JPH1052291A - ポリアミンの調製方法 - Google Patents

ポリアミンの調製方法

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JPH1052291A
JPH1052291A JP8212910A JP21291096A JPH1052291A JP H1052291 A JPH1052291 A JP H1052291A JP 8212910 A JP8212910 A JP 8212910A JP 21291096 A JP21291096 A JP 21291096A JP H1052291 A JPH1052291 A JP H1052291A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酵母からのポリアミンの調製方法、及びこの
方法で得られたポリアミンを添加する、異臭味のないポ
リアミン添加食品の調製方法の提供。 【解決手段】 酵母を酸性条件下で処理することを特徴
とする、ポリアミンの調製方法、及びこの方法で得られ
たポリアミンを添加する、異臭味のないポリアミン添加
食品の調製方法。 【効果】 本発明により、高純度且つ大量にポリアミン
を提供することができ、さらに得られたポリアミンは異
臭味がなく、さらに母乳のポリアミンに近い組成を有す
るので、食品に添加しても食品の品質を損なうことな
く、食品、特に乳幼児用栄養組成物に有効に利用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵母あるいは酵母
培養液を原料とし、ポリアミンを効率良く大量に調製す
る方法に関する。詳しくは、酵母菌体及び/又は酵母培
養液を酸性条件下で処理することを特徴とする、ポリア
ミンの調製方法に関する。さらに、これらの方法により
得られた酵母由来のポリアミンを添加することを特徴と
する、ポリアミン添加食品の調製方法に関する。本発明
によって得られたポリアミンは異臭味がなく、さらに母
乳のポリアミン組成に近い組成を有し、食品、特に乳幼
児用の栄養組成物に有効に利用できる。
【0002】
【従来の技術】ポリアミンは、プトレッシン、スペルミ
ジン及びスペルミン等、第一級アミノ基を2つ以上もつ
直鎖状の脂肪族炭化水素である。ポリアミンの生理作用
としては、 (1)核酸との相互作用による核酸の安定化と
構造変化、 (2)種々の核酸合成系への促進作用、 (3)蛋
白質の合成系の活性化、 (4)ヒストンのアセチル化、非
ヒストンクロマチン蛋白質のリン酸化促進、 (5)細胞膜
の安定化や物質の膜透過性の強化、及び (6)2価金属イ
オンに影響を受ける種々の酵素の活性化等多岐にわたる
ことが知られている(今掘和友,山川民夫監修,生化学
辞典、第2版、p.1266,1990)。又、最近では、細胞の増
殖や分化を促進する効果が報告されており、特に経口摂
取したポリアミンは、消化管粘膜の成熟化を促進するこ
とが報告されている(Buts J.-P. et al., Digestive D
iseases and Science, Vol.38, p1091 (1993) ; Grant,
A.L. et al., J.Anim.Sci., Vol.68, p363 (1990) ; Du
four,C.et al., Gastroenterology, Vol.95, p112 (198
8))。さらに、経口摂取したポリアミンは、速やかに体
内に取り込まれ、組織で利用されることも報告されてい
る(Bardocz,S. et al., J.Nutr.Biochem, Vol.4, p66
(1993) )。
【0003】ポリアミンを食品に利用した例としては、
コンニャク製造時にスペルミンやスペルミジンを添加す
ることにより、コンニャク特有の臭いが少なく、他の食
品と調理しても他の食品に悪影響を与えないコンニャク
の製造方法(特開平6−38690号)、ポリアミンを
配合することにより、蛋白質の吸収を促進させ、良好な
発育及び健康状態を保つポリアミン配合栄養組成物(特
開平6-305956号)などが、又、ポリアミンを医薬品とし
て利用した例として、胃酸分泌を阻止する方法及び胃酸
分泌阻止用摂取用組成物(特開昭58-131914 号)、並び
に免疫賦活剤(特開昭59-98015及び特開平2-223514号)
が挙げられる。
【0004】このようにポリアミンには種々の効果が知
られており、近年、その重要性が認識されはじめている
ことから、元来ポリアミン含量の少ない栄養組成物に強
化することは、栄養学的観点からも望ましいと考えられ
る。しかし、食品に利用可能な高濃度のポリアミンの調
製方法は、未だ確立されていない。ポリアミンの食品中
の含量は、肉類やチーズに多く、乳や野菜には少ないこ
とや味噌などの醗酵食品に多いことが知られている(Bar
docz,S. et al., J.Nutr.Biochem, Vol.4, p66 (1993)
;ポリアミン研究会、第12回研究発表会講演要旨集、
4頁、1995年)。しかしながら、乳児用調製粉乳などの
栄養組成物は、牛乳を主原料とするためにポリアミンは
ほとんど含まれていないことから、ポリアミン含量の少
ない乳児用調製粉乳などに利用可能な高純度のポリアミ
ンを大量に調製する必要がある。
【0005】唯一、ポリアミン含量の高い栄養組成物と
して、蛋白質加水分解乳が挙げられる。Butsらは、膵臓
由来の粗精製酵素で蛋白質源を分解した育児用粉乳中に
ポリアミンが多く含まれていることを報告した(Buts,J.
P. et al., J.Pediatr.Gastroenterol.Nutr., Vol.21,
p44 (1995))。この場合、ポリアミンは、蛋白質分解の
目的に用いた粗酵素由来であり、ポリアミンを強化する
ことを目的としたものではなかった。さらに、通常の組
成物に膵臓由来の粗酵素を用いた場合、その中には蛋白
質だけでなく、脂肪、糖質、核酸等を分解する酵素が含
まれているため、組成物中のそれらの成分が不必要に分
解される可能性もあり、ポリアミンを可能な限り精製し
た後、添加しなければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの状況に鑑み、
本発明者らはポリアミン含量の高い天然物を求め鋭意探
索した結果、酵母にスペルミジン及びスペルミンが高濃
度に含まれること、さらには酵母由来のポリアミンは母
乳中のポリアミン組成に非常に近い組成を有することを
見出した。さらに、このポリアミンに着目し鋭意研究を
重ねた結果、高純度のポリアミンを効率良く、大量に調
製する方法を見い出した。即ち本発明は、酵母菌体ある
いは酵母培養液を原料として、大量に且つ効率良くポリ
アミンを調製する方法を提供することを課題とする。さ
らに、酵母由来のポリアミンを添加することを特徴とす
る、異臭味のないポリアミン添加食品の調製方法を提供
することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、酵母あるいは
酵母培養液を原料とし、ポリアミンを効率良く大量に調
製する方法に関する。詳しくは、酵母菌体及び/又は酵
母培養液を酸性条件下で処理することを特徴とする、ポ
リアミンの調製方法に関する。さらに、これらの方法に
より得られた酵母由来のポリアミンを添加することを特
徴とする、ポリアミン添加食品の調製方法に関する。本
発明によって得られたポリアミンは異臭味がなく、食品
に添加しても食品の品質を損なうことなく有効に利用で
きる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の原料として使用する酵母
としてはSaccharomyces 属、Candida 属、Zyrosascchar
omyces属に属する酵母が挙げられ、特に好ましくはS. c
erevisiae S. carbergensis S. uvarum S. diast
aticus S. rosei C. utilis Z. rouxii などが
挙げられる。これらの酵母菌体とその培養液、さらには
母乳やその他の天然物中のポリアミン含量を表1に示
す。
【0009】
【表1】
【0010】これらの酵母類のポリアミン組成は、スペ
ルミン及びスペルミジンの合計で70%以上である特徴
を有し、母乳の組成に比較的近い。そのため、母乳代替
品である乳児用調製粉乳等に利用した場合、母乳に近づ
けるという観点からは非常に望ましい。サケの白子にも
多くのポリアミンが含まれるが、スペルミジンがほとん
ど含まれていないために、母乳のポリアミン組成に近づ
けるという目的には好ましくない。又、一般に販売され
ている栄養組成物中のポリアミン含量を表2に示す。市
販乳児用栄養組成物には、ポリアミンがほとんど含まれ
ていないことが明らかである。
【0011】
【表2】
【0012】酵母からのポリアミンの抽出は、以下のよ
うに行うことができる。即ち、酵母菌体及び/又は酵母
培養液を酸性条件下で処理することにより得られる。詳
しくは、酵母菌体を破砕、均質化した後、酸溶液を添加
して得られた抽出液を精製するか、酵母菌体に酸溶液を
添加した後、破砕、均質化を行い、得られた抽出液を精
製するか、あるいは酵母培養液に直接酸溶液を添加して
得られた抽出液を精製することによって得られる。この
時、液体培養後の酵母菌体を遠心分離により回収し、超
音波法やフレンチプレス法等の物理的破砕法等により菌
体を破壊する。また、酵母エキスを製造する際に利用す
るような自己消化法(トルエン、酢酸エチル等の有機溶
媒の利用)も利用できる。この時、酵母を培養するため
に用いる培地は特に限定されないが、YM培地、糖蜜培
地、麦芽エキス培地、馬鈴薯・グルコース培地などが挙
げられ、特に糖蜜培地やYM培地が好ましい。又、ビー
ル発酵後に除去した酵母類も利用できる。酵母の培養
は、20〜37℃、pH3〜7で1〜3週間程培養す
る。その後、pHが2以下になるように酸溶液を加え、
30〜80℃、0.5〜6時間程度攪拌してポリアミン
を抽出する。この時、酸性溶液として0.01〜6N硫
酸、塩酸、酢酸、リン酸、トリクロル酢酸、過塩素酸、
スルホサリチル酸等の無機酸が挙げられる。次いで、遠
心分離によって、上清画分と沈澱画分に分離し、それぞ
れを回収する。以降の精製処理に必要な画分は、上清画
分であるが、沈澱画分についても再度酸溶液を添加し、
同様の抽出操作によって上清画分を得る。これらの上清
画分には、高濃度でポリアミンが抽出されるが、ポリア
ミン以外の蛋白質、脂質成分などが混入する可能性があ
るため、さらに精製、濃縮する必要がある。この時、上
清画分をイオン交換法、ゲルろ過法、膜分画法、電気透
析法、溶媒抽出法、又は加熱処理法の何れか1つ以上の
方法を用いて精製処理することにより、ポリアミンの純
度を高めることができる。
【0013】この時、イオン交換法としては、イオン交
換基がスルホン酸基、スルホプロピル基、リン酸基、カ
ルボキシルメチル基、アミノエチル基、ジエチルアミノ
基、4級アミノエチル基及び4級アンモニウム基等を有
したものであれば何れでも良く、各工程で得られた上清
画分を中和して通液することにより、ポリアミンが吸着
され、さらに硫酸や塩酸等の酸性溶液で溶出して回収す
る。又、上清画分中に含有されるポリアミンと他の成分
とは、分子量が大きく異なるため、ゲルろ過法や膜分画
法で分画することができる。それぞれの分子量は、プト
レッシンが88、スペルミジンが145、スペルミンが
202である。一方、ポリアミンを含む上清画分中のき
ょう雑物には、比較的高分子の蛋白質などが含まれるた
め、ゲル濾過等で分画することが可能である。ゲルろ過
法は、各工程で得られた上清画分を中和し、ゲルろ過担
体を充填したカラムに通液して分子量分画により純度を
高めて回収する。尚、ゲルろ過担体は、デキストラン
系、アクリルアミド系、アガロース系、セルロース系、
ポリビニル系、ガラス系、ポリスチレン系等何れの担体
でも良く、分画分子量が100〜100,000の範囲
であれば良い。膜分画法は、膜素材としてセルロース
系、酢酸セルロース系、ポリスルホン系、ポリアミド
系、ポリアクリロニトリル系、ポリ四フッ化エチレン
系、ポリエステル系、ポリプロピレン系等の限外ろ過膜
で、分画分子量が100〜100,000の範囲であれ
ば何れの膜も使用できる。又、脱塩を目的とするなら
ば、通常の透析膜を使用できる。電気透析法は、陽イオ
ン交換膜と陰イオン交換膜によって仕切られた各膜間
に、上記の方法で回収した上清画分と食塩水を交互に供
給して、電気透析を行う。その条件は、初期電流密度
0.5〜15A/dm2 、電圧0.1〜1.5V/槽が
適当である。溶媒抽出法は、酸によって抽出された溶液
をアルカリ性にした後、クロロホルム、アミルアルコー
ル、n−ブタノール等の有機溶媒を用いてポリアミンを
抽出する方法である。加熱処理法は、上清画分に混入し
ている酵母由来の酵素を加熱変性、失活させる方法であ
る。上清画分あるいは精製工程中で溶液状の場合に、8
0〜130℃に温度を上昇させ、酵素を失活させること
ができる。尚、このような精製処理工程を組み合わせて
処理すると、より高純度のポリアミンを得ることができ
る。
【0014】さらに、各工程で得られた上清画分中の酸
は、必要に応じて中和、透析、電気透析あるいは減圧濃
縮等によって除去する。又、各工程で得られた上清画分
は、液状あるいは凍結乾燥や噴霧乾燥等によって粉末状
にすることができ、使用形態によって適宜選択する。こ
のようにして得られたポリアミンは異臭味がなく、さら
に母乳のポリアミンに近い組成を有するため、食品、特
に乳幼児用の栄養組成物に有効に利用できる。本発明の
ポリアミンを添加した食品あるいは栄養組成物として
は、蛋白質、脂肪、糖質、ビタミン類、ミネラル類を主
成分として構成されるものであるが、特に乳児用調製粉
乳を挙げることができる。乳児用調製粉乳としては成熟
児用調製粉乳、フォローアップミルク、アレルギー乳さ
らに未熟児用調製粉乳などを挙げることができる。
【0015】蛋白質としては、カゼイン、乳清蛋白質濃
縮物、乳清蛋白質分離物、乳蛋白質分画物(α−カゼイ
ン、β−カゼイン、β−ラクトグロブリンやα−ラクト
アルブミン、ラクトフェリン等)、大豆蛋白質さらには
これらの蛋白質をプロテアーゼやペプチダーゼで処理し
た加水分解物等を利用できる。脂肪としては、魚油、ラ
ード、乳脂肪等の動物性油脂、酵母、藻類などの微生物
油、大豆油等の植物性油脂のほかに、これらの分別油、
水添油、エステル交換油等を適宜組み合わせて利用でき
る。糖質には、澱粉、可溶性多糖類、デキストリン、蔗
糖、乳糖、ブドウ糖、オリゴ糖などが利用できる。ビタ
ミンとミネラルについては「日本国際酪農連盟発行、乳
幼児食品を含む特殊用途食品のCODEX規格及び関連
衛生作業規則、CAC/VOL.IX−第1版及びSu
pplement 1、2、3、4(1993)」、
「食品と科学社発行、1993年版指定品目食品添加物
便覧(改定第31版)(1993)」、「食品と科学社
発行、届け出制食品添加物・食品素材天然物便覧(第1
2版)(1992)」に記載のビタミン、ミネラルのう
ち乳児用調製粉乳に使用可能なものを1種以上利用す
る。蛋白質、脂肪、糖質、ビタミン、ミネラルの配合比
率は、固形あたりそれぞれ5〜40重量%、5〜40重
量%、30〜80重量%、0.005〜5重量%、0.
005〜5重量%とすることが望ましい。
【0016】本発明で製造したポリアミンは、栄養組成
物100gあたり0.1mg〜500mg、好適には
0.2〜20mgのポリアミン含量になるように配合す
る。その配合量は、ポリアミンの純度にもよるが、栄養
組成物の固形に対して0.001〜10重量%ほど添加
すればよい。先にも述べたように、酵母から調製したポ
リアミンでは、スペルミジン、スペルミンが計70%以
上となり、またその組成も母乳に近似できるため、栄養
組成物の固形に対して、本発明のポリアミンを0.00
1〜10重量%ほど添加することで、固形あたりの量及
び組成の両方で母乳レベルのポリアミンを確保できる。
【0017】
【実施例】以下の実施例によって本発明をより詳細に説
明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明は
これらによって何ら限定されるものではない。
【0018】
【実施例1】ポリアミンの調製・1 C. utilis からポリアミンを調製した。即ち、YM培地
にて培養した後、十分に水洗したC. utilis 1kg(湿
重量)に水3lを加え、物理的破砕を行った。これに1
N塩酸3lを加え、40℃、2時間、攪拌しながら酸抽
出をおこなった。この時のpHは2以下であることを確
認した。抽出終了後、遠心分離し上清を回収した。上清
を10〜30%水酸化ナトリウム溶液で中和した後、さ
らに中和液をゲルろ過用担体(Superose12 及びSephadex
G-25F、ファルマシアバイオテク社) を充填したカラム
に通し、分子量分画によりポリアミンと不純物を分画し
た。この分画液を121℃、2秒間の加熱殺菌処理した
後、凍結乾燥した。得られたポリアミン調製物中に含ま
れるポリアミン量を川上らの方法(日本小児栄養消化器
病学会雑誌、9巻、115〜121頁、1995年)に
従い測定した結果、得られたポリアミン調製物1g中に
は、ポリアミンが400mg含まれていた。なお、ポリ
アミン調製物中のスペルミン及びスペルミジンは、合計
で370mg含まれていた。
【0019】
【実施例2】ポリアミンの調製・2 S. cerevisiae からポリアミンを調製した。即ち、乾燥
酵母(S. cerevisiae)2kgに2N硫酸を4l加え、物
理的破砕を行った後、35℃、5時間、攪拌しながら酸
抽出をおこなった。この時のpHは2以下であることを
確認した。抽出終了後、遠心分離し上清画分を回収し
た。上清を陽イオン交換樹脂(Dowex 50-X8(H +型) 、室
町化学工業社) を充填したカラムに通し、ポリアミンを
吸着させた。0.5M食塩水で樹脂を充分に洗浄して、
不純物を除去した後、6N塩酸にてポリアミンを溶出し
た。溶出液に10〜30%水酸化ナトリウム溶液を加え
て中和した後、電気透析装置(マイクロ・アシライザー
S1、旭化成工業社、膜カートリッジ:AC-121-10)によっ
て脱塩し、ポリアミン濃縮画分を得、この分画液を12
1℃、3秒間の加熱殺菌処理をした後、凍結乾燥した。
実施例1と同様の方法により得られたポリアミン調製物
中に含まれるポリアミン量を測定した結果、得られたポ
リアミン調製物1g中には、ポリアミンが200mg含
まれていた。なお、ポリアミン調製物中のスペルミン及
びスペルミジンは、合計で180mg含まれていた。
【0020】
【実施例3】ポリアミンの調製・3 S. carbergensis からポリアミンを調製した。即ち、S.
carbergensis 1kg(湿重量)に水3lを加え、物理
的破砕を行った後、1N硫酸を3l加え、35℃、4時
間、攪拌しながら酸抽出をおこなった。この時のpHは
2以下であることを確認した。抽出終了後、遠心分離し
上清を回収した。上清を陽イオン交換樹脂(Dowex 50-X8
(H +型) 、室町化学工業社) を充填したカラムに通し、
ポリアミンを吸着させた。0.8M食塩水で樹脂を充分
に洗浄して、不純物を除去した後、5N硫酸にてポリア
ミンを溶出した。溶出液に10〜30%水酸化ナトリウ
ム溶液を加えて中和した後、透析膜によって脱塩し、ポ
リアミン濃縮画分を得た。この画分を凍結乾燥した。実
施例1と同様の方法により得られたポリアミン調製物中
に含まれるポリアミン量を測定した結果、得られたポリ
アミン調製物1g中には、ポリアミンが90mg含まれ
ていた。なお、ポリアミン調製物中のスペルミン及びス
ペルミジンは、合計で70mg含まれていた。
【0021】
【実施例4】ポリアミンの調製・4 C. utilis からポリアミンを調製した。即ち、C. utili
s を実施例1と同様の培地を用いて培養し、その培養液
10lに2N硫酸50lを加え、ホモジナイザーにてホ
モジネートを調製した。このホモジネートを40℃、4
時間、攪拌しながら酸抽出をおこなった。この時のpH
は2以下であることを確認した。抽出終了後、遠心分離
し上清画分を回収した。上清に10〜30%水酸化ナト
リウム溶液を加えてアルカリ性にした後、n−ブタノー
ルにて溶媒抽出を行った。抽出液をロータリーエバポレ
ーターで濃縮し、溶媒を除去した。濃縮液を中和した
後、電気透析装置(マイクロ・アシライザーS1、旭化成
工業社、膜カートリッジ:AC-121-10)によって脱塩し、
ポリアミン濃縮画分を得、凍結乾燥した。実施例1と同
様の方法により得られたポリアミン調製物中に含まれる
ポリアミン量を測定した結果、得られたポリアミン調製
物0.5g中には、ポリアミンが35mg含まれてい
た。なお、ポリアミン調製物中のスペルミン及びスペル
ミジンは、合計で30mg含まれていた。
【0022】
【実施例5】ポリアミン添加粉乳の調製 脱脂乳470kg、乳清蛋白質濃縮物(WPC;デンマ
ークプロテイン社)を20kgと乳糖93kg添加溶解
し、これに水溶性ビタミン成分(ビタミンB1、B2
6 、B12、C、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビ
オチン、コリン、イノシトールなど)とミネラル成分
(炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、
クエン酸第一鉄ナトリウム、硫酸銅、硫酸亜鉛など)を
それぞれ1kgと、実施例1で調製したポリアミン調製
物4gを温水300gに懸濁・溶解した液、及び脂溶性
ビタミン類(ビタミンA、D、E、K、β−カロチンな
ど)を溶解し、リノール酸、γ−リノレン酸、アラキド
ン酸、α−リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン
酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、及びコレステロ
ールを含む調製脂肪47.8kgを混合して均質化し
た。得られた溶液を殺菌し、常法により濃縮し、乾燥し
て、粉乳200kgを得た。尚、この粉乳を温水に溶解
して、固形率13%に調整した調製乳には、ポリアミン
が約100μg /100ml含まれていた。
【0023】
【実施例6】ポリアミン添加粉乳の調製 WPC90kgと乳糖550kgを温湯に溶解し、これ
にカゼイン75kgを所定量のアルカリで溶解した溶液
に、ビタミン及び及びミネラル成分(実施例5と同様)
をそれぞれ10kgと、実施例3で調製したポリアミン
調製物40gを水1000gに懸濁・溶解した液、及び
実施例5と同様の脂溶性ビタミン類を溶解した調製脂肪
239kgを混合して均質化した。得られた溶液を殺菌
し、常法により濃縮し、乾燥して、粉乳1000kgを
得た。尚、この粉乳を温水に溶解して、固形率13%に
調整した調製乳には、ポリアミンが100μg /100
ml含まれていた。
【0024】
【発明の効果】以上の結果より、本発明により酵母ある
いは酵母培養液を原料とし、ポリアミンを効率良く大量
に調製する方法が提供される。詳しくは、酵母菌体及び
/又は酵母培養液を酸性条件下で処理することにより、
ポリアミンを高純度且つ大量に調製する方法が提供され
る。さらに、これらの方法により得られた酵母由来のポ
リアミンを添加することを特徴とする、ポリアミン添加
食品の調製方法が提供される。本発明によって得られた
ポリアミンは異臭味がなく、食品に添加しても食品の品
質を損なうことなく有効に利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:865)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵母菌体及び/又は酵母培養液を酸性条
    件下で処理することを特徴とする、ポリアミンの調製方
    法。
  2. 【請求項2】 pHが2以下になるように酸溶液を添加
    することを特徴とする、請求項1記載のポリアミンの調
    製方法。
  3. 【請求項3】 精製法がイオン交換法、ゲルろ過法、膜
    分画法、電気透析法、溶媒抽出法、又は加熱処理法のい
    ずれか1以上の方法である、請求項1又は2記載のポリ
    アミンの調製方法。
  4. 【請求項4】 酵母菌体又はその培養液から調製したポ
    リアミンを添加することを特徴とする、異臭味のないポ
    リアミン添加食品の調製方法。
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