JP6283300B2 - 被研磨物保持材 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコンウエハ、ハードディスクなどの製造において、これらの表面を研磨する工程で用いられる、被研磨物保持材に関するものである。
シリコンウエハ、ハードディスクなどの製造において、これらの表面を研磨する際には、平面研磨機の歯車と噛み合う駆動用ギアを外周に形成した円板にシリコンウエハなどの被研磨物保持用の孔を1個から複数個形成した被研磨物保持材を用い、この被研磨物保持材の保持用の孔に、被研磨物を嵌め込んで保持し、この状態で被研磨物保持材を研磨機に装着して、被研磨物保持材を平面上で駆動させることにより研磨を行っている。
従来、このような被研磨物保持材は、ガラス繊維基材にエポキシ樹脂を含浸、乾燥した繊維強化樹脂シートを加熱加圧成形することにより形成され、研磨機の形状に応じた加工を施すことにより調製していた。
しかし、上記のようなガラス繊維を用いた被研磨物保持材は、切削加工性には優れるが、ガラス粉により、被研磨物の表面にスクラッチが発生するという問題があった。
そこで、スクラッチの発生を抑制するため、アラミド繊維や全芳香族ポリエステル繊維等の有機繊維基材を用いた被研磨物保持材が種々提案されており(特許文献1、2等参照)、特に、高強度であるアラミド繊維が多く採用されている。
また、ポリフェニレンスルフィド等を用いた熱可塑性樹脂シートからなる被研磨物保持材も提案されている(特許文献3等参照)。
特開平11−309667号公報 特開平10−146754号公報 特開2003−231054号公報
しかし、アラミド繊維を用いた被研磨物保持材は、アラミド繊維の吸湿性から反り、厚み精度の面で不十分であり、また、近年、研磨物に要求される品質や性能が高くなるに伴い、アラミド繊維が含有する金属元素により製造歩留りが悪化し、また、被研磨物の表面にスクラッチが発生してしまう。更に、切削加工性にも問題がある。
また、液晶ポリエステル繊維からなる不織布を用いた被研磨物保持材は、切削加工時、切断面に毛羽や膨れが生じてしまい、切削加工性が不十分である。
また、熱可塑性樹脂シートのみからなる被研磨物保持材は、機械的強度が不十分であり、耐久性に劣る。
本発明の目的は、厚み精度が良好で、反りが起こらず、また、金属元素含有量が少なく、切削加工性に優れた被研磨物保持材を提供することにある。
また、本発明の目的は、被研磨物保持材の表面のスクラッチの発生が殆ど無く、耐久性に優れた被研磨物保持材を提供することにある。
本発明の目的は、繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸してなる繊維強化樹脂シートを複数枚積層してなる被研磨物保持材であって、全ての繊維強化樹脂シートが、ポリフェニレンスルフィド繊維基材を用いた繊維強化樹脂シートであることを特徴とする被研磨物保持材によって達成される。
また、上記のような研磨用保持材の場合、被研磨物保持材中、繊維基材が40〜80質量%であることが好ましい。
また、本発明の被研磨物保持材は、チタン、マグネシウム、アルミニウム又はケイ素の含有量が各々20ppm以下であることが好ましい。
また、本発明において用いる繊維基材が、織物、不織布又は一方向に引き揃えられた長繊維集合体もしくは短繊維集合体であることが好ましい。
また、本発明において用いる繊維基材が、総繊度10〜600dtexの平織物であることが好ましい。
また、本発明において用いる熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、環状オレフィン系重合体樹脂の中から選択されることが好ましい。
また、本発明において用いるポリフェニレンスルフィド繊維基材の厚みが30〜500μmであることが好ましい。
本発明により、厚み精度が良好で、反りが起こらず、また、チタン、マグネシウム、アルミニウム又はケイ素の金属元素含有量が少なく、切削加工性に優れた被研磨物保持材を提供することができる。
このように、金属元素含有量が少ないことで、被研磨物保持材の表面のスクラッチの発生が殆ど無い。また、本発明の被研磨物保持材は、耐久性にも優れたものである。
本発明の被研磨物保持材は、繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸してなる繊維強化樹脂シートを複数枚積層してなるものであって、ポリフェニレンスルフィド繊維基材を用いた繊維強化樹脂シートからなる。
ポリフェニレンスルフィド繊維は軟質であることから、外層に配する繊維強化樹脂シートの繊維基材に、ポリフェニレンスルフィド繊維を用いることにより、切削加工性が良好となる。また、被研磨物保持材の厚み精度が良好で、反りが起こらない。
本発明の被研磨物保持材は、複数枚の繊維強化樹脂シートを積層して形成され、全ての繊維強化樹脂シートが、ポリフェニレンスルフィド繊維基材を用いたものである。
ポリフェニレンスルフィド繊維基材からなる繊維強化樹脂シートのみを用いた場合には、
特に、切削加工性に優れた被研磨物保持材となる。更に、被研磨物保持材中の金属元素含有量が少ない。
一方、中間層に、他の繊維基材からなる繊維強化樹脂シートを用いた場合には、被研磨物保持材の機械強度が優れるため、耐久性が向上する。
中でも、全芳香族ポリエステル繊維からなる繊維基材を用いると、被研磨物保持材の機械強度が優れ、金属元素含有量が少ない点で好ましい。
また、ポリフェニレンスルフィド繊維基材からなる繊維強化樹脂シートと他の繊維強化樹脂シートとを交互に積層するなどしてもよい。
また、本発明において、被研磨物保持材中、繊維基材は40〜80質量%であることが好ましく、60〜75質量%であることが更に好ましい。
繊維基材が40質量%未満では、熱硬化性樹脂が多くなり、機械強度が不十分になる傾向にある。一方、繊維基材が80質量%を超えると、熱硬化性樹脂が少なくなり、成形が難しくなる傾向にある。
また、ポリフェニレンスルフィド繊維基材からなる繊維強化樹脂シートと他の繊維基材からなる繊維強化樹脂シートとを組合せる場合には、繊維基材中におけるポリフェニレンスルフィド繊維基材が15質量%以上であることが好ましい。
繊維基材中、ポリフェニレンスルフィド繊維基材が上記範囲内であれば、切削加工性に優れ、反りが起こらず、厚み精度良く、金属元素含有量が少ない被研磨物保持材とすることができる。
本発明で用いるポリフェニレンスルフィド繊維は、主たる繰り返し単位としてフェニレンスルフィド単位を有する高分子(ポリマー)からなる。
フェニレンスルフィド単位としては、p−フェニレンスルフィド単位やm−フェニレンスルフィド単位などが挙げられる。ポリフェニレンスルフィドは、p−フェニレンスルフィド単位やm−フェニレンスルフィド単位等からなるホモポリマーであってもよいし、これらを有する共重合体であってもよいが、耐熱性、加工性、経済的観点から言ってもp−フェニレンスルフィドの繰り返し単位が最も好ましい。
ポリフェニレンスルフィドのポリマータイプには、架橋タイプ、半架橋タイプ、線状(リニアー型)があるが、紡糸、延伸性においてリニアー型が最も優れているためリニアー型を用いるのが好ましい。
また、本発明の目的を阻害しない範囲で、ポリフェニレンスルフィドには、着色剤等の各種添加剤を少量含有させても良い。
ポリフェニレンスルフィド繊維は、繰り返し単位としてp−フェニレンスルフィド単位やm−フェニレンスルフィド単位等のフェニレンスルフィド単位を有する市販されているペレット状のポリフェニレンスルフィドを溶融紡糸して製造される。
得られた未延伸糸は、一旦巻き取った後、延撚機で延伸処理を実施する。延伸倍率は2.3倍〜4.0倍が好ましい。
また、上記では未延伸糸を一旦巻き取った後、延伸する方法を記載したが、未延伸糸を一旦巻き取ることなく延伸する直接紡糸延伸法を採用してもよい。
また、ポリフェニレンスルフィド繊維の強度は3.0cN/dtex以上、伸度は30%以上が好ましい。
特に、ポリフェニレンスルフィド繊維の表面に付着している油脂分はポリエーテル系成分のみであることが好ましい。通常の合成繊維の紡糸時に付与される油脂分には乳化剤、平滑剤、活性剤等を含む複数の成分から構成したものが一般的に用いられるが、このような複数の成分から構成される油脂分では、物性が不安定となる傾向にある。
ポリエーテル系成分は、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールのような単成分ポリエーテルでもよいが、これらのポリエーテルが2つ以上共重合した共重合ポリエーテルを用いることがより好ましい。共重合ポリエーテルとして、例えば、アルキルPO/EOなどが挙げられる。なお、平滑成分であるポリエーテル系成分は繊維表面に油膜を形成するが、共重合ポリエーテルを用いることで油膜はより強固になり、巻取り中に生じる巻き締りによるパッケージ内層の繊維へのダメージを軽減することで物性バラつきが抑えられる他に、強固な油膜のため各種ガイドでの擦過で油膜が剥がれにくくなり、繊維の摩擦係数が小さくなり高次工程通過性が良好になると考えられる。
一般にポリエーテル系成分には、エーテル成分にエステルを添加したポリエーテルエステルが用いられることもあるが、本発明においては、エステル等を添加せずにポリエーテル系のみで構成される油脂分であることが好ましい。
上記ポリエーテル系成分の平均分子量は2000〜13000が好ましく、より好ましくは3000〜10000である。平均分子量2000以上で繊維表面に強固な油膜を形成することが出来、平均分子量が13000以下であれば、油脂分の粘度は増加することにより摩擦係数は高くなるが、高次工程通過性に影響を及ぼさない傾向があるためである。
本発明でいう、平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)で測定される数平均分子量である。
本発明において、ポリエーテル系成分を繊維表面に付着させる方法としては、付着させる際に、ポリエーテル系成分からなる油脂分を全量に対して1〜10質量%水に分散させた水系エマルションとして用いるのが好ましく、1〜8質量%の水系エマルションが更に好ましい。このエマルション濃度が10質量%を超える高濃度の水系エマルションを用いると所定の油脂分を付着させたときに物性が安定しなくなることがあるため、このような低濃度の水系エマルションが好ましい。
ポリフェニレンスルフィド繊維の表面に付着している油脂分量は、0.4〜1.5質量%が好ましい。すなわち、油脂分による強固な油膜を繊維表面上に十分に形成させるには0.4質量%以上が好ましい。また付着している油脂分量が多いと、ポリフェニレンスルフィド繊維表面に付着しきれない油脂分が紡糸時の各ローラーに付着し、安定製造の妨げとなる傾向がある点から、上記油脂分量は1.5質量%以下が好ましい。より好ましくは0.6〜1.3質量%である。
また、本発明で用いるポリフェニレンスルフィド繊維基材は、織物、不織布又は一方向に引き揃えられた長繊維集合体もしくは短繊維集合体であることが好ましい。
また、ポリフェニレンスルフィド繊維基材の厚みは30〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることが好ましい。
30μm未満では、積層枚数が多くなりすぎて、生産性が悪くなる傾向にある。一方、500μmを超えると、厚み精度が悪くなる傾向にある。
中でも、総繊度10〜600dtexの平織物が好ましく、総繊度が600dtexを超えると、織物が厚くなり厚み精度に欠ける傾向にある。また、10dtex未満であれば、積層枚数が増え、生産性及びコスト面で問題となるおそれがある。例えば、110dtexであれば、目付80〜100g/m、厚み120〜160μm程度であることが好ましく、220dtexであれば、目付100〜130g/m、厚み160〜200μm程度であることが好ましい。
また、本発明で用いる全芳香族ポリエステル繊維は、全芳香族ポリエステル系ポリマーから形成される。
全芳香族ポリエステル系ポリマーは、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸やこれらの誘導体からなるもので、場合により、これらと、脂環族ジカルボン酸、脂環族ジオール、脂肪族ジオールやこれらの誘導体との共重合体も含まれる。ここで芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニル、2,6−ジカルボキシナフタレン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン等や、これらのアルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲン基の核置換体が挙げられる。芳香族ジオールとしては、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン等やこれらのアルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲン基の核置換体が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸、1−ヒドロキシナフタレン−5−カルボン酸等やこれらのアルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲン基の核置換体が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、トランス−1,4−ジカルボキシシクロヘキサン、シス−1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等やこれらのアルキル、アリール、ハロゲン基の核置換体が挙げられる。脂環族及び脂肪族ジオールとしては、トランス−1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、シス−1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、キシリレンジオール等が挙げられる。
これらの組み合わせの中で、本発明において好ましい全芳香族ポリエステル系ポリマーとしては、例えば、(a)p−ヒドロキシ安息香酸残基40〜70モル%と上記芳香族ジカルボン酸残基15〜30モル%と芳香族ジオール残基15〜30モル%からなるコポリエステル、(b)テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とクロルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、及び/又はハイドロキノンからなるコポリエステル、(c)p−ヒドロキシ安息香酸残基20〜80モル%と2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸残基20〜80モル%からなるコポリエステル等が挙げられる。
上記出発原料を用い、本発明で用いる全芳香族ポリエステル系ポリマーを得るには、そのままで、あるいは脂肪族又は芳香族モノカルボン酸又はそれらの誘導体、脂肪族アルコール又はフェノール類又はそれらの誘導体等によるエステル化により、重縮合反応を行う。重縮合反応としては、既知の塊状重合、溶液重合、懸濁重合等を採用することができ、得られたポリマーはそのままで、あるいは粉体状で不活性気体中、又は減圧下に熱処理して紡糸用試料とする。あるいは、一度押出機により造粒して用いてもよい。
全芳香族ポリエステル系ポリマーには、本発明の目的を阻害しない範囲で、他のポリマーあるいは添加剤を含有させてもよい。
本発明で用いる全芳香族ポリエステル系ポリマーには、紡糸に適した分子量範囲が存在する。この溶融紡糸条件に適する分子量に対応する物性値として「流動開始温度」を用いる。「流動開始温度」は、島津製作所製のフローテスターCFT−500を用い、径1mm、長さ10mmのノズルで、圧力100kg/cmの状態で、芳香族ポリエステル試料を4℃/分で昇温し、試料がノズルを通って流動し、かつ4,800パスカル秒の見かけ粘度を与える温度で定義される。
本発明において、溶融紡糸に適した芳香族ポリエステルの「流動開始温度」は、305〜325℃が好適である。
本発明における芳香族ポリエステル繊維の総繊度は10〜1000dtexが好ましく、50〜500dtexがより好ましい。
また、本発明における芳香族ポリエステル繊維の単糸繊度は10dtex以下が好ましく、5dtex以下がより好ましい。また、フィラメント数の範囲は3〜1000が好ましく、10〜800がより好ましい。
本発明における全芳香族ポリエステル繊維の強度は、10.0cN/dtex以上が好ましく、12.0cN/dtex以上がより好ましく、20.0cN/dtex以上が更に好ましい。
また、伸度は、5.0%以下が好ましく、3.5%以下がより好ましい。
更に、弾性率は、400cN/dtex以上が好ましく、500cN/dtex以上がより好ましい。
本発明に用いる全芳香族ポリエステル繊維の製造は、公知の溶融押出方法により行えばよい。
全芳香族ポリエステル繊維等の他の繊維基材は、織物、不織布又は一方向に引き揃えられた長繊維集合体もしくは短繊維集合体のいずれの形態も用いることができるが、本発明の主旨から、織物であることが好ましい。
織物の仕様は特に限定しないが、目付30〜300g/mの平織りであるものが好ましく、更に50〜200g/mであることがより好ましい。
また、本発明において、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、環状オレフィン系重合体樹脂から選択されることが好ましい。特にエポキシ樹脂が好ましい。
また、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を複合してもよい。あるいは樹脂中に、本発明の目的を阻害しない範囲で、着色剤など各種添加剤を含有させても良い。
また、本発明においては、被研磨物保持材中のチタン、マグネシウム、アルミニウム又はケイ素の金属元素含有量が各々20ppm以下であることが好ましいく、10ppm以下であることがより好ましい。
上記金属元素が各々20ppmを超えると、被研磨物を汚染し、製品歩留りを低下させる傾向にある。
繊維基材として、ポリフェニレンスルフィド繊維基材を単独で、又は、全芳香族ポリエステル繊維基材との組合せで用いることにより、上記金属元素含有量を少なくすることができる。
本発明に係る繊維強化樹脂シートは、例えば、以下の方法により製造すればよい。すなわち、各繊維基材に、樹脂を含浸させ、乾燥させることにより、繊維強化樹脂シートを調製する。
具体的には、熱硬化性樹脂を用いる場合、熱硬化性樹脂を溶剤に溶解した樹脂組成物を調製し、それを前記繊維基材に塗布後、バーコーターやクリアランスロールなどを用いて余分な樹脂組成物を掻き取ることにより、繊維強化樹脂シートを調製することができる。
次に、被研磨物保持材の成形は、例えば、次のようにして行う。すなわち、外層が、ポリフェニレンスルフィド繊維基材を用いた繊維強化樹脂シートとなるように、繊維強化樹脂シートを複数枚積層し、これらを接合することにより積層板とする。
複数枚の繊維強化樹脂シートを積層した後、これらを接合する方法としては、オートクレーブ成形法、圧縮成形法など公知の成形方法を採用することができ、目的とする形状や、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の使用する樹脂の種類に応じて最適な成形方法を適用すれば良い。特に、オートクレーブ成形法と圧縮成形法が好ましく、繊維表面に付着した接着剤成分との化学結合を促進させ、前記繊維基材と樹脂との接着性向上をより効果的に発現させることができる。
得られた積層板を、平面研磨機の歯車と噛み合う駆動用ギアを外周に形成した円板状等の所望の形状に切削し、シリコンウエハなどの被研磨物を保持するための孔を1個から複数個形成することによって、本発明の被研磨物保持材が得られる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
実施例及び比較例で作製した積層板又は被研磨物保持材の特性は、以下の方法により評価した。
1)厚み精度
積層体を1000mm×1000mmに成形し、周縁部8箇所と中央部1箇所の計9点をマイクロメーターで測定し、最大値と最小値の差で評価した。
2)反り量
積層体を1000mm×1000mmに成形し、水平板上に平置きしたときの端部の浮き上がり量の最大値で評価した。
3)金属含有量
繊維基材を白金るつぼ中で炭化後、電気炉で灰化させ炭酸ナトリウム(NaCO)にてアルカリ融解させたものを超純水で定容し測定試料とした。ICP発光分光分析装置
(AMETEK社製、CIROS CCD)を用い、各金属元素の含有量を測定した。
4)研磨試験
1000mm×1000mmに成形した積層板を、直径11インチの円盤状に加工すると共にその外周に複数枚の歯を形成し、更に直径3.5インチの保持孔を4個貫通加工して被研磨物保持材を作成した。ついで、この被研磨物保持材の保持孔に、被研磨物として直径3.5インチのアルミニウムハードディスクを嵌め込んだ状態で研磨装置に装着し、研磨装置を稼働させて研磨を行った。研磨を100回繰り返し、計2000枚の被研磨物の研磨を行った。
5)スクラッチ不良
研磨試験後の被研磨物の表面状態を観察し、スクラッチの発生有無を調べ、不良率を求めた。
6)使用寿命
研磨試験時の被研磨物保持材の摩耗の程度で評価した。すなわち、使用可能な摩耗程度における使用可能なバッチ数を調べ、下記比較例3における使用可能なバッチ数を100としたときの指数で表した。
7)切削加工性
被研磨物保持材作成の際、外周の歯部及び保持孔の切削加工時の生産性を相対的に判定し、加工性が良かったものから、◎、〇、△、×と評価した。
また、各繊維基材及び樹脂ワニスとして、以下のものを使用した。
1)基材1:ポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維織布(PPS繊維(KBセーレン社製、商品名:Gradio、繊度110dtex/24f)、目付95g/m、厚さ150μmの平織織布)
2)基材2:PPS繊維織布(KBセーレン社製、商品名:Gradio、繊度33dtex/12f、目付35g/m、厚さ60μmの平織り織布)
3)基材3:全芳香族ポリエステル(LCP)繊維織布(LCP繊維(KBセーレン社製、商品名:Zxion、220dtex/48f)、目付60g/m、厚さ150μmの平織織布)
4)基材4:全芳香族ポリエステル(LCP)繊維不織布(LCP繊維(KBセーレン社製、商品名:Zxion、2.3dtex×5mm)、目付60g/m、厚さ300μmの湿式不織布)
5)基材5:アラミド繊維織布(アラミド繊維(東レ・デュポン社製、商品名:Kevler29、220dtex/133f)、目付60g/m、厚さ150μmの平織織布)
6)基材6:ガラス繊維織布(ガラス繊維(旭シュエ―ベル社製、商品名:A2116/AS450)、目付209g/m、厚さ180μmの平織織布)
7)樹脂ワニス:硬化剤としてジシアンジアミド、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾールを配合したビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニス
(実施例1)
基材1に、樹脂ワニスを塗布し、含浸後、乾燥により半硬化を行い、プリプレグAを得た。
得られたプリプレグAを8枚積層し、2枚の鏡面板に挟み、昇温速度2.0℃/分、硬化温度175℃×60分、圧力3.0MPaで加熱加圧成形を行い、積層板1を得た。
参考例1
基材3に、樹脂ワニスを塗布し、含浸後、乾燥により半硬化を行い、プリプレグBを得た。
両外層にプリプレグAを3枚ずつ、中間層にプリプレグBを2枚、計8枚のプリプレグを2枚の鏡面板の間に挟み、昇温速度2.0℃/分、硬化温度175℃×60分、圧力3.0MPaで加熱加圧成形を行い、積層板2を得た。
参考例2
基材4に、樹脂ワニスを塗布し、含浸後、乾燥により半硬化を行い、プリプレグCを得た。
両外層にプリプレグAを3枚ずつ、中間層にプリプレグCを1枚、計7枚のプリプレグを2枚の鏡面板の間に挟み、昇温速度2.0℃/分、硬化温度175℃×60分、圧力3.0MPaで加熱加圧成形を行い、積層板3を得た。
参考例3
基材5に、樹脂ワニスを塗布し、含浸後、乾燥により半硬化を行い、プリプレグDを得た。
両外層にプリプレグAを3枚ずつ、中間層にプリプレグDを2枚、計8枚のプリプレグを2枚の鏡面板の間に挟み、昇温速度2.0℃/分、硬化温度175℃×60分、圧力3.0MPaで加熱加圧成形を行い、積層板4を得た。
参考例4
基材2に、樹脂ワニスを塗布し、含浸後、乾燥により半硬化を行い、プリプレグEを得た。
両外層にプリプレグEを1枚ずつ、中間層にプリプレグBを7枚、計9枚のプリプレグを2枚の鏡面板の間に挟み、昇温速度2.0℃/分、硬化温度175℃×60分、圧力3.0MPaで加熱加圧成形を行い、積層板5を得た。
(比較例1)
プリプレグBを8枚積層し、2枚の鏡面板の間に挟み、昇温速度2.0℃/分、硬化温度175℃×60分、圧力3.0MPaで加熱加圧成形を行い、積層板6を得た。
(比較例2)
プリプレグCを8枚積層し、2枚の鏡面板の間に挟み、昇温速度2.0℃/分、硬化温度175℃×60分、圧力3.0MPaで加熱加圧成形を行い、積層板7を得た。
(比較例3)
前記基材6に前記樹脂ワニスを塗布し、含浸後、乾燥により半硬化を行い、樹脂分が重量比率35%のプリプレグFを得た。
プリプレグFを6枚積層し、2枚の鏡面板の間に挟み、昇温速度2.0℃/分、硬化温度175℃×60分、圧力3.0MPaで加熱加圧成形を行い、積層板8を得た。
これらの積層板について、物性及び評価結果を表1に併せて示す。

Claims (7)

  1. 繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸してなる繊維強化樹脂シートを複数枚積層してなる被研磨物保持材であって、全ての繊維強化樹脂シートが、ポリフェニレンスルフィド繊維基材を用いた繊維強化樹脂シートであることを特徴とする被研磨物保持材。
  2. 被研磨物保持材中、繊維基材が40〜80質量%であることを特徴とする請求項に記載の被研磨物保持材。
  3. チタン、マグネシウム、アルミニウム又はケイ素の含有量が各々20ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の被研磨物保持材。
  4. 繊維基材が、織物、不織布又は一方向に引き揃えられた長繊維集合体もしくは短繊維集合体であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の被研磨物保持材。
  5. 繊維基材が、総繊度10〜600dtexの平織物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の被研磨物保持材。
  6. 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、環状オレフィン系重合体樹脂の中から選択されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の被研磨物保持材。
  7. ポリフェニレンスルフィド繊維基材の厚みが30〜500μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の被研磨物保持材。
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