JP2009051894A - 水系粘着剤およびその製造方法 - Google Patents

水系粘着剤およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009051894A
JP2009051894A JP2007218070A JP2007218070A JP2009051894A JP 2009051894 A JP2009051894 A JP 2009051894A JP 2007218070 A JP2007218070 A JP 2007218070A JP 2007218070 A JP2007218070 A JP 2007218070A JP 2009051894 A JP2009051894 A JP 2009051894A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
weight
polymer particles
adhesive
aqueous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007218070A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5200452B2 (ja
Inventor
Minoru Kato
稔 加藤
Toshiyuki Ito
俊之 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2007218070A priority Critical patent/JP5200452B2/ja
Publication of JP2009051894A publication Critical patent/JP2009051894A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5200452B2 publication Critical patent/JP5200452B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】 十分な凝集力が得られて高い粘着性を発現することができ、さらに基材に対する高い浸透性を有する水系粘着剤およびその製造方法の提供。
【解決手段】 水系粘着剤は、水系エマルジョンのポリマー粒子を含有し、当該水系エマルジョンのポリマー粒子を構成する重合体が、重量平均分子量(Mw)が60万〜1,000万、ゲル分率が30%以下、全酸量滴定の値と電導度滴定の値との差(ΔAE)が10〜200μeq/gであることを特徴とする。この水系粘着剤においては、さらに架橋剤を含有することが好ましい。水系粘着剤の製造方法は、水系媒体中にレドックス系重合開始剤および重合性単量体を供給し、水系媒体中において重合性単量体を重合反応させることにより水系エマルジョンのポリマー粒子を得る工程を含み、レドックス系重合開始剤を、重合性単量体の供給終了後も継続して連続的に供給して、重合反応を完結させることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、粘着性のラベル、テープ、シートなどの粘着層の形成に好適に用いられる水系粘着剤およびその製造方法に関する。
近年、プラスチック製品が広く普及しているが、プラスチック製品にその商標、価格などを表示するため、あるいは当該プラスチック製品の包装、結束を行うため、紙などの基材の一面に粘着剤が塗布されて粘着層が形成された粘着性のラベル、テープ、シートなど(以下、単に「粘着性ラベル・テープ類」という。)が用いられている。また、自動車、OA機器、家電、建材などの工業用分野において、各種プラスチック、フォーム体、金属などの部品や部材に接着する目的で粘着テープが使用されている。これらの工業用途においては、厳しい環境条件下での接着信頼性など、より厳しい性能の達成が求められているため、従来、主として溶剤型アクリル系粘着剤が用いられてきたが、近年は、環境汚染抑制の観点などから、水系粘着剤の開発が要請されている。
水系粘着剤としては、例えば特許文献1には、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと酸性基を有するビニルモノマーとを特定の水溶性アゾ系開始剤を用いて水媒体中で乳化重合して、分岐または架橋構造が少なく、従って凝集力が適度に低減されて表面に凹凸を有する被着体に対する高い初期接着力を発現できる水系粘着剤を得ることが開示されている。
しかしながら、上記の粘着剤による粘着性ラベル・テープ類においては、凝集力の不足によって十分な粘着性が得られないことがあり、また、重合時の生産性に劣るという問題がある。
特開2006−274143号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、十分な凝集力が得られて高い粘着性を発現することができ、さらに基材に対する高い浸透性を有する水系粘着剤を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、上記の水系粘着剤を、高い生産性で製造できる水系粘着剤の製造方法を提供することにある。
本発明の水系粘着剤は、水系エマルジョンのポリマー粒子を含有し、
当該水系エマルジョンのポリマー粒子を構成する重合体が、
重量平均分子量(Mw)が60万〜1,000万、ゲル分率が30%以下、全酸量滴定の値と電導度滴定の値との差(ΔAE)が10〜200μeq/gであることを特徴とする。
本発明の水系粘着剤においては、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
本発明の水系粘着剤の製造方法は、上記の水系粘着剤を製造する方法であって、
水系媒体中にレドックス系重合開始剤および重合性単量体を供給し、当該水系媒体中において重合性単量体を重合反応させることにより前記水系エマルジョンのポリマー粒子を得る工程を含み、
前記レドックス系重合開始剤を、重合性単量体の供給終了後も継続して連続的に供給して、重合反応を完結させることを特徴とする。
本発明の水系粘着剤によれば、十分な高分子量のものであるために十分な凝集力が得られ、さらに重合体がΔAEに規定されるカルボキシル基の含有量が十分多いために当該カルボキシル基同士の相互作用によって高い凝集力が得られ、従って高い耐熱保持力が得られ、さらに特定の低いゲル分率を有することから粘着層を形成した場合に基材への高い浸透力が得られるために、粘着ラベル類として両面テープをも形成することができる。
また、本発明の水系粘着剤の製造方法によれば、上記の水系粘着剤を高い生産性で製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の水系粘着剤は、基材の一面または両面に塗布されて粘着層を形成し、粘着性のラベル、テープ、シートなどを構成することもでき、基材を用いずに基材レスの両面テープ、シートを構成することもできる。
本発明の水系粘着剤は、(a)重量平均分子量(Mw)が60万〜1,000万、(b)ゲル分率が30%以下、好ましくは20%以下、(c)全酸量滴定の値と電導度滴定の値との差ΔAEが10〜200μeq/gである重合体(以下、「特定重合体」という。)よりなるポリマー粒子による水系エマルジョンを含有してなるものである。
(a)重量平均分子量(Mw)
水系粘着剤における特定重合体の重量平均分子量(Mw)は、具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置「HCL−8020」(東ソー社製)を用いて測定されるポリスチレン換算のものである。
この重量平均分子量(Mw)が上記の範囲にあることにより、水系粘着剤が高い凝集力を発揮することができる。
また、水系粘着剤における特定重合体の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)(以下、「分子量分散比」という。)の値は、40〜800であることが好ましく、より好ましくは50〜700、さらに好ましくは60〜600である。
(b)ゲル分率
水系粘着剤における特定重合体のゲル分率は、テトラヒドロフラン不溶分によって示されるものである。
具体的には、試料(重量W1 mg)をテトラヒドロフラン中に室温で1週間浸漬した後、不溶物を取り出し、この不溶物を100℃で3時間乾燥させてその重量(W2 mg)を測定し、下記式(1)に従って算出することができる。
式(1):ゲル分率(%)=W2 /W1 ×100
この特定重合体のゲル分率が30%以下であることにより、この水系粘着剤を用いてテープなどの粘着層を形成する際にテープ基材への当該水系粘着剤の十分な浸透を得ることができる。
(c)全酸量滴定の値と電導度滴定の値との差ΔAE
水系粘着剤における特定重合体の全酸量滴定の値(α)と電導度滴定の値(β)との差、具体的には全酸量滴定の値(α)から電導度滴定の値(β)を減じた値ΔAEは、特定重合体よりなるポリマー粒子内のカルボキシル基の含有量の度合いを示す。以下、この値を「ポリマー粒子内のカルボキシル基含有度」という。
このポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEが上記の範囲にあることにより、カルボキシル基同士の相互作用によって水系粘着剤が高い凝集力を有し、従って高い粘着性を発揮できるものとなる。
このポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEにおいて、全酸量滴定の値(α)は、JIS K 2501に準じて測定される値であって、具体的には、250mLの三角フラスコにおいて乾燥した試料(特定重合体)0.2gにトルエン100mLおよびp−ナフトールベンゼイン溶液0.5mLを加えて1日間かけて溶解し、その後、0.1mol/Lの水酸化カリウム(KOH)の2−プロパノール溶液を用いて滴定し、黄とう色から緑色になった時点を終点(V1 mL)とし、同様にブランクの滴定量をV0 mLとして、下記式(2)によって算出されるものである。
式(2):α〔μeq/g〕=KOHの濃度〔N〕×(V1 −V0 )〔mL〕×1000/試料の重量〔g〕
また、ポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEにおいて、電導度滴定の値(β)は、KYOTO ELECTRONICS社製の「AT−410」を用いて測定される値であって、具体的には、300mLのビーカーに試料(特定重合体によるポリマー粒子の水系エマルジョン)0.87gを採取して純水で200mLに希釈し、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を320〜360μSになるまで撹拌下スポイトを用いて滴下し、約30秒間撹拌した溶液を0.01Nの硫酸を用いて滴定し、得られた電導度滴定曲線から特定重合体によるポリマー粒子の表面および水相に対する滴定量を得、その合計の滴定量を用いて下記式(3)に従って算出されるものである。
式(3):β〔μeq/g〕=硫酸の濃度〔mol/L〕×滴定量〔mL〕×1000/試料の重量〔g〕
水系粘着剤における特定重合体によるポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEは、後述する重合性単量体のうちのカルボキシル基含有単量体のハーフエステル体、メタクリル酸などの比較的疎水性のカルボキシル基含有単量体の全単量体中における使用量を制御することによって調整することができ、例えば全単量体100重量部中0.5〜7重量部用いることによって、ポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを上記の範囲に調整することができる。
また、水系粘着剤を構成する特定重合体のガラス転移温度は、−40℃以下、好ましくは−90℃〜−50℃とされる。当該特定重合体のガラス転移温度が−40℃を超える場合には、当該水系粘着剤よりなる粘着層を有する粘着性ラベル・テープ類は、当該粘着層のボールタックが低いものとなってしまう。なお、ボールタックは粘着力を表す一つの指標である。
ガラス転移温度は、示差走査熱量計「SSC−5000型」(セイコー電子工業(株)製)を用いて測定される値である。
上記の水系粘着剤を構成する特定重合体よりなるポリマー粒子の水系エマルジョンは、適宜の重合性単量体またはその混合物を、例えばレドックス系重合開始剤を用いて乳化重合することにより、得られる。
重合性単量体またはその混合物としては、特定重合体を得ることができるものであれば特に限定されないが、カルボキシル基含有単量体のハーフエステル体、メタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を含有する単量体混合物であることが好ましく、カルボキシル基含有単量体のハーフエステル体としては、例えばマレイン酸モノアルキル、イタコン酸モノアルキル、フタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]などを挙げることができる。
単量体混合物を構成する他の重合性単量体としては、例えば、アルキル基の炭素数が4〜12のアクリル酸アルキルエステルおよび/またはアルキル基の炭素数が4〜12のメタクリル酸アルキルエステルよりなる成分(以下、これを「A成分」という。)や、α,β−不飽和カルボン酸よりなる成分(以下、これを「B成分」という。)などを挙げることができ、さらには必要に応じてこれらと共重合可能な共重合性単量体よりなる成分(以下、これを「C成分」という。)をも挙げることができる。
以下、このような単量体混合物による重合体を「特定のアクリル重合体」という。
特定のアクリル重合体を重合するためのA成分を構成するアルキル基の炭素数が4〜12のアクリル酸アルキルエステルの具体例としては、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、ラウリルアクリレートなどが挙げられる。また、アルキル基の炭素数が4〜12のメタクリル酸アルキルエステルの具体例としては、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどが挙げられる。これらのアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルは、単独で若しくは2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの中では、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレートまたはラウリルメタクリレートが好ましい。
単量体混合物におけるA成分の使用割合は、80〜99重量%であることが好ましく、より好ましくは85〜99重量%、さらに好ましくは90〜98重量%である。単量体混合物におけるA成分の使用割合が上記の範囲以外である場合には、当該水系粘着剤よりなる粘着層を有する粘着性ラベル・テープ類は、被着体の伸縮に対して追随性が低いものとなって粘着性ラベル・テープ類が部分的に被着体の表面から剥離するいわゆるウキが生じやすいものとなる。
特定のアクリル重合体を重合するためのB成分であるα,β−不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ハーフエステル体などを挙げることができる。これらのα,β−不飽和カルボン酸は、単独で若しくは2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの中では、メタクリル酸またはフタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]が好ましい。単量体混合物におけるB成分の使用割合は、1.2〜8重量%であることが好ましく、より好ましくは1.2〜7重量%、さらに好ましくは1.5〜5重量%である。単量体混合物におけるB成分の割合が上記の範囲以外である場合には、当該水系粘着剤よりなる粘着層を有する粘着性ラベル・テープ類は、粘着力、耐熱保持力、貯蔵安定性に劣るものとなる。
特定のアクリル重合体を重合するためのC成分である共重合性単量体の具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレートなどのアルキル基の炭素数が3以下のアクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル;フェノキシメチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリル酸エステル;ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシブチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニル−n−プロピルケトン、ビニル−i−プロピルケトン、ビニル−n−ブチルケトン、ビニル−i−ブチルケトン、ビニル−t−ブチルケトン、ビニルフェニルケトン、ビニルベンジルケトン、ジビニルケトン、ジアセトンアクリルアミドなどのアルド基および/またはケト基含有ラジカル重合性モノマー;(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレートなどのニトリル基含有不飽和化合物;スチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−エチルビニルスチレン、α−メチルスチレン、α−フルオロスチレンなどのモノビニル芳香族化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類などが挙げられる。これらの共重合性単量体を適宜選択することにより、用いる単量体に応じた特性を有する水系粘着剤が得られる。
単量体混合物におけるC成分の使用割合は、10重量%以下とされることが好ましい。この割合が5重量%を超える場合には、当該水系粘着剤よりなる粘着層を有する粘着性ラベル・テープ類は、被着体からのウキやブリード現象が生じやすいものとなる。
上記の単量体混合物は、乳化重合法によって重合反応処理されることが好ましく、具体的には、これと水とを乳化剤を用いて乳化することによりプレエマルジョンとされ、これがレドックス系重合開始剤および分子量調節剤により、通常、不活性雰囲気下で重合反応処理され、これにより、特定重合体よりなるポリマー粒子による水系エマルジョンが得られる。
重合反応処理は、上記のプレエマルジョンおよびレドックス系重合開始剤を反応系に連続的に供給しながら単量体混合物の重合反応を行い、プレエマルジョンの反応系への供給終了後もレドックス系重合開始剤を継続して供給することにより、重合反応を完結させることが好ましい。ここに、レドックス系重合開始剤が例えば複数種類の酸化剤および/または複数種類の還元剤よりなるものである場合は、継続して供給されるレドックス系開始剤は、酸化剤および還元剤のうちそれぞれ少なくとも1種類ずつを含む組み合わせのものであればよい。
レドックス系重合開始剤を用い、かつ、このように重合反応を進行させることによって、効率的に重合反応を行うことができ、水系粘着剤を高い生産性で得ることができる。
レドックス系重合開始剤は、酸化剤と還元剤とを組み合わせた重合開始剤である。
酸化剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどの過酸化物などを挙げることができる。
一方、還元剤としては、例えば酸性亜硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸、果糖などの還元糖類、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄などの鉄塩などを挙げることができる。また、必要に応じてエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどのキレート剤を併用してもよい。
これらの組み合わせとして好ましいものとしては、例えば以下の(1)〜(3)の組み合わせを挙げることができる。
(1)過硫酸塩、酸性亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄
(2)t−ブチルハイドロパーオキサイド、酸性亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄
(3)p−メンタンハイドロパーオキサイド、硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドサルホキシレート
レドックス系重合開始剤の使用割合は、単量体混合物の0.01〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤を用いることができ、具体的には、花王(株)製の「ラテムルS−180A」、「PD−104」;三洋化成(株)製の「エレミノールJS−2」;第一工業製薬(株)製の「アクアロンKH−10」;旭電化工業(株)製の「アデカリアソープSE−10N」、「SR−10N」;日本乳化剤(株)製の「AntoxMS−60」;東邦化学工業(株)製の「サーフマーFP−120」などの反応性乳化剤などのいずれも用いることができる。乳化剤の使用割合は、単量体混合物の0.2〜7重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%、さらに好ましくは0.7〜5重量%である。この乳化剤の種類、使用割合を適宜選択することにより、目的とする大きさの平均粒子径を有するポリマー粒子による水系エマルジョンを得ることができる。
分子量調節剤としては、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル、イソプロピルアルコール、メタノール、四塩化炭素などを用いることができる。分子量調節剤の使用割合は、単量体混合物の0.001〜0.5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.003〜0.3重量%、さらに好ましくは0.005〜0.1重量%である。この分子量調節剤の種類、使用割合を適宜選択することにより、目的とする大きさの重量平均分子量(Mw)を有する重合体よりなるポリマー粒子による水系エマルジョンが得られる。
この水系粘着剤における水系エマルジョンのポリマー粒子の平均粒子径は、100〜500nm、好ましくは150〜450nm、さらに好ましくは180〜400nmとされる。当該ポリマー粒子の平均粒子径が100nm未満の場合には、当該水系粘着剤よりなる粘着層を有する粘着性ラベル・テープ類は、当該粘着層が被着体に対する粘着力が過大なものとなってしまう。一方、当該ポリマー粒子の平均粒子径が500nmを超える場合には、当該水系粘着剤よりなる粘着層を有する粘着性ラベル・テープ類は、当該粘着層の粘着力が低いものとなってしまう。
ポリマー粒子の平均粒子径は、ナノサイザー(コールター社製)を用いて測定されるものである。
この水系粘着剤は、特定重合体よりなるポリマー粒子の水系エマルジョンに、架橋剤が添加されてなるものであることが好ましい。
水系粘着剤を構成する架橋剤としては、通常用いる架橋剤を使用することができ、例えば、多官能のイソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジピン酸ジヒドラジドなどのジヒドラジド化合物などが挙げられる。この架橋剤は、油溶性および水溶性のいずれであってもよい。これらの架橋剤は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋剤としては、例えば水系エマルジョンのポリマー粒子を構成する重合体が上記のような特定のアクリル重合体である場合は、エポキシ系架橋剤のうち、特にエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N’,N’−ペンタグリシジルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミンなどの2個以上のエポキシ基を含有するポリグリシジル化合物を用いることが好ましい。
水系エマルジョンのポリマー粒子を構成する重合体が上記のような特定のアクリル重合体である場合における架橋剤の添加割合は、当該架橋剤によって導入されるエポキシ基が、水系エマルジョンのポリマー粒子を構成する特定重合体中のカルボキシル基1当量に対して0.005〜2当量となる割合とされることが好ましい。また、アルド基および/またはケト基含有ラジカル重合性モノマーを用いた場合、ヒドラジド基を2個以上有する架橋剤の使用量は、アルド基および/またはケト基1当量に対して0.01〜1当量の範囲である。
ヒドラジド基を2個以上有する架橋剤としては、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどの合計炭素数が2〜10、好ましくは4〜6であるジカルボン酸ジヒドラジド類;クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジドなどの3官能以上のヒドラジド類;エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ヒドラジン、ブチレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、ブチレン−2,3−ジヒドラジンなどの合計炭素数が2〜4である脂肪族ジヒドラジンが挙げられる。
架橋剤の割合がこのような範囲にあることにより、当該水系粘着剤よりなる粘着層を有する粘着性ラベル・テープ類が耐熱保持力を有するものとなる。架橋剤の割合が過大の場合には、当該水系粘着剤よりなる粘着層を有する粘着性ラベル・テープ類は、当該粘着層の被着体に対する粘着力が過小となって被着体からのウキが発生しやすいものとなり、また、基材に対する粘着剤の食い付きが不良なものとなる。
本発明の水系粘着剤においては、一般の水系粘着剤に用いられる種々の添加剤、例えば白色顔料、増粘剤、湿潤剤、アルカリ剤、安定剤および乳化剤、防腐剤、防カビ剤などを加えることができる。
本発明の水系粘着剤を用いて粘着性ラベル・テープ類の粘着層を形成する場合において、当該粘着性ラベル・テープ類の基材としては、紙、布、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、発泡体、金属箔などを用いることができるが、当該水系粘着剤が高い凝集力を有するため、基材を用いずに基材レスの両面テープとして構成することもできる。また、当該粘着性ラベル・テープ類が使用される被着体としては、プラスチック、金属、紙、ガラス、シリコーン、セラミック、肌などを挙げることができる。
以上の水系粘着剤によれば、十分な高分子量のものであるために十分な凝集力が得られ、さらに特定重合体よるなるポリマー粒子がΔAEに規定されるカルボキシル基の含有量が十分多いために当該カルボキシル基同士の相互作用によって高い凝集力が得られ、従って高い耐熱保持力が得られ、さらに特定の低いゲル分率を有することから粘着層を形成した場合に基材への高い浸透力が得られるために、粘着ラベル類として両面テープをも形成することができる。
また、以上の水系粘着剤の製造方法によれば、上記の水系粘着剤を高い生産性で製造することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また、以下の実施例および比較例において、ポリマー粒子の平均粒子径は、ナノサイザー(コールター社製)を用いて測定した。
また、ポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置「HCL−8020」(東ソー社製)を用いて測定した。
また、ゲル分率およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEは、上記と同様の方法によって測定した。
さらに、ガラス転移温度は、示差走査熱量計「SSC−5000型」(セイコー電子工業(株)製)」を用いて測定した。
<実施例1>
〔単量体混合物の調製〕
2−エチルヘキシルアクリレート81.4重量部、メチルメタクリレート10重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5重量部、メタクリル酸3.3重量部、および2−メタクリロイロキシエチルコハク酸0.3重量部からなる単量体混合物を調製した。
〔水系エマルジョンの調製〕
撹拌機、温度調節器および還流式冷却器を備えたオートクレーブ内に、水47重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.02重量部、および重合開始剤として過硫酸カリウム0.4重量部を仕込み、40℃に昇温した。このオートクレーブ内に、上記の単量体混合物(100重量部)、分子量調節剤としてラウリルメルカプタン0.05重量部、乳化剤として「KH1025」(第一工業製薬社製)1.0重量部および水29重量部を添加した後、撹拌して乳化することによりプレエマルジョンを調製した。このプレエマルジョンの全量をオートクレーブ内に4時間かけて連続的に供給しながら、かつ、水9.85重量部、亜硫酸水素ナトリウム0.1重量部、硫酸第一鉄0.03重量部からなる開始剤溶液を5時間かけて連続的に供給しながら、最初の4時間は40℃で撹拌して単量体混合物の重合反応を行い、その後、50℃に昇温して3時間撹拌して合計7時間重合反応を行ってこれを完結させることにより、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸、および2−メタクリロイロキシエチルコハク酸の共重合体よりなる水系エマルジョンを得た。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−51℃、平均粒子径は280nmであり、また当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表1に示す。
〔水系粘着剤の製造〕
上記の水系エマルジョンをアンモニアによりpH8.5に調整し、ポリカルボン酸系増粘剤「ASE−60」(ローム&ハース社製)を添加して、粘度(ブルックフィールド型粘計、No.4スピンドル、6r.p.m.で測定した。)を2×104 cpに調整した。次いで、この水系エマルジョンに、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを、当該水系エマルジョンのポリマー粒子を構成する共重合体中のカルボキシル基1当量に対して当該ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル中のエポキシ基が0.1当量となる割合で添加することにより、水系粘着剤〔1〕を製造した。
<実施例2>
下記表1に示す配合に従って単量体混合物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−54℃、平均粒子径は276nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表1に示す。
この水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして水系粘着剤〔2〕を製造した。
<実施例3>
下記表1に示す配合に従って単量体混合物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−52℃、平均粒子径は277nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表1に示す。
この水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして水系粘着剤〔3〕を製造した。
<実施例4>
下記表1に示す配合に従って単量体混合物を調製し、ラウリルメルカプタンの使用量を0.05重量部から0.02重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−51℃、平均粒子径は280nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表1に示す。
この水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして水系粘着剤〔4〕を製造した。
<比較例1>
下記表2に示す配合に従って単量体混合物を調製し、ラウリルメルカプタンの使用量を0.05重量部から0.1重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−52℃、平均粒子径は280nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表2に示す。
この水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして比較用の水系粘着剤〔5〕を製造した。
<比較例2>
下記表2に示す配合に従って単量体混合物を調製し、単量体混合物の重合を70℃で行ったこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−51℃、平均粒子径は271nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表2に示す。
この水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして比較用の水系粘着剤〔6〕を製造した。
<比較例3>
下記表2に示す配合に従って単量体混合物を調製し、ラウリルメルカプタン(分子量調節剤)を使用せず、単量体混合物の重合を75℃で行ったこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−50℃、平均粒子径は268nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表2に示す。
この水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして比較用の水系粘着剤〔7〕を製造した。
<比較例4>
下記表2に示す配合に従って単量体混合物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−54℃、平均粒子径は273nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表2に示す。
各水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして比較用の水系粘着剤〔8〕を製造した。
<比較例5>
下記表2に示す配合に従って単量体混合物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−50℃、平均粒子径は272nmであった。当該ポリマー粒子を構成する共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表2に示す。
各水系エマルジョンを用いて実施例1と同様にして比較用の水系粘着剤〔9〕を製造した。
<比較例6>
(1)乳化液の調製:
容器に、アニオン系界面活性剤「ラテムルE−118B」(花王社製)4重量部および脱イオン水20重量部を入れ、均一に溶解した。そこに、2−エチルヘキシルアクリレート48.5重量部、n−ブチルアクリレート48.5重量部、アクリル酸3重量部、およびラウリルメルカプタン0.1重量部を加えて乳化し、乳化液〔A〕(124.1重量部)を得た。
(2)水系エマルジョンの調製:
撹拌機、環流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に「ラテムルE−118B」0.02重量部および脱イオン水70重量部を入れ、窒素を吹き込みながら55℃まで昇温した。撹拌下、アニオン系水溶性重合開始剤「V−501」(和光純薬工業(株)製)の水溶液1重量部を添加し、次いで乳化液〔A〕を1.23重量部仕込み、55℃に保ちながら1時間重合反応を行った。次いで、残りの乳化液〔A〕(122.8重量部)および「V−501」の水溶液8重量部を、別々の滴下漏斗を使用して反応容器を55℃に保ちながら8時間かけて滴下して重合し、滴下終了後、同温度にて2時間撹拌した後、内容物を冷却して水系エマルジョンを調製した。
この水系エマルジョン中のポリマー粒子のガラス転移温度は−57℃、平均粒子径は270nmであり、また当該ポリマー粒子を構成する共重合体の重量平均分子量(Mw)、ゲル分率、およびポリマー粒子内のカルボキシル基含有度ΔAEを表2に示す。
(3)水系粘着剤の製造:
上記の水系エマルジョンをアンモニアによりpH7.5に調整し、これを200メッシュ金網で濾過し、レベリング剤として「サーフィノール420」(エアー・プロダクツ・ジャパン社製)0.24重量部、「エポクロスWS−500」((株)日本触媒製)0.2重量部を添加した後、100メッシュ金網で濾過し、粘着付与樹脂としてロジン系樹脂「E−200」(荒川化学工業社製)を固形分で4重量部添加し、比較用の水系粘着剤〔10〕を得た。
〔水系粘着剤の評価〕
以上の水系粘着剤を用いて以下の(1)の粘着剤貯蔵安定性についての評価を行った。結果を表3,4に示す。
また、以上の水系粘着剤を用いて基材の両面に粘着層が積層された両面粘着テープを作製した。すなわち、実施例1〜4および比較例1〜6で得られた水系粘着剤〔1〕〜〔4〕および比較用の水系粘着剤〔5〕〜〔10〕を、それぞれ剥離紙に各2枚ずつ塗布して乾燥することにより、厚みが40〜50g/m2 の粘着層を形成した後、これをレーヨン不織布(基材)の両側に挟んでロールを一回通してレーヨン不織布に転写した。1週間養生した後、25×25mmの大きさに裁断することにより試験片を作製した。この試験片を用い、以下の(2)〜(5)についての評価を行った。結果を表3,4に示す。
(1)粘着剤貯蔵安定性
水系粘着剤の粘度を粘度計「B型粘度計」(東京計器社製)を用い、25℃60回転の測定条件で初期の粘度と、50℃の環境下に7日間放置後の粘度とを測定し、その粘度変化率が、±40%以内である場合を「良」、それよりも大きい場合を「増粘」として評価した。
(2)基材浸透性
黒画用紙に得られた両面粘着テープを貼り付け、浸透性の程度を目視にて観察した。浸透性の程度は、基材に水系粘着剤が浸透するほど透明性が増して黒画用紙の黒が透けて見えることから、水系粘着剤による粘着層を有さない基材(レーヨン不織布)の白さと比較して判断できる。
具体的には、
レーヨン不織布(白色)と同じである場合を「不良」として評価し、
レーヨン不織布(白色)と違い、黒く見える場合を「良」として評価した。
(3)耐熱保持性
測定被着体としてステンレス板(SUS304)を用い、このステンレス板に上記の試験片を貼り付け(貼付面積25×25mm)、1kgの分銅で1分間圧着し、さらに測定雰囲気(80℃または120℃)で20分間養生させた後、測定雰囲気下で荷重1kgをかけ、1時間後のズレ幅(mm)または落下の有無で評価した。
(4)粘着力
測定被着体としてステンレス板(SUS304)を用い、このステンレス板に上記の試験片を貼り付け、温度23℃、湿度65RH%の雰囲気下において20分間放置後、JIS Z 0237の方法で剥離試験を行い、粘着力をN/25mmの単位で求めた。
(5)ボールタック
JIS Z 0237の方法で測定した。なお、ボールタックは粘着力を表す一つの指標である。
上記表3および表4から明らかなように、実施例1〜4に係る水系粘着剤は、十分な貯蔵安定性、基材浸透性、耐熱保持性が得られ、しかも優れた粘着性を有するものであった。これに対して、比較例1〜6に係る水系粘着剤は、以下に述べるように不適なものであった。
比較例1は、その樹脂の重量平均分子量(Mw)が本発明で規定された範囲外、具体的には重量平均分子量(Mw)が過小である樹脂を用いた場合の例であるが、耐熱保持性に欠けることが確認された。
比較例2は、架橋前のゲル分率が43%と本発明で規定された範囲外である樹脂を用いた場合の例であるが、基材浸透性に欠けることが確認された。
比較例3は、その樹脂の重量平均分子量(Mw)が本発明で規定された範囲外、具体的には重量平均分子量(Mw)が過大であり、かつ、架橋前のゲル分率が71%と本発明で規定された範囲外である樹脂を用いた場合の例であるが、基材浸透性に欠けることが確認された。
比較例4は、ΔAEが本発明で規定された範囲外、具体的には過小である樹脂を用いた場合の例であるが、高温における耐熱保持性に欠けることが確認された。
比較例5は、ΔAEが本発明で規定された範囲外、具体的には過小である樹脂を用いた場合の例であるが、貯蔵安定性が低く、増粘してしまうことが確認された。
比較例6は、ΔAEが本発明で規定された範囲外、具体的には過小である樹脂を用いた場合の例であるが、高温における耐熱保持性に欠け、さらにボールタックに示される粘着力も低いことが確認された。また、生産性が低かった。

Claims (3)

  1. 水系エマルジョンのポリマー粒子を含有し、
    当該水系エマルジョンのポリマー粒子を構成する重合体が、
    重量平均分子量(Mw)が60万〜1,000万、ゲル分率が30%以下、全酸量滴定の値と電導度滴定の値との差(ΔAE)が10〜200μeq/gであることを特徴とする水系粘着剤。
  2. さらに架橋剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の水系粘着剤。
  3. 請求項1に記載の水系粘着剤を製造する方法であって、
    水系媒体中にレドックス系重合開始剤および重合性単量体を供給し、当該水系媒体中において重合性単量体を重合反応させることにより前記水系エマルジョンのポリマー粒子を得る工程を含み、
    前記レドックス系重合開始剤を、重合性単量体の供給終了後も継続して連続的に供給して、重合反応を完結させることを特徴とする水系粘着剤の製造方法。
JP2007218070A 2007-08-24 2007-08-24 水系粘着剤およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5200452B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007218070A JP5200452B2 (ja) 2007-08-24 2007-08-24 水系粘着剤およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007218070A JP5200452B2 (ja) 2007-08-24 2007-08-24 水系粘着剤およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009051894A true JP2009051894A (ja) 2009-03-12
JP5200452B2 JP5200452B2 (ja) 2013-06-05

Family

ID=40503259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007218070A Expired - Fee Related JP5200452B2 (ja) 2007-08-24 2007-08-24 水系粘着剤およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5200452B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011052595A1 (ja) * 2009-10-29 2011-05-05 日東電工株式会社 粘着テープおよびそれを用いた結束材、並びに結束部品
JP2011093956A (ja) * 2009-10-27 2011-05-12 Lintec Corp 水分散型アクリル系粘着剤組成物、粘着シート及びその製造方法
WO2014002203A1 (ja) * 2012-06-27 2014-01-03 株式会社寺岡製作所 粘着剤組成物及びそれを用いた粘着テープ
JP7040661B1 (ja) 2021-06-29 2022-03-23 東洋インキScホールディングス株式会社 粘着剤組成物及び粘着シート

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09134991A (ja) * 1995-11-07 1997-05-20 Soken Chem & Eng Co Ltd リードフレームメッキマスキング用粘着テープ
JP2001504867A (ja) * 1996-08-22 2001-04-10 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 高濃度の感圧接着剤分散液の製造及びその使用
JP2007084781A (ja) * 2005-02-28 2007-04-05 Dainippon Ink & Chem Inc アクリル系水性粘着剤組成物の製造方法
JP2008156485A (ja) * 2006-12-25 2008-07-10 Nitto Denko Corp 水性感圧接着剤組成物とその利用

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09134991A (ja) * 1995-11-07 1997-05-20 Soken Chem & Eng Co Ltd リードフレームメッキマスキング用粘着テープ
JP2001504867A (ja) * 1996-08-22 2001-04-10 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 高濃度の感圧接着剤分散液の製造及びその使用
JP2007084781A (ja) * 2005-02-28 2007-04-05 Dainippon Ink & Chem Inc アクリル系水性粘着剤組成物の製造方法
JP2008156485A (ja) * 2006-12-25 2008-07-10 Nitto Denko Corp 水性感圧接着剤組成物とその利用

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011093956A (ja) * 2009-10-27 2011-05-12 Lintec Corp 水分散型アクリル系粘着剤組成物、粘着シート及びその製造方法
WO2011052595A1 (ja) * 2009-10-29 2011-05-05 日東電工株式会社 粘着テープおよびそれを用いた結束材、並びに結束部品
CN102597146A (zh) * 2009-10-29 2012-07-18 日东电工株式会社 胶粘带、使用该胶粘带的捆扎材料和捆扎部件
EP2495294A1 (en) * 2009-10-29 2012-09-05 Nitto Denko Corporation Adhesive tape, binding material using same, and binding part
EP2495294A4 (en) * 2009-10-29 2013-11-13 Nitto Denko Corp ADHESIVE TAPE, LINK MATERIAL USING THE SAME, AND LINK PIECE
JP5705125B2 (ja) * 2009-10-29 2015-04-22 日東電工株式会社 粘着テープおよびそれを用いた結束材、並びに結束部品
CN104411795A (zh) * 2012-06-27 2015-03-11 株式会社寺冈制作所 粘合剂组合物及使用其的粘合带
WO2014002203A1 (ja) * 2012-06-27 2014-01-03 株式会社寺岡製作所 粘着剤組成物及びそれを用いた粘着テープ
KR101622867B1 (ko) * 2012-06-27 2016-05-20 가부시키가이샤 데라오카 세이사쿠쇼 점착제 조성물 및 그를 이용한 점착 테이프
JPWO2014002203A1 (ja) * 2012-06-27 2016-05-26 株式会社寺岡製作所 粘着剤組成物及びそれを用いた粘着テープ
JP7040661B1 (ja) 2021-06-29 2022-03-23 東洋インキScホールディングス株式会社 粘着剤組成物及び粘着シート
WO2023276331A1 (ja) * 2021-06-29 2023-01-05 東洋インキScホールディングス株式会社 粘着剤組成物及び粘着シート
JP2023005349A (ja) * 2021-06-29 2023-01-18 東洋インキScホールディングス株式会社 粘着剤組成物及び粘着シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP5200452B2 (ja) 2013-06-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4824839B1 (ja) 水系粘着剤組成物およびその製造方法
JP4839707B2 (ja) 両面粘着テープ及び両面粘着テープの製造方法
JP2008037959A (ja) 水性感圧接着剤組成物の製造方法
JP5200452B2 (ja) 水系粘着剤およびその製造方法
JP5028754B2 (ja) 水分散型アクリル系粘着剤組成物、及びそれを用いた接着シート
TW460556B (en) Acrylic emulsions and processes for preparing them
KR100866835B1 (ko) 하이솔리드 psa 점착제 및 그 제조방법 그리고 그 2차제품
KR20150010573A (ko) 점착성이 우수한 아크릴계 에멀젼 수지 및 이의 제조방법
JP3670049B2 (ja) ディレードタック型粘着剤組成物
JP4351834B2 (ja) フィルム基材用水性粘着剤組成物
JP4895072B2 (ja) アクリル系水性粘着剤組成物の製造方法
JP2000313865A (ja) エマルジョン型粘着剤
JP4572720B2 (ja) 水分散型アクリル系樹脂の製造方法、並びにそれにより製造される水分散型アクリル粘着剤組成物及び粘着シート
JP5348875B2 (ja) 剥離型水性粘着剤組成物、剥離型粘着剤及びそれを用いた養生用粘着シートまたはテープ
JP6929218B2 (ja) 水性粘着剤組成物の製造方法、水性粘着剤組成物および粘着シート
JP5512119B2 (ja) アクリルエマルション粘着剤
JP5028753B2 (ja) 水分散型アクリル系粘着剤組成物、及びそれを用いた粘着シート
JP2002121224A (ja) 水性エマルジョン及びこれを用いた二液硬化型エマルジョン系接着剤
JP2009155523A (ja) 樹脂組成物及び接着剤
JPH08165464A (ja) 水系感圧接着剤
JP4362148B2 (ja) 水分散型アクリル系感圧性接着剤の製造方法
JP2022546911A (ja) アクリル系接着剤組成物
JP2000355680A (ja) 成形体の製造方法
JP2013049742A (ja) 水系粘着剤組成物
JPH0339522B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100614

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120904

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5200452

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160222

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees