JP2009064694A - 電池用包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒートシール面への異物付着を防止することにより、シール不良及び異物混入による短絡のおそれがない安全性に優れた電池用包装材料を提供する。
【解決手段】電池用包装材料100は、電池の外装体となる包装材本体1と、外装体の成型時に包装材本体1のヒートシール面から剥離される剥離層10とから構成されている。包装材本体1は、最外層である第1基材層2、第1基材層2の内側に積層される金属箔からなるバリア層3、バリア層3の内側に積層される第1熱可塑性樹脂層41、第2熱可塑性樹脂層42、及び第1基材層2とバリア層3とを接着するドライラミネート層5を有している。剥離層10は、第1熱可塑性樹脂層41の内面に積層されるシール面保護層6、第2基材層7、及びアンカーコート層8から構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒートシール面への異物の付着がなく安定したヒートシール性を示す電池用包装材料に関するものである。
リチウムイオン電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、液状、ゲル状および高分子ポリマー状の電解質を持ち、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。このリチウムイオン電池は、充電時には正極活物質であるリチウム遷移金属酸化物中のリチウム原子(Li)がリチウムイオン(Li+)となって負極の炭素層間に入り込み(インターカレーション)、放電時にはリチウムイオン(Li+)が炭素層間から離脱(デインターカレーション)して正極に移動し、元のリチウム化合物となることにより充放電反応が進行する電池であり、ニッケル・カドミウム電池やニッケル水素電池より出力電圧が高く、高エネルギー密度である上、浅い放電と再充電を繰り返すことにより見掛け上の放電容量が低下する、いわゆるメモリー効果がないという優れた特長を有している。そのため、近年、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ、小型ビデオカメラ等のポータブル機器用の電源として広く使われている。
リチウムイオン電池の構成は、正極集電材(アルミニウム、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質層(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質等)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子負極材料)/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)及び、これらを包装する外装体からなる。外装体としては、従来、金属をプレス加工し円筒状または直方体状等に容器化した金属製缶が用いられていた。
しかるに、従来の金属製缶においては、容器外壁がリジッドであるため、電池自体の形状が決められてしまう。そのため、ハード側を電池に合わせ設計するため、該電池を用いるハードの寸法が電池により決定されてしまい形状の自由度がなかった。
そのため、近年、特許文献1に開示されているような、形状の自由度が高い積層体からなる外装体(以下、単に外装体という)を用いる傾向にある。このような外装体の構成を図8に示す。電池用包装材料100の材質構成は、電池としての必要な物性、加工性、経済性等から、少なくとも最外層における基材層102、アルミニウム等の金属層から成るバリア層103、最内層におけるヒートシール層(熱可塑性樹脂層)104を含み、前記各層を接着するドライラミネート層(接着層)105が設けられている。
前記構成の電池用包装材料100を用いたリチウムイオン電池としては、電池用包装材料100からパウチを形成し、リチウムイオン電池本体を収納するパウチタイプ、または、電池用包装材料100をプレスして凹部を形成し、該凹部にリチウムイオン電池本体を収納するエンボスタイプが開発されている。
外装体に要求される物性・機能とは、高度な防湿性あるいは表面絶縁性等であり、前記各層の材質と各層の層間の接着強度がリチウムイオン電池の外装体としての必要な性質に影響を与えることが確認されている。例えば、バリア層とヒートシール層との接着強度、或いは外装材の接合面におけるヒートシール層間のシール強度が不十分であると、外部から水分の浸入の原因となり、リチウムイオン電池を形成する成分の中の電解質と前記水分との反応により生成するフッ化水素酸によりバリア層であるアルミニウム面が腐食して、バリア層と熱可塑性樹脂層との間にデラミネーション(剥離)が発生するという問題があった。
ヒートシール不良が発生する原因の一つに、図9に示すように、電池用包装材料100の製造及び輸送過程、或いはリチウムイオン電池の製造工程において、ヒートシール層104の表面(ヒートシール面)104aへ金属屑M等の異物が付着することが挙げられる。また、付着した金属屑Mが電池内部に進入すると、正極及び負極間で短絡が生じリチウムイオン電池が発火するおそれもある。そこで、この問題に対して種々の対策がなされており、例えば、ヒートシール面に付着した異物を空気吸引したり、粘着ローラで吸着したりする方法や、布等で拭き取る方法等が用いられていた。
特開2001−155697号公報
しかし、空気吸引や粘着ローラによる吸着では異物を完全に除去しきれない可能性があり、特に粘着ローラを用いる場合は長時間の使用で粘着力が低下して除去漏れが発生するおそれがあった。また、布による拭き取りの場合はヒートシール面に繊維屑が付着するおそれがあり、繊維屑の出ない不織布等を用いることも考えられるが、そのような不織布は高価でありコスト面で不利となっていた。
本発明は、上記問題点に鑑み、ヒートシール面への異物付着を防止することにより、シール不良及び異物混入による短絡のおそれがない安全性に優れた電池を製造可能な電池用包装材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、第1基材層と、該第1基材層の内側に積層されるバリア層と、最内層であるヒートシール層とを含む包装材本体と、該包装材本体の前記ヒートシール層側に積層されるシール面保護層と、該シール面保護層に直接若しくは他の層を挟んで積層される第2基材層とを含む剥離層と、から構成され、前記ヒートシール層と前記シール面保護層との層間剥離強度が他の層間剥離強度よりも小さい電池用包装材料である。
また本発明は、上記構成の電池用包装材料において、前記シール面保護層は、前記ヒートシール層を構成する樹脂とは組成が異なる樹脂を溶融押し出しして形成されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の電池用包装材料において、前記シール面保護層は、金属接着性を有する樹脂で形成されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の電池用包装材料において、前記ヒートシール層がポリプロピレン樹脂で形成され、前記シール面保護層が酸変性ポリエチレン樹脂で形成されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の電池用包装材料において、前記ヒートシール層と前記シール面保護層とは、共押し出し法により一体形成されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の電池用包装材料において、前記ヒートシール層と前記シール面保護層との層間剥離強度が3N/15mm幅以下であり、他の層間剥離強度が5N/15mm幅以上であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の電池用包装材料において、前記第2基材層の厚みが9μm以上50μm以下であることを特徴としている。
本発明の第1の構成によれば、電池用包装材料は包装材本体と剥離層とで構成されており、包装材本体のヒートシール面が剥離層のシール面保護層で被覆されているため、使用時に包装材本体から剥離層を剥離することにより、輸送及び保管時におけるヒートシール面への異物の付着を防止してシール不良を抑制することができる。また、異物が電池内部へ進入して短絡が発生すおそれもなくなる。
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の電池用包装材料において、シール面保護層を、ヒートシール層を構成する樹脂とは組成が異なる樹脂を溶融押し出しして形成することにより、ヒートシール層に対する層間剥離強度が小さいシール面保護層を簡単に積層することができる。
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の電池用包装材料において、シール面保護層を、金属接着性を有する樹脂で形成することにより、ヒートシール層に付着した金属屑がシール面保護層に吸着されるため、電池用包装材料の製造過程で付着した金属屑を剥離層と共に容易に除去できる。
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の電池用包装材料において、ヒートシール層をポリプロピレン樹脂で形成し、シール面保護層を酸変性ポリエチレン樹脂で形成することにより、シール性に優れたヒートシール層と、ヒートシール層からの剥離が容易で金属吸着性に優れたシール面保護層を低コストで形成できる。
また、本発明の第5の構成によれば、上記第2の構成の電池用包装材料において、ヒートシール層とシール面保護層とを共押し出し法により一体形成することにより、電池用包装材料の製造時におけるヒートシール面への異物の付着がなくなるため、シール面保護層として金属接着性を有する樹脂を用いることなく、シール不良及び異物の進入による短絡を確実に防止可能となる。
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の電池用包装材料において、ヒートシール層とシール面保護層との層間剥離強度を3N/15mm幅以下とし、他の層間剥離強度を5N/15mm幅以上としたので、包装材本体内及び剥離層内での層間剥離を起こすことなく剥離層を容易に剥離することができる。
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の電池用包装材料において、第2基材層の厚みを9μm以上50μm以下とすることにより、剥離層を剥離する際の破断を防止するとともに、電池用包装材料の巻き取り作業も円滑に行うことができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る電池用包装材料の断面図である。本実施形態の電池用包装材料100は、電池の外装体となる包装材本体1と、外装体の成型時に包装材本体1のヒートシール面から剥離される剥離層10とから構成されている。
先ず、包装材本体1の構成について説明する。包装材本体1は、最外層である第1基材層2、第1基材層2の内面に積層される金属箔からなるバリア層3、バリア層3の内面に積層される第1熱可塑性樹脂層41、第2熱可塑性樹脂層42、及び第1基材層2とバリア層3とを接着するドライラミネート層5を有している。
第1基材層2はエンボス加工する際のプレスに耐え得る展延性を有する必要があり、一般に、延伸ポリエステルフィルムまたはナイロンフィルムが用いられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナイロンとしては、ポリアミド樹脂、すなわち、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
また、第1基材層2は耐ピンホール性および電池の外装体とした時の絶縁性を向上させるために、前記ポリエステルフィルムまたはナイロンフィルムの他、積層化したフィルムを使用することも可能である。第1基材層2を積層体化する場合、基材層が2層以上の樹脂層を含み、各層の厚みが6μm以上、好ましくは、12〜25μmとする。基材層を積層体化する例としては、図示はしないが次の1)〜7)が挙げられる。
1)延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
2)延伸ナイロン/延伸延伸ポリエチレンテレフタレート
また、包装材料の機械適性(包装機械、加工機械の中での搬送の安定性)、表面保護性(耐熱性、耐電解質性)、2次加工とてリチウムイオン電池用の外装体をエンボスタイプとする際に、エンボス時の金型と基材層との摩擦抵抗を小さくするスリップ層、あるいは電解液が付着した場合に基材層を保護するコート層として、第1基材層2の表面にフッ素系樹脂層、脂肪酸アマイド系樹脂層、アクリル系樹脂層、シリコーン系樹脂層、ポリエステル系樹脂層、及びこれらのブレンド物層等を設けることが好ましい。
3)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(フッ素系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)
4)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(シリコーン系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)
5)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
6)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
7)アクリル系樹脂/延伸ナイロン(アクリル系樹脂はフィルム状、または液状コーティング後乾燥で硬化)
なお、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンアミドを開始剤としてビニル共重合体を共重合することにより製造されるポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体を用いてスリップ層を形成した場合、従来の脂肪酸アマイド系のスリップ剤のように成形金型やガイドロール等にスリップ剤が付着するとともに堆積し、成形品に堆積したスリップ剤が付着するといった問題や、フッ素樹脂層やシリコーン樹脂層のスリップ剤のように塗膜する際、高温で焼付けする必要がない。したがって、スリップ剤として好適な材料である。
バリア層3は、外部からリチウムイオン電池の内部に特に水蒸気が浸入することを防止するための層である。バリア層3は、安定した加工適性(パウチ化、エンボス成形性)、及び耐ピンホールを有する必要があり、バリア層3の材質としては、厚さ15μm以上のアルミニウム、ニッケルなどの金属箔の他、例えば酸化珪素、アルミナ等の無機化合物を蒸着したフィルムなども挙げられるが、厚さが20〜80μmのアルミニウム箔とすることが好ましい。
ピンホールの発生をさらに改善し、リチウムイオン電池の外装体のタイプをエンボスタイプとする場合、エンボス成形におけるクラックなどの発生のないものとするためには、バリア層3として用いるアルミニウムの材質が、鉄含有量が0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%とすることによって、鉄を含有していないアルミニウムと比較して、アルミニウムの展延性がよく、外装体として折り曲げによるピンホールの発生が少なくなり、かつ前記エンボスタイプの外装体を成形する時に側壁の形成も容易にできる。アルミニウムの鉄含有量が0.3重量%未満の場合はピンホールの発生の防止、エンボス成形性の改善等の効果が認められず、鉄含有量が9.0重量%を超える場合はアルミニウムとしての柔軟性が阻害され、外装体とする際の成形性が悪くなる。
また、冷間圧延で製造されるアルミニウムは焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、本発明において用いるアルミニウムは焼きなましをしていない硬質処理品より、多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウムがよい。アルミニウムの柔軟性・腰の強さ・硬さの度合い、すなわち焼きなましの条件は、加工適性(パウチ化、エンボス成形)に合わせ適宜選定すればよい。例えば、エンボス成形時のしわやピンホールを防止するためには、成形の程度(エンボス深さ等)に応じて焼きなましされた軟質アルミニウムを用いることができる。
第1熱可塑性樹脂層41は、熱によって溶融して包装材本体1の内面を相互に融着し得るヒートシール層である。第1熱可塑性樹脂層41の材質としては、防湿性や耐熱性等のリチウムイオン電池用包装材料として要求される物性を有するものであれば良く、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等のポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。
中でも、ヒートシール性、ラミネート加工性、エンボス成形性の良さ等の理由から、ランダムポリプロピレンが特に好適に用いられる。第1熱可塑性樹脂層41に用いられるランダムポリプロピレンとしては、密度0.90g/cm3以上、ビガット軟化点115℃以上、融点120℃以上のものが望ましい。
また、第1熱可塑性樹脂層41に線状低密度ポリエチレンまたは中密度ポリエチレンを用いる場合は、密度0.91g/cm3以上、ビガット軟化点70℃以上、融点110℃以上のものが望ましい。第1熱可塑性樹脂層41の厚さとしては、ヒートシール性等を考慮すると、10μm〜100μm程度、特に15μm〜50μm程度であることが好ましい。
上述した各タイプのポリプロピレン、すなわち、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンおよび、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンには、ブテン成分、密度が900kg/m3程度の低結晶性のエチレン−ブテン共重合体、低結晶性のプロピレン−ブテン共重合体、エチレンとブテンとプロピレンの3成分共重合体からなるターポリマー、非晶性のエチレンとプロピレンの共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体成分、シリカ、ゼオライト、アクリル樹脂ビーズ等のアンチブロッキング剤(AB剤)、脂肪酸アマイド系のスリップ剤等を添加してもよい。
第2熱可塑性樹脂層42は、バリア層3と第1熱可塑性樹脂層41とを接着するための層であり、金属接着性を有する必要がある。第2熱可塑性樹脂層42としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン系樹脂が用いられる。
ドライラミネート層5は、第1基材層2とバリア層3とを貼り合わせるために積層される接着層である。ドライラミネート層5を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、或いは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を使用することができる。
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。ドライラミネート層の形成方法としては、積層する両者の一方の面に、上記のラミネート用接着剤を、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法等のコート法或いは印刷法等によって塗布し、次いで溶剤等を乾燥させて形成することができ、そのコーティングないし印刷量としては、乾燥状態で0.1〜10g/m2程度が望ましい。
また、バリア層3であるアルミニウムの表面に化成処理層(図示せず)を形成しても良い。化成処理層とは、具体的にはアルミニウムをリン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物等で処理することにより形成された耐酸性皮膜であり、化成処理層を形成することによってアルミニウム表面の接着性(濡れ性)を向上させ、エンボス成形時の第1基材層2とバリア層3との間のデラミネーションや、リチウムイオン電池の電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素によりアルミニウム表面の溶解、腐食、特にアルミニウムの表面に存在する酸化アルミが溶解、腐食することを防止する効果が得られる。
各種の物質を用いてアルミニウム面に化成処理を施し、その効果について研究した結果、耐酸性皮膜形成物質の中でも、フェノール樹脂、フッ化クロム(III)化合物、リン酸の三成分から構成されたものを用いるリン酸クロメート処理が良好であることがわかっている。また、少なくともフェノール樹脂を含む樹脂成分に、モリブデン、チタン、ジルコン等の金属、または金属塩を含む化成処理剤が良好である。
なお、第1基材層2、バリア層3、第1熱可塑性樹脂層41、第2熱可塑性樹脂層42、ドライラミネート層5の他に、バリア層3と第1熱可塑性樹脂層41との間に、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等の2軸延伸フィルム等からなる中間層(図示せず)を設けてもよい。中間層は、電池用包装材料としての強度向上、バリア性の改善安定化、電池外装体のヒートシール時におけるタブ(電極端子)とバリア層3との接触による短絡を防止することができる。
また、第1基材層2、バリア層3、中間層等の電池用包装材料を構成する各層には、適宜、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性を向上、安定化する目的のために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施してもよい。
次に、剥離層10の構成について説明する。剥離層10は、第1熱可塑性樹脂層41の内面に積層されるシール面保護層6、第2基材層7、及びアンカーコート層8から構成される。
シール面保護層6は、第1熱可塑性樹脂層41のヒートシール面41a(図4参照)を保護して異物の付着を防止するとともに、剥離層10が剥離される際に第1熱可塑性樹脂層41の表面に付着した金属屑を吸着して除去するものである。従って、シール面保護層6には金属接着性を有する酸変性ポリオレフィン系樹脂が用いられる。
また、剥離層10は、第1熱可塑性樹脂層41とシール面保護層6の界面で包装材本体1と剥離するため、第1熱可塑性樹脂層41とシール面保護層6の層間剥離強度は他の層間剥離強度よりも小さくしておく必要がある。そのため、第1熱可塑性樹脂層41と異なる組成の熱可塑性樹脂を溶融押し出ししてシール面保護層6を積層する。例えば第1熱可塑性樹脂層41としてポリプロピレン樹脂を用いる場合は、シール面保護層6として酸変性ポリエチレン樹脂を用いる。
剥離層10の剥離強度が強すぎると、電池外装体の製造時に剥離層10を円滑に剥離できなくなる。また、剥離時にヒートシール面41aに毛羽立ちが発生して平滑性が損なわれてしまい、シール性が低下する。一方、剥離層10の剥離強度が弱すぎると、電池用包装材料100の巻き取り時に剥離層10の剥がれが発生する。従って、第1熱可塑性樹脂層41とシール面保護層6との層間剥離強度は3N/15mm幅以下とする必要があり、0.5N/15mm幅〜0.8N/15mm幅程度が特に好ましい。層間剥離強度の調整は、例えば第1熱可塑性樹脂層41に用いられる熱可塑性樹脂の種類や組成に応じてシール面保護層6の樹脂組成や密度(結晶性)、或いは添加剤の種類や添加量を変化させることにより行われる。
第2基材層7は、剥離層10に腰を付与して包装材本体1からの剥離性を高めるものである。第2基材層7の厚みが9μm未満であると剥離層10を剥離する際に破断するおそれがあり、逆に50μmを超えると電池用包装材料100の巻き取りが困難となる。そのため、第2基材層7の厚みは9μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上20μm以下がより好ましい。なお、第2基材層7に用いられる材質は第1基材層2と同様であるため説明を省略する。
アンカーコート層8は、シール面保護層6と第2基材層7との接着強度を高めるために、第2基材層7上に積層される。アンカーコート層の厚さは、通常、0.1〜2.0μm程度が好ましい。アンカーコート層を構成するアンカーコート剤としては、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系等のアンカーコート剤を使用することができる。
具体的には、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート、或いは、ヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート等の多官能イソシアネートと、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリアクリレートポリオール等のヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン系樹脂、またはポリアクリレートポリウレタン系樹脂を主成分とするアンカーコート剤が挙げられる。
なお、包装材本体1内及び剥離層10内での層間剥離を起こすことなく剥離層10を容易に剥離するためには、シール面保護層6と第2基材層7、第1基材層2とバリア層3、バリア層3と第2熱可塑性樹脂層42等の、第1熱可塑性樹脂層41とシール面保護層6以外の層間剥離強度を第1熱可塑性樹脂層41とシール面保護層6との層間剥離強度よりも強くしておく必要があり、5N/15mm幅以上に設定することが好ましい。
次に、本実施形態の電池用包装材料100の製造方法及び使用方法について説明する。先ず、第1基材層2の表面にドライラミネート層5を介してバリア層3を積層した後、バリア層3上に溶融押し出し法により酸変性ポリオレフィン系樹脂及びランダムポリプロピレン樹脂を順次積層して第2熱可塑性樹脂層42及び第1熱可塑性樹脂層41を形成する(外装材本体形成工程)。さらに、第1熱可塑性樹脂層41上に溶融押し出し法により酸変性ポリエチレン樹脂を積層してシール面保護層6を形成し、シール面保護層6上にアンカーコート層8が形成された第2基材層7を積層して(剥離層形成工程)電池用包装材料100を製造する。
こうして製造された電池用包装材料100は、ロール状に巻き取られた後、電池工場に輸送され、保管される。そして、電池の外装体製造時にクリーンルーム中で剥離層10を剥離し、包装材本体1を用いて外装体を製造する。図2(a)はリチウムイオン電池本体を外装体に挿入する状態を示す斜視図であり、図2(b)はパウチタイプのリチウムイオン電池の斜視図である。図2(a)及び(b)に示すように、リチウムイオン電池20は、リチウムイオン電池本体21及び外装体22から構成されており、外装体22に収納されたリチウムイオン電池本体21は、外装体22の周縁をヒートシールして密封することにより防湿性が付与される。
リチウムイオン電池本体21は、正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解質と(いずれも図示せず)を含むセル(蓄電部)23と、セル23内の正極及び負極に連結されるとともに先端が外装体22の外部に突出するタブ(電極端子)24から構成されている。なお、タブ24と外装体22の内面(第1熱可塑性樹脂層41)との接着性を高めて密封性を確保するために、タブ24の表面に化成処理を行うか、或いはタブ24と第1熱可塑性樹脂層41との間に接着性フィルム(タブフィルム)25を介在させることが好ましい。
接着性フィルム25としては、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの両面に、少なくとも一方が酸変性ポリオレフィンであるポリオレフィン層を積層したフィルムを用いることがより好ましい。この場合、ポリエチレンナフタレートフィルムは耐熱性に優れるためヒートシール時に薄肉化することがなく、バリア層3とタブ24との短絡を防止することができるとともに、ポリエチレンナフタレートフィルムは水蒸気バリア性が高いため、電池内部への水分の侵入を防止することができる。
なお、リチウムイオン電池は、リチウムイオン電池本体21を包装する外装体のタイプにより、図2に示すようなピロー状の外装体22を用いるパウチタイプと、図3(a)に示すようなエンボス部が形成されたトレイ22aとシート22bとから成る外装体22を用いて、図3(b)に示すようにリチウムイオン電池本体21を密封収納するエンボスタイプとがあるが、本発明の電池用包装材料100はいずれのタイプにも適用し得るものである。
図4は、本実施形態の電池用包装材料から剥離層10を剥離する様子を示す部分断面図である。なお、図4では包装材本体1の第1基材層2、バリア層3、第2熱可塑性樹脂層42及びドライラミネート層5は記載を省略している。外装体22の周縁部をヒートシールする際、図9のようにヒートシール面104aに金属屑Mが付着していると、シール不良が発生したり、金属屑Mが外装体22内に進入して短絡を引き起こしたりするおそれがある。しかし、本実施形態の電池用包装材料100では、図4(a)に示すように、電池用包装材料100の製造時にヒートシール面41aに金属屑Mが付着していても、使用時に剥離層10を剥離することにより、図4(b)のように金属屑Mがシール面保護層6に吸着されヒートシール面41aから除去される。これにより、リチウムイオン電池本体21の外装体22への密封収納時におけるシール不良を抑制するとともに、金属屑Mが電池内部に進入して短絡を起こすおそれがなくなり、安全性の高いリチウムイオン電池20を製造することができる。
図5は、本発明の第2実施形態に係る電池用包装材料の断面図である。本実施形態の電池用包装材料100は、剥離層10を構成するシール面保護層6とアンカーコート層8との間に第3熱可塑性樹脂層43が積層されている。包装材本体1及び剥離層10を構成する第1基材層2、バリア層3、第1及び第2熱可塑性樹脂層41、42、ドライラミネート層5、シール面保護層6、第2基材層7、及びアンカーコート層8の材質や、各層の厚み及び剥離強度等については第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
図6は、第2実施形態の電池用包装材料の製造過程を示す断面図である。図6を用いて本実施形態の電池用包装材料100の製造方法について説明する。先ず、図6(a)に示すように、第1熱可塑性樹脂層41とシール面保護層6を共押し出し法により一体形成する。次に、図6(b)に示すように、予め製造しておいた第1基材層2、ドライラミネート層5、バリア層3を順次積層したシートのバリア層3上に第2熱可塑性樹脂層42を溶融押し出しし、共押し出ししたシートの第1熱可塑性樹脂層41側を貼り合わせる。そして、図6(c)に示すように、シール面保護層6上に第3熱可塑性樹脂層43を溶融押し出しし、アンカーコート層8が形成された第2基材層7を積層して電池用包装材料100を製造する。第3熱可塑性樹脂層43はシール面保護層6と強固に接着する必要があるため、シール面保護層6と同一組成の熱可塑性樹脂により形成される。
上記の製造方法によれば、第1熱可塑性樹脂層41とシール面保護層6の界面(ヒートシール面41a)に金属屑等の異物が混入するおそれがない。そのため、剥離層10を剥離した後の異物の付着を防止できればヒートシール面を完全に清潔な状態に維持して融着することができ、外装体22のシール不良や外装体22内への金属屑の進入による電池の短絡を確実に防止可能となる。リチウムイオン電池本体21に外装体22を装着する工程は図2及び図3に示した第1実施形態と同様である。
また、製造時にヒートシール面41aが外気に触れることがなく、シール面保護層6に金属吸着性を付与する必要がなくなるため、酸変性オレフィン系樹脂に代えて通常のオレフィン系樹脂を用いてシール面保護層6を形成することができる。例えば、第1熱可塑性樹脂層41がランダムポリプロピレンの場合、シール面保護層6として溶融ポリエチレンを共押し出しすれば良い。
図7は、第2実施形態の電池用包装材料の変形例を示す概略断面図である。図7の構成では、第2熱可塑性樹脂層42及び第3熱可塑性樹脂層43に代えてドライラミネート層5が積層されている。この構成とすれば、予め第1基材層2、ドライラミネート層5、バリア層3を積層したシートを製造しておき、共押し出し法により一体形成された第1熱可塑性樹脂層41及びシール面保護層6(図6(a)参照)のうち、第1熱可塑性樹脂層41の表面にドライラミネート層5を介して積層する。そして、シール面保護層6の表面にドライラミネート層5を介して第2基材層7を積層して電池用包装材料100を製造できる。
その他本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、図1に示した第1実施形態の電池用包装材料においても、第2熱可塑性樹脂層42或いはアンカーコート層8を設けずに、ドライラミネート層5を介してバリア層3と第1熱可塑性樹脂層41、或いはシール面保護層6と第2基材層7とを接着しても良い。
また、電池用包装材料の製造時におけるヒートシール面への金属屑の付着が問題とならず、電池用包装材料の輸送及び保管時における金属屑の付着防止のみを課題とするのであれば、第1実施形態の電池用包装材料においても第2実施形態と同様に、金属接着性を有しない通常のポリオレフィン系樹脂を用いてシール面保護層6を形成しても良い。以下、実施例により本発明の電池用包装材料について更に具体的に説明する。
(1)厚さ40μmのアルミニウム箔からなるバリア層の片面に2液硬化型ポリウレタン樹脂(ドライラミネート層)を介して第1基材層となる厚さ25μmの延伸ナイロンフィルムをドライラミネート法により貼り合わせて積層シートAを製造した。この積層シートAを40℃で5日間保存してドライラミネート層を硬化させた。
(2)次に、(1)で得られた積層シートAのバリア層側の面に、酸変性ポリプロピレンを20μmの厚さの溶融樹脂膜として押出して第2熱可塑性樹脂層を積層し、さらにポリプロピレンを20μmの厚さの溶融樹脂膜として押出して第1熱可塑性樹脂層(ヒートシール層)を積層して包装材本体を製造した。
(3)得られた包装材本体の第1熱可塑性樹脂層上に、酸変性ポリエチレンを15μmの厚さの溶融樹脂膜として押出してシール面保護層を積層し、さらに片面にイソシアネート系アンカーコート剤でアンカーコート層が形成された、第2基材層となる厚さ12μmの延伸ポリエステルフィルムのアンカーコート層側を溶融押し出し法により貼り合わせて剥離層を形成し、第1実施形態の電池用外装材料を製造した。
(1)実施例1と同様にして積層シートAを製造し、40℃で5日間保存してドライラミネート層を硬化させた。
(2)ポリプロピレン及びポリエチレンをそれぞれ20μm及び15μmの厚さの溶融樹脂膜として共押出しして第1熱可塑性樹脂層(ヒートシール層)とシール面保護層とが一体形成された積層シートBを製造した。
(3)積層シートAのバリア層側の面に、酸変性ポリプロピレンを20μmの厚さの溶融樹脂膜として押出して第2熱可塑性樹脂層を積層し、積層シートBの第1熱可塑性樹脂層を溶融押し出し法により貼り合わせた。次に、積層シートBのシール面保護層側に、ポリエチレンを20μmの厚さの溶融樹脂膜として押出して、さらに片面にイソシアネート系アンカーコート剤でアンカーコート層が形成された第2基材層となる厚さ12μmの延伸ポリエステルフィルムのアンカーコート層側を溶融押し出し法により貼り合わせて第2実施形態の電池用包装材料を製造した。
試験例
実施例1及び2で得られた本発明の電池用包装材料を用い、電池用包装材料を構成する各層の層間剥離強度(密着強度)を測定した。試験方法としては、15mm幅に切断した試料片の第1基材層−バリア層間(層間a)、バリア層−第2熱可塑性樹脂層間(層間b)、第2熱可塑性樹脂層−第1熱可塑性樹脂層間(層間c)、第1熱可塑性樹脂層−シール面保護層間(層間d)、シール面保護層−第2基材層間(層間e)のそれぞれを、50mm/分の剥離速度で剥離するのに要する力の最大値を測定し、10回測定した平均値を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2009064694
表1から明らかなように、実施例1及び2で得られた電池用包装材料は、いずれも第1熱可塑性樹脂層−シール面保護層間(層間d)の層間剥離強度が1.2N及び1.4Nと小さく、端部を表裏方向に強制的に引き剥がそうとすると、第1基材層、バリア層、第2熱可塑性樹脂層及び第1熱可塑性樹脂層から成る包装材本体と、シール面保護層及び第2基材層から成る剥離層とに連続的に安定して分離することができた。
特に、実施例1の電池用包装材料は、シール面保護層として極性基を有する酸変性ポリエチレン樹脂を用いており、ヒートシール層である第1熱可塑性樹脂層に比べて加工後の樹脂表面への付着物、特に金属系付着物との密着性が高くなるため、剥離層を分離する際にヒートシール面の付着物を吸着して除去する効果があった。
また、実施例2の電池用包装材料は、ヒートシール層である第1熱可塑性樹脂層とシール面保護層とが予め共押し出し法により一体形成されているため、第1熱可塑性樹脂層とシール面保護層との界面は容易に剥離できるものの、その界面は剥離層が分離されるまで全く外気に触れることがない。従って、ヒートシール面は清潔な状態が維持され、付着物により汚染されることはなかった。なお、第1熱可塑性樹脂層とシール面保護層から成る積層シートBは事前に成形されたものに限らず、例えば積層シートAのバリア層側に同時多層溶融樹脂コート(共押し出し)することによっても同様に形成することができる。
本発明は、最外層である第1基材層と、該第1基材層の内側に積層されるバリア層と、最内層であるヒートシール層とを含む包装材本体と、包装材本体のヒートシール層側に積層されるシール面保護層と、該シール面保護層に直接若しくは他の層を挟んで積層される第2基材層とを含む剥離層とで構成される電池用包装材料である。
この構成によれば、使用時までヒートシール面がシール面保護層により被覆されているため、本発明の電池用包装材料をリチウムイオン電池等の電池の外装体に用いることにより、ヒートシール面への異物の付着を防止してシール不良や異物の混入による短絡のおそれのない安全性の高いラミネート電池を製造することができる。
は、本発明の第1実施形態に係る電池用包装材料の層構造を示す概略断面図である。 は、第1実施形態の電池用包装材料を用いたパウチタイプの外装体をリチウムイオン電池本体に装着する様子を示す概略斜視図である。 は、第1実施形態の電池用包装材料を用いたエンボスタイプの外装体をリチウムイオン電池本体に装着する様子を示す概略斜視図である。 は、第1実施形態の電池用包装材料の剥離層を剥離する様子を示す部分断面図である。 は、本発明の第2実施形態に係る電池用包装材料の層構造を示す概略断面図である。 は、第2実施形態の電池用包装材料の製造工程を示す概略断面図である。 は、第2実施形態の電池用包装材料の変形例を示す概略断面図である。 は、従来の電池用包装材料の層構造を示す概略断面図である。 は、従来の電池用包装材料のヒートシール面に金属屑が付着した状態を示す概略断面図である。
符号の説明
1 外装材本体
2 第1基材層
3 バリア層
41 第1熱可塑性樹脂層(ヒートシール層)
41a ヒートシール面
42 第2熱可塑性樹脂層
43 第3熱可塑性樹脂層
5 ドライラミネート層
6 シール面保護層
7 第2基材層
8 アンカーコート層
10 剥離層
20 リチウムイオン電池
21 リチウムイオン電池本体
22 外装体
23 セル(蓄電部)
24 タブ(電極端子)
25 接着性フィルム
100 電池用包装材料
M 金属屑

Claims (7)

  1. 第1基材層と、該第1基材層の内側に積層されるバリア層と、最内層であるヒートシール層とを含む包装材本体と、
    該包装材本体の前記ヒートシール層側に積層されるシール面保護層と、該シール面保護層に直接若しくは他の層を挟んで積層される第2基材層とを含む剥離層と、
    から構成され、前記ヒートシール層と前記シール面保護層との層間剥離強度が他の層間剥離強度よりも小さい電池用包装材料。
  2. 前記シール面保護層は、前記ヒートシール層を構成する樹脂とは組成が異なる樹脂を溶融押し出しして形成されることを特徴とする請求項1に記載の電池用包装材料。
  3. 前記シール面保護層は、金属接着性を有する樹脂で形成されることを特徴とする請求項2に記載の電池用包装材料。
  4. 前記ヒートシール層がポリプロピレン樹脂で形成され、前記シール面保護層が酸変性ポリエチレン樹脂で形成されることを特徴とする請求項3に記載の電池用包装材料。
  5. 前記ヒートシール層と前記シール面保護層とは、共押し出し法により一体形成されることを特徴とする請求項2に記載の電池用包装材料。
  6. 前記ヒートシール層と前記シール面保護層との層間剥離強度が3N/15mm幅以下であり、他の層間剥離強度が5N/15mm幅以上であることを特徴とする請求項1及至請求項5のいずれかに記載の電池用包装材料。
  7. 前記第2基材層の厚みが9μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1及至請求項6のいずれかに記載の電池用包装材料。
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