JP2009067322A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延びるカーカスプライ4を備えた空気入りタイヤである。カーカスプライコードがポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、かつディップ処理済みコードとして最大熱収縮応力0.1〜1.8cN/dtexを有し、該ポリケトン繊維の150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が0.3〜3%の範囲内であり、加硫直後に内圧60kPa以上でポストキュアインフレーション(PCI)が実施されてなる。
【選択図】図1
Description
前記カーカスプライコードがポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、かつディップ処理済みコードとして最大熱収縮応力0.1〜1.8cN/dtexを有し、該ポリケトン繊維の150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が0.3〜3%の範囲内であり、
加硫直後に内圧60kPa以上でポストキュアインフレーション(PCI)が実施されてなることを特徴とするものである。
乾熱処理時熱収縮率(%)={(Lb−La)/Lb}×100
但し、Lbは熱処理前の繊維長、Laは熱処理後の繊維長である。また、ポリケトン繊維における引張強度および引張弾性率は、JIS−L−1013に準じて測定することにより得られる値であり、引張弾性率は伸度0.1%における荷重と伸度0.2%における荷重から算出した初期弾性率の値である。
図1は、本発明の空気入りタイヤの一例の部分断面図である。図1に示すタイヤは、ビードコア5が埋設された左右一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1、2、3を補強する2枚のコード層からなるカーカスプライ4を備える。また、カーカスプライ4のクラウン部のタイヤ半径方向外側には2枚のベルト層からなるベルト6が配置されている。
(式中、Tは撚り数(回/100mm)、Dはコードの総繊度(dtex)、ρはコードに使用される繊維素材の密度(g/cm3)である)で定義される撚り係数αが0.25〜1.25の範囲であることが好ましい。PK繊維コードの撚り係数αが0.25未満では、熱収縮応力が十分に確保できず、一方、1.25を超えると、弾性率が十分に確保できず、補強能が小さくなる。
(式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一であっても異なっていてもよい)で表される繰り返し単位から実質的になるものが好適であり、その中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレン[−CH2−CH2−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
(上記式中、tおよびTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールおよび該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり、cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である)で定義される極限粘度[η]が、1〜20dL/gの範囲内にあることが好ましく、3〜8dL/gの範囲内にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時および延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間およびコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性および物性に悪影響が出ることがある。
(PK繊維の調製例)
常法により調製したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.3のポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリウム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解し、ポリマー濃度8重量%のドープを得た。
この凝固糸にIRGANOX1098(Ciba Specialty Chemicals社製)、IRGANOX1076(Ciba Specialty Chemicals社製)をそれぞれ0.05重量%ずつ(対ポリケトンポリマー)含浸せしめた後に、該凝固糸を240℃以上にて乾燥後、仕上剤を付与して未延伸糸を得た。なお、この乾燥温度を適宜コントロールすることで熱収縮率の調整が可能である。
オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23/1/1(重量%比)。
下記の表1に示すカーカス構造、材質・太さ、引張り強度、熱収縮応力および繊維の乾熱処理時熱収縮率を有する繊維コードを打込み数110本/100mmにて平行に配列しコーティングゴムで被覆後に緯糸を切断する等してコード/ゴム複合体を作製し、該コード/ゴム複合体をカーカスプライに用いて、図1に示す構造のサイズ225/60ZR17の空気入りタイヤを試作した。カーカス構造はすべて2プライとした。また、得られたタイヤの内面凹凸、ロードハザード耐性および通常走行時のカーカスコードの耐疲労性を下記の方法で評価し、表2に示す結果を得た。
加硫後のタイヤ内面を目視にて評価し、発生ほぼなし、やや発生、発生顕著の3段階に評価した。
供試タイヤに内圧を充填し、特開平6−273299号公報記載の装置(一定方向に回転自在に支持されたア−ムと、ア−ムの先端に取付けられた衝撃片と、ア−ムの振り上げ角度を規定する角度調整器と、前記ア−ムに荷重付加機構を設けたタイヤのサイド部試験装置)を用いる評価方法を実施し、エア漏れにいたるまでのインパクト回数を測定した。
230kPaの内圧を充填した供試タイヤをドラム試験に供し、所定の荷重を負荷し所定速度で5万km走行させた後、タイヤから内層側カーカスコードを取り出し、島津製作所製オートグラフにてコード強力を測定し、新品タイヤからの保持率を求めた。数値が大きい程、耐疲労性が良好であることを示す。
下記の表3に示す材質、太さ、熱収縮応力および乾熱収縮率を有する繊維コードを、打ち込み数(90本/100mm)で平行に配列しコーティングゴムで被覆後に緯糸を切断する等してコード/ゴム複合体を作製し、該コード/ゴム複合体をカーカスプライに用いて、図2に示す構造のサイズ215/45ZR17のサイド補強タイプのランフラットタイヤを試作した。カーカスプライ構造はすべて1プライとした。また、得られたタイヤの縦バネ、ランフラット耐久性および通常走行時のカーカスコードの耐疲労性を下記の方法で評価し、表4に示す結果を得た。
230kPaの内圧を充填した供試タイヤの荷重−撓み曲線を測定し、得られた荷重−撓み曲線上のある荷重における接線の傾きを該荷重に対する縦バネ定数とし、従来例2のタイヤの縦バネ定数の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、縦バネ定数が大きいことを示す。
供試タイヤに内圧を充填することなく、荷重4.17kN、速度89km/h、温度38℃の環境下でドラム試験を行い、タイヤが故障に至るまでの走行距離を測定し、従来例2のタイヤの故障に至るまでの走行距離を100として指数表示した。指数値が大きい程、故障に至るまでの走行距離が長く、ランフラット耐久性に優れることを示す。
230kPaの内圧を充填した供試タイヤをドラム試験に供し、所定の荷重を負荷し所定速度で5万km走行させたあと、タイヤからカーカスコードを取り出し、島津製作所製オートグラフにて、コード強力を測定し、新品タイヤからの保持率を求めた。数値が大きい程、耐疲労性が良好であることを示す。
2,12 サイドウォール部
3,13 トレッド部
4,14 カーカスプライ
5,16 ビードコア
6,18 ベルト
15 サイド補強ゴム層
17 ビードフィラー
19A,19B ベルト補強層
21 カーカスプライコード
22 緯糸
A 緯糸の切断ピッチ
Claims (8)
- クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延びるカーカスプライを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記カーカスプライコードがポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、かつディップ処理済みコードとして最大熱収縮応力0.1〜1.8cN/dtexを有し、該ポリケトン繊維の150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が0.3〜3%の範囲内であり、
加硫直後に内圧60kPa以上でポストキュアインフレーション(PCI)が実施されてなることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 無内圧から30kPaまで内圧充填したときの総幅成長が8mm以下である請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカスプライを形成する繊維コードに含まれるポリケトン繊維の、原糸の引張強度が10cN/dtex以上で、かつ、弾性率が200cN/dtex以上である請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカスプライが略ラジアル方向に配列したコードと交差する緯糸を含み、かつ、該緯糸がタイヤ周方向の複数箇所で切断されており、その切断ピッチAが5〜30mmの範囲にある請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記緯糸が切断伸度5〜20%で、かつ切断強力200〜1000gの範囲にある請求項4記載の空気入りタイヤ。
- 前記緯糸がセルロース系繊維またはビニロン系繊維からなる請求項4または5記載の空気入りタイヤ。
- 前記緯糸が紡績糸である請求項4〜6のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカスプライの内面に沿って、両サイド部の全域またはほぼ全域にわたり、子午断面が三日月状のサイド補強ゴム層を備える請求項1〜7のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
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