JP2009051894A - 水系粘着剤およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水系粘着剤は、水系エマルジョンのポリマー粒子を含有し、当該水系エマルジョンのポリマー粒子を構成する重合体が、重量平均分子量(Mw)が60万〜1,000万、ゲル分率が30%以下、全酸量滴定の値と電導度滴定の値との差(ΔAE)が10〜200μeq/gであることを特徴とする。この水系粘着剤においては、さらに架橋剤を含有することが好ましい。水系粘着剤の製造方法は、水系媒体中にレドックス系重合開始剤および重合性単量体を供給し、水系媒体中において重合性単量体を重合反応させることにより水系エマルジョンのポリマー粒子を得る工程を含み、レドックス系重合開始剤を、重合性単量体の供給終了後も継続して連続的に供給して、重合反応を完結させることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
また、本発明の別の目的は、上記の水系粘着剤を、高い生産性で製造できる水系粘着剤の製造方法を提供することにある。
当該水系エマルジョンのポリマー粒子を構成する重合体が、
重量平均分子量(Mw)が60万〜1,000万、ゲル分率が30%以下、全酸量滴定の値と電導度滴定の値との差(ΔAE)が10〜200μeq/gであることを特徴とする。
水系媒体中にレドックス系重合開始剤および重合性単量体を供給し、当該水系媒体中において重合性単量体を重合反応させることにより前記水系エマルジョンのポリマー粒子を得る工程を含み、
前記レドックス系重合開始剤を、重合性単量体の供給終了後も継続して連続的に供給して、重合反応を完結させることを特徴とする。
また、本発明の水系粘着剤の製造方法によれば、上記の水系粘着剤を高い生産性で製造することができる。
本発明の水系粘着剤は、(a)重量平均分子量(Mw)が60万〜1,000万、(b)ゲル分率が30%以下、好ましくは20%以下、(c)全酸量滴定の値と電導度滴定の値との差ΔAEが10〜200μeq/gである重合体(以下、「特定重合体」という。)よりなるポリマー粒子による水系エマルジョンを含有してなるものである。
水系粘着剤における特定重合体の重量平均分子量(Mw)は、具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置「HCL−8020」(東ソー社製)を用いて測定されるポリスチレン換算のものである。
この重量平均分子量(Mw)が上記の範囲にあることにより、水系粘着剤が高い凝集力を発揮することができる。
水系粘着剤における特定重合体のゲル分率は、テトラヒドロフラン不溶分によって示されるものである。
具体的には、試料(重量W1 mg)をテトラヒドロフラン中に室温で1週間浸漬した後、不溶物を取り出し、この不溶物を100℃で3時間乾燥させてその重量(W2 mg)を測定し、下記式(1)に従って算出することができる。
式(1):ゲル分率(%)=W2 /W1 ×100
この特定重合体のゲル分率が30%以下であることにより、この水系粘着剤を用いてテープなどの粘着層を形成する際にテープ基材への当該水系粘着剤の十分な浸透を得ることができる。
水系粘着剤における特定重合体の全酸量滴定の値(α)と電導度滴定の値(β)との差、具体的には全酸量滴定の値(α)から電導度滴定の値(β)を減じた値ΔAEは、特定重合体よりなるポリマー粒子内のカルボキシル基の含有量の度合いを示す。以下、この値を「ポリマー粒子内のカルボキシル基含有度」という。
このポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEが上記の範囲にあることにより、カルボキシル基同士の相互作用によって水系粘着剤が高い凝集力を有し、従って高い粘着性を発揮できるものとなる。
式(2):α〔μeq/g〕=KOHの濃度〔N〕×(V1 −V0 )〔mL〕×1000/試料の重量〔g〕
式(3):β〔μeq/g〕=硫酸の濃度〔mol/L〕×滴定量〔mL〕×1000/試料の重量〔g〕
ガラス転移温度は、示差走査熱量計「SSC−5000型」(セイコー電子工業(株)製)を用いて測定される値である。
重合性単量体またはその混合物としては、特定重合体を得ることができるものであれば特に限定されないが、カルボキシル基含有単量体のハーフエステル体、メタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を含有する単量体混合物であることが好ましく、カルボキシル基含有単量体のハーフエステル体としては、例えばマレイン酸モノアルキル、イタコン酸モノアルキル、フタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]などを挙げることができる。
単量体混合物を構成する他の重合性単量体としては、例えば、アルキル基の炭素数が4〜12のアクリル酸アルキルエステルおよび/またはアルキル基の炭素数が4〜12のメタクリル酸アルキルエステルよりなる成分(以下、これを「A成分」という。)や、α,β−不飽和カルボン酸よりなる成分(以下、これを「B成分」という。)などを挙げることができ、さらには必要に応じてこれらと共重合可能な共重合性単量体よりなる成分(以下、これを「C成分」という。)をも挙げることができる。
以下、このような単量体混合物による重合体を「特定のアクリル重合体」という。
レドックス系重合開始剤を用い、かつ、このように重合反応を進行させることによって、効率的に重合反応を行うことができ、水系粘着剤を高い生産性で得ることができる。
酸化剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどの過酸化物などを挙げることができる。
一方、還元剤としては、例えば酸性亜硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸、果糖などの還元糖類、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄などの鉄塩などを挙げることができる。また、必要に応じてエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどのキレート剤を併用してもよい。
これらの組み合わせとして好ましいものとしては、例えば以下の(1)〜(3)の組み合わせを挙げることができる。
(1)過硫酸塩、酸性亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄
(2)t−ブチルハイドロパーオキサイド、酸性亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄
(3)p−メンタンハイドロパーオキサイド、硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドサルホキシレート
レドックス系重合開始剤の使用割合は、単量体混合物の0.01〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
ポリマー粒子の平均粒子径は、ナノサイザー(コールター社製)を用いて測定されるものである。
ヒドラジド基を2個以上有する架橋剤としては、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどの合計炭素数が2〜10、好ましくは4〜6であるジカルボン酸ジヒドラジド類;クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジドなどの3官能以上のヒドラジド類;エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ヒドラジン、ブチレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、ブチレン−2,3−ジヒドラジンなどの合計炭素数が2〜4である脂肪族ジヒドラジンが挙げられる。
架橋剤の割合がこのような範囲にあることにより、当該水系粘着剤よりなる粘着層を有する粘着性ラベル・テープ類が耐熱保持力を有するものとなる。架橋剤の割合が過大の場合には、当該水系粘着剤よりなる粘着層を有する粘着性ラベル・テープ類は、当該粘着層の被着体に対する粘着力が過小となって被着体からのウキが発生しやすいものとなり、また、基材に対する粘着剤の食い付きが不良なものとなる。
また、以上の水系粘着剤の製造方法によれば、上記の水系粘着剤を高い生産性で製造することができる。
また、ポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置「HCL−8020」(東ソー社製)を用いて測定した。
また、ゲル分率およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEは、上記と同様の方法によって測定した。
さらに、ガラス転移温度は、示差走査熱量計「SSC−5000型」(セイコー電子工業(株)製)」を用いて測定した。
〔単量体混合物の調製〕
2−エチルヘキシルアクリレート81.4重量部、メチルメタクリレート10重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5重量部、メタクリル酸3.3重量部、および2−メタクリロイロキシエチルコハク酸0.3重量部からなる単量体混合物を調製した。
撹拌機、温度調節器および還流式冷却器を備えたオートクレーブ内に、水47重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.02重量部、および重合開始剤として過硫酸カリウム0.4重量部を仕込み、40℃に昇温した。このオートクレーブ内に、上記の単量体混合物(100重量部)、分子量調節剤としてラウリルメルカプタン0.05重量部、乳化剤として「KH1025」(第一工業製薬社製)1.0重量部および水29重量部を添加した後、撹拌して乳化することによりプレエマルジョンを調製した。このプレエマルジョンの全量をオートクレーブ内に4時間かけて連続的に供給しながら、かつ、水9.85重量部、亜硫酸水素ナトリウム0.1重量部、硫酸第一鉄0.03重量部からなる開始剤溶液を5時間かけて連続的に供給しながら、最初の4時間は40℃で撹拌して単量体混合物の重合反応を行い、その後、50℃に昇温して3時間撹拌して合計7時間重合反応を行ってこれを完結させることにより、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸、および2−メタクリロイロキシエチルコハク酸の共重合体よりなる水系エマルジョンを得た。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−51℃、平均粒子径は280nmであり、また当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表1に示す。
上記の水系エマルジョンをアンモニアによりpH8.5に調整し、ポリカルボン酸系増粘剤「ASE−60」(ローム&ハース社製)を添加して、粘度(ブルックフィールド型粘計、No.4スピンドル、6r.p.m.で測定した。)を2×104 cpに調整した。次いで、この水系エマルジョンに、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを、当該水系エマルジョンのポリマー粒子を構成する共重合体中のカルボキシル基1当量に対して当該ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル中のエポキシ基が0.1当量となる割合で添加することにより、水系粘着剤〔1〕を製造した。
下記表1に示す配合に従って単量体混合物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−54℃、平均粒子径は276nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表1に示す。
この水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして水系粘着剤〔2〕を製造した。
下記表1に示す配合に従って単量体混合物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−52℃、平均粒子径は277nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表1に示す。
この水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして水系粘着剤〔3〕を製造した。
下記表1に示す配合に従って単量体混合物を調製し、ラウリルメルカプタンの使用量を0.05重量部から0.02重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−51℃、平均粒子径は280nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表1に示す。
この水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして水系粘着剤〔4〕を製造した。
下記表2に示す配合に従って単量体混合物を調製し、ラウリルメルカプタンの使用量を0.05重量部から0.1重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−52℃、平均粒子径は280nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表2に示す。
この水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして比較用の水系粘着剤〔5〕を製造した。
下記表2に示す配合に従って単量体混合物を調製し、単量体混合物の重合を70℃で行ったこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−51℃、平均粒子径は271nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表2に示す。
この水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして比較用の水系粘着剤〔6〕を製造した。
下記表2に示す配合に従って単量体混合物を調製し、ラウリルメルカプタン(分子量調節剤)を使用せず、単量体混合物の重合を75℃で行ったこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−50℃、平均粒子径は268nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表2に示す。
この水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして比較用の水系粘着剤〔7〕を製造した。
下記表2に示す配合に従って単量体混合物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−54℃、平均粒子径は273nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表2に示す。
各水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして比較用の水系粘着剤〔8〕を製造した。
下記表2に示す配合に従って単量体混合物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−50℃、平均粒子径は272nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表2に示す。
各水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして比較用の水系粘着剤〔9〕を製造した。
(1)乳化液の調製:
容器に、アニオン系界面活性剤「ラテムルE−118B」(花王社製)4重量部および脱イオン水20重量部を入れ、均一に溶解した。そこに、2−エチルヘキシルアクリレート48.5重量部、n−ブチルアクリレート48.5重量部、アクリル酸3重量部、およびラウリルメルカプタン0.1重量部を加えて乳化し、乳化液〔A〕(124.1重量部)を得た。
(2)水系エマルジョンの調製:
撹拌機、環流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に「ラテムルE−118B」0.02重量部および脱イオン水70重量部を入れ、窒素を吹き込みながら55℃まで昇温した。撹拌下、アニオン系水溶性重合開始剤「V−501」(和光純薬工業(株)製)の水溶液1重量部を添加し、次いで乳化液〔A〕を1.23重量部仕込み、55℃に保ちながら1時間重合反応を行った。次いで、残りの乳化液〔A〕(122.8重量部)および「V−501」の水溶液8重量部を、別々の滴下漏斗を使用して反応容器を55℃に保ちながら8時間かけて滴下して重合し、滴下終了後、同温度にて2時間撹拌した後、内容物を冷却して水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−57℃、平均粒子径は270nmであり、また当該ポリマー粒子を構成する共重合体の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表2に示す。
(3)水系粘着剤の製造:
上記の水系エマルジョンをアンモニアによりpH7.5に調整し、これを200メッシュ金網で濾過し、レベリング剤として「サーフィノール420」(エアー・プロダクツ・ジャパン社製)0.24重量部、「エポクロスWS−500」((株)日本触媒製)0.2重量部を添加した後、100メッシュ金網で濾過し、粘着付与樹脂としてロジン系樹脂「E−200」(荒川化学工業社製)を固形分で4重量部添加し、比較用の水系粘着剤〔10〕を得た。
以上の水系粘着剤を用いて以下の(1)の粘着剤貯蔵安定性についての評価を行った。結果を表3,4に示す。
また、以上の水系粘着剤を用いて基材の両面に粘着層が積層された両面粘着テープを作製した。すなわち、実施例1〜4および比較例1〜6で得られた水系粘着剤〔1〕〜〔4〕および比較用の水系粘着剤〔5〕〜〔10〕を、それぞれ剥離紙に各2枚ずつ塗布して乾燥することにより、厚みが40〜50g/m2 の粘着層を形成した後、これをレーヨン不織布(基材)の両側に挟んでロールを一回通してレーヨン不織布に転写した。1週間養生した後、25×25mmの大きさに裁断することにより試験片を作製した。この試験片を用い、以下の(2)〜(5)についての評価を行った。結果を表3,4に示す。
水系粘着剤の粘度を粘度計「B型粘度計」(東京計器社製)を用い、25℃60回転の測定条件で初期の粘度と、50℃の環境下に7日間放置後の粘度とを測定し、その粘度変化率が、±40%以内である場合を「良」、それよりも大きい場合を「増粘」として評価した。
黒画用紙に得られた両面粘着テープを貼り付け、浸透性の程度を目視にて観察した。浸透性の程度は、基材に水系粘着剤が浸透するほど透明性が増して黒画用紙の黒が透けて見えることから、水系粘着剤による粘着層を有さない基材(レーヨン不織布)の白さと比較して判断できる。
具体的には、
レーヨン不織布(白色)と同じである場合を「不良」として評価し、
レーヨン不織布(白色)と違い、黒く見える場合を「良」として評価した。
測定被着体としてステンレス板(SUS304)を用い、このステンレス板に上記の試験片を貼り付け(貼付面積25×25mm)、1kgの分銅で1分間圧着し、さらに測定雰囲気(80℃または120℃)で20分間養生させた後、測定雰囲気下で荷重1kgをかけ、1時間後のズレ幅(mm)または落下の有無で評価した。
測定被着体としてステンレス板(SUS304)を用い、このステンレス板に上記の試験片を貼り付け、温度23℃、湿度65RH%の雰囲気下において20分間放置後、JIS Z 0237の方法で剥離試験を行い、粘着力をN/25mmの単位で求めた。
JIS Z 0237の方法で測定した。なお、ボールタックは粘着力を表す一つの指標である。
比較例2は、架橋前のゲル分率が43%と本発明で規定された範囲外である樹脂を用いた場合の例であるが、基材浸透性に欠けることが確認された。
比較例3は、その樹脂の重量平均分子量(Mw)が本発明で規定された範囲外、具体的には重量平均分子量(Mw)が過大であり、かつ、架橋前のゲル分率が71%と本発明で規定された範囲外である樹脂を用いた場合の例であるが、基材浸透性に欠けることが確認された。
比較例4は、ΔAEが本発明で規定された範囲外、具体的には過小である樹脂を用いた場合の例であるが、高温における耐熱保持性に欠けることが確認された。
比較例5は、ΔAEが本発明で規定された範囲外、具体的には過小である樹脂を用いた場合の例であるが、貯蔵安定性が低く、増粘してしまうことが確認された。
比較例6は、ΔAEが本発明で規定された範囲外、具体的には過小である樹脂を用いた場合の例であるが、高温における耐熱保持性に欠け、さらにボールタックに示される粘着力も低いことが確認された。また、生産性が低かった。
Claims (3)
- 水系エマルジョンのポリマー粒子を含有し、
当該水系エマルジョンのポリマー粒子を構成する重合体が、
重量平均分子量(Mw)が60万〜1,000万、ゲル分率が30%以下、全酸量滴定の値と電導度滴定の値との差(ΔAE)が10〜200μeq/gであることを特徴とする水系粘着剤。 - さらに架橋剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の水系粘着剤。
- 請求項1に記載の水系粘着剤を製造する方法であって、
水系媒体中にレドックス系重合開始剤および重合性単量体を供給し、当該水系媒体中において重合性単量体を重合反応させることにより前記水系エマルジョンのポリマー粒子を得る工程を含み、
前記レドックス系重合開始剤を、重合性単量体の供給終了後も継続して連続的に供給して、重合反応を完結させることを特徴とする水系粘着剤の製造方法。
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