JP4452314B2 - ポリアミン組成物の製造法 - Google Patents

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本発明は、酵母菌体内容物からポリアミン組成物を効率良く、大量に製造する方法に関する。詳しくは、酵母菌体内容物をヌクレアーゼで消化するか、あるいはアルカリで加水分解した後、ポリアミンを回収するポリアミン組成物の製造法に関する。酵母菌体内容物からポリアミン組成物を製造するに際して、本発明の方法を適用することにより、ポリアミンの回収率を高めることができる。
ポリアミンは、第一級アミノ基を2つ以上もつ直鎖状の脂肪族炭化水素の総称であり、代表的なポリアミンとして、プトレッシン、スペルミジン及びスペルミンを挙げることができる。ポリアミンの生理作用としては、(1) 細胞増殖作用、(2) 細胞分化促進作用、(3) 免疫必須因子、(4) 抗アレルギー作用、(5) 蛋白質合成促進作用、(6) 核酸との相互作用による構造の安定化、(7) 酵素活性調節作用等が知られている。最近では、経口摂取したポリアミンが消化管粘膜細胞の増殖や分化を促進するという効果について多くの報告がなされている。(O.Peulenet al., Arch. Physiol. Biochem., vol.106, pp.46-55, 1998; W.P.Deloyer etal., Arch. Physiol. Biochem., vol.104, pp.163-172, 1996; M.Kaouass et al., Dig. Dis. Sci., vol.41, pp.1434-1444, 1996; E.Harada et al., Comp. Biochem. Physiol., vol.109A, pp.667-673, 1994; G.Capano et al., J. Pediatr. Gastroenterol. Nutr., vol.19, pp.34-42, 1994; G.E.Wild et al., Biol.Neonate, vol.63, pp.246-257, 1993; Buts J.-P. et al., Digestive Diseasesand Science, vol.38, p.1091, 1993; Dufour,C. et al., Gastroenterology,vol.95, p.112, 1988)。
これらの報告では、スペルミジンやスペルミンの生理効果について調べられており、また、スペルミジンよりもスペルミンの方が高い消化管成熟促進作用を有していることが明らかにされている。さらに、経口摂取したポリアミンが速やかに体内に取り込まれて組織で利用されることが報告されており、また、プトレッシンよりもスペルミジンやスペルミンの方が速やかに吸収されることも報告されている(Bardocz,S. et al., J. Nutr. Biochem, vol.4, p.66, 1993)。そして、ポリアミンを食品に利用した例として、スペルミンやスペルミジンを添加することによりコンニャク特有の臭いを低減し、他の食品と調理しても悪影響を与えないコンニャク(特開平6- 38690号公報)やポリアミンを配合することにより蛋白質の吸収を促進させて、良好な発育及び健康状態を保持させるポリアミン配合栄養組成物 (特開平6-305956号公報) 等が提案されている。また、ポリアミンを医薬品として利用した例として、胃酸分泌を阻止する方法及び胃酸分泌阻止用摂取用組成物(特開昭 58-131914号公報)や免疫賦活剤(特開昭59-98015号公報及び特開平2-223514号公報)等が提案されている。
ところで、食品中に含まれるポリアミン量は、肉類、チーズ、味噌等の発酵食品で多く、乳や野菜で少ないことが知られている(Bardocz,S. et al., J. Nutr.Biochem, vol.4, p.66, 1993;ポリアミン研究会第12回研究発表会講演要旨集,p.4, 1995)。したがって、牛乳を主原料とする乳児用調製粉乳等の栄養組成物中に含まれるポリアミン量は非常に少ない。一方、人乳中には比較的多量のポリアミンが含まれていることが報告されており (日本小児栄養消化器病学会雑誌, vol.9, no.2, pp.115-121, 1995)、ポリアミン含量の少ない栄養組成物にポリアミンを強化することは生理学的観点から望ましいものといえる。なお、ポリアミン含量の高い栄養組成物として蛋白質加水分解乳がButsらにより紹介されているが(Buts,J.P. et al., J. Pediatr. Gastroenterol. Nutr., vol.21, p.44, 1995)、この蛋白質加水分解乳中に含まれるポリアミンは、蛋白質加水分解に使用した粗酵素に由来するポリアミンであり、ポリアミンの強化を目的としたものではない。
また、酵母菌体からのポリアミンの製造法及びこの方法により製造したポリアミンを配合した栄養組成物が提案されている (特開平10-52291号公報) 。この方法では、酵母菌体を酸性条件下で処理することにより異臭味のないポリアミンを製造することができる。しかし、酸性条件下では、一部のポリアミンが高分子物質と共に沈澱してしまうので、酵母菌体中に含まれるポリアミンを全て回収することはできなかった。また、一部のポリアミンは生体内で高分子物質と結合しているので、そのまま分画処理を行っても、全てのポリアミンを回収することはできなかった。
本発明者らは、ポリアミン組成物を効率良く、大量に製造する方法を開発するべく、鋭意研究を重ねてきたところ、酵母菌体内容物をヌクレアーゼで消化するか、あるいはアルカリで加水分解することにより、効率良く高い回収率でポリアミン組成物を回収することができることを見出し、本発明を完成するに至った。したがって、本発明は、効率良く高い回収率で酵母菌体内容物からポリアミン組成物を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明では、ポリアミン組成物を製造するに際して、酵母菌体内容物を原料とし、この酵母菌体内容物をヌクレアーゼで消化するか、あるいはアルカリで加水分解した後、ポリアミンを回収してポリアミン組成物を製造する。本発明で原料として使用することができる酵母菌体内容物は、パン酵母、ワイン酵母、ビール酵母、トルラ酵母等を物理的に破砕し抽出したり、熱水で抽出したり、自己消化させて抽出したりして調製することができる。酵母菌体を物理的に破砕し酵母菌体内容物を抽出する方法としては、例えば、高圧ホモジナイザー、超音波破砕等で酵母菌体を破砕し酵母菌体内容物を抽出すればよい。なお、使用する高圧ホモジナイザーは、細胞壁や細胞膜に損傷を与えることができ、かつ菌体内液と菌体外液の交換を引き起こす能力を有しており、700kgf/cm以上の圧力を出せるものが望ましく、このような高圧ホモジナイザーを使用し 700〜1,400kgf/cmの圧力で酵母菌体を破砕すればよい。このような高圧ホモジナイザーは、ラニー社、ゴーリン社、日本精機社等で製造されている。また、使用する超音波破砕機は、機械的に細胞を破壊することができるものが望ましく、このような超音波破砕機を使用し10〜90kHz で菌体懸濁液を数十秒から数分、数回に分けて破砕すればよい。このような超音波破砕機は、Branson 社、Ultrasonic社、Rayton社等で製造されている。
酵母菌体内容物からポリアミン組成物を大量製造するに際して、本発明の方法を適用することにより、ポリアミンの回収率を高めることができる。また、ポリアミンのうち有効であるといわれているスペルミジン及びスペルミンの占める割合も高めることができる。
酵母菌体から酵母菌体内容物を熱水で抽出する方法としては、例えば、酵母菌体濃度が5〜25%、望ましくは10〜20%の菌体懸濁液に、食塩濃度が1〜10%、望ましくは4〜8%となるように食塩を加え、pHが4〜8、望ましくはpH5〜7、温度が90〜100 ℃、望ましくは95〜100 ℃で1〜5時間、望ましくは3〜5時間加温し酵母菌体内容物を抽出すればよい。酵母菌体を自己消化させて酵母菌体内容物を抽出する方法としては、例えば、酵母エキスを製造する際に使用する食塩、脂肪酸エステル、有機酸、有機溶媒等の自己消化促進剤を加え、酵母菌体の自己消化を促進すればよい(特公昭54-13496号公報、特開昭55-34096号公報、特開昭 59-109152号公報) 。また、超高圧の静水圧処理、超音波処理、高圧ホモジナイザー処理等の機械的刺激を与え、酵母菌体の自己消化を促進すればよい (特開平2-255059号公報、特公昭50-25539号公報) 。なお、37〜55℃の温度で酵母菌体を保持することにより、菌体内の蛋白質やRNAが自己消化され、アミノ酸や3'-ヌクレオチド、5'-ヌクレオチドにそれぞれ分解される。
また、市販の酵母抽出物や酵母リボ核酸を酵母菌体内容物として使用することもできる。市販の酵母抽出物等としては、例えば、RN、RN7、RT、RN7−P、RB2−P、RT−P (以上、サッポロエージェンシー社製) 、ミーストS、ミーストN、ミーストPIG、スーパーミーストR−1、スーパーミーストパウダーA−001、スーパーミーストR−7、乾燥ビール酵母Y2A、ビール酵母エキス <エビオス> P2G (以上、アサヒビール食品社製) 、乾燥ビール酵母 (アサヒビール薬品社製) 、酵母エキスC、酵母エキスW、酵母エキスL、酵母エキスH (以上、協和醗酵工業社製) 、酵母エキス エミックYG (田辺製薬社製) 、乾燥ビール酵母BY−S、脱苦味酵母BY−G、酵母リボ核酸 (以上、キリンビール社製) 等を挙げることができる。
本発明で、酵母菌体内容物をヌクレアーゼで消化する方法としては、例えば、酵母菌体内容物を含む溶液にヌクレアーゼを加え、pH3〜10、10〜70℃で 0.1〜24時間処理すればよい。使用するヌクレアーゼとしては、デオキシリボヌクレアーゼI、ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼP1、ヌクレアーゼS1、ホスホジエステラーゼI、リボヌクレアーゼA、リボヌクレアーゼB、リボヌクレアーゼT、リボヌクレアーゼT、リボヌクレアーゼU等、核酸を分解する性質を有するものであれば良く、市販品のヌクレアーゼでそのまま処理してもよいし、また、ヌクレアーゼ活性を有する植物や動物の組織、微生物菌体、微生物培養液等で処理してもよい。さらに、使用する酵母菌体内容物自身が有するヌクレアーゼで処理することも可能である。
本発明で、酵母菌体内容物をアルカリで加水分解する方法としては、例えば、酵母菌体内容物を含む溶液に 0.1〜5Nとなるようにアルカリを加え、20〜100℃で 0.1〜24時間処理すればよい。使用するアルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を挙げることができる。このように、酵母菌体内容物をヌクレアーゼで消化するか、あるいはアルカリで加水分解した後、ポリアミンを回収することにより、ポリアミン組成物を製造することができる。
パン酵母、ビール酵母、トルラ酵母等から調製した酵母菌体内容物、あるいは市販の酵母抽出物や酵母リボ核酸を酵母菌体内容物として、この酵母菌体内容物をヌクレアーゼ消化するか、あるいはアルカリで加水分解する。そして、ポリアミンを回収することによりポリアミン組成物を製造することができる。このようにして得られたポリアミン組成物については、溶液のままで使用することができるし、噴霧乾燥や凍結乾燥等を行って粉末として使用することもできる。さらに、脱塩や精製を行った後、溶液のままで、あるいは粉末として使用することもできる。なお、市販の酵母抽出物や酵母リボ核酸を酵母菌体内容物として使用する場合は、酵母抽出物や酵母リボ核酸を予め酸で1回又は数回処理して上清を廃棄し、沈澱を回収して、この沈澱を酵母菌体内容物として使用することにより、生理効果の高いポリアミンであるスペルミジン及びスペルミンの含有比率を高めることができ、また、ポリアミン組成を調整することもできる。また、酵母菌体内容物をヌクレアーゼで消化するか、あるいはアルカリで加水分解した後、除蛋白することにより、ポリアミン含量を高めることができ、さらに精製する場合の負荷を軽減することもできる。ポリアミン溶液から除蛋白する方法としては、酸処理、塩析、プロテアーゼ消化等を挙げることができる。
酸処理で除蛋白する方法としては、例えば、ポリアミン溶液を10℃以下に冷却した後、酸を加えてpHを2以下とし、2〜6時間放置して生成した沈澱を除去し上清を回収すればよい。使用する酸としては、硫酸、塩酸、酢酸、リン酸、トリクロル酢酸、過塩素酸、スルホサリチル酸、ギ酸等の無機酸や有機酸を挙げることができる。塩析で除蛋白する方法としては、例えば、ポリアミン溶液に塩化鉄等の塩類を加えて数時間加熱し、蛋白質やその他の不純物を凝集させて遠心分離等の処理により除去し、上清を回収すれば良く、また、ポリアミン溶液に硫酸アンモニウム等の塩類を加えて5℃以下に冷却し、蛋白質を凝集させて遠心分離等の処理により除去し、上清を回収すればよい。
プロテアーゼ消化で除蛋白する方法としては、例えば、ポリアミン溶液にプロテアーゼを加え、pH1〜10、10〜70℃で 0.1〜24時間処理すればよい。使用するプロテアーゼとしては、トリプシンやパパイン等の動植物に由来するプロテアーゼ、あるいはアスペルギルス(Aspergillus) 属菌、リゾープス(Rhizopus)属菌、バチルス(Bacillus)属菌等の微生物が産生するプロテアーゼ等、蛋白質を分解する性質を有するものであればよく、市販品のプロテアーゼでそのまま処理してもよいし、また、プロテアーゼ活性を有する植物や動物の組織、微生物菌体、微生物培養液等で処理してもよい。また、必要に応じて、ポリアミン溶液をイオン交換樹脂処理、膜分画、電気透析等の手段で脱塩や精製を行ってもよい。なお、これらの手段を適宜組み合わせることにより、より高純度のポリアミン組成物を得ることができる。
イオン交換樹脂処理の方法としては、例えば、ポリアミン溶液をイオン交換樹脂を充填したカラムに通液し、ポリアミンとアミノ酸、ペプチド、蛋白質、糖類等の夾雑物とを分離する。使用するイオン交換樹脂としては、イオン交換基がスルホン酸基、スルホプロピル基、リン酸基、カルボキシルメチル基、アミノエチル基、ジエチルアミノ基、4級アミノエチル基、4級アンモニウム基等であればよく、陽イオン交換樹脂でも陰イオン交換樹脂でもいずれも使用することができる。なお、陽イオン交換樹脂を使用した場合、ポリアミンは陽イオン交換樹脂に吸着されるので、非吸着物質を十分に分離した後、硫酸、塩酸等の酸性溶液や塩化ナトリウム等の塩溶液でポリアミンを溶出して回収すればよい。また、陰イオン交換樹脂を使用した場合、ポリアミンは陰イオン交換樹脂に吸着されないので、ポリアミンを含む非吸着画分を回収すればよい。
膜分画の方法としては、例えば、セルロース系、酢酸セルロース系、ポリスルホン系、ポリアミド系、ポリアクリルニトリル系、ポリ四フッ化エチレン系、ポリエステル系、ポリプロピレン系等で分画分子量が 1,000〜100,000 の範囲の限外濾過(UF)膜を使用してポリアミン溶液のUFを行い、ポリアミンを含む透過液を回収すればよい。また、食塩阻止率30〜80%のナノフィルトレーション (NF) 膜を使用してポリアミン溶液のNFを行い、脱塩してもよい。電気透析の方法としては、例えば、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とによって仕切られた各膜間にポリアミン溶液と食塩水とを交互に供給して電気透析を行えばよい。なお、電気透析の条件は、初期電流密度 0.5〜15A/dm、電圧 0.1〜1.5V/槽が望ましい。このようにして得られたポリアミン組成物は、医薬や経腸栄養剤等の医療用栄養組成物として、また、育児用粉乳、離乳食等の乳幼児用栄養組成物として、さらには、栄養強化食品や一般の食品類の添加物として、利用することができる。次に、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例及び比較例におけるポリアミン含量の分析は、川上らの方法(日本小児栄養消化器病学会雑誌, vol.9, pp.115-121, 1995)に従って行なった。
〔実施例1〕
トルラ酵母(Candida utilis) 菌体を使用し、酵母菌体内容物をヌクレアーゼで消化することによりポリアミン組成物を製造した。トルラ酵母(Candida utilis) を糖蜜培地に植菌し、30℃で48時間通気撹拌培養を行った。培養後、培養液を4℃で30分間遠心分離(5,000g)し、酵母菌体を集菌した。集菌した酵母菌体を冷水で洗浄した後、酵母菌体濃度が15%の菌体懸濁液を調製し、食塩濃度が 4.8%、pH 6.0、95℃で 3.5時間の条件で酵母菌体内容物を抽出した。この酵母菌体内容物の溶液に塩化鉄を加え、pHを 5.0に調整して90℃で90分間加熱し蛋白質やその他の夾雑物を凝集させ、珪藻土で濾過して上清を回収した後、この上清を5℃まで冷却し、塩酸を加えてpHを 1.5に調整し、4時間放置してポリアミンを沈澱させ回収した。この沈澱を水に懸濁した後、30%水酸化ナトリウムを加えてpHを6.0に調整して溶解し、ヌクレアーゼA(関東化学社製)1mg/mlを加えて25℃で15時間消化し、ポリアミン溶液を得た。このポリアミン溶液を陽イオン交換樹脂(Dowex 50WX8 (H型))を充填したカラムに通液し、陽イオン交換樹脂にポリアミンを吸着させた後、0.7M食塩水をカラムに通液して樹脂を充分洗浄して不純物を除去し、吸着したポリアミンを6N塩酸で溶出した。そして、この溶出液に30%水酸化ナトリウム溶液を加えて中和した後、電気透析して脱塩し、凍結乾燥してポリアミン組成物を製造した。このようにして、酵母菌体1kg(湿重量)当たり、ポリアミン 465mgを含むポリアミン組成物 698mgが得られた。これは従来法 (比較例1) によるポリアミン組成物の収量と比べて3倍になっている。また、ポリアミン 465mgのうちスペルミジン及びスペルミンの合計量は 446mgであり、ポリアミン全体に占めるスペルミジン及びスペルミンの割合が96%までに高まっていた。
〔実施例2〕
ワイン酵母(Saccharomyces cerevisiae) 菌体を使用し、酵母菌体内容物をヌクレアーゼで消化することによりポリアミン組成物を製造した。ワイン酵母(Saccharomyces cerevisiae) 菌体を水に懸濁して酵母菌体濃度が10%の菌体懸濁液を調製し、高圧ホモジナイザー(TYPE10.51VH、RANNIE社製) を使用して圧力1,000kgf/cmで物理的破砕を行い、酵母菌体内容物を抽出した。この酵母菌体内容物の溶液に30%水酸化ナトリウムを加えてpHを8.0に調整し、リボヌクレアーゼA(関東化学社製)及びトリプシン(ベーリンガーマンハイム社製)それぞれ1mg/mlを加えて37℃で18時間消化し、ポリアミン溶液を得た。このポリアミン溶液をPLCCセルロースメンブレン(分画分子量 5,000、ミリポア社製) を使用してUFを行い、残存する酵素や未分解の蛋白質等の高分子物質を除去した後、UF透過液を陰イオン交換樹脂(Dowex 1X8 (Cl型))を充填したカラムに通液し、夾雑するアミノ酸を陰イオン交換樹脂に吸着させて除去し、非吸着画分を回収した。そして、この溶液を凍結乾燥してポリアミン組成物を製造した。このようにして、酵母菌体1kg(湿重量)当たり、ポリアミン87mgを含むポリアミン組成物 183mgが得られた。これは従来法 (比較例2) によるポリアミン組成物の収量と比べて 2.1倍になっている。また、ポリアミン87mgのうちスペルミジン及びスペルミンの合計量は82.7mgであり、ポリアミン全体に占めるスペルミジン及びスペルミンの割合が95%までに高まっていた。
〔実施例3〕
酵母菌体内容物として酵母リボ核酸(キリンビール社製)を使用し、酵母菌体内容物をアルカリで加水分解することによりポリアミン組成物を製造した。酵母リボ核酸濃度が5%となるよう0.3N水酸化カリウムに溶解し、37℃で18時間加水分解し、ポリアミン溶液を得た。このポリアミン溶液を陽イオン交換樹脂(Dowex 50WX8 (H型))を充填したカラムに通液し、陽イオン交換樹脂にポリアミンを吸着させた後、0.5M食塩水をカラムに通液して樹脂を充分洗浄して不純物を除去し、吸着したポリアミンを6N塩酸で溶出した。そして、この溶出液に水酸化ナトリウム溶液を加えて中和した後、電気透析して脱塩し、凍結乾燥してポリアミン組成物を製造した。このようにして、酵母リボ核酸1kg当たり、ポリアミン 1,460mgを含むポリアミン組成物 1,750mgが得られた。これは従来法 (比較例3) によるポリアミン組成物の収量と比べて 3.2倍になっている。また、ポリアミン 1,460mgのうちスペルミジン及びスペルミンの合計量は 1,431mgであり、ポリアミン全体に占めるスペルミジン及びスペルミンの割合が98%までに高まっていた。
〔実施例4〕
パン酵母(Saccharomyces cerevisiae) 菌体を使用し、酵母菌体内容物を自己消化することによりポリアミン組成物を製造した。パン酵母(Saccharomyces cerevisiae) 菌体を水に懸濁して酵母菌体濃度が20%の菌体懸濁液を調製した後、この菌体懸濁液1kgを 2 l容のフラスコに移し、乳酸8gを加えて45℃で24時間自己消化させ、その後、90℃まで加温して10分間保持することにより自己消化を停止し、ポリアミン溶液を得た。このポリアミン溶液を陽イオン交換樹脂(Dowex 50WX8 (H型))を充填したカラムに通液し、陽イオン交換樹脂にポリアミンを吸着させた後、0.6M食塩水をカラムに通液して樹脂を充分洗浄して不純物を除去し、吸着したポリアミンを6N塩酸で溶出した。そして、この溶出液に水酸化ナトリウム溶液を加えて中和した後、電気透析して脱塩し、噴霧乾燥してポリアミン組成物を製造した。このようにして、酵母菌体1kg(湿重量)当たり、ポリアミン95mgを含むポリアミン組成物 314mgが得られた。また、ポリアミン95mgのうちスペルミジン及びスペルミンの合計量は88.4mgであった。
〔比較例1〕
トルラ酵母(Candida utilis) 菌体を使用し、ポリアミン組成物を製造した。トルラ酵母(Candida utilis) を糖蜜培地に植菌し、30℃で48時間通気撹拌培養を行った。培養後、培養液を4℃で30分間遠心分離(5,000g)し、酵母菌体を集菌した。集菌した酵母菌体を冷水で洗浄した後、酵母菌体濃度が15%の菌体懸濁液を調製し、食塩濃度が 4.8%、pH 6.0、95℃で 3.5時間の条件で酵母菌体内容物を抽出した。この酵母菌体内容物の溶液に塩化鉄を加え、pHを 5.0に調整して90℃で90分間加熱し蛋白質やその他の夾雑物を凝集させ、セライト(ジョン−マンビル社製)を用いて吸引濾過し上清を回収した後、この上清を5℃まで冷却し、塩酸を加えてpHを 1.5に調整し、4時間放置してポリアミンを沈澱させ回収した。この沈澱を水に懸濁した後、30%水酸化ナトリウムを加えてpHを6.0に調整して溶解し、ポリアミン溶液を得た。このポリアミン溶液を陽イオン交換樹脂(Dowex 50WX8 (H型))を充填したカラムに通液し、陽イオン交換樹脂にポリアミンを吸着させた後、0.7M食塩水をカラムに通液して樹脂を充分洗浄して不純物を除去し、吸着したポリアミンを6N塩酸で溶出した。そして、この溶出液に30%水酸化ナトリウム溶液を加えて中和した後、電気透析して脱塩し、凍結乾燥してポリアミン組成物を製造した。このようにして、酵母菌体1kg(湿重量)当たり、ポリアミン 155mgを含むポリアミン組成物 500mgが得られた。また、ポリアミン 155mgのうちスペルミジン及びスペルミンの合計量は 142.6mg (92%) であった。
〔比較例2〕
ワイン酵母(Saccharomyces cerevisiae) 菌体を使用し、ポリアミン組成物を製造した。ワイン酵母(Saccharomyces cerevisiae) 菌体を水に懸濁して酵母菌体濃度が10%の菌体懸濁液を調製し、高圧ホモジナイザー(TYPE10.51VH、RANNIE社製) を使用して圧力1,000kgf/cmで物理的破砕を行い、酵母菌体内容物を抽出した。この酵母菌体内容物の溶液をPLCCセルロースメンブレン(分画分子量 5,000、ミリポア社製) を使用してUFを行い、高分子物質を除去した後、UF透過液を陰イオン交換樹脂(Dowex 1X8 (Cl型))を充填したカラムに通液し、夾雑するアミノ酸を陰イオン交換樹脂に吸着させて除去し、非吸着画分を回収した。そして、この溶液を凍結乾燥してポリアミン組成物を製造した。このようにして、酵母菌体1kg(湿重量)当たり、ポリアミン42mgを含むポリアミン組成物 220mgが得られた。また、ポリアミン42mgのうちスペルミジン及びスペルミンの合計量は37.8mg (90%) であった。
〔比較例3〕
酵母菌体内容物として酵母リボ核酸(キリンビール社製)を使用し、ポリアミン組成物を製造した。酵母リボ核酸濃度が5%となるよう水に溶解し、ポリアミン溶液を得た。このポリアミン溶液を陽イオン交換樹脂(Dowex 50WX8 (H型))を充填したカラムに通液し、陽イオン交換樹脂にポリアミンを吸着させた後、0.5M食塩水をカラムに通液して樹脂を充分洗浄して不純物を除去し、吸着したポリアミンを6N塩酸で溶出した。そして、この溶出液に水酸化ナトリウム溶液を加えて中和した後、電気透析して脱塩し、凍結乾燥してポリアミン組成物を製造した。このようにして、酵母リボ核酸1kg当たり、ポリアミン 460mgを含むポリアミン組成物 550mgが得られた。また、ポリアミン 460mgのうちスペルミジン及びスペルミンの合計量は 437mg (95%) であった。

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  1. 酵母菌体内容物をアルカリで加水分解した後、ポリアミンを回収することを特徴とするポリアミン組成物の製造法。
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