JP3518778B2 - ポリアミンの調製方法 - Google Patents

ポリアミンの調製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、未利用資源である白子
からポリアミンを収率よく、大量に調製する方法に関す
る。本発明の調製方法によって得られたポリアミンは、
食品への添加物として有効に利用できるものである。
【0002】
【従来の技術】白子は、サケ、マス、タラ、ニシン、イ
カおよびホタテ貝等から採取され、ごく一部が食用とし
て供されているのみで、腐敗しやすく保存性に欠ける、
味付けなどの加工が困難である、あるいは白子特有の臭
気を有する等の理由から、大部分は廃棄処分されている
未利用の資源である。このような未利用の資源である白
子を、食品に有効利用しようという試みがなされてい
る。例えば栄養補助食品として利用することが、特開昭
61−40766号公報や特開昭63−152963号
公報に開示されている。また、最近では、一部で白子中
の核酸が老化防止や成人病予防用として健康食品に、あ
るいは白子に多く含まれるプロタミンなどの塩基性蛋白
質が抗菌性を有しているため、食品の日持ち向上剤とし
て徐々に用いられ始めている。
【0003】白子は、主にDNA(デオキシリボ核酸)
からなる核酸とプロタミンを主成分とする塩基性蛋白質
を多く含有するもので、その他、ごく微量のポリアミン
も含有している。そのため、この白子からDNAやプロ
タミンを分画する方法が種々研究されている。例えば、
白子からDNAを調製する方法としては、特開平1−1
28795号公報が開示されている。また塩基性蛋白質
であるプロタミンを調製する方法としては、特開昭61
−195651号公報、特開昭62−187491号公
報、特開昭63−301900号公報、特開平2−26
4800号公報、特開平2−279699号公報等、多
くの方法が開示されている。その他に、魚類白子の処理
方法として、特開昭60−160863号公報および特
開昭63−87963号公報も開示されている。しかし
ながら、これらの白子の処理方法は、いずれも白子から
核酸やプロタミンを調製する方法に関するものであり、
白子からのポリアミンの調製法に関しては、一切考慮さ
れておらず、全く試みられてもいない。
【0004】ポリアミンは、プトレッシン、スペルミジ
ンおよびスペルミンなど、第一級アミノ基を2つ以上も
つ直鎖状の脂肪族炭化水素である。ポリアミンの生理作
用は、核酸との相互作用による核酸の安定化と構造変
化、種々の核酸合成系の促進作用、蛋白質の合成系
の活性化、ヒストンのアセチル化、非ヒストンクロマ
チン蛋白質のリン酸化促進、細胞膜の安定化や物質の
膜透過性の強化、および2価金属イオンに影響を受け
る種々の酵素の活性化など多岐にわたることが知られて
いる(今掘和友,山川民夫監修,生化学辞典、第2版、
p.1266,1990)。また、最近、細胞の増殖や分化を促進す
る効果もあることが報告され、特に、経口摂取したポリ
アミンは、消化管粘膜の成熟化を促進することが明らか
となっている(But J.P. et al.,Digestive Diseases a
nd Science,38,1091,1993 ; Grant,A.L. et al., J.Ani
m.Sci.,68,363,1990 ; Dufour,C.et al.,Gastroenterol
ogy,95,112,1988)。更に、経口摂取したポリアミンは、
速やかに体内に取り込まれ、組織で利用されることも報
告されている(Bardocz,S. et al.,J.Nutr.Biochem,4,6
6,1993)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したような種々の
生理効果を有するポリアミンは、近年その重要性が認識
されはじめており、食品に添加して強化することは、食
品を極めて有用なものにすると考えられる。しかしなが
ら、これまで食品に利用可能な高濃度のポリアミンの調
製方法が確立していないのが現状である。ポリアミンの
食品中の含量は、肉類やチーズに多く、乳や野菜類には
少ないといわれている(Bardocz,S. et al.,J.Nutr.Bioc
hem,4,66,1993)。このポリアミンを摂取する場合、食品
に含有したままの状態で摂取した方が食糧資源の有効利
用の面からみても適切であると考えられる。すなわち、
上記したような食品を、ポリアミンの原料供給源として
用い、高濃度に精製処理してポリアミン調製物を得るこ
とは、非効率的である。本発明者らは、資源の有効利用
の観点から、これまでほとんど利用されていなかった白
子に、ポリアミンが高濃度に含有されている点に着目
し、白子から食品に利用可能なポリアミンを効率よく、
大量に調製する方法を確立し、本発明を完成させた。す
なわち、本発明は、上記従来技術の課題を解決したポリ
アミンの調製方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、白子の外皮を
除去して磨砕し、鉱酸を添加してpH2以下に調整し、
抽出した後、遠心分離により上清画分と沈澱画分に分離
し、それぞれをポリアミンとして回収することからなる
ポリアミンの調製方法である。本発明は、また、上記鉱
酸の添加前に、蛋白質分解酵素および/または核酸分解
酵素を添加して作用させることからなる前記ポリアミン
の調製方法である。本発明は、また、上記の方法によっ
て回収した沈澱画分に蛋白質分解酵素および/または核
酸分解酵素を添加して作用させ、これに鉱酸を添加して
pH2以下に調整し、遠心分離により上清画分と沈澱画
分に分離し、上清画分を回収することからなるポリアミ
ンの調製方法である。本発明は、また、上記の方法によ
って回収した上清画分に蛋白質分解酵素を添加して作用
させ、さらに遠心分離により上清画分と沈澱画分に分離
し、上清画分を回収することからなるポリアミンの調製
方法である。本発明は、また、上記の方法によって回収
したポリアミンを、冷却、無機塩の添加、またはアルコ
ールの添加のいずれか1つ以上の処理により精製するこ
とからなるポリアミンの調製方法である。本発明は、ま
た、上記によって回収したポリアミンを、さらにイオン
交換法、ゲルろ過法、膜分画法または電気透析法のいず
れか1つ以上の処理により精製することからなるポリア
ミンの調製方法である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
出発原料として使用する白子は、サケ、マス、タラ、ニ
シン、イカおよびホタテ貝等のいずれかから採取された
ものであってもよいが、特にサケ、マスおよびタラ等の
漁獲量の多い魚類由来のものが、資源の有効利用の面か
ら好ましい。これらの白子は、主に水分、脂質、灰分、
核酸、プロタミンおよびポリアミン等を含有するが、そ
の成分組成をサケとニシンについて示すと、おおよそ下
記表1の通りである。
【0008】
【表1】
【0009】本発明では、これらの白子からそのまま、
または蒸煮して外皮を除去した後、ホモゲナイズして磨
砕しペースト状、あるいは水を加えて液状にする。次
に、これらの白子を水、塩水、アルコールの一種または
二種以上で洗浄し、白子特有の臭気や血液成分等の夾雑
物を除去する。このように前処理した白子に、0.01
〜6N硫酸や塩酸等の鉱酸を加えてpH2以下に調整
し、抽出温度30〜80℃で0.5〜6時間程攪拌して
ポリアミンを抽出した後、デカンター等の遠心分離機で
上清画分と沈澱画分に分離し、それぞれを回収する。こ
の回収した上清画分中には、ポリアミンの含有量が沈澱
画分よりほぼ2〜50倍程度の濃度で含有する。また上
記鉱酸による処理前に、白子含有溶液にあらかじめプロ
テアーゼやヌクレアーゼの酵素を添加して20〜70℃
の温度で0.5〜8時間作用させて分解することによ
り、以後の鉱酸によるポリアミンの抽出操作を容易に
し、かつ上清画分中に高濃度で含有させて回収すること
ができる。プロテアーゼとしては、トリプシン、パパイ
ン等の動植物由来の酵素、あるいはアスペルギルス(Asp
ergillus) 属、リゾープス(Rhizopus)属、バチルス(Bac
illus)属等が産生する酵素を挙げることができ、またヌ
クレアーゼとしては、動物または微生物由来のデオキシ
リボヌクレアーゼ等を挙げることができる。
【0010】酵素によってあらかじめ処理することによ
り、回収された上清画分のポリアミン濃度は、沈澱画分
のほぼ10〜200倍程度に上昇する。尚、抽出温度や
時間は、処理量に応じて変えることが望ましい。また白
子含有溶液を鉱酸でpH2以下とする技術的理由は、p
Hが2以上になると、白子中に含有する核酸やプロタミ
ンからポリアミンが容易に分離せず、回収した上清画分
のポリアミン濃度が低下するためと、反応時間が必要以
上に長くなるからである。一方、上記の方法によって回
収した沈澱画分は、主成分が核酸からなるが、この核酸
に結合したポリアミンも含有するため、プロテアーゼお
よび/またはヌクレアーゼからなる酵素を添加して作用
させ、沈澱画分に残ったプロタミンおよび/または核酸
を分解し、更に、鉱酸を加えてpH2以下に調整し、ポ
リアミンを抽出処理した後、遠心分離により上清画分と
沈澱画分に分離して上清画分を回収し、ポリアミンの回
収率を高めることが好ましい。尚、酵素による分解方法
あるいは鉱酸による抽出方法は、上記に準じて行うとよ
い。
【0011】上記の方法によって回収したそれぞれの上
清画分には、ポリアミンの他に塩基性蛋白質のプロタミ
ンを含有するため、ポリアミンの濃度を高める目的で分
別し精製してもよい。ポリアミンとプロタミンを分別す
る方法としては、蛋白質分解酵素を添加して分解後に
分別する方法、冷却してプロタミンを沈澱させて分別
する方法、無機塩を加えプロタミンを沈澱させて分別
する方法、アルコールを加えプロタミンを沈澱させて
分別する方法がある。の蛋白質分解酵素を添加して分
解後に分別する方法は、上記の鉱酸添加のみによって得
られた上清画分に適用すると、特に効果的である。その
方法は、プロテアーゼを上清画分に添加して作用させ、
プロタミンを分解する方法である。尚、酵素による分解
方法は、上記に準じて行うとよい。の冷却してプロタ
ミンを沈澱させて分別する方法は、上清画分を15℃以
下で0.5〜48時間程度冷却して、プロタミンの析出
により沈澱させ、さらに遠心分離して、上清画分を回収
する。の無機塩を加えプロタミンを沈澱させて分別す
る方法は、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウム等の無機
塩を加え、攪拌した後静置し、プロタミンの析出により
沈澱させ、さらに遠心分離して、上清画分を回収する。
のアルコールを加えプロタミンを沈澱させて分別する
方法は、アルコールを加えて攪拌した後静置し、プロタ
ミンの析出により沈澱させ、さらに遠心分離して、上清
画分を回収する。尚、上記のからの工程を組み合わ
せて処理すると、ポリアミンの濃度が高まり、より効果
である。
【0012】そして上記の各工程で回収した上清画分
は、ポリアミンの濃度が高まっているが、同時にプロタ
ミンも含有するため、各工程で回収した上清画分を、さ
らにイオン交換法、ゲルろ過法、膜分画法、または電気
透析法のいずれか一つ以上で精製処理して、ポリアミン
の純度を高めると、食品へ配合する際、使用しやすくな
る。イオン交換法は、イオン交換体の交換基がスルホン
酸基、スルホプロピル基、リン酸基、カルボシルメチル
基、アミノエチル基、ジエチルアミノ基、4級アミノエ
チル基および4級アンモニウム基等を有していれば、い
ずれでも使用でき、各工程で得られた上清画分を中和し
て通液することにより、ポリアミンが吸着され、さらに
硫酸または塩酸等で溶出して回収する。また、上清画分
中に含有するポリアミンとプロタミンは分子量が異なる
ため、ゲルろ過法、膜分画法で分画することができる。
それぞれの分子量は、ポリアミンが90〜200程度
で、プロタミンが1000〜12000程度である。ゲ
ルろ過法は、各工程で得られた上清画分を中和し、ゲル
ろ過用担体を充填したカラムに通液して分子量分画によ
り純度を高めて回収する。また、膜分画法は、分画分子
量1000以下の限外ろ過膜やポアサイズ0.45μm
以下の精密ろ過膜等を用いて常法により分画することが
できる。尚、ゲルろ過法または膜分画法を適用する場合
には、上清画分にプロタミン同志が結合して見掛けの分
子量を大きくする無機塩やアルコール等を添加してから
処理するとより効果的である。また、電気透析法は、陽
イオン交換膜と陰イオン交換膜によって仕切られた各膜
間に、上記の方法で回収した上清画分(分画物)と食塩
水を交互に供給して、電気透析を行う。その条件は、初
期電流密度0.5〜15A/dm2 、電圧0.1〜1.
5V/槽が適当である。尚、このような精製処理工程を
組み合わせて処理すると、ポリアミンをより高純度で得
ることができる。
【0013】さらに、各工程で得られた上清画分中の鉱
酸は、必要に応じて、中和、電気透析法あるいは減圧濃
縮による酸の乾固等によって除去することが好ましい。
また、各工程で得られた上清画分は、溶液状あるいは凍
結乾燥や噴霧乾燥等によって粉末状にすることができ、
使用形態に合わせて適宜選択する。上記のようにして上
清画分から得られたポリアミンあるいはポリアミン含有
調製物は、医薬品や病態者向け食品として、また育児用
粉乳、離乳食等の乳幼児用栄養組成物、栄養強化食品、
一般の食品類の添加物として利用することができる。
【0014】以下に、本発明の実施例を示す。
【実施例】
実施例1 外皮を除去したサケの白子1kgに水3Lを加え、ホモジ
ナイザーにてホモジネートを調製した。これに1N塩酸
を3L加え、40℃において3時間攪拌しながら酸抽出
をおこなった。抽出終了後、遠心分離して上清画分と沈
澱画分に分離し、上清画分を回収した。この上清画分を
4℃において24時間冷却した後、沈澱したプロタミン
画分を遠心分離により除去し、上清画分を得た。この上
清画分を30%水酸化ナトリウム溶液で中和した後、さ
らに中和液をゲルろ過用担体を充填したカラムに通し、
分子量分画によりポリアミンと不純物を分画した。ポリ
アミン含有画分を凍結乾燥した。このように処理して得
られたポリアミン調製物1g 中には、ポリアミンが35
0mg含まれていた。
【0015】実施例2 外皮を除去したサケの白子2kgを蒸煮した後、うらごし
し水5Lを加え、よく攪拌した。これに2N硫酸を4L
加え、35℃において5時間攪拌しながら酸抽出をおこ
なった。抽出終了後、遠心分離し上清画分と沈澱画分を
回収した。上清画分については、実施例1に準じてポリ
アミン調製物を得た。一方沈澱画分に水1kgを加え、こ
れをよく懸濁させた。次に、懸濁液を0.1N水酸化ナ
トリウム溶液でpH7.5に調整し、豚膵臓由来のトリ
プシン(Sigma社製)50gを加え、40℃におい
て2時間攪拌しながら沈澱画分中の蛋白質を分解した。
さらに、0.1N硫酸を用い、pH5.0に調整し、牛
膵臓由来のデオキシリボヌクレアーゼ(Sigma社
製)10gを加え、35℃において2時間攪拌しながら
沈澱画分中の核酸を分解した。酵素処理終了後、分解液
に0.5N硫酸を1kg加え、35℃において5時間攪拌
しながら酸抽出をおこなった。抽出終了後、遠心分離
し、上清画分を回収した。この上清画分を陽イオン交換
樹脂 [Dowex 50-X8(H + 型)]を充填したカラムに通し、
ポリアミンを吸着させた。0.7M食塩水で樹脂を充分
に洗浄して、不純物を除去した後、6N塩酸にてポリア
ミンを溶出した。溶出液に30%水酸化ナトリウム溶液
を加えて中和した後、電気透析装置によって脱塩し、ポ
リアミン濃縮画分を得、凍結乾燥した。このように処理
して得られたポリアミン調製物1.5g 中には、ポリア
ミンが50mg含まれていた。
【0016】実施例3 外皮を除去したニシンの白子1kgに水2Lを加え、ホモ
ジナイザーにてホモジネートを調製した。次に、ホモジ
ネートを0.05N水酸化ナトリウム溶液でpH6.0
に調整し、パパイヤ由来のパパイン(Sigma社製)
20g を加え、35℃において3時間攪拌しながらホモ
ジネート中の蛋白質を分解した。さらに、0.1N硫酸
を用い、pH5.0に調整し、牛膵臓由来のデオキシリ
ボヌクレアーゼ(Sigma社製)5g を加え、35℃
において3時間攪拌しながらホモジネート中の核酸を分
解した。これに1N硫酸を2L加え、35℃において4
時間攪拌しながら酸抽出をおこなった。抽出終了後、遠
心分離し上清画分を回収した。この上清画分を陽イオン
交換樹脂[Dowex 50-X8(H +型)]を充填したカラムに通
し、ポリアミンを吸着させた。1.0M食塩水で樹脂を
充分に洗浄して、不純物を除去した後、3N硫酸にてポ
リアミンを溶出した。溶出液に30%水酸化ナトリウム
溶液を加えて中和した後、透析膜によって脱塩し、ポリ
アミン濃縮画分を得、凍結乾燥した。このように処理し
て得られたポリアミン調製物1.2g 中には、ポリアミ
ンが450mg含まれていた。
【0017】実施例4 外皮を除去したニシンの白子500g に水1Lを加え、
ホモジナイザーにてホモジネートを調製した。これに2
N塩酸を1L加え、35℃において3時間攪拌しながら
酸抽出をおこなった。抽出終了後、遠心分離し上清画分
を回収した。この上清画分を30%水酸化カリウム溶液
で中和した後、分画分子量500の限外ろ過膜を用い、
プロタミンとポリアミンを分画した。さらに、透過液を
電気透析装置によって脱塩し、ポリアミン濃縮画分を
得、凍結乾燥した。ポリアミン調製物0.5g を得た。
なお、得られたポリアミン調製物中にはポリアミンが1
50mg含まれていた。
【0018】実施例5 外皮を除去したサケの白子500g に水1Lを加え、ホ
モジナイザーにてホモジネートを調製した。これに2N
硫酸を1L加え、40℃において4時間攪拌しながら酸
抽出をおこなった。抽出終了後、遠心分離し上清と沈澱
を回収した。上清を30%水酸化カリウム溶液で中和し
た後、分画分子量500の限外ろ過膜を用い、プロタミ
ンとポリアミンを分画した。さらに、透過液を電気透析
装置によって脱塩し、ポリアミン濃縮画分を得、凍結乾
燥した。このように処理して得られたポリアミン調製物
0.6g 中には、ポリアミンが140mg含まれていた。
さらに酸抽出の際に得た沈澱画分は、沈澱画分に水50
0ml加え、これをよく懸濁させた。次に、懸濁液を0.
1N水酸化ナトリウム溶液でpH5.0に調整し、牛膵
臓由来のデオキシリボヌクレアーゼ(Sigma社製)
5g を加え、35℃において3時間攪拌しながら沈澱画
分中の核酸を分解した。そして、0.1N水酸化ナトリ
ウム溶液でpH7.5に調整し、豚膵臓由来のトリプシ
ン(Sigma社製)10g を加え、40℃において3
時間攪拌しながら沈澱画分中の蛋白質を分解した。分解
液を1N塩酸にてpH1.0に調整し、陽イオン交換樹
脂[Dowex 50-X8(H +型)]を充填したカラムに通し、ポリ
アミンを吸着させた。0.8M食塩水で樹脂を充分に洗
浄して、不純物を除去した後、6N塩酸にてポリアミン
を溶出した。溶出液に30%水酸化ナトリウム溶液を加
えて中和した後、透析膜によって脱塩し、ポリアミン濃
縮画分を得、凍結乾燥した。このように処理して得られ
たポリアミン調製物0.6g 中には、ポリアミンが30
mg含まれていた。
【0019】
【発明の効果】本発明のポリアミンの調製方法による
と、これまでほとんど利用されていなかった白子から外
皮を除去し、これを磨砕して鉱酸により抽出して、さら
に酵素処理やゲルろ過法、イオン交換樹脂法、膜分画
法、あるいは電気透析法によって高濃度でポリアミンを
調製しているため、資源の有効利用が図れると共に、効
率よく大量に調製できるという効果を奏するものであ
る。また、本発明の方法によって得られたポリアミン
は、医薬品や病態者向け食品として、あるいは育児用粉
乳、離乳食等の乳幼児用栄養組成物、栄養強化食品、一
般の食品類の添加物として利用でき、実用上非常に有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−87963(JP,A) 特開 昭60−160863(JP,A) J.Tokyo Univ.Fis h.,Vol.78,No.2(1991), p.187−191 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 13/00 - 13/02 A23L 1/325 - 1/328 JSTPlus(JOIS) BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白子の外皮を除去して磨砕し、鉱酸を添
    加してpH2以下に調整し、抽出した後、遠心分離によ
    り上清画分と沈澱画分に分離し、それぞれをポリアミン
    として回収することを特徴とするポリアミンの調製方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の鉱酸の添加前に、蛋白質
    分解酵素および/または核酸分解酵素を添加して作用さ
    せることを特徴とするポリアミンの調製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の方法によって回
    収した沈澱画分に蛋白質分解酵素を添加して作用させ、
    これに鉱酸を添加してpH2以下に調整し、遠心分離に
    より上清画分と沈澱画分に分離し、上清画分を回収する
    ことを特徴とするポリアミンの調製方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の方法によって回
    収した上清画分に蛋白質分解酵素を添加して作用させ、
    さらに遠心分離により上清画分と沈澱画分に分離し、上
    清画分を回収することを特徴とするポリアミンの調製方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれか記載の方法に
    よって回収したポリアミンを、冷却、無機塩の添加、ま
    たはアルコールの添加のいずれか1つ以上の処理により
    精製することを特徴とするポリアミンの調製方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5記載の方法によって回収
    したポリアミンを、さらにイオン交換法、ゲルろ過法、
    膜分画法または電気透析法のいずれか1つ以上の処理に
    より精製することからなるポリアミンの調製方法。
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