JP2009058071A - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トルクフェーズの開始を、車速又は入力軸回転速度に基づいて検出し、変速判断に基づいて開始させたトルクダウンを、トルクフェーズの開始後から所定時間γが経過した時点で停止させる。また、変速判断からトルクフェーズの開始が検出されるまでの時間を計測し、該計測結果から、トルクフェーズの開始時期よりも目標時間だけ前の時点でトルクダウンを開始又は終了させるべく、変速判断からのトルクダウンを開始又は終了させるまでの時間を学習し、該学習された時間に基づいてトルクダウンを開始又は終了させる。
【選択図】図5
Description
ここで、前記トルクの引き込みについて詳述すると、自動変速機において、2個の摩擦係合要素の掴み換え、所謂クラッチツークラッチによって変速を行う場合、解放側摩擦係合要素が、解放側制御手段による油圧サーボの適切な油圧制御に基づいて好適に動作した場合であっても、係合待機油圧(係合制御中の係合側油圧)が過剰である場合にトルクの引き込みが発生する。そして、係合側の摩擦係合要素にこの引き込みが発生すると、解放側油圧が適切である場合でも、タイアップ(2個の摩擦係合要素の同時係合)が発生することになる。
しかしながら、上記特許文献1のものでは、トルク制御の時期を、油圧スイッチの信号に基づいて判断しているため、油圧スイッチの信号変化から実際の摩擦係合要素の容量変化までのばらつきに対応できず、実際のトルクの引き込みに対してトルク制御の開始・終了タイミングが最適時期からずれ、トルク制御を行うことで逆にトルクの引き込みを増大させたり、トルク引き込み前後のトルク段差の縮小がうまく行えなかったりする場合があるという問題があった。
上記発明によると、トルクフェーズ中におけるトルクの引き込みショックを軽減するためのトルクダウンの開始及び/又は終了を、油圧状態ではなく、トルクフェーズの開始を基準に設定する。
請求項2記載の発明では、トルクフェーズの開始時期から所定時間だけ経過した時点を、トルクダウンの終了時期として設定するようにした。
従って、トルクダウンの終了時期がトルクフェーズの開始から過剰に遅れることで、トルクフェーズ初期におけるトルクの引き込みを増大させてしまうことを防止できる。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明において、前記所定時間を、そのときの変速条件に基づき可変に設定するようにした。
従って、変速条件が異なっても、トルクの引き込みショックを軽減するためのトルクダウンを、トルクフェーズ開始後の最適なタイミングで終了させることができる。
尚、変速条件とは、例えば、1速→2速,2速→3速などの変速種、動力源の負荷、更には、自動変速機の作動油の温度などであるが、これらに限定されるものではない。
上記発明によると、トルクフェーズの開始時期から目標時間だけ前の時点で、トルクダウンを終了させるべく、変速判断からの経過時間でトルクダウンの終了時期を特定するが、変速判断からトルクフェーズ開始までの時間が、変速条件(例えば変速種,動力源の負荷,作動油の温度等)で変化するので、変速判断からトルクダウンを終了させるまでの時間をそのときの変速条件に基づいて設定する。
請求項5記載の発明では、トルクフェーズの開始時期から目標時間だけ前の時点でトルクダウンを開始させるべく、そのときの変速条件に基づいて変速判断からトルクダウンを開始させるまでの時間を設定するようにした。
請求項6記載の発明では、請求項5記載の発明において、トルクフェーズの終了時期をトルクダウンの終了時期とするようにした。
従って、トルクダウンの期間がトルクフェーズに対して全体的に遅れることで、トルクの引き込みを増大させてしまうことを回避でき、トルクの引き込みショックの軽減効果を安定して得ることができる。
上記発明によると、変速判断からトルクフェーズの開始時期までの時間を計測することで、変速条件毎に記憶されるトルクダウン開始・終了時期までの時間の適正を判断し、トルクフェーズの開始から目標時間前で開始又は終了させるように、トルクダウン開始・終了時期までの時間を更新する。
請求項8記載の発明では、請求項2又は7記載の発明において、変速中における動力源の負荷の変化が所定以上であるときに、トルクフェーズの開始時期からの経過時間に基づくトルクダウン終了時期の設定、又は、変速判断からトルクダウンを終了させるまでの時間又は変速判断からトルクダウンを開始させるまでの時間の学習をキャンセルするようにした。
従って、動力源の負荷の変動によってトルクフェーズの開始が誤検出され、トルクフェーズからの経過時間の計測に基づくトルクダウン終了時期の設定に誤りを生じること、また、変速判断からトルクフェーズまでの時間が誤って計測され、変速判断からトルクダウンを終了又は開始させるまでの時間が誤学習されることを回避できる。
上記発明によると、トルクフェーズの開始に伴う車速及び/又は変速機の入力軸回転速度(タービン回転速度)の変化を捉えて、トルクフェーズの開始を検出し、トルクダウンの開始時期及び/又は終了時期を設定する。
従って、油圧制御の結果としてのトルクフェーズの開始を、応答良くかつ高精度に検出することができる。
図1は、実施形態における車両の駆動系を示すものであり、動力源としてのエンジン1の出力軸には、トルクコンバータ2を介して油圧式自動変速機3が接続され、該自動変速機3の出力軸によって図示しない車両の駆動輪が回転駆動される。
尚、自動変速機3に組み合わされる動力源としては、エンジン1の他、電動モータであってもよく、更に、動力源をエンジンと電動モータとの組み合わせとすることができる。
前記変速機構部は、2組の遊星歯車G1,G2、3組の多板クラッチ(ハイクラッチH/C,リバースクラッチR/C,ロークラッチL/C)、1組のブレーキバンド2&4/B、1組の多板式ブレーキ(ロー&リバースブレーキL&R/B)、1組のワンウェイクラッチL/OWCで構成される。
前記遊星歯車組G1のサンギヤS1は、リバースクラッチR/Cにより入力軸INに結合可能に構成される一方、ブレーキバンド2&4/Bによって固定可能に構成される。
前記遊星歯車組G2のサンギヤS2は、入力軸INに直結される。
そして、出力軸OUTには、前記遊星歯車組G1のリングギヤr1と、前記遊星歯車組G2のキャリアc2とが一体的に直結されている。
上記構成の変速機構部において、前進の1速〜4速及び後退Rは、図3に示すように、各クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)の締結・解放状態の組み合わせによって実現される。
上記摩擦係合要素の締結・解放論理は、図1に示される変速制御用のコントロールバルブ4に挿置されるシフトソレノイド(A)5及びシフトソレノイド(B)6のON・OFFの組み合わせによって実現される(図4参照)。
前記シフトソレノイド(A)5,シフトソレノイド(B)6及びライン圧ソレノイド7は、A/Tコントローラ11によって制御される。
前記A/Tコントローラ11は、マイクロコンピュータを含んで構成され、オートマチック・トランスミッション・フルード(作動油)の温度を検出するATF温度センサ12,アクセルペダル(図示省略)の踏み込み量APOを検出するアクセル開度センサ13,車両の走行速度VSPを検出する車速センサ14,エンジン1の回転速度NEを検出するエンジン回転センサ15,運転者によるシフトノブ(シフトレバー)の操作で選択されるレンジ位置を検出するインヒビタースイッチ16、トルクコンバータ2におけるタービン回転速度NTを検出するタービンセンサ17などから検出信号が入力される。
そして、前記A/Tコントローラ11は、上記の各種検出信号(車両の運転状態)に基づいて目標ギア段を設定し、該目標ギア段と実際のギア段が異なる場合に、前記シフトソレノイド(A)5,シフトソレノイド(B)6を制御することで、実際のギア段を目標ギア段に一致させる自動変速制御を行う。
尚、A/Tコントローラ11とエンジンコントロールユニット21とを一体化し、1つのコントロールユニット(コントローラ)でエンジン1と自動変速機3との双方を制御させることが可能である。
前記トルクダウン制御は、点火時期の遅角、スロットル開度(吸入空気量)の低下、気筒別の燃料カット、空燃比のリーン化のうちの少なくとも1つを実行することで、エンジン1のトルクを強制的に低下させる。
ここで、前記A/Tコントローラ11による、トルクフェーズにおけるトルクの引き込みショックの軽減するためのトルクダウン要求信号の出力制御(制御時期設定手段としての機能)を、図5のフローチャートに従って詳細に説明する。
ステップS101では、変速判断中(アップシフト判断中)であるか否かを判別する。
変速判断中とは、目標ギア段(目標ギア比)と実際のギア段(ギア比)とが異なっているとの判断に基づいて変速要求(アップシフト要求)を判断してから、目標ギア段(目標ギア比)に実際のギア段(ギア比)が一致するようになるまでの間である。
一方、変速判断中であれば、ステップS102へ進み、単位時間当たりのスロットル開度TVOの変化量ΔTVO、又は、非変速中から変速中に切り換った時点(変速開始時点)でのスロットル開度TVOと現在のスロットル開度TVOとの差ΔTVOを演算する。
ステップS103では、車速VSPの単位時間当たりの変化量ΔVSP、又は、タービン回転速度NTの単位時間当たりの変化量ΔNTを演算する。
具体的には、車速VSP又はタービン回転速度NTの最新値から単位時間前の値(例えば本ルーチンの前回実行時における値)を減算した値を変化量ΔVSP,ΔNTとする。
ステップS104では、今回ステップS103で演算した前記変化量ΔVSP又は変化量ΔNTから、所定時間Δt(本ルーチンの実行周期×正の整数n)前に演算された前記変化量ΔVSP又は変化量ΔNTを減算した結果を、ΔΔVSP又はΔΔNTとする。
ステップS106では、変速判断(変速制御開始)からの時間が所定時間TS(≧0)以上になっているか否かを判断する。
そして、変速判断(変速制御開始)からの時間が所定時間TS未満であるときには、トルクダウンのための判断・制御を行うことなくそのまま、本ルーチンを終了させる。
変速判断(変速制御開始)からの時間が所定時間TS以上になっている場合には、ステップS107へ進み、ステップS102で演算したΔTVOの絶対値が所定値αよりも小さいか否かを判断する。
前記ΔTVOの絶対値が所定値α以上であると判断されると、後述する、ΔΔVSP又はΔΔNTに基づくトルクフェーズ開始の検出タイミングを基準とするトルクダウン要求信号の出力制御をキャンセルし(キャンセル手段)、ステップS108へ進み、以後のトルクダウン要求信号の出力制御を、エンジン負荷に基づいて行わせる。
前記指示油圧又は実油圧に基づくトルクダウン要求信号の出力制御では、例えば、変速判断(変速制御開始)からの時間が所定時間TS以上になった時点で、トルクダウン要求信号の出力を開始させ、締結側摩擦係合要素の指示油圧又は実油圧が基準レベルに達した時点でトルクダウン要求信号の出力を停止させる。
そして、今回の変速においてトルクダウン要求信号の出力開始処理を行っていない場合には、ステップS110へ進んで、トルクダウン要求信号の出力(トルクダウン)を開始させた後、本ルーチンを終了させる。
但し、トルクダウンの開始条件から、ΔTVOの絶対値が所定値αよりも小さいことを除き、変速判断(変速制御開始)からの時間が所定時間TS以上になった時点で開始させることができる。
一方、ステップS109で、今回の変速においてトルクダウン要求信号の出力開始処理を行ったと判断されると(トルクダウン終了後を含む)、ステップS111以降へ進んで、トルクダウン要求信号の出力停止制御(トルクダウン停止制御)を行う。
前記所定値βは、例えば伝達経路の変化に伴う抵抗成分に応じて設定する。この場合の所定値βの値は、実機又はシミュレーションによるマッチング結果を元に、固定値の他に、変速種や加速状態などに応じて可変に設定しても良く、マップで持つなどの構成が考えられる。
従って、検出フラグに1がセットされている状態は、トルクフェーズの開始を検出済み(トルクフェーズの開始後)であることを示す。
尚、車速VSP又はタービン回転速度NTに基づくトルクフェーズ開始の検出は、上記の方法に限定されず、例えば、変化量ΔVSP又は変化量ΔNTがプラスからマイナスに転じた時点(極大値を示す時点)を、トルクフェーズの開始として検出させることができる。
ステップS114では、前記検出フラグに1がセットされているか否かを判断する。
そして、検出フラグに1がセットされている場合には、ステップS115へ進み、検出フラグに1がセットされてからの時間、即ち、トルクフェーズの開始を検出してからの経過時間が所定時間γ(≧0)を超えたか否かを判断する。
前記所定時間γは、実機又はシミュレーションによるマッチング結果を元に、固定値として設定する他、トルクフェーズ(トルクの引き込み)の開始からギア比が変化を開始するまでの時間が、変速種,エンジン負荷(動力源の負荷),自動変速機の作動油の温度などに応じて変化することに対応して、変速種,エンジン負荷,自動変速機の作動油の温度に応じて前記所定時間γを可変に設定しても良く、この場合マップで持つなどの構成が考えられる。
前記変速種とは、1速→2速、2速→3速などの区別を示し、変速種による所定時間γの要求に違いを予め実験的に求めておいて、これに基づいてマップを作成する。
尚、変速種,エンジン負荷,自動変速機の作動油の温度のうちの1つ或いは2つを選択し、選択した条件に基づいて前記所定時間γを変更させることができ、前記所定時間TSも前記所定時間γと同様な特性で変化させることができる。
上記アップシフト時のトルクダウン制御によって、図6に示すように、トルクフェーズでトルクが引き込まれる直前のトルク及び引き込み直後のトルクが低下し、これによって引き込みにおけるトルク段差及びトルク変化速度が小さくなり、引き込みに伴う変速ショックが軽減される。
図9のフローチャートに示すルーチンは所定の微小時間毎に実行されるものとする。
ステップS201では、変速判断中(アップシフト判断中)であるか否かを判別する。
非変速判断中である場合には、そのまま本ルーチンを終了させる。
一方、変速判断中であれば、ステップS202へ進み、単位時間当たりのスロットル開度TVOの変化量ΔTVO、又は、非変速中から変速中に切り換った時点(変速開始時点)でのスロットル開度TVOと現在のスロットル開度TVOとの差ΔTVOを演算する。
ステップS203では、車速VSPの単位時間当たりの変化量ΔVSP、又は、タービン回転速度NTの単位時間当たりの変化量ΔNTを演算する。
具体的には、車速VSP又はタービン回転速度NTの最新値から単位時間前の値(例えば本ルーチンの前回実行時における値)を減算した値を変化量ΔVSP,ΔNTとする。
ステップS204では、今回ステップS203で演算した前記変化量ΔVSP又は変化量ΔNTから、所定時間Δt(本ルーチンの実行周期×正の整数n)前に演算された前記変化量ΔVSP又は変化量ΔNTを減算した結果を、ΔΔVSP又はΔΔNTとする。
ステップS206では、変速判断(変速制御開始)からの時間が所定時間TS(≧0)以上になっているか否かを判断する。
そして、変速判断(変速制御開始)からの時間が所定時間TS未満であるときには、トルクダウンのための判断・制御を行うことなくそのまま、本ルーチンを終了させる。
変速判断(変速制御開始)からの時間が所定時間TS以上になっている場合には、ステップS207へ進み、今回の変速においてトルクダウン要求信号の出力開始処理を行ったか否か(出力開始後であるか否か)を判断する。
前記トルクダウン要求信号を受けた前記エンジンコントロールユニット21は、エンジン1の出力トルクを一時的に低下させるトルクダウン制御を実行する。
一方、ステップS207で、今回の変速においてトルクダウン要求信号の出力開始処理を行ったと判断されると(トルクダウン終了後を含む)、ステップS209へ進む。
ステップS209では、変速判断(変速制御開始)からトルクダウンを停止させるまでの時間TEを、変速条件毎に書き換え可能に記憶するマップから、そのときの変速条件に対応する時間TE(>TS)を読み出す。
尚、後述する時間TEの学習のために、前記目標時間TGも、前記時間TEを記憶するマップと同じ変速条件に応じて予め記憶させておくものとする。
そして、変速判断(変速制御開始)から経過時間が前記時間TEに達していれば、ステップS211へ進み、トルクダウン要求信号の出力(トルクダウン)を停止させる(図10参照)。
上記アップシフト時のトルクダウン制御では、図10に示すように、トルクダウンの終了時期をトルクフェーズの開始時期よりも目標時間TGだけ前にすることで、トルクフェーズでトルクが引き込まれる直前のトルクを低下させることができ、これによって引き込みにおけるトルク段差が小さくなり、引き込みに伴う変速ショックが軽減される。
ここで、ΔTVOの絶対値が所定値α以上である(動力源の負荷変化が所定以上である)ときには、ΔΔVSP又はΔΔNTに基づくトルクフェーズ開始の検出精度が低下して、後述するトルクダウンの終了時期(時間TE)の学習精度が低下してしまう。
一方、ΔTVOの絶対値が所定値α未満であれば、ΔΔVSP又はΔΔNTに基づきトルクフェーズ開始を精度良く検出できるものと判断し、ステップS213へ進む。
ΔΔVSP又はΔΔNTの絶対値が所定値β以上である場合には、現時点がトルクフェーズの開始時期であると判断する。
ΔΔVSP又はΔΔNTの絶対値が所定値β以上となる状態とは、所定時間Δt(本ルーチンの実行周期×正の整数n)前に演算された前記変化量ΔVSP又は変化量ΔNTが、トルクフェーズにおけるトルクの引き込み前の車速VSP又はタービン回転速度NTの増大変化中の値であるのに対し、最新の変化量ΔVSP又は変化量ΔNTが、トルクフェーズにおけるトルクの引き込み開始後の車速VSP又はタービン回転速度NTの減少変化中の値である場合である(図10参照)。
尚、車速VSP又はタービン回転速度NTに基づくトルクフェーズ開始の検出は、上記の方法に限定されず、例えば、変化量ΔVSP又は変化量ΔNTがプラスからマイナスに転じた時点(極大値を示す時点)を、トルクフェーズの開始として検出させることができる。
トルクフェーズの開始を、エンジン負荷の所定の変動に基づいて検出させる方法では、変速中における運転者によるアクセル操作に伴うエンジン負荷の変動に大きく影響され、トルクフェーズの開始を精度良く検出することが困難であるが、前記車速VSP又はタービン回転速度NTに基づくトルクフェーズ開始の検出では、より安定した精度の良い検出が可能である。
具体的には、変速判断(変速制御開始)からトルクフェーズ開始を検出するまでの計測時間TTから、そのときの変速条件(変速種,エンジン負荷動力源の負荷,自動変速機の作動油の温度など)に応じて予め記憶されている目標時間TGを減算した結果(TE=TT−TG)を、そのときの変速条件に対応する時間TEとして更新記憶させる。
また、それまでの記憶値と新たに算出された時間TEとの差の絶対値が所定値以上であるときに、更新を禁止することができる。これにより、異常値に基づいて前記時間TEが更新されることを回避できる。
図11のフローチャートに示すルーチンは所定の微小時間毎に実行されるものとする。
ステップS301では、変速判断中(アップシフト判断中)であるか否かを判別する。
非変速判断中である場合には、そのまま本ルーチンを終了させる。
一方、変速判断中であれば、ステップS302へ進み、単位時間当たりのスロットル開度TVOの変化量ΔTVO、又は、非変速中から変速中に切り換った時点(変速開始時点)でのスロットル開度TVOと現在のスロットル開度TVOとの差ΔTVOを演算する。
ステップS303では、車速VSPの単位時間当たりの変化量ΔVSP、又は、タービン回転速度NTの単位時間当たりの変化量ΔNTを演算する。
具体的には、車速VSP又はタービン回転速度NTの最新値から単位時間前の値(例えば本ルーチンの前回実行時における値)を減算した値を変化量ΔVSP,ΔNTとする。
ステップS304では、今回ステップS303で演算した前記変化量ΔVSP又は変化量ΔNTから、所定時間Δt(本ルーチンの実行周期×正の整数n)前に演算された前記変化量ΔVSP又は変化量ΔNTを減算した結果を、ΔΔVSP又はΔΔNTとする。
ステップS306では、変速判断(変速制御開始)からトルクダウンを開始させるまでの時間TKを、変速条件毎に書き換え可能に記憶するマップから、そのときの変速条件に対応する時間TK(>0)を読み出す。
前記時間TKは、トルクフェーズの開始時期よりも目標時間TG2(>0)だけ前の時点で、トルクダウンを開始させるべく設定される時間であり(図12参照)、初期値は、種々のばらつきがあってもトルクダウン制御によってトルクの引き込みを増大させることがないように設定され、後述するように、変速判断(変速制御開始)からトルクフェーズ開始までの時間を計測することで、前記初期値から更新学習されるようになっている。
尚、後述する時間TKの学習のために、前記目標時間TG2も、前記時間TKを記憶するマップと同じ変速条件に応じて予め記憶させておくものとする。
そして、変速判断(変速制御開始)から経過時間が前記時間TKに達した時点で、ステップS308へ進み、トルクダウン要求信号の出力(トルクダウン)を開始させる(図12参照)。
ステップS309では、イナーシャフェーズが開始されたか否かを判断する。
前記イナーシャフェーズの開始は、自動変速機3の入力軸回転速度(タービン回転速度)と出力軸回転速度とから算出されるギア比が変化し始めたか否かに基づいて判断される。
従って、第3実施形態では、変速判断(変速制御開始)から経過時間が前記時間TKになった時点であって、トルクフェーズの開始時期よりも目標時間TG2だけ前の時点で、トルクダウンを開始させ、イナーシャフェーズが開始された時点でトルクダウンを停止させる。
ステップS311では、ステップS302で演算したΔTVOの絶対値が所定値αよりも小さいか否かを判断する。
そこで、ΔTVOの絶対値が所定値α以上である(動力源の負荷変化が所定以上である)と判断されると、後述する、ΔΔVSP又はΔΔNTに基づくトルクフェーズ開始の検出に基づく、トルクダウンの開始時期(時間TK)の学習をキャンセルし(キャンセル手段)、そのまま本ルーチンを終了させる。これにより、異常値に基づいてトルクダウンの開始時期(時間TK)が更新されてしまうことを回避できる。
ステップS312では、前記ステップS304で算出したΔΔVSP又はΔΔNTの絶対値が所定値βよりも小さいか否かを判断する。
ΔΔVSP又はΔΔNTの絶対値が所定値β以上である場合には、現時点がトルクフェーズの開始時期であると判断する。
尚、車速VSP又はタービン回転速度NTに基づくトルクフェーズ開始の検出は、上記の方法に限定されず、例えば、変化量ΔVSP又は変化量ΔNTがプラスからマイナスに転じた時点(極大値を示す時点)を、トルクフェーズの開始として検出させることができる。
トルクフェーズの開始時期を検出すると、ステップS313へ進み、前記時間TKの学習更新を行う。
具体的には、変速判断(変速制御開始)からトルクフェーズ開始を検出するまでの時間TTから、そのときの変速条件(変速種,エンジン負荷動力源の負荷,自動変速機の作動油の温度など)に応じて予め記憶されている目標時間TGを減算した結果(TK=TT−TG)を、そのときの変速条件に対応する時間TKとして更新記憶させる。
また、それまでの記憶値と新たに算出された時間TKとの差の絶対値が所定値以上であるときに、更新を禁止することができる。
上記のように、変速判断(変速制御開始)からトルクフェーズ開始を検出するまでの時間TTを計測し、該計測結果に基づいて前記時間TKを更新学習させるようにすれば、自動変速機3のばらつきや経時劣化によって、変速判断(変速制御開始)からトルクフェーズが開始されるまでの時間TTがばらついても、トルクフェーズ開始から目標時間TGだけ前の時点でトルクダウンを確実に開始させることができる。
更に、トルクフェーズの開始時期から目標時間TG2だけ前に開始させたトルクダウンを、トルクフェーズの開始時期から目標時間TG(<TG2)だけ前の時点で終了させることができる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)前記目標時間が変速条件に応じて予め記憶され、そのときの変速条件に対応する目標時間と、変速判断からトルクフェーズの開始時期までの時間とに基づいて、前記変速条件毎に変速判断からトルクダウンを終了させるまでの時間又は変速判断からトルクダウンを開始させるまでの時間を学習することを特徴とする請求項7記載の車両用自動変速機の制御装置。
(ロ)前記変速条件が、変速種,動力源の負荷,自動変速機の作動油の温度のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3〜8,(イ)のいずれか1つに記載の車両用自動変速機の制御装置。
(ハ)前記制御時期設定手段が、変速判断から所定時間(≧0)だけ経過した時点でトルクダウンを開始させることを特徴とする請求項2又は4記載の車両用自動変速機の制御装置。
従って、変速判断に対して、実際の変速の進行が遅れる場合に、トルクダウンが過剰に早く開始されてしまうことを防止できる。
Claims (9)
- 動力源と組み合わされる車両用自動変速機において、変速時のトルクフェーズにおけるトルクの引き込みショックを軽減するために、前記動力源の出力トルクを低下させるトルクダウンを行う車両用自動変速機の制御装置であって、
前記トルクダウンの開始時期及び/又は終了時期を、トルクフェーズの開始時期に基づいて設定する制御時期設定手段を含んで構成されたことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 - 前記制御時期設定手段が、トルクフェーズの開始時期から所定時間だけ経過した時点を、トルクダウンの終了時期として設定することを特徴とする請求項1記載の車両用自動変速機の制御装置。
- 前記制御時期設定手段が、前記所定時間を、そのときの変速条件に基づき可変に設定することを特徴とする請求項2記載の車両用自動変速機の制御装置。
- 前記制御時期設定手段が、トルクフェーズの開始時期から目標時間だけ前の時点でトルクダウンを終了させるべく、そのときの変速条件に基づいて変速判断からトルクダウンを終了させるまでの時間を設定することを特徴とする請求項1記載の車両用自動変速機の制御装置。
- 前記制御時期設定手段が、トルクフェーズの開始時期から目標時間だけ前の時点でトルクダウンを開始させるべく、そのときの変速条件に基づいて変速判断からトルクダウンを開始させるまでの時間を設定することを特徴とする請求項1記載の車両用自動変速機の制御装置。
- 前記制御時期設定手段が、トルクフェーズの終了時期をトルクダウンの終了時期とすることを特徴とする請求項5記載の車両用自動変速機の制御装置。
- 前記制御時期設定手段が、変速判断からトルクフェーズの開始時期までの時間を計測し、該計測した時間に基づき、変速判断からトルクダウンを終了させるまでの時間又は変速判断からトルクダウンを開始させるまでの時間を前記変速条件毎に学習することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の車両用自動変速機の制御装置。
- 変速中における動力源の負荷の変化が所定以上であるときに、前記制御時期設定手段による、トルクフェーズの開始時期からの経過時間に基づくトルクダウン終了時期の設定、又は、変速判断からトルクダウンを終了させるまでの時間又は変速判断からトルクダウンを開始させるまでの時間の学習をキャンセルするキャンセル手段を設けたことを特徴とする請求項2又は7記載の車両用自動変速機の制御装置。
- 前記制御時期設定手段が、車速の変化及び/又は変速機の入力軸回転速度の変化に基づいてトルクフェーズの開始時期を検出することを特徴とする請求項1〜3,7,8のいずれか1つに記載の車両用自動変速機の制御装置。
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