JP2009048720A - 垂直磁気記録媒体及び磁気記憶装置 - Google Patents

垂直磁気記録媒体及び磁気記憶装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた分解能、S/を有し、隣接トラック消去の小さい垂直磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】基板41上に、磁性層の配向と偏析を制御するための下地層42,43,44と、酸化物を含有するCoとCrとPtを主体とする合金磁性材料からなる磁性層45と、酸化物を含まない強磁性金属層46とを有する。磁性層45は強磁性粒子と酸化物を含む少なくとも二層の層からなり、磁性層の基板に近い側の第一磁性層451は、結晶粒界が主としてCr酸化物とSi,Ti,Nb,Taのいずれか1つの酸化物で構成され、強磁性金属層側の第二の磁性層452の結晶粒界はSi,Ti,Nb,Taのいずれか1つの酸化物を含有し、且つCrの酸化物が第一の磁性層に比べて少ない。
【選択図】図1

Description

本発明は、大容量の情報を記録可能な垂直磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記憶装置に関する。
近年、コンピュータの扱う情報量が増大し、補助記憶装置としてハードディスク装置の大容量化が一段と求められている。さらに、家庭用の電気製品へのハードディスク装置の搭載が進むことにより、ハードディスク装置の小型化、大容量化の要望は強くなる一方である。
これまで磁気ディスク装置に用いられていた面内磁気記録方式では、媒体に記録された磁化が互いに逆向きに向き合って隣接するため、線記録密度を高めるには記録層の保磁力を増大させるとともに膜厚を減少させる必要がある。ところが、記録層の保磁力が増大すると記録ヘッドの書き込み能力が不足するという問題が生じ、記録層の膜厚が小さくなると熱減磁により記録情報が失われるという問題が生じ、面内記録方式を用いて記録密度を向上させることが難しくなってきている。これらの問題を解決するため、垂直磁気記録方式を用いた磁気ディスク装置の開発が活発化している。垂直磁気記録方式は、記録媒体の磁化を媒体面に垂直に、かつ隣り合う記録ビット内の磁化が互いに反平行になるように記録ビットを形成する方式であり、面内記録方式に比べて磁化遷移領域での反磁界が小さいため媒体ノイズを低減でき、高密度記録時の記録磁化を安定に保持できる。また、垂直磁気記録媒体と基板との間に磁束のリターンパスとして働く軟磁性下地層を設けた二層垂直磁気記録媒体と単磁極型ヘッド(SPTヘッドと呼ぶ)とを組み合わせる方式が提案されている。さらに、記録磁界勾配を向上させるために、主磁極のトレーリング側に非磁性のギャップ層を介して磁気シールドを設けた磁気ヘッド(TSヘッドと呼ぶ)が提案されている。
垂直磁気記録媒体の磁気記録層としては、磁性結晶粒の周囲に酸化物や窒化物などの非磁性化合物を偏析させることにより磁性結晶粒を磁気的に分離した構造(グラニュラー構造と呼ぶ)が提案されている。例えば、IEEE Transactions on Magnetics, Vol.40, No.4, July 2004, pp. 2498-2500, “Role of Oxygen Incorporation in Co-Cr-Pt-Si-O Perpendicular Magnetic Recording Media”には、CoCrPt合金とSiO2を含有する複合型ターゲットを用い、アルゴン酸素混合ガス雰囲気中でDCマグネトロンスパッタによりグラニュラー構造を有する記録層を形成する方法が開示されている。
特開2006−302426号公報には、媒体の低ノイズ化、SNR向上の方法として、Co,Cr,Pt,Si,Oを含有し、磁性結晶粒径が膜厚方向に実質的に一定であり、中間層との界面側に表面層よりも酸素の多い領域を有するグラニュラー構造を持った磁気記録層が開示されている。特開2004−25943号公報には、記録層を酸化物含有量の異なる2つ以上の磁性層から形成し、最も基板に近い側の磁性層の酸化物含有量を最も高くすることにより、記録層の最下層の結晶粒を微細化し、その上に最下層の結晶粒より大きな結晶粒の磁性層を積層することが開示されている。特開2004−310910号公報には、酸化物を結晶粒界に偏析させたグラニュラー構造の記録層に酸化物を含まないCo−Cr系合金層を積層した構造が開示されている。また、特開2006−309919号公報には、磁性層を、グラニュラー構造を有する二層以上の層から形成し、下層の磁性層は上層の磁性層に比べて非磁性非固溶の原子濃度を大きくする方法が開示されている。
特開2006−302426号公報 特開2004−25943号公報 特開2004−310910号公報 特開2006−309919号公報 IEEE Transactions on Magnetics, Vol.40, No.4, July 2004, pp. 2498-2500
上記従来の技術は、非磁性の酸化物を結晶粒界に偏析させて磁性粒子を磁気的に孤立化させ、粒径を微細化し、磁性層の初期層を改善することにより、磁気特性及び記録再生特性を向上させるのが目的である。しかしながら、非特許文献1のように磁性膜中の酸素濃度を一様に増やしてCr酸化物を粒界に偏析させただけでは、平均的な磁気クラスターサイズ(粒子間に働く交換結合)は低減するものの、反転磁界の分散の増加による分解能の劣化や、保磁力の増加に伴って記録能力が劣化し、記録が困難になるという問題があった。
特開2006−302426号公報や特開2004−25943号公報のように、酸化物生成自由エネルギーの高いSiO2濃度が高くCr濃度の低いターゲットを用いて磁性層の初期層を形成した場合、平均的な結晶粒径は減少するが、結晶粒界が均一に広がらずに結晶粒界の幅の狭いサブグレインが多く形成されて交換結合にも分散が生じ、結果として磁気的なクラスターサイズが、結晶粒径を小さくしてもそれ以上小さくならず、更なる記録密度の向上が難しいという問題が生じてきた。また、部分的に孤立化した磁性粒子は、Crが少ないために磁気異方性が非常に大きくなり、ヘッドでの記録が十分にできないという問題も生じる。また、特開2004−310910号公報や特開2006−309919号公報のようにグラニュラー構造を持つ磁性層上に酸化物を含まない強磁性金属膜を積層しただけでは、グラニュラー磁性層の偏析を促進し交換結合を低減するに伴って十分なOW特性を得るために強磁性金属層を厚くする必要が生じ、その結果、分解能が大幅に劣化するためSNRの改善が頭打ちになるというトレードオフの関係があった。
本発明者らは、強磁性金属層の成長初期段階の構造に着目し、TEMにより詳細に結晶構造を調べた結果、グラニュラー磁性層の結晶粒界幅が広くなると、強磁性金属層が薄い段階ではグラニュラー層の粒界構造を反映した結晶粒界を持つようになり、連続的な構造を持つようになる強磁性金属層の膜厚が厚くなること、強磁性金属層が薄い段階では不連続な構造を持つため、グラニュラー磁性層の結晶粒子に均一な交換結合を導入できず、その結果、反転磁界の分散の低減や反転磁界強度の低減効果が得られないということを見出した。また、強磁性金属膜はグラニュラー膜に比べて膜中の交換結合が非常に強いために、膜厚の増加に伴って反転磁界分散は低減されるものの磁気クラスターサイズが急激に増加し、高い線記録密度での急激なノイズの増加やあるトラックに信号を記録した際に隣接トラックにおけるビット誤り率が急激に劣化するという問題(隣接トラック消去)を新たに見出した。
本発明はこのような検討に基づいてなされたものであり、その目的は、磁性層の初期層の交換結合を低減するとともに平均的な反転磁界の強度及び反転磁界の分散を抑え、媒体の低ノイズ化と高分解能を両立し優れたS/Nを有する隣接トラック消去の小さな垂直磁気記録媒体、その製造方法、及び磁気記憶装置を提供することである。
本発明の垂直磁気記録媒体は、基板上に設けられた下地層と、CoとCrとPtを主体とする柱状磁性粒子及び酸化物を含み下地層の上に形成された磁性層と、磁性層の上に形成された酸化物を含まない強磁性金属層とを有し、磁性層は少なくとも下地層側の第一磁性層と強磁性金属層側の第二磁性層の二層からなり、第一磁性層の結晶粒界はCr酸化物と少なくともSi,Ti,Nb,Taのいずれか1つの酸化物とで構成され、第二磁性層の結晶粒界は少なくともSi,Ti,Nb,Taのいずれか1つの酸化物を含み且つCr酸化物を構成するCr元素と酸素の元素の濃度の和が前記第一磁性層に比べて少なく5at.%未満であることを特徴とする。
このとき、第一磁性層の結晶粒界幅より第二磁性層の結晶粒界幅が狭くなる。第二磁性層の強磁性金属層側の界面から2nm程度の膜厚の領域でCr酸化物を構成するCr元素と酸素の元素濃度の和は4.3at.%以下であるのが好ましく、第一磁性層の基板側の界面から4nm程度の膜厚の領域でCr酸化物を構成するCrと酸素の元素濃度の和が7at.%以上20at.%以下であることが好ましい。また、第二磁性層の酸化物を構成する各元素の総和は3.6at.%以上13at.%以下であるのが好ましく、第一磁性層の酸化物を構成する各元素の総和は15at.%以上30at.%以下であるのが好ましい。
なお、磁性層は、必ずしも明確な層構造を有する必要はなく、結晶粒界に含まれるCr酸化物が膜厚方向に濃度勾配を有し、強磁性金属層側のCr酸化物を構成するCr元素と酸素の元素濃度の和が基板側に比べて少なく5at.%未満であればよい。
本発明によれば、平均的な交換結合やヘッドで記録した際の平均的な反転磁界の強度を低減できるだけでなく、交換結合の分散及びヘッドで記録した際の反転磁界の分散を低減でき、従来よりも媒体ノイズを低減でき、また分解能も向上できるため、S/N比の改善が可能となる。また、交換結合の強い強磁性金属層厚の低減により、トラック密度を向上すると伴に、隣接トラックの消去耐性も向上できる。媒体表面の凹凸も低減できるため、信頼性も向上する。その結果、高いトラック密度と線記録密度の両立が可能となり、信頼性に優れた高密度記録が可能な垂直磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記憶装置を提供できる。
低ノイズ化を実現するためには、酸化物を含む磁性層の初期層の粒界幅を広げて磁性層の結晶粒子を孤立化させ、磁気クラスターサイズ(交換結合)を低減する必要がある。酸化物を含む磁性層の下層(第一磁性層)の結晶粒界幅を広げるために、酸化物生成自由エネルギーの高いSi,Ti,Nb,Taなどの酸化物を増やした場合、サブグレインが多数形成されてしまい、粒界幅が均一に広がりにくいことが解った。一方、酸化物生成自由エネルギーの低いCrはそれだけでは均一に粒界を形成しにくいが、酸化物生成自由エネルギーの高いSi,Ti,Nb,Taなどの酸化物などにより粒界のきっかけを作ることで、Crの酸化物が結晶粒界に優先的に析出し、幅の広い結晶粒界が形成されることを見出した。
一方、磁気クラスターサイズの分散及び反転磁界の分散を低減するためには、強磁性金属層を介して磁性層の結晶粒子間に均一な交換結合を導入することが有効である。本発明者らは、酸化物を含む磁性層の上層側(第二磁性層)の粒界幅を狭め、その上に成長する強磁性金属層の粒子が成長初期段階から実質的に連続的な構造を持つようにすることで、磁気クラスターサイズの増加を最小限に抑えつつ磁性層の結晶粒子間に均一な交換結合を導入できることを見出した。このような構造を実現するためには、酸化物を含む磁性層の上層(第二磁性層)の酸化物を酸化物生成自由エネルギーの高いSi,Ti,Nb,Taなどの酸化物とし、且つ、Cr酸化物を下層より少なくすることが重要である。粒界幅を広げる作用を有するCr酸化物を磁性層の上層側で少なくすることで粒界幅が狭まるが、Si,Ti,Nb,Taなどの酸化物が存在することにより下層の結晶粒界を反映する形で徐々に均一に粒界幅が狭まり、強磁性金属層の結晶粒子がこの結晶粒界を跨ぐような形で成長しやすくできる。この時、酸化物を含む磁性層の上層側には、粒界幅の均一な減少に伴って、強磁性金属層に比べれば弱いが均一な交換結合が働くことで、反転磁界分散及びその平均的な磁界強度の低減にも寄与する。
強磁性金属層の結晶粒子がこの結晶粒界を跨ぐような形で成長することで、第二磁性層粒子上に一対一で強磁性粒子が成長することを抑制でき、一対複数あるいは複数対―の関係で成長させることで第二磁性層粒子間に均一な交換結合を導入でき、クラスターサイズの分散や反転磁界分散を低減できる。より好ましくは、第二磁性粒子上に複数の強磁性粒子が成長している構造である。このような構成とすることで、強磁性金属層の膜厚を最小限に抑えることができるため、分解能が向上し、磁気クラスターサイズの増加も最小限に抑えられるため、高い線記録密度でのノイズの増加、隣接トラック消去を抑えることができることを新たに見出した。
第一磁性層としては、Coを主成分とし少なくともCrとPtを含み酸化物を含む、Co−Cr−Pt−B合金、Co−Cr−Pt−Mo合金、Co−Cr−Pt−Nb合金、Co−Cr−Pt−Ta合金とCr酸化物及びSi酸化物、Ta酸化物、Nb酸化物、Ti酸化物を少なくとも一種類以上含むグラニュラー膜を用いることができる。交換結合を均一に低減するのに十分な均一で広い結晶粒界を形成するためには、第一磁性層に含まれるCr酸化物を構成するCr元素と酸素元素の濃度の和を、7at.%以上20at.%以下とするとよい。この時、結晶粒界形成のきっかけとなる酸化物生成能の高いSi,Ti,Nb,Taなどの酸化物を構成する各元素とCr酸化物を構成するCr元素と酸素元素の総和を15at.%から30at.%程度とすることで、均一で幅の広い結晶粒界が効率的に形成され、交換結合が均一に低減され、低ノイズの磁性層を形成できる。Cr酸化物は、酸素雰囲気中で反応性スパッタにより形成してもよいし、ターゲットにCr酸化物として導入してもよい。ターゲットにCrの酸化物を導入した場合でも、スパッタ中に生じる酸素欠損を補うために、酸素雰囲気中でスパッタする方が好ましい。また、基板に−100Vから−300V程度のバイアス電圧を印加することで、酸化物の粒界への偏析を更に促進できる。
上記の範囲のCr酸化物を形成するためには、ターゲットに含まれるCr濃度及びCr酸化物の濃度が重要である。ターゲットにCrとして導入する場合には、CoとCrとPtの総量に対するCr濃度を16at.%以上25at.%以下とすることが好ましい。Cr濃度が16at.%より小さい場合、Cr酸化物を得るために酸素量を増加していくと、Cr濃度が低いために十分なCr酸化物を得る前にCoの酸化が始まり磁気異方性を大幅に低下するため好ましくない。またCr濃度が25at.%以上の場合は、酸化されずに結晶粒内に残るCrが多くなり、磁気異方性の低下を招くため好ましくない。より好ましくは19at.%以上25at.%以下である。
ターゲットに含まれる酸化物生成能の高いSi,Ti,Nb,Taなどの酸化物は、Crの酸化物を効率よく形成するために、従来のように主としてSi,Ti,Nb,Taなどで粒界を形成しようとした場合と比較して少なくする必要がある。酸化物生成自由エネルギーの高い酸化物が多数存在すると、酸素が主としてこれらの元素と反応し、Crの酸化物が形成されにくくなるからである。SiO2やTiO2を用いた場合には、ターゲットに含まれるこれらの酸化物濃度を4mol%から8mol%程度、Nb25やTa25を用いた場合には、これらの酸化物濃度を1.5mol%から2.5mol%程度とすると良い。
また、第一磁性層の膜厚は熱安定性が満足される範囲内で設定すればよく、通常4nmから10nm程度の値が用いられる。また、第一磁性層に含まれるCoとCrとPtの総量に対するPt濃度としては15at.%から30at.%程度の値を用いることにより十分な磁気異方性を得ることができ、十分な熱安定性が得られる。
第二磁性層としては、Coを主成分とし少なくともCrを含み酸化物を含む、Co−Cr−Pt−B合金、Co−Cr−Pt−Mo合金、Co−Cr−Pt−Nb合金、Co−Cr−Pt−Ta合金とSi酸化物、Ta酸化物、Nb酸化物、Ti酸化物を少なくとも一種類以上含むグラニュラー膜を用いることができる。酸化物を含む磁性層の強磁性金属層界面側約2nm程度の膜厚領域に含まれるCr酸化物を構成するCr元素及び酸素元素の濃度の和を5at.%未満とすることで、その上に成長する強磁性金属層の結晶粒子を効率よく連続化できる。より好ましくは、4.3at.%以下である。第二磁性層に含まれるCr酸化物とSi,Ti,Ta,Nb酸化物を構成する各元素の総和を3.6at.%から13at.%程度とすることにより、第二磁性層の粒界を均一に狭め、均一な交換結合を導入することにより、磁気クラスターサイズの分散と反転磁界の分散を低減できる。第二磁性層を形成する際には、第一磁性層形成時よりも酸素の少ない雰囲気中でスパッタすることによりCr酸化物の生成を抑制する。酸素のない雰囲気中で形成すると、Cr酸化物の生成を更に抑制できるのでより好ましい。ターゲットにCr酸化物として導入している場合には、第一磁性層よりも少ないCr酸化物濃度とする。より好ましくは、Cr酸化物の殆ど含まれないターゲットを用い、第二磁性層形成時のガス圧を下げることも結晶粒界を均一に狭めるのに有効である。
強磁性金属層を構成する材料としては、Co/PtやCo/Pdなどの人工格子やFePtなどのCoを主成とし少なくともCrを含有する合金などを用いることができる。特に、Coを主成分とし少なくともCrを含有する合金、Co−Cr合金、Co−Cr−B合金、Co−Cr−Mo合金、Co−Cr−Nb合金、Co−Cr−Ta合金、Co−Cr−Pt−Cu合金、Co−Cr−Pt−B合金、Co−Cr−Pt−Mo合金、Co−Cr−Pt−Nb合金、Co−Cr−Pt−Ta合金、Co−Cr−Pt−Mo−B合金、Co−Cr−Pt−Nb−B合金、Co−Cr−Pt−Ta−B合金、Co−Cr−Pt−Cu−B合金などを用いると、ノイズ増加を最小限に抑えて反転磁界分散を低減でき、耐食性も向上できるため好ましい。また、強磁性金属層の膜厚は、平均的な反転磁界強度、反転磁界の分散を低減でき、且つ、熱安定性が満足される範囲内で、できるだけ薄くすることが好ましい。これにより、隣接トラック消去を抑えることができる。強磁性金属層の膜厚は、好ましくは1nmから5nm程度である。
強磁性金属層と酸化物を含む磁性層の間に、両者の間の交換結合を制御する層を挿入しても良い。上下層の交換結合を制御する層としては、Ru,CoRu,CoCr−SiO2などを用いることができる。
配向と偏析を制御する下地層(配向制御偏析促進層)は、記録層の結晶配向性や結晶粒径を制御し、記録層の結晶粒間の交換結合の低減に重要な役割を果たす。配向制御偏析促進層の膜厚、構成、材料は、上記効果が得られる範囲で設定すればよい。例えば、Taなどの微結晶層、NiTaなどのアモルファス層、面心立方格子(fcc)構造を有する金属層上に、RuもしくはRu合金層を形成した構成やTi合金上にfcc金属を介してRu合金層を形成した構成などを用いることができる。
Taなどの微結晶層、NiTaなどのアモルファス層、面心立方格子(fcc)構造を有する金属層の役割は、Ruの膜面垂直方向のc軸配向性を高めることである。特に、fcc金属はTaなどの微結晶系やNiTaなどのアモルファス系の材料に比べて粒径及び凹凸の制御に優れており、記録層の偏析の促進と熱安定性を大きく向上できるため好ましい。面心立方格子(fcc)構造を有する金属としては、Pd,Pt,Cu,Niやこれらを含有する合金を用いることができる。特に、Niを主成分とする少なくともW,Cr,VもしくはCuを含む合金とすると、適度な粒径と凹凸を形成でき記録層の偏析を促進できるため好ましい。例えば、Ni−6at.%W合金、Ni−8at.%W合金、Ni−6at.%V合金、Ni−10at.%Cr合金、Ni−10at.%Cr−6at.%W合金、Ni−10at.%Cr−3at.%Nb合金、Ni−10at.%Cr−3at.%B合金、Ni−20at.%Cu合金、Ni−20at.%Cu−6at/%W、Ni−20at.%Cu−3at.%Ti合金、Ni−20at.%Cu−3at.%Ta合金などを用いるこができる。膜厚は、通常2nmから12nm程度の値が用いられる。
fcc金属の直下に、Cr−Ti合金、Cr−Ta合金、Ni−Ta合金、Al−Ti合金などのアモルファス層を設けると、fcc層の(111)配向性を高めることができるため好ましい。アモルファス層の膜厚は、通常1nmから5nm程度の値が用いられる。
Ru合金層の役割は、記録層の結晶粒径、結晶配向性の制御と結晶粒間の交換結合の低減である。これが満足される範囲で膜厚を設定すればよく、通常3nmから30nm程度の値が用いられる。Ru層を二層以上に分けて形成し、下層Ruを低ガス圧、高レートで、上層Ruを高ガス圧、低レートで形成することにより、配向の劣化を抑えて、記録層の偏析を促進できるため好ましい。スパッタガスとしてArを用いてもよいし、Arに微量の酸素や窒素を添加したものを用いても良い。また、Ru層の記録層側との界面部分を、Ruの周りを酸化物や窒化物が取り囲んだグラニュラー膜とすると、磁性層の偏析を更に促進することができるため好ましい。Ruを主成分としSi,B,Ti,Ta,Nbなど酸化しやすい元素を含んだ合金を微量の酸素や窒素添加したArガスを用いて反応性スパッタでグラニュラー膜を形成したり、RuにSiO2、TiO2、Ta25、Nb25などの酸化物を含有させたターゲットを用いてグラニュラー膜を形成することができる。
以下に本発明の実施例を挙げ、図面を参照しながら詳細に説明する。
[実施例1]
図1は、本発明による垂直磁気記録媒体の一例の断面模式図である。この垂直磁気記録媒体は、アネルバ株式会社製のスパッタリング装置(C−3010)を用いて作製した。このスパッタリング装置は10個のプロセスチャンバと1個の基板導入チャンバからなり、各チャンバは独立に排気されている。すべてのプロセスチャンバを1×10-5Pa以下の真空度まで排気した後、基板を乗せたキャリアを各プロセスチャンバに移動させることにより順にプロセスを実施した。スパッタ用のプロセスチャンバには磁石回転型のマグネトロンスパッタカソードを設置し、金属膜及びカーボン膜はDCスパッタにより形成した。
基板41には直径63.5mmのガラス基板を用いた。基板41上に、基板との密着性を高めるためにNiTa合金からなる膜厚10nmの密着層42を形成した。ここでNiTa合金としては、Ni−37.5at.%Taを用いた。密着層42は基板と密着層の上の層の両方に対する密着力を確保できれば良く、Ni系合金、Co系合金、Al系合金等いずれも使用可能である。例えば、AlTi合金、NiAl合金、CoTi合金、AlTa合金などを用いることができる。
その上の軟磁性下地層43は、FeCoTaZr合金を薄いRuを介して積層した三層構造とした。ここでFeCoTaZr合金としては、51at.%Fe−34at.%Co−10at.%Ta−5at.%Zrを用いた。このようなAFC(反強磁性結合)構成とすることで、上下のFeCoTaZr合金層がRu層を介して反強磁性的に結合し、軟磁性下地層に起因するノイズを低減することができる。この時のRuの膜厚はAFCの結合が保たれる範囲で設定すればよく、ここでは0.4nmとした。また、AFCの結合が保たれる範囲でRuに添加元素を加えても良い。一層当りのFeCoTaZr合金の膜厚は15nmとした。軟磁性下地層の構成としては、一層のFeCoTaZr合金などの軟磁性材料からなる軟磁性下地層の下に軟磁性下地層の磁区を固定するための磁区制御層を設けた構造や、AFC構造の下に磁区制御層を設けた構造を用いても良い。また、軟磁性下地層を構成する材料としては、FeCoTaZr合金、FeCoTaZrCr合金、CoTaZr合金、CoTaZrCr合金、FeCoB合金、FeCoCrB合金、CoNbZr合金、CoTaNb合金などを用いることができる。
配向制御偏析促進層44は、膜厚4nmのNi−37.5at.%Taと膜厚8nmのNi−6at.%Wと膜厚16nmのRuを順次形成した構成とした。配向制御偏析促進層44は、記録層の結晶配向性や結晶粒径を制御し、記録層の結晶粒間の交換結合の低減に重要な役割を果たす。配向制御偏析促進層44の膜厚、構成、材料は、上記効果が得られる範囲で設定すればよく、特に上記の膜厚、構成、材料に限定するものではない。
上記の配向制御偏析促進層44の構成において、NiTa層の役割はNiW層の配向を制御し、NiWの(111)配向性を高めることである。NiTa層の膜厚は、これが満足される範囲で設定すればよく、通常1nmから5nm程度の値が用いられる。NiTa合金の代わりに、AlTi合金、CrTi合金、CrTa合金などのアモルファス材料や、Taなどの微結晶材料を用いてもよい。配向制御偏析促進層44においてNiW層の役割は、Ruの膜面垂直方向のc軸配向性を高めることと粒径及び凹凸の制御である。NiW層の膜厚は、これが満足される範囲で設定すればよく、通常2nmから12nm程度の値が用いられる。NiW合金の代わりに、面心立方格子(fcc)構造を有するPd,Pt,Cu,Niやこれらを含有する合金を用いてもよい。特に、Niを主成分とする少なくともWもしくはCrもしくはVもしくはCuを含む合金とすると、記録層の偏析を促進できるため好ましい。
Ru層の役割は、記録層の結晶粒径、結晶配向性の制御と結晶粒間の交換結合の低減である。これが満足される範囲で膜厚を設定すればよく、通常3nmから30nm程度の値が用いられる。本実施例においては、配向制御偏析促進層44のRu層を二層に分けて形成し、下層半分をガス圧1Pa、4nm/s、上層半分をガス圧6.5Pa、1.5nm/sで形成した。
磁性層45は、第一磁性層451と第二磁性層452の二層構造とし、第一磁性層451の膜厚を10nm、第二磁性層の膜厚を3nmとした。酸化物を含まない強磁性金属層46としては、膜厚3.5nmの60at.%Co−12at%Cr−16a.%Pt−12at.%B合金を用い、スパッタガスとしてArを用い、総ガス圧を0.6Paとした。続いて、保護層47として厚さ3.5nmのDLC(ダイアモンドライクカーボン)膜を形成した。その表面に有機系の潤滑剤を塗布して潤滑層を形成した。
磁気特性の評価は、室温においてKerr効果測定装置を用いて行った。測定波長は350nm、レーザーのスポット径は約1mmである。磁界は試料膜面垂直方向に印加し、最大磁界は1580kA/m(20kOe)とし、掃引速度を一定として60秒間でカーループの測定を行った。記録層の膜厚が薄い場合にはレーザー光が軟磁性下地層まで到達するため、軟磁性下地層の磁化に起因するKerr回転角の変化が記録層からの信号に加算される。軟磁性下地層に起因する信号は磁化が膜面垂直方向に飽和するまでは磁界に対してリニアに変化するので、395〜1580kA/m(5−10kOe)付近の傾きが0になるように補正した。補正後の状態を図2に示す。その後、保磁力(Hc)、飽和磁界(Hs)、逆磁区核形成磁界(−Hn)を求めた。Hsは、図2に示すように磁界を0から1580kA/m(20kOe)と増加させた時に、Kerr回転角が飽和値の95%となるときの磁界として定義した。−HnはKerr回転角が正に飽和した状態から磁界を下げた時に飽和値の95%となるときの磁界とし、第二象限にある場合を正と定義した。
記録再生特性評価には、周速10m/s、スキュー角0度、磁気スペーシング約8nmの条件で、再生出力とノイズを測定した、媒体S/Nは27126fr/mmの線記録密度における再生出力と上記線記録密度で信号を記録した時の積分ノイズの比によって評価した。OW特性は27126fr/mmの信号の上に2713fr/mmの信号を重ね書きした後の記録密度27126fr/mmの信号の消え残り成分と2713fr/mmの信号強度の比を用いて評価した。磁気ヘッドの再生部には、シールドギャップ長60nm、トラック幅70nmの巨大磁気抵抗効果を利用した再生素子を用いた。磁気ヘッドの記録部は、主磁極と補助磁極と薄膜導体コイルを有する単磁極型ヘッドの構造を有し、主磁極は主磁極ヨーク部と主磁極先端部からなり、主磁極先端部のトラック幅方向及びダウントラック方向を覆うようにシールドが形成されている(ラップアラウンドシールドヘッド)。主磁極先端部の幾何学的なトラック幅90nm、主磁極−トレーリングシールド間の距離50nm、主磁極−サイドシールド間距離100nmのヘッドを用いた。
磁気ディスク装置に搭載する磁気ヘッドの再生素子としては、巨大磁気抵抗効果素子の他にトンネル磁気抵抗効果素子(TMR)や、素子膜面垂直方向に電流を流す巨大磁気抵抗効果素子(CPP−GMR)を用いることもできる。また、記録ヘッドとしては、トラック幅方向のシールドのないシールドヘッドや単磁極ヘッドを用いることができる。ただし、記録磁界勾配を向上できる点で、少なくとも主磁極のダウントラック方向にシールドを設けたシールドヘッドが好ましい。
磁性層の膜厚方向の組成分析の際には、光電子分光法(XPS)を用い、加速電圧500Vのイオン銃でサンプル表面からスパッタして深さ方向に掘り進み、アルミニウムのKα線をエックス線源として、長さ1.5mmで幅0.1mmの範囲を分析した。Cの1s電子、Oの1s電子、Siの2s電子、Crの2p電子、Coの2p電子、Ruの3d電子、Ptの4f電子などに対応するエネルギー近傍のスペクトルを検出することにより、各元素の含有率を求めた。例えばCr酸化物の量を求める際には、Crのスペクトルの化学シフトから金属のCrとCr酸化物の割合を求めた。
第一磁性層451及び第二磁性層452は、61at.%Co−21at.%Cr−18.at.%PtとSiO2を94mol:6molの比率で含有するターゲットを用い、ガス圧5Pa、3nm/sの製膜レート、基板バイアス−275Vの条件で形成した。第二磁性層452形成のスパッタガスはアルゴンガスのみとし、第一磁性層形成時のスパッタガス中の酸素濃度を2−4%の間で変化させたサンプルを作製した。第二磁性層452の上層2nm付近の酸化物濃度の平均値を求めたところ、酸化物全体を構成する元素濃度は10.4at.%であり、そのうちCr酸化物を構成する元素濃度は0.3at.%であった。
第一磁性層451形成時の酸素濃度を2−4%としたサンプルの第一磁性層451の下層側4nm程度の領域におけるCr酸化物を構成するCr元素と酸素元素の濃度の和を求めた。図3及び図4に、これらのサンプルの媒体S/N及び逆磁区核形成磁界(−Hn)のCr酸化物を構成するCr元素の濃度と酸素元素の濃度の和に対する依存性示す。
Cr酸化物を構成するCr元素と酸素元素の濃度の和が7at.%未満になると媒体S/Nが急激に劣化する。これはCr酸化物が減少したことにより結晶粒界の形成が不十分となり、第一磁性層451の結晶粒間に働く交換結合が急激に強くなったためと考えられる。逆磁区核形成磁界(−Hn)も小さいことから、Crが偏析せずに結晶粒界に多く残って磁気異方性が低下し、熱安定性も劣化したと考えられる。
一方、Cr酸化物の濃度が20at.%より大きくなった場合にも同様に媒体S/N、逆磁区核形成磁界が急激に低下する。第一磁性層451まで形成し、第二磁性層452及び強磁性金属層46を形成せずに保護層47を形成したサンプルを作成し、透過型電子顕微鏡で第一磁性層451を観察したところ、平均的な結晶粒は微細化しているものの粒径の分散が大きく、結晶粒の中に幅の狭い粒界が存在するサブグレインも多数みられ、粒径分散の増加が媒体S/Nの劣化の原因と考えられる。また、Cr酸化物の濃度が20at.%と大きい場合、第一磁性層の酸化物を構成するすべての元素の濃度の和は約34at.%と非常に高く、磁性を持った結晶粒の充填率が低下したことも媒体S/Nの劣化の原因と考えられる。組成分析から、Coの酸化物も多数存在することが確認されており、磁気異方性の低下、粒径の微細化により、熱安定性が劣化したと考えられる。第一磁性層のCr酸化物を構成する元素の濃度としては、7at.%以上20at.%以下が好ましいことがわかった。この時、図5に示すように酸化物を構成するすべての元素の濃度の和は15−30at.%であった。
次に、磁性層45を形成する際に用いるターゲットの酸化物の種類、濃度を変えた表1に示すサンプルを作製した。第一磁性層451の膜厚は10nm、第二磁性層452の膜厚は3nmである。
Figure 2009048720
サンプル1−8〜1−10は、第一磁性層451の粒界を形成し得る酸化物の総量としては20at.%程度とサンプル1−1〜1−7とほぼ同等の量を含んでいる。ここで、Crの酸化物を構成する元素の濃度が7at.%以上20at.%以下の範囲にあるサンプル1−1〜1−7とCrの酸化物を構成する元素の濃度が7at.%未満のサンプル1−8〜1−10を比較することにより、酸化物の総量が同じであってもCrの酸化物を多く含む方が高い媒体S/Nが得られることがわかる。つまり、酸化物生成自由エネルギーの大きなSiなどの酸化物の濃度を高くするよりも、Cr酸化物を構成する元素の濃度を高くすることが高S/N化に効果的であることが解る。
また、サンプル1−1〜1−7とサンプル1−11の比較から、Cr酸化物を構成する元素の濃度が高いことに加えて、少なくともSi,Ti,Ta,Nbなどの酸化物生成自由エネルギーの高い酸化物を含むことが重要であることがわかる。
第二磁性層452,強磁性金属層46を形成しないサンプルを作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)で第一磁性層451の構造を観察したところ、多くのCrの酸化物を含み、Siなどの酸化物生成自由エネルギーの高い酸化物を含むサンプル1−1〜1−7では、図6に示すような幅の広い均一な結晶粒界が見られた。一方、酸化物生成自由エネルギーの高いSi酸化物を多数含みCr酸化物が僅かなサンプル1−8〜1−10では、図7に示すように平均的な結晶粒は小さいものの、粒界の幅が不均一で多数のサブグレインが存在し、粒径分散の増加も見られた。サンプル1−8〜1−10では、粒径が微細化したように見えても、サブグレイン間の交換結合が強いために、実効的に磁化クラスターサイズが低減されておらず、結果としてS/Nが向上できないことが解った。また、粒径分散、配向分散の増加により反転磁界分散が増加していることも、媒体S/N劣化の原因と考えられる。
サンプル1−1〜1−7の結晶粒界部分を、透過電子顕微鏡(TEM)に電子エネルギー損失分光法(EELS)を組み合わせたTEM−EELSで組成を分析したところ、結晶粒界にはSiとCrとO(酸素)が多く存在することが確認された。一方、サンプル1−8〜1−10では、粒界にはSiとO(酸素)が多く観測されCrの量は僅かであった。また、サンプル1−11では、Si酸化物,Ta酸化物,Nb酸化物,Ti酸化物を含むサンプル1−1〜1−7と比較して、広い結晶粒界も存在するがその幅が不均一で結晶粒が互いにくっついた状態が多数みられ、結晶粒径も肥大化していた。これがS/Nを劣化させた原因と考えられる。つまり、Si,Ti,Ta,Nbなどの酸化物生成自由エネルギーの高い酸化物で粒界のきっかけを作ることでその周りにCr酸化物を偏析して幅の広い均一な結晶粒界を形成できることが解った。
以上の結果から、また、第一磁性層451に含まれる酸化物として、Si,Ti,Ta,Nbなどの酸化物生成自由エネルギーの高い酸化物を含み且つCr酸化物を構成する元素の濃度を7at.%以上20at.%以下とすることで、均一で広い結晶粒界を形成できることができ、交換結合が均一に低減され、S/Nを大幅に向上できることが明らかとなった。
次に、第二磁性層452に含まれるCr酸化物の濃度を変化させたサンプルを作製した。第一磁性層451及び第二磁性層452は、61at.%Co−21at.%Cr−18.at.%PtとSiO2を94mol:6molの比率で含有するターゲットを用い、アルゴンと酸素の混合ガス中で3nm/sの製膜レートで基板バイアス−275Vの条件で形成した。スパッタガス圧は5.5Paとし、第一磁性層451形成の際にはスパッタガス中の酸素濃度は3%とし、第二磁性層452形成の際にはスパッタガス中の酸素濃度を0−4%の間で変化させた。
第一磁性層451の下層4nmの酸化物濃度の平均値を求めたところ、酸化物全体を構成する元素濃度は25.1at.%であり、そのうちCr酸化物を構成する元素濃度は15at.%であった。
第二磁性層452形成時の酸素濃度を0−4%としたサンプルの第二磁性層452の上層側2nm程度の領域のCr酸化物濃度を求めた。これらのサンプルの媒体S/N、OW特性、反転磁界の分散(Hs−Hc)を第二磁性層452のCr酸化物を構成する元素の濃度に対してプロットし、図8から図10にその結果を示す。
第二磁性層452のCr酸化物を構成する元素の濃度が第一磁性層451のCr酸化物を構成する元素の濃度を超えて増加すると、S/Nが急激に劣化する。これは、Coが酸化され始めることにより反転磁界分散の増加によるノイズが増加し、分解能が低下したためである。第二磁性層452中のCr酸化物を構成する元素濃度は、第一磁性層451に比べて低いことが必要である。第二磁性層452のCr酸化物を構成する元素の濃度を第一磁性層451のそれよりも低くしていくと、徐々に反転磁界分散が低減されて媒体S/Nが向上する。第二記録層452のCr酸化物を構成する元素の濃度が5%未満になると反転磁界分散及びOW特性が大きく改善し、それに伴って媒体S/Nが急激に向上する。
媒体S/Nの急激な変化が起こった第二磁性層452のCr酸化物を構成する元素濃度が5%前後のサンプルを、ほぼ第二磁性層452と強磁性金属層46だけが含まれる厚さとなるまで基板側から薄く加工し、透過型電子顕微鏡で平面構造を調べた。第二磁性層452のCr酸化物を構成する元素濃度が5%未満の場合には、図12に示すように、強磁性金属層46が第二磁性層452の粒界を跨ぐ形で連続的に成長し幅の広い結晶粒界は観察されない。一方、第二磁性層452のCr酸化物を構成する元素濃度が5%以上の場合には、図11に示すように、強磁性金属層にも磁性層の粒界を反映して結晶粒界が形成され、幅の広い粒界が観察される。つまり、第二磁性層452に含まれるCrの酸化物が多いほど強磁性金属層46の結晶粒の分離が起きる確率が高くなることが解った。
ここで、粒界を跨ぐ形で連続的に成長とは、第二磁性層452の結晶粒界と強磁性金属層46の結晶粒界が一致しない場合が支配的という意味である。強磁性金属層46の結晶粒子が第二磁性層452の結晶粒界を跨ぐ形で成長することにより、均一な交換結合が磁性層45の粒子間に導入され、磁性層45の反転磁界の大きさ及び分散が低減されたと考えられる。一方、第二磁性層452にCrの酸化物が多く存在し結晶粒界が広い場合には、強磁性金属層46の結晶粒子は第二磁性層452の主として酸化物からなる結晶粒界上には成長しにくいため、成長初期段階では結晶粒が分離して成長し、強磁性金属層46の結晶粒子間の交換結合は、粒界構造を反映して不均一になる。結果として、磁性層45の粒子間に均一な交換結合を導入できなくなり、反転磁界分散が増加したと考えられる。つまり、磁性層45に均一な交換結合を導入し反転磁界分散を低減するためには、第二磁性層452に結晶粒界を広げるCrの酸化物が少ないことが好ましいことが解った。とりわけ、Cr酸化物を構成する元素の和を5at.%未満とした場合に、OW特性、S/Nの向上が顕著であることが解る。上記サンプルの断面構造をTEMで観察した結果、第二磁性層452に含まれるCr酸化物の濃度を第一磁性層451よりも低く5%未満とすることにより、第二磁性層452の粒界幅が第一磁性層451に比べて狭くなっていることが解った。
次に、第一磁性層451は図8から図10に示したサンプルと同一ターゲットを用いて同一条件で形成し、第二磁性層452はターゲット中の61at.%Co−21at.%Cr−18.at.%PtとSiO2の比率を99mol:1molから90mol:10molの間で変化させたターゲットを用いサンプルを作製した。ここで、第二磁性層452形成の際には酸素を導入せずArのみで形成した。第二磁性層に含まれるCr酸化物を構成する元素の濃度は1at.%未満であった。作製したサンプルの媒体S/Nの第二磁性層に含まれる酸化物を構成する元素の総和に対する依存性を図13に示す。
第二磁性層452の酸化物を構成する元素の総和が1.8at.%と非常に少ない場合には、S/Nの劣化が見られることが解る。これは、第一磁性層451の結晶粒界幅が広く主として酸化物から形成されているため、第二磁性層452に含まれる酸化物の量が非常に少なくなると、第一磁性層451の結晶粒界を反映して粒界を形成するのに酸化物の総量が不足し、均一に結晶粒界が狭くならずに粒界がところどころで結合し、粒界幅にムラが生じる。その結果、第二磁性層452の結晶粒子間に働く交換相互作用が非常に強い領域ができて磁気的なクラスターサイズが増加し、ノイズが増加したためと考えられる。均一に粒界幅を狭めるためには、Cr酸化物を構成する元素の和を5at.%未満とするとともに、酸化物の総量を1.8at.%より大きくすると良いことが解る。
また、第二磁性層452の酸化物を構成する元素の総和が16.3at.%と大きい場合には、媒体S/Nの劣化が見られることが解る。これは、酸化物を構成する元素の総和が13%を越えて大きくなると、酸化物生成自由エネルギーの大きいSi酸化物の増加とともにサブグレインが増加するため、その上に成長する強磁性金属層の結晶配向の劣化が生じたり、結晶粒子間の交換結合の分散が増加するためと考えられる。均一に粒界幅を狭めるためには、Cr酸化物を構成するCr元素と酸素元素の濃度の和を4.3at.%以下とするとともに、酸化物の総量を13at.%以下とすると良いことが解る。
以上の結果から、第一磁性層451の結晶粒界をCrの酸化物と少なくともSi,Ti,Nb,Taのいずれか一つ以上の酸化物が結晶粒界に偏析した構造とし、第二磁性層452をSi,Ti,Nb,Taのいずれか一つ以上の酸化物を含有し、且つ、Cr酸化物を第一磁性層451に比べて少なくすることで、第二磁性層452の結晶粒界幅を狭めてその上に成長する強磁性金属層46の結晶粒子を磁性層45の結晶粒界を跨ぐ形で連続的に成長させることで、交換結合及び反転磁界の分散を低減でき、高いS/Nと分解能と熱安定性を実現できることが明らかとなった。
[実施例2]
図14は、作製した垂直磁気記録媒体の断面模式図である。本実施例の垂直磁気記録媒体は上述した実施例1と同様なスパッタリング装置で作製し、磁性層45と強磁性金属層46以外は、実施例1と同様な層構成及びプロセス条件とした。磁性層45は、[67at.%Co−21at.%Cr−18at.%Pt]とSiO2を94mol:6molの割合で含有する複合型ターゲットを用い、3nm/sの製膜レートで基板バイアス−275Vの条件で一チャンバで形成した。膜厚は13nmとした。磁性層45の形成の途中で階段状にスパッタガス条件を変更した。磁性層45の下層側を形成する際には、アルゴンと酸素の混合ガスを用い、総ガス圧を5Pa、酸素濃度を3%に設定し、磁性層45の上層を形成する際にはArのみを用い、総ガス圧を2Paに設定した。
酸化物を含まない強磁性金属層46には、CoCrPt合金、CoCrPtB合金、CoCrPtBMo合金を用い、スパッタガスとしてArを用い、総ガス圧を0.6Paとした。表2に磁性層45の上層、下層の膜厚及び、強磁性金属層46の組成及び膜厚を示す。比較のため、磁性層45を形成する際にスパッタガス条件を変更せず、スパッタガス中の酸素濃度を3%一定とした媒体、及び磁性層45を[72at.%Co−10at.%Cr−18at.%Pt]とSiO2を88mol:12molの割合で含有する複合型ターゲットを用いて形成した媒体を作製した。表2に併せて示す。
Figure 2009048720
本実施例2−1〜2−3と比較例2−1〜2−3を比較すると、強磁性金属層46の膜厚が同じ場合には、本実施例の媒体の方がOW特性に優れ、S/Nも良いことが解る。これは、本実施例の媒体の飽和磁界(Hs)が小さく、反転磁界の分散(Hs−Hc)も小さいことに対応する。強磁性金属層46の膜厚を6−7nmまで厚くした比較例2−4〜2−6は、実施例と同等のHs,反転磁界分散(Hs−Hc),S/Nを示すが、膜厚の増加に伴う分解能の劣化が見られた。
1cmあたり4.33×105ビット(433kbit/cm,1100kbit/inch)の線記録密度でデータを記録して108ビット(bit)のデータを読み出したときの(誤りビット数)/(読み出しビット数)をビット誤り率(BER)とした。本実施例2−1〜2−5と比較例2−4〜2−6の媒体は、433kbit/cmの線記録密度におけるビット誤り率(BER:108ビットのデータを読み出したときの(誤りビット数)/(読み出しビット数))を測定したとろ、BERが10-5〜10-6(Log10(BER)=−5〜−6)であった。この線記録密度においてトラック間隔を変えて複数のトラックに情報を記録した際、ビット誤り率が10-3以下となるオフトラック許容量が、前記トラック間隔の30%となるときのトラック間隔よりトラック密度を算出したところ、トラックピッチはおおよそ1cmあたり8.66×104トラック(86.6ktrack/cm,220ktrack/inch)であった。
上記の方法で求めたトラック密度で、あるトラックにデータを1回記録した後の隣接トラックのビット誤り率BER(1回)と、あるトラックにデータを10000回記録した後の隣接トラックのビット誤り率BER(10000回)を測定し、隣接トラックにおけるビット誤り率の劣化量(隣接トラック消去)をその比の対数Log10(BER(10000回)/BER(1回))から求めた。その結果、強磁性金属層の厚い比較例2−4〜2−6においては、隣接トラックにおけるビット誤り率が大幅に劣化することが解った。これは、強磁性金属膜はグラニュラー膜に比べて膜中の交換結合が非常に強いために、膜厚の増加に伴って反転磁界分散は低減されるものの磁気クラスターサイズが急激に増加することにより、隣接トラックの影響を受けやすくなり、隣接トラックにおけるビット誤り率の急激な劣化を生じたと考えられる。
実施例2−1〜2−5を比較すると、強磁性金属層46にホウ素を含む方がS/Nに優れ、隣接トラック消去が小さいことが解る。TEMにより強磁性金属層46の結晶粒径を評価したところ、ホウ素を含む実施例2−1〜2−4の場合には、図12に示すような磁性層45よりも小さい結晶粒が連続的に成長しているのに対し、ホウ素を含まない実施例2−6の場合には、強磁性金属層46の結晶粒子は磁性層45の結晶粒界を跨いで大きな結晶粒となり、連続的に成長していることが解った。ホウ素を含む強磁性金属層では結晶粒が微細化し粒界の数が増加することで、強磁性金属層46の膜面内方向に働く交換結合が低減したためS/Nが向上し、隣接トラック消去が小さくなったと考えられる。強磁性金属層46の結晶粒子は、磁性層45よりも小さな結晶粒が連続的に成長していることがより好ましいということが解る。
光電子分光法により膜厚方向に組成分析を行った結果、実施例2−1〜2−5ではスパッタ中に酸素ガスの導入を停止したことに対応して、磁性層45の上層側でCr酸化物が徐々に減少する様子が見られ、表2に示すように、強磁性金属層46との界面側2nm程度の膜厚領域では、Cr酸化物を構成する元素濃度が5%未満まで減少していることが解った。一方、酸素濃度一定で形成した比較例2−1〜2−6では、強磁性金属層46との界面側2nm程度の膜厚領域においてもCr酸化物を構成する元素濃度が14.5at.%と高い値を示している。
これらの試料を、断面方向に粒子が数個程度になるまで試料を薄膜化し断面構造をTEMで解析した。その結果、比較例2−1のように強磁性金属層が薄い場合には、図15に示すように、磁性層45の表面まで広い結晶粒界が観察され、その上に成長する強磁性金属層46は成長初期段階では、磁性層45の結晶粒界を引きずって不連続な構造を持つことが解った。一方、実施例2−1〜2−5では、図16に示すように、磁性層45の上層側においてCr酸化物濃度の減少に伴って粒界幅が狭くなること、その上に成長する強磁性金属粒子は磁性層45の結晶粒界をまたいで連続的に成長すること、比較例2−1〜2−6に比べて表面平坦性が増すことが解った。つまり、磁性層45の強磁性金属層46側との界面付近では、Cr酸化物の濃度を低くすることが、強磁性金属層46の構造を制御し、均一な交換結合を導入するために重要であることが解った。
実施例2−1〜2−3と比較例2−7,2−8を比較すると、磁性層45下層のCr酸化物濃度が高い実施例の媒体の方がS/Nが良いことが解る。比較例2−7,2−8のように酸化物生成自由エネルギーの高いSiO2のみを増やした場合、結晶粒径は減少するものの、多数のサブグレインが形成されるため、粒径や粒界幅の分散が増加する。サブグレイン間の交換結合が強いために磁気クラスターサイズが増加し、結果としてノイズが増加していると考えられる。一方、実施例の媒体では、幅の広い均一な結晶粒界が形成されたために磁気クラスターサイズが低減され、結果として、ノイズが低減されていると考えられる。
実施例2−6〜2−8として、実施例2−2の媒体の強磁性金属層46と磁性層45の間に層間の交換結合を制御する層としてCoRu合金、CoCr合金、CoCr−SiO2を挿入した媒体を作製した。比較例2−9〜2−11として、比較例2−1の媒体の強磁性金属層46と磁性層45の間にCoRu合金、CoCr合金、CoCr−SiO2を挿入した媒体を作製した。表3に強磁性金属層46と磁性層45の間に挿入した層の組成、膜厚と、媒体の磁気特性及び記録再生特性を示す。
Figure 2009048720
強磁性金属層46と磁性層45の間に上下層間の交換結合を制御する層を挿入した場合にも、本実施例の媒体の方がOW特性に優れ、S/Nも良いことが解る。これは、本実施例の媒体の飽和磁界(Hs)が小さく、反転磁界の分散(Hs−Hc)も小さいことに対応する。実施例2−2と実施例2−6〜2−8を比較すると、交換結合を制御する層を挿入することでOW特性は向上するが、S/N及び隣接トラック消去耐性は僅かに劣化する。これは、磁性層45のCr酸化物の濃度に勾配をつけて上層側のCr酸化物の濃度を減らし結晶粒界幅を狭めてその上に成長する強磁性金属層46の結晶粒子を磁性層45の結晶粒界を跨ぐ形で連続的に成長させることにより反転磁界の大きさ及び分散を低減できるため、CoRu合金、CoCr合金、CoCr−SiO2などの交換結合を制御する層を挿入し磁性層45と強磁性金属層の交換結合弱めて反転磁界を更に低減した場合、ヘッドの記録磁界とのマッチングが悪くなるためと考えられる。十分な記録磁界が得られる場合には、交換結合を制御する層を挿入する必要はないことがわかる。
一方、比較例2−1と比較例2−9〜2−11の比較から、磁性層45の上層の酸化物濃度が高い場合には、交換結合を制御する層を挿入することでOWが改善しS/Nの向上が見られた。しかしながら、実施例2−2に比べると低く、磁性層45のCr酸化物の濃度に勾配をつけて上層側のCr酸化物の濃度を減らし結晶粒界幅を狭めてその上に成長する強磁性金属層46の結晶粒子を磁性層45の結晶粒界を跨ぐ形で連続的に成長させることが重要であることがわかる。
本実施例の媒体においては、熱安定性の指標となる−Hnは159kA/m以上の値を有し、熱的に問題ない。
以上の結果から、磁性層を一つのチャンバ内で形成する場合には、磁性層上層側を形成する際の酸素を減らしてCr酸化物の濃度を下げることで、実施例1と同等の効果を得られることが解る。磁性層45下層の結晶粒界をCrの酸化物と少なくともSi,Ti,Nb,Taのいずれか一つ以上の酸化物が結晶粒界に偏析した構造とし、磁性層45の上層をSi,Ti,Nb,Taのいずれか一つ以上の酸化物を含有し、且つ、Cr酸化物を磁性層45の下層に比べて少なくすることで、磁性層45の上層の結晶粒界幅を狭めてその上に成長する強磁性金属層46の結晶粒子を磁性層45の結晶粒界を跨ぐ形で連続的に成長させることで、強磁性金属層46の膜厚を低減しつつ交換結合及び反転磁界の分散を低減でき、その結果、隣接トラックにおけるビット誤り率の劣化を抑え、高いS/Nと優れた熱安定性を実現できることが明らかとなった。
[実施例3]
図17に、作製した垂直磁気記録媒体の断面模式図を示す。本実施例の垂直磁気記録媒体は、実施例1と同様なスパッタリング装置で作製し、磁性層45と強磁性金属層46以外は、実施例1と同様な層構成及びプロセス条件とした。
酸化物を含む磁性層45は、第一磁性層451、第二磁性層452、第三磁性層453の三層構造とした。第一磁性層451及び第二磁性層452は、表4に示すCoCrPt合金とSiO2からなる複合型ターゲットを用い、3nm/sの製膜レートで形成した。酸化物を含まない強磁性金属層46としては、58at.%Co−12at.%Cr−at.%18Pt−12at.%B合金を用い、スパッタガスとしてArを用い、総ガス圧を0.6Paとした。強磁性金属層46の膜厚は、OW特性がほぼ一定となるように調節した。第一、第二、第三磁性層の膜厚、組成、スパッタ時の総ガス圧、酸素濃度、基板バイアス条件及び、強磁性金属層46の膜厚を表4に示す。また、第一磁性層451もしくは第二磁性層452をCrが少なくSiO2が多い複合ターゲットを用い低い酸素濃度で形成し、Cr酸化物が少なくSi酸化物が多数含まれる層とした比較例、第三磁性層453を酸素雰囲気中で形成しCr酸化物が多く含まれる比較例を作製し、表4に示す。なお、第三磁性層453の形成に用いたターゲットは、[59at.%Co−23at.%Cr−18at.%Pt]とSiO2を95mol:5molの割合で含有する複合型ターゲットであり、すべての実施例及び比較例に共通であるため、表4にはターゲット組成の記載を省略した。
Figure 2009048720
実施例3−1〜3−4と比較例3−1〜3−4の比較から、Siの酸化物に加えて第一磁性層にCrの酸化物を多く含ませることで高いS/Nが得られることが解る。第二磁性層452から強磁性金属層46を形成しない試料を作製しTEMで構造を観察した結果、Crの酸化物を多く含む実施例に相当するサンプルにおいて幅の広い均一な結晶粒界が観察されたのに対し、酸化物生成自由エネルギーの大きなSi酸化物を多く含み、Cr酸化物が少ないサンプルでは、粒界幅が狭く多数のサブグレインが観察された。比較例3−1〜3−4においてはサブグレイン間に働く交換結合が強いため、磁気クラスターサイズが結果として小さくならず、S/Nが向上できていないと考えられる。一方、第一磁性層をSiの酸化物に加えてCrの酸化物を多く含んだグラニュラー膜とすることによって結晶粒界が均一に広がり、交換結合が均一に低減されて磁気クラスターサイズが低減でき、S/Nが向上できたと考えられる。
また、実施例3−1〜3−4と比較例3−5〜3−8の比較から、強磁性金属層と接する第三磁性層453のCr酸化物濃度が高くなると、本実施例と同等のOW特性を得るのに必要な強磁性金属層46の膜厚が増加するために分解能が大きく低下し、媒体S/Nが低下した。また、あるトラックに信号を記録した際に隣接トラックにおけるビット誤り率の劣化量(隣接トラック消去)が大幅に増加している。これは、強磁性金属膜はグラニュラー膜に比べて膜中の交換結合が非常に強いため、膜厚の増加に伴って反転磁界分散は低減されるものの磁気クラスターサイズが急激に増加して隣接トラックの影響を受けやすくなったためと考えられる。
また、実施例3−2〜3−4と比較例3−9の比較から、磁性層45の中央付近においても磁性層45の初期層付近と同様にSi酸化物を含み且つCrの酸化物濃度高いことが重要であることがわかる。中央付近のCr酸化物を形成する元素濃度の和が7at.%から20at.%であれば問題ない。この範囲であれば、磁性層45の初期層(第一磁性層451)に比べて酸化物の濃度が変動しても問題ないことがわかる。
また、磁性層45において、Cr酸化物を多く含み粒界幅の広い磁性層の下層の割合が半分以下になると、磁性層内の交換結合が十分に低減できなくなるため好ましくないが、実施例3−1のようにCrの酸化物濃度が高い第一磁性層451を半分より厚くした場合には、第二磁性層452、第三磁性層453をともにSi酸化物を含みCr酸化物を殆ど含まない膜としても良いことが解る。
上記条件を満たせば、磁性層45を4層以上から構成しても良いし、分割した磁性層の各層においてさらに酸素濃度に勾配をつけても良い。
本実施例の媒体においては、熱安定性の指標となる−Hnは159kA/m以上の値を有し、熱的に問題ない。
[実施例4]
本発明による磁気記憶装置の模式図を図18に示す。図18(a)は平面模式図、図18(b)は断面模式図である。磁気記録媒体10は上記実施例1〜3の垂直磁気記録媒体で構成され、磁気記憶装置は、この磁気記録媒体を駆動する媒体駆動部11、記録部と再生部を備える磁気ヘッド12、磁気ヘッドを磁気記録媒体に対して相対運動させるアクチュエータ13、磁気ヘッドへの信号の入出力を行うための信号処理系14を有する。
磁気ヘッド12と磁気記録媒体10の関係を図19に示す。磁気ヘッド12の磁気的な浮上量を4nmとし、再生部20の再生素子21にはトンネル磁気抵抗効果素子(TMR)を使用し、シールドギャップ長50nm、トラック幅50nmである。記録部22の主磁極23の周りにはラップアラウンドシールド24が形成され、主磁極先端部の幾何学的なトラック幅は80nm、主磁極−トレーリングシールド間の距離は50nm、主磁極−サイドシールド間距離は80nmとした。主磁極23、垂直磁気記録媒体10の軟磁性下地層、補助磁極25は磁気回路を構成し、その磁気回路に鎖交する薄膜導体コイル26に通電することによって主磁極23から発生された記録磁束は、垂直磁気記録媒体10の磁性層及び軟磁性下地層を通って補助磁極25に戻る。
本発明の媒体を用いることにより、1cmあたりのトラック密度を86614トラック、1cmあたりの線記録密度を472441ビットとすることによって、1平方センチあたり40.9ギガビットでの動作を確認でき、隣接トラック消去も実用上問題のないレベル(1以下)を確保できた。また、実施例2−2の媒体との組み合わせにおいて、1cmあたりのトラック密度を87795トラック、1cmあたりの線記録密度を531496ビットとすることによって、1平方センチあたり46.7ギガビットでの動作を確認でき、隣接トラック消去も実用上問題のないレベル(1以下)を確保できた。
本発明による垂直磁気記録媒体の一例の断面模式図。 軟磁性下地層のある二層垂直磁気記録媒体の補正後のカーループと飽和磁界(Hs)の定義を表す図。 第一磁性層のCr酸化物を構成する元素濃度と媒体S/Nの関係を示す図。 第一磁性層のCr酸化物を構成する元素濃度と逆磁区核形成磁界(−Hn)の関係を示す図。 第一磁性層のCr酸化物を構成する元素濃度とすべての酸化物を構成する元素濃度の関係を示す図。 Siなどの酸化物生成自由エネルギーの高い酸化物を含み、多くのCrの酸化物を含む本実施例の第一磁性層の平面構造を透過電子顕微鏡で観察した観察像の模式図。 Siなどの酸化物生成自由エネルギーの高い酸化物を多く含み、Crの酸化物が少ない比較例の第一磁性層の平面構造を透過電子顕微鏡で観察した観察像の模式図。 媒体S/Nの第二磁性層のCr酸化物を構成する元素濃度に対する依存性を表す図。 オーバーライト特性の第二磁性層のCr酸化物を構成する元素濃度に対する依存性を表す図。 反転磁界分散(Hs−Hc)の第二磁性層のCr酸化物を構成する元素濃度に対する依存性を表す図。 第二磁性層のCr酸化物を構成する元素濃度が高い比較例の第二磁性層と強磁性金属層の平面構造を透過電子顕微鏡で観察した観察像の模式図。 第二磁性層のCr酸化物を構成する元素濃度が低い実施例の第二磁性層と強磁性金属層の平面構造を透過電子顕微鏡で観察した観察像の模式図。 媒体S/Nの第二磁性層のすべての酸化物を構成する元素濃度に対する依存性を表す図。 本発明による垂直磁気記録媒体の構造例を示す断面模式図。 比較例の媒体の断面構造を透過電子顕微鏡で観察した観察像の模式図。 本発明の媒体の断面構造を透過電子顕微鏡で観察した観察像の模式図。 本発明による垂直磁気記録媒体の構造例を示す断面模式図。 磁気記憶装置の断面模式図。 磁気ヘッドと磁気記録媒体の関係を示す模式図。
符号の説明
10:垂直磁気記録媒体、11:媒体駆動部、12:磁気ヘッド、13:アクチュエータ、14:信号処理系、20:再生部、21:再生素子、22:記録部、23:主磁極、24:ラップアラウンドシールド、25:補助磁極、26:薄膜導体コイル、41:基板、42:密着層、43:軟磁性下地層、44:配向制御偏析促進層、45:磁性層、451:第一磁性層、452:第二磁性層、453:第三磁性層、46:強磁性金属層、47:保護層

Claims (19)

  1. 基板上に設けられた下地層と、
    CoとCrとPtを主体とする柱状磁性粒子及び酸化物を含み、前記下地層の上に形成された磁性層と、
    前記磁性層の上に形成された酸化物を含まない強磁性金属層とを有し、
    前記磁性層は少なくとも前記下地層側の第一磁性層と前記強磁性金属層側の第二磁性層の二層からなり、前記第一磁性層の結晶粒界はCr酸化物と少なくともSi,Ti,Nb,Taのいずれか1つの酸化物とで構成され、前記第二磁性層の結晶粒界は少なくともSi,Ti,Nb,Taのいずれか1つの酸化物を含み且つCr酸化物を構成するCrと酸素の元素濃度の和が前記第一磁性層に比べて少なく5at.%未満であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 請求項1記載の垂直磁気記録媒体において、前記第一磁性層の結晶粒界幅より前記第二磁性層の結晶粒界幅が狭いことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  3. 請求項1記載の垂直磁気記録媒体において、前記強磁性金属層の結晶粒子と前記第二磁性層の結晶粒子とが1対複数もしくは複数対1で対応するように存在し、前記強磁性金属層の結晶粒子が前記第二磁性層の結晶粒界を跨ぐ形で連続的に成長した構造を有することを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  4. 請求項1記載の垂直磁気記録媒体において、前記第二磁性層の結晶粒子より前記強磁性金属層の結晶粒子が小さいことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  5. 請求項1記載の垂直磁気記録媒体において、前記第二磁性層の前記強磁性金属層側の界面から2nm程度の膜厚の領域でCr酸化物を構成するCr元素と酸素元素の濃度の和が4.3at.%以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  6. 請求項1記載の垂直磁気記録媒体において、前記第一磁性層の基板側の界面から4nm程度の膜厚の領域でCr酸化物を構成するCr元素と酸素元素の濃度の和が7at.%以上20at.%以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  7. 請求項1記載の垂直磁気記録媒体において、前記第二磁性層の酸化物を構成する各元素の総和が3.6at.%以上13at.%以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  8. 請求項1記載の垂直磁気記録媒体において、前記第一磁性層の酸化物を構成する各元素の総和が15at.%以上30at.%以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  9. 請求項1記載の垂直磁気記録媒体において、前記第二磁性層と前記強磁性金属層の間にCoRu合金層、CoCr合金層、又はCoCrとSiO2のグラニュラー構造を有する層を設けたことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  10. 基板上に設けられた下地層と、
    CoとCrとPtを主体とする柱状磁性粒子及び酸化物を含み、前記下地層の上に形成された磁性層と、
    前記磁性層の上に形成された酸化物を含まない強磁性金属層とを有し、
    前記磁性層はCr酸化物を含み、前記下地層側の界面から中央付近までの結晶粒界はCr酸化物と少なくともSi,Ti,Nb,Taのいずれか1つの酸化物を含み、前記強磁性金属層側の界面付近の結晶粒界はSi,Ti,Nb,Taのいずれか1つの酸化物を含み且つCr酸化物を構成するCrと酸素の元素濃度の和が基板側に比べて少なく5at.%未満であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  11. 請求項10記載の垂直磁気記録媒体において、前記磁性層の結晶粒界幅は、前記下地層側の界面から中央付近までの結晶粒界幅に比べて前記強磁性金属層側の結晶粒界幅が狭いことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  12. 請求項10記載の垂直磁気記録媒体において、前記強磁性金属層の結晶粒子と前記磁性層の結晶粒子とが1対複数もしくは複数対1で対応するように存在し、前記強磁性金属層の結晶粒子が前記磁性層の結晶粒界を跨ぐ形で連続的に成長した構造を有することを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  13. 請求項10記載の垂直磁気記録媒体において、前記磁性層の結晶粒子より前記強磁性金属層の結晶粒子が小さいことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  14. 請求項10記載の垂直磁気記録媒体において、前記磁性層の前記強磁性金属層側の界面から2nm程度の膜厚に領域でCr酸化物を構成するCr元素と酸素元素の濃度の和が4.3at.%以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  15. 請求項10記載の垂直磁気記録媒体において、前記磁性層の基板側の界面から4nm程度の膜厚の領域でCr酸化物を構成するCr元素と酸素元素の濃度の和が7at.%以上20at.%以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  16. 請求項10記載の垂直磁気記録媒体において、前記磁性層の前記強磁性金属層側の領域における酸化物を構成する各元素の総和が3.6at.%以上13at.%以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  17. 請求項10記載の垂直磁気記録媒体において、前記磁性層の前記下地層側の領域における酸化物を構成する各元素の総和が15at.%以上30at.%以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  18. 請求項10記載の垂直磁気記録媒体において、前記磁性層と前記強磁性金属層の間にCoRu合金層、CoCr合金層、又はCoCrとSiO2のグラニュラー構造を有する層を設けたことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  19. 垂直磁気記録媒体と、前記垂直磁気記録媒体を記録方向に駆動する手段と、記録部と再生部を備える磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記垂直磁気記録媒体に対して相対的に駆動する手段と、前記磁気ヘッドに対する入力信号及び出力信号を処理する信号処理手段とを有する磁気記憶装置において、
    前記垂直磁気記録媒体として請求項1〜18のいずれか1項記載の垂直磁気記録媒体を用いたことを特徴とする磁気記憶装置。
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