JP2009059481A - 平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタ - Google Patents

平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタ Download PDF

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Abstract

【課題】縦型コネクタに較べてコネクタ周りの低背化を実現し、平形柔軟ケーブルやコネクタに作用する応力を小さくする。横型コネクタに較べて部品レイアウトの効率化によるコンパクト化を実現し、平形柔軟ケーブルのコネクタへの組み付け作業性を良好にする。
【解決手段】平形柔軟ケーブル終端210がほぼ深さ方向に沿って挿入されることになる受入空間113を有するハウジング110と、平形柔軟ケーブルの導電部に接触することになる接触部132a及びハウジングの外側に配置されて実装先部材300に接続されることになる接続部133を有して上記ハウジングに設けられたコンタクト130とを備え、実装先部材に実装されたときに、受入空間の横方向が実装面310に対してほぼ平行になり、受入空間の深さ方向が、深くなるにつれて実装面に近づくように実装面に対して傾斜するように構成された平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタ110である。
【選択図】図1

Description

本発明は、プリント配線板などの実装先部材に実装されて平形柔軟ケーブルを接続する電気コネクタの技術分野に属する。
特許文献1は、上方に開口するハウジングと、上記開口を介してハウジングに遊嵌されたアクチュエータと、傾き保持機構とを備え、アクチュエータを傾けた状態で、フレキシブル基板を基板挿入口に挿入することができる縦型コネクタを開示している。この縦型コネクタを用いると、コネクタ自体やフレキシブル基板に作用する応力を軽減でき、フレキシブル基板をコネクタに接続するための組み付け作業効率を向上させることができる。
特開2005−5210号公報
この種の縦型コネクタは、プリント配線板などにその実装面に対してフレキシブル基板の挿入方向がほぼ直交するように実装される。上記縦型コネクタは、フレキシブル基板を基板挿入口に挿入するときに上述した作用及び効果を発揮するが、一旦フレキシブル基板が基板挿入口に組み付けられると、フレキシブル基板が縦型コネクタから上方へ延びるので、これを実装面と平行になるように曲げた場合、縦型コネクタから上方へ出てから側方へ曲がりきるまでの部分を収めるために縦型コネクタの上方に占有空間を確保しておく必要があり、縦型コネクタ周りの高さを低く抑えるという低背化を実現できない。また、このようにフレキシブル基板を曲げることでフレキシブル基板や縦型コネクタに過度な応力が作用する。
これに対し、プリント配線板などにその実装面に対してフレキシブル基板の挿入方向がほぼ平行となるように実装される横型コネクタは、横型コネクタの上方に占有空間を確保する必要がないので、低背化を実現することができる。しかも、フレキシブル基板が横型コネクタから実装面と平行に延びるので、フレキシブル基板が極端に曲がることがなく、フレキシブル基板や横型コネクタに過度な応力が作用することを避けることができる。しかし、実装面への投影面積が縦型コネクタよりも大きいこと、フレキシブル基板が横型コネクタの基板挿入口から実装面に沿って延びることから、実装面において横型コネクタ及びフレキシブル基板が占有する面積が縦型コネクタの場合よりも大きくなる。そのため、実装面において他の部品を実装することができない部分が縦型コネクタの場合よりも広くなり、部品レイアウトの効率化によるコンパクト化を実現することができない。しかも、基板挿入口が実装面に近接して開口し且つこの実装面に沿った方向に向くため、実装先部材が邪魔してフレキシブル基板を組み付ける作業が縦型コネクタの場合よりも困難である。
また、この種のコネクタに、実装先部材への接続強度を上げるために、コネクタのハウジングに組み付けられて実装先部材にハンダ付けされる補強タブを設けることがある。しかし、補強タブを設けると、その分だけ実装面を占有する面積が大きくなり、コネクタ周りのコンパクト化が損なわれる。
本発明は、このような点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、フレキシブル基板又はその他の平形柔軟ケーブルを受け入れる方向を実装面に対して傾斜させることにより、上記諸課題を解決できる傾斜コネクタを提供することにある。
本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタは、互いに直交する縦方向、横方向及び深さ方向に沿った寸法をもって広がり、平形柔軟ケーブル終端が、終端の厚さ方向が上記縦方向に一致し且つ終端の幅方向が上記横方向に一致するようにほぼ深さ方向に沿って挿入されることになる受入空間を有するハウジングと、上記受入空間に配置されて上記平形柔軟ケーブルにおける厚さ方向の少なくとも一方側に露出する導電部に接触することになる接触部と、上記ハウジングの外側に配置されて実装先部材に接続されることになる接続部とを有して上記ハウジングに設けられたコンタクトとを備え、実装先部材に実装されたときに、受入空間の横方向が実装先部材の実装面に対してほぼ平行になり、受入空間の深さ方向が、深くなるにつれて実装先部材の実装面に近づくように実装面に対して傾斜するように構成されている。
この傾斜コネクタを実装先部材に実装し、平形柔軟ケーブルの終端を受入空間に挿入すると、平形柔軟ケーブルの導体がコンタクト接触部に接触し、この導体が実装先部材の導体等に導通する。
その場合、実装面から離れる方向を高さ方向とすると、平形柔軟ケーブルが受入空間から実装面に対して傾斜した方向に延びるので、これを実装面と平行になるように曲げた場合、平形柔軟ケーブルが傾斜コネクタから出て実装面と平行な方向へ曲がりきるまでの高さが、受入空間の長さがほぼ同じであれば、縦型コネクタの場合よりも短くなり、この部分を収めるために確保すべき占有空間の高さが比較的低くなり、コネクタ周りの低背化が実現される。しかも、受入空間の長さがほぼ同じであれば、傾斜コネクタの高さは縦型コネクタよりも低くなるので、それによってもコネクタ周りの低背化が実現される。また、この平形柔軟ケーブルの曲がりが縦型コネクタの場合よりも緩やかになるので、平形柔軟ケーブルや傾斜コネクタに作用する応力が縦型コネクタの場合よりも小さくなる。
また、受入空間の長さがほぼ同じであれば実装面への投影面積が横型コネクタよりも小さいこと、受入空間の開口の実装面からの高さが横型コネクタよりも高く且つこの開口から平形柔軟ケーブルが傾斜して延びることから、実装面において傾斜コネクタ及び平形柔軟ケーブルが占有する面積が横型コネクタの場合よりも小さくなる。そのため、実装面において他の部品を実装することができない部分が横型コネクタの場合よりも小さくなり、部品レイアウトの効率化によるコンパクト化が実現される。さらに、傾斜コネクタにおけるハウジングと実装面との間に他の部品が収容される空間を設けることも可能であるので、そうしたときは、さらに部品レイアウトの効率化によるコンパクト化が実現される。また、受入空間が実装面に対して傾斜しているので、平形柔軟ケーブルの受入空間への挿入が実装先部材によって邪魔されることがなく、平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタへの組み付け作業性がよい。
本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタは、実装先部材に接続されることになる補強タブが、ハウジングの実装面側に設けられていてもよい。
このようにすれば、ハウジングの実装面側にある空間を生かして補強タブが配置されるので、補強タブによって傾斜コネクタの実装面への投影面が拡大することがない。そのため、実装面において傾斜コネクタが占有する面積が一層小さくなり、コネクタ周りのコンパクト化が実現される。
本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタは、実装面に対してほぼ平行になる被吸着面を有する支持部が、ハウジングの実装面側と反対の側に設けられていてもよい。
このようにすれば、実装作業などにおいて吸着手段を備えた搬送装置により傾斜コネクタを搬送するときに、吸着手段の吸着面がほぼ水平に保たれたまま支持部の被吸着面に吸着し、搬送装置により傾斜コネクタが被吸着面をほぼ水平にしたままで実装面へと安定的に搬送される。
本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタを用いると、縦型コネクタに較べてコネクタ周りの低背化を実現することができると共に平形柔軟ケーブルや傾斜コネクタに作用する応力を小さくすることができる。また、横型コネクタに較べて部品レイアウトの効率化によるコンパクト化を実現することができると共に平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタへの組み付け作業性が良好である。
補強タブをハウジングの実装面側に設けたときには、実装面において傾斜コネクタが占有する面積が一層小さくなり、コネクタ周りのコンパクト化を実現することができる。
実装面に対してほぼ平行になる被吸着面を有する支持部を、ハウジングの実装面側と反対の側に設けたときには、吸着手段を備えた搬送装置により傾斜コネクタを被吸着面がほぼ水平になったままで実装面へ安定的に搬送することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図4に、本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタの第1実施形態を示す。この傾斜コネクタ100は実装先部材300に、その表面である実装面310にハンダ付けされることにより実装される。そして傾斜コネクタ100に平形柔軟ケーブル200が接続される。極数は単極であってもよいし、二極以上であってもよい。この実施形態では実装先部材300はプリント配線板であるが、この実装先部材には製品の筐体などの部材も含まれている。また、この実施形態では傾斜コネクタ100は実装先部材300に表面実装されるが、ディップ又はその他の実装形態をとる傾斜コネクタにも本発明を適用することができる。この傾斜コネクタ100は、スライダ120が仮止めされたハウジング110に平形柔軟ケーブル200の終端210を挿入し、スライダ120を押し込むとコンタクト接触部132aの平形柔軟ケーブル終端210の導体への接触力を高めて平形柔軟ケーブル200を接続する、いわゆるZIF(ゼロ・インサーション・フォース)タイプであり、平形柔軟ケーブル終端210を挿入するときの挿入力が少なくて済むという利点がある。
この実施形態の平形柔軟ケーブル200はFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)である。この平形柔軟ケーブル200は、平形の絶縁被覆と、この絶縁被覆のなかに設けられた複数の導体とを備えている。導体は間隔をあけて並べられている。絶縁被覆は柔軟性を有した面状の絶縁体であり、この絶縁被覆の中間層の部分に導体が挟まれている。そして、終端210では、平形柔軟ケーブル200における厚さ方向の一方側で絶縁被覆が剥かれて導電部が露出している。厚さ方向の両側で絶縁被覆が剥かれて導電部が露出していることもある。終端210には補強シートを貼っているが、そうしなくてもよい。この実施形態で示した平形柔軟ケーブル200により本発明が接続対象とする平形柔軟ケーブルが限定解釈されるものではない。本発明が接続対象とする平形柔軟ケーブルには、導体を絶縁被覆の片面側に設けたFFCが含まれ、またFPC(フレキシブル・プリンテッド・サーキット)が含まれる。
この傾斜コネクタ100は、平形柔軟ケーブル200の終端210が挿入されることになる受入空間113が設けられた絶縁性のハウジング110と、このハウジング110に設けられた導電性のコンタクト130とを備えている。このハウジング110は、ほぼ横方向に向いて対向する二枚の縦壁111と、この横方向とほぼ直交する縦方向に向いて対向し且つ二枚の縦壁111を連結するように設けられた二枚の横壁112とを備えており、これらの四枚の壁の内側に、縦方向、横方向及びこれらの二方向に直交する深さ方向に沿った寸法をもって広がり、深さ方向の一方に開口するほぼ角柱形の受入空間113が形成されており、この開口から平形柔軟ケーブル終端210が挿入される。この受入空間113には、平形柔軟ケーブル200の終端210が、終端210の厚さ方向が上記縦方向に一致し且つ終端210の幅方向が上記横方向に一致するようにほぼ深さ方向に沿って挿入されることになる。ハウジング110の二枚の横壁112のうち実装面側の横壁112の外側には、実装面310に載置されてハウジング110を支える基部116が設けられている。実装面側とは、傾斜コネクタ100が実装先部材300に実装されたときに実装面310に近い側のことである。傾斜コネクタ100が実装先部材300に実装されたときの実装面310から離れる方向を高さ方向とすると、図1ないし図4に示すように、この基部116は、横方向に所定の厚さをもって高さ方向に延びる壁状に形成されている。この実施形態では、基部116は、横方向に向いた二つの縦端面と、横方向及び高さ方向にほぼ直交して深さ方向の浅い側に面する正面側端面と、基部116の実装面310に対向する底面116aとを有して実装面側の横壁112から突出するほぼ三角柱形に形成されているが、他の形状であってもよい。また、この基部116の実装面310への投影面が、ハウジング110の他の部分の実装面310への投影面にほぼ含まれるように設定しているが、基部の実装面への投影面がハウジングの他の部分の実装面への投影面から出ていてもよい。また、この基部116は、ハウジング110の横方向両端に寄せて設けられており、これによって実装面側の横壁112と実装面310との間に、実装面310に実装される他の部品などを収容可能な空間117が形成されている。しかし、この実施形態によって基部の数、配置が限定解釈されることはない。また、本発明は、基部を設けない実施形態を含んでいる。また、ハウジング110の実装面310から遠くなる方の横壁112の外側には支持部118が設けられている。この実施形態では、支持部118は、横方向に向いた二つの縦端面と、横方向及び高さ方向にほぼ直交して深さ方向の深い側に面する背面側端面と、実装面310とほぼ同じ方向に向いた端面とを有して実装面310から遠くなる方の横壁112から突出するほぼ三角柱形に形成されているが、他の形状であってもよい。この支持部118の実装面310とほぼ同じ方向に向いた端面は、実装面310にほぼ平行に形成されており、この端面が被吸着面118aになっている。
コンタクト130は、ハウジング110に設けられた本体131と、この本体131から受入空間113のなかをその開口へ向かって延びる接触片132と、この本体131から深さ方向の深い方へ延びてハウジング110の外側に配置され、実装先部材300に接続されることになる接続部133とを備えている。接触片132の先端付近には、平形柔軟ケーブル200の導電部に接触することになる接触部132aが縦方向へ突出して設けられている。接触片132は縦方向に沿って弾性変形し、これに応じて接触部132aが縦方向に変位するようになっている。134は、本体131から受入空間113のなかを接触片132とほぼ平行に延びる支持片であり、必要に応じて設けられる。平形柔軟ケーブルにおける厚さ方向の両側に導電部が露出するときは、支持片にも接触部を設けてもよい。この実施形態では、ハウジング110において深さ方向に沿って受入空間113の開口がある側と反対側にある底壁に貫通孔が設けられ、この貫通孔にコンタクト130の本体131が圧入されているが、コンタクトのハウジングへの取り付け構造は他の構造であってもよい。
さらに、ハウジング110には、アウターロックタイプの絶縁性のスライダ120が設けられている。このスライダ120は、ハウジング110の受入空間113の開口に対応した開口を有する本体121と、ハウジング110の横壁112とほぼ平行な板状の部材であって本体121から深さ方向に延びる押圧片122と、本体121の横方向の両端から深さ方向に延びて横方向内側に爪123aを有する一対のアーム123とを備えている。横方向内側とは、スライダ120の横方向の中央部に近い側である。一方、ハウジング110の縦壁111の外側には横方向外方に向けて開放され且つ深さ方向に延びる溝114が設けられている。横方向外方とは、スライダ120の横方向の中央部から遠い方である。溝114における深さ方向の浅い側の部分には、溝114の底面から横方向外方へストッパ115が突き出ている。そして、図5に示すように、スライダ120は、本体121を縦壁111及び横壁112の開口側の端縁に対向させてアーム123を溝114に嵌めることで、ハウジング110に組み付けられている。そして、図5に示すように、爪123aがストッパ115に掛かることでスライダ120がハウジング110から脱落することが防止されるようになっている。この状態からスライダ120の本体121を深さ方向に押し込むと、アーム123が溝114に沿って深さ方向に沿ってスライドし、図7に示すように、押圧片122が受入空間113において接触片132と支持片134との間を奥へ入っていく。したがって、図6に示すように、平形柔軟ケーブル200の終端210を、スライダ120の押圧片122と接触片132との間から受入空間113の奥まで入れ、スライダ120の本体121を深さ方向に押し込むと、図7に示すように、押圧片122が支持片134と平形柔軟ケーブル200の終端210との間に割り込んで終端210を接触片132の接触部132aに向かって押し付け、接触片132の弾性変形によって接触部132aと終端210に露出する導体との間に所定の接触圧力を生じさせる。この実施形態の場合、コンタクト130を受入空間113に、接触片132の方が支持片134よりも実装面310に近くなるように設け、スライダ120の押圧片122を支持片134と平形柔軟ケーブル200の終端210との間に割り込むように設けた。しかし、コンタクト130を受入空間113に、支持片134の方が接触片132よりも実装面310に近くなるように設け、スライダ120の押圧片122を支持片134と平形柔軟ケーブル200の終端210との間に割り込むように設けてもよい。
そして、傾斜コネクタ100は、実装先部材300に実装されたときに、受入空間113の横方向が実装先部材300の実装面310に対してほぼ平行になるように構成されている。また、傾斜コネクタ100は、実装先部材300に実装されたときに、受入空間113の深さ方向が、深くなるにつれて実装先部材300の実装面310に近づくように実装面310に対して傾斜するように構成されている。傾斜コネクタ100を実装先部材300に実装する場合、傾斜コネクタ100を実装面310の上に置くと、コンタクト130の接続部133と、ハウジング基部116の底面116aと、後述する補強タブ140とが実装面310に接触する。これら複数の接触部によって決定される仮想的な基準面は、実装面310にほぼ一致する。ただし、コンタクト接続部133又は補強タブ140と実装面310との間に極めて薄いハンダ層が形成されたときは、その厚さだけ差が出るが、この差は殆ど無視できる。したがって、換言すると、傾斜コネクタ100は、受入空間113の横方向が、実装面に接触することになる部位により決定される基準面に対してほぼ平行になり、受入空間113の深さ方向が、深くなるにつれて上記基準面に近づくように上記基準面に対して傾斜するように構成されていることになる。この実施形態ではハウジング基部116というハウジング110の一部も実装面310に接触するが、ハウジングが実装面に接触しないときはコンタクトと補強タブによって基準面が決定されるし、補強タブが設けられないときはコンタクトによって基準面が決定される。また、この実施形態のように表面実装される傾斜コネクタではコンタクトの接続部の先端付近が実装面に接触し、この接触部によって基準面が形成されるが、ディップタイプの傾斜コネクタでは、実装面を貫通するコンタクトにおける実装面の高さにある部位によって基準面が形成されることになる。また、上記傾斜角度は、好ましくは30度ないし60度付近であり、より好ましくは45度付近であり、そうすれば使い易い。しかし、本発明の傾斜コネクタの傾斜角度はこれに限定解釈されることはなく、零度を超えて90度未満であればよい。
また、ハウジング110の実装面側には、実装先部材300に接続されることになる補強タブ140が設けられている。図4に示すように、この補強タブ140は、ハウジング110の基部116にその底面116aの側から圧入される本体141と、この本体141から側方へ延びて基部116から横方向外側に出た接続部142とを備えている。接続部142は、その実装面310への投影面が、受入空間113に押し込まれたときのスライダ120又はハウジング110の実装面310への投影面に含まれている。しかし、補強タブにおける接続部又はその他の部分の実装面への投影面が、受入空間に押し込まれたときのスライダ又はハウジングの実装面への投影面から出ていてもよい。
従って、この傾斜コネクタ100を実装先部材300に実装し、平形柔軟ケーブル200の終端210を受入空間113に挿入し、スライダ120を押し込むと、平形柔軟ケーブル200の導体がコンタクト接触部132aに接触し、この導体が実装先部材300の導体等に導通する。
比較例として図20に示したのは、実装先部材300にその実装面310に対して平形柔軟ケーブル200の挿入方向がほぼ直交するように実装された縦型コネクタ400である。この縦型コネクタ400の場合、平形柔軟ケーブル200が縦型コネクタ400から高さ方向へ延びるので、これを実装面310と平行になるように曲げた場合、縦型コネクタ400から高さ方向へ出てから側方へ曲がりきるまでの部分を収めるために縦型コネクタ400よりも高い側に相当高い占有空間を確保しておく必要があり、コネクタ周りの高さを低く抑えるという低背化を実現できない。また、このように平形柔軟ケーブル200を曲げることで平形柔軟ケーブル200や縦型コネクタ400に相当大きな応力が作用する。これに対し、第1実施形態の傾斜コネクタ100の場合、平形柔軟ケーブル200が受入空間113から実装面310に対して傾斜した方向に延びるので、図8に示すように、これを実装面310と平行になるように曲げた場合、平形柔軟ケーブル200が傾斜コネクタ100から出て実装面310と平行な方向へ曲がりきるまでの高さが、受入空間の長さがほぼ同じであれば、図20に示した縦型コネクタ400の場合よりも短くなり、この部分を収めるために確保すべき占有空間の高さが比較的低くなり、コネクタ周りの低背化が実現される。しかも、受入空間の長さがほぼ同じであれば、傾斜コネクタ100の高さは縦型コネクタ400よりも低くなるので、それによってもコネクタ周りの低背化が実現される。また、この平形柔軟ケーブル200の曲がりが縦型コネクタ400の場合よりも緩やかになるので、平形柔軟ケーブル200や傾斜コネクタ100に作用する応力が縦型コネクタ400の場合よりも小さくなる。
比較例として図21に示したのは、実装先部材300にその実装面310に対して平形柔軟ケーブル200の挿入方向がほぼ平行となるように実装された横型コネクタ500である。この横型コネクタ500の場合、実装面310への投影面積が縦型コネクタ400よりも大きいこと、平形柔軟ケーブル200が横型コネクタ500の開口から実装面310に沿って延びることから、実装面310において横型コネクタ500及び平形柔軟ケーブル200が占有する面積が縦型コネクタ400の場合よりも大きくなる。そのため、実装面310において他の部品を実装することができない部分が縦型コネクタ400の場合よりも広くなり、部品レイアウトの効率化によるコンパクト化を実現することができない。しかも、基板挿入口が実装面310に近接して開口し且つこの実装面310に沿った方向に向くため、実装先部材が邪魔して平形柔軟ケーブル200を組み付ける作業が縦型コネクタの場合よりも困難である。これに対し、第1実施形態の傾斜コネクタ100の場合、受入空間の長さがほぼ同じであれば実装面310への投影面積が図21に示した横型コネクタ500よりも小さいこと、受入空間113の開口の実装面310からの高さが横型コネクタ500よりも高く且つこの開口から平形柔軟ケーブル200が傾斜して延びることから、実装面310において傾斜コネクタ100及び平形柔軟ケーブル200が占有する面積が横型コネクタ500の場合よりも小さくなる。そのため、実装面310において他の部品を実装することができない部分が横型コネクタ500の場合よりも小さくなり、部品レイアウトの効率化によるコンパクト化が実現される。さらに、傾斜コネクタ100における受入空間113と実装面310との間に他の部品が収容される空間117を設けることも可能であるので、そうしたときは、さらに部品レイアウトの効率化によるコンパクト化が実現される。また、受入空間113が実装面310に対して傾斜しているので、平形柔軟ケーブル200の受入空間113への挿入が実装先部材300によって邪魔されることがなく、平形柔軟ケーブル200の傾斜コネクタ100への組み付け作業性が横型コネクタ500の場合よりもよい。
本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタには補強タブを設けなくてもよい。しかし、第1実施形態では、実装先部材300に接続されることになる補強タブ140を、ハウジング110の実装面側に設けた。このようにすれば、受入空間113の実装面側にある空間を生かして補強タブ140が配置されるので、補強タブ140によって傾斜コネクタ100の実装面310への投影面が拡大することがない。そのため、実装面310において傾斜コネクタ100が占有する面積が一層小さくなり、コネクタ周りのコンパクト化が実現される。
本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタには支持部を設けなくてもよい。しかし、第1実施形態では、実装面310に対してほぼ平行になる被吸着面118aを有する支持部118を、ハウジング110の実装面310から遠くなる方の横壁112に設けた。このようにすれば、実装作業などにおいて吸着手段を備えた搬送装置により傾斜コネクタ100を搬送するときに、吸着手段の吸着面がほぼ水平に保たれたまま支持部118の被吸着面118aに吸着し、搬送装置により傾斜コネクタ100が被吸着面118aをほぼ水平にしたままで実装面310へと安定的に搬送される。
図9ないし図11は本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタの第2実施形態を示す。第1実施形態の傾斜コネクタ100のスライダ120はアウターロックタイプであったが、第2実施形態の傾斜コネクタ100のスライダ120はインナーロックタイプである。すなわち、このスライダ120は、ハウジング110の受入空間113の開口に対応した開口を有する本体121と、ハウジング110の横壁112とほぼ平行な板状の部材であって本体121から深さ方向に延びる押圧片122と、本体121の横方向の両端から深さ方向に延びて横方向外側に爪123aを有する一対のアーム123とを備えている。横方向外側とは、スライダ120の横方向の中央部から遠い側である。一方、ハウジング110の縦壁111の外側には横方向外方に向けて開放され且つ深さ方向に延びる溝114が設けられている。本体121にはストッパ115が設けられている。このストッパ115は、溝114における深さ方向の浅い側の部分の横方向外側に、溝114の底面と距離をあけて対向するように配置されており、ストッパ115の縦方向両端が本体121に接続している。そして、スライダ120は、本体121を縦壁111及び横壁112の開口側の端縁に対向させてアーム123を溝114に嵌めることで、ハウジング110に組み付けられている。そして、爪123aがストッパ115に掛かることでスライダ120がハウジング110から脱落することが防止されるようになっている。この状態からスライダ120の本体121を深さ方向に押し込むと、アーム123が溝114に沿って深さ方向に沿ってスライドし、押圧片122が受入空間113において接触片132と支持片134との間を奥へ入っていく。したがって、図11に示すように、平形柔軟ケーブル200の終端210を、スライダ120の押圧片122と接触片132との間から受入空間113の奥まで入れ、スライダ120の本体121を深さ方向に押し込むと、押圧片122が支持片134と平形柔軟ケーブル200の終端210との間に割り込んで終端210を接触片132の接触部132aに向かって押し付け、接触片132の弾性変形によって接触部132aと終端210に露出する導体との間に所定の接触圧力を生じさせる。第2実施形態の場合、第1実施形態とは逆に、コンタクト130を受入空間113に、支持片134の方が接触片132よりも実装面310に近くなるように設け、スライダ120の押圧片122を支持片134と平形柔軟ケーブル200の終端210との間に割り込むように設けた。しかし、第1実施形態と同様に、コンタクト130を受入空間113に、接触片132の方が支持片134よりも実装面310に近くなるように設け、スライダ120の押圧片122を支持片134と平形柔軟ケーブル200の終端210との間に割り込むように設けてもよい。その他の構成、作用及び効果は第1実施形態の傾斜コネクタ100の場合と同様である。
図12ないし図15は本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタの第3実施形態を示す。第1実施形態及び第2実施形態の傾斜コネクタ100は、いずれもスライダ120を備えたZIFタイプであった。これに対し、第3実施形態の傾斜コネクタ100は、カバーハウジングを備えたZIFタイプである。すなわち、ハウジング110の横壁112からカバーハウジング112aを分割し、このカバーハウジング112aにより、ハウジング110の横壁112に開口した拡張開口112cを開け閉めできるようにしている。そして、この傾斜コネクタ100は、拡張開口112cが開いたハウジング110に平形柔軟ケーブル200の終端210を挿入し、カバーハウジング112aにより拡張開口112cを閉じるとコンタクト接触部132aの平形柔軟ケーブル終端210の導体への接触力を高めて平形柔軟ケーブル200を接続するようになっており、平形柔軟ケーブル終端210を挿入するときの挿入力が少なくて済むという利点がある。この第3実施形態の傾斜コネクタ100においても第1実施形態のときと同様に、極数は単極であってもよいし、二極以上であってもよい。また、この傾斜コネクタ100が実装される実装先部材300はプリント配線板であるが、実装先部材は製品の筐体などの部材又はその他の部材であってもよい。さらに、この傾斜コネクタ100は表面実装されるが、ディップ又はその他の形態で実装するようにすることもできる。第3実施形態で用いる平形柔軟ケーブル200も、平形の絶縁被覆と、この絶縁被覆のなかに設けられた複数の導体とを備えたFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)である。導体は間隔をあけて並べられ、絶縁被覆は柔軟性を有した面状の絶縁体であり、この絶縁被覆の中間層の部分に導体が挟まれている。終端210では厚さ方向の一方側で絶縁被覆が剥かれて導電部が露出している。厚さ方向の両側で絶縁被覆が剥かれて導電部が露出していることもある。終端210には補強シートを貼っているが、そうしなくてもよい。これによって本発明が接続対象とする平形柔軟ケーブルが限定解釈されない。本発明でいう平形柔軟ケーブルは、導体を絶縁被覆の片面側に設けたFFCを含み、FPC(フレキシブル・プリンテッド・サーキット)を含む。
第3実施形態の傾斜コネクタ100は、第1実施形態及び第2実施形態の傾斜コネクタ100と同様に、平形柔軟ケーブル200の終端210が挿入されることになる受入空間113が設けられた絶縁性のハウジング110と、このハウジング110に設けられた導電性のコンタクト130とを備えている。このハウジング110の基本構成は、第1実施形態のハウジング110と同様である。すなわち、このハウジング110は、ほぼ横方向に向いて対向する二枚の縦壁111と、この横方向とほぼ直交する縦方向に向いて対向し且つ二枚の縦壁111を連結するように設けられた二枚の横壁112とを備えており、これらの四枚の壁の内側に、縦方向、横方向及びこれらの二方向に直交する深さ方向に沿った寸法をもって広がり、深さ方向の一方に開口するほぼ角柱形の受入空間113が形成されており、この開口から平形柔軟ケーブル終端210が挿入される。この受入空間113には、平形柔軟ケーブル200の終端210が、終端210の厚さ方向が上記縦方向に一致し且つ終端210の幅方向が上記横方向に一致するようにほぼ深さ方向に沿って挿入されることになる。ハウジング110の二枚の横壁112のうち実装面側の横壁112の外側には、実装面310に載置されてハウジング110を支える基部116が設けられている。実装面側とは、傾斜コネクタ100が実装先部材300に実装されたときに実装面310に近い側のことである。傾斜コネクタ100が実装先部材300に実装されたときの実装面310から離れる方向を高さ方向とすると、図13ないし図15に示すように、この基部116は、横方向に所定の厚さをもって高さ方向に延びる壁状に形成されている。この実施形態では、基部116は、横方向に向いた二つの縦端面と、横方向及び高さ方向にほぼ直交して深さ方向の浅い側に面する正面側端面と、基部116の実装面310に対向する底面116aとを有して実装面側の横壁112から突出するほぼ三角柱形に形成されているが、他の形状であってもよい。また、この基部116の実装面310への投影面が、ハウジング110の他の部分の実装面310への投影面にほぼ含まれるように設定しているが、基部の実装面への投影面がハウジングの他の部分の実装面への投影面から出ていてもよい。また、この基部116は、ハウジング110の横方向両端に寄せて設けられており、これによって実装面側の横壁112と実装面310との間に、実装面310に実装される他の部品などを収容可能な空間117が形成されている。この実施形態では、さらにハウジング110の横方向の中途部にも基部116を設けている。しかし、この実施形態によって基部の数、配置が限定解釈されることはない。また、本発明は、基部を設けない実施形態を含んでいる。
コンタクト130の基本構成も、第1実施形態のコンタクト130と同様である。すなわち、コンタクト130は、ハウジング110に設けられた本体131と、この本体131から受入空間113のなかをその開口へ向かって延びる接触片132と、この本体131から深さ方向の深い方へ延びてハウジング110の外側に配置され、実装先部材300に接続されることになる接続部133とを備えている。接触片132の先端付近には、平形柔軟ケーブル200の導電部に接触することになる接触部132aが縦方向へ突出して設けられている。接触片132は縦方向に沿って弾性変形し、これに応じて接触部132aが縦方向に変位するようになっている。134は、本体131から受入空間113のなかを接触片132とほぼ平行に延びる支持片であり、必要に応じて設けられる。平形柔軟ケーブルにおける厚さ方向の両側に導電部が露出するときは、支持片にも接触部を設けてもよい。この実施形態では、ハウジング110において深さ方向に沿って受入空間113の開口がある側とと反対側にある底壁に貫通孔が設けられ、この貫通孔にコンタクト130の本体131が圧入されているが、コンタクトのハウジングへの取り付け構造は他の構造であってもよい。
さらに、ハウジング110にはカバーハウジング112aが設けられている。すなわち、ハウジング110における実装面310から遠い方になる横壁112は、深さ方向の深い側の部分と浅い側の部分とに分割されており、このうち深い側の部分は、横壁112bとして残り、浅い側の部分が二枚の縦壁111と連結していない独立した板状のカバーハウジング112aになっている。そして、この横壁112には、カバーハウジング112aにより開け閉めされる拡張開口112cが開口している。このカバーハウジング112aは、その深さ方向の深い側でハウジング110に対して横方向に沿って延びる回動中心のまわりに回動可能になるように設けられている。この実施形態では、カバーハウジング112aにおける深さ方向の深い側の横方向両端に、横方向外側へ突出する軸112acが設けられ、この二つの軸112acが、二枚の縦壁111と後述する補強タブ140とにより設けられた軸受101によってそれぞれ受け止められている。この軸受101は、縦壁111の深さ方向の浅い側の端面と、補強タブ140の部分とにより軸112acを抱くように設けられ、それによって軸112acをハウジング110に対して回動中心のまわりに回動可能にし、また軸112acがハウジング110から脱落しないようにしている。軸受はハウジングの部分のみにより構成してもよい。また、逆にハウジング及び補強タブの少なくとも一方に軸を設け、カバーハウジングに軸受を設けてもよい。よって、図16に示すように、カバーハウジング112aにより拡張開口112cを開けた状態からカバーハウジング112aを回動させると、図12及び図13に示すように、カバーハウジング112aにより拡張開口112cを閉じるようになっている。したがって、図17に示すように、拡張開口112cが開いたハウジング110に平形柔軟ケーブル200の終端210を、受入空間113の奥まで入れ、カバーハウジング112aを回動して拡張開口112cを閉じると、図18に示すように、カバーハウジング112aの内面112aaによって終端210を接触片132の接触部132aに向かって押し付け、接触片132の弾性変形によって接触部132aと終端210に露出する導体との間に所定の接触圧力を生じさせる。上記内面112aaとは、カバーハウジング112aの厚さ方向両側の面のうち、カバーハウジング112aにより拡張開口112cを閉じたときに受入空間113を形成することになる方の面である。図16に示すように、カバーハウジング112aは、拡張開口112cを開いたときにハウジング110に当たってそれ以上開き方向へ回動しないようになっている。そして、この拡張開口112cを開いたときに内面112aaがほぼ実装面310に平行になるようになっている。また、カバーハウジング112aが拡張開口112cを開いたときと閉じたときにカバーハウジング112aをそれぞれハウジング110に係止し、仮止めするロック機構が設けられている。この実施形態では、カバーハウジング112aの横方向両端面に突起112abがそれぞれ設けられている。一方、ハウジング110の二枚の縦壁111の深さ方向の深い側には、実装面310から遠ざかる方向へ延びる延長壁が設けられている。そして、この二枚の延長壁には横方向内側へ突き出た開き側突起119aが設けられており、二枚の縦壁111の深さ方向の浅い側には横方向内側へ突き出た閉じ側突起119bが設けられている。これらの突起112ab、119a、119bは可撓性を有している。そして、カバーハウジング112aが開方向へ回動してその突起112abが開き側突起119aを開き方向へ乗り越えると突起112abが開き側突起119aに引っ掛かってカバーハウジング112aが拡張開口112cを開いた状態を維持できるようになっており、カバーハウジング112aが閉方向へ回動してその突起112abが閉じ側突起119bを閉じ方向へ乗り越えると突起112abが閉じ側突起119bに引っ掛かってカバーハウジング112aが拡張開口112cを閉じた状態を維持できるようになっている。これらのロックの解除は、突起112ab、119a、119bの可撓性により、カバーハウジング112aの突起112abを開き側突起119a又は閉じ側突起119bから外すことにより行う。ロック機構としては、カバーハウジングをハウジングに係止し、仮止めする機能を発揮するものであれば他の構成であってもよい。そして、第1実施形態及び第2実施形態の傾斜コネクタ100では設けていた支持部118は、この第3実施形態では独立して設けられておらず、上記カバーハウジング112aが支持部としても機能する。すなわち、カバーハウジング112aが拡張開口112cを開き、ロック機構が機能すると、カバーハウジング112aが拡張開口112cを開いた状態を維持できるので、カバーハウジング112aはハウジング110の実装面側と反対の側に設けられている支持部として機能し、その内面112aaは、実装面310に対してほぼ平行になる被吸着面として機能する。
そして、傾斜コネクタ100は、実装先部材300に実装されたときに、受入空間113の横方向が実装先部材300の実装面310に対してほぼ平行になるように構成されている。また、傾斜コネクタ100は、実装先部材300に実装されたときに、受入空間113の深さ方向が、深くなるにつれて実装先部材300の実装面310に近づくように実装面310に対して傾斜するように構成されている。傾斜コネクタ100を実装先部材300に実装する場合、傾斜コネクタ100を実装面310の上に置くと、コンタクト130の接続部133と、ハウジング基部116における実装面310に対向する底面116aと、後述する補強タブ140とが実装面310に接触する。これら複数の接触部によって決定される仮想的な基準面は、実装面310にほぼ一致する。ただし、コンタクト接続部133又は補強タブ140と実装面310との間に極めて薄いハンダ層が形成されたときは、その厚さだけ差が出るが、この差は殆ど無視できる。したがって、換言すると、傾斜コネクタ100は、受入空間113の横方向が、実装面に接触することになる部位により決定される基準面に対してほぼ平行になり、受入空間113の深さ方向が、深くなるにつれて上記基準面に近づくように上記基準面に対して傾斜するように構成されていることになる。この実施形態ではハウジング基部116というハウジング110の一部も実装面310に接触するが、ハウジングが実装面に接触しないときはコンタクトと補強タブによって基準面が決定されるし、補強タブが設けられないときはコンタクトによって基準面が決定される。また、この実施形態のように表面実装される傾斜コネクタではコンタクトの接続部の先端付近が実装面に接触し、この接触部によって基準面が形成されるが、ディップタイプの傾斜コネクタでは、実装面を貫通するコンタクトにおける実装面の高さにある部位によって基準面が形成されることになる。また、上記傾斜角度は、好ましくは30度ないし60度付近であり、より好ましくは45度付近であり、そうすれば使い易い。しかし、本発明の傾斜コネクタの傾斜角度はこれに限定解釈されることはなく、零度を超えて90度未満であればよい。
また、ハウジング110の横方向両側には、実装先部材300に接続されることになる補強タブ140が設けられている。図12、図13及び図15に示すように、この補強タブ140は、ハウジング110の縦壁111に深さ方向の浅い側から圧入される本体141と、この本体141から側方へ延びて基部116から横方向外側に出た接続部142とを備えている。接続部142は、その実装面310への投影面が、補強タブ140を除いた傾斜コネクタ100の実装面310への投影面から出ている。しかし、補強タブにおける接続部又はその他の部分の実装面への投影面が、補強タブを除いた傾斜コネクタの実装面への投影面に含まれるようにすれば、補強タブによって傾斜コネクタの実装面への投影面が拡大することがない。そのため、実装面において傾斜コネクタが占有する面積が一層小さくなり、コネクタ周りのコンパクト化が実現される。
従って、この傾斜コネクタ100を実装先部材300に実装し、平形柔軟ケーブル200の終端210を受入空間113に挿入し、カバーハウジング112aにより拡張開口112cを閉じると、平形柔軟ケーブル200の導体がコンタクト接触部132aに接触し、この導体が実装先部材300の導体等に導通する。
比較例として図20に示したのは、実装先部材300にその実装面310に対して平形柔軟ケーブル200の挿入方向がほぼ直交するように実装された縦型コネクタ400である。この縦型コネクタ400の場合、平形柔軟ケーブル200が縦型コネクタ400から高さ方向へ延びるので、これを実装面310と平行になるように曲げた場合、縦型コネクタ400から高さ方向へ出てから側方へ曲がりきるまでの部分を収めるために縦型コネクタ400よりも高い側に相当高い占有空間を確保しておく必要があり、コネクタ周りの高さを低く抑えるという低背化を実現できない。また、このように平形柔軟ケーブル200を曲げることで平形柔軟ケーブル200や縦型コネクタ400に相当大きな応力が作用する。これに対し、第3実施形態の傾斜コネクタ100の場合、平形柔軟ケーブル200が受入空間113から実装面310に対して傾斜した方向に延びるので、図19に示すように、これを実装面310と平行になるように曲げた場合、平形柔軟ケーブル200が傾斜コネクタ100から出て実装面310と平行な方向へ曲がりきるまでの高さが、受入空間の長さがほぼ同じであれば、図20に示した縦型コネクタ400の場合よりも短くなり、この部分を収めるために確保すべき占有空間の高さが比較的低くなり、コネクタ周りの低背化が実現される。しかも、受入空間の長さがほぼ同じであれば、傾斜コネクタ100の高さは縦型コネクタ400よりも低くなるので、それによってもコネクタ周りの低背化が実現される。また、この平形柔軟ケーブル200の曲がりが縦型コネクタ400の場合よりも緩やかになるので、平形柔軟ケーブル200や傾斜コネクタ100に作用する応力が縦型コネクタ400の場合よりも小さくなる。
比較例として図21に示したのは、実装先部材300にその実装面310に対して平形柔軟ケーブル200の挿入方向がほぼ平行となるように実装された横型コネクタ500である。この横型コネクタ500の場合、実装面310への投影面積が縦型コネクタ400よりも大きいこと、平形柔軟ケーブル200が横型コネクタ500の開口から実装面310に沿って延びることから、実装面310において横型コネクタ500及び平形柔軟ケーブル200が占有する面積が縦型コネクタ400の場合よりも大きくなる。そのため、実装面310において他の部品を実装することができない部分が縦型コネクタ400の場合よりも広くなり、部品レイアウトの効率化によるコンパクト化を実現することができない。しかも、基板挿入口が実装面310に近接して開口し且つこの実装面310に沿った方向に向くため、実装先部材が邪魔して平形柔軟ケーブル200を組み付ける作業が縦型コネクタの場合よりも困難である。これに対し、第3実施形態の傾斜コネクタ100の場合、受入空間の長さがほぼ同じであれば実装面310への投影面積が図21に示した横型コネクタ500よりも小さいこと、受入空間113の開口の実装面310からの高さが横型コネクタ500よりも高く且つこの開口から平形柔軟ケーブル200が傾斜して延びることから、実装面310において傾斜コネクタ100及び平形柔軟ケーブル200が占有する面積が横型コネクタ500の場合よりも小さくなる。そのため、実装面310において他の部品を実装することができない部分が横型コネクタ500の場合よりも小さくなり、部品レイアウトの効率化によるコンパクト化が実現される。さらに、傾斜コネクタ100における受入空間113と実装面310との間に他の部品が収容される空間117を設けることも可能であるので、そうしたときは、さらに部品レイアウトの効率化によるコンパクト化が実現される。また、受入空間113が実装面310に対して傾斜しているので、平形柔軟ケーブル200の受入空間113への挿入が実装先部材300によって邪魔されることがなく、平形柔軟ケーブル200の傾斜コネクタ100への組み付け作業性が横型コネクタ500の場合よりもよい。
本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタには補強タブを設けなくてもよい。しかし、第3実施形態では、補強タブ140を設けたので、傾斜コネクタ100の実装強度を高めることができる。しかも、第3実施形態では、カバーハウジング112aに設けた二つの軸112acを、二枚の縦壁111と後述する補強タブ140とにより設けられた軸受101によってそれぞれ受け止め、この軸受101を、縦壁111の深さ方向の浅い側の端面と、補強タブ140の部分とにより軸112acを抱くように設けた。そのため、補強タブ140をハウジング110に組み付けることによって、カバーハウジング112aの軸112acをハウジング110に組み付けることができることから、傾斜コネクタ100の組み付け性がよい。
本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタには、実装面に対してほぼ平行になる被吸着面を有する支持部を設けてもよいし、このような支持部を設けなくてもよい。また、カバーハウジングを設けた本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタの場合、カバーハウジングが拡張開口を開いたときにカバーハウジングをハウジングに係止し、仮止めするロック機構を設けなくてもよい。しかし、第3実施形態では、カバーハウジング112aが拡張開口112cを開き、ロック機構が機能すると、カバーハウジング112aが拡張開口112cを開いた状態を維持できるので、カバーハウジング112aはハウジング110の実装面側と反対の側に設けられている支持部として機能し、その内面112aaは、実装面310に対してほぼ平行になる被吸着面として機能する。このようにすれば、実装作業などにおいて吸着手段を備えた搬送装置により傾斜コネクタ100を搬送するときに、吸着手段の吸着面がほぼ水平に保たれたままカバーハウジング112aの内面112aaに吸着し、搬送装置により傾斜コネクタ100が内面112aaをほぼ水平にしたままで実装面310へと安定的に搬送される。
以上の実施形態の傾斜コネクタは、スライダ又はカバーハウジングを備えて平形柔軟ケーブル終端を挿入するときの挿入力が少なくて済む、いわゆるZIFタイプのコネクタに本発明を適用した傾斜コネクタであった。しかし、本発明は、例えば特許文献1が開示するコネクタ又はその他のZIFタイプのコネクタに適用することができる。また、本発明は、スライダ、カバーハウジングのいずれをも備えずに、ハウジングにコンタクトの押圧力に抗して平形柔軟ケーブルを押し込むことで平形柔軟ケーブルを接続するようにした基本的なタイプのコネクタにも適用することができる。
本発明は、以上の実施形態の特徴を組み合わせた実施形態を含んでいる。さらに、以上の実施形態は本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタのいくつかの例を示したに過ぎない。したがって、これらの実施形態の記載によって本発明の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタが限定解釈されるものではない。
第1実施形態の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタの側面図である。スライダはハウジングに押し込まれている。 第1実施形態の傾斜コネクタの斜視図である。スライダはハウジングに押し込まれている。 第1実施形態の傾斜コネクタのハウジングとスライダを示した分解斜視図である。 第1実施形態の傾斜コネクタを実装面側からみた分解斜視図である。補強タブは圧入する前の状態であり、ハウジングから離間させている。スライダはハウジングに押し込まれている。 第1実施形態の傾斜コネクタをコンタクトに沿って断面して側方からみた断面図である。スライダは深さ方向手前に引かれてハウジングに仮止めされている。 第1実施形態の傾斜コネクタをコンタクトに沿って断面して側方からみた断面図である。傾斜コネクタに平形柔軟ケーブルの終端が挿入されている。スライダは深さ方向手前に引かれてハウジングに仮止めされている。 第1実施形態の傾斜コネクタをコンタクトに沿って断面して側方からみた断面図である。傾斜コネクタに平形柔軟ケーブルの終端が挿入され、スライダはハウジングに押し込まれている。 第1実施形態の傾斜コネクタの側面図である。傾斜コネクタに平形柔軟ケーブルの終端が接続されている。スライダはハウジングに押し込まれている。 第2実施形態の傾斜コネクタのハウジングとスライダを示した分解斜視図である。 第2実施形態の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタの側面図である。スライダはハウジングに押し込まれている。 第2実施形態の傾斜コネクタをコンタクトに沿って断面して側方からみた断面図である。傾斜コネクタに平形柔軟ケーブルの終端が挿入され、スライダはハウジングに押し込まれている。 第3実施形態の傾斜コネクタの側面図である。カバーハウジングは拡張開口を閉じている。 第3実施形態の傾斜コネクタの斜視図である。カバーハウジングは拡張開口を閉じている。 第3実施形態の傾斜コネクタのハウジングとカバーハウジングを示した分解斜視図である。コンタクト及び補強タブは取り付けていない。 第3実施形態の傾斜コネクタを実装面側からみた斜視図である。カバーハウジングは拡張開口を閉じている。 第3実施形態の傾斜コネクタをコンタクトに沿って断面して側方からみた拡大断面図である。カバーハウジングは拡張開口を開いている。 第3実施形態の傾斜コネクタをコンタクトに沿って断面して側方からみた拡大断面図である。傾斜コネクタに平形柔軟ケーブルの終端が挿入されている。カバーハウジングは拡張開口を開いている。 第3実施形態の傾斜コネクタをコンタクトに沿って断面して側方からみた拡大断面図である。傾斜コネクタに平形柔軟ケーブルの終端が挿入され、カバーハウジングは拡張開口を閉じている。 第3実施形態の傾斜コネクタの側面図である。傾斜コネクタに平形柔軟ケーブルの終端が接続されている。カバーハウジングは拡張開口を閉じている。 比較例の縦型コネクタの側面図である。縦型コネクタに平形柔軟ケーブルの終端が接続されている。 比較例の横型コネクタの側面図である。横型コネクタに平形柔軟ケーブルの終端が接続されている。
符号の説明
100 傾斜コネクタ
110 ハウジング
113 受入空間
117 (部品を収容する)空間
118 支持部
118a 被吸着面
120 スライダ
130 コンタクト
132a 接触部
133 接続部
140 補強タブ
200 平形柔軟ケーブル
210 終端
300 実装先部材
310 実装面
112a カバーハウジング

Claims (3)

  1. 互いに直交する縦方向、横方向及び深さ方向に沿った寸法をもって広がり、平形柔軟ケーブル終端が、終端の厚さ方向が上記縦方向に一致し且つ終端の幅方向が上記横方向に一致するようにほぼ深さ方向に沿って挿入されることになる受入空間を有するハウジングと、
    上記受入空間に配置されて上記平形柔軟ケーブルにおける厚さ方向の少なくとも一方側に露出する導電部に接触することになる接触部と、上記ハウジングの外側に配置されて実装先部材に接続されることになる接続部とを有して上記ハウジングに設けられたコンタクトとを備え、
    実装先部材に実装されたときに、受入空間の横方向が実装先部材の実装面に対してほぼ平行になり、受入空間の深さ方向が、深くなるにつれて実装先部材の実装面に近づくように実装面に対して傾斜するように構成された平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタ。
  2. 実装先部材に接続されることになる補強タブが、ハウジングの実装面側に設けられている請求項1の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタ。
  3. 実装面に対してほぼ平行になる被吸着面を有する支持部が、ハウジングの実装面側と反対の側に設けられている請求項1又は請求項2の平形柔軟ケーブルの傾斜コネクタ。
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