JP2009058258A - タコグラフ記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】タコグラフ記録用紙本来の機能を維持しながら、裏面剥離効果を有することによって打ち抜き加工時のブロッキング発生の問題がなく、寸法安定性及び剛性に優れ、さらには裏面が筆記適性及び印字適性を備えたタコグラフ記録用紙を提供する。
【解決手段】タコグラフ記録用紙の裏面に設けられる水溶性樹脂層に、アクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体を含有させる。更に好適には、水溶性樹脂層にアクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体、ポリビニルアルコール、澱粉、澱粉誘導体、金属塩を含有させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、基材と、基材の情報記録面に設けられた情報記録層とを有するタコグラフ記録用紙に関するものである。
タコグラフ記録用紙は、タクシーや営業用トラック・バス等において走行中の速度を記録することを目的とし、インキを用いずに尖針等を用いて引っ掻き記録により印字される記録紙である。
特許文献1では、隠蔽性を有する水性の中空孔ポリマー粒子と、成膜性を有する水性ポリマーとの混合物を黒色原紙に塗工することによって、原紙上にミクロボイドの隠蔽層が形成され、白い外観を有する水性型タコグラフ記録用紙が記載されている。
一方、タコグラフメータ及びその記録方法については特許文献2、特許文献3及び特許文献4等に示されており、尖針で隠蔽層を引っ掻いて破壊すると隠蔽層が潰れて透明化し、黒色原紙が透けて可視できることで約30マイクロメータの細い線としての記録が得られる。
タコグラフ記録用紙に設けられる情報記録層は、先に記載した先行文献に記載があるように、黒色原紙又は黒色塗工層上に設けられた、黒色を隠蔽する隠蔽層であり、尖針で隠蔽層を引っ掻いて破壊して下層の黒色層を視認可能にすることで、恰も記録線を描いた情報記録を発現させる構成からなり、破壊による記録であるがために、改竄が不可能な記録情報を得ることができる。
従って、隠蔽層は、尖針で引っ掻いて破壊する事が可能な可塑性の柔軟な塗工層である事が必要である。
しかしながら、タコグラフ記録用紙の製造過程においては、タコグラフ記録用紙の原紙を複数枚重ね合わせて、打ち抜きにより円形のタコグラフ記録用紙を形成する方法を用いるため、打ち抜き時に、前記隠蔽層が打ち抜き切断面においてズレを生じ、このズレによりタコグラフ記録用紙どうしがブロッキングし、作業性を低下させる問題を有している。特許文献1に記載の従来技術はタコグラフ記録用紙としての構成を記載しているものであるが、このタコグラフ記録用紙は成型加工時にその切断面でタコグラフ記録用紙がブロッキングを起こす問題を秘めたものである。
また、タコグラフ記録用紙はドライバーの運行状況を記録する日報になり、事故発生時には運行状況を証明する証拠として使用されることから、安定した情報記録能力が求められる。そのため、紙の寸法安定性や剛性に優れているものが求められる。
さらに、運行日報として使用される関係上、タコグラフ記録用紙は、情報記録層を設けた面と反対側の裏面に対して、鉛筆やボールペン等での書き込みや、種々の方法による印刷が可能であることが好ましい。
特開平3−220415号公報 特公昭41−19274号公報 米国特許第2739909号明細書 特許第2619728号公報
本発明は、上記現状に鑑み、タコグラフ記録用紙本来の機能を維持しながら、裏面剥離効果を有することによって打ち抜き加工時のブロッキング発生の問題がなく、寸法安定性及び剛性に優れ、さらには裏面が筆記適性及び印字適性を備えたタコグラフ記録用紙を提供することを課題とする。
本発明者らは、打ち抜き加工時のブロッキング発生の問題を改善する方策として、タコグラフ記録用紙の裏面に剥離層を設けることとした。しかしながら、シリコン系やフッソ系等の剥離剤を塗布したところ、ブロッキング発生を抑制し得るほど十分な剥離効果を得ることはできず、また、裏面の筆記適性及び印字適性についても十分なものではなかった。ところが、さらに鋭意検討をした結果、アクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体を含有する剥離層を設けることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、基材と、基材の情報記録面に設けられた情報記録層とを有するタコグラフ記録用紙であって、基材の裏面において水溶性樹脂層が設けられ、当該水溶性樹脂層が、少なくともアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体を含有することを特徴とする、タコグラフ記録用紙である。
前記タコグラフ記録用紙において、水溶性樹脂層が、さらにアクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体を含有することが好ましく、さらにアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体および、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体を固形分重量でそれぞれ10〜25重量%含有している事が最も好ましい。
また、水溶性樹脂層が、さらに、重合度500〜2000のポリビニルアルコール、澱粉、及び澱粉誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
また、水溶性樹脂層が、さらに、金属塩を固形分重量で1〜20重量%含有することが好ましい。
本発明のタコグラフ記録用紙は、その製造時に複数枚重ねた打ち抜き加工を行っても、その情報記録面に予め設けられている情報記録層とのブロッキングの発生を抑制することができ、また、寸法安定性及び剛性に優れており、その裏面が筆記適性及び印字適性を備えている。
本発明のタコグラフ記録用紙は、基材と、基材の情報記録面(表側の面)に設けられた情報記録層と、基材の裏側の面に剥離層として設けられた水溶性樹脂層とを有する。
本発明のタコグラフ記録用紙を構成する基材の原料としては、従来公知のパルプを使用することができる。目的やユーザーニーズに応じて環境負荷低減のため、非木材パルプ、FSC森林認証チップを使用したパルプ、無塩素漂白しているECF(Elementary Chlorine Free)パルプを使用してもよい。
基材の抄紙方法としては、単層抄きであってもよいし、多層抄きであってもよい。単層抄きの場合には、一般的な洋紙製造用の抄紙機で長網式を使用すればよいが、ギャップフォーマー抄紙機も利用することができる。
多層抄きとは、一般的にライナー等の板紙用の抄紙機で円網が複数あるものを用い、円網で抄いた湿紙を何層か合わせて抄造する方法である。
本発明のタコグラフ記録用紙に用いる基材としては、通常、単層白物基材に黒色顔料面を塗布したものと、多層抄きで表層として黒色層を使用したものが使用される。
本発明の特に好適な実施形態におけるタコグラフ記録用紙用基材を以下に説明する。当該基材は、複数層、例えば5層の湿紙を抄き合わせた多層抄き紙にて構成されている。表層の湿紙は、上質紙(LBKP、NBKPを原料として抄造した紙)の白損から成る上白古紙とLBKPを、それぞれ単独若しくは適宜の配合割合で混合した原料パルプを用い、かつタコグラフ記録用紙の着色層が容易に高品質に形成されるようにグレー色(例えば、明度(JIS Z8722に準じて測定したハンターLab表示系における明度(L値)による。以下、同じ。)28〜45程度)に着色して抄造している。また、中間層及び裏層は、紙器製造時に発生する砂裁古紙、新聞・雑誌などを原料として抄造した白ボールなどの地券古紙から成る原料パルプを主として用い、必要に応じてコート紙の白損から成る中白古紙や、コート紙の印刷・製本工程での砂裁古紙からなるケント古紙やLBKPを添加して抄造される。また、タコグラフ記録用紙の寸法安定性を向上するため、全層に湿潤紙力増強剤を添加する場合が多い。
この多層抄き紙には、全層での配合比で機械パルプを30%以上、好ましくは50〜65%含んでいる。また、湿潤紙力増強剤としては、車内での高温、低温、多湿等の使用環境変化に対しても寸法安定性を堅持するポリアミドエピクロロヒドリンを主剤とする湿潤紙力増強剤が好適である。
上記5層の多層抄き紙は、5つの円網ワイヤを有するワイヤパート、プレスパート、ドライヤーパート、カレンダー、及びリールを備えた抄紙機にて各層の湿紙を抄き合わせて製造される。ワイヤパートにおいては、5つの円網が適当な間隔をあけて直列して配設され、これら円網の上端に下面が接するように無端ベルト状の毛布が配設され、毛布が表層用の円網から裏層用の円網に向けて順次走行した後上向きに反転し、後続工程のプレスパートに抄き合わせた湿紙を受け渡して表層用の円網に戻る無端状の回動経路を各円網の周速と等速で同期して回動するように構成されている。各円網には、その上端よりも回転方向上手側位置にそれぞれに原料スラリーを供給して円網の周面上に湿紙を形成するインレットが配設され、かつ各円網の上部にクーチロールが配設されている。
このような抄紙機による抄造時には、多層抄き紙の表層を形成する湿紙が表層用の円網上に形成された後毛布に保持され、中間層の湿紙が第2番目〜第4番目の中間層用の円網上に形成された後表層の湿紙の下面に順次抄き合わされ、次いで裏層の湿紙が第5番目の円網上に形成された後中間層の湿紙の下面に抄き合わされ、その後5層に抄き合わされた湿紙がプレスパートに向けて搬送されて受け渡される。円網による多層構成は、長網やオントップによる多層構成と異なり、極めて短いウエットエンドでもって湿紙を構成しながら多層を構成するため、得られた多層紙は寸法安定性に優れ、打抜きを行っても変形が生じにくく、カールも発生し難いため、使用環境の変動幅が大きい車内での使用においても好適な記録品質を保持できる。
なお、抄紙機としては、このようなものに限定されるものではなく、長網多筒抄紙機などの他の抄紙機を適用することもできる。
以上のような抄紙機によりタコグラフ記録用紙用基材として要請される以下のような物性を有するように多層抄き紙が抄造される。記録性を向上させるために、JIS P8119に基づく表面の平滑度が、20〜200秒、好ましくは30〜100秒、より好適には40〜80秒となるように調整される。また、米坪が125〜200g/m2、紙厚さが100μm〜220μm、より好適には150〜180μm、密度が0.95g/cm3以下、JIS P8125に基づくテーバーこわさ(横)が0.70mN・m以上となるように調整される。
以上の構成によれば、古紙を含有しかつ全層での配合比で機械パルプを30%以上配合した多層抄き紙を用いることにより、紙厚を厚くし、剛度を強くすることができ、低コスト化を図りながら必要な剛度のタコグラフ記録用紙用基材を提供することができる。また、多層抄き紙の各層の原料を変え、表層には平滑性が得られる原料を用い、中間層や裏層には安価で剛度の高い原料を用いることで、所要の特性のタコグラフ記録用紙用基材を得ることができる。
特に、表層を上白古紙とLBKPの何れか一方又は両者をパルプ原料とするとともに着色して抄造して構成し、中間層と裏層を機械パルプを含む古紙をパルプ原料として抄造して構成すると、表層が上白古紙とLBKPから成ることで所要の平滑性を確保できるとともに、着色の均一性及び安定性が高く、基材表面に高品質の着色層や記録層を形成することができ、かつ中間層と裏層が機械パルプを含む古紙を含有していることで必要な剛度を確保することができる。
また、全層若しくは表層と裏層又は任意の層に湿潤紙力増強剤を含有させると、高湿環境化での寸法安定性をより確実に保持させることができて好適である。
本発明で使用する基材の米坪としては、125〜200g/m2の範囲が好ましく、140〜170g/m2の範囲がより好ましい。
また、本発明で使用する基材の紙厚としては、100μm〜220μm、好適には150μm〜180μmの範囲が好ましい。
本発明のタコグラフ記録用紙において基材の黒色面上に設ける情報記録層としては特に限定されず、従来公知のものであってよい。具体的には、基材の黒色面に、隠蔽性を有する水性の中空孔ポリマー粒子(中空顔料)と成膜性を有する水性ポリマーとからなる白色塗料を塗工して形成することができる。この情報記録層に対して記録針で圧力を加えることで、中空顔料がつぶされ、下地の黒色面が記録線として現れることになる。
前記白色塗料の塗工方法としてはエアーナイフコーター、ロールコーター、スプレー、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ミヤバコーター等があり、タコグラフ記録針が均一な記録線を描くために特に均一な塗工面が必要となるため、エアーナイフコーターでの塗工が好ましい。
本発明のタコグラフ記録用紙では情報記録面の裏面上に、剥離性改善と記録適性保持のために、少なくともアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体を含有する水溶性樹脂層を設ける。これによって、タコグラフ記録用紙に求められる、剥離性、寸法安定性、剛性、低米坪化について、上記裏面塗料により裏面印字適性・筆記適性を損なうことなく改善することができる。
本発明者等は、タコグラフ記録用紙としての本質的な機能を維持しながら、打ち抜き加工時のブロッキング発生の問題がなく、寸法安定性及び剛性に優れ、さらには裏面が筆記適性及び印字適性を備えたタコグラフ記録用紙を得るにあたり、裏面に設ける樹脂について鋭意検討を重ね、単にブロッキングを防止するに留まらず、前記課題全てを満足する裏面に塗布する樹脂について取捨選択を重ね、アクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体を含有する水溶性樹脂層を設けることが、基本的な課題解決に結びつくこと見出し本件発明を完成させている。
当該樹脂において、アクリル酸エチルとアクリロニトリルとの含有比は特に限定されないが、より良好な剥離性改善効果が得られることから、アクリル酸エチルの含有重量が、アクリロニトリルの含有重量よりも大きい樹脂を使用することが好ましい。
前記樹脂の塗布量は、例えば0.3〜6.0g/m(固形分)の範囲が好ましい。0.3g/m未満であると剥離効果が十分でない場合があり、6.0g/mを超えて添加しても添加量に応じた効果は得られない。
本発明において水溶性樹脂層は、アクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体のみからなるものであってもよいが、以下のような追加成分をも含有するものであってもよい。
タコグラフ記録用紙の寸法安定性や剛性を改善するために、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体を追加配合することができる。このような共重合体を構成するモノマーとして、具体的には、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso −ブチル、メタクリル酸iso −ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル等が挙げられる。この共重合体の塗布量は、例えば0.1〜1.0g/m(固形分)の範囲が好ましい。0.1g/m未満であると十分な剛性・寸法安定性効果を得ることができず、1.0g/mを超えて添加しても添加量に応じた効果は得られない。
また、水溶性樹脂層は、重合度500〜2000のポリビニルアルコール、澱粉、及び澱粉誘導体からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含有するものであってもよい。上記のアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体のみを塗工すると塗料コストが高くなるため、ポリビニルアルコール等を混合することによって塗料コストを削減することができる。また、剥離性や寸法安定性を改善する効果も得られる。
ポリビニルアルコールを配合する場合にはその重合度が上がることで塗料が増粘してしまうため、重合度500〜2000程度のポリビニルアルコールを使用することが好ましい。また、耐水性と塗料の被膜を強くするため完全けん化型のポリビニルアルコールが好ましい。
上記澱粉誘導体としては特に限定されないが、例えば、酸化澱粉、アセチル化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の各種変性澱粉が挙げられる。
上記のポリビニルアルコール等の配合量を調整することで必要な紙質改善と塗料コストとのバランスを決定することができる。ポリビニルアルコール等の塗布量は、0.2〜3.5g/m(固形分)の範囲が好ましい。0.2g/m未満であると寸法安定性改善効果を期待することはできず、3.5g/mを超えて添加しても添加量に応じた効果は得られない。
本発明において、水溶性樹脂層は、静電気防止のために、金属塩をさらに含有するものであってもよい。金属塩としては、例えば、NaCl、LiClO4、LiBF4、LiPF6、NaBF4、NaClO4、NaPF6、KBF4、KClO4、KPF6等が挙げられる。
水溶性樹脂層における金属塩の含有量は、固形分基準で、1〜20重量%の範囲が好ましい。1重量%未満であると、静電気防止効果が得られない。また20重量%を超えた場合、添加量に応じた効果は得られない。
以上の成分のほかにも、剥離効果を与えるのに、更に、ステアリン酸カルシウムに代表される脂肪酸金属塩類、エチレンワックス、鉱物ワックス、飽和・不飽和脂肪酸からなる滑剤等を裏面塗料に使用してもよい。ただし、剥離改善効果が限られることと、上記ワックス成分を使用することでタコグラフ記録用紙の情報記録面にワックスが浸透することが考えられるため、記録線の印字に影響がでない範囲での添加に限られる。
また、裏面の水溶性樹脂について裏面印刷適性をより向上させるために、クレー、炭酸カルシウム、シリカからなる顔料とバインダーを塗料に使用してもよい。
タコグラフ記録用紙については使用用途から水及びオイルの付着が考えられるため、表面及び裏面塗料に、ワックス変成型ポリマー等の耐水・耐油剤を加えたり、カルボキシル基を持つポリビニルアルコール及び合成ゴムとジルコニウム化合物からなる架橋剤を反応させることで耐水性を付与してもよい。
本発明のタコグラフ記録用紙における水溶性樹脂層の塗工方法としては、エアーナイフコーター、ロールコーター、スプレー、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ミヤバコーター等があり、均等な記録適性、寸法安定性を得るために均一な塗工面が必要となるため、エアーナイフコーターでの塗工が好ましい。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下では「部」は固形分の重量基準で示す。
以下の実施例及び比較例では、以下の薬品を使用した。
(1)水溶性樹脂層
・アクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体水溶液(表1中のC成分):バンスターS80(商品名)、中部サイデン株式会社製
・アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体エマルジョン(表1中のD成分):X973B30(商品名)、中部サイデン株式会社製
・ポリビニルアルコール(表1中のA成分):PVA−110(重合度1000)、クラレ株式会社製
・金属塩(表1中のB成分):並塩(塩化ナトリウム)、財団法人塩事業センター製
(2)情報記録層
・架橋アクリル/スチレン共重合体中空ポリマー粒子(白色隠蔽性を有する水性の中空孔ポリマー粒子):MHG5040(商品名)、日本ゼオン株式会社製
・酢酸ビニル・エチレン・塩ビエマルジョン(成膜性を有する水性ポリマー):スミカフレックス880(商品名)、住友化学株式会社製
・情報記録層の塗工方法としてはエアーナイフコーターを採用した。塗工手段としては、ロールコーター、スプレー、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ミヤバコーター等があり、タコグラフ記録針が均一な記録線を描くために特に均一な塗工面が必要となるため、エアーナイフコーターでの塗工が好ましい。
(実施例1)
多層抄きで表層に上白古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを65%含む構成で抄造された米坪165gの原紙に線圧50kg設定のカレンダーをかける。カレンダー実施後に裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体50部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体48部、金属塩2部の混合液を米坪あたり3.0g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例2)
多層抄きで表層に上白古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを50%含む構成で抄造された米坪165gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体41部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体41部、金属塩18部の混合液を米坪あたり3.0g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例3)
多層抄きで表層に上白古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを60%含む構成で抄造された米坪170gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体70部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体20部、金属塩10部の混合液を米坪あたり5.0g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例4)
多層抄きで表層に上白古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを60%含む構成で抄造された米坪165gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体20部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体70部、金属塩10部の混合液を米坪あたり3.0g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例5)
多層抄きで表層に上白古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを60%含む構成で抄造された米坪200gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体90部(裏面塗料100部とした添加比率)、金属塩10部を米坪あたり6.0g塗工する。ただし、水溶液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例6)
多層抄きで表層に上白古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを60%含む構成で抄造された米坪165gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体10部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体80部、金属塩10部の混合液を米坪あたり3.0g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例7)
多層抄きで表層にLBKPを用い、構成原料中に機械パルプを30%含む構成で抄造された米坪165gの原紙に線圧50kg設定のカレンダーをかける。カレンダー実施後裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体46部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体50部、金属塩4部の混合液を米坪あたり3.0g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例8)
多層抄きで表層にLBKPを用い、構成原料中に機械パルプを45%含む構成で抄造された米坪165gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体40部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体44部、金属塩16部の混合液を米坪あたり3.0g塗工する。ただし、情報記録層の塗工方法としてブレードコーターを採用し、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例9)
単層抄きでLBKPから抄造された米坪140gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体40部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体50部、金属塩10部の混合液を米坪あたり4.0g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例10)
単層抄きでLBKPから抄造された米坪125gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体50部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体40部、金属塩10部の混合液を米坪あたり0.3g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例11)
多層抄きで表層に上白古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを60%含む構成で抄造された米坪165gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体40部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体30部、金属塩10部、ポリビニルアルコール20部の混合液を米坪あたり1.0g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例12)
多層抄きで表層に上白古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを60%含む構成で抄造された米坪166gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体25部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体25部、金属塩10部、ポリビニルアルコール50部の混合液を米坪あたり3.0g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例13)
多層抄きで表層に上白古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを60%含む構成で抄造された米坪165gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体10部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体10部、ポリビニルアルコール80部の混合液を米坪あたり3.0g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例14)
多層抄きで表層に上白古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを60%含む構成で抄造された米坪165gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体10部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体10部、金属塩10部、ポリビニルアルコール70部の混合液を米坪あたり5.0g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(実施例15)
多層抄きで表層に上白古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを60%含む構成で抄造された米坪165gの原紙の裏面へアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体5部(裏面塗料100部とした添加比率)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体5部、金属塩10部、ポリビニルアルコール80部の混合液を米坪あたり4.0g塗工する。ただし、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(比較例1)
多層抄きで表層に新聞古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを70%含む構成で抄造された米坪165gの原紙に線圧50kgになるようにカレンダーをかける。カレンダー実施後に裏面へポリビニルアルコール水溶液100部(裏面塗料100部とした添加比率)を米坪あたり5.0g塗工する。ただし、情報記録層の塗工方法としてブレードコーターを採用し、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(比較例2)
多層抄きで表層に段ボール古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを80%含む構成で抄造された米坪210gの原紙の裏面へポリビニルアルコール水溶液100部(裏面塗料100部とした添加比率)を米坪あたり5.0g塗工する。ただし、情報記録層の塗工方法としてブレードコーターを採用し、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(比較例3)
多層抄きで表層に雑誌古紙パルプを用い、構成原料中に機械パルプを85%含む構成で抄造された米坪166gの原紙の裏面へポリビニルアルコール水溶液90部(裏面塗料100部とした添加比率)、金属塩10部の混合液を米坪あたり6.5g塗工する。ただし、情報記録層の塗工方法としてブレードコーターを採用し、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(比較例4)
多層抄きで表層にLBKPを用い、構成原料中に機械パルプを50%含む構成で抄造された米坪165gの原紙の裏面へポリビニルアルコール水溶液100部(裏面塗料100部とした添加比率)を米坪あたり5.0g塗工する。ただし、情報記録層の塗工方法としてブレードコーターを採用し、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(比較例5)
単層抄きでLBKPから抄造された米坪165gの原紙の裏面へポリビニルアルコール水溶液100部(裏面塗料100部とした添加比率)を米坪あたり4.5g塗工する。ただし、情報記録層の塗工方法としてロールコーターを採用し、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
(比較例6)
単層抄きでLBKPから抄造された米坪120gの原紙の裏面へポリビニルアルコール水溶液100部(裏面塗料100部とした添加比率)を米坪あたり4.0g塗工する。ただし、情報記録層の塗工方法としてブレードコーターを採用し、混合液の濃度を変えることで塗工量を調整することとする。
各タコグラフ用紙について、以下の試験方法と基準により評価した。結果を表1に示す。
(T次剥離強度):用紙打ち抜き時のブロッキング問題の指標として
塗工後のタコグラフ記録用紙を巾15mm×長さ200mmに2枚断裁して表面と裏面を合わせ線圧100kg/cmに設定したカレンダーをかける。カレンダー処理後、20℃65%で表面層と裏面層を剥がしその引っ張り強さ(単位:g/50mm)を測定した。この強さが10g/50mm以下である場合に、優れた剥離性を有するということができる。
(剛度)
JISP8143に記載の紙のクラークこわさ試験機によるこわさ試験方法に基づいて実施した。
(伸び):寸法安定性
200mm×200mmの用紙を温度20℃湿度65%条件で横方向の長さを測定する。この紙を温度20℃湿度20%、温度20℃湿度80%条件での長さを測定し、湿度65→20%での伸縮率と湿度65→80%での伸縮率の和を求め算出した。
(裏面筆記性)
各タコグラフ記録用紙の裏面に関して、市販の鉛筆及びボールペンで筆記性を確認した。
◎ 問題なく筆記できる
○ 筆記可能
△ 文字がかすれる
× 筆記できない
(裏面印字性)
各タコグラフ記録用紙の裏面に関して、市販のインクジェットプリンターを使用してインクジェット記録適性を確認した。
◎ 問題なく印刷できる
○ 印刷可能
△ 印刷がかすれる
× 印刷できない
Figure 2009058258

Claims (4)

  1. 基材と、基材の情報記録面に設けられた情報記録層とを有するタコグラフ記録用紙であって、
    基材の裏面において水溶性樹脂層が設けられ、
    当該水溶性樹脂層が、少なくともアクリル酸エチル・アクリロニトリル共重合体を含有することを特徴とする、タコグラフ記録用紙。
  2. 水溶性樹脂層が、さらにアクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体を含有する請求項1記載のタコグラフ記録用紙。
  3. 水溶性樹脂層が、さらに、重合度500〜2000のポリビニルアルコール、澱粉、及び澱粉誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載のタコグラフ記録用紙。
  4. 水溶性樹脂層が、さらに、金属塩を固形分基準で1〜20重量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載のタコグラフ記録用紙。
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