JP2009046451A - 抗酸化性ジペプチドの製造方法 - Google Patents

抗酸化性ジペプチドの製造方法 Download PDF

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【課題】人間の老化を抑制することが可能な機能性成分である抗酸化性ジペプチドのうち、カルノシンおよびアンセリンを低コストで大量に製造することができる動物エキス抗酸化性ジペプチドの製造方法を提供する。
【解決手段】pH5.0±0.5および電気伝導度10±2mS/cmの範囲に調整した動物性エキスを調製し、これを、陽イオン交換体に接触させることで動物性エキスに含まれる抗酸化性ジペプチドを陽イオン交換体に吸着させ、次に抗酸化性ジペプチドが吸着された陽イオン交換体を緩衝液及び純水で洗浄したのち、ここへpH8〜pH12のアルカリ溶液を通液又は混合し、塩基性とした抗酸化性ジペプチドを陽イオン交換体から溶離させ、溶離された画分である塩基性抗酸化性ジペプチドに酸を加えてpHを8以下に調整した後、ナノろ過膜を使用して前記画分を濃縮、脱塩する。
【選択図】なし

Description

本発明は動物性天然エキスに由来する抗酸化性ジペプチドの製造方法に関し、更に詳しくは生体内活性酸素の消去作用が期待される動物性エキス中の抗酸化性ジペプチドを大量生産規模で迅速簡便かつエネルギーコストを低減した条件下において高度精製する方法に関する。
近年、わが国では高齢者の人口増加に伴う各種成人病の増加と、その医療に関わる人的、経済的負担の増大が極めて深刻な問題となっている。生物の老化と病気の発生は言わば不可分の関係にあるので、高齢者が増加すれば病人の数も増えることは避けられない。そこで人間の老化する速度を可能な限り遅くし、病気の発生を可能な限り抑制することが重要になる。
人間が老化する主要な原因は、生体内で発生する活性酸素により細胞構成成分が酸化傷害されて細胞死が誘発されることによるものである。従って老化を抑制するためには食品として抗酸化性成分を摂取することが重要である。しかし、これまでのところ、食品中には様々な健康機能性成分が含まれ、これらを摂取することが推奨されてはいるものの、これら機能性成分が健康効果を発揮するための有効摂取量などに関してはあまり詳しく検討されてこなかった。すなわち、機能性成分を含有する食品を直接摂取するのみで、その成分の含有量、効果発現のための最少摂取量などに関する情報が曖昧であった。
一般に健康増進効果を持つ機能性成分の食品中の含量は微量である。そのため、有意な健康効果を得るためには当該機能性成分を含む食品を大量に摂取しなければならないことが多い。したがって、機能性成分を比較的高濃度に含有する天然エキスの場合であっても、その成分を分離して高度に精製・濃縮することが極めて重要である。
特許文献1に記載されているように、動物性エキスに存在する抗酸化性ジペプチドであるアンセリン、カルノシンはβ-アラニンとヒスチジンからなるペプチドであり、白血球が生産する塩素系活性酸素に対する抗酸化作用や抗疲労作用などが期待される機能性成分である。しかし、これら動物性エキスに由来する抗酸化性ジペプチドの作用により老化を制御し、病気の発生を抑制する健康効果を得るためには大量の動物性食品或いはエキス類を毎日摂取することが必要になる。すなわち、それはその他の栄養素の過剰摂取を意味することとなり実行不能である。従って天然エキスの機能性成分の効果をより確かなものとするためにはそれらを高度に分離・精製することが必須となる。
動物性エキスから抗酸化性ジペプチドであるアンセリン、カルノシンなどを分離精製する方法としては、特許文献2に開示されるように、チキンエキスから限外ろ過膜とナノろ過膜を用いて精製する方法が知られている。他の分離精製方法としては、非特許文献1および2に開示される陽イオン交換体を用いた塩基性アミノ酸の分離精製法が古くから知られている。さらに、特許文献3および4に開示されるように、合成されたアンセリンを精製する際にイオン交換体を用いる方法も知られている。また機能性成分の濃縮には、エネルギーコストが高い減圧加熱濃縮法が一般的に使用されている。
特開2004−231902号公報 特開2003−102435号公報 特開2005−082571号公報 特開2005−306782号公報 Schram, E, Moore, S. ら、Biochemistry Journal(London) 、1954年、57巻、33ページ Ishii, S.、 Journal of Biochemistry (Japan)、1956年、43巻、531ページ
健康食品として広く国民に普及させ、かつ持続的に利用されるためには安価であることが望ましいが、機能性成分を強化した食品は比較的高価格で販売されることが多い。一般に通常の食品の販売価格は健康食品と比較して安価に設定されるため、食品中の特定の成分を高度に分離・精製することは食品製造においては極めてまれである。従って前記各特許文献および非特許文献に開示された技術を使用して、本発明に係る抗酸化性ジペプチドを分離・精製法することは、安価、大量生産という点において実用的でないといえる。中でも、イオン交換クロマト法については、医薬品製造では一般的であっても食品製造で特定の成分の分離・精製に応用される例は極めて少なく、通常は脱色や不純物の除去などに用いられるのが一般的である。
逆の見方をすると従来のイオン交換クロマト法や各種ろ過膜処理法は、食品製造に要求される低コスト低エネルギーかつ大量生産という条件を必ずしも満たす方法ではなかったと言える。
したがって本発明の目的は、人間の老化を抑制することが可能な機能性成分である抗酸化性ジペプチドのうち、カルノシンおよびアンセリンを低コストで大量に製造することができる動物エキス抗酸化性ジペプチドの製造方法を提供することにある。
上記した課題を解決するため本発明に係る抗酸化性ジペプチドの製造方法は以下の第1〜第5の工程を含む。
第1の工程
食用家禽類、牛、豚などの畜肉類、鰹などの回遊性魚類の筋肉より動物性エキスを熱水抽出する工程。
第2の工程
前記動物性エキスから不溶性物質を除去し、かつpH5.0±0.5および電気伝導度10±2mS/cmの範囲に調整した動物性エキスを得る工程。
第3の工程
前記動物性エキスと同じ電気伝導度範囲及びpH範囲に調整された緩衝液を用いて予め平衡化した陽イオン交換体に、前記動物性エキスを接触させ、動物性エキスに含まれる抗酸化性ジペプチドを前記陽イオン交換体に吸着させる工程。
第4の工程
前記抗酸化性ジペプチドが吸着された陽イオン交換体を緩衝液及び純水で洗浄した後、ここへpH8〜pH12の範囲のアルカリ溶液を通液又は混合することによって塩基性抗酸化性ジペプチドを前記イオン交換体から溶離する工程。
第5の工程
前記溶離された画分である塩基性抗酸化性ジペプチドに酸を加えてpHを8以下に調整したのち、分画分子量500以下もしくは食塩阻止率50%以下の機能を有するナノろ過膜を使用して前記画分を濃縮、脱塩することにより、抗酸化性ジペプチドであるアンセリン、カルノシン又はこれらの混合体を精製する工程。
ここで、前記陽イオン交換体は、バッチ式又はカラム式のクロマトグラフィーにて使用することが好ましい。
また、上記によって得た抗酸化性ジペプチドの利用態様としては、フェルラ酸及びビタミンCと混合して添加した清涼飲料が考えられる。
本発明に係る抗酸化性ジペプチドの製造方法によれば、動物性エキス素材に含まれる抗酸化性ジペプチドであるアンセリン及びカルノシンを任意の純度に精製・濃縮することが可能であり、これらの機能性ジペプチドが生理的に有意の健康効果を発現するに必要な量を含んだ食品或いは食品素材の提供が可能となる。
また、動物エキスが持つ独特の風味から完全に独立して、広範囲の食品への添加・補強が可能となり、生活習慣病の発生を積極的に抑制できる食品の開発が可能となる。
更に抗酸化性ジペプチドをフェルラ酸及びビタミンCとともに混合して清涼飲料とすれば、体内で発生する全ての活性酸素、即ち、スーパーオキサイドから発生する水酸化ラジカル(OH*)、白血球が生産する塩素系ラジカル(ClO*)と窒素系ラジカル(ONOO*・・・)に対して抗酸化作用が発揮される。
先ず、動物エキスは食用家禽類、牛、豚などの畜肉類、鰹などの回遊性魚類の筋肉組織を熱水抽出する方法によって製造される。熱水抽出されたエキス成分には蛋白質、ペプチド、遊離アミノ酸などの生体組織中に含まれる有機物や塩類、ミネラル類などの無機物が含まれる。
本発明者等は、これら各種成分を含む動物エキス中から、カルノシンやアンセリンなどの抗酸化性ジペプチドのみを単離する方法を検討してきたところ、pH5.0±0.5、電気伝導度10±2mS/cmで表されるイオン強度の条件で平衡させた強陽イオン交換体に動物エキスを接触させると、アンセリンとカルノシンなどの抗酸化性ジペプチドが選択的にイオン交換体と結合し、その他の蛋白質、ペプチド、遊離アミノ酸及び無機物と分離されることを見出した。
本発明者等の知見によれば、カルノシンやアンセリンなどの抗酸化性ジペプチドのほぼ全量がイオン交換体と結合するため、その他の蛋白質やペプチド及びアミノ酸類の殆ど全てと、無機物の約6割がイオン交換体非結合画分として分離可能である。
そしてイオン交換体を緩衝液や水で洗浄したあと、pH8〜12のアルカリ溶液を用いて上記イオン交換体から抗酸化性ペプチドを溶離させることによって、ほぼ全量の抗酸化性ジペプチドが回収された。
この溶出液には抗酸化性ジペプチド以外にクレアチニン(Cre)と無機塩類が含有されているが、pH8.0以下の条件で分画分子量500以下、又は食塩阻止率(食塩がナノろ過膜上に保持される率)50%以下の機能を有するナノろ過膜を用いて非加熱条件下で濃縮することにより、クレアチニンと塩類は除去され、製品(固形分換算)当たりの抗酸化性ペプチド含量(純度)が80〜90%以上の純品を大量に製造することが可能であることが判明し本発明を完成するに至った。
本発明について更に詳しく説明する。
本発明の製造方法の特徴は、動物性エキス中の抗酸化性ジペプチドであるアンセリン、カルノシン又はこれらの混合体を、陽イオン交換体により、その他のエキス成分と分離するイオン交換を行う工程と、該イオン交換により分離された抗酸化性ジペプチドをナノろ過膜により濃縮する工程の二つの製造工程を有するところにある。
前者のイオン交換では、動物性エキス処理液中に共存する蛋白質、ペプチド及び遊離アミノ酸類と抗酸化性ジペプチドを分離させ、次のナノろ過処理では共存する塩基性低分子有機物と無機塩類を除去しながら該抗酸化性ジペプチドを更に高度に精製、濃縮するものである。なお、このナノろ過処理においては加熱の必要がないため、得られる抗酸化性ジペプチドの変質もなく、安定した製品とすることができる。
なお、前者のイオン交換工程にあっては、動物エキス中の抗酸化性ジペプチドの全量がイオン交換体と結合し、その他の蛋白質、ペプチド及び遊離アミノ酸類は全く吸着しない条件を選定すること、後者のナノろ過膜処理工程にあっては抗酸化性ジペプチド(平均分子量230)の全てがろ過膜上に保持され、分子量150以下の塩基性有機物及び無機塩類は、ろ過膜を透過する性能を有していることが必要である。
以下、陽イオン交換体およびナノろ過膜の条件設定について詳述する。
(1)陽イオン交換体
本発明の製造方法に使用可能なイオン交換体は強陽イオン交換体、例えばDowex 50−X8、AmberliteIRC−50、Lewatit Monoplus S−100、或いはこれらに準じた市販のイオン交換体である。
動物エキス中の抗酸化性ジペプチドであるアンセリン、カルノシンを完全に結合し、その他の蛋白質、ペプチド、及び遊離アミノ酸(以下、これら不純物を総称して「固形物」ということがある。)を結合しないための条件を、イオン交換クロマトグラフのpH及び電気伝導度(イオン強度)について実験により確かめた。なお、この実験では、下記表1または表2に示す条件のpHまたは電気伝導度を有する緩衝液によって平衡化したDowex 50−X8陽イオン交換体を100mL容量のカラムへ充填し、動物エキスとして熱水抽出したチキンエキス(本発明の第1の工程による処理を行ったもの。)を固形分換算で5g通液し、抗酸化性ジペプチドのアンセリン及びカルノシン(以下、「AC」と略記することがある。)と固形物のイオン交換体結合量を測定した。この測定結果を下記の表1及び表2に示す。
(表1)
各pHにおけるAC及び固形物のイオン交換体結合量(%)
Figure 2009046451

測定時の電気伝導度を10mS/cmに固定した。
*:pH4.5において、動物エキスは白色沈殿を形成する。
(表2)
各電気伝導度におけるAC及び固形物のイオン交換体結合量(%)
Figure 2009046451
測定時のpHを5.0に固定した。
表1及び表2の結果から、動物エキスを電気伝導度10±2mS/cm、pH5.0±0.5の条件でイオン交換クロマトグラフ処理することにより、最も効率的に動物エキス中から抗酸化性ジペプチドとその他の成分を分離することが可能であることが分かる。
尚、電気伝導度が6mS/cmの場合はAC結合量が99%ではあるが、固形物結合量が45%であり、10mSの約2倍になっており、精製効率が半減するため、電気伝導度は10±2mS/cmの範囲に調整する。また、pH4.5未満ではタンパク質の沈殿が起こり、イオン交換クロマトグラフィーが妨害されることと、タンパク質の沈殿へジペプチドが取り込まれ収率が低下するためpH4.5以上とする。
(2)ナノろ過膜
本発明におけるナノろ過膜の性能として、平均分子量230のアンセリン−カルノシンは完全に膜上に保持(残留)し、それ以外の低分子物質は膜を透過させる能力を有していることである。本発明者らは下記表3に示す市販のナノろ過膜について選定実験を行い、上記の能力を有し、なおかつ適切な、ろ過速度(透過流束)を持つことで製品の大量生産に適応可能な膜を選別した。
(表3)
試験に供した市販ナノろ過膜一覧表
Figure 2009046451

表3において*印は分画分子量の意味で、700は分子量700以上の物質を99%以上で膜面に阻止する。1000、2,500はそれぞれ分子量1000と2,500を意味する。
これらナノろ過膜の選定実験は、表1および表2の結果から選定された最適条件でイオン交換クロマトグラフ処理して得られたチキンエキスを使用した。ナノろ過膜については平膜を用い、ろ過圧力3MPa、流速10L/min、全量循環の条件でろ過処理して透過液及び保持液中の各成分と透過流束を計測して性能評価を行った。上記イオン交換処理により得られたチキンエキス中には、抗酸化ジペプチドのアンセリンとカルノシンの他に、クレアチニン、ナトリウム塩及びカリウム塩が含有されているので、これらの含量の変化により比較した。下記表4に示す結果から、ろ過速度を示す透過流束が30×10−6(m/m・s)以上であり、アンセリンとカルノシンの膜上への保持率が99%以上、かつクレアチニンと食塩の阻止率が80%以下の条件で選抜したところ、NFT−50(Danish Separation Systems社製)、DRA4510(ダイセル化学製)、Desal DL及びDesal DK(いずれもDesalination Systems社製)の4種類の膜が本発明の要件に適することが分かった。
(表4)
ナノろ過膜の性能
Figure 2009046451
次に上記の試験で選抜された4種のナノろ過膜について、実際の動物エキス処理と同様にバッチ式濃縮処理を行い、抗酸化性ジペプチドの精製効果を確認した。この結果を下記表5に示す。この表5では、抗酸化性ジペプチドの純度を90%以上でかつ収率が90%以上にすることが可能な濃縮倍数と、1000Lの陽イオン交換処理チキンエキスを1時間以内に処理するに必要なろ過膜の面積を示した。
(表5)
バッチ式濃縮法による抗酸化性ジペプチドの精製
Figure 2009046451
表5に示すように、NFT−50、Desal DL、Desal DKおよびDRA4510膜はそれぞれ9.3倍、8.8倍、16.2倍および30.8倍に陽イオン交換クロマト処理チキンエキスを濃縮することによって上記の純度90%以上、収率90%以上の好適な条件で抗酸化性ジペプチドを精製することが可能であった。
図1に、本発明の製造方法の各工程で得られる未精製チキンエキス、陽イオン交換クロマト処理チキンエキスおよびNF膜濃縮チキンエキスのGPC−HPLCクロマトグラムを示す。
(実施例)
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
中抜き廃鶏屠体500kgに純水1500Lを加え、100℃で3時間、加熱抽出して得られたチキンエキスをろ過して不溶性物質を除去した。このチキンエキスを電気伝導度が10mS/cmになるように濃縮し、更に酸を加えてpHを5.0に調整した。図1に、このチキンエキス(未精製チキンエキス)のGPC−HPLCクロマトグラムを示す。
次に、予め0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液で平衡化した陽イオン交換体Dowex 50−X8(Aldrich Chemicals社製)を50L容量のカラムに充填した。この陽イオン交換体のpHは5.0、電気伝導度は10mS/cmであった。上記カラムへチキンエキスを通液して、陽イオン交換体上にチキンエキス中の抗酸化性ジペプチドであるアンセリン−カルノシンを吸着せしめた。図2に、このチキンエキス(陽イオン交換体処理チキンエキス)のGPC−HPLCクロマトグラムを示す。
次に、上記リン酸ナトリウム緩衝液と純水を通液してカラムを洗浄したあと、pH10のアンモニア溶液150Lを通液してアンセリンとカルノシンをイオン交換体より溶離せしめて回収した。
回収した溶液100Lに塩酸を加えてpH7.5に調整した後、NFT−50( Danish Separation systems社製)ナノろ過膜装置(ろ過膜面積約0.5m)を使用し、入り口圧3MPaの条件で10倍に濃縮した後、精製されたアンセリン−カルノシン混合体約1000gを回収した。図3に、このチキンエキス(ナノろ過膜濃縮チキンエキス)のGPC−HPLCクロマトグラムを示す。
図1〜図3のデータから、各工程を経るに連れて、アンセリンとカルノシンの純度が急上昇することが明らかである。
実施例2
実施例1で用いた陽イオン交換体とナノろ過膜をそれぞれLewatit Monoplus S−100 (バイエル薬品社製)とDesal DLに変更した以外は実施例1と全く同一の条件でチキンエキスを処理して、純度91%のアンセリン−カルノシン混合体約980gを回収した。
実施例3
豚肉500kgから熱水抽出して得られたポークエキスを減圧濃縮して固形物含量を約4%とし、酸を加えてpHを5.0、電気伝導度を10.0mS/cmに調整して、イオン交換体をLewatit Monoplus S−100に変更した以外は実施例1と同一の方法でポークエキス中のアンセリン−カルノシン混合体を精製し、純度90%の抗酸化ジペプチド混合体約900gを回収した。
実施例4(バッチ式クロマトグラフィーの実施例)
市販カツオ煮汁エキス50kgに対して純水300Lを加えて希釈し、pH5.0、電気伝導度10mS/cmに調製した後、ろ過補助剤7kgを加えてフィルタープレスでろ過して不溶性物質を除去した。該カツオエキス溶液に対して、予め0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH5.0、(電気伝導度9.8mS/cm)で平衡化した陽イオン交換体Lewatit Monoplus S−100(バイエル薬品社製)50Lを添加し、30rpmの速度で緩徐に2時間攪拌混合して該エキス中のアンセリン−カルノシン混合体を陽イオン交換体へ吸着させた。
次いで、陽イオン交換樹脂をろ過して回収した後に純水で洗浄し、pH10の希アルカリ溶液でアンセリンとカルノシンを陽イオン交換体から溶離させた。
更に溶離液に酸を加えてpH7.5に調整し、実施例1と同じナノろ過膜装置を同条件で使用して濃縮し、精製アンセリン−カルノシン混合体約350gを純度90%で回収した。
生体内で発生する活性酸素を大別すると、スーパーオキサイド(O )から発生する水酸化ラジカル(OH*)、白血球が生産する塩素系ラジカル(ClO*)及び窒素系ラジカル(ONOO*)がある。本発明のアンセリン−カルノシン混合体(ACmix)はこのうちの塩素系ラジカル(ClO*)に対して強い抵酸化作用を持つことが確認されているが、水酸化ラジカル(OH*)や窒素系ラジカル(ONOO*)に対しては有意の作用を発揮しない。
また、米糟由来の植物ポリフェノールであるフェルラ酸は水酸化ラジカル(OH*)に対しては強い抵酸化作用を発揮し、塩素系ラジカル(ClO*)と窒素系ラジカル(ONOO*)に対しては有意の作用を発揮しない。
また、ビタミンCは窒素系ラジカル(ONOO*)に対しては強い抵酸化作用を発揮し、水酸化ラジカル(OH*)に対しては有意の作用を発揮しない。
そこで、本発明に係るアンセリン−カルノシン混合体(ACmix)とフェルラ酸とビタミンCの3種の抵酸化成分を配合した清涼飲料を、健常人志願者(17名)が1日1本、8週間飲用した結果を図4に示す。図4は生体内酸化ストレス軽減作用を末梢血リンパ球のDNA酸化障害スコアの改善効果として検証したものである。この図4からDNA酸化障害スコアの改善効果が顕著に確認される。
本発明の第一工程で得られた未精製チキンエキスのGPC−HPLCクロマトグラム。図中Voはカラムのvoid volumeを意味する。 陽イオン交換体処理チキンエキスのGPC−HPLCクロマトグラム。図中、Creはクレアチニンピークを示す。 ナノろ過膜濃縮チキンエキスのGPC−HPLCクロマトグラム。 アンセリン−カルノシン(ACmix)の摂取とDNA酸化障害スコアの改善との関係を経時的に観測した結果を示すグラフ。

Claims (2)

  1. 以下の第1〜第5の工程を含むアンセリン、カルノシン又はこれらの混合体からなる抗酸化性ジペプチドの製造方法。
    第1の工程
    食用家禽類、牛、豚などの畜肉類、鰹などの回遊性魚類の筋肉より動物性エキスを熱水抽出する工程。
    第2の工程
    前記動物性エキスから不溶性物質を除去し、かつpH5.0±0.5および電気伝導度10±2mS/cmの範囲に調整した動物性エキスを得る工程。
    第3の工程
    前記動物性エキスと同じ電気伝導度範囲及びpH範囲に調整された緩衝液を用いて予め平衡化した陽イオン交換体に、前記動物性エキスを接触させ、動物性エキスに含まれる抗酸化性ジペプチドを前記陽イオン交換体に吸着させる工程。
    第4の工程
    前記抗酸化性ジペプチドが吸着された陽イオン交換体を緩衝液及び純水で洗浄した後、ここへpH8〜pH12の範囲のアルカリ溶液を通液又は混合することによって塩基性抗酸化性ジペプチドを前記イオン交換体から溶離する工程。
    第5の工程
    前記溶離された画分である塩基性抗酸化性ジペプチドに酸を加えてpHを8以下に調整したのち、分画分子量500以下もしくは食塩阻止率50%以下の機能を有するナノろ過膜を使用して前記画分を濃縮、脱塩することにより、抗酸化性ジペプチドであるアンセリン、カルノシン又はこれらの混合体を精製する工程。
  2. 前記陽イオン交換体を、バッチ式又はカラム式のクロマトグラフィーにて使用することを特徴とする請求項1記載の抗酸化性ジペプチドの製造方法。
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