JP2009061531A - 被研磨物保持材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコンウェハの表面の傷の発生を抑制し、効率的に研磨を行うのに有効な樹脂製の被研磨物保持材を提供する。
【解決手段】引張り強度が2.2GPa以上、引張り弾性率が55GPa以上である有機繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグ2を表層とし、ガラス繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグ3を中間層として、これらプリプレグを積層し加熱加圧して得られた被研磨物保持材であって、プリプレグの樹脂比率が、体積比で40〜45%であり、かつ、前記有機繊維基材及び前記ガラス繊維基材の目付けが150g/m以下である被研磨物保持材1。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコンウェハ、ハードディスクなどの製造工程において、これらの表面を研磨する研磨工程で用いられる、シリコンウェハ、ハードディスクなどの被研磨物を保持する保持材及びその製造方法に関する。
シリコンウェハやハードディスクなどを製造する際に、研磨工程において用いられる被研磨物保持材は、駆動用のギアを周囲に形成した円板に、被研磨物保持用の貫通穴を1個乃至複数個空けた構造からなるものである。そして、この貫通穴に被研磨物を嵌め込み、これを研磨装置に装着し、上定盤、下定盤により挟まれた状態で被研磨物保持材を平面方向に駆動させることにより被研磨物の研磨を行なう。
上記被研磨物を研磨装置内で保持するために、従来からSK鋼やステンレス鋼のような金属板、布基材フェノール樹脂積層板、ガラス基材エポキシ樹脂の積層板等の円周に駆動用ギアを加工し、板内に被研磨物を保持するための貫通穴を設けたものが多用されていた。ところが、近年、ガラス繊維積層板を保持材として使用した場合には保持材そのものの摩減によってガラス粉が発生し、これが被研磨物の表面のスクラッチ傷の発生原因となり、研磨歩留まりの低下を招いていることが明らかになり、有機繊維基材を用いた被研磨物保持材が多く提案されている(特許文献1乃至3参照)。
特開平10−150840号公報 特開平11−218622号公報 特開平10−333879号公報
その様な中で、厚さ精度が必要なワークに対しては、被研磨物保持材も高精度な板厚管理が要求されることから、使用以前に被研磨物保持材の板厚調整研磨が行われる。しかしながら、この場合、表層に高強度有機繊維基材を用いるものは、「板厚調整研磨工程」に多大の時間を費やし問題となっている。また、すり込みによって、部分的に削り取られるためその効果を発揮しにくかった。
そこで、本発明は、従来の樹脂層の研磨用保持材の欠点を解消するためになされたものであり、シリコンウェハの表面のスクラッチ傷を生じさせることがなく、耐磨耗性にも優れ、特に板厚精度に極めて優れているため「板厚調整研磨工程」を省略することを可能とする被研磨物保持材を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、次の被研磨物保持材が、問題を解決しうることを見出したのである。
すなわち、本発明は、引張り強度が2.2GPa以上、引張り弾性率が55GPa以上である有機繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグを表層とし、ガラス繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグを中間層として、これらプリプレグを積層し加熱加圧して得られた被研磨物保持材であって、プリプレグの樹脂比率が、体積比で40〜45%であり、かつ、有機繊維基材及びガラス繊維基材の目付けが150g/m以下であることを特徴とするものである。
また、本発明の研磨物の製造方法は、引張り強度が2.2GPa以上、引張り弾性率が55GPa以上である有機繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグを表層とし、ガラス繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグを中間層として、これらプリプレグを積層する工程と、積層したプリプレグを加熱加圧して積層板とする工程と、を有する被研磨物保持材の製造方法であって、プリプレグの樹脂比率が、体積比で40〜45%であり、かつ、有機繊維基材及びガラス繊維基材の目付けが150g/m以下であることを特徴とするものである。
本発明の被研磨物保持材によれば、反りの発生を抑制することができ、板厚精度に極めて優れ、さらに、表面からガラス粉等の発生がないため、被研磨物のスクラッチ傷の発生低減に寄与することができる。すなわち、事前の板厚調整研磨工程を省略して使用することができ、かつ、被研磨物の生産歩留まりの向上も図れるため、大幅なコスト低減が可能となる。
また、特定の高強度有機繊維を使用することによって、保持材の強度が増し、ギア部分の摩耗が抑制されるので、上記効果を保持しつつ被研磨物保持材の使用寿命を延ばすことも可能であり、さらなるコスト低減に寄与することもできる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いる表層のプリプレグは、基材として有機繊維基材を用いるものであり、ここで用いる有機繊維の引張り強度が2.2GPa以上、かつ、引張り弾性率が55GPa以上、であるものであり、引張り強度が2.2〜6.0GPa、引張り弾性率が55〜300GPaの範囲であることが好ましい。上記範囲であることが、研磨でのスクラッチの発生抑制及び被研磨物保持材の強度保持、耐摩耗性の観点で肝要である。なお、引張り強度及び引張り弾性率は、それぞれJIS K 7073に準じて算出されるものである。
これに該当する有機繊維としては、アラミド繊維、PBO繊維、全芳香族ポリエステル繊維、高強度ポリエチレン繊維等が挙げられる。この有機繊維としては、不織布若しくは織布形態又は引き揃えた形態のいずれも用いることができるが、本発明の主旨から、織布形態であることが好ましい。
織布の仕様は特に限定しないが、平織りで、目付けが150g/m以下であるものが好ましく、20〜150g/mであることがより好ましい。それらの範疇で、工業用の汎用範囲のものを使用すればよい。具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。
・アラミド繊維(デュポン社製、商品名:Kevlar29;引張り強度:2.9GPa、引張り弾性率:70GPa)
・PBO繊維(東洋紡績株式会社製、商品名:Zylon AS、引張り強度:5.8GPa、引張り弾性率:180GPa)
・全芳香族ポリエステル繊維(クラレ株式会社製、商品名:Vectran、引張り強度:3.2GPa、引張り弾性率:91GPa)
・高強度ポリエチレン繊維(ハネウェル社製、商品名:Spectra900、引張り強度:2.6GPa、引張り弾性率:120GPa)
次に、本発明に用いる中間層のプリプレグは、基材としてガラス繊維基材を用いるものであり、ここで用いるガラス繊維は不織布又は織布形態であるか、或いは該繊維を平行に引き揃えてシート状にした形態である。なかでも織布形態が好ましく、さらにそのなかでも、汎用のE−ガラスクロスを用いることが好ましい。特には、IPC−EG−140に規定される平織ガラスクロスを用いることが好ましい。
ただし、このガラス繊維織布は、その目付けを150g/m以下に限定するものであり、20〜150g/mであることがより好ましい。その対象範囲としては、厚み150μm未満の上記IPCスペックの1504、2116、3313、1080、106スタイルのものが挙げられる。これらの対象品は、低樹脂分で、積層板として欠損なく、均一な板厚精度を確保するために有効である。なお、開繊加工や扁平加工を施したものであればより好ましい。
また、該繊維を平行に引き揃えてシート状にした形態は、厚み精度、表面平滑性が良好のため、本発明の基材形態としては有効である。但し、目付けを150g/m以下に限定するものであり、10〜120g/mであることが好ましい。
また、該当基材を使用したプリプレグを複数枚積層して用いる場合は、隣接するプリプレグの繊維の配向方向を互いに異なる方向とし、例えば、直交方向にして用いることが、機械的強度の偏りをなくす観点から肝要である。
そして、上記した有機繊維基材及びガラス繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグとするが、このとき熱硬化性樹脂は、例えば、(A)熱硬化性樹脂と、(B)硬化剤と、(C)硬化促進剤と、(D)エラストマーと、を必須成分とする樹脂組成物が用いられ、この特定の組成からなる樹脂組成物に用いられる(A)熱硬化性樹脂としては、質量平均分子量が1万未満のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリイミド等の樹脂が挙げられる。
しかし、フェノール樹脂やポリイミドなど、比較的耐熱性の高い熱硬化性樹脂(例えば、ベンゼン核など接着に直接関与しない部分を分子骨格に高密度で有している樹脂)は、樹脂自体は硬いものの、接着性が比較的低いため研磨時に繊維基材と樹脂の界面剥離が発生しやすかったり、樹脂自体の破壊・摩耗が起こりやすかったりすることが分かった。
このようなことから、強度、成形性の観点から熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用することが好ましく、エポキシ樹脂の脆さを低減するために、エラストマーなどの可撓化成分を加え、変性したエポキシ樹脂が好ましいものである。このとき使用するエポキシ樹脂としては、その質量平均分子量が300〜2000の範囲のものであることが好ましい。
このとき、樹脂の溶融性、硬化性の設定にあたっては、樹脂種の固有粘度、反応性、硬化剤、硬化促進剤の種類と量にて、適正な配合を選定しうるものである。併せて、プリプレグの製造条件も含めて、広く条件選定の可能性がある。
また、この樹脂組成物に用いられる(B)硬化剤及び(C)硬化促進剤としては、(A)熱硬化性樹脂に対して通常用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ樹脂を用いた場合には、硬化剤としては、ジシアンジアミド、芳香族ジアミン等のアミン系硬化剤、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール系硬化剤、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸等の酸無水物硬化剤等を用いることができ、また硬化促進剤としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、三フッ化ホウ素アミン錯体、トリフェニルホスフィン等を用いることができる。
また、(D)エラストマー成分としては、質量平均分子量が1万以上の高分子エポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂及び合成ゴム等が挙げられる。このエラストマー成分は、プリプレグの材料となる樹脂組成物中に3〜30質量%配合されるものである。3質量%未満では樹脂シートを成形する際のハンドリング性が悪く、30質量%を超えると成形性が悪くなってしまう。
このとき、その他の成分の配合割合は、樹脂組成物中に(A)熱硬化性樹脂が60〜96質量%、(B)硬化剤が0.5〜35質量%、(C)硬化促進剤が0.05〜5質量%であることが好ましい。
これらの配合成分の他にも、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜必要な添加剤を配合することができる。なお、このプリプレグとしては、無機フィラーや繊維基材等は実質的に含有することなく構成されるものである。
そして、この樹脂組成物を用いて形成される有機繊維基材を用いたプリプレグは、その厚さが、10〜200μmであることが好ましい。厚さが10μm未満では表面保護層が研磨により磨耗し易くなり、200μmを超えると成形時にボイドが残りやすくなってしまう。
そして、本発明に用いられる有機繊維基材及びガラス繊維基材を用いた両プリプレグの樹脂比率は、それぞれ体積比で40〜45%であり、かつ目付けが150g/m以下のプリプレグを用いた点に特徴があり、上記目付けの規定範囲のもと、基材と樹脂との比率をコントロールすることにより、反りが抑制された極めて優れた板厚精度と表層の有機繊維基材の効果を最大限に引き出し、かつ事前の「板厚調整研磨工程」を設けることなしに研磨工程に用いることができる被研磨物保持材を得られるものである。
また、本発明は、プリプレグにおける熱硬化性樹脂組成物の、170℃での硬化時間(x)が50〜100秒であり、2.0℃/分昇温での最低溶融粘度(y)が1000〜1000000ポアズであり、かつ、この硬化時間と最低溶融粘度を指数近似した関係式y=AeBx(A、Bは係数を表す。)の係数BがB=−0.15〜−0.02であることを特徴とする。
ここで、170℃での硬化時間(x)及び最低溶融粘度(y)は、そのプリプレグにおける熱硬化性樹脂組成物の特性であり、この硬化時間はプリプレグの作成時の半硬化状態をどのようにするかにより変化するものであり、これは半硬化させるときの温度、時間等により調整することができるものである。そして、同じ熱硬化性樹脂組成物及び基材を用いた場合でも、その半硬化状態をどのようにするかによって変わってくるが、そのとき、これらは上記した指数近似した式で表すことができる。
そして、これらの関係を示す指数近似した式は、プリプレグの成形性等の特性についての傾向を見ることができるものであり、係数Aは積層成形時の樹脂組成物の極限粘度の指標を示すものであり、正の値をとり、この数値は特に限定されるものではない。また、特に重要なのは係数Bで、この係数Bは成形における樹脂組成物の成形幅(マージン)の広さの指標となり、プリプレグ製造時の樹脂組成物の挙動傾向を示すものである。ここで、係数Bが−0.15〜−0.02の範囲にあると成形における適正なマージンを確保でき、フローバラツキを低減でき、板厚精度を安定して適正な積層体を確保できるものであり好ましいものである。
また、同じ熱硬化性樹脂組成物を用いても、基材が異なるものである場合には、プリプレグとしての性質、主に硬化時間、が影響を受けることがあり、この場合には異なる式で表されることとなる。
ここで、硬化時間が下限値未満の場合及び最低溶融粘度が上限値を超える場合は、成形時の樹脂フロー、ボイド、剥離で問題を生じてしまい、また、硬化時間が上限値を超える場合及び最低溶融粘度が下限値未満の場合は、板厚精度を維持し得ないため好ましくない。
上記係数Bが、下限値未満の場合は、成形条件による依存性が強くなり、フロー性のバラツキが大きくなり製品の品質レベルを満足しえない。逆に上限値を超える場合は、硬化速度が非常に遅く、生産性の観点で、実用性がない。
なお、ここで硬化時間は、熱盤上で定法により、プリプレグの硬化の終点を測定するものであり、また、最低溶融粘度は、プリプレグの半硬化状態の熱硬化性樹脂組成物をプリプレグを揉みほぐして採取した熱硬化性樹脂成分の粉末をペレット状にし、プレート型粘度計により20℃から200℃まで2.0℃/分昇温割合で測定することにより確認できる。該当値の範囲にあることにより、成形時の樹脂フロー、ボイド、剥離、外観等が良好で、さらに極めて良好な板厚精度を確保しうる。また、接着強度も良好で被研磨物保持材としての適正な性能も有するものである。
プリプレグの製造は、常法により、所定配合で作った熱硬化性樹脂組成物のワニス中に、基材を含浸させ、乾燥機中にて乾燥し、半硬化状態にして製造する。
また、被研磨物保持材の成形は、電気絶縁用積層板の成形と同様に実施することができる。すなわち、熱硬化性樹脂を含浸乾燥した特定有機繊維基材プリプレグを表面配置、中間層にガラス繊維基材プリプレグを用いて、離型フィルムをその表面に被覆して鏡面板に挟みこみ、プレス熱盤間で加熱加圧成形する。成形条件は、一般的には昇温速度1.2〜3.0℃/分、硬化温度170℃以上で30〜150分、圧力2.5〜4.0MPaであることが望ましいが、これに限定されるものではない。
このようにして得られた積層板に、円盤の所定の外径及び内穴径で、歯車型に切断、打ち抜き加工を施すことで被研磨物保持材が製造できる。図1は被研磨物保持材の断面図を例示したものであるが、こうして得られた被研磨物保持材1は、中間層としてガラス繊維基材プリプレグ2、表面層として有機繊維基材プリプレグ3が積層して構成され、その外周には歯車の歯4が設けられ、また回転軸となる固定部5と、被研磨物を配置する被研磨物配置穴6がそれぞれ積層板を打ち抜かれて設けられている。
表層の有機繊維基材を用いたプリプレグの層は、プリプレグ1枚であってもよいし複数枚を積層して形成したものであってもよい。シリコンウェハ、ハードディスクなど被研磨物の種類や研磨条件により、このプリプレグの使用枚数を変えたり、他の基材を適宜選択したりして組合せることができる。
本発明者らが検討した結果、表層の1枚を有機繊維織布基材を用いたプリプレグとし、中間層をガラス繊維織布基材を用いたプリプレグで構成することにより、コストを含めた点で有利であることが分かった。
まず、有機繊維基材、ガラス繊維基材として、以下のものを準備した。
有機繊維基材1:アラミド繊維織布(デュポン社製、商品名:KEVLER29;目付61g/m、厚さ0.1mmの平織り織布)
有機繊維基材2:全芳香族ポリエステル繊維織布(クラレ社製商品名 Vectran;目付63g/m、厚さ0.12mmの平織り織布)
有機繊維基材3:PBO繊維織布(東洋紡績株式会社製、商品名:Zylon AS;目付61g/m、厚さ0.1mmの平織り織布)
ガラス繊維基材1:汎用Eガラス繊維織布(旭シュエーベル社製、商品名:A2116/AS450、目付106g/m、厚さ0.1mmの平織り織布)
ガラス繊維基材2:汎用Eガラス繊維織布(旭シュエーベル社製、商品名:A7628/AS450、目付209g/m、厚さ0.18mmの平織り織布)
(実施例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート1001(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名)70質量部、クレゾールノボラックエポキシ樹脂のYDCN−704P(東都化成株式会社製、商品名)30質量部、ジシアンジアミド3質量部、2E4MZ(四国化成工業株式会社製)0.07質量部からなる混合物にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて固形分65%のワニス1を調製した。このワニス1を有機繊維基材1に樹脂質量比率42%となるよう塗布、含浸及び乾燥による半硬化の調整を行うことで樹脂体積比率44%のプリプレグ1を得た。
このプリプレグ1の170℃での硬化時間は65秒であり、2.0℃/分昇温での最低溶融粘度が143000ポアズであることを確認した。また、プリプレグ製造時の樹脂組成物の塗布、乾燥における温度や時間等の条件を調整して、前記以外1点の硬化時間の異なるプリプレグを合わせた2点データにて、硬化時間(x)と最低溶融粘度(y)を指数近似した関係式y=AeBx(A,Bは係数)を算出したところ、その係数Bが、B=−0.046であることを確認した。
また、ワニス1をガラス繊維基材1に樹脂質量比率29%となるように、その他は、プリプレグ1と同様にして塗付、含浸及び乾燥による半硬化を行うことで樹脂体積比率43%のプリプレグ2を得た。このプリプレグ2の170℃での硬化時間が80秒であり、2.0℃/分の昇温での最低溶融粘度が69000ポアズであることを確認した。また、同様にして、係数Bを算出し、B=−0.048であることを確認した。
次に、表裏にプリプレグ1を1枚ずつ、中央にプリプレグ2を10枚、計12枚のプリプレグを鏡面板の間に挟み、熱盤間に10セット仕込み、昇温速度2.0℃/分、硬化温度175℃×60分、圧力3.0MPaで加熱・加圧成形を行い、積層板1を得た。
これを、ルーターマシンで外形加工し、12B(DP12,歯数134,外形287.86mm)の外周形状と、50mmφの穴12個を形成することで、被研磨物保持材1を作成した。
(実施例2)
有機繊維基材2を用い、実施例1と同様にして、樹脂質量比率42%となるよう塗布、含浸及び乾燥による半硬化の調整を行うことで樹脂体積比率44%のプリプレグ3を得た。
このプリプレグ3の170℃での硬化時間が79秒であり、2.0℃/分昇温での最低溶融粘度が59800ポアズであることを確認した。また、実施例1と同様にして係数Bを算出し、B=−0.055であることを確認した。その他、実施例1と同様にして、積層板2及び被研磨物保持材2を作成した。
(実施例3)
有機繊維基材3を用い、実施例1と同様にして、樹脂質量比率42%となるよう塗布、含浸及び乾燥による半硬化の調整を行うことで樹脂体積比率44%のプリプレグ4を得た。
このプリプレグ4の170℃での硬化時間が81秒であり、2.0℃/分昇温での最低溶融粘度が69000ポアズであることを確認した。また、同様にして係数Bを算出し、B=−0.051であることを確認した。その他の実施例1と同様にして、積層板3及び被研磨物保持材3を作成した。
(実施例4)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート1001(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名)70質量部、クレゾールノボラックエポキシ樹脂のYDCN−704P(東都化成株式会社製、商品名)30質量部、ジシアンジアミド3質量部、2E4MZ(四国化成工業株式会社製)0.10質量部からなる混合物にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて固形分65%のワニス2を調製した。有機繊維基材2を用い、実施例1と同様にして、樹脂質量比率42%となるよう塗布、含浸及び乾燥による半硬化の調整を行うことで樹脂体積比率44%のプリプレグ5を得た。
このプリプレグ5の170℃での硬化時間が83秒であり、2.0℃/分昇温での最低溶融粘度が37500ポアズであることを確認した。また、実施例1と同様にして、係数Bを算出し、B=−0.152であることを確認した。
また、ワニス2をガラス繊維基材1に樹脂質量比率29%となるように、その他は、実施例1と同様にして塗布、含浸及び乾燥による半硬化を行うことで樹脂体積比率43%のプリプレグ6を得た。このプリプレグ6の170℃での硬化時間が78秒であり、2.0℃/分昇温での最低溶融粘度が66000ポアズであることを確認した。また、同様にして、係数Bを算出し、B=−0.143であることを確認した。その他、実施例1と同様にて、積層板4及び被研磨物保持材4を作成した。
(実施例5)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート1001(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名)70質量部、クレゾールノボラックエポキシ樹脂のYDCN−704P(東都化成株式会社製、商品名)30質量部、ジシアンジアミド3質量部、2E4MZ(四国化成工業株式会社製)0.07質量部からなる混合物にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて固形分65%のワニス1を調製した。
このワニス1を有機繊維基材1に樹脂質量比率42%となるよう塗布、含浸及び乾燥による半硬化の調整を行うことで樹脂体積比率44%のプリプレグ1を得た。
このプリプレグの170℃での硬化時間が65秒であり、2.0℃/分昇温での最低溶融粘度が143000ポアズであることを確認した。また、前記以外1点の硬化時間の異なるプリプレグを合わせた2点データにて、硬化時間(x)と最低溶融粘度(y)を指数近似した関係式y=AeBx(A,Bは係数)を算出した。その係数B=−0.046であることを確認した。
また、E−ガラスヤーンE−225を平面一方方向に目付質量が106g/m並べ引き、ワニス1を樹脂質量比率29%となるように、その他は、実施例1と同様にして塗付、含浸及び乾燥による半硬化を行うことで樹脂体積比率43%のプリプレグ7を得た。このプリプレグ7の170℃での硬化時間が82秒であり、2.0℃/分昇温での最低溶融粘度が60500ポアズであることを確認した。また、実施例1と同様にして、係数Bを算出し、B=−0.048であることも確認した。
表裏にプリプレグ1を1枚ずつ、中央にプリプレグ7を交互直交組み10枚、計12枚のプリプレグを鏡面板の間に挟み、熱盤間に10セット仕込み、昇温速度2.0℃/分、硬化温度175℃×60分、圧力3.0MPaで加熱・加圧成形を行い、積層板5を得た。
これを、ルーターマシンで外形加工し、12B(DP12,歯数134,外形287..86mm)の外周形状と、50mmφの穴12個を形成することで、被研磨物保持材5を作成した。
(比較例1)
ガラス繊維基材2に樹脂質量比率29%となるようワニス1を塗布、含浸及び乾燥による半硬化を行うことで樹脂体積比率43%のプリプレグ8を得た。このプリプレグ8の170℃での硬化時間が78秒であり、2.0℃/分昇温での最低溶融粘度が66900ポアズであることを確認した。また、実施例1と同様にして、係数Bを算出し、係数B=−0.058であることも確認した。
表裏にプリプレグ1を1枚ずつ、中央にプリプレグ8を5枚、計7枚のプリプレグを鏡面板の間に挟み、昇温速度1.2〜3.0℃/分、硬化温度 175℃×30分、圧力2.5〜4.0MPaで加熱・加圧成形を行い、積層板6を得た。
これを、ルーターマシンで外形加工し、12B(DP−2,歯数134,外形287.86)抑の外周形状と、50φ穴12個を形成することで、被研磨物保持材6を作成した。
(比較例2)
ガラス繊維基材1に樹脂質量比率44%となるよう、ワニス1を塗布、含浸及び乾 燥による半硬化を行うことで樹脂体積比率65%のプリプレグ9を得た。このプリプレグ9の170℃での硬化時間が78秒であり、2.0℃/分昇温での最低溶融粘度が70600ポアズであることを確認した。また、実施例1と同様にして、係数Bを算出し、B=−0.058であることも確認した。
表裏にプリプレグ2を1枚ずつ、中央にプリプレグ9を9枚、計11枚のプリプレグを鏡面板の間に挟み、昇温速度1.2〜3.0℃/分、硬化温度175℃×30分、圧力2.5〜4.0MPaで加熱・加圧成形を行い、積層板7を得た。
これを、ルーターマシンで外形加工し、12B(DP−2,歯数−34,外形287.86)の外周形状と、50φの穴12個を形成することで被研磨物保持材7を作成した。
(比較例3)
実施例1において、構成枚数を、プリプレグ1を0枚、プリプレグ2を12枚とした以外は、すべて同様にして、積層板8及び被研磨物保持材8を作成した。
(試験例)
実施例及び比較例で作成した被研磨物保持材を用いて、厚さ0.82mmのアルミニウムウェハーを10個サイクル研磨した後の表面状態を観察した結果及び板厚精度、反り測定結果等を表1、表2に示した。また、比較例においては、厚み補正の予備研磨を行って、キャリアの厚さを0.8±0.01mmにする際の時間を合わせて示した。
Figure 2009061531
Figure 2009061531
本発明の被研磨物保持材の構成を示した断面図である。
符号の説明
1…被研磨物保持材、2…有機繊維基材プリプレグ、3…ガラス繊維基材プリプレグ

Claims (6)

  1. 引張り強度が2.2GPa以上、引張り弾性率が55GPa以上である有機繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸したプリプレグを表層とし、ガラス繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸したプリプレグを中間層として、これらプリプレグを積層し加熱加圧して得られた被研磨物保持材であって、
    前記プリプレグの樹脂比率が、体積比で40〜45%であり、かつ、前記有機繊維基材及び前記ガラス繊維基材の目付けが150g/m以下であることを特徴とする被研磨物保持材。
  2. 前記プリプレグにおける熱硬化性樹脂組成物の、170℃での硬化時間(x)が50〜100秒、2.0℃/分昇温での最低溶融粘度(y)が1000〜1000000ポアズであり、かつ、前記熱硬化性樹脂組成物における前記硬化時間(x)と前記最低溶融粘度(y)を指数近似した関係式y=AeBx(A,Bは係数)の係数BがB=−0.15〜−0.02の範囲であることを特徴とする請求項1記載の被研磨物保持材。
  3. 前記有機繊維基材に用いられる有機繊維がアラミド繊維、PBO繊維、全芳香族ポリエステル繊維及び高強度ポリエチレン繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維であることを特徴とする請求項1又は2記載の被研磨物保持材。
  4. 前記プリプレグが、不織布又は織布形態である繊維基材を用いたプリプレグであるか、或いは繊維を平行に引き揃えて、熱硬化性樹脂組成物を含浸又はラミネートしてシート状にしたプリプレグであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の被研磨物保持材。
  5. 前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、少なくとも前記被研磨物保持材の表面のエポキシ樹脂が可撓性成分を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の被研磨物保持材。
  6. 引張り強度が2.2GPa以上、引張り弾性率が55GPa以上である有機繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグを表層とし、ガラス繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグを中間層として、これらプリプレグを積層する工程と、前記積層したプリプレグを加熱加圧して積層板とする工程と、を有する被研磨物保持材の製造方法であって、
    前記プリプレグの樹脂比率が、体積比で40〜45%であり、かつ、前記有機繊維基材及び前記ガラス繊維基材の目付けが150g/m以下であることを特徴とする被研磨物保持材の製造方法。
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