JP2009047317A - 熱間耐火物吹付装置、及び、熱間における不定形耐火物の吹付施工方法 - Google Patents

熱間耐火物吹付装置、及び、熱間における不定形耐火物の吹付施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】混練後の吹付箇所までの搬送距離を十分に確保することができ、かつ十分に不定形耐火物を混練することのできる熱間耐火物吹付装置を提供すること。
【解決手段】熱間で不定形耐火物を吹き付け施工する熱間耐火物吹付装置1は、不定形耐火物を構成する乾式原料を気流により搬送する気流式乾燥原料搬送手段11と、この気流式乾式原料搬送手段11で搬送される乾式原料に水を添加する水添加手段11と、気流式乾式原料搬送手段11と接続される導入口から乾式原料を導入し、密閉空間で前記水添加手段により添加された水と乾式原料を混練して吐出口から混練した材料を吐出する材料混練手段12と、気流式乾式原料搬送手段11から供給される気流の圧力により、材料混練手段12で混練された材料を吹き付ける材料吹付手段13とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱間耐火物吹付装置、及び、熱間における不定形耐火物の吹付施工方法に関する。
取鍋、転炉等の溶融金属精錬用の容器には鉄皮内面に耐火物が施工されるが、この耐火物は、高温の内容物の出入りにより熱衝撃に曝され、破壊しやすい環境にあり、破壊された場合には、不定形耐火物を吹き付けて損耗した部分の補修が行われる。
ここで、従来このような不定形耐火物の吹き付けによる補修方法としては、オフラインで容器を冷却して補修を行う冷間補修方法と、容器を冷却することなく補修を行う熱間補修方法とが知られている。
冷間補修方法は、事前に不定形耐火物に水を添加して混練し、ポンプ圧送して吹付施工する方法であり、事前に水を添加して混練しているため、骨材、マトリクス成分を十分に撹拌混練することができ、耐久性の高い施工面を構築できるという利点がある。
しかし、冷間補修方法による場合、養生期間を十分に取らねばならず、施工時間が長くかかるという問題がある他、施工後、混練用のミキサーや吹付用のホースの清掃を十分に行う必要があり、作業の繁雑化を招くという問題がある。
一方、熱間補修方法としては、乾式吹付補修、焼付け補修、圧入補修、溶射補修等が挙げられるが、これらのうち、特別な装置を必要とせず、種々の溶融金属精錬用の容器に対して広範囲に適用できる方法として乾式吹付補修が挙げられる。
この乾式吹付補修方法は、乾燥状態の不定形耐火物を、加圧空気により圧送し、吹付ノズル近傍で水を添加し、不定形耐火物に含水させながら吹き付け施工する方法であり、不定形耐火物の搬送を乾式で行っているため、作業性もよく施工後の清掃も簡便であり、広範囲に適用できるという利点がある。
しかし、ノズル直前で水との混和を行っているため、不定形耐火物中への水の分散性が悪く、施工時の水分量が多くなる傾向にあり、施工後の施工面の耐久性が悪いという問題がある。
このため、スクリューにより乾燥状態の不定形耐火物に混練しながら適宜の水を添加し、スラリーとならない程度の含水状態の不定形耐火物に加圧空気を用いてノズルから不定形耐火物を吹き付ける施工方法、及び施工装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。尚、特許文献1に記載の技術では、原料中に急結剤を予め混合しておくものであり、特許文献2に記載の技術では、急結剤をノズル近傍で別途添加する点で相違する。
特開平10−19473号公報 特開2001−66068号公報
しかしながら、前記特許文献1記載の技術では、原料中に粉体の急結剤を含ませておき、直ちに水を添加して混練しているため、水添加後に硬化が開始しない程度の搬送距離でしか吹付施工を行うことができないという問題がある。また、不定形耐火物を充満させた状態で低速でスクリューを回転させて混合させているため、混合による湿潤状態とするに留まり、湿式の場合のように十分に混練することができないという問題がある。
また、前記特許文献2記載の技術では、急結剤の問題は解消するものの、混練を大気圧開放状態で行い、混練後の不定形耐火物を加圧空気を用いて搬送する構成であるため、吹付施工箇所までの搬送距離を十分に確保することができない可能性がある。また、混練装置内の清掃作業は、湿式の場合と同様に煩雑であるという問題がある。
本発明の目的は、混練後の吹付箇所までの搬送距離を十分に確保することができ、かつ十分に不定形耐火物を混練することのできる熱間耐火物吹付装置、及び熱間における耐火物の吹付施工方法を提供することにある。
本発明は、次の内容を要旨とするものである。
(1) 熱間で不定形耐火物を吹き付け施工する熱間耐火物吹付装置であって、
前記不定形耐火物を構成する乾式原料を気流により搬送する気流式乾燥原料搬送手段と、
この気流式乾式原料搬送手段で搬送される乾式原料に水を添加する水添加手段と、
前記気流式乾式原料搬送手段と接続される導入口から前記乾式原料を導入し、密閉空間内で混練して吐出口から混練した材料を吐出する材料混練手段と、
前記気流式乾式原料搬送手段から供給される気流の圧力により、前記材料混練手段で混練された材料を吹き付ける材料吹付手段とを備えていることを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
(2) (1)に記載の熱間耐火物吹付装置において、
前記材料混練手段は、内部を密閉空間とするチャンバと、このチャンバ内部に回転自在に軸支される回転軸と、この回転軸を回転駆動させる駆動源と、前記回転軸の外周面に植設される棒状の撹拌子とを備えていることを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
(3) (2)に記載の熱間耐火物吹付装置において、
前記水添加手段は、前記回転軸の軸中心に形成される水供給孔と、この水供給孔から前記回転軸の外周面に至る水噴射孔とを備えていることを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
(4) (1)又は(2)に記載の熱間耐火物吹付装置において、
前記水添加手段は、前記材料混練手段の上流側で水を添加することを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
(5) (1)乃至(4)のいずれかに記載の熱間耐火物吹付装置において、
前記気流式乾式原料搬送手段及び前記材料混練手段は、前記乾式粉体原料を搬送する第1配管部材により接続され、
前記材料混練手段及び前記材料吹付手段は、前記混練された材料を搬送する第2配管部材により接続され、
前記第2配管部材には、前記不定形耐火物を構成する骨材を気流により搬送する第2気流式乾式原料搬送手段が接続され、
前記気流式乾式原料搬送手段は、前記不定形耐火物を構成する骨材以外のマトリクス成分を、前記材料混練手段に搬送することを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
(6) (5)に記載の熱間耐火物吹付装置において、
前記第2気流式乾式原料搬送手段は、前記骨材とともに急結剤を搬送することを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
(7) (1)乃至(4)のいずれかに記載の熱間耐火物吹付装置において、
前記気流式乾式原料搬送手段及び前記材料混練手段は、前記乾式原料を搬送する第1配管部材により接続され、
前記材料混練手段及び前記材料吹付手段は、前記混練された材料を搬送する第2配管部材により接続され、
前記第1配管部材で分岐し、前記第2配管部材で合流するバイパス配管部材を備えていることを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
(8) (5)乃至(7)のいずれかに記載の熱間耐火物吹付装置において、
前記材料混練手段の前記吐出口近傍には、混練された材料に水を添加する第2水添加手段が設けられていることを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
(9) (1)乃至(5)、(7)のいずれかに記載の熱間耐火物吹付装置において、
前記材料吹付手段には、前記材料混練手段により混練された材料に急結剤を供給する急結剤供給手段が設けられていることを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
(10) 熱間で不定形耐火物を吹き付け施工する熱間における不定形耐火物の吹付施工方法であって、
前記不定形耐火物を構成する乾式原料を気流により搬送する工程と、
搬送された乾式原料に水を添加する工程と、
水が添加された原料を、密閉空間内で混練する工程と、
前記搬送する工程における気流を用いて、混練された材料を吹き付ける工程とを実施することを特徴とする熱間における不定形耐火物の吹付施工方法。
(11) (10)に記載の熱間における不定形耐火物の吹付施工方法において、
前記密閉空間内で原料を混練する工程では、前記不定形耐火物を構成する骨材以外のマトリクス成分を混練し、
その後、前記不定形耐火物を構成する骨材を気流を用いて、前記混練後のマトリクス成分と混合して材料を吹き付けることを特徴とする熱間における不定形耐火物の吹付施工方法。
本発明によれば、材料混練手段が密閉空間内で材料の混練を行うことにより、気流式乾式原料搬送手段から材料吹付手段に至る内部空間をすべて密閉した状態とすることができるため、混練後の材料を高い圧力で搬送することができ、吹付箇所までの搬送距離を十分に長く確保することができる。
また、材料混練手段をチャンバ、回転軸、駆動源、及び棒状の撹拌子から構成することにより、少ない水の添加量でも十分な混練を行うことができるため、吹き付けにより施工された施工面も、少ない水分量で強固なものとすることができる。
さらに、水添加手段を回転軸の軸中心に形成される水供給孔と、この水供給孔から回転軸の外周面に至る水噴射孔とを備えたものとして構成することにより、回転軸の回転とともに水を噴射することにより、チャンバ内の密閉空間内で水をミスト状に噴霧することができるため、乾式粉体原料に水が濡れ易くなり、一層混練を促進することができる。
また、水添加手段を材料混練手段の上流側で水を添加するように構成することにより、乾式原料の搬送時に水に濡れさせて、材料混練手段による混練を促進することができる。尚、この場合、水添加手段による水の添加は、ミスト状にして添加するのが乾式原料への濡れを促進するために好ましい。
そして、気流式乾式原料搬送手段によりマトリクス成分を材料混練手段に搬送して混練を促進し、第2気流式乾式原料搬送手段で吹き付けの前に骨材を混合することにより、同様に十分な混練を行うことができる上、混練後の材料を圧送する際の装置への負荷も軽減できる。
また、第2気流式原料搬送手段が骨材とともに、急結剤を搬送することにより、別途急結剤を供給するための手段を設ける必要がなくなり、吹付装置の構造の簡素化を図ることができる。
そして、第1配管部材及び第2配管部材をバイパス配管部材で接続することにより、不定形耐火物を構成する骨材をバイパス配管部材を介して直接第2配管部材に送ることができるため、材料混練手段での混練を骨材以外のマトリクス成分として十分な混練を行うことができる上、混練後の材料を圧送する際の装置への負荷も軽減することができる。
さらに、材料混練手段の吐出口近傍に第2水添加手段を設けることにより、材料混練手段による混練直前に添加する水の添加量を減らすことができるため、圧送する際の装置への負荷を一層軽減することができる。
また、材料吹付手段に急結剤供給手段が設けられることにより、吹き付け直前に急結剤を供給して吹き付けを行うことができるため、材料混練手段による材料の混練後、材料吹付手段による材料の吹き付けまでの搬送距離を長く確保することができ、特に溶融金属精錬容器の内壁面に熱間状態で施工する際に、材料混練手段から材料吹付手段までの距離を十分に確保することができるため、有利である。
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る熱間耐火物吹付装置1が示されている。
この熱間耐火物吹付装置1は、取鍋、転炉等の内壁面に不定形耐火物を吹き付け施工する装置であり、気流式乾式原料搬送手段11、材料混練手段12、材料吹付手段としての吹付ノズル13、及び急結剤供給手段14を備え、各手段は、配管部材15、17、18、19を介して接続されている。
気流式乾式原料搬送手段11は、不定形耐火物を構成する乾式原料を、圧送ポンプ等で気流により搬送するものである。図示を略したが、この気流式乾式原料搬送手段11には乾式原料を供給するホッパが設けられ、ホッパから乾式原料を供給すると、圧送ポンプにより気流を用いて乾式原料が、第1配管部材としての配管部材15から吐出され、材料混練手段12に搬送される。
配管部材15の材料混練手段12との接続部上流側には、配管部材16が接続され、配管部材16の上流側には、図示を略したが、圧送ポンプが接続されている。
この配管部材16の内部には、圧送ポンプの気流を利用してミスト状の水が送出され、配管部材16から配管部材15中の乾式原料にミスト状の水を添加するようになっている。つまり、圧送ポンプ及び配管部材16は水添加手段として機能する。
材料混練手段12は、気流式乾式原料搬送手段11により搬送された乾式原料に、配管部材16を介して水を添加した原料を、撹拌混練するものであり、図2に示されるように、チャンバ121、モータ122、軸受123、回転軸124、及び撹拌子125を備え、回転軸124を鉛直方向に向けた縦置き状態で使用される。
チャンバ121は、上部側面に形成された原料導入口126から乾式原料及び水を導入して混練する密閉空間を形成する容器であり、上部形状は円筒状体から構成されて蓋部材で閉塞されており、円筒状体の下部には円錐台状に絞りが形成されている。尚、原料導入口126は、図示を略したが、円筒状のチャンバ121の円形接線方向から乾式原料を導入するような位置に形成され、気流とともに乾式原料がチャンバ121内に導入されると、乾式原料はチャンバ121の円筒内壁面に沿って回転しながら落下する。
また、このチャンバ121の円錐台状の下端には吐出口127が形成されており、材料混練手段12で混練された材料は、この吐出口127から排出されて、配管部材17を介して吹付ノズル13に圧送される。
さらに、チャンバ121の下部側面には、ブースターエア吹込孔128が形成されており、このブースターエア吹込孔128には、配管部材20が接続され、さらにその先には圧送ポンプが接続されている(図示略)。
圧送ポンプを起動すると、配管部材20からブースターエアが送出され、チャンバ121内の混練した材料を強制的に吐出口127から吐出するようになっている。
このブースターエア吹込孔128からエアを吹き込む際には、同時にミスト状の水を添加できるようになっている。つまり、このブースターエア吹込孔128は、第2水添加手段として機能する。
そして、このブースターエア吹込孔128からミスト状の水を添加すると、材料混練手段12の上流側で配管部材16を介して添加する水の水分量を少なくすることが可能となる。
駆動源としてのモータ122は、チャンバ121の上面に軸受123を介して設けられ、軸受123内には、回転軸124が回転自在に軸支されており、モータ122の駆動軸は、回転軸124と接続されている。
回転軸124は、チャンバ121内の略中央に上下に延びる棒状体として構成され、その外周面には、水平方向に突出する棒状の撹拌子125が複数植設されている。
本実施形態では、撹拌子125は、回転軸124の円周方向に4箇所植設され、各箇所の回転軸124の軸方向に沿って複数配列されている。
このような構成において、モータ122を駆動すると、回転軸124が回転駆動し、これに伴い撹拌子125がチャンバ121内部で回転することで、導入された乾式原料はチャンバ121の内壁面上に押さえつけられ、水との混練が実施される。尚、混練時の回転速度は、チャンバ121の直径を略200mm程度とすると、例えば、1000〜1500rpm程度で回転させるのが好ましく、チャンバ121の径を大きくすると、その分、周速を大きくできるため、回転速度を少なくすることが可能である。
また、本実施形態では、チャンバ121は固定され、回転するものではなかったが、密閉空間を形成できるのであれば、チャンバを回転させるような材料混練手段を採用してもよい。具体的には、チャンバ121の円筒状体部分の上端と、円筒状体部分の円錐台状部分との接合部分に、例えば、ラビリンスシールのような密閉性を損なわない摺動部分を設け、円筒状体部分を別途の駆動源により回転させることでチャンバの円筒状体部分を回動させることが可能となる。
このような構成であれば、回転軸及び円筒状体部分を相対回転させることにより、混練時の相対回転速度をより向上させ、材料混練手段の混練性を一層向上させることができる。
吹付ノズル13は、材料混練手段12で混練された材料を施工面に吹き付ける材料吹付手段であり、混練された材料は、材料混練手段12の吐出口127から、例えば長さ5m〜10mの配管部材17中を圧送され、吹付ノズル13から吐出される。
この吹付ノズル13には、急結剤供給手段14が設けられている。急結剤供給手段14は、急結剤槽141と、エアーコンプレッサ142とを備え、エアーコンプレッサ142の圧搾空気を用いてノズル内の混練材料に急結剤を添加するようになっている。尚、この急結剤供給手段14で用いられる急結剤としては、液状、粉状のいずれのものでも使用でき、具体的な種類は何ら限定されるものではない。主な急結剤としては例えばアルミン酸ソーダ、アルミン酸カリウム、珪酸ソーダ、珪酸カリウム、リン酸ソーダ等が例示できる。
このような構造の熱間耐火物吹付装置1で使用される原料としては、対象とする耐火原料の材質には制限はないが、主要な耐火原料であるアルミナ質、シリカ質、アルミナ−シリカ質、アルミナ−スピネル質、アルミナ−マグネシア質、アルミナ−カーボン質、アルミナ−SiC質、アルミナ−SiC−カーボン質、マグネシア質、マグネシア−カーボン質等、カーボン質、炭化系素質、窒化けい素質、ジルコニア質、カルシア質、ドロマイト質、クロム、クロム-マグネシア質、マグネシア・ライム質、マグネシア-アルミナ質およびこれらの組み合わせである材質に問題なく適用できる。
尚、これらの耐火原料のうち、直径1mmを超える粒度のものは、不定形耐火物の硬化に際して骨材として機能し、直径1mm以下のものは、硬化反応に寄与するマトリクス成分として機能する。
また、不定形耐火物を硬化させるためのバインダーとしては、アルミナセメント、りん酸塩、けい酸ソーダ、粘土、樹脂、ピッチが一般に用いられる。
さらに、水分低減を目的として分散剤が用いられる。分散剤としては、りん酸塩系(ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、酸性ピロリン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ)、カルボン酸系(クエン酸ソーダ、グルコン酸ソーダ)アクリル酸系(ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル)、その他(ポリアルコール系、リグニンスルホン酸系) 等、およびこれらの組み合わせである材質に問題なく適用できる。
硬化のタイミングを調整するために硬化促進剤或いは硬化遅延剤を用いる場合がある。
硬化促進剤としてはNa、K、Caの水酸化物、Na、Kの珪酸塩、希硫酸、0.5〜1.0質量%程度の硫酸塩、硝酸塩、Li塩,トリエタノールアミンなどの有機塩基、ポルトランドセメント、アルミナセメント水和物が例示される。
一方、硬化遅延剤としては、Mg、Baの水酸化物、Na、K、Ba、Mg、Caの塩化物、0.25質量%以下の硫酸塩,硝酸塩、クエン酸、酒石酸,グルコース酸の塩、ホウ砂、鉛の塩、りん酸塩、糖類、小麦粉、グリセリン、グルコース、セルロースが例示される。
上記のような薬品が使用できるが、この限りではない。
硬化促進剤、硬化遅延剤及び分散剤は、事前にアルミナセメント中に混合する場合、事前に不定形耐火物中に混合する場合、或いは不定形耐火物の混練時に添加する場合がある。硬化促進剤、硬化遅延剤及び分散剤は、基本的には粉体或いは液体として用いられる。
次に、前述した構造の熱間耐火物吹付装置1の作用について説明する。
まず、乾式原料を気流式乾式原料搬送手段11のホッパに供給し、気流式乾式原料搬送手段11の圧送ポンプを起動すると、気流が生じ、気流によって乾式原料は、配管部材15内を圧送され、材料混練手段12に搬送される。同時に水添加手段の圧送ポンプを起動して配管部材16から水を圧送し、材料混練手段12に至る直前の乾式原料にミスト状の水が供給される。
材料混練手段12のモータ122が回転駆動した状態で、チャンバ121内に水と乾式原料が供給されると、回転軸124の外周面に設けられる棒状の撹拌子125によって水と乾式原料がチャンバ121の内壁面に押さえつけられた状態で撹拌され、乾式原料と水とが混練される。
そして、気流式乾式原料搬送手段11の気流により混練された材料は、チャンバ121の下方に撹拌、混練されながら落下していき、さらにブースターエア吹込孔128からミスト状の水がさらに添加され、チャンバ121の円錐台状部分の斜面に沿って落下して、吐出口127から配管部材17内に吐出される。
配管部材17内に吐出された材料は、気流式乾式原料搬送手段11の気流によって吹付ノズル13に圧送される。吹付ノズル13の吹出口の直前で、急結剤供給手段14のエアーコンプレッサ142で圧送される急結剤が混練された材料に混和され、吹付ノズル13の先端から施工面に対して材料が吹き付けられる。
吹き付け施工後、熱間耐火物吹付装置1の清掃を行う場合、気流式乾式原料搬送手段11に乾式原料、水を供給せずに、気流のみを圧送すると、配管部材15、材料混練手段12、配管部材17内に残存した材料は、気流によって圧送され、吹付ノズル13から吐出され、これを材料が吹付ノズル13から吐出されなくまで続ける。
その後、材料混練手段12のチャンバ121内部、回転軸124の回りを拭き取り清掃すればよい。
このような本実施形態に係る熱間耐火物吹付装置1によれば、材料混練手段12がチャンバ121内部の密閉空間で混練を行っているため、気流式乾式原料搬送手段11の気流
を用いて吹付ノズル13による吹き付け施工を実現することができる。
また、気流式乾式原料搬送手段11から吹付ノズル13に至る内部がすべて密閉されているため、材料混練手段12から吹付ノズル13に至る搬送距離を十分に長く確保することができる。従って、作業者が吹付ノズル13を所持しながら、長い搬送距離で不定耐火物の吹き付け施工を行うことができ、気流式乾式原料搬送手段11、材料混練手段12、及び急結剤供給手段14を取鍋、転炉等の外に配置しながら施工できるため、これらの装置の耐熱性を考慮することなく、簡便に熱間における不定形耐火物の吹き付け施工を行うことができる。
さらに、第2水添加手段としてブースターエア吹込孔128からミスト状の水を添加することにより、配管部材16による水の添加量を少なくして、材料混練手段12における混練の負荷を軽減することができる。
また、ブースターエア吹込孔128にブースターエアを吹き込むことにより、材料混練手段12のチャンバ121内の混練後の材料を速やかに吐出口127から吐出させることができるため、吹付ノズル13への搬送効率を一層向上させることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分等については、その説明を省略する。
前述の第1実施形態に係る熱間耐火物吹付装置1は、気流式乾式原料搬送手段11から吹付ノズル13に至る乾式原料又は混練された材料の搬送は、配管部材15、17の1ラインで行われていた。
これに対して、第2実施形態に係る熱間耐火物吹付装置2は、図3に示されるように、配管部材15を介して材料混練手段12と接続される気流式乾式原料搬送手段11の他に、材料混練手段12の下流側の配管部材17の途中で合流する配管部材22に接続される第2気流式乾式原料搬送手段21が設けられている点が相違する。以下、本実施形態について説明する。
第2気流式乾式原料搬送手段21は、気流式乾式原料搬送手段11と略同様の構造を具備するものであるが、搬送する乾式原料が異なっている。
すなわち、本実施形態においては、不定形耐火物を構成する乾式原料を、予め直径略1mmを超える骨材と、骨材以外の直径略1mm以下のマトリクス成分に分級しておき、マトリクス成分については、気流式乾式原料搬送手段11によって配管部材15を介して搬送し、配管部材16からミスト状の水を添加した後、材料混練手段12による撹拌混練を行い、気流式乾式原料搬送手段11からの気流を用いて、混練された材料を配管部材17から搬送する。
骨材は、第2気流式乾式原料搬送手段21に供給され、配管部材22から第2気流式乾式原料搬送手段21の気流によって直接搬送され、配管部材17の途中に設けられる合流管23で材料混練手段12で混練された材料と混合される。
合流管23は、T字状のもの、Y字状のもの等種々の形状を採用することができるが、混練されたマトリクス成分に骨材が合流したときに、配管部材17の内部でこれらが充分に撹拌混合され、吹付ノズル13まで搬送できるような形状とするのが好ましい。
尚、第2気流式乾式原料搬送手段21により搬送する骨材は、不定形耐火物の調合によって決められるが、概ね、気流式乾式原料搬送手段11から搬送される材料70質量%に対して、第2気流式乾式原料搬送手段21から搬送される材料30質量%程度の割合である。
また、配管部材17の途中に設けられる合流管23の位置は、吹付ノズル13に至る配管部材17の中で搬送中にマトリクス成分及び骨材が充分に撹拌混合できる位置とするのが好ましい。
このような第2実施形態に係る熱間耐火物吹付装置2は、次のように作用する。
まず、乾式原料中のマトリクス成分を、気流式乾式搬送手段11のホッパに供給し、気流式乾式原料搬送手段11の圧送ポンプを起動すると、気流が生じ、気流によって乾式減量中のマトリクス成分は、配管部材15内を圧送され、材料混練手段12に搬送される。同時に水添加手段の圧送ポンプを起動して配管部材16から水を圧送し、材料混練手段12に至る直前の乾式原料のマトリクス成分にミスト状の水が供給される。
材料混練手段12のモータ122が回転駆動した状態で、チャンバ121内に水と乾式原料が供給されると、回転軸124の外周面に設けられる棒状の撹拌子125によって水と乾式原料がチャンバ121の内壁面に押さえつけられた状態で撹拌され、乾式原料中のマトリクス成分と水とが混練される。
材料混練手段12によってマトリクス成分の混練が開始したら、第2気流式乾式原料搬送手段21の圧送ポンプを起動して、骨材の気流搬送を開始する。
材料混練手段12で混練されたマトリクス成分は、吹付ノズル13に圧送される配管部材17途中の合流管23の部分で、第2気流式乾式原料搬送手段21から圧送された骨材と撹拌混合される。
さらに、吹付ノズル13の吹出口の直前で急結剤供給手段14のエアーコンプレッサ142で圧送される急結剤が、混練された材料に混和され、吹付ノズル13の先端から施工面に対して材料が吹き付けられる。
このような本実施形態によれば、第1実施形態で述べた効果に加えて次のような効果がある。
すなわち、熱間耐火物吹付装置2が第2気流式乾式原料搬送手段21を備えていることにより、材料混練手段12の下流側の配管部材17に不定形耐火物を構成する骨材を搬送しているため、材料混練手段12で混練する乾式原料をマトリクス成分のみとして気流式乾式原料搬送手段11による搬送の負荷を軽減することができる。
また、マトリクス成分のみを材料混練手段12で水と混練することができるため、効率的にマトリクス成分を水に濡らすことができ、下流側の配管部材17で骨材と撹拌混合しているため、よく濡れたマトリクス成分に均一に骨材を混合して、吹付による不定形耐火物の施工体を強固なものとすることができる。
また、配管部材17中の混練後の材料に対して、第2気流式乾式原料搬送手段21からの気流を用いて骨材を混合しているため、第2気流式乾式原料搬送手段21の気流を調整することにより、混合状態を均一にすることができる。
さらに、第2気流式乾式原料搬送手段21からの気流を配管部材17内に直接供給することにより、配管部材17内の搬送効率が向上するため、配管部材17による材料の搬送距離を一層長く取ることができる。尚、本実施形態の場合であれば、配管部材17の長さは、例えば、15m〜20m程度とすることができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
前述した第2実施形態では、第2気流式乾式原料搬送手段21では、不定形耐火物を構成する乾式原料のうち、直径略1mmを超える骨材を気流搬送し、吹付ノズル13の部分で急結剤供給手段14により、粉体の急結剤を混和するようになっていた。
これに対して、第3実施形態に係る熱間耐火物吹付装置3は、図4に示されるように、急結剤供給手段は設けられておらず、第2気流式乾式原料搬送手段31内に直径1mmを超える骨材とともに粉体の急結剤を供給しておき、配管部材32により骨材及び急結剤を第2気流式乾式原料搬送手段31で気流搬送し、合流管33の部分で配管部材17中を気流搬送されるマトリクス成分と、骨材及び急結剤とを撹拌混合している点が相違する。
第2気流式乾式原料搬送手段31、配管部材32、合流管33は、第2実施形態の場合と同様の構成を採用することができる。
骨材及び急結剤は、予め乾式で撹拌混合しておき、均一な状態として第2気流式乾式原料搬送手段31に供給する。
このような第3実施形態によれば、前述した第1及び第2実施形態で述べた効果に加え、次のような効果がある。
すなわち、第2気流式乾式原料搬送手段31により、混練されたマトリクス成分に対して骨材及び急結剤を同時に撹拌混合することができるため、別途急結剤供給手段を設ける必要がなく、熱間耐火物吹付装置3の構造を簡素化することができ、軽量化による作業効率の向上、圧送ポンプの台数削減による装置の製造コストの低減を図ることができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
前述の第1実施形態に係る熱間耐火物吹付装置1は、気流式乾式原料搬送手段11から吹付ノズル13に至る乾式原料又は混練された材料の搬送は、配管部材15、17の1ラインで行われていた。
これに対して、第4実施形態に係る熱間耐火物吹付装置4は、図5に示されるように、配管部材15と、配管部材17との間を材料混練手段12を介すことなく短絡するバイパス配管部材41が設けられている点が相違する。以下、本実施形態について詳述する。
第1実施形態と同様に、気流式乾式原料搬送手段11から搬送される乾式原料は、配管部材15を介して材料混練手段12に搬送されるように構成されているが、配管部材15の途中で、水添加を行う配管部材16の合流部分のさらに上流側には、分岐管42が設けられ、搬送される乾式原料の一部が分岐管42に接続されるバイパス配管部材41に圧送されるように構成されている。
分岐管42は、T字状のもの、Y字状のもの等種々の形状のものを採用することができるが、要するに、目的とする粒度の乾式原料を一定の割合で分級できる形状のものを採用するのが好ましい。目的とする乾式原料の粒度は、例えば、直径略1mmであり、不定形耐火物を構成する原料のうち、直径略1mmを超える乾式原料を、分岐管42で分級できるようにするのが好ましい。
具体的には、この分岐管42により、直径略1mmを超える骨材がバイパス配管部材41側に搬送され、バインダ、その他の混和剤、及び直径略1mm以下の耐火物原料等の硬化反応に寄与するマトリクス成分が材料混練手段12側に搬送されるのが好ましい。
バイパス配管部材41は、下流側で合流管43により配管部材17と合流するように構成され、材料混練手段12で混練された材料と混合される。合流管43の位置は配管部材17の途中であれば特に問わないが、配管部材17内で十分に混練された材料と、バイパス配管部材41中の骨材が十分に混合される範囲で合流位置を決定するのが好ましい。
このような熱間耐火物吹付装置4では、まず、気流式乾式原料搬送手段11から送出された乾式原料のうち、直径略1mmを超える骨材は、分岐管42でバイパス配管部材41側に分級され、直径略1mm以下のマトリクス成分は、配管部材16からミスト状の水を供給された状態で材料混練手段12内部で混練が行われる。
混練された材料は、気流式乾式原料搬送手段11からの気流により材料混練手段12の吐出口127から吐出され、配管部材17上を圧送される。
そして、合流管43の部分で直径略1mmを超える骨材が混合され、吹付ノズル13からマトリクス成分及び骨材が混合され、さらに急結剤供給手段14からの急結剤が混和された不定形耐火物による吹き付け施工が行われる。
尚、本実施形態において、マトリクス成分は、材料混練手段12で混練されるのに対して、骨材は直接合流管43に供給されることとなるため、混練時間の分だけ最初のうちはタイムラグが生じてしまう。そこで、好ましくは、原料搬送開始の当初は、マトリクス成分が多めの材料を、気流式乾式原料搬送手段11に供給することにより、このタイムラグを短くして、早期に適切な不定形耐火物の吹き付けを行うことができる。
このような本実施形態によれば、前述した第1実施形態で述べた効果に加えて、次のような効果がある。
配管部材15及び配管部材17を短絡するバイパス配管部材41を設けることにより、直径略1mmを超える骨材は、選択的に材料混練手段12に供給されずに、直接、材料混練手段12の下流側に接続される配管部材17に乾式状態のままで供給されることとなる。
従って、材料混練手段12内部には、混練が必要なマトリクス成分のみが供給され、適切な水分添加の下、混練が行われ、配管部材17中で骨材と混合されるため、材料混練手段12内部で水分添加により圧送しにくくなる材料を必要最小限として、気流式乾式原料搬送手段11からの気流により搬送する材料の圧送負荷を少なくすることができる。
この結果、材料混練手段12から吹付ノズル13までの搬送距離を一層長く確保することができる。尚、本実施形態における配管部材17の長さは、例えば、10m〜15m程とすることができる。
また、このように搬送時の負荷を軽減することにより、配管部材17内で脈動が生じることを防止し、配管部材17内の圧力変動を少なくすることができる。従って、吹付ノズル13では、配管部材17内の圧力変動に伴う材料の吹付量の時間あたりの変動が少なくなるため、安定した状態で不定形耐火物の吹き付け施工を行うことができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
前述した第1乃至第4実施形態では、配管部材16からの水の添加は、配管部材15の材料混練手段12との接続部分より上流側で配管部材16を接続することにより行われ、配管部材15内の乾式原料にミスト状の水に添加した後、材料混練手段12のチャンバ121内部に乾式原料及び水が導入されるように構成されていた。
これに対して、第5実施形態に係る熱間耐火物吹付装置5では、図6に示されるように、材料混練手段51の内部で水を添加するように構成されている点が相違する。
材料混練手段51は、基本的な構造は、第1実施形態に係る材料混練手段12と同様であるが、回転軸124の基端側に気流式乾式原料搬送手段と接続される配管部材52が接続されている。
回転軸124の軸中心には、配管部材52の内部空間と連通する水供給孔53がチャンバ121内に露出する回転軸124の基端部分まで形成されている。
この水供給孔53の底部には、回転軸124に直交し、外側に延びる水噴射孔54が回転軸124回りに複数形成され、水噴射孔54の端面は、回転軸124の外周面に開口されている。
このような本実施形態では、気流式乾式原料搬送手段から乾式原料の他に、水を配管部材52を介して水供給孔53に供給すると、気流により水供給孔53を流れ、さらに水噴射孔54からチャンバ121内部に噴射されることとなる。
材料混練手段51は、駆動中回転軸124が回転しているため、噴射された水は、回転しながらチャンバ121内に散布され、チャンバ121内の乾式原料に付着して混練が促進される。特に、回転軸124を第1実施形態と同様に、1000〜1500rpmの回転速度で回転させることにより、積極的に水をミスト状にしなくても、散布された水が乾式原料を十分に濡らし、十分な混練を行うことができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
・実施例1:本発明の第1実施形態に係る熱間耐火物吹付装置1を用いて乾式原料の搬送及び混練を行い、吹付ノズル13で不定形耐火物の吹き付けを行った。
・実施例2:本発明の第2実施形態に係る熱間耐火物吹付装置2を用いて乾式原料の搬送及び混練を行い、吹付ノズル13で不定形耐火物の吹き付けを行った。
・実施例3:本発明の第4実施形態に係る熱間耐火物吹付装置4を用いて乾式原料の搬送及び混練を行い、吹付ノズル13で不定形耐火物の吹き付けを行った。
・比較例1:背景技術で説明した乾式吹付施工方法のように、不定形耐火物を構成する乾式原料を加圧空気により圧送し、吹付ノズル近傍で水を添加して吹付ノズルで不定形耐火物の吹き付けを行った。
・比較例2:不定形耐火物の原料に水を添加したものを大気開放化で混練し、加圧空気により圧送して吹付ノズルで不定形耐火物の吹き付けを行った。
実施例1乃至実施例3、比較例1、2で使用した材料、施工方法、及び添加水分量を表1に示す。尚、表1において、実施例2については、直径1mm〜3mmのアルミナは、図2における第2気流式乾式原料搬送手段21に供給し、直径1mm以下のアルミナ、及び結合剤(珪酸塩粉末)は、気流式乾式原料搬送手段11に供給している。
Figure 2009047317
@0009
まず、実施例1乃至実施例3における粉体搬送距離に関して評価し、各実施例での最も長い搬送距離での吹付施工を行った。
実施例1乃至実施例3のいずれの場合も、気流式乾式原料搬送手段11から材料混練手段12までの搬送距離、すなわち配管部材15の長さを10mとし、材料混練手段12から吹付ノズル13までの搬送距離、すなわち配管部材17の長さを、5m、7.5m、10m、12.5m、15m、20mとして材料の吹付施工が可能であるかどうかを評価した。
実施例1の場合、配管部材17の長さを10mとすると、配管部材17内で若干の脈動が生じ、12.5mとした場合、搬送自体が困難となり、吹付施工が困難となった。
実施例2の場合、配管部材17の長さを15mとしても吹付施工が可能であり、20mとなって初めて配管部材17内部で若干の脈動を生じた。
実施例3の場合、配管部材17の長さが12.5mまで吹付施工が可能であったが、15mで若干の脈動が生じ、20mでは搬送自体が困難となり、吹付施工が困難となった。
以上の結果から、材料混練手段12から吹付ノズル13までの搬送距離を吹付施工可能な上限値とし、実施例1では配管部材17の長さを7.5m、実施例2では配管部材17の長さを15m、実施例3では配管部材17の長さを12.5mとして吹付施工を行うこととした。
実施例1乃至実施例3、比較例1、2で得られた材料について、吹付後の硬化体の材料物性、吹付時の作業性に関する評価を行った。結果を表2に示す。尚、材料物性の評価における見掛け気孔率の測定は、JIS R 2206、圧縮強さの測定は、JIS R 2205、作業性評価におけるタップフロー値の測定は、JIS R 2521に準拠して行った。
耐食性の評価については、溶損指数により評価している。
ここで、溶損指数は、吹付後の硬化体について、鋼とスラグを1:1の質量比で混合したものを回転侵食試験で1650℃、約10時間の熱処理条件下に曝し、熱処理前の硬化体に対して、熱処理後の硬化体が損耗した箇所の最大長さを測定し、比較例1の最大長さを100として、実施例1乃至実施例3、及び比較例2を相対値に換算した指数である。この数値が大きいほど損耗が大きいことを示している。
作業性については、タップフロー値の他に、吹付施工を行った後の不定形耐火物の施工面への付着率、施工能力、施工中の粉塵発生状況、洗浄時の作業性(洗浄作業性)について評価を行った。
付着率は、1分間吹付施工を行った際の不定形耐火物の総質量をA(kg)、1分間吹付施工を行った際のリバウンドロスとして落下した不定形耐火物の質量をB(kg)としたときに、
付着率(%)=(A−B)/A×100
で算出した。
施工能力は、不定形耐火物の搬送を行う際に、配管部材の脈動や閉塞が発生しない状態が維持できる最大の搬送量であり、施工物の搬送量を増加させ、配管部材の脈動や閉塞の有無を観察することで確認した。
粉塵発生状況は、目視で観測し、
(1) 粉塵発生による作業への影響がほとんどないものを「粉塵極小」、
(2) 粉塵発生による作業への影響が小さいものを「粉塵小」、
(3) 粉塵発生による作業への影響が大きいものを「粉塵大」、
として評価した。
洗浄作業性は、「洗浄作業等に要する時間」、「洗浄作業等に要する手間」という2つの因子に大別し、
(1) 「洗浄作業等に要する時間」が30分〜1時間程度、「洗浄作業等に要する手間」が別途作業者が1〜2名必要、及び別途機械が必要な場合を「作業手間大」、
(2) 「洗浄作業等に要する時間」が1〜3分程度、「洗浄作業等に要する手間」が別途作業者が不要、及び別途機械が不要な場合を「作業手間極小」、
(3) 「洗浄作業等に要する時間」が不要、「洗浄作業等に要する手間」が作業者不要、及び別途機械が不要な場合を「作業不要」、
として評価した。
Figure 2009047317
@0010
まず、本発明に係る実施例1乃至実施例3と乾式吹付施工方法による比較例1とを比較すると、洗浄作業性については、実施例1乃至実施例3は、殆ど遜色のない作業効率の高い方法であることが確認された。加えて、粉塵の発生を抑えられ、吹付時の作業者への影響も少ないことが確認された。
また、施工後の不定形耐火物硬化体の物性については、実施例1乃至実施例3の方が比較例1よりも、見掛け気孔率が小さく、圧縮強さの値が大きく、硬化体が緻密であることが確認された。このため、耐食性についても比較例1の溶損指数100に対して実施例1乃至実施例3の溶損指数は45〜53と極めて小さく、本発明の方法による吹付施工を行うことにより、耐食性の良好な施工体を形成できることが確認された。このことは、同じ材料構成でも、実施例1乃至実施例3の方が添加水分量が大幅に削減されていることからも判る。
一方、本発明に係る方法である実施例1乃至実施例3と、湿式吹付施工方法による比較例2とを比較すると、実施例1については見掛け気孔率がやや大きく、圧縮強さの値が湿式吹付施工法の場合よりもやや小さい程度であり、また、実施例2及び実施例3については、見掛け気孔率はやや大きい程度であり、圧縮強さは殆ど湿式吹付施工方法の場合と変わらないことが確認された。
また、洗浄作業性を比較すると、実施例1乃至実施例3は、湿式吹付施工方法に比較して、作業手間を極小とすることができ、これらに要する作業時間を大幅に短縮できることが確認された。
以上のことから、本発明に係る方法、装置を用いて吹付施工を行うことにより、実用上十分に耐用性の高い施工面が、煩雑な作業を伴わずに、極めて簡単な作業で形成できることが確認された。
また、実施例1乃至実施例3を対比すると、実施例2が配管部材17の長さを最も大きく確保することができることが確認できた。このことは、施工時に材料混練手段12等を取鍋等の容器の外に出しておき、吹付ノズル13及び配管部材17のみを取鍋内部に挿入して施工できるため、材料混練手段12、気流式乾式原料搬送手段11等に高価な耐熱処置を施す必要がなくなり、熱間耐火物吹付装置の製造コストを大幅に低減することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る熱間耐火物吹付装置の構造を表す模式図。 前記実施形態における熱間耐火物吹付装置を構成する材料混練手段の構成を表す断面図。 本発明の第2実施形態に係る熱間耐火物吹付装置の構造を表す模式図。 本発明の第3実施形態に係る熱間耐火物吹付装置の構造を表す模式図。 本発明の第4実施形態に係る熱間耐火物吹付装置の構造を表す模式図。 本発明の第5実施形態に係る熱間耐火物吹付装置を構成する材料混練手段の構造を表す断面図。
符号の説明
1、2、3、4、5…熱間耐火物吹付装置、11…気流式乾式原料搬送手段、12…材料混練手段、13…吹付ノズル、14…急結剤供給手段、15…配管部材、16…配管部材、17…配管部材、20…配管部材、21…第2気流式乾式原料搬送手段、22…配管部材、23…合流管、31…第2気流式乾式原料搬送手段、32…配管部材、33…合流管、41…バイパス配管部材、42…分岐管、43…合流管、51…材料混練手段、52…配管部材、53…水供給孔、54…水噴射孔、121…チャンバ、122…モータ、123…軸受、124…回転軸、125…撹拌子、126…原料導入口、127…吐出口、128…ブースターエア吹込孔、141…急結剤槽、142…エアーコンプレッサ

Claims (11)

  1. 熱間で不定形耐火物を吹き付け施工する熱間耐火物吹付装置であって、
    前記不定形耐火物を構成する乾式原料を気流により搬送する気流式乾式原料搬送手段と、
    この気流式乾式原料搬送手段で搬送される乾式原料に水を添加する水添加手段と、
    前記気流式乾式原料搬送手段と接続される導入口から前記乾式原料を導入し、密閉空間内で混練して吐出口から混練した材料を吐出する材料混練手段と、
    前記気流式乾式原料搬送手段から供給される気流の圧力により、前記材料混練手段で混練された材料を吹き付ける材料吹付手段とを備えていることを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
  2. 請求項1に記載の熱間耐火物吹付装置において、
    前記材料混練手段は、内部を密閉空間とするチャンバと、このチャンバ内部に回転自在に軸支される回転軸と、この回転軸を回転駆動させる駆動源と、前記回転軸の外周面に植設される棒状の撹拌子とを備えていることを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
  3. 請求項2に記載の熱間耐火物吹付装置において、
    前記水添加手段は、前記回転軸の軸中心に形成される水供給孔と、この水供給孔から前記回転軸の外周面に至る水噴射孔とを備えていることを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の熱間耐火物吹付装置において、
    前記水添加手段は、前記材料混練手段の上流側で水を添加することを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の熱間耐火物吹付装置において、
    前記気流式乾式原料搬送手段及び前記材料混練手段は、前記乾式粉体原料を搬送する第1配管部材により接続され、
    前記材料混練手段及び前記材料吹付手段は、前記混練された材料を搬送する第2配管部材により接続され、
    前記第2配管部材には、前記不定形耐火物を構成する骨材を気流により搬送する第2気流式乾式原料搬送手段が接続され、
    前記気流式乾式原料搬送手段は、前記不定形耐火物を構成する骨材以外のマトリクス成分を、前記材料混練手段に搬送することを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
  6. 請求項5に記載の熱間耐火物吹付装置において、
    前記第2気流式乾式原料搬送手段は、前記骨材とともに急結剤を搬送することを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
  7. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の熱間耐火物吹付装置において、
    前記気流式乾式原料搬送手段及び前記材料混練手段は、前記乾式原料を搬送する第1配管部材により接続され、
    前記材料混練手段及び前記材料吹付手段は、前記混練された材料を搬送する第2配管部材により接続され、
    前記第1配管部材で分岐し、前記第2配管部材で合流するバイパス配管部材を備えていることを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
  8. 請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の熱間耐火物吹付装置において、
    前記材料混練手段の前記吐出口近傍には、混練された材料に水を添加する第2水添加手段が設けられていることを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
  9. 請求項1乃至請求項5、請求項7のいずれかに記載の熱間耐火物吹付装置において、
    前記材料吹付手段には、前記材料混練手段により混練された材料に急結剤を供給する急結剤供給手段が設けられていることを特徴とする熱間耐火物吹付装置。
  10. 熱間で不定形耐火物を吹き付け施工する熱間における不定形耐火物の吹付施工方法であって、
    前記不定形耐火物を構成する乾式原料を気流により搬送する工程と、
    搬送された乾式原料に水を添加する工程と、
    水が添加された原料を、密閉空間内で混練する工程と、
    前記搬送する工程における気流を用いて、混練された材料を吹き付ける工程とを実施することを特徴とする熱間における不定形耐火物の吹付施工方法。
  11. 請求項10に記載の熱間における不定形耐火物の吹付施工方法において、
    前記密閉空間内で原料を混練する工程では、前記不定形耐火物を構成する骨材以外のマトリクス成分を混練し、
    その後、前記不定形耐火物を構成する骨材を気流を用いて、前記混練後のマトリクス成分と混合して材料を吹き付けることを特徴とする熱間における不定形耐火物の吹付施工方法。
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