JP2009047049A - 内燃機関の動弁装置及びこの動弁装置に用いられるカム部材 - Google Patents

内燃機関の動弁装置及びこの動弁装置に用いられるカム部材 Download PDF

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健一 清水
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Abstract

【課題】カム部材の表面全体に膜厚の十分な皮膜を形成して摩耗量と処理コストの低減化を図り得る動弁装置を提供する。
【解決手段】駆動軸に設けられた駆動カムの回転力を、揺動運動に変換する伝達機構によって揺動して吸気弁を開閉作動させるカム部材4を備えている。このカム部材は、駆動軸に支持孔9aを介して揺動自在に支持され、かつジャーナル部9bが軸受部によって回転自在に支持された揺動軸9と、該揺動軸の軸方向両端部に一体に設けられて、前記一対の吸気弁をバルブリフターを介して開閉作動する2つの揺動カム10,10とからなり、表面全体に表面処理によりリン酸マンガン皮膜34を施した。また、前記皮膜の膜厚を1μm〜5μmの範囲内に設定すると共に、駆動軸の外周面と前記支持孔の内周面との間のクリアランスを25μm〜65μmの範囲内に設定した。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば吸気弁や排気弁のバルブリフト量を機関運転状態に応じて変更可能な内燃機関の動弁装置及びこの動弁装置に用いられるカム部材に関する。
従来の内燃機関の動弁装置としては、以下の特許文献1に記載されたものがある。
概略を説明すれば、この動弁装置は、吸気弁側に適用されたもので、クランクシャフトの回転に同期して回転する駆動軸の外周に、軸心が前記駆動軸の軸心から偏心した駆動カムが設けられていると共に、該駆動カムの回転力が多節リンク式の伝達機構を介して伝達されて、吸気弁の上端部に有するバルブリフターの上面をカム面が摺接して吸気弁をバルブスプリングのばね力に抗して開作動させるカム部材を有している。
前記カム部材は、前記駆動軸の外周に揺動自在に支持された円筒状の揺動軸と、該揺動軸の軸方向の両端部外周に一体に設けられて、前記各カム面を介して各吸気弁を開閉作動する揺動カムとから構成されており、前記揺動軸は軸方向の外周面ほぼ中央位置に形成されたジャーナル部を介してシリンダヘッド上の軸受部に回転自在に支持されている。
そして、機関運転状態に応じてアクチュエータにより制御軸を介して制御カムの回動角度を変化させることにより、伝達機構のロッカアームの姿勢変化に伴い前記各揺動カムのバルブリフターの上面に対する当接位置を変化させて、各吸気弁のバルブリフト量を機関運転状態に応じて可変制御するようになっている。
特開2004−60635号公報
しかしながら、前記カム部材は、揺動軸の内周面が駆動軸の外周面と常に摺動状態にあり、また、外周面が軸受部に常に摺動自在に軸受けされていることから、各摺動部間で油膜切れが起こりやすく、該各摺動部での経時的な摩耗が発生するおそれがある。
本発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、機関本体に支持されたシャフトと、内部に挿通された前記シャフトに揺動自在に支持されると共に、外周が軸受部に揺動自在に支持され、揺動することによって機関弁を開閉作動させるカム部材と、を備え、前記カム部材のみに摺動性を向上させる表面処理を施し、該表面処理を少なくとも前記シャフトが回転摺動する内周面と前記軸受部に摺動する外周面に施したことを特徴としている。
この発明によれば、カム部材のみに表面処理を施し、前記シャフトや軸受部には表面処理を施さないことから、各摺動部の摩耗量を低減できると共に、表面処理コストの低減化と処理作業の能率化が図れる。
以下、本発明に係るカム部材が適用された内燃機関の動弁装置の実施の形態を図面に基づいて詳述する。この実施の形態では、6気筒内燃機関の一方バンクの吸気側に適用したものであって、1気筒当たり2つの吸気弁を備え、かつ吸気弁のバルリフト量を機関運転状態に応じて可変にする可変機構を備えている。
すなわち、前記動弁装置は、図1及び図2に示すように、機関本体であるシリンダヘッド1に図外のバルブガイドを介して摺動自在に設けられた1気筒当たり2つの吸気弁2,2と、機関前後方向に配置された内部中空状のシャフトである駆動軸3と、気筒毎に配置されて、各吸気弁2,2の上端部に配設されたバルブリフター6,6に摺接して各吸気弁2,2を開作動させるカム部材4と、前記駆動軸3の所定位置(気筒毎)に一体的に固定された駆動カム5と、該駆動カム5とカム部材4との間に配置されて、前記駆動カム5の回転力をカム部材4の揺動力(開弁力)として伝達する伝達機構7と、該伝達機構7の作動位置を可変にする制御機構8と、を備えている。
前記吸気弁2,2は、シリンダヘッドの上端部に形成されたボアの底部とバルブステム上端部のスプリングリテーナとの間に弾装されたバルブスプリング12,12によって閉方向に付勢されている。
前記駆動軸3は、図1及び図2にも示すように、機関前後方向に沿って配置されて、内部軸方向にメインオイルギャラリーと連通する油通路3aが形成されていると共に、各気筒間に対応した位置に図外の支持孔が径方向に沿って貫通形成されている。また、駆動軸3は、図2及び図3に示すように、軸方向の両端部がシリンダヘッド1の上部に設けられたキャリア1aと軸受ブラケット11aとによって構成された軸受11によって回転自在に軸支されていると共に、一端部に設けられた図外の従動スプロケットや該従動スプロケットに巻装されたタイミングチェーン等を介して機関のクランクシャフトから回転力が伝達されている。
前記カム部材4は、図1〜図4などに示すように、駆動軸3の外周面に揺動自在に支持された円筒状の揺動軸9と、該揺動軸9の軸方向の両端部に一体に設けられた揺動カム10,10とから構成されており、後述する成形工程によって一体に成形されかつ表面処理が施されるようになっている。
前記揺動軸9は、内部に前記駆動軸3が挿通する支持孔9aを有すると共に、外周面のほぼ中央位置、つまり両揺動カム10、10の間に大径円筒状のジャーナル部9bが形成されている。このジャーナル部9bは、図2及び図3に示すように、シリンダヘッド1の上部に設けられたシリンダヘッドの上面に設けられたキャリア1aと軸受ブラケット31aとから構成された軸受部31によって回転自在に支持されている。したがって、前記各揺動軸9を介して前記駆動軸3が前記各軸受部31に回転自在に支持される形になる。なお、ジャーナル部9bのほぼ中央位置には、前記駆動軸3の油通路3aと適宜連通する油孔9cが径方向に沿って形成されている。
一方、前記各揺動カム10,10は、同一形状のほぼ雨滴状を呈し、基端部側が揺動軸9を介して前記駆動軸3の軸心を中心として揺動するようになっていると共に、それぞれの下面には、各バルブリフター6の上面所定位置に当接するカム面10aがそれぞれ形成されており、また、一方の揺動カム10の先端側のカムノーズ部にピン孔が巾方向から貫通形成されている。
前記駆動カム5は、ほぼ円盤状に形成されたカム本体5aの外周面5cが偏心円のカムプロフィールに形成されて、軸心が駆動軸3の軸心から径方向へ所定量だけオフセットしていると共に、該カム本体5aの一側部軸方向に一体に設けられた筒状部5bが径方向に形成された図外の固定用孔に圧入された固定用ピンによって駆動軸3に固定されている。また、この駆動カム5は、焼結合金材によって一体に形成されている。
前記伝達機構7は、前記駆動軸3の上方に配置されたロッカアーム13と、該ロッカアーム13の一端部13aと駆動カム5とを連係するリンクアーム14と、ロッカアーム13の他端部13bと一方の揺動カム10とを連係するリンクロッド15とを備えている。
前記ロッカアーム13は、中央の筒状基部13cの内部に支持孔13dが横方向から貫通形成され、この支持孔13dを介して後述する制御カム20の外周に揺動自在に支持されている。また、ロッカアーム13の一端部13aは、先端部の側部にピン16が一体に突設されている一方、他端部13bには、先端側に前記リンクロッド15との関連で吸気弁2,2のバルブリフト量を調整するリフト調整機構21が設けられている。
前記リンクアーム14は、大径な円環部14aと、該円環部の外周面所定位置に突設された突出端14bとを備え、円環部14aの中央位置には、前記駆動カム5の外周面5cが回転自在に嵌合する嵌合孔14cが形成されている一方、突出端14bには、前記ピン16が回転自在に挿通するピン孔が貫通形成されている。
前記リンクロッド15は、プレス成形によって横断面ほぼコ字形状に形成されており、内側がコンパクト化を図るためにほぼく字形状に折曲形成されていると共に、平行な2枚板状、つまり横断面ほぼコ字形状に形成された二股状の両端部15a,15bにピン孔がそれぞれ横方向に貫通形成されている。
また、リンクロッド15は、一端部15aが前記両ピン孔に挿通した連結ピン17と前記リフト調整機構21を介してロッカアーム13の他端部13bに回転自在に連結されている。一方、他端部15bは、前記各ピン孔と揺動カム10のカムノーズ部に形成されたピン孔にそれぞれ挿通された連結ピン18を介して揺動カム10に回転自在に連結している。
前記リフト調整機構21は、ロッカアーム13の他端部13bに一体に有する矩形ブロック状の連係部22と、該連係部17の上面から内部に形成された固定用雌ねじに上方から螺着した固定ねじ部材23と、連係部22の両側面から前記雌ねじ孔に直交する方向へ貫通形成されて、前記連結ピン17が挿通されるピン挿通孔と、前記連係部22の下端内部に前記雌ねじ孔と同軸上に形成された調整用雌ねじ孔に下方側から螺入する調整ねじ部材24とから構成されている。
前記制御機構8は、図1に示すように、駆動軸3の上方位置に配置された制御軸19と、該制御軸19の外周に一体に固定されてロッカアーム13の揺動支点となる制御カム20と、前記制御軸19を回転制御するアクチュエータとを備えている。
前記制御軸19は、図1及び図2に示すように、駆動軸3と並行に機関前後方向に配設され、図外の軸受を介して回転自在に支持されていると共に、内部軸心方向にメインオイルギャラリーと連通する潤滑油通路25が形成されている。また、制御軸19の前記軸受に支持されるジャーナル部となる位置に、前記潤滑油通路25と径方向から連通する通路孔19aが形成されている。
一方、前記制御カム20は、円筒状を呈し、軸心位置が肉厚部の分だけ制御軸19の軸心から所定分だけ偏倚している。
また、前記制御軸19と制御カム20の内部径方向には、前記潤滑油通路25と連通する連通路26が形成されている一方、前記ロッカアーム13の他端部13bの内部には、前記連通路26と適宜連通する油孔13eが貫通形成されている。
前記アクチュエータは、シリンダヘッドの後端部に固定された電動モータ27と、該電動モータ27の回転駆動力を前記制御軸19に伝達する螺子伝達手段28とから構成されている。
前記電動モ−タ27は、比例型のDCモータによって構成され、機関の運転状態を検出するコントローラ29からの制御信号によって駆動するようになっている。このコントローラ29は、機関回転数を検出するクランク角センサや、吸入空気量を検出するエアーフローメータ、機関の水温を検出する水温センサ及び制御軸19の回転位置を検出するポテンショメータ30等の各種のセンサからの検出信号をフィードバックして現在の機関運転状態を演算などにより検出して、前記電動モータ27に制御信号を出力している。
次に、前記カム部材4の成形工程を、図4A〜Dに示す工程図によって説明する。
すなわち、まず、図4Aに示すように、鋳造によってカム部材4の基本的な形状を加工する(鋳造工程)。
次に、図4Bに示すように、カム部材4全体の、切削、研削加工などの複数の機械加工を行う。すなわち、前記揺動軸9の内部軸方向にドリルによる孔加工などによって所定内径の前記支持孔9aを精度良く形成すると共に、外周のジャーナル部9bとなる部位の表面を、研削加工を行って面粗度の高い表面を得る。なお、前記ジャーナル部9bに、径方向に沿って油孔9cを孔明け加工する。また、各揺動カム10,10の外面を切削及び研削によって外形加工を行うと共に、各揺動カム10,10のカム面10a、10aの表面を砥石研削によって面精度を高める。(切削、研削工程)。
次に、カム部材4の外面や内周面に通常の脱脂処理を行った後、図4Cに示すように、浴槽32内に貯留されているリン酸マンガン液33に、前記カム部材4を投入して浸漬し、そのまま約十数分間程度放置する(表面処理工程)。これによって、図4Dに示すように、支持孔9aやジャーナル部9b、カム面10aなどの各摺動部を含むカム部材4全体に十分な膜厚のリン酸マンガン皮膜34が施される。
また、前記皮膜34の膜厚は、薬液濃度と温度を管理することにより、自由に設定することができるが、本実施の形態では、その膜厚が1μm〜5μmの範囲内の厚さに設定されている。
さらに、前記各種の加工処理が終了した後に、前記カム部材4を前記駆動軸3に嵌挿させ、さらに各軸受部31に支持させて、各構成部品の組み付けが完了した時点において、前記駆動軸3の外周面と揺動軸9の支持孔9aの内周面との間のクリアランスは25μm〜65μmの範囲内に設定されている。
これらの膜厚やクリアランスの特定は、後述するように、摺動改善及び音振効果を図るためである。
なお、前記皮膜34を形成したことによって、前記駆動軸3や軸受部31よりも耐摩耗性が向上している。また、前記揺動軸9のジャーナル部9bの外周面と前記軸受部31の内周面との間のクリアランスは、65μm以上に設定されている。
以下、前記可変機構による吸気弁2,2のバルブリフト量及び作動角の可変制御を簡単に説明する。
まず、例えば、機関の低回転域では、コントローラ29によって電動モータ27が回転駆動し、この回転トルクが螺子伝達手段28に伝達されて回転すると、これによって制御軸19は、一方向へ所定量回転駆動される。したがって、制御カム20が、図5A、Bに示すように、一方向に回動して軸心P1が制御軸19の軸心Pの回りを同一半径で回転し、肉厚部が駆動軸3から上方向に離間移動する。これにより、ロッカアーム13の他端部13bとリンクロッド15の枢支点(連結ピン17)は、駆動軸3に対して上方向へ移動し、このため、各揺動カム10は、リンクロッド15を介してカムノーズ部側が強制的に引き上げられる。
よって、駆動カム5が回転してリンクアーム14を介してロッカアーム13の一端部13aを押し上げると、そのリフト量がリンクロッド15を介して各揺動カム10及び各バルブリフター6に伝達されるが、吸気弁2,2のバルブリフト量L1は最小になる。
さらに、機関高回転領域に移行した場合は、コントローラ29によって電動モータ27が逆回転して螺子伝達手段28を同方向へ回転させると、この回転に伴って制御軸19が、図6A、Bに示すように、制御カム20を他方向へ回転させて軸心P1が下方向へ移動する。このため、ロッカアーム13は、今度は全体が駆動軸3方向に移動して他端部13bによって揺動カム10のカムノーズ部を、リンクロッド15を介して下方へ押圧して該揺動カム10全体を所定量だけ反時計方向へ回動させる。したがって、各揺動カム10の各バルブリフター6の上面に対するカム面7aの当接位置が、カムノーズ部側(リフト部側)に移動する。
このため、吸気弁2の開作動時に駆動カム5が回転してロッカアーム13の一端部13aを、リンクアーム14を介して押し上げると、バルブリフター6を介して吸気弁2,2のバルブリフト量L2が最大になる。
そして、この実施形態では、前述のように、カム部材4の外周面全体に膜厚の大きな皮膜34が形成されていることから、前述した機関の作動中に、前記駆動軸3の外周面がカム部材4の支持孔9aの内周面に回転摺動し、またカム部材4のジャーナル部9bの外周面が回動して軸受部31の内周面に摺動している際に、これらの各摺動部間に馴染み性が向上する。この結果、かかる馴染み性によってカム部材4の支持孔9aの内周面と駆動軸3の外周面、ジャーナル部9bの外周面と軸受部31の内周面などの各摺動部の摩耗量を十分に低減させることが可能になる。
しかも、この実施の形態では、カム部材4の他に、駆動軸3の外周面や軸受部31の内周面にも表面処理を行うのではなく、単に駆動軸3と軸受部31の中間位置にあるカム部材4に対してのみ表面処理を施したため、処理コストの低減化と加工作業の容易性が図れる。つまり、3つ全部の部品に表面処理を施こすと、処理コストの高騰が余儀なくされるが、一部品のみの表面処理であることから、大幅な処理コストの低減と処理作業能率の向上が図れるのである。
また、前述したように、カム部材4表面皮膜34の膜厚を1μm〜5μmの範囲内の厚さに設定したことから、前記各摺動部で、たとえ油膜切れが発生したとしても固体潤滑性が向上して、各摺動部での摩耗量を大幅に低減させることが可能になった。つまり、図7はカム部材4に前記表面処理を施した場合と施さない場合に、駆動軸3の外周面の摩耗量を比較した実験例を示し、この比較特性からも明らかなように、表面処理を施した方(右側)が施さない場合(左)よりも約1/3程度の摩耗量に低減できることが明らかである。
さらに、前記皮膜34の膜厚を、1μm〜5μmの範囲内に設定した上で、前記駆動軸3の外周面と揺動軸9の支持孔9aの内周面との間のクリアランスを25μm〜65μmの範囲内に設定したことから、前記一方の揺動カム10に作用するリンクロッド15による引き上げ、引き下げ作用に伴う揺動軸9の駆動軸3上での倒れなどによるフリクションや振動を効果的に抑制することが可能になった。この作用効果は、図8に示す実験例によって明らかである。
すなわち、図7に示すように、前記クリアランスを漸次小さく設定すると、約22〜20μm程度から揺動軸9が傾いた際の駆動軸3の外周面との間のフリクションが急激に大きくなってしまうのに対して、25μm以上に設定すると、フリクションがほぼ一定の割合で十分に小さくなることが明らかになった。
一方、前記クリアランスを漸次大きくなるように設定すると、今度は大きなクリアランスに起因して次第に打音と振動(音振)が大きくなって、65μmを過ぎて70μm位から前記音振が急激に大きくなるのに対して、65μm以下に設定すると音振がほぼ一定の割合で十分に小さくなることが明らかになった。
したがって、本実施形態では、前記クリアランスを25μm〜65μmの範囲内の大きさに設定したのである。これによって、作動中に前記カム部材4(揺動軸9)の傾きがあってもフリクションを十分に低減させることができると共に、音振も十分に抑制することができる。
また、前記可変機構の作動中に駆動軸3の油通路3a内を通流した潤滑油は、その一部が駆動軸3の図外の径方向孔から駆動軸3の外周面と前記揺動軸9の支持孔9aの内周面との間に流入すると共に、他の一部が揺動軸9の油孔9cを通ってジャーナル部9bの外周面と軸受部31の内周面との間に流入して、これらの間が強制的に潤滑される。したがって、かかる潤滑油の油膜と前記皮膜34とによって各摺動部の摩耗を効果的に防止することができると共に、音振の抑制効果も向上させることができる。
さらに、前記可変機構の作動中には、前記制御軸19の潤滑油通路25内に流入した潤滑油の一部は、通路孔19aを通って前記ジャーナル部と軸受ブラケットとの間を潤滑することから、制御軸19を常時円滑に回転作動させることが可能になる。
また、ロッカアーム13の所定の揺動位置において連通路26の他端開口と前記油孔13eの一端開口が合致して連通すると、前記連通路26から油孔13e内を通って他端開口から吐出され、ここから連係部22の上面を伝って前固定用ねじ部材23付近を中心に左右に分かれて連係部22の両側面を伝って前記連結ピン17の外周面と各ピン孔の内周面との間に流れ込んで、該両者間を効果的かつ積極的に潤滑する。
さらに、ここから潤滑油は、リンクロッド15の内面を伝って流下し、他端部15b付近まで来ると、下側の連結ピン18とピン孔及び揺動カム10側のピン孔の各内周面との間に供給されて、該両者間を効果的に潤滑する。
したがって、前記両連結ピン17,18及び各ピン孔に対して強制的な潤滑によってリンクロッド15や揺動カム10の常時円滑な作動が得られる。
また、前記連通路26に流入した潤滑油は、制御カム20の外周面と支持孔13dとの間にも強制的に供給されるため、該制御カム20とロッカアーム13との間も、効果的に潤滑される。
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、カム部材4としては、前述の揺動カムに限定されるものではなく、一般的な卵形のカムに適用することも可能である。例えば、可変機構を他の構造としてもよい。また、前記動弁装置を吸気弁側の他に排気弁側に適用することも可能である。
また、前記皮膜34は、リン酸マンガン液以外の他の表面処理方法によって施すことも可能である。
本発明のカム部材が適用される動弁装置の可変機構の要部斜視図である。 同動弁装置の側面図である。 本実施形態に供されるカム部材と軸受部との分解斜視図である。 A〜Dは本実施形態に供されるカム部材の成形工程手順を示す概略図である。 A、Bは本実施形態における可変機構による最小リフト制御時の作用説明図である。 A、Bは本実施形態における可変機構による最大リフト制御時の作用説明図である。 本実施形態における表面処理を施した場合と施さなかった場合の駆動軸の摩耗量を比較して示す特性図である。 本実施形態における駆動軸と揺動軸との間のクリアランスに対するフリクションと音振との関係を示す特性図である。
符号の説明
2…吸気弁(機関弁)
3…駆動軸
3a…油通路
4…カム部材
5…駆動カム
7…伝達機構
8…制御機構
9…揺動軸
9a…支持孔
9b…ジャーナル部
9c…油孔
10…揺動カム
13…ロッカアーム
15…リンクロッド
31…軸受部
34…皮膜

Claims (8)

  1. 機関本体に支持されたシャフトと、
    内部に挿通された前記シャフトに揺動自在に支持されると共に、外周が軸受部に揺動自在に支持され、揺動することによって機関弁を開閉作動させるカム部材と、を備え、
    前記カム部材のみに摺動性を向上させる表面処理を施し、
    該表面処理を少なくとも前記シャフトが回転摺動する内周面と前記軸受部に摺動する外周面に施したことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の動弁装置において、
    前記カム部材の全体に前記表面処理を施したことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関の動弁装置において、
    前記カム部材の表面処理による膜厚を1μm〜5μmの範囲内に形成すると共に、前記表面処理した内周面と前記シャフトの外周面との間のクリアランスを25μm〜65μmの範囲内に設定したことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の動弁装置において、
    前記カム部材は、前記シャフトが内部に回転自在に挿通された揺動軸と、該揺動軸の外周に互いに軸方向へ離間した位置に設けられ、一対の前記機関弁を開閉作動させる一対の揺動カムとから構成したことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関の動弁装置において、
    前記カム部材は、前記一方の揺動カムに揺動力が作用して揺動軸に傾動方向に力が作用することを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  6. クランクシャフトから回転力が伝達され、外周に駆動カムが設けられたシャフトと、
    内部に挿通された前記シャフトに揺動自在に支持されると共に、外周が軸受部に揺動自在に支持され、揺動することによって機関弁を開閉作動させるカム部材と、
    前記駆動カムの回転運動を揺動運動に変換して前記カム部材に伝達する伝達機構と、
    該伝達機構の姿勢を変化させることにより前記カム部材の揺動状態を変化させて機関弁の作動状態を可変にする可変機構と、を備え、
    前記カム部材は、前記シャフト及び軸受部よりも耐摩耗性が大きいことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  7. 請求項6に記載の内燃機関の動弁装置において、
    前記シャフトとカム部材との間のクリアランスを、前記軸受部とカム部材との間のクリアランスよりも小さく設定すると共に、前記シャフトを前記軸受部よりも硬度が高い材料によって形成したことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  8. シャフトの外周面と該シャフトが挿通される挿通孔の内周面との間のクリアランスが25μm〜65μmの範囲内に設定され、機関本体に設けられた軸受部の内周面と該内周面に軸受される外周面との間のクリアランスが65μm以上に設定され、揺動運動によって機関弁を開閉作動させる内燃機関のカム部材であって、
    前記カム部材の少なくとも前記シャフトが挿通する前記挿通孔の内周面と前記軸受部の内周面に摺動する前記外周面に表面処理を施し、該表面処理による皮膜の膜厚を1μm〜5μmの範囲内に設定したことを特徴とする内燃機関のカム部材。
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