JP2009061914A - 電気自動車 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の電気自動車は、パワーユニット16のバッテリユニット側の端部を経て車幅方向に延び、両端部が車体取付用ブッシュ26を介して車体に弾性支持され、中間部両側がパワーユニット取付用ブッシュ24を介してパワーユニットに弾性支持されたバッテリユニット側ブラケット23を設け、このブラケット23のパワーユニット取付用ブッシュと車体取付用ブッシュとの間に所定以上の衝撃荷重が加わると破断するバッテリユニット側ブラケット脆弱部48を形成し、この脆弱部48を、パワーユニット16が搭載される側の衝突時に入力される衝撃荷重が、パワーユニット16が搭載されていない側の衝突時に入力される衝撃荷重より小さい衝撃荷重で破断するように形成した。
【選択図】図14
Description
パワーユニットを構成する電動モータは、内燃エンジンとは異なり、作動時には高い周波数の振動を発生する。そのため、パワーユニットのバッテリユニット側の端部を支持するバッテリユニット側ブラケットには、パワーユニット取付用ブッシュを介して、パワーユニットを支持するという、パワーユニット取付用ブッシュと車体取付用ブッシュとを併用した2重防振構造を採用して、パワーユニットの高い周波数の振動が車体へ伝達されるのを防いでいる。
このとき、バッテリユニット側ブラケットには、車体とパワーユニットの相対変位がもたらす応力が、中央の支持スパンの大きいパワーユニット取付用ブッシュ間の部分に集中する。このため、同部分からバッテリユニット側ブラケットが破断して、パワーユニットをバッテリユニットへ変位させる作用を抑える。
このため、破断したブラケット部分の破断部は、破断した後も、車幅方向中央に残る。特にパワーユニットとバッテリユニットとの間の距離(隙間)は小さいため、破断したブラケット部分は、そのまま、車体の強制変位により、バッテリユニットへ向う。
しかし、電気自動車では、単に脆弱部を形成するだけでは、バッテリユニットの損傷を防ぐことにはならない。
これは、電気自動車のパワーユニットが搭載されていない側(他端側)からの衝突時の挙動が、先に述べたパワーユニットが搭載されている側(一端側)からの衝突時とは異なるからである。
このとき、バッテリユニット側ブラケットには、パワーユニットが搭載されている側(一端側)からの衝突時とは異なり、できるだけ破断を抑えて、パワーユニットがバッテリユニットへ接近するのを抑えることが求められる。
請求項4に記載の発明は、パワーユニットが搭載されている側(一端側)からの衝突時、パワーユニット取付用ブッシュの弾性に影響されずに、迅速にバッテリユニット側ブラケットが破断するよう、バッテリユニット側ブラケットとして、車体の一端部から衝撃荷重が入力されたときだけ、パワーユニット取付用ブッシュのたわみを抑制するたわみ抑制手段を有した構成を採用して、バッテリユニット側ブラケットがバッテリユニットに至るまでに、バッテリユニット側ブラケットの破断が終えるようにした。
請求項6に記載の発明は、さらに、車体取付用ブッシュをバッテリユニットの上面に乗り上げやすくするために、バッテリユニットの端部と向き合うバッテリユニット側ブラケットの車体取付用ブッシュ近傍の下側は、バッテリユニット側へ突き出る突出部を有する構成を採用した。
したがって、パワーユニットが搭載されている側からの衝突時であっても、パワーユニットが搭載されていない側からの衝突時であっても、バッテリユニットの損傷を抑えることができる。特に同効果は、破断特性を異ならせたバッテリユニット側ブラケット脆弱部をバッテリユニット側ブラケットに用いるだけでよく、バッテリユニットとパワーユニットとの隙間が大きくとれない電気自動車には有効である。
請求項4の発明によれば、パワーユニットが搭載されている側(一端側)からの衝突時、バッテリユニット側ブラケットの破断を、パワーユニット取付用ブッシュの弾性に影響されずに、バッテリユニットに至るまでに終えることができる。
請求項6の発明によれば、車体取付用ブッシュはバッテリユニットの上面に乗り上げやすくなる。
請求項7の発明によれば、バッテリユニット側ブラケット脆弱部と協同して、パワーユニットが搭載されている側(一端側)からの衝突時と、パワーユニットが搭載されていない側(他端側)からの衝突時との双方で、一層、パワーユニットをバッテリユニットに衝突させにくくすることができ、バッテリユニットの損傷を抑える効果を強化できる。
図1は電気自動車の後側の側断面図を示していて、同図中1は車体である。車体1は、前後方向最後部に荷室2を有し、前後方向中央に客室3を有している。4は、車体1の下面に配設された一対のサイドフレーム(車体1の骨格をなす部材)を示している。
サイドフレーム4は、図2に示されるように車幅方向に並行に2本、所定の間隔で配置してあり、いずれも客室3の床の下面、この客室3の床より高い地点に形成されている荷室2の床の下面を通り、車両前後方向に延びている。図1中4aは、荷室2下を通る後部分を示している。そして、荷室2の床下に形成される車体最後部(車両前後方向一端側)の空間をパワーユニットルーム5としている。また客室3の床下のサイドフレーム4,4で囲まれた車体前後方向中央側の空間は、バッテリユニット収容室6にしてある。詳しくは、図1に示されるようにバッテリユニット収容室6は、客室3の後側に設置されたリヤシート8下から同じく前側に設置されたフロントシート9下まで連続したサイドフレーム4,4間の扁平な空間で形成してある。つまり、パワーユニットルーム5とバッテリユニット収容室6とは、車両前後方向で隣接したレイアウトとなる。
パワーユニットルーム5内には、図2に示されるようにパワーユニット16が、パワーユニット16を制御するコントロールユニット27、これらマウントするマウントフレーム30と共に収容してある。
このうち電動モータ17の車体後側へ突き出る支持プレート部17xには、図3および図4に示されるように、車体取付用ブッシュ20を先端に有するアーム状のリヤブラケット21(本願の反対側ブラケットに相当)が突設されている。具体的には、図3および図4に示されるように車体取付用ブッシュ20は、リヤブラケット21の先端に形成された円形の枠部20bと、同枠部20b内に圧入された筒形のブッシュ部材20aとを組み合わせて構成される。そして、リヤブラケット21の基端部をボルトナット22で支持プレート部17xに締結して、先端の車体取付用ブッシュ20を車体後側へ突出させている。
マウントフレーム30は、車体1の一部をなす部材で、図2および図3に示されるように車体1の後側へ並行に延びる一対の側フレーム部31と該側フレーム部31の各後端部をつなぐ端フレーム部32とを有した略U形をなしている。このうち一対の側フレーム部31は、電動モータ17端や減速機18端を通過して車体1の前後方向に延び、端フレーム部32は、パワーユニット16の後方を通過して車幅方向に延びている。このマウントフレーム30が、図2および図3に示されるように側フレーム部31端に設けたフロント取付座34や端フレーム部32に設けたリヤ取付座35を介して、パワーユニットルーム5の骨格となる、各リヤ部分4a,4a(サイドフレーム)の下部やリヤ部分4a,4a間に形成されたクロスメンバ部36の下部などにボルトナット37で締結してある。
この工夫には、図2、図3および図5に示されるようにフロントブラケット23のパワーユニット取付用ブッシュ25と車体取付用ブッシュ26との間の各ブラケット部分23a(図2中の一点鎖線αの位置)に、パワーユニット16が搭載された側の衝突時と、パワーユニット16が搭載されていない側の衝突時とで、それぞれ違う破断特性をもつフロントブラケット脆弱部48(本願のバッテリユニット側ブラケット脆弱部に相当)を設ける技術が用いられている。
すなわち、図8ないし図19を参照して電気自動車の衝突時の挙動を説明する。
今、例えば停止している電気自動車の後端部に対し、同電気自動車の後方から他の車両が衝突したとする(パワーユニット16が搭載されている側からの衝突:後突)。
ここで、リヤブラケット21やフロントブラケット23には、脆弱部として、凹部49やオフセット部57がある。このとき、オフセット部57は、車体1の後部から入力される衝撃荷重に対しては最も破断しやすい設定となっている。
これにより、パワーユニット16は、車体後側の支持を失い、車体前側の支持だけとなる。すると、パワーユニット16の後側が、図11に示されるように前側を支点に下がる(パワーユニット取付用ブッシュ24、車体取付用ブッシュ26aによって支持される)。これで、パワーユニット16は、後側が低くなる斜めの姿勢となる。
このため、サイドフレーム4(マウントフレーム30)の強制変位で、フロントブラケット23が変位してワッシャ51と突き当たり、パワーユニット取付用ブッシュ24のたわみが制限され、衝撃荷重P1が凹部49に効率よく伝達され、図13に示されるように凹部49は、破断が生じやすい開口を拡げる方向へ変形する。すると、ブラケット部分23aは、同部分から破断を起こす。これにより、図12に示されるようにフロントブラケット23は、速やかに中間部分と左右両側とに3分割される。
このとき、図14に示されるように車体取付用ブッシュ26に残っているブラケット部23bは、全長が短く、パワーユニット16の支持から解放されて自由に動ける状態となっているから、例えば図14中の二点鎖線で示されるようにバッテリユニット10の上面を乗り上げたりするなど、バッテリユニット10との衝突を避ける挙動が生じる。
車体取付用ブッシュ26自身も、パワーユニット16の支持から解放されて、自由に動ける状態となっているから、バッテリユニット10の上面を乗り上げる。この挙動が図15(a)〜(c)に示されている。
一方、車体1から離脱したパワーユニット16は、図16(a)に示されるようにバッテリユニット側(前側)が高く、その反対側(後側側)が低いという、バッテリユニット10を乗り上げやすい後傾姿勢のまま、バッテリユニット10へ向い、バッテリユニット10との衝突を避ける。
これにより、パワーユニット16が搭載されている側の衝突時は、破断部23c、車体取付用ブッシュ26およびパワーユニット16とバッテリユニット10との衝突が抑えられる。
この前突時の挙動を説明する。このときには電気自動車は、図17中の矢印に示されるようにパワーユニット16が搭載されていない側(他端部)から所定から所定以上の衝撃荷重P2が入力される。
ここで、リヤブラケット21やフロントブラケット23には、脆弱部として、凹部49やオフセット部57があるが、凹部49は、車体1の前部から入力される衝撃荷重に対し
破断しにくい向きが設定してあり、オフセット部57は、同凹部49よりも、さらに破断しにくい引っ張り方向での破断が設定してある。
これにより、パワーユニット16が搭載されていない側の衝突時は、パワーユニット16とバッテリユニット10とが衝突せずにすむ。
そのうえ、パワーユニットが搭載されている側からの衝突時は、ワッシャ51によりパワーユニット取付用ブッシュ24のたわみを制限したので、パワーユニット取付用ブッシュ24の弾性に影響されずに、フロントブラケット23を、バッテリユニット10に到達するまでに破断させることができる。しかも、たわみ制限には、ワッシャ51を用いるだけなので、簡単な構造である。
また車体取付用ブッシュ26には、バッテリユニット10の上面から下側部分とラップする部分をできる限り抑える構造を採用したことで、パワーユニット16が搭載されている側からの衝突時、容易に車体取付用ブッシュ26をバッテリユニット10の上面に乗り上げさせることができる。しかも、車体取付用ブッシュ26の下側には、バッテリユニット10へ突き出る突出部54が形成してあるから、これによっても、容易に車体取付用ブッシュ26をバッテリユニット10の上面に乗り上げさせることができる。
10 バッテリユニット
16 パワーユニット
21 リヤブラケット(反対側ブラケット)
23 フロントブラケット(バッテリユニット側ブラケット)
24 パワーユニット取付用ブッシュ
26 車体取付用ブッシュ
48 フロントブラケット脆弱部(バッテリユニット側ブラケット脆弱部)
49 凹部
51 ワッシャ(たわみ抑制手段、たわみ制限部材)
54 突出部
56 リヤブラケット脆弱部(反対側ブラケット脆弱部)
57 オフセット部
Claims (7)
- 車両を駆動する機器で構成されるパワーユニットと、
前記パワーユニットを車両前後方向一端側に搭載する車体と、
前記パワーユニットと隣接して前記車体の前後方向中央側に搭載された、車両の電力源となるバッテリユニットと、
前記パワーユニットを車体に取り付けるための複数のブラケットと、
を備え、
前記複数のブラケットは、それぞれ車体取付用ブッシュを有し、前記車体取付用ブッシュを介して前記車体に弾性支持され、
前記複数のブラケットは、前記パワーユニットの前記バッテリユニット側の端部を支持するバッテリユニット側ブラケットを含み、
前記バッテリユニット側ブラケットは、前記パワーユニットのバッテリユニット側の端部を経て車幅方向に延び、両端部にそれぞれ前記車体取付用ブッシュを有し、中間部の両側にそれぞれパワーユニット取付用ブッシュを有し、
前記バッテリユニット側ブラケットは、前記車体取付用ブッシュを介して端部がそれぞれ前記車体に弾性支持され、前記パワーユニット取付用ブッシュを介して中間部がそれぞれパワーユニットに弾性支持され、
前記バッテリユニット側ブラケットは、前記パワーユニット取付用ブッシュと前記車体取付用ブッシュとの間に、前記車両前後方向一端側の衝突時または車両前後方向他端側の衝突時に所定以上の衝撃荷重が加わると破断するバッテリユニット側ブラケット脆弱部を有し、
前記バッテリユニット側ブラケット脆弱部は、車両前後方向一端側の衝突時の前記車体の一端部から入力される衝撃荷重が、前記車両前後方向他端側の衝突時の前記車体の他端部から入力される衝撃荷重より小さい衝撃荷重で破断するように形成してある
ことを特徴とする電気自動車。 - 前記バッテリユニット側ブラケット脆弱部は、前記バッテリユニット側ブラケットの前記パワーユニット側に向く側面に、上下方向に延びる凹部を形成してなることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車。
- 前記バッテリユニット側ブラケットの車体取付用ブッシュの下側部分は、隣接する前記バッテリユニットの上面とラップする部分が所定以下となるように設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気自動車。
- 前記バッテリユニット側ブラケットは、前記車体の一端部から衝撃荷重が入力されたときだけ、前記パワーユニット取付用ブッシュのたわみを抑制するたわみ抑制手段を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の電気自動車。
- 前記たわみ抑制手段は、前記車体の他端部から衝撃荷重が入力されたときは、前記パワーユニット取付用ブッシュのたわみを許し、前記車体の一端部から衝撃荷重が入力されたときは、前記パワーユニットと前記バッテリユニット側ブラケット間を剛体同士で突き合わせるたわみ制限部材で構成されることを特徴とする請求項4に記載の電気自動車。
- 前記バッテリユニットの端部と向き合う前記バッテリユニット側ブラケットの前記車体取付用ブッシュ近傍の下側は、バッテリユニット側へ突き出る突出部を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の電気自動車。
- 前記ブラケットは、前記バッテリユニット側ブラケットの他に、前記バッテリユニットとは反対側の端部を支持する反対側ブラケットを有し、
前記反対側ブラケットは、前記パワーユニットが取り付く取付点と車体取付用ブッシュとの間に反対側ブラケット脆弱部を有し、
前記反対側ブラケット脆弱部は、前記車両前後方向一端側の衝突時の前記バッテリユニット側ブラケット脆弱部が破断するよりも早い段階で破断し、前記車両前後方向他端側の衝突時の前記バッテリユニット側ブラケット脆弱部が破断する衝撃荷重より大きい荷重で破断するように形成してある
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一つに記載の電気自動車。
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