JP4291784B2 - サーボ情報記録方法、磁気記録媒体及び磁気ディスク装置 - Google Patents

サーボ情報記録方法、磁気記録媒体及び磁気ディスク装置 Download PDF

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Description

本発明は情報を記録する磁気ディスク装置に関わり、特に膜面に垂直な方向の磁化情報によってデータを保持するディスクを用いた装置のサーボシステムに関する。
磁気ディスク装置は、回転するディスクに対してヘッドを半径方向に移動させて、目的とするデータトラックに正確に位置決めを行い、磁気的に情報の書き込み及び読み出しを行うものである。ディスクにはデータを記録するためのデータ領域とともに、ヘッドをデータトラックに対して位置決めするために用いられるサーボパターンが記録されたサーボ領域を有する。
サーボ領域に記録されるサーボパターンの一例を図5に示す。再生用素子は、ディスクの回転に伴い相対的に図の左から右方向へとサーボパターンの再生を行う。サーボパターンには、ディスクの磁気特性や浮上量の変動の影響を低減するために、引き込み部分と呼ばれる連続パターンが設けられている。また、トラックコード部分の開始するタイミングを検出するために、マーク部分が設けられている。トラックコード部分はトラック番号の情報が記述されており、ディスクの全面にわたるおおまかなヘッド位置信号を得る。また、A〜Dバースト部分から各トラック番号より細かなヘッド位置情報を復調する。A及びBバーストの組みと、C及びDバーストの組みは、トラック幅の半分だけずらされた配置となっている。この構成は、特開昭58−222468号公報に開示された技術に類似する構成であり、多くの磁気ディスク装置で採用されている。
特開昭58−222468号公報
面内方向に磁化容易軸を持つ面内媒体の構造と、その記録パターンが発生する再生磁場の模式図を図15に示す。面内媒体では、主に記録膜の磁化方向が反転する場所から再生磁場が発生するため、同図中の写真のような再生波形が得られる。これに対して垂直方向に磁化容易軸を持つ垂直媒体と軟磁性層を積層した2層膜媒体では、図16に示すように磁化方向が反転する場所ではなく、磁化方向が一定の場所から再生磁場が発生するため、同図中の写真のような再生波形が得られる。このため、特に低周波の記録パターンの場合には、その再生波形に多くの直流信号成分含まれてしまう。
図5中の再生用素子21と示した位置の再生波形を図6に示す。サーボパターンには低周波の記録パターンが多く含まれている。垂直磁気記録方式では、この低周波パターンから再生される直流信号成分がカップリングコンデンサで構成されるHPFの影響を受けて、再生波形のベースラインが上下に大きく歪んでいる。このような波形歪みは、AD変換器やバッファアンプのダイナミックレンジをロスする原因となる。また、直流信号成分は片方の極性に偏った漏洩磁界を発生させて、ヘッドの再生素子や記録素子の動作点をずらして特性を劣化させる原因となる。
磁気ディスク装置の信頼性の観点から、形成したビットが長期間にわたり安定して存在することが重要である。垂直磁気記録方式で記録した磁化パターンの、経過時間に伴う再生出力の低下を図7に示す。ここでは、記録密度が10kFCI、90kFCI、120kFCIの各記録密度の例を表している。密度の低いパターンほど大きく再生出力が減少している。これは垂直磁気記録方式では、高い記録密度ほど反磁界が減少して安定する性質を備えているからである。図5を用いて説明した従来のサーボパターンでは、10kFCIに相当するような低い記録密度の成分を多く含んでいる。このため垂直磁気記録方式に適用した場合、時間の経過と共にサーボパターンが消失する問題があった。
この現象を回避するために、特開2002−150729号公報において、直流信号成分の代わりに高い記録密度のダミービットを埋め込んだサーボパターンが提案されている。このサーボパターンの一例を図18に示す。この手法により、サーボパターンに含まれる低密度成分を減らしてサーボパターンの安定性を改善することができる。ダミービットパターンは、周波数を高くするほど再生振幅が小さくなるため、バースト信号と分離しやすくなる。しかし、高い周波数を記録するためにはサーボトラックライタの改造コストが必要であるとともに、高い周波数であってもダミービットパターンからは再生磁場が発生しているためバースト信号へのノイズ成分となって位置決め信号のRRO成分を劣化させる問題があった。
また、記録密度とオーバーライト特性の関係を図8に示す。低い記録密度ほどオーバーライト特性が劣化している。これは垂直磁気記録方式では、高い記録密度ほど反磁界が減少して書き込みやすくなる性質を備えているからである。図5を用いて説明した従来のサーボパターンを垂直磁気記録方式に適用した場合、サーボパターンを記録する際のヘッドの書き込み性能が不足して位置決め精度が劣化する問題があった。この現象を回避するために、サーボパターンを記録する前に高密度のパターンを書き込んで直流信号の影響を減じる技術が、特開2002−230734号公報に提案されている。この手法では、特にサーボライト工程における直流信号成分の影響を減じることができる。しかし、形成したサーボパターンから直流信号成分が生じてしまう問題と、形成したサーボパターンの安定性を高めることができない問題があった。
以上に説明を行ったように、従来のサーボパターンと垂直磁気記録方式の組み合わせでは、直流信号成分に由来する、ヘッドへのバイアス磁界や再生波形出力の低下、ヘッドの書き込み性能不足などの現象が発生して、信頼性の高い磁気ディスク装置を作製することができなかった。このため垂直磁気記録方式による大きな記憶容量と、長期間にわたり安定で、書き込みやすく、S/Nに優れる特徴をあわせもったサーボパターンの開発が望まれていた。
上記要請に応えて、本発明は垂直磁気記録方式に最適なサーボパターンを提供するものである。
このため、一定の周波数が連続したバースト信号部分と、ゼロ磁化に消磁したゼロ信号部分を含む構成とし、サーボパターンの磁化量の和をおよそ0とする。サーボパターンを記録する前にディスクをゼロ磁化状態に初期化して、サーボパターンを記録する際にヘッドの記録電流をオフにしてゼロ信号部分を形成する。また、バースト領域が2つか4つのバースト信号部分を備えた構成とし、それぞれのバースト信号部分はディスクの異なる回転周期にて記録を行うようにする。また、トラック番号部分を位相シフト方式によって符号化することにより、サーボパターン全体の磁化量の総和を0として、再生波形のベースラインをおよそ0とする。
本発明によると、サーボパターン全体の磁化量の総和をほぼ0にすることができる。本発明のサーボパターンを垂直磁気記録型のディスクに記録することにより、ヘッドに大きなバイアス磁界を発生する直流信号成分が抑制され、バイアス磁界に起因する性能劣化を防止することができる。バイアス磁界は、サーボパターンの書き込み時に非線形遷移シフトや、容易/困難シフトによるジッターノイズを誘起させる。またバイアス磁界は、サーボパターンの読み出し時に再生素子の動作点を狂わせて、再生波形に上下非対称誤差を誘起させる。本実施例のサーボパターンを採用することにより、タイミングが正確で再生しやすいサーボパターンを提供して、トラック密度の高い大容量の磁気ディスク装置を実現することができる。
また、サーボパターンの最低記録密度を高めることにより、オーバーライト性能を改善することができる。本発明のサーボパターンを採用することにより、飽和記録しやすいS/Nの優れたサーボパターンを提供して、トラック密度の高い大容量の磁気ディスク装置を実現することができる。
さらに、サーボパターンの最低記録密度を高めることにより、時間の経過に伴う残留磁化量の劣化を抑えることができる。本発明のサーボパターンを採用することにより、高温で長時間経過した後にもS/Nの優れたサーボパターンを提供して、長期間にわたり信頼性の高い磁気ディスク装置を実現することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
磁気ディスク装置の構造を図2に示す。ディスク12は点Aを回転中心とするモータに固定され、モータによって毎分3000〜15000回転の速度で回転する。ディスクに対して記録・再生動作を行うヘッド11はサスペンション14を介して、点Bを回転中心とするロータリ型アクチュエータ13に固定され、ロータリ型アクチュエータ13によってディスク12の半径方向に往復移動する。以上の部品は外部からの塵埃や湿度から保護するため、筐体17に収納されている。ヘッドアンプ15は、ヘッド11と回路基板16との間の電気的な受け渡しを行うための電気回路である。回路基板16には、信号処理回路などのLSIと、外部のホストマシンと接続するためのデータ転送用端子が実装されている。
サーボパターンとデータの配置について、ディスクの一部分を拡大した図3を用いて説明する。ヘッド11はロータリ型アクチュエータ13によってディスク12の任意の半径位置に移動することができる。ユーザーの情報の書き込み及び読み出しは、データ領域に対して行われる。この際、サーボパターンから復調したヘッド位置信号を用いて目的のトラックに追従動作(フォロイング)を行う。データ領域には同心円状に多数のトラックが形成される。ここでは説明のためにトラック幅を極端に拡大して5本のトラックだけを示しているが、実際には数10nmから数100nm程度の間隔で、10万本以上のトラックが磁気的に形成されている。サーボパターンはデータ領域を横切るように放射状に形成されている。
サーボパターンとデータ領域との配置を図4に示す。この説明図はトラックの幅方向を拡大して示している。サーボパターンとデータ領域は、ディスクの回転方向にそってほぼ等間隔に交互に配置されており、サーボパターンはディスク1周中に100個から数100個設けられている。また、ひとつのデータ領域(#1)は複数のトラックに分離されていて、さらにひとつのトラックも複数のセクタブロック(#1から#4)に分割して設けられている。ひとつのセクタブロックはデータの記録や読み出しを行う最小の単位であり、512バイトや4096バイトのデータで構成されている。データ領域はユーザーの指示により書き換えが可能な領域であるが、サーボパターンは製品の出荷前に生産設備によって書き込まれてユーザーが書き換えることはない。
<実施例1>
本発明によるサーボパターンの構成例を、図1のバースト領域に示す。図の左右方向がディスクの回転方向であり、図の上下方向がディスクの半径方向である。ヘッドはロータリ型アクチュエータに固定されており、ディスクは図の右から左へ秒速5〜50mの速度で回転している。相対的にはヘッドが図の左から右へディスク上を走行していることと同じであり、この記述の方が理解しやすいため、以降の説明ではヘッドがディスク上を移動すると表現する。
図1には、図3と図4にサーボパターンと示した領域の具体的な構成例を、トラック#1からトラック#4までの4本のトラックの範囲について示している。なお、この図は上下方向を大きく拡大して示している。なお、本実施例ではバースト部について説明を行い、マーク部やトラックコード部については後述の実施例にて説明を行う。
本実施例の磁気ディスク装置のサーボパターンには、ゼロ信号部分が含まれていることが特徴である。図5の従来のサーボパターンは、バースト信号部分と直流信号部分から構成されていて、バースト信号部分の磁化量はほぼゼロであるものの、直流信号部分は正か負のどちらか一方向に磁化されていた。これに対して本実施例のサーボパターンに含まれるゼロ信号部分は、磁化量をほぼゼロとした領域であり、バースト信号部分とあわせバースト部全体の磁化量の総和がほぼゼロとなっている。さらに各バースト信号部分に一箇所ずつ直流信号要素を含んだ構成となっている。この直流信号要素により、サーボパターンを形成する際のタイミング管理が容易になっている。
本実施例のサーボパターンを形成する手法について、図9を用いて説明を行う。サーボパターンを形成する前に、まずディスク全体をマグネットもしくは記録用素子を用いて、磁化量をゼロにする初期化を行う。マグネットを用いて初期化を行う場合には、図13に示したように垂直方向に磁化容易軸をもつディスクを回転させながら、マグネットの磁場を徐々に遠ざけることで実現することができる。この時、ディスクには交互に極性が反転しながら、徐々に強度が弱くなる磁界が印加される。記録層の残留磁化量も、その符号が交互に反転しながら徐々に小さくなり、最後にはゼロに近い状態に消磁される。なお、ここでは水平方向に磁化されたマグネットを用いる例を示しているが、交互に磁場が反転するように垂直方向に磁化されたマグネットを2セット用いる方法もある。
初期化工程における、印加磁界に対する記録膜の磁化量のヒステリシスループを図17に示す。ここでは説明を簡単にするために、一回だけ磁界を反転させて初期化する例をあげた。実際には何回も極性を反転させる初期化が望ましい。図中でループ1と示した曲線は、記録膜が完全に飽和するだけ大きな磁界を印加した際のヒステリシスループである。記録膜を一旦飽和させると、磁場を取り去った後にも飽和磁界の97%に相当する残留磁化量1と示した磁化量が残る。ループ2から6は、記録膜を飽和させない程度の磁界を印加した際のヒステリシスループである。それぞれのループに対応して、磁場を取り去った後には残留磁化量2から6に示した磁化量が残る。
本発明のサーボ記録方式では、初期化工程でディスクに大きな磁化が残ると、完成したサーボパターンに含まれるノイズ成分となってサーボパターンのRRO誤差成分を大きくする問題がある。残留磁化に由来するRRO誤差成分の許容値は30%以下であることから、ディスクの初期化工程でも残留磁化量を±30%以下にすることが必要である。この観点から、本発明では±30%以内の残留磁化量をゼロ磁化と呼ぶことにする。図17のヒステリシスループの中では、ループ3から5に相当する範囲の反転磁界を印加する初期化を行うことにより、十分なゼロ磁化への初期化が行えることが分かる。なお、マグネットを使用する工程の他には、ディスク全体を記録膜のキュリー点温度以上に加熱する方法でも、磁化量をゼロにする初期化を行うことができる。
初期化を行った後のディスクの残留磁化量は、スピン偏極走査電子顕微鏡により測定することができる。より簡便には、ホール素子を用いてディスクの表面からの漏洩磁界を測定し、DC消去状態の値と比較することで、ゼロ磁化消去後の残留磁化量を推定することができる。
ディスクの初期化を行った後に、図9(A)に示した記録電流を印加することにより、記録電流を流したAバースト部分だけを新たに書き込む。このとき記録電流をオフにしたBからDバースト部分に相当する領域では、あらかじめ初期化されたディスクの状態がそのままゼロ信号部分として残ることになる。さらにトラック幅の2分の1の距離だけ記録用素子の位置をずらして、図9(B)に示した記録電流を印加することにより、記録電流を流したCバースト部分だけを新たに書き込んで、記録電流をオフにしたAからB及びDバースト部分に相当する領域ではあらかじめ初期化されたディスクの状態をそのままゼロ信号部分として残す。
また、各バースト信号部分の最後のビットは、他のビットよりも長いパターンを書き込むことを特徴としている。このパターンを直流信号要素と呼ぶ。図14に示すように、直流信号要素の長さは、バースト信号部分の1ビットの長さに垂直ヘッドの主磁極のヘッド進行方向の長さを加えた長さにした。この長さの直流信号要素を書き込むことにより、各バースト信号部分を記録した後に記録電流をオフにするタイミングを、書き込みクロックに同期させることができて、より容易に本実施例のサーボパターンを形成することができる。
トラック#1の中央に隙間が生じているのは、ヘッドの消去トラック幅が記録トラック幅よりも広いために、ヘッドのトラック端部付近でパターンを書き込めない領域が生じるからである。以下同様に、トラック幅の2分の1の距離だけ記録用素子の位置をずらしながら、図9(C)から(E)までの記録電流を印加することにより、図1に示した本実施例のサーボパターンを形成することができる。
比較のために、図10に従来のサーボパターンの形成方法を示す。従来のサーボパターンでは記録電流が常に流されているため、バースト信号部分以外の領域には直流信号部分が形成されてしまい、大きなバイアス磁化が発生する。
以上に説明した工程を用いて記録した本実施例のサーボパターンでは、バースト信号部分とゼロ磁化部分を含むバースト領域全体の磁化量の総和をほぼ0にすることができ、発明が解決しようとする課題に記載した直流信号の発生するバイアス磁界による性能劣化を防止することができる。特に書き込み時には非線形遷移シフトや、容易/困難シフトを抑制して、タイミングの正確なジッターノイズの少ないサーボパターンを形成することができる。また、読み出し時には、再生素子のバイアス点を正しく維持して、上下非対称誤差の少ない再生波形を得ることができる。さらに直流信号成分を少なくしたことにより、熱減磁耐性に優れるサーボパターンを構成することができる。位置信号を復調するサーボ復調回路は、従来と同じ回路を用いることができる。これらの効果により、トラック密度の高い大容量で信頼性に優れる磁気ディスク装置を実現することができる。
<実施例2>
本実施例の磁気ディスク装置のサーボパターンを図11に示す。なお、本実施例ではマーク部やトラックコード部についてのみ説明を行う。
図5に示した従来のサーボパターンは、ダイビット符号化方式と呼ばれ、面内記録方式の製品で広く採用されている。データ1を+1,−1の磁化パターンで、データ0を−1,−1の磁化パターンで符号化している。なお、+1は正の方向の磁化を、−1は負の方向の磁化を表現するものとする。このため、垂直磁気記録方式と組み合わせた際には、データ0の数だけ磁化量の総和が負の方向に偏る構成となっている。特に垂直磁気記録方式では、磁化量の偏りはヘッドに対するバイアス磁界となって復調性能を劣化させる問題がある。さらにトラック番号のコードデータによっては、0が10個以上も連続して、引き込み部分などの記録密度に対して10分の1以下となるようなパターンが存在していた。垂直磁気記録方式では、図7に示したように低い記録密度ほど再生出力が減少しやすい性質があるため、従来の技術では経過時間と共にトラックコード部分のS/Nが劣化する問題があった。
これに対して、本実施例の磁気ディスク装置のサーボパターンのマーク部分及びトラックコード部分は、データ1を+1,−1の磁化パターンで、データ0を−1,+1の磁化パターンで構成する。この方式は位相シフト符号化方式と呼ばれる。この方式を垂直磁気記録方式と組み合わせた場合、データ1と0の出現比率に関わらず磁化量の総和は0とすることができる。本実施例のサーボパターンはバイアス磁界を発生させることがなく、記録時や再生時の特性劣化を防止することができる。さらに、この符号化方式を採用することにより、トラックコードの記録密度の最低周波数を引き込み部分などの記録密度の2分の1に収めることができる。この結果、従来のサーボパターンと比較して再生出力が低下する問題を大幅に改善することができる。また、従来のサーボパターンと比較して大幅にオーバーライト性能を改善することができる。
本実施例のもう一つのサーボパターンの例を説明する。この実施例のマーク部とトラックコード部は、前述の位相シフト符号化とXOR演算を組み合わせて符号化を行ったものであり、例えば1110101000との10ビットのデータ列は、位相シフト符号化により10101001100110010101と変換され、さらにXOR演算により11111010101010111110(続くビットが1と仮定)と符号化されることにより、ディスク上の磁化パターンは+1,−1,+1,−1,+1,−1,−1,+1,+1,−1,−1,+1,+1,−1,−1,+1,−1,+1,−1,+1と形成される。この符号化方式はバイフェーズ符号化方式と呼ばれ、垂直磁気記録方式と組み合わせた場合に、データ1と0の出現比率に関わらず磁化量の総和を0とすることができる。
本実施例で説明したマーク部やトラックコード部と、実施例1で説明したバースト部とを、垂直磁気記録と組み合わせた際の再生波形を図12に示す。図6に示した、従来のサーボパターンを垂直磁気記録と組み合わせた際の再生波形と比較して、ベースラインが正しくゼロレベルに保たれている。これは、サーボパターンの磁化量の総和がほぼ0になっていることを表している。また、各バースト信号部の最後の部分に書き込んだ直流信号要素から、比較的振幅の大きな信号が再生されている。本実施例で説明したサーボパターンと垂直磁気記録技術を組み合わせることにより、磁化量の偏りに起因する問題を大幅に改善して、大容量で信頼性に優れた磁気ディスク装置を実現することができる。
本発明の磁気ディスク装置におけるサーボパターンの第1の例を示す図。 磁気ディスク装置の構造を説明する図。 ディスクの一部分を拡大して、ヘッドとディスクの相対関係を説明する図。 サーボ領域とデータ領域との配置を説明する図。 従来の磁気ディスク装置におけるサーボパターンの例を示す図。 従来の磁気ディスク装置における、サーボパターン部分の再生波形の例を示す図。 記録密度による、経過時間に伴う再生出力の低下の違いを説明する図。 記録密度による、オーバーライト特性の違いを説明する図。 本発明のサーボパターンの形成方法を説明する図。 従来のサーボパターンの形成方法を説明する図。 本発明の磁気ディスク装置におけるサーボパターンの第2の例を示す図。 本発明の磁気ディスク装置における、サーボパターン部分の再生波形の例を示す図。 本発明のサーボパターンを形成する際の、ディスクの初期化方法の説明図。 ヘッドの記録素子の構造と、書き込み磁極の走行方向の長さを説明する図。 面内記録媒体の構造及び記録層が発生する再生磁界と、その再生波形の例を示す図。 垂直記録媒体の構造及び記録層が発生する再生磁界と、その再生波形の例を示す図。 垂直媒体のヒステリシスループと、残留磁化量及びゼロ磁化状態の説明図。 高周波のダミー信号を用いたサーボパターンの例を示す図。
符号の説明
11 ヘッド
12 ディスク
13 ロータリ型アクチュエータ
14 サスペンション
15 記録/再生アンプ
16 回路基板
17 筐体
18 データ転送用端子

Claims (16)

  1. 磁気記録媒体に、一定の周波数が連続したバースト信号部分を含むバースト領域を記録するサーボ情報記録方法において、
    前記磁気記録媒体の磁化をゼロ磁化状態に初期化する第1の工程と、
    記録ヘッドに記録電流を流して前記磁気記録媒体にバースト信号部分を書き込む第2の工程と、
    前記記録ヘッドへの記録電流を遮断して前記磁気記録媒体のゼロ磁化状態を残してゼロ信号部分を形成する第3の工程とを含み、
    前記第2の工程と第3の工程とを組み合わせて前記バースト領域を形成することを特徴とするサーボ情報記録方法。
  2. 請求項1記載のサーボ情報記録方法において、前記バースト領域は複数のバースト信号部分を含んで構成されており、それぞれのバースト信号部分を前記磁気記録媒体の異なる回転周期に前記第1の工程によって記録することを特徴とするサーボ情報記録方法。
  3. 請求項1記載のサーボ情報記録方法において、前記ゼロ磁化状態は、前記磁気記録媒体を回転させながらマグネットを媒体表面から徐々に遠ざけることによって形成することを特徴とするサーボ情報記録方法。
  4. 請求項1記載のサーボ情報記録方法において、更に前記バースト信号部分と前記ゼロ信号部分の間に短い直流信号要素を形成する工程を有し、前記直流信号要素の長さは前記バースト信号部分の1ビットの長さと前記記録ヘッドの書き込み磁極の走行方向の長さの和に等しいことを特徴とするサーボ情報記録方法。
  5. 請求項1記載のサーボ情報記録方法において、更にサーボ情報中にトラック番号部分を位相シフト方式によって符号化することを特徴とするサーボ情報記録方法。
  6. 一定の周波数が連続したバースト信号部分を含むバースト領域が記録された磁気記録媒体において、
    前記バースト領域は、磁化をゼロ磁化状態に初期化した当該磁気記録媒体に、記録ヘッドに記録電流を流してバースト信号部分を書き込む工程と、前記記録ヘッドへの記録電流を遮断して前記ゼロ磁化状態を残してゼロ信号部分を形成する工程とを組み合わせて形成されたものであることを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 請求項記載の磁気記録媒体において、前記バースト領域は複数のバースト信号部分で構成されており、それぞれのバースト信号部分は前記磁気記録媒体の異なる回転周期に前記記録ヘッドに記録電流を流して記録されたものであることを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 請求項6記載の磁気記録媒体において、前記バースト信号部分と前記ゼロ信号部分の間に短い直流信号要素が形成され、前記直流信号要素の長さは前記バースト信号部分の1ビットの長さと前記記録ヘッドの書き込み磁極の走行方向の長さの和に等しいことを特徴とする磁気記録媒体。
  9. 請求項6記載の磁気記録媒体において、更に位相シフト方式によって符号化されたトラック番号部分を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  10. 請求項6記載の磁気記録媒体において、前記バースト信号部分及び前記ゼロ信号部分から再生された波形のベースラインがほぼ0であることを特徴とする磁気記録媒体。
  11. 請求項6記載の磁気記録媒体において、前記バースト信号部分及び前記ゼロ信号部分の磁化量の和がほぼ0であることを特徴とする磁気記録媒体。
  12. 磁気ディスクと、前記磁気ディスクを駆動するディスク駆動部と、前記磁気ディスクに対して記録・再生動作を行うヘッドと、前記ヘッドを前記ディスク上のトラックに対して位置決めするヘッド駆動部とを備える磁気ディスク装置において、
    前記磁気ディスクは、膜面に垂直な方向を主成分とする磁化情報によってデータを保持するデータ領域と、ヘッド位置信号を復調するためのサーボ情報を記録したサーボ領域とを有し、
    前記サーボ情報は、一定の周波数が連続したバースト信号部分とゼロ磁化状態のゼロ信号部分とを含んで構成されていることを特徴とする磁気ディスク装置。
  13. 請求項12記載の磁気ディスク装置において、前記バースト信号部分とゼロ信号部分の間には、前記バースト信号部分の1ビットの長さにヘッドの書き込み磁極の走行方向の長さを加えた長さに一致する短い直流信号要素が形成されていることを特徴とする磁気ディスク装置。
  14. 請求項12記載の磁気ディスク装置において、前記サーボ情報はトラック番号部分を含んで構成されており、前記トラック番号部分が位相シフト方式によって符号化されていることを特徴とする磁気ディスク装置。
  15. 請求項12記載の磁気ディスク装置において、前記バースト信号部分及び前記ゼロ信号部分から再生される波形のベースラインがおよそ0であることを特徴とする磁気ディスク装置。
  16. 請求項12記載の磁気ディスク装置において、前記バースト信号部分及び前記ゼロ信号部分の磁化量の和がおよそ0であることを特徴とする磁気ディスク装置。
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