JP2008156485A - 水性感圧接着剤組成物とその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る水性感圧接着剤組成物は、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとするモノマー原料を重合してなるポリマーであって酢酸エチル不溶分の質量割合が18%以下且つTHF可溶分の質量平均分子量が70万〜110万であるアクリル系ポリマーを主体とする。該組成物は:(A)前記ポリマーに配合されたヒドラジン系架橋剤;および(B)前記ポリマーに配合されたヒドラジン系架橋剤およびエポキシ系架橋剤;のいずれかの架橋システムにより架橋されて酢酸エチル不溶分の質量割合が40〜65%の感圧接着剤を与える。
【選択図】なし
Description
このような状況のもと、より高性能な感圧接着シートを形成可能なアクリル系水性感圧接着剤組成物が求められている。例えば、接着力(粘着力)、凝集力(特に高温環境下における凝集力(耐熱保持力))および端末剥がれ防止性という複数の特性をより高度なレベルでバランス良く発揮し得る感圧接着シートを与えるアクリル系水性感圧接着剤組成物が提供されれば有用である。
かかる構成の感圧接着剤組成物によると、接着力(粘着力)、高温環境下における凝集力(耐熱保持力)および端末剥がれ防止性の3つの特性を高度なレベルでバランス良く発揮する高性能な粘着剤(典型的には粘着剤層)が形成され得る。
(A)前記アクリル系ポリマーに配合されているヒドラジン系架橋剤。
(B)前記アクリル系ポリマーに配合されているヒドラジン系架橋剤およびエポキシ系架橋剤。
かかる架橋システムを備える感圧接着剤組成物は、酢酸エチル不溶分の質量割合が上記範囲となるように架橋されて、上記3つの特性をより高度なレベルでバランス良く実現する粘着剤を形成するものであり得る。
CH2=C(R1)COOR2 ・・・(1);
で表される化合物から選択される一種または二種以上であり得る。ここで、上記式(1)中のR1は水素原子またはメチル基である。また、該式(1)中のR2は炭素原子数1〜20のアルキル基である。上記R2の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基等が挙げられる。これらのうち炭素原子数が2〜14(以下、このような炭素原子数の範囲を「C2-14」と表すことがある。)のアルキル基が好ましく、C2-10のアルキル基(例えばブチル基、2−エチルヘキシル基等)がより好ましい。
N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;等の、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体。
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ビニルアルコール、アリルアルコール、N−メチロールアクリルアミド;等の、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体。
グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等の、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体。
3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の、アルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和単量体。
かかる官能基含有モノマーを含む組成のモノマー原料では、アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対する官能基含有モノマー(二種以上を含む場合にはそれらの合計)の含有割合を例えば凡そ12質量部以下(典型的には凡そ0.5〜12質量部)とすることができる。この割合がアルキル(メタ)アクリレート100質量部に対して凡そ8質量部以下(典型的には凡そ1〜8質量部)であってもよい。
上記「アクリル系ポリマーのゲル分率(Ga)」は、次の方法により測定される。
測定サンプルとしてのアクリル系ポリマー約0.1g(質量:Wa1mg)を、平均孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン樹脂製多孔質膜(質量:Wa2mg)で巾着状に包み、口を凧糸(質量:Wa3mg)で縛る。この包みを容量50mLのスクリュー管に入れ(1個の包みにつきスクリュー管1本を使用する。)、該スクリュー管に酢酸エチルを満たす。これを室温(典型的には23℃)で7日間放置した後、上記包みを取り出して130℃で2時間乾燥させ、該包みの質量(Wa4mg)を測定する。アクリル系ポリマーのゲル分率(Ga)は、各値を以下の式:
Ga[%]=[(Wa4−Wa2−Wa3)/Wa1]×100;
に代入することにより求められる。
上記「アクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)」は、次の方法により測定される。
測定サンプルとしてのアクリル系ポリマーを室温(典型的には23℃)にてテトラヒドロフラン(THF)に7日間浸漬してTHF可溶分を溶出させる。その後、THF不溶分を濾別し、その濾液を必要に応じて濃縮または希釈して(いったん乾燥させた後、THFに再溶解させてもよい。)、THF可溶分を適当な濃度(例えば凡そ0.1〜0.3質量%程度。後述する実施例では0.2質量%とした。)で含むTHF溶液を調製する。このTHF溶液を平均孔径0.45μmのフィルターで濾過した濾液(分子量測定用の試料溶液)につき、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)装置により標準ポリスチレン換算の質量平均分子量を求め、その値をTHF可溶分の質量平均分子量(Mw)とする。GPC装置としては、例えば、東ソー株式会社製品、機種名「HLC−8120GPC」(カラム:TSKgel GMH−H(S))を用いることができる。上記測定に供する測定サンプルとしては、例えば、アクリル系ポリマーの水性エマルジョンを130℃で2時間乾燥させたものを用いるとよい。
例えば、上記架橋システム(A)を備える粘着剤組成物では、上記アクリル系ポリマーのゲル分率(Ga)が凡そ3%〜18%(例えば凡そ5%〜18%、より好ましくは凡そ10%〜18%)の範囲にあることが好ましく、質量平均分子量(Mw)が凡そ70万〜110万(例えば凡そ80万〜110万)の範囲にあることが好ましい。上記架橋システム(B)を備える粘着剤組成物では、上記アクリル系ポリマーのゲル分率(Ga)が0%〜凡そ15%(例えば0%〜凡そ10%)の範囲にあることが好ましく、質量平均分子量(Mw)が凡そ70万〜110万(例えば凡そ75万〜110万、より好ましくは凡そ80万〜110万)の範囲にあることが好ましい。
上記「粘着剤のゲル分率(Gb)」は、次の方法により測定される。
剥離ライナー上に粘着剤組成物を付与(典型的には塗布)する。これを100℃で3分間乾燥させて上記剥離ライナー上に厚み約50〜100μmの粘着剤層を形成し、さらにこれを50℃の環境下に3日間保存する。その後、該粘着剤層から約0.1g(質量:Wb1mg)の粘着剤サンプルを採取し、それを平均孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン樹脂製多孔質膜(質量:Wb2mg)で巾着状に包み、口を凧糸(質量:Wb3mg)で縛る。この包みを容量50mLのスクリュー管に入れ(1個の包みにつきスクリュー管1本を使用する。)、該スクリュー管に酢酸エチルを満たす。これを室温(典型的には23℃)で7日間放置した後、上記包みを取り出して130℃で2時間乾燥させ、該包みの質量(Wb4mg)を測定する。粘着剤のゲル分率(Gb)は、各値を以下の式:
Gb[%]=[(Wb4−Wb2−Wb3)/Wb1]×100;
に代入することにより求められる。
かかる粘着付与剤は、典型的には、アクリル系ポリマーの水性エマルジョンに添加して用いられる。粘着付与剤の添加態様は特に限定されない。通常は、該粘着付与剤が水に分散された水分散液(粘着付与剤エマルジョン)の形態で添加することが適当である。
このようなポリマー成分は、例えば、該ポリマー成分が水に分散したエマルジョンの形態で、上記アクリル系ポリマーの水性エマルジョンに配合して用いられ得る。該ポリマー成分の含有量(配合割合)は、不揮発分(固形分)換算として、アクリル系ポリマー100質量部に対して通常は凡そ50質量部以下(例えば凡そ5〜50質量部)とすることが適当である。かかるポリマー成分の配合割合を5質量部以下としてもよく、該ポリマー成分を実質的に含有しない組成の粘着剤組成物であってもよい。
図2(a),(b)は、基材レスの粘着テープの構成例である。図2(a)に示す粘着シート13は、基材レスの粘着剤層2の両面が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー3によってそれぞれ保護された構成を有する。図2(b)に示す粘着シート14は、基材レスの粘着剤層2の一面が、両面が剥離面となっている剥離ライナー3により保護された構成を有し、これを巻回すると粘着剤層2の他面が剥離ライナー3に当接して該他面もまた剥離ライナー3で保護された構成とできるようになっている。
図3(a),(b)は、片面粘着タイプの基材付き粘着シートの構成例である。図3(a)に示す粘着シート15は、基材1の片面に粘着剤層2が設けられ、その粘着剤層2の表面(接着面)が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー3によって保護された構成を有する。図3(b)に示す粘着シート16は、基材1の一面に粘着剤層2が設けられた構成を有する。その基材1の他面は剥離面となっており、粘着シート16を巻回すると該他面に粘着剤層2が当接して該粘着剤層の表面(接着面)が基材1の他面で保護された構成とできるようになっている。
[GPC測定条件]
試料溶液注入量:10μL(濃度0.2質量%のTHF溶液)
溶離液:THF
流速:0.6mL/分
測定温度:40℃
カラム:TSKgel GMH−H(S)
検出器:示差屈折計
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(重合開始剤)(和光純薬工業株式会社製品、商品名「VA−057」を使用した。)0.1部およびイオン交換水35部を投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。これを60℃に保ち、ここにブチルアクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート70部、アクリル酸4部、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)0.5部、ドデカンチオール(連鎖移動剤)0.030部およびポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)2部をイオン交換水40部に添加して乳化したもの(すなわち、モノマー原料のエマルジョン)を3時間かけて徐々に滴下して乳化重合反応を進行させた。モノマー原料エマルジョンの滴下終了後、さらに3時間同温度に保持して熟成させた。これに10%アンモニウム水を添加して液性をpH7.5に調整した。このようにして、アクリル系ポリマーの水分散液(エマルジョン)を得た。以下、このアクリル系ポリマーエマルジョンを「エマルジョン(a)」ということがある。
該エマルジョン(a)を構成するアクリル系ポリマーにつき、上記方法を適用してTHF可溶分の質量平均分子量(Mw)および酢酸エチル不溶分の質量割合(ゲル分率)(Ga)を測定した。その結果、該アクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)は107×104であり、ゲル分率(Ga)は17.1%であった。
上記基材レスの粘着シートを作製から3日間50℃の環境下に保存した後、該粘着シートから粘着剤サンプルを採取し、上述した方法によって架橋後の粘着剤に占める酢酸エチル不溶分の質量割合(ゲル分率)(Gb)を測定した。その結果、該粘着剤のゲル分率Gbは48.1%であった。
例1で使用したモノマー原料においてドデカンチオールの使用量を0.033部に変更した。その他の点については例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョン(b)」ということがある。)を得た。該エマルジョン(b)を構成するアクリル系ポリマーにつき例1と同様にして測定した質量平均分子量(Mw)は98.6×104であり、ゲル分率(Ga)は12.9%であった。
このエマルジョン(b)に対し、例1で用いたものと同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加し、さらに上記アクリル系ポリマー100部当たり0.15部の割合でADHを添加して例2に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により基材レスの粘着シートおよびPET基材上に粘着剤層を有する粘着シートを作製した。例1と同様にして測定した粘着剤のゲル分率(Gb)は50.1%であった。
例1で使用したモノマー原料においてドデカンチオールの使用量を0.037部に変更した。その他の点については例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョン(c)」ということがある。)を得た。該エマルジョン(c)を構成するアクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)は78.3×104であり、ゲル分率(Ga)は9.6%であった。
このエマルジョン(c)に例1と同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加し、さらに上記アクリル系ポリマー100部当たり0.2部の割合でADHを添加して、例3に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により基材レスの粘着シートおよびPET基材上に粘着剤層を有する粘着シートを作製した。例1と同様にして測定した粘着剤のゲル分率(Gb)は59.5%であった。
例1で使用したモノマー原料においてドデカンチオールの使用量を0.04部に変更した。その他の点については例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョン(d)」ということがある。)を得た。該エマルジョン(d)を構成するアクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)は83.7×104であり、ゲル分率(Ga)は0%であった。
このエマルジョン(d)に例1と同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加し、さらに上記アクリル系ポリマー100部当たり0.15部の割合でADHを添加して、例4に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により基材レスの粘着シートおよびPET基材上に粘着剤層を有する粘着シートを作製した。例1と同様にして測定した粘着剤のゲル分率(Gb)は42.3%であった。
例1で使用したモノマー原料においてドデカンチオールの使用量を0.036部に変更した。その他の点については例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョン(e)」ということがある。)を得た。該エマルジョン(e)を構成するアクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)は85.3×104であり、ゲル分率(Ga)は4.6%であった。
このエマルジョン(e)に、例1と同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加し、さらに上記アクリル系ポリマー100部当たり0.08部の割合でADHを添加して、例5に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により基材レスの粘着シートおよびPET基材上に粘着剤層を有する粘着シートを作製した。例1と同様にして測定した粘着剤のゲル分率(Gb)は37.9%であった。
例1で使用したモノマー原料においてドデカンチオールの使用量を0.05部に変更した。その他の点については例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョン(f)」ということがある。)を得た。該エマルジョン(f)を構成するアクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)は66.8×104であり、ゲル分率(Ga)は0.2%であった。
このエマルジョン(f)に、例1と同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加し、さらに上記アクリル系ポリマー100部当たり0.17部の割合でADHを添加して、例6に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により基材レスの粘着シートおよびPET基材上に粘着剤層を有する粘着シートを作製した。例1と同様にして測定した粘着剤のゲル分率(Gb)は37.9%であった。
PET基材の粘着シートを幅20mm、長さ100mmのサイズにカットして試験片を作製した。被着体としてのSUS304ステンレス板に上記試験片を、2kgのローラを1往復させる方法で圧着した。これを23℃に30分間放置した後、JIS Z0237に準じ、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下、引張試験機を使用して引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で接着力(N/20mm幅)を測定した。
PET基材の粘着シートを幅10mm、長さ100mmのサイズにカットして試験片を作製した。被着体としてのベークライト板に上記試験片を、幅10mm、長さ20mmの接着面積にて、2kgのローラを1往復させる方法で圧着した。このベークライト板を80℃の環境下に垂下して1時間放置した後、試験片の自由端に500gの荷重を付与し、JIS Z0237に準じて、該荷重が付与された状態で80℃の環境下に1時間放置した後における試験片のずれの大きさ(距離)を測定した。
剥離ライナー上に粘着剤層が設けられた(基材レスの)粘着シートを、厚さ0.5mm、幅10mm、長さ90mmのアルミニウム板に貼り合わせて試験片を作製した。その試験片の長手方向をφ50mmの丸棒に沿わせて弧状に曲げた後、該試験片から剥離ライナーを剥がして粘着剤層を露出させ、ラミネータを用いてポリプロピレン板に圧着した。これを23℃の環境下に24時間放置し、次いで70℃で2時間加温した後に、ポリプロピレン板表面から浮きあがった試験片端部の高さ(mm)を測定した。
これに対して、例5,6に係る粘着シートは、粘着力は例1〜4と同程度であるが、耐熱保持力および/または端末剥がれ防止性が劣るものであった。すなわち、例1〜4(特に例1〜3)に係る粘着シートに比べて物性バランスに欠けるものであった。
例4で作製したエマルジョン(d)に、例1と同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加し、該エマルジョンに含まれるアクリル系ポリマー100部当たり0.1部の割合でADHを添加し、さらにエポキシ系架橋剤としての1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学株式会社製品、商品名「TETRAD−C」を使用した。)を該アクリル系ポリマー100部当たり0.01部の割合で添加して例7に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により基材レスの粘着シートおよびPET基材上に粘着剤層を有する粘着シートを作製した。粘着剤のゲル分率(Gb)は46.7%であった。
例1で使用したモノマー原料においてドデカンチオールの使用量を0.038部に変更した。その他の点については例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョン(g)」ということがある。)を得た。該エマルジョン(g)を構成するアクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)は77.9×104であり、ゲル分率(Ga)は3.2%であった。
このエマルジョン(g)に、例1と同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加し、さらに上記アクリル系ポリマー100部当たりADH0.1部および1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン0.01部を添加して、例8に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により基材レスの粘着シートおよびPET基材上に粘着剤層を有する粘着シートを作製した。粘着剤のゲル分率(Gb)は48.0%であった。
例3で作製したエマルジョン(c)に、例1と同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加し、さらに該エマルジョンに含まれるアクリル系ポリマー100部当たりADH0.1部および1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン0.01部を割合で添加して、例9に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により基材レスの粘着シートおよびPET基材上に粘着剤層を有する粘着シートを作製した。粘着剤のゲル分率(Gb)は44.0%であった。
例6で作製したエマルジョン(f)に、例1と同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加し、さらに該エマルジョンに含まれるアクリル系ポリマー100部当たりADH0.1部および1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン0.01部を割合で添加して、例10に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により基材レスの粘着シートおよびPET基材上に粘着剤層を有する粘着シートを作製した。粘着剤のゲル分率(Gb)は34.1%であった。
これに対して、例10に係る粘着シートは、粘着力および端末剥がれ防止性は例7〜9と同程度であるが、耐熱保持力が大きく劣るものであった。すなわち、例7〜9に係る粘着シートに比べて物性バランスに欠けるものであった。
2:粘着剤層
3:剥離ライナー
11,12,13,14,15,16:粘着シート
Claims (10)
- アクリル系ポリマーを主体とし、該アクリル系ポリマーが水に分散している水性感圧接着剤組成物であって、
前記アクリル系ポリマーはアルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとするモノマー原料を重合してなり、該アクリル系ポリマーは酢酸エチル不溶分の質量割合が18%以下且つテトラヒドロフラン可溶分の質量平均分子量が70万〜110万であり、
以下の架橋システム(A)および(B):
(A)前記アクリル系ポリマーに配合されたヒドラジン系架橋剤;および、
(B)前記アクリル系ポリマーに配合されたヒドラジン系架橋剤およびエポキシ系架橋剤;
から選択されるいずれかの架橋システムにより架橋可能であり、
前記感圧接着剤組成物から形成される架橋後の感圧接着剤に占める酢酸エチル不溶分の質量割合が40%〜65%である、水性感圧接着剤組成物。 - 前記(A)の架橋システムにより架橋可能な組成物であって、前記アクリル系ポリマーの酢酸エチル不溶分の質量割合が3%〜18%であり、該ポリマーのテトラヒドロフラン可溶分の質量平均分子量が70万〜110万であり、前記架橋後の感圧接着剤に占める酢酸エチル不溶分の質量割合が45%〜65%である、請求項1に記載の組成物。
- 前記アクリル系ポリマー100質量部に対して前記ヒドラジン系架橋剤0.1〜0.5質量部を配合してなる、請求項2に記載の組成物。
- 前記アクリル系ポリマーは、前記モノマー原料100質量部に対して0.025〜0.04質量部の連鎖移動剤を用いて該モノマー原料をエマルジョン重合に付すことにより得られたものである、請求項2または3に記載の組成物。
- 前記(B)の架橋システムにより架橋可能な組成物であって、前記アクリル系ポリマーの酢酸エチル不溶分の質量割合が15%以下であり、該ポリマーのテトラヒドロフラン可溶分の質量平均分子量が70万〜110万であり、前記架橋後の感圧接着剤に占める酢酸エチル不溶分の質量割合が40%〜55%である、請求項1に記載の組成物。
- 前記アクリル系ポリマー100質量部に対し、前記ヒドラジン系架橋剤0.05〜0.15質量部および前記エポキシ系架橋剤0.005〜0.02質量部を配合してなる、請求項5に記載の組成物。
- 前記アクリル系ポリマーに配合される前記ヒドラジン系架橋剤と前記エポキシ系架橋剤との質量比(ヒドラジン系架橋剤:エポキシ系架橋剤)が100:5〜100:20である、請求項5または6に記載の組成物。
- 前記アクリル系ポリマーは、前記モノマー原料100質量部に対して0.035〜0.045質量部の連鎖移動剤を用いて該モノマー原料をエマルジョン重合に付すことにより得られたものである、請求項5〜7のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記アクリル系ポリマー100質量部に対して5〜40質量部の粘着付与剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の水性感圧接着剤組成物を用いて形成された感圧接着剤層を備える、感圧接着シート。
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