JP2009057994A - 脚部継手 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】床スラブを貫通して配置される床スラブ貫通部を有する脚部継手において、
複数の継手構成部材を組み立てて形成され、前記複数の継手構成部材のうち、少なくとも前記床スラブ貫通部を構成する継手構成部材が、耐火熱膨張性樹脂組成物からなる管状をした耐火膨張層を少なくとも備える耐火熱膨張性樹脂パイプで形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
そして、排水立管と、排水横主管とは、脚部継手(特許文献1参照)を用いて接続されている。すなわち、脚部継手は、鉛直管部と、曲管部と、横管部とを備え、鉛直管部が排水立管の下端に接続され、横管部が排水横主管に接続されるようになっている。また、このような脚部継手には、横管部が最下層の床スラブの下側に配置され、鉛直管部が最下層の床スラブを貫通し、鉛直管部の上端が最下層の床スラブの上面より上側に配置されるようになったタイプのものもある。
ところで、排水立管の床スラブ貫通部においては、床スラブを挟んだ下の階、あるいは上の階で火災が発生した場合においても、火災発生階から上の階あるいは下の階への火炎や煙の流れ込みを防止するために、排水立管の一部を構成する排水管継手の床スラブ貫通部と床スラブに設けられた貫通孔との隙間にモルタルを充填するようにしている。
しかしながら、上記鋳鉄製や耐火二層構造の管などは、重量がかなりあるため、配管施工時の施工性に問題がある。
すなわち、この防火用膨張性樹脂組成物は、シート状あるいはペースト状をしていて、施工時に排水立管を構成する樹脂配管材の床スラブ貫通孔に挿通配置される部分に巻回あるいは塗布するようになっていて、火災が発生し、防火用膨張性樹脂組成物が加熱されると、無機系膨張剤および/または有機系膨張剤が膨張し、そのときに貫通孔壁面との間で発生する圧力で、軟化している樹脂配管材を押しつぶして貫通孔全体を閉塞して延焼を防止するようになっている。
さらに、上記耐火熱膨張性樹脂パイプを含め、継手構成部材を構成する樹脂組成物の主成分樹脂としては、特に限定されないが、自己消火性を備えるポリ塩化ビニル系樹脂が好ましい。
上記単層構造品の場合、耐火膨張層を形成する耐火熱膨張性樹脂組成物としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜10重量部の割合で含むものが好ましく、1〜8重量部の割合で含むものがより好ましく、2〜7重量部の割合で含むものがさらに好ましい。すなわち、熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、所望の耐火性が得られない恐れがあり、10重量部を超えると、加熱により熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が脱落し、耐火性が低下してしまう恐れがある。
一方、複層構造品の場合、耐火膨張層を形成する耐火熱膨張性樹脂組成物としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜15重量部の割合で含むものが好ましく、1〜12重量部の割合で含むものがより好ましく、2〜10重量部の割合で含むものがさらに好ましい。すなわち、熱膨張性黒鉛を熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、所望の耐火性が得られないし、15重量部を超えると、加熱により熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が脱落し、耐火性が低下してしまう恐れがある。
また、上記のように耐火膨張層がポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜15重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物で形成された複層構造品の場合、耐火膨張層の内外面を熱膨張性耐火材料非含有のポリ塩化ビニル系樹脂組成物で被覆した3層構造とすることが好ましい。
すなわち、耐火膨張層の内面および外面を被覆する被覆層の厚みが0.2mm未満であると管としての機械的強度に劣る恐れがあり、2.0mmを超えると耐火性が低下する恐れがある。
すなわち、熱膨張性黒鉛のpHが1.5未満であると、酸性が強すぎて、成形装置の腐食などを引き起こしやすく、pHが4.0を超えると、ポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進効果が薄れ、十分な耐火性能が得られなくなる恐れがある。
一方、熱膨張性黒鉛の1.3倍膨張温度が180℃未満であると、成形中に熱膨張性黒鉛が膨張してしまうことがあり、管の外観不良を引き起こす上、燃焼時の耐火性が低下してしまう恐れがあり、熱膨張性黒鉛の1.3倍膨張温度が240℃を超えると、成形中に熱膨張性黒鉛の膨張が開始してしまう恐れはないものの、燃焼時において、ポリ塩化ビニル系樹脂の熱分解(発泡)が進行し、ポリ塩化ビニル系樹脂の柔軟性が低下してしまった後に、熱膨張性黒鉛が膨張するため、ポリ塩化ビニル系樹脂が、熱膨張性黒鉛の膨張に耐え切れなくなり、バラバラに崩壊してしまう恐れがある。
なお、1.3倍膨張温度とは、加熱炉内を一定温度にして、熱膨張性黒鉛の試料を30分加熱した後の熱膨張性黒鉛の膨張倍率が、1.3以上になる温度を意味する。また、膨張倍率は、加熱後の試料の体積を加熱前の試料の体積で除することで求められる。
上記安定剤としては、特に限定されないが、鉛系安定剤、有機スズ安定剤、高級脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらが単独であるいは複合して用いられる。
また、有機スズ系安定剤としては、例えば、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプトなどのメルカプチド類;ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマーなどのマレート類;ジブチル錫メルカプトジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマーなどのカルボキシレート類が挙げられる。
すなわち、安定剤の配合割合が0.3重量部未満であると、成形時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の熱安定性が確保されにくく、成形中に炭化物が出やすくなってしまう恐れがあり、5.0重量部を超えると、燃焼時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進を阻害して十分な耐火性能が得られなくなる恐れがある。
これらは、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。外部滑剤としては特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックスなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、少なくとも前記床スラブ貫通部を構成する継手構成部材を、耐火熱膨張性樹脂パイプとし、他の継手構成部材と組み立てるようにしたので、射出成形が困難な耐火熱膨張性樹脂組成物も用いることができる。
また、熱膨張性黒鉛は、それ自体が燃えにくく、かつ、熱により膨張して断熱効果が発現するので、燃焼速度の遅延がさらに効果的に行われる。
また、外面側の被覆層が、パイプの熱膨張によって、床スラブの貫通孔とパイプとの間に充填されたモルタルへの密着性を増し、火災発生階側からパイプとモルタルの隙間を介して非火災発生階への火炎や煙の流入をより確実に阻止することができる。
さらに、被覆層が熱膨張性黒鉛非含有のポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなるので、パイプの内外面を滑らかな状態にすることができ、製品としての外観および排水性能に優れたものとすることができる。
図1は、本発明にかかる排水管継手の第1の実施の形態をあらわしている。
すなわち、上部部材2は、フランジ部21と、鉛直管部の一部を構成する直管部22とを備え、熱膨張性黒鉛非含有の通常の塩化ビニル樹脂管と同様のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を射出成形することによって成形されている。
下部部材4は、曲管部41と横管部42とフランジ部43とを備え、上部部材2と同様のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を射出成形することによって成形されている。
曲管部41から横管部42までの曲がり部分は、断面卵形をしている。
中間部材3は、図2に示すように、管状をした耐火熱膨張樹脂組成物からなる耐火膨張層31の内面および外面が被覆層32、33で被覆されたパイプ形状をしている。
被覆層32、33は、それぞれ、熱膨張性黒鉛非含有のポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなる。
そして、上部部材2、中間部材3および下部部材4は、中間部材3の上端部が上部部材2の嵌合部23に塩化ビニル樹脂用接着剤を介して嵌合され、中間部材3の下端部が下部部材4の嵌合部44に塩化ビニル樹脂用接着剤を介して嵌合されることによって接着一体化されている。
さらに、熱膨張性黒鉛として、pH1.5〜4.0に調整されているものを用いているので、ポリ塩化ビニル系樹脂の塩化水素脱離反応が促進され、ポリ塩化ビニル系樹脂の炭化がより一層効果的に促進され、耐火性が向上する。
上記の実施の形態では、排水立管および排水横主管とフランジ接合するようになっていたが、受口構造としても構わない。
また、耐火熱膨張性樹脂パイプは、内面に螺旋溝が形成されていても構わない。
以下の表1〜表5に示す組成の単層構造の外径114mm、厚さ6.6mm、呼び径100Aのパイプを、一般的に用いられる押出成形機による押出成形によって得た。
なお、表1〜表5に示す実施例おいて、各層を構成する樹脂組成物の配合材料としては、以下のものを使用した。
塩化ビニル樹脂 ・・・徳山積水工業社製、商品名TS1000R
ステアリン酸鉛 ・・・水澤化学社製、商品名StabinexNC18
オクチル錫メルカプト ・・・三共有機社製、ONE-100F
Ca/Zn系複合安定剤 ・・・堺化学社製、商品名NWP-6000
滑剤 ・・・三井化学社製、商品名ハイワックス4202E
炭酸カルシウム(無機充填剤) ・・・白石カルシウム社製、商品名ホワイトンSB
水酸化マグネシウム(無機充填剤) ・・・協和化学工業社製、商品名KISUMA5A
ハイドロタルサイト ・・・協和化学工業社製、商品名DHT-4A
エポキシ化大豆油 ・・・ADEKA社製、商品名アデカサイザー O130P
熱膨張性黒鉛 ・・・東ソー社製、品番GREP-EG
以下の表6〜13に示す組成の耐火膨張層の内外面の少なくともいずれかに被覆層を備える複層構造の外径114mm、厚さ6.6mm、呼び径100Aのパイプを、一般的に用いられる押出成形機による共押出成形によって得た。
なお、表6〜13に示す実施例おいて、各層を構成する樹脂組成物の配合材料としては、以下のものを使用した。
塩化ビニル樹脂 ・・・大洋塩ビ社製、商品名TH1000
鉛系安定剤 ・・・堺化学社製、商品名SL-1000
滑剤 ・・・三井化学社製、商品名ハイワックス4202E
炭酸カルシウム(無機充填剤) ・・・白石カルシウム社製、商品名ホワイトンSB
水酸化マグネシウム(無機充填剤) ・・・協和化学工業社製、商品名KISUMA5A
ハイドロタルサイト ・・・協和化学工業社製、商品名DHT-4A
エポキシ化大豆油 ・・・ADEKA社製、商品名アデカサイザー O130P
熱膨張性黒鉛 ・・・東ソー社製、商品名GREP-EG
図4に示す耐火試験炉Xにより、耐火試験(平成12年6月1日に施行された改正建築基準法の耐火性能試験の評価方法,ISO834-1に従う)を実施した。
床材Yは、100mm厚さのPC(プレキャストコンクリート)パネルを用いた。試験用パイプPは、床材Yに設けられた区画貫通部Rに貫通させ、加熱室Z内に300mm露出させ、床材Yの外部に800mm露出させた。
なお、加熱室Zの側壁にはバーナーV,Vが設置されている。また、試験用配管材Pの先端部近傍に温度測定用の熱電対Qが設置されている。
加熱開始後、区画貫通部Rと試験用配管材Pとの隙間から煙が出るまでの時間(発煙時間)を測定した。消防法の令8区画の判定基準に従って、発煙時間を調べた。
上記(実施例1)〜(実施例80)および(比較例1)で得られたパイプから任意にダンベル試験片を切り出し、得られた試験片について、JISK7113に準拠して引張試験(評価温度23℃)を行った。なお、管としての実用的な性能を満たしているかを判定するため、23℃で引張強度が45(MPa)以上のものを◎(優秀)、30(MPa)以上のものを○(合格)、30(MPa)未満のものを×(不合格)とした。
2 上部部材(他の継手構成部材)
3 中間部材(耐火熱膨張性組成物層を有する継手構成部材)
31 耐火熱膨張性組成物層
4 下部部材(他の継手構成部材)
Claims (4)
- 床スラブを貫通して配置される床スラブ貫通部を有する脚部継手において、
複数の継手構成部材を組み立てて形成され、前記複数の継手構成部材のうち、少なくとも前記床スラブ貫通部を構成する継手構成部材が、耐火熱膨張性樹脂組成物からなる管状をした耐火膨張層を少なくとも備える耐火熱膨張性樹脂パイプで形成されていることを特徴する脚部継手。 - 耐火熱膨張性樹脂パイプが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜10重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物からなる耐火膨張層の単層構造である請求項1に記載の脚部継手。
- 耐火熱膨張性樹脂パイプが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜15重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物からなる耐火膨張層と、この耐火膨張層の内外面を覆うように設けられる熱膨張性黒鉛非含有のポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなる被覆層とからなる3層構造である請求項1に記載の脚部継手。
- 全ての継手構成部材が樹脂製である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の脚部継手。
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