JP2009050806A - 板状建材の塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】板状建材の塗り残し、2重塗装或いは塗りムラを防止し、外観のよい板状建材の塗装方法を提供する。
【解決手段】インク吐出口13を有するインクジェットヘッド11(11b)を略水平に保持された板状建材2の側辺部22aに対して外側斜め上方の位置に配置し、前記板状建材の側辺部において表面20と端面21とが交差するコーナー部22に向かって前記インク吐出口からインク滴Aを斜め上方より吐出し、前記板状建材の側辺部において表面と端面とに跨る前記コーナー部のコーナー部を含む近傍領域を塗装することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、住宅等の建築物における床材、階段材、壁材、天井材等の内装材や、扉等の建具材、家具の外装材として使用される板状建材の塗装方法に関するものである。
上述のような板状建材に対して、より意匠性の高い模様、色彩等を付与する塗装方法として、インクジェット塗装が注目されている。インクジェット塗装によれば、被塗材となる板状建材に対して非接触の状態でインク滴を吐出することができるので、板状建材の表面形状が凹凸を有するものであっても適用することができ、また必要とする箇所に対してのみ模様付けを行うことも可能である。
板状の直方体からなる板状建材をインクジェット塗装する場合は、塗装面を一度に塗装することも可能ではあるが、まず水平に載置された板状建材の表面を塗装した後、板状建材の端面(木口)を水平方向からインク滴を吐出させて塗装される。
このような塗装方法によると、板状建材の厚みが厚い場合は、板状建材のコーナー部(縁部)に塗り残しが生じたり、板状建材の厚みが薄い場合は、表面にまでインク滴が飛んで舞い散って、2重塗装や塗りムラの原因となることが問題となっていた。塗り残しや2重塗装が生じると、板状建材の表面と端面とが外観上異なったものとなるため、外観不良が発生してしまう。
下記特許文献1には、板材(板状建材)の端面の上部にテーパー面を形成し、板材の斜め上方から配置したノズルから塗料をテーパー面の上端よりも下側に噴射して塗装を行うことが記載されている。
しかしながら、板状建材の縁部にテーパー面が形成されている必要があり、テーパー面を有していない板状建材には、適用できない塗装方法であった。またここに記載の塗装方法は、スプレー塗装によるものであり、テーパー面に塗布された塗料が噴霧圧等の力によりテーパー面に沿って上昇してテーパー面の上端にまで到達させることができるというものであるため、上述のインクジェット塗装によるものには適用できない塗装方法であった。
下記特許文献2には、インクジェット塗装によるプレート状ワークの塗装装置及び塗装方法が開示されている。ここには、旋回アームに据え付けた複数の印刷ヘッドを備えた装置が記載されており、該旋回アームによって、プレート状ワークの表面を塗装する際には、印刷ヘッドのノズル開口を下に向けて塗装し、プレート状ワークの端面を塗装する際には、ノズル開口を水平方向に向けて塗装することができる(特許文献2、図2−b参照)。また印刷範囲の縁部に存在するノズル開口から噴射されるインク量と印刷範囲中央部にあるノズル開口から噴射されるインク量とは異なる量が噴射されるよう印刷ヘッドを制御することが記載されている。
これによれば、印刷ヘッドの角度を旋回アームによって可変することができるので、一台の印刷ユニットで、プレート状ワークの表面及び端面を塗装することができる。
特開2006−122754号公報 特開2006−315400号公報
しかしながら、上記特許文献2には、印刷ヘッドの角度を可変することや、印刷範囲の縁部に存在するノズル開口が印刷範囲中央部にあるノズル開口とは異なる量のインクを噴射するよう印刷ヘッドを制御することが開示されているが、板状建材の縁部の塗り残しや2重塗装等の問題を解決するものではなかった。
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、板状建材の塗り残し、2重塗装或いは塗りムラを防止し、良好な塗装が行える板状建材の塗装方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の板状建材の塗装方法は、インク吐出口を有するインクジェットヘッドを略水平に保持された板状建材の側辺部に対して外側斜め上方の位置に配置し、前記板状建材の側辺部において表面と端面とが交差するコーナー部に向かって前記インク吐出口からインク滴を斜め上方より吐出し、前記板状建材の側辺部において前記板状建材の表面と端面とに跨る前記コーナー部の前記コーナー部を含む近傍領域を塗装することを特徴とする。
請求項2に記載の板状建材の塗装方法は、請求項1において、前記板状建材として、前記コーナー部に面取り加工が施されたものを使用し、該面取り加工が施されている面取り加工面を含めて前記近傍領域を塗装することを特徴とする。
請求項3に記載の板状建材の塗装方法は、前記板状建材の斜め上方から、前記近傍領域を塗装する際には、前記板状建材の表面及び端面を塗装する際よりも、前記インク滴の吐出量を多くする制御がなされることを特徴とする。
請求項1に記載の板状建材の塗装方法によれば、板状建材の側辺部において表面と端面とが交差するコーナー部に向かって、インクジェットヘッドのインク吐出口からインク滴を斜め上方より吐出するので、この吐出されたインク滴は全て板状建材を外すことなく、表面と端面とに跨るコーナー部のコーナー部を含む近傍領域に向かい、該近傍領域を確実に塗装することができる。従って、前記近傍領域の塗り残しが発生することがなく、しかも一部のインク滴が板状建材を外すことも防止され、余分なインクの飛沫が飛散することもなく、良好な塗装が行える。
請求項2に記載の板状建材の塗装方法によれば、コーナー部に面取り加工が施された板状建材を使用する場合でも、面取り加工が施されている面取り加工面を含めて前記近傍領域を塗装するので、塗り残しが生じず、良好な塗装が行える。
請求項3に記載の板状建材の塗装方法によれば、板状建材の斜め上方から、前記近傍領域を塗装する際には、前記板状建材の表面及び端面を塗装する際よりも、前記インク滴の吐出量を多くする制御がなされるので、前記近傍領域に塗り残しが発生することないだけでなく、板状建材の表面、端面及びコーナー部の色味が均一となり、良好な塗装が行える。従って、外観のよい板状建材を得ることができる。すなわち、板状建材のコーナー部を含む近傍領域に対して、斜め上方からインク滴を吐出させると、表面或いは端面を塗装する際よりも、インク滴の噴射間隔(ドットの間隔)が大となり、塗装面の発色が薄くなってしまうため、表面及び端面と同じ色味となるようインク滴の吐出量を多くする制御を行う。これにより、板状建材の表面、端面及びコーナー部の色味を均一となり、良好な塗装が行える。
以下に、まずは本発明の第1の実施形態について、添付図面とともに説明する。
図1は、本発明に係る板状建材の塗装方法の一例を説明するための説明図であり、(a)は概略平面図、(b)は要部拡大縦断面図、図2は同実施形態に係る板状建材の塗装方法を実行するためのインクジェット塗装装置の一例を示すブロック図、図3〜図5は同実施形態に係る塗装方法を示す要部拡大縦断面図である。
図中、1はインクジェット塗装装置、2は板状建材、20は板状建材2の表面、21は端面、22は表面20及び端面21とが交差するコーナー部、22aは板状建材2の縁部(側辺部)、3は板状建材2が水平に載置され、ベルトコンベア等の搬送手段30を備えた基台、10はインクジェット塗装装置1を操作制御し塗装データを設定するための制御装置、11は複数のインク吐出口13を備えたインクジェットヘッド、12はインクジェットヘッド11を支持する支持アームである。ここで、図1(a)及び(b)は、板状建材2のコーナー部22の塗装方法、図3はコーナー部22の他、表面20及び端面21の塗装方法、図4は表面20の塗装方法、図5は端面21の塗装方法を夫々示しており、図1(a)に示すインクジェットヘッド11はコーナー部22を塗装するための第2ノズルヘッド(図2参照)を備えたものを示している。また図1(a)の白抜矢印は板状建材2の搬送方向である。
被塗材となる板状建材2は端面21が表面20に対して垂直な直方体形状のものを塗装することができ、板状建材2としては、木材、熱硬化性樹脂材、熱可塑性樹脂材の他、合板、中質繊維板(MDF)のような複層構成材、ツキ板、メラミン貼付け合板等の複合材が挙げられる。
図2に示すようにインクジェット塗装装置1は操作手段1b、板状建材2の厚みやコーナー部22の形状に応じてインク吐出口13から吐出されるインク滴Aの吐出角度を可変する吐出角度可変手段1c、ROM、RAM等で構成される記憶手段1d、板状建材2の表面20を塗装する第1ノズルヘッド11a、コーナー部22を塗装する第2ノズルヘッド11b、端面(木口)21を塗装する第3ノズルヘッド11cとを備えており、制御装置10に備えたCPU1aによって制御され、制御装置10に設定された塗装データに基づいて、インク滴Aの色、インク滴Aの吐出量が制御され、多彩な塗装表現を可能としている。よって、図1(a)では板状建材2の模様は、木目模様のものを示しているが、これに限らず、石目、人造大理石柄、天然皮革の表面柄、布目、抽象柄など種々の模様を板状建材2に塗装することができる。
インク滴Aは、硬化して硬くなるものが使用され、例えば樹脂、溶剤、硬化剤、添加剤等に基本色を構成する顔料を混合した溶液の中に、シリカ、アルミナ、ジルコンなどの硬質粒子が分散含有されているものが好適に使用できる。
また、インク滴Aは速乾性、速硬化性のものが好ましく、紫外線(UV)硬化タイプのものが使用できる。例えばラジカル重合型のUV硬化樹脂、カチオン重合型のUV硬化樹脂などが使用できる。
インクジェットヘッド11は板状建材2の塗装部位に応じて第1ノズルヘッド11a、第2ノズルヘッド11b、第3ノズルヘッド11cで構成されており、制御装置10に接続され、これらは制御装置10によって制御がなされる。インク吐出口13の径の大きさやインク吐出口13同士の間隔(α=B、図3参照)はいずれも同じものを用いることができ、インク滴Aの吐出量やインク滴Aの吐出角度は、板状建材2の塗装箇所に応じて変えている。第1ノズルヘッド11aは、板状建材2の搬送方向に対して垂直な方向に長いラインヘッドとして配置されており(図4参照)、第2ノズルヘッド11bは、図1(b)及び図3に示すように、板状建材2の側辺部に対して斜め上方の位置に対して外側斜め上方の位置に配置されている。
また第3ノズルヘッド11cは、端面21に対して水平方向にインク吐出口13が向くよう配置されている(図5参照)。
インクジェットヘッド11は例えばピエゾ制御方式や光熱交換素子にレーザ光を照射する制御方式により噴射が制御されるようになっており、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各塗料の噴射と停止を個別に制御して、色柄パターンに対応したフルカラー印刷による塗装を可能としている。
次に板状建材2の塗装手順について説明する。
まず図4に示すように搬送手段30によって搬送されてきた板状建材2の表面20を第1ノズルヘッド11aのインク吐出口13からインク滴Aを吐出し塗装する。このとき、板状建材2の表面20と端面21とに跨り、コーナー部22を含む近傍領域、すなわち、板状建材2の縁部22aから所定幅βより内側のみを塗装しておく。所定幅βはおよそ5mm程度が望ましい。
次に図1(b)に示すように板状建材2の斜め上方から、表面20と、該表面に連続する端面21とが交差するコーナー部22にインク吐出口13が向くように、インク吐出口13から吐出されるインク滴Aの吐出角度を可変する吐出角度可変手段1cによって第2ノズルヘッド11bの角度を調整する。そして所定角度に傾斜させた第2ノズルヘッド11bのインク吐出口13からインク滴Aをコーナー部22に向かって斜め上方向より吐出する。このとき図1(b)に示すように、コーナー部22の縁部22aを中心に、表面20及び端部21を塗布する面積が同じになるよう第2ノズルヘッド11bを斜めに傾斜させることが望ましい。
すなわち、図1(b)に基づいていえば、縁部22aに達して塗布されるインク滴Aを挟んで、噴射されるインク滴A同士の距離が同じ(β=γ)になることが望ましい。すると表面20と端面21とに跨り、コーナー部22を含む近傍領域(インク滴Aが表面20の塗装されていない部分(所定幅β)及び端面21の一部)に対してインク滴Aが噴射塗布されるため、吐出されたインク滴Aは全て板状建材2を外すことなくコーナー部22に向かい、表面側20と端面側21の一部に跨った上記近傍領域を確実に塗装することができる、従って、板状建材2のコーナー部22に塗り残しが発生することなく、外観のよい板状建材2を得ることができる。また、予め塗り残ししてあった所定幅β部分が2重塗装されることがないので、塗りムラの発生も防止することができる。
そして、図5に示すように端面21のすでに塗布された部分(図1(b)のγ部分)以外を第3ノズルヘッド11cのインク吐出口13からインク滴Aを吐出し塗装することにより、塗り残しのない、良好な塗装が行える。
ここで、例えば表面20を720dpiで塗装するときは、ドットとドットの間隔(インク滴Aを噴射する間隔)は約36μmで塗装される。これと同じインクジェットヘッド11を用いてインクジェットヘッド11を斜めに傾斜させて表面端部22を塗装すると、ドットとドットの間隔が36μm×cos−1θの間隔になり、表面20及び端面21を塗装する際より、インク滴Aの噴射間隔(ドットの間隔)が大となり、塗装面の発色が薄くなってしまう。そこで、表面20及び端面21と同じ色味となるようインク滴Aの吐出量を表面20及び端面21を塗装する際より、多くすることが望ましい。こうすることで、板状建材2の表面20、端面21及びコーナー部22の色味が均一となり、色ムラがなく、より一層意匠性の高い板状建材2を得ることができる。
インク滴Aの吐出量はインクジェット11(11b)の印加電圧を上げたり、ピエゾ制御方式によるものであれば、ON時間を延ばすことにより、増やすことができる。
尚、ここでは板状建材2の表面20を塗装してから、コーナー部22、端面21を塗装していく方法について説明したがコーナー部22或いは端面21を先に塗装してもよく、上述の手順に限定されるものではない。また表面20、コーナー部22、端面21の塗装面の全面を一度に塗装することもできる。またインク吐出口13の構成は上述に限定されるものではない。
次いで、図6に基づいて、第2の実施形態について説明する。ここで第1の実施形態と共通する部分には共通の符号を付し、その説明は割愛する。
図6に示す例は板状建材2のコーナー部22に、面取り加工面23が形成されているものである。このように板状建材2のコーナー部22にテーパー状の面取り加工面23が形成されている場合も第1の実施形態と同様に、板状建材2の表面20のち所定幅βを残して、表面20を塗装し、吐出角度可変手段1cによってインク滴Aの吐出角度が調整した後、コーナー部22の塗装を行うことができる。そして、その後、端面21のすでに塗布された部分(図6のγ部分)以外を塗装する。
これによれば、板状建材2のコーナー部22に面取り加工面23が形成されたものであっても、斜め上方からインク滴を吐出することにより、板状建材2の一側面だけが塗装されるのではなく、表面20及び端面21を含み、面取り加工面23が形成されたコーナー部22を一工程で塗装することができる。よって、コーナー部22に面取り加工面が形成されている板状建材2であっても、面取り加工面23を含む近傍領域を塗装するので、塗り残しが生じず、外観のよい板状建材を得ることができ、良好な塗装が行える。
尚、本実施形態においても、上述の手順に限定されるものではなく、板状建材2の塗装面全面を一度に塗装するものにも適用可能であることは言うまでもない。
本発明に係る第1の実施形態における板状建材の塗装方法の一例を説明するための説明図であり、(a)は概略平面図、(b)は要部拡大縦断面図である。 同実施形態に係る板状建材の塗装方法を実行するためのインクジェット塗装装置の一例を示すブロック図である。 同実施形態に係る塗装方法を示す要部拡大縦断面図である。 同実施形態に係る塗装方法を示す要部拡大縦断面図である。 同実施形態に係る塗装方法を示す要部拡大縦断面図である。 本発明に係る第2の実施形態における板状建材の塗装方法を示す要部拡大縦断面図である。
符号の説明
1 インクジェット塗装装置
11 インクジェットヘッド
13 インク吐出口
2 板状建材
20 表面
21 端面(木口)
22 コーナー部
22a 縁部(側辺部)
23 面取り加工面
A インク滴

Claims (3)

  1. インク吐出口を有するインクジェットヘッドを略水平に保持された板状建材の側辺部に対して外側斜め上方の位置に配置し、
    前記板状建材の側辺部において表面と端面とが交差するコーナー部に向かって前記インク吐出口からインク滴を斜め上方より吐出し、
    前記板状建材の側辺部において前記板状建材の表面と端面とに跨る前記コーナー部の前記コーナー部を含む近傍領域を塗装することを特徴とする板状建材の塗装方法。
  2. 請求項1において、
    前記板状建材として、前記コーナー部に面取り加工が施されたものを使用し、該面取り加工が施されている面取り加工面を含めて前記近傍領域を塗装することを特徴とする板状建材の塗装方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記板状建材の斜め上方から、前記近傍領域を塗装する際には、前記板状建材の表面及び端面を塗装する際よりも、前記インク滴の吐出量を多くする制御がなされることを特徴とする板状建材の塗装方法。
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