JP2009048991A - 導電性微粒子、異方性導電材料、及び、接続構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材微粒子と、めっき層とから構成されており、前記基材微粒子の表面に形成されためっき層の最表層が銅層である導電性微粒子であって、前記導電性微粒子に含有する塩素イオンの含有量が50μg/g以下であり、かつ、前記銅層の最表面が変色防止剤で表面処理されている導電性微粒子である。
【選択図】なし
Description
例えば、異方性導電材料は基板同士を電気的に接続したり、半導体素子等の小型部品を基板に電気的に接着したりするために、基板や電子部品の電極端子の間に挟み込んで使用する。特に、異方性導電材料は液晶表示ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の配線間隔が狭い電子機器において広く用いられている。
しかしながら、近年、電子機器の消費電力を抑えるため集積回路を流れる電流量は、著しく小さくなってきており、更に接続抵抗の小さい導電性微粒子が望まれてきている。
しかしながら、銅は金に比べて酸化を受けやすい。従って、時間の経過とともに導電性微粒子の表面の銅めっきや、導電性微粒子に接触している電極や半導体素子が腐食・劣化するため、次第に接続信頼性が低下していくといった問題点があった。特に、高温高湿下や長期の連続使用といった過酷な環境で電子機器が使用される場合には、接続信頼性の低下が顕著に現れる。
以下に本発明を詳述する。
上記樹脂微粒子としては特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂、ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等からなる微粒子が挙げられる。なお、ポリ塩化ビニル等の塩素含有樹脂等も用いることもできるが、重合時の状態によっては得られる基材微粒子が多量の塩素イオンを含有することとなり、このような基材微粒子を用いてなる導電性微粒子を導電接続等に用いた場合、塩素イオンが著しく溶出し、後述するように溶出した塩素イオンがめっき層や、導電性微粒子に接触している電極や半導体素子を腐食・劣化させてしまい、接続抵抗を低下させてしまうことがあるため好ましくない。
なお、上記基材微粒子の平均粒子径は、光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用いて無作為に選んだ50個の基材微粒子の粒子径を測定し、それを算術平均することにより求めることができる。
なお、上記変動係数とは、粒子径分布から得られる標準偏差を平均粒子径で除して得られる数値である。
銅は導電性に優れた金属であるが酸化されやすい性質を有する。導電性微粒子の最表面を変色防止剤で処理された銅層とし、導電性微粒子に含有される塩素イオンの含有量を50μg/g以下とすることにより、高温高湿下や長期の連続使用といった過酷な条件下においてもめっき層や、導電性微粒子に接触している電極が腐食したり半導体素子が劣化したりすることがないため、接続抵抗が低下することなく、高い接続信頼性が維持される。
複層構造の場合には、上記下地層を構成する金属としては特に限定されず、例えば、金、銀、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、カドミウム等が挙げられる。
上記エッチング工程は、クロム酸、硫酸−クロム酸混液、過マンガン酸溶液等の酸化剤や、塩酸、硫酸等の強酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリ溶液、その他市販の種々のエッチング剤等を用いて基材微粒子の表面に微小な凹凸を形成させ、めっき層の密着をよくするための工程である。なお、エッチング工程の際に、塩素イオンを含有する液剤を使用する場合には、塩素イオンが残留しないように洗浄を充分に行う必要がある。
なお、上記変色防止剤は、塩素イオンの濃度が5ppm以下であることが好ましい。
なお、塩素イオンの含有量の測定方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。
(1)導電性微粒子1gを精秤し、メノウ製乳鉢に取り1時間かき混ぜることによりめっき層を完全に剥離・粉砕させる。
(2)これをよく洗浄した石英管内に入れて蒸留水(比抵抗18MΩ)10mLを加えた後、ガスバーナーにて石英管を溶融密封する。121℃の電気オーブンに入れ24時間加熱した後、石英管を開封して得られた抽出液を0.1μmのメンブランフィルターで濾過し、この溶液中の塩素イオンをイオンクロマトグラフィーにて測定する(ブランク試験として蒸留水(比抵抗18MΩ)の塩素イオン濃度を基準値とする)。
なお、(めっき層を施した)基材微粒子を洗浄する工程は、上述した銅層の表面を変色防止剤で表面処理する工程よりも前に行うことが好ましい。
また、蒸留水の加熱温度は100℃〜150℃であることが好ましい。上記加熱温度が100℃未満であると、充分な洗浄効果を発揮できないことがあり、150℃を超えると、めっき層を施した基材微粒子自体に損傷を与える場合がある。上記加熱温度のより好ましい下限は115℃である。
また、上記蒸留水としては、塩素イオンを含有せず、比抵抗が1MΩ以上の純水を使用することが好ましく、18MΩ以上の超純水を用いることがより好ましい。
また、洗浄に用いる蒸留水の液量が多いほど、洗浄時間が長いほど、更に洗浄回数を増やすほど洗浄効果は高くなる。また、洗浄する際に攪拌や超音波を併用することでより効果的に塩素イオンの含有量を低減させることができる。
また、上記硬化性樹脂は、常温硬化型、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型のいずれの硬化型であってもよい。
また、絶縁性のバインダー樹脂と、本発明の導電性微粒子とを混合することなく、別々に用いて異方性導電材料としてもよい。
本発明の接続構造体は、本発明の導電性微粒子又は本発明の異方性導電材料を用いてなることから、高温高湿下や長期の連続使用といった過酷な条件下においてたとえめっき層に亀裂等の損傷が生じた場合であっても、めっき層が酸化したり、導電性微粒子に接触している電極が腐食したり半導体素子が劣化したりすることがないため、接続抵抗が低下することなく、高い接続信頼性が維持される。
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製「GH−20」)を3重量%含む水溶液800重量部に、ジビニルベンゼン70重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート30重量部、過酸化ベンゾイル2重量部を加え攪拌し混ぜ合わせた。窒素気流下にて撹拌しながら80℃まで昇温し、15時間反応を行い、樹脂微粒子を得た。
得られた樹脂微粒子を蒸留水及びメタノールで洗浄した後、分級操作を行い、平均粒径が4.1μm、変動係数が5.0%の樹脂微粒子を得た。
得られた樹脂微粒子に蒸留水500mLを加え、微粒子懸濁液を調製した。この懸濁液に、40g/Lの硫酸銅(5水和物)と、100g/Lのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)と、50g/Lのグルコン酸ナトリウムと、25g/LのホルムアルデヒドとからなるpH10.5に調整された無電解めっき液を徐々に添加し、50℃で攪拌しながら無電解銅めっきを行った。このようにして銅めっきされた樹脂微粒子を得た。
洗浄する前の銅めっきされた樹脂微粒子の塩素イオンの含有量は55μg/gであることが確認された。
続いて、洗浄した銅めっきされた樹脂微粒子をピロリン酸カルシウム(2.5g/L)及び5−メチル・1H−ベンゾトリアゾール(50mg/L)を含有する約pH5のリン酸水溶液からなる変色防止剤に浸漬することにより、銅層の表面が変色防止剤で処理された導電性微粒子を得た。
撹拌機付オートクレーブに入れて攪拌洗浄した時間を10時間から5時間に短縮したこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子を得た。
撹拌機付オートクレーブに入れて攪拌洗浄した時間を10時間から1時間に短縮したこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子を得た。
銅層の表面を変色防止剤で処理しなかったこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子を得た。
オートクレーブを用いて攪拌洗浄しなかったこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子を得た。
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた導電性微粒子について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
導電性微粒子1gを精秤し、メノウ製乳鉢に取り1時間かき混ぜることによりめっき層を完全に剥離・粉砕した。これをよく洗浄した石英管内に入れて蒸留水(比抵抗18MΩ)10mLを加えた後、ガスバーナーにて石英管を溶融密封した。次いで、石英管を121℃の電気オーブンに入れ24時間加熱した後、石英管を開封して得られた抽出液を0.1μmのメンブランフィルターで濾過し、この溶液中の塩素イオンをイオンクロマトグラフィーにて測定した。なお、ブランク試験として蒸留水(比抵抗18MΩ)のみを石英管に溶融密封した場合の測定結果を基準値とした。
エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート828」)100重量部、トリスジメチルアミノエチルフェノール2重量部、及び、トルエン100重量部に、導電性微粒子を加え混合した。得られた混合物を離型フィルム上に塗布し乾燥させ厚さ7μmの接着シートを得た。なお、導電性微粒子の配合量は、フィルム中の含有量が5万個/cm2となるようにした。
得られた接着フィルムを長さ5mm、幅5mmの大きさに切断した。また、一方に抵抗測定用の引き回し線を持つ、幅200μm、長さ1mm、高さ0.2μm、L/S20μmのアルミニウム電極が形成されたガラス基板を2枚用意した。接着フィルムを2枚のガラス基板の間に挟み、ガラス基板に形成された電極の位置合わせを行ってから圧力10N、温度180℃で熱圧着して貼り合わせ、接続構造体を得た。
得られた接続構造体の2枚のガラス基板に形成された電極間の接続抵抗値を4端子法により測定した。また、PCT試験(85℃、相対湿度85%の恒温恒湿器に入れ、100時間放置)を行った後の接続抵抗値を同様に測定した。
実施例1〜3で得られた導電性微粒子は、接続抵抗値の結果から、高温高湿環境下で100時間放置しても接続抵抗値の上昇は見られなかった。過酷な環境下でも高い接続信頼性が得られている。
比較例1で得られた導電性微粒子は、接続抵抗値の結果から、高温高湿環境下で100時間放置したところ接続抵抗値が著しく上昇した。導電性微粒子の表面を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、銅層は黒色に変色しており表面に酸化銅が形成されていることを確認した。従って、変色防止剤を使用しないと銅層は酸化され、導電性微粒子の接続信頼性が低下することが分かる。
比較例2で得られた導電性微粒子は、オートクレーブにて洗浄していないため、塩素イオンの含有量が50μg/gよりも高くなっていた。接続抵抗値の結果から、高温高湿環境下で100時間放置したところ接続抵抗値が著しく上昇した。導電性微粒子の表面を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、銅層は黒色に変色しており表面に酸化銅が形成されていることを確認した。また、導電性微粒子に接触している電極部分が腐食していることも確認した。従って、変色防止剤を使用して銅層を表面処理したとしても、導電性微粒子の塩素イオンの含有量が高ければ、銅層や導電性微粒子に接触している電極が腐食するため、接続信頼性が低下することが分かる。
Claims (3)
- 基材微粒子と、めっき層とから構成されており、前記基材微粒子の表面に形成されためっき層の最表層が銅層である導電性微粒子であって、
前記導電性微粒子に含有する塩素イオンの含有量が50μg/g以下であり、かつ、前記銅層の最表面が変色防止剤で表面処理されている
ことを特徴とする導電性微粒子。 - 請求項1記載の導電性微粒子がバインダー樹脂に分散されてなることを特徴とする異方性導電材料。
- 請求項1記載の導電性微粒子又は請求項2記載の異方性導電材料を用いてなることを特徴とする接続構造体。
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