上して耐久性を向上することができる。
また、請求項6の発明によれば、X線遮蔽カーテンのタングステン含有層の厚みが0.3mm以上1.0mm未満に設定されているため、X線遮蔽カーテンのX線の遮蔽機能を維持しつつ、X線遮蔽カーテンの柔軟性がさらに向上して耐久性を向上することができる。
また、請求項7の発明によれば、X線遮蔽カーテンでは、暖簾状に垂れ下がる複数の短冊部を形成する複数のスリットが10mm以上20mm以下の間隔で設けられているため、物品によってX線遮蔽カーテンのめくり上がる部分を小さくしつつ、複数の短冊部がもつれることを抑制することができる。
また、請求項8の発明によれば、X線遮蔽カーテンでは、複数の短冊部のそれぞれの長さが、100mm以上320mm以下に設定されているため、短冊部の重さを抑えつつ、ある程度の高さの物品を検査対象とすることができる。よって、物品がX線遮蔽カーテンを押しのけやすくなるとともに、検査対象の物品の種類をある程度確保することができる。
また、請求項9の発明によれば、X線遮蔽カーテンの色が青色に設定されている。青色の食品はほとんど存在しないため、食品を検査する場合に、X線遮蔽カーテンが損傷してその一部が検査対象の食品に誤って混入した場合であっても、そのことを視覚的にすぐに確認することができる。
また、請求項10の発明によれば、ポリオレフィン樹脂から成る保護層の厚みが0.08mm以上0.1mm以下に設定されているため、物品のX線遮蔽カーテンへの衝突を吸収しつつ、X線遮蔽カーテンの柔軟性をさらに向上することができる。その結果、保護層の機能を十分に発揮しつつ、X線遮蔽カーテンの耐久性をさらに向上することができる。
また、請求項11の発明によれば、取り付け部材はX線が透過する材料から成るため、当該取り付け部材に使用する材料の選択の自由度が向上する。さらに、タングステン含有層の上端は、X線が透過する材料から成る取り付け部材の挿入空間の内部にまで進入しているため、当該取り付け部材からのX線の漏洩を抑制することができる。
また、請求項12の発明によれば、タングステン含有層の上端は、吊り下げ部材に接触していないため、タングステン含有層の上端と吊り下げ部材とが接触してX線遮蔽カーテンが押しのけにくくなることを防止できる。
また、請求項13の発明によれば、吊り下げ部材が挿入される取り付け部材が金属材料から成るため、取り付け部材と吊り下げ部材との摩擦を低減することができる。よって、X線遮蔽カーテンが押しのけやすくなる。さらに、取り付け部材の形状が変形しにくくなるため、取り付け部材の形状が変形して取り付け部材と吊り下げ部材との接触抵抗が増大することを抑制でき、X線遮蔽カーテンがさらに押しのけやすくなる。さらに、取り付け部材はX線を遮蔽する金属材料から成るため、当該取り付け部材からのX線の漏洩を抑制できる。
また、請求項14の発明によれば、取り付け部材の下端部は、X線遮蔽カーテンの上端部と対向し、かつ当該下端部の先端に向かうほどX線遮蔽カーテンの上端部から離れていく当該上端部に向かって凸の曲面を有するため、X線遮蔽カーテンがめくり上がった際の当該X線遮蔽カーテンと取り付け部材の下端部との接触部分を曲面とすることができる。よって、X線遮蔽カーテンにおける、取り付け部材の下端部との接触部分での損傷を抑制できる。
また、請求項15の発明によれば、取り付け部材は、X線遮蔽カーテンの上端部を面接触で挟み込む挟持部分を有しているため、X線遮蔽カーテンでの自重による損傷を抑制することができる。
また、請求項16の発明によれば、取り付け部材がX線遮蔽カーテンの上端部を面接触で挟み込む挟持部分を有する以外に、取り付け部材とX線遮蔽カーテンの上端部とはボルト止めされているため、取り付け部材からX線遮蔽カーテンがはずれにくくなる。さらに、ボルト止めは、取り付け部材の挟持部分よりも上方の位置で行われているため、自重によってX線遮蔽カーテンがボルト止めの部分で切れたとしても、取り付け部材の挟持部分によってX線遮蔽カーテンの落下を抑制することができる。
図1は本発明の実施の形態に係るX線検査装置1の外観を示す斜視図である。本実施の形態に係るX線検査装置1は、連続的に搬送される、食品等の物品中に、金属や硬質異物(樹脂、石)等の異物が存在するか否かを、当該物品にX線を照射することによって検査する。
以下の説明においては、方向及び向きを示す際に、適宜、図中に示す3次元のXYZ直交座標系を用いる。このXYZ直交座標系はX線検査装置1の筺体2に対して相対的に規定される。X軸及びY軸は水平方向を示し、Z軸は鉛直方向(+Z側が上側)を示している。また、説明の便宜上、X軸方向を左右方向(+X側が右側、−X側が左側)、Y軸方向を奥行き方向(−Y側が前面側、+Y側が背面側)とする。
図1に示されるように、本実施の形態に係るX線検査装置1では、筺体2の前面側に操作パネル21が取り付けられている。操作パネル21は、各種情報を表示するディスプレイと、ユーザの各種操作を受け付ける操作ボタンとを備えており、ユーザインタフェイスとして機能する。操作パネル21のディスプレイは、例えばタッチパネルディスプレイであって、ユーザは当該ディスプレイの画面を介して、必要な情報や指示をX線検査装置1に入力することが可能である。
筺体2内には、検査対象の物品を搬送する搬送部として機能するコンベア22が設けられている。物品は、生産ラインにおける上流側装置から搬入口2aに搬入され、筺体2内をコンベア22によって搬送された後、搬出口2bから下流側装置に搬出される。このコンベア22による搬送の過程において、物品に対して異物が含まれているか否かの検査が行われる。
搬入口2a及び搬出口2bのそれぞれにはX線遮蔽カーテン23が設けられている。このX線遮蔽カーテン23は、物品の検査の際に筺体2内で発生したX線が筺体2の外部に漏れることを防止する機能を有している。つまり、搬入口2a及び搬出口2bがX線遮蔽カーテン23で覆われることによって、筺体2内で発生したX線の筺体2の外部への漏洩が抑制される。
図2はX線検査装置1における筺体2内の様子を示す斜視図である。図2に示されるように、コンベア22は右側(+X側)に移動するベルト22aを有しており、当該ベルト22a上に検査対象の物品3が搭載されることによって、当該物品3が右側に向けて搬送される。ベルト22aは例えばX線が透過するウレタンから成る。筺体2内では、コンベア22が、そのベルト22aの搬送面が略水平になるように配置されている。そして、ベルト22aの搬送面の中央部の上方にX線照射部24が設けられ、当該中央部の下方にラインセンサ25が設けられている。
筺体2内では、3つのX線遮蔽カーテン23を一組とする、二組のカーテン群30が、コンベア22の搬送面の中央部を間に挟んで搬入口2a側と搬出口2b側とにそれぞれ設けられている。搬入口2a側のカーテン群30では、3つのX線遮蔽カーテン23が搬入口2aを塞ぐように左右方向(物品3の搬送方向)に沿って等間隔に配置されている。搬出口2b側のカーテン群30では、3つのX線遮蔽カーテン23が搬出口2bを塞ぐように左右方向に沿って等間隔で配置されている。
各X線遮蔽カーテン23は、その上端が筺体2内で支持されており、暖簾状に下側(−Z側)に垂れ下がった複数の短冊部230を有している。各X線遮蔽カーテン23は、複数の短冊部230の下端がベルト22aの搬送面と接触するように配置されている。搬入口2aまで搬送された物品3は、搬入口2a側の3つのX線遮蔽カーテン23の短冊部230を順に押しのけながら筺体2内へ進入し、X線照射部24の下方に搬送される。その後、物品3は、搬出口2b側の3つのX線遮蔽カーテン23の短冊部230を順に押しのけながら搬出口2bを通過して、筺体2の外側に搬送される。なお図2では、X線遮蔽カーテン23の概略形状を示しており、X線遮蔽カーテン23の詳細な形状については後述する。
X線照射部24は、その直下に存在する、X線検出部として機能するラインセンサ25に向けてX線26を扇状に照射する。ラインセンサ25は、X線を受光し、その受光量に応じた信号電荷を出力する複数の受光センサをライン上に配置して構成されている。ラインセンサ25は、X線照射部24から照射されてコンベア22のベルト22aを透過したX線26を受光できるように、物品3の搬送方向に直交するY軸方向に沿って配置されている。X線照射部24とラインセンサ25との間に物品3が存在する場合は、物品3を透過したX線26がラインセンサ25で検出されて、当該ラインセンサ25からは、物品3を透過したX線26の強度を示す信号電荷が出力される。
ラインセンサ25からの信号電荷は、Y軸方向に沿った物品3の像を示すライン画像となる。このライン画像は、物品3が+X側に所定距離だけ搬送されるごとに、ラインセンサ25から順次出力される。そして、これらのライン画像が二次元的に連結されることにより、物品3全体の像を示す二次元の検査画像が生成される。この検査画像に基づいて、物品3に含まれる異物が検出されることになる。
また、筺体2内には、X線検査装置1の動作を統括的に管理する制御部27が設けられている。図3はX線検査装置1の電気的構成を示すブロック図である。制御部27は、CPUやメモリなどで構成されたコンピュータであって、操作パネル21、コンベア22、X線照射部24及びラインセンサ25の動作を制御する。
制御部27には、操作パネル21からユーザの操作情報が入力され、制御部27は、入力された操作情報に応じた動作を行う。また制御部27には、ラインセンサ25からライン画像が入力される。制御部27は、ラインセンサ25で生成された、ある物品3についての複数のライン画像に基づいて、当該物品3の全体を示す検査画像を生成し、生成した検査画像に基づいて、検査対象の物品3の中に異物が含まれているか否かを判定する。
ここで、物品3中の金属等の異物はX線をあまり透過しないことから、制御部27で生成された検査画像では、異物を示す領域の輝度が、他の領域と比較して低くなる。したがって、制御部27は、検査画像において輝度が低い領域を検出することによって、物品3中の異物を特定することができる。
制御部27は、ある物品3に対する検査が終了すると、操作パネル21を制御して、そのディスプレイに検査結果を表示する。操作パネル21のディスプレイには、例えば、異物を示す領域が他の領域と異なった色で示された検査画像が表示されたり、異物を示す領域に所定のマークが付された検査画像が表示される。これにより、ユーザは、操作パネル21のディスプレイでの表示内容を参照することによって、物品3中に異物が含まれているかどうかを視覚的に確認することができる。
次に、本実施の形態に係るX線遮蔽カーテン23の構造について詳細に説明する。図4〜6はX線遮蔽カーテン23の構造を示す図である。図4は筺体2の外側から搬入口2a側のX線遮蔽カーテン23を見た際の当該X線遮蔽カーテン23の構造を示しており、図5は図4に示される構造を矢視Aから見た際の当該構造を示しており、図6は図5の部分Bを拡大して示している。
図4〜6に示されるように、X線遮蔽カーテン23は、シート状のラミネート材231を主材として構成されている。ラミネート材231は、図6に示されるように、タングステンを含むタングステン含有層232と、当該タングステン含有層232の両主面に積層された保護層233とで構成されている。保護層233は、例えばポリオレフィン樹脂から成り、その弾力性は、タングステン含有層232よりも高くなっている。これにより、保護層233によって、物品3のX線遮蔽カーテン23への衝突を吸収することができ、X線遮蔽カーテン23の耐久性が向上する。
本実施の形態では、タングステン含有層232でのタングステンの含有率が70重量%以上80重量%以下に設定されている。また、タングステン含有層232の厚みT1は0.3mm以上1.0mm未満に設定されている。そして、保護層233の厚みT2は0.08mm以上0.1mm以下に設定されている。
また、ラミネート材231では、その上部の幅が他の部分よりも狭くなっている。そして、図5に示されるように、ラミネート材231では、上端部231aが一方の主面231bに接触するように上部が丸く曲げられている。ラミネート材231の他方の主面231cには、一方の主面231bに接触する上端部231aと対向するように、シート状の当て材240が設けられている。そして、上端部231aと当て材240とは、ラミネート材231の一部を間に挟んで2箇所で互いに縫い付けられている。図4中のY軸方向に延在する2本の破線及び図5中の2本の破線は、上端部231aと当て材240との縫い目を示している。シート状の当て材240は、ラミネート材231と同様に、タングステン含有層232と、その両主面に形成された保護層233とで構成されている。
X線遮蔽カーテン23には、図5に示されるように、ラミネート材231の上端部231aが主面231bに接触するようにラミネート材231の上部が丸く曲げられることによって、円筒状(管状)の取り付け部分234が形成されている。この取り付け部分234には、X線遮蔽カーテン23を吊り下げる棒状の吊り下げ部材40が挿入される。吊り下げ部材40は、例えば、金属から成る管状部材であって、その断面形状の外周は円形となっている。そして、吊り下げ部材40は筺体2内に固定されている。これにより、X線遮蔽カーテン23は、垂れ下がるように筺体2内でその上端が支持され、当該X線遮蔽カーテン23に検査対象の物品3が当たると、短冊部230がめくり上がるとともに、当該X線遮蔽カーテン23全体が吊り下げ部材40を軸にして回動する。X線遮蔽カーテン23が吊り下げ部材40で吊り下げられると、取り付け部分234の内周面と吊り下げ部材40の外周面とは曲面で接触するようになる。これにより、吊り下げ部材40との接触によって取り付け部分234のある箇所に集中的にストレスが加わることを抑制でき、X線遮蔽カーテン23の損傷を抑制できるとともに、X線遮蔽カーテン23が押しのけやすくなる。
また、X線遮蔽カーテン23には、暖簾状に複数の短冊部230が垂れ下がるように所定間隔Pで複数のスリット235が形成されている。X線遮蔽カーテン23には、例えば45本のスリット235が形成されており、所定間隔Pは10mm以上20mm以下に設定される。つまり、短冊部230の幅は10mm以上20mm以下に設定される。各スリット235は、ラミネート材231の下端から、ラミネート材231における、上端部231aと当て材240とで挟まれた領域の中央付近まで延びている。したがって、各スリット235の上端部は、ラミネート材231の上端部231a及び当て材240で覆われており、露出していない。そして、ラミネート材231の上端部231aと当て材240とは、スリット235の上端を間に挟む上下2箇所で縫い付けられている。これにより、搬送されてきた物品3が短冊部230に当たって、当該短冊部230がめくり上がった際にスリット235の上端付近にストレスがかかることを抑制でき、ラミネート材231がスリット235の上端から裂けることを防止できる。
ここで、短冊部230とは、X線遮蔽カーテン23において、スリット235の露出部分の間で規定される領域をいう。つまり、短冊部230とは、X線遮蔽カーテン23の外観において視認できる短冊状の部分をいう。したがって、短冊部230には、ラミネート材231における、その上端部231aと当て材240とで覆われている部分は含まれない。本実施の形態では、短冊部230の長さLは100mm以上320mm以下に設定されている。つまり、スリット235の露出部分の長さは100mm以上320mm以下に設定されている。なお、スリット235の全領域が露出している場合には、スリット235の全長と、短冊部230の長さLとは同じになる。
また、本実施の形態では、タングステン含有層232及び保護層233はともに食品衛生法に適合している。したがって、X線検査装置1において食品をより安全に検査することができる。
また、保護層233の色は青色に設定されている。これにより、X線遮蔽カーテン23の表面の色は青色となる。青色の食品はほとんど存在しないことから、本実施の形態のように、X線遮蔽カーテン23の色を青色にすることによって、食品を検査する場合に、X線遮蔽カーテン23が損傷してその一部が検査対象の食品に誤って混入したとしても、そのことを視覚的にすぐに確認することができる。
本実施の形態に係るX線遮蔽カーテン23は、以上のように構成されているため、耐久性が飛躍的に向上する。図7はX線遮蔽カーテン23に対する耐久性試験の結果を示す図である。図7中の「タングステンシート」は本実施の形態に係るX線遮蔽カーテン23を示しており、「鉛シート」は本X線遮蔽カーテン23との比較対象となるX線遮蔽カーテン(以後、「比較対象カーテン」と呼ぶ)を示している。比較対象カーテンでは、鉛を含むシート状の鉛含有層の片面だけに塩化ビニル樹脂から成る保護層が積層されており、鉛含有層の厚みは1.0mmに設定されている。比較対象カーテンのその他の構造は、本X線遮蔽カーテン23と同様である。
本実施の形態に係るX線検査装置1において、各X線遮蔽カーテン23の代わりに比較対象カーテンを使用した場合には、搬入口2a側の3つの比較対象カーテンについては、それぞれの保護層が搬入口2a側に向くように、搬出口2b側の3つの比較対象カーテンについては、それぞれの保護層が搬出口2b側に向くように、筺体2内に取り付けられる。図7では、高さ50mmの桟状部材をY軸方向に延在するようにコンベア22に取り付けて、当該桟状部材が、各X線遮蔽カーテン23あるいは各比較対象カーテンに毎分100回の割合で衝突するようにコンベア22を駆動させた場合の結果が示されている。
図7に示されるように、比較対象カーテン(鉛シート)に対して桟状部材を600万回衝突させると、比較対象カーテンの下端(開放端)において、鉛含有層から保護層が剥がれることが確認された。
これに対して、タングステン含有層232の厚みT1が0.3mm、0.4mm、0.55mmのX線遮蔽カーテン23のそれぞれに対して、桟状部材を600万回衝突させた場合には、タングステン含有層232から保護層233が剥がれることは確認されなかった。そして、タングステン含有層232の厚みT1が0.55mのX線遮蔽カーテン23では、桟状部材との衝突回数が900万回となると、その下端において、タングステン含有層232から保護層233が剥がれることが確認されるとともに、ラミネート材231が欠けることが確認された。なお、タングステン含有層232の厚みT1が0.3m、0.4mmのX線遮蔽カーテン23のそれぞれでは、桟状部材との衝突回数が900万回となっても、保護層233が剥がれたり、ラミネート材231が欠けたりすることは確認されなかった。
このように、図7に示される実験結果より、本実施の形態に係るX線遮蔽カーテン23の耐久性が著しく向上していることが理解できる。
また、X線遮蔽カーテン23を備える本実施の形態に係るX線検査装置1からのX線の漏洩量と、X線遮蔽カーテン23の代わりに比較対象カーテンを備えるX線検査装置1からのX線の漏洩量とを測定する実験を行ったところ、両装置からのX線の漏洩量にほとんど差が無いことが確認された。よって、X線遮蔽カーテン23と、比較対象カーテンとのX線の遮蔽機能は同等であるといえる。
以上のように、本実施の形態に係るX線検査装置1では、X線遮蔽カーテン23がタングステン含有層232を有しているため、X線遮蔽カーテン23におけるX線の遮蔽機能を維持しつつ、物品3が当たるX線遮蔽カーテン23の柔軟性を高めて耐久性を向上することできる。
また、本実施の形態に係るX線遮蔽カーテン23では、タングステン含有層232にポリオレフィン樹脂から成る保護層233が積層されているため、当該保護層233によって物品3のX線遮蔽カーテン23への衝突を吸収することができる。さらに、保護層233を塩化ビニル樹脂で形成する場合と比較して、X線遮蔽カーテン23の柔軟性を向上することができるとともに、保護層233がタングステン含有層232から剥がれにくくなる。その結果、X線遮蔽カーテン23の耐久性がさらに向上する。
また、上述の比較対象カーテンでは、鉛含有層の片面だけにしか保護層が設けられていないため、使用期間が長くなると、鉛含有層と保護層との膨張率の相違により比較対象カーテンが変形することがある。具体的には、保護層の方が鉛含有層よりも膨張率が大きいため、鉛含有層における保護層が形成されていない主面を内側にして、比較対象カーテンが湾曲することがある。その結果、複数の短冊部の間に大きな隙間が発生して、X線の遮蔽機能が低下することがある。さらに、比較対象カーテンでは、鉛含有層の片面だけにしか保護層が設けられていないため、物品3の搬送方向が+X側から−X側に変化すると、物品3が鉛含有層に直接当たることになることから、比較対象カーテンの向きを変更する必要があり、作業者の手間が増大する。
これに対して、本X線遮蔽カーテン23では、タングステン含有層232の両面に保護層233が設けられているため、タングステン含有層232と保護層233との膨張率の相違によるX線遮蔽カーテン23の変形を抑制することができる。さらに、物品3の搬送方向が変化した場合であってもX線遮蔽カーテン23の向きを変更する必要が無いため、作業者の手間を低減できる。
また、本実施の形態に係るX線遮蔽カーテン23では、タングステン含有層232でのタングステンの含有率が70重量%以上80重量%以下という適切な値に設定されているため、X線遮蔽カーテン23のX線の遮蔽機能を維持しつつ、X線遮蔽カーテン23の柔軟性がさらに向上して耐久性を向上することができる。また、X線遮蔽カーテン23のタングステン含有層232の厚みT1が0.3mm以上1.0mm未満という適切な値に設定されているため、X線遮蔽カーテン23のX線の遮蔽機能を維持しつつ、X線遮蔽カーテン23の柔軟性がさらに向上して耐久性を向上することができる。
また、X線遮蔽カーテン23において、複数のスリット235の配列間隔である所定間隔Pが大きくなり過ぎると、物品3がX線遮蔽カーテン23を通過する際に、物品3がX線遮蔽カーテン23をめくり上げる部分が大きくなって、X線の遮蔽機能が低下する。一方で、所定間隔Pが小さくなり過ぎると、各短冊部230が細くなって、物品3がX線遮蔽カーテン23を通過する際に、複数の短冊部230がもつれることがある。
本実施の形態に係るX線遮蔽カーテン23では、複数のスリット235が10mm以上20mm以下という適切な間隔で設けられているため、物品3によってX線遮蔽カーテン23のめくり上がる部分を小さくしつつ、複数の短冊部230がもつれることを抑制することができる。
また、X線遮蔽カーテン23において、短冊部230の長さLが大きくなって、短冊部230の重さが大きくなり過ぎると、物品3がX線遮蔽カーテン23を押しのけにくくなり、物品3が損傷することがある。一方で、短冊部230の長さLが小さくなり過ぎると、物品3の高さに制限が加わり、検査対象の物品3の種類が限定されてしまう。
本実施の形態に係るX線遮蔽カーテン23では、複数の短冊部230のそれぞれの長さLが、100mm以上320mm以下という適切な値に設定されているため、短冊部230の重さを抑えつつ、ある程度の高さの物品3を検査対象とすることができる。よって、物品3がX線遮蔽カーテン23を押しのけやすくなるとともに、検査対象の物品3の種類をある程度確保することができる。
また、X線遮蔽カーテン23において、保護層233の厚みT2が小さくなり過ぎると、X線遮蔽カーテン23の物品3の衝突を十分に吸収できず、逆に厚みT2が大きくなり過ぎると、X線遮蔽カーテン23の柔軟性が低下する。
本実施の形態では、保護層233の厚みT2が0.08mm以上0.1mm以下という適切な値に設定されているため、物品3のX線遮蔽カーテン23への衝突を吸収しつつ、X線遮蔽カーテン23の柔軟性をさらに向上することができる。その結果、保護層233の機能を十分に発揮しつつ、X線遮蔽カーテン23の耐久性をさらに向上することができる。
<X線遮蔽カーテンの取り付け構造の変形例>
次にX線遮蔽カーテン23の取り付け構造の各種変形例について説明する。図8はX線遮蔽カーテン23の第1変形例に係る取り付け構造を示す図である。図8では、X線遮蔽カーテン23、取り付け部材250及び吊り下げ部材40のZ軸方向に沿った断面の構造を示している。
次にX線遮蔽カーテン23の取り付け構造の各種変形例について説明する。図8はX線遮蔽カーテン23の第1変形例に係る取り付け構造を示す図である。図8では、X線遮蔽カーテン23、取り付け部材250及び吊り下げ部材40のZ軸方向に沿った断面の構造を示している。
図8に示されるX線遮蔽カーテン23は、上記のラミネート材231のみで構成されている。ラミネート材231の上端部231aには、吊り下げ部材40が挿入される挿入空間250aを有する取り付け部材250が取り付けられている。取り付け部材250は、Y軸方向に沿って延在しており、ラミネート材231の上端部231aを挟むようにして当該上端部231aに取り付けられている。取り付け部材250は、例えば、ベルト22aと同様にX線が透過するウレタンから成る。取り付け部材250は、その下部において、ラミネート材231の上端部231aを間に挟んで対向する、それぞれがY軸方向に沿って延在する一対の板状部分252a,252bを有している。取り付け部材250は、その上部において、Y軸方向に沿って延在し、かつラミネート材231の上端231dを覆うように一方の板状部分252aの上端から他方の板状部分252bの上端まで連続する管状部分251を有している。挿入空間250aはこの管状部分251の内面で規定されており、吊り下げ部材40は管状部分251の穴に挿入される。そして、2つの板状部分252a,252bはラミネート材231の上端部231aを間に挟んで2箇所で互いに縫い付けられている。なお、図8中の2つの破線は、上端部231aと板状部分252a,252bとの縫い目を示している。
X線遮蔽カーテン23が吊り下げ部材40で吊り下げられると、取り付け部材250の管状部分251の内周面と吊り下げ部材40の外周面とは曲面で接触するようになる。これにより、吊り下げ部材40との接触によって取り付け部材250のある箇所に集中的にストレスが加わることを抑制でき、取り付け部材250の損傷を抑制できるとともに、X線遮蔽カーテン23が押しのけやすくなる。
X線遮蔽カーテン23を構成するラミネート材231では、その上端部231aの幅、つまりY軸方向の長さが、他の部分よりも短くなっている。そして、取り付け部材250のY軸方向の長さは、ラミネート材231における上端部231aのY軸方向の長さとほぼ一致しており、取り付け部材250は、ラミネート材231の上端部231aの全領域に渡って設けられている。ラミネート材231に設けられた複数のスリット235は、ラミネート材231の下端から、ラミネート材231における、取り付け部材250の板状部分252a,252bに挟まれた領域の中央付近まで延びている。そして、ラミネート材231の上端部231aと取り付け部材250の板状部分252a,252bとは、スリット235の上端を間に挟む上下2箇所で縫い付けられている。これにより、図4〜6に示されるX線遮蔽カーテン23と同様に、搬送されてきた物品3が短冊部230に当たって、当該短冊部230がめくり上がった際にスリット235の上端付近にストレスがかかることを抑制でき、ラミネート材231がスリット235の上端から裂けることを防止できる。
ここで、上記の通り、取り付け部材250はX線が透過する材料で形成されていることから、取り付け部材250を単にラミネート材231の上端部231aに取り付けるだけでは、取り付け部材250からX線が外部に漏洩する可能性がある。
そこで、図8に示されるように、ラミネート材231の上端231dが取り付け部材250の挿入空間250aの内部にまで進入するように、ラミネート材231の上端部231aを一対の板状部分252a,252bで挟むようにする。これにより、タングステン含有層232の上端が挿入空間250aの内部に進入するようになり、取り付け部材250の管状部分251からのX線の漏洩を抑制することができる。
本例では、例えば、挿入空間250aの直径R、つまり管状部分251の内径は6mmに設定され、管状の吊り下げ部材40の外径rは3mmに設定される。そして、ラミネート材231の上端231dの挿入空間250aへの進入距離d2は2mmに設定される。したがって、X線遮蔽カーテン23が吊り下げ部材40によって吊り下げられて、図8に示されるように、吊り下げ部材40の外周と、取り付け部材250の管状部分251の内周とが接触すると、吊り下げ部材40の外周とラミネート材231の上端231dとの距離d1は1mmとなる。このように、X線遮蔽カーテン23が吊り下げ部材40によって吊り下げられた状態においては、吊り下げ部材40とラミネート材231とが接触することは無い。よって、吊り下げ部材40とラミネート材231とが接触して、X線遮蔽カーテン23が押しのけにくくなることを防止できる。
以上のように、X線遮蔽カーテン23を吊り下げ部材40に取り付ける取り付け部材250はX線が透過する材料から成るため、当該取り付け部材250に使用する材料の選択の自由度が向上する。さらに、タングステン含有層232の上端は、X線が透過する材料から成る取り付け部材250の挿入空間250aの内部にまで進入しているため、取り付け部材250からのX線の漏洩を抑制することができる。
次に、X線遮蔽カーテン23の第2変形例に係る取り付け構造について説明する。図9は第2変形例に係る取り付け構造を示す図である。図9では、X線遮蔽カーテン23、取り付け部材260及び吊り下げ部材40のZ軸方向に沿った断面の構造を示している。
図9に示されるX線遮蔽カーテン23は、図8のX線遮蔽カーテン23と同様に、ラミネート材231のみで構成されている。ラミネート材231の上端部231aには、吊り下げ部材40が挿入される挿入空間260aを有する取り付け部材260が取り付けられている。取り付け部材260は、上記の取り付け部材250と同様に、Y軸方向に沿って延在し、ラミネート材231の上端部231aを挟むようにして当該上端部231aに取り付けられている。取り付け部材260は、鉛やタングステンなどの、X線を遮蔽する金属材料で形成されている。取り付け部材260は、ラミネート材231の上端部231aを間に挟んで互いに対向する、それぞれがY軸方向に沿って延在する一対の対向部分262,263を有している。取り付け部材260は、その上端部において、Y軸方向に沿って延在し、かつラミネート材231の上端231dを覆うように一方の対向部分262の上端から他方の対向部分263の上端まで連続する管状部分261を有している。挿入空間260aはこの管状部分261の内面で規定されており、吊り下げ部材40は管状部分261の穴に挿入される。X線遮蔽カーテン23が吊り下げ部材40で吊り下げられると、取り付け部材260の管状部分261の内周面と吊り下げ部材40の外周面とは曲面で接触するようになる。これにより、吊り下げ部材40との接触によって取り付け部材260のある箇所に集中的にストレスが加わることを抑制でき、取り付け部材260が損傷しにくくなるとともに、X線遮蔽カーテン23が押しのけやすくなる。
一対の対向部分262,263は、ラミネート材231の上端部231aを面接触で挟持している一対の挟持部分262a,263aをそれぞれ有している。また、対向部分262の下端部262bは、ラミネート材231に向かって凸となるように丸く曲げられている。つまり、対向部分262の下端部262bには、ラミネート材231に向かって凸となるようにRがつけられている。これにより、対向部分262の下端部262bには、ラミネート材231の上端部231aと対向し、かつ下端部262bの先端に向かうほど上端部231aから離れていく当該上端部231aに向かって凸の曲面262cが設けられる。
同様に、対向部分263の下端部263bは、ラミネート材231に向かって凸となるように丸く曲げられている。つまり、対向部分263の下端部263bには、ラミネート材231に向かって凸となるようにRがつけられている。これにより、対向部分263の下端部263bには、ラミネート材231の上端部231aと対向し、かつ下端部263bの先端に向かうほど上端部231aから離れていく当該上端部231aに向かって凸の曲面263cが設けられる。
なお、本例では、挟持部分262aの下部が下端部262bの一部を構成し、挟持部分263aの下部が下端部263bの一部を構成している。
図9に示される、X線遮蔽カーテン23を構成するラミネート材231では、図8のラミネート材231と同様に、その上端部231aの幅、つまりY軸方向の長さが、他の部分よりも短くなっている。取り付け部材260のY軸方向の長さは、ラミネート材231における上端部231aのY軸方向の長さとほぼ一致しており、取り付け部材260は、ラミネート材231の上端部231aの全領域に渡って設けられている。ラミネート材231に設けられた複数のスリット235は、ラミネート材231の下端から、ラミネート材231における、取り付け部材260の挟持部分262a,263aと接触している領域の中央付近まで延びている。これにより、搬送されてきた物品3が短冊部230に当たって、当該短冊部230がめくり上がった際にスリット235の上端付近にストレスがかかることを抑制でき、ラミネート材231がスリット235の上端から裂けることを防止できる。
また、取り付け部材260とラミネート材231の上端部231aとは、取り付け部材260の挟持部分262a,263aよりも上方の位置でボルト止めされている。具体的には、取り付け部材260の挟持部分262a,263aよりも上方の位置で、取り付け部材260の対向部分262,263とラミネート材231の上端部231aとを貫通するボルト270が設けられており、当該ボルト270にはロックナット271が締め込まれている。このようなボルト止めは、Y軸方向に沿って並ぶ3箇所あるいは4箇所で行われる。
以上のように、吊り下げ部材40が挿入される取り付け部材260が金属材料から成るため、図8の場合と比較して、取り付け部材260と吊り下げ部材40との摩擦を低減することができる。よって、X線遮蔽カーテン23が押しのけやすくなる。
さらに、取り付け部材260が金属材料から成るため、X線遮蔽カーテン23が吊り下げられた際に、X線遮蔽カーテン23の自重によって取り付け部材260が変形することを抑制できる。図8の例では、取り付け部材250がウレタンで形成されているため、取り付け部材250に吊り下げ部材40を挿入して、X線遮蔽カーテン23を吊り下げ部材40で吊り下げた場合には、X線遮蔽カーテン23の自重によって取り付け部材250の管状部分251が変形しやすくなり、取り付け部材250と吊り下げ部材40との接触面積が増大する。その結果、取り付け部材250と吊り下げ部材40との接触抵抗が増大し、検査対象の物品3がX線遮蔽カーテン23を押しのけにくくなることがある。図9の例では、取り付け部材260が変形しにくいため、取り付け部材260と吊り下げ部材40との接触抵抗が増大してX線遮蔽カーテン23が押しのけにくくなることを抑制できる。
さらに、取り付け部材260はX線を遮蔽する金属材料から成るため、当該取り付け部材260からのX線の漏洩を抑制できる。
また、取り付け部材260の下端部には、ラミネート材231の上端部231a、つまりX線遮蔽カーテン23の上端部と対向し、かつ当該下端部の先端に向かうほどX線遮蔽カーテン23の上端部から離れていく当該上端部に向かって凸の曲面262c,263cが設けられているため、X線遮蔽カーテン23に物品3が当たって、当該X線遮蔽カーテン23がめくり上がった際の当該X線遮蔽カーテン23と取り付け部材260の下端部との接触面を曲面とすることができる。
これに対して、取り付け部材260の下端部を、図8に示される取り付け部材250の下端部と同様の形状で構成した場合には、X線遮蔽カーテン23がめくり上がると、X線遮蔽カーテン23は、金属材料から成る取り付け部材260の下端部の角部と当接することになるため、X線遮蔽カーテン23に大きなストレスが加わり、X線遮蔽カーテン23が損傷することがある。
図9の例では、X線遮蔽カーテン23がめくり上がった際のX線遮蔽カーテン23と取り付け部材260の下端部との接触部分を曲面とすることができるため、X線遮蔽カーテン23における、取り付け部材260の下端部との接触部分での損傷を抑制できる。
また、図9の例では、取り付け部材260の挟持部分262a,263aによってX線遮蔽カーテン23の上端部を面接触で挟み込むことによって、取り付け部材260をX線遮蔽カーテン23に取り付けているが、これとは異なり、ボルト止めだけで取り付け部材260をX線遮蔽カーテン23に取り付けた場合には、X線遮蔽カーテン23が、自重によって、ボルトが挿入されている部分から切れることがある。図9の例では、取り付け部材260は、X線遮蔽カーテン23の上端部を面接触で挟み込む挟持部分262a,263aを有しているため、X線遮蔽カーテン23での自重による損傷を抑制することができる。
また、図9の例では、取り付け部材260が挟持部分262a,263aを有する以外に、取り付け部材260とX線遮蔽カーテン23の上端部とはボルト止めされているため、取り付け部材260がX線遮蔽カーテン23からはずれにくくなる。さらに、ボルト止めは、取り付け部材260の挟持部分262a,263aよりも上方の位置で行われているため、X線遮蔽カーテン23の自重によって当該X線遮蔽カーテン23のボルトが挿入されている箇所にかかるストレスを低減できるとともに、X線遮蔽カーテン23が自重によってボルトが挿入されている部分から仮に切れた場合であって、取り付け部材260の挟持部分262a,263aによってX線遮蔽カーテン23が落下することを抑制できる。
なお、図8の例では、一つの取り付け部材250が、X線遮蔽カーテン23の上端部の全領域に渡って設けられているが、複数の取り付け部材250を間隔を空けてX線遮蔽カーテン23の上端部に取り付けても良い。また、図9の例では、一つの取り付け部材260が、X線遮蔽カーテン23の上端部の全領域に渡って設けられているが、複数の取り付け部材260を間隔を空けてX線遮蔽カーテン23の上端部に取り付けても良い。図10は、複数の取り付け部材250を間隔を空けてX線遮蔽カーテン23の上端部に取り付けた様子を示す図である。図10の場合には、X線遮蔽カーテン23の上端部には、取り付け部材250が取り付けられていない箇所が発生し、当該箇所では、吊り下げ部材40との間に隙間が生じる。この隙間の距離は、X線の漏洩を抑制するという観点からは、1mm程度に設定することが望ましい。
このように、複数の取り付け部材250あるいは複数の取り付け部材260を間隔を空けてX線遮蔽カーテン23の上端部に取り付けることによって、吊り下げ部材40と取り付け部材250あるいは取り付け部材260との接触抵抗を低減することができる。よって、X線遮蔽カーテン23がさらに押しのけやすくなる。
1 X線検査装置
2a 搬入口
2b 搬出口
3 物品
22 コンベア
23 X線遮蔽カーテン
24 X線照射部
25 ラインセンサ
40 吊り下げ部材
230 短冊部
235 スリット
232 タングステン含有層
233 保護層
250,260 取り付け部材
250a,260a 挿入空間
262a,263a 挟持部分
262b,263b 下端部
262c,263c 曲面
L 長さ
P 所定間隔
T1,T2 厚み
2a 搬入口
2b 搬出口
3 物品
22 コンベア
23 X線遮蔽カーテン
24 X線照射部
25 ラインセンサ
40 吊り下げ部材
230 短冊部
235 スリット
232 タングステン含有層
233 保護層
250,260 取り付け部材
250a,260a 挿入空間
262a,263a 挟持部分
262b,263b 下端部
262c,263c 曲面
L 長さ
P 所定間隔
T1,T2 厚み
Claims (16)
- 搬入口から搬入された物品を搬出口に搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送される前記物品にX線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部からの前記物品を透過した前記X線を検出するX線検出部と、
前記搬入口及び前記搬出口の少なくとも一方に設けられたX線遮蔽カーテンと
を備え、
前記X線遮蔽カーテンは、タングステン含有層を有している、X線検査装置。 - 請求項1に記載のX線検査装置であって、
前記X線遮蔽カーテンは、前記タングステン含有層に積層された、ポリオレフィン樹脂から成る保護層を有している、X線検査装置。 - 請求項2に記載のX線検査装置であって、
前記保護層は、前記タングステン含有層の両面に積層されている、X線検査装置。 - 請求項1に記載のX線検査装置であって、
前記X線遮蔽カーテンは、前記タングステン含有層の両面に積層された、当該タングステン含有層よりも弾力性が高い保護層を有している、X線検査装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のX線検査装置であって、
前記タングステン含有層では、タングステンの含有率が70重量%以上80重量%以下に設定されている、X線検査装置。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載のX線検査装置であって、
前記タングステン含有層の厚みは0.3mm以上1.0mm未満に設定されている、X線検査装置。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載のX線検査装置であって、
前記X線遮蔽カーテンには、暖簾状に複数の短冊部が垂れ下がるように所定間隔で複数のスリットが設けられており、
前記所定間隔は10mm以上20mm以下に設定されている、X線検査装置。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載のX線検査装置であって、
前記X線遮蔽カーテンには、暖簾状に複数の短冊部が垂れ下がるように所定間隔で複数のスリットが設けられており、
前記複数の短冊部のそれぞれの長さは、100mm以上320mm以下に設定されている、X線検査装置。 - 請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載のX線検査装置であって、
前記X線遮蔽カーテンの色は青色に設定されている、X線検査装置。 - 請求項2及び請求項3のいずれか一つに記載のX線検査装置であって、
前記保護層の厚みは0.08mm以上0.1mm以下に設定されている、X線検査装置。 - 請求項1に記載のX線検査装置であって、
前記X線遮蔽カーテンを吊り下げる吊り下げ部材と、
前記X線遮蔽カーテンの上端部に取り付けられた、前記吊り下げ部材が挿入される挿入空間を有する取り付け部材と
をさらに備え、
前記取り付け部材はX線が透過する材料から成り、
前記タングステン含有層の上端は、前記挿入空間の内部にまで進入している、X線検査装置。 - 請求項11に記載のX線検査装置であって、
前記タングステン含有層の前記上端は、前記吊り下げ部材に接触していない、X線検査装置。 - 請求項1に記載のX線検査装置であって、
前記X線遮蔽カーテンを吊り下げる吊り下げ部材と、
前記X線遮蔽カーテンの上端部に取り付けられた、前記吊り下げ部材が挿入される挿入空間を有する取り付け部材と
をさらに備え、
前記取り付け部材はX線を遮蔽する金属材料から成る、X線検査装置。 - 請求項13に記載のX線検査装置であって、
前記取り付け部材の下端部は、
前記X線遮蔽カーテンの前記上端部と対向し、かつ前記下端部の先端に向かうほど前記上端部から離れていく前記上端部に向かって凸の曲面を有する、X線検査装置。 - 請求項13に記載のX線検査装置であって、
前記取り付け部材は、前記X線遮蔽カーテンの前記上端部を面接触で挟み込む挟持部分を有する、X線検査装置。 - 請求項15に記載のX線検査装置であって、
前記取り付け部材と前記X線遮蔽カーテンの前記上端部とは、前記挟持部分よりも上方の位置でボルト止めされている、X線検査装置。
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