JP3501415B2 - ビフィズス菌および乳酸菌増殖促進剤 - Google Patents

ビフィズス菌および乳酸菌増殖促進剤

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JP3501415B2 JP08270694A JP8270694A JP3501415B2 JP 3501415 B2 JP3501415 B2 JP 3501415B2 JP 08270694 A JP08270694 A JP 08270694A JP 8270694 A JP8270694 A JP 8270694A JP 3501415 B2 JP3501415 B2 JP 3501415B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、N−アセチルノイラミ
ン酸および/またはシアリルラクトースを有効成分とす
るビフィズス菌および乳酸菌増殖促進剤に関する。本発
明におけるビフィズス菌および乳酸菌増殖促進剤は、経
口剤、食品あるいは培地の形態で用いられ、ビフィズス
菌および乳酸菌の増殖促進に有用である。
【0002】
【従来技術】動物の消化管、中でも腸管には多数の細菌
が生育しており腸内細菌叢を形成している。腸内細菌叢
は、アミノ酸、ビタミン、胆汁酸などの物質代謝のみな
らず、細菌叢を形成する菌あるいはその産物が、高等動
物腸管の機能、構造に大きな影響を与えているのは周知
のことである。腸粘膜表面に、すき間なく付着している
常在腸内細菌叢は、混入してきた病原菌の腸粘膜への付
着、侵入に対する障壁となって感染を防ぎ、かつ増殖を
抑えて排泄しやすくしている。腸内細菌は、腸管の局所
免疫を誘導し、免疫系の発達に関与している。また、腸
上皮細胞の分化、増殖に対する刺激となっていると考え
られている。腸内細菌叢の中でも、ビフィズス菌は正常
な腸内細菌叢を形成する有用菌種であり、細菌叢でビフ
ィズス菌が優勢となることで、腸内の嫌気度が高くな
り、pHが低下し、非有用菌の増殖の抑制や腸内腐敗の
抑制のほか、その生理的意義や重要性は広く知られるよ
うになってきている。従来、このビフィズス菌増殖促進
の作用を有する物質として、母乳中に含まれているN−
アセチルグルコサミン、グルコース、ガラクトース、フ
コースを含有するオリゴ糖画分、あるいは、ムチン、カ
ゼイン分解物などのペプチド類、核酸類、シスチン、パ
ントテン酸の他に、ラクチュロースやガラクトオリゴ糖
(特公昭58-20266号公報)、フラクトオリゴ糖(特公昭
59-53834号公報)、イソマルトオリゴ糖(特開昭61-227
777 号公報)等の種々のグリコシダーゼの糖転移反応を
利用して合成される糖類などが知られている。
【0003】一方、シアル酸は、ノイラミン酸のN−ア
セチル体あるいはN−グリコリル体の総称であり、N−
アセチルノイラミン酸が最も良く知られている。この物
質は、多くの糖タンパク質、糖脂質などの複合糖質の末
端やオリゴ糖の構成要素として自然界、特に動物に広く
分布しており、分子間認識などに重要な役割を果たして
いると考えられている。例えば、ウイルスや病原性細菌
のレセプター、コレラ毒素のレセプター、胚発生期に変
化する抗原、癌抗原、血中タンパク質のプロテアーゼに
対する抵抗性などに関与している。またシアル酸含有糖
鎖が、ある種のインフルエンザウィルスのレセプターと
なることも知られており、これを逆に利用して、このレ
セプターのアナログを用いてウィルスをこれに結合させ
ることにより感染予防、すなわちシアル酸含有物質を感
染防御因子として利用するという考えもある。そこで、
近年、この物質そのもの、あるいはその含有物質を食品
や、医薬品の分野に活用しようとする研究が盛んに行わ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、N−ア
セチルノイラミン酸やシアリルラクトースの活用につい
て種々研究されているが、その用途は極く限られたもの
である。このため、本発明は、N−アセチルノイラミン
酸およびシアリルラクトースについて、更に有効活用を
図ることを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述のように、種々の生
理活性効果が明らかにされつつあるN−アセチルノイラ
ミン酸およびシアリルラクトースについて、本発明者ら
は鋭意研究を行った結果、N−アセチルノイラミン酸お
よびシアリルラクトースには強いビフィズス菌および乳
酸菌増殖促進の効果があるとの知見を得、この知見に基
づき本発明をなすに到ったものである。すなわち本発明
は、N−アセチルノイラミン酸および/またはシアリル
ラクトースを有効成分とするビフィズス菌および乳酸菌
増殖促進剤である。本発明はまたN−アセチルノイラミ
ン酸および/またはシアリルラクトースを経口投与剤、
食品または培地に添加するために用いるものである。
【0006】本発明のビフィズス菌および乳酸菌の増殖
促進に有効なN−アセチルノイラミン酸は、微生物、
卵、牛乳などの天然物から酸加水分解などの方法によっ
て得られたもの、あるいは有機化学的もしくは酵素反応
によって調製されたものである。またシアリルラクトー
スも同様に、牛乳などの天然物から種々の工程を経て調
製されたもの、あるいは有機化学的もしくは酵素反応に
よって得られたものである。そしてこれらのN−アセチ
ルノイラミン酸およびシアリルラクトースは、液体また
は粉末として用いることができる。本発明のビフィズス
菌および乳酸菌増殖促進剤は、例えば錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、散剤、ドリンク剤等の経口投与の製剤の形
態をとることもできるし、栄養組成物やヨーグルトある
いは乳酸菌飲料等の各種の食品や飲料等の形態でもよ
い。更には、ビフィズス菌あるいは乳酸菌培養用の原料
などに添加して培地の形態でもよい。
【0007】このようににN−アセチルノイラミン酸お
よびシアリルラクトース自体あるいはこれを含有する組
成物を人あるいは動物が摂取することによって、摂取し
た人あるいは動物の腸内でビフィズス菌および乳酸菌の
増殖を促進し、腸内環境を改善することができる。また
ヨーグルトや乳酸菌飲料等の培地に用いることにより、
ビフィズス菌および乳酸菌の増殖を促進する効果があ
る。
【0008】
【実験例】以下に、シアル酸含有物質であるN−アセチ
ルノイラミン酸およびシアリルラクトースのビフィズス
菌増殖促進の効果についての実験例を示す。 実験例1ビフィズス菌あるいは乳酸菌による資化性試験 (1) N−アセチルノイラミン酸の調製 N−アセチルノイラミン酸を公知の方法(特開平1-4049
1 号公報)に従って調製した。すなわち、チーズホエー
100 kgに塩酸280 gを添加してpHを2 に調整した
後、92℃で1 時間加熱し加水分解を行った。加熱変性し
て凝固したタンパク質を濾過にて除去し、N−アセチル
ノイラミン酸含有液を得た。得られたN−アセチルノイ
ラミン酸含有液を電気透析装置により電導度2 mS/c
mまで脱酸、脱塩した。ここで、電気透析により膜を透
過した濃縮槽中の透析外液を排液し、新たに濃縮槽に純
水10kgを入れて再び電気透析を行い、電導度50μS/
cmまで透析を行った。透析後、濃縮槽中の透析外液を
減圧濃縮し、これに5 倍容の酢酸を加えN−アセチルノ
イラミン酸を結晶化させ、結晶を濾過して採取し、更
に、エーテルを用いて結晶を洗浄した後、減圧下乾燥し
てN−アセチルノイラミン酸粉末5 gを得た。
【0009】(2) シアリルラクトースの調製 シアリルラクトースを、公知の方法(特開平3-143351号
公報)に従って調製した。すなわち、チーズホエー500
kgを陰イオン交換樹脂(オルガノ社製 アンバーライ
ト410 A、OH型、)を充填した50l容のカラムに通液
し、シアリルラクトースを樹脂に吸着させた。このカラ
ムを十分に水洗した後、4 重量%の水酸化ナトリウム水
溶液50kgを通液し、更に、水100 kgを通液して、シ
アリルラクトースを含む溶出液150 kgを得た。この溶
出液に塩酸110 mlを加えて中和した後、分画分子量2
0,000の限外濾過膜(ローヌプーラン社製)を用いて限
外濾過法によって濾過し、濾液160 kgを得た。次に、
この濾液を、HC−50膜(DDS社製)を用いた逆浸透
膜法によって脱塩、濃縮して濃縮液5 kgを得た。更に
この濃縮液を陰イオン交換樹脂(ダウエックス1-X4 、
ギ酸型、ダウケミカル社製)を充填した1.5 l容のカラ
ムに通液し、シアリルラクトースを樹脂に吸着させた。
カラムを純水にて十分洗浄した後、ギ酸濃度勾配法(0
〜2 M)によって溶出した。カラムからの溶出液を1 画
分25mlづつ分画して、エーリッヒ法によって発色する
画分を集めた。この画分を穏和な条件で減圧濃縮し、ギ
酸を除去した後、凍結乾燥してシアリルラクトース6 g
を得た。
【0010】(3) 供試菌株 ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium
longum−ATCC15707) ビフィドバクテリウム・ブレーベ (Bifidobacterium
breve −ATCC15700) ビフィドバクテリウム・ビフィダム (Bifidobacteriu
m bifidum −ATCC29521) ビフィドバクテリウム・インファンティス (Bifidoba
cterium infantis −ATCC15697) ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス (Bifido
bacterium adolescentis−ATCC15703) ラクトバチラス・アシドフィラス (Lactobacillus a
cidophilus−ATCC4350) ラクトバチラス・カゼイ (Lactobacillus casei
ATCC4646) ラクトバチラス・サリバリアス (Lactobacillus sali
varius−ATCC11741)
【0011】(4) 実験方法 1 %のグルコースを含むPYF(Peptone yeast extract
Fildes solution) 培地で各供試菌を培養し、前培養液
を得た。そして試験培地としてPYF培地にグルコー
ス、N−アセチルノイラミン酸およびシアリルラクトー
スをそれぞれ0.5%となるように添加して5.0 mlの培
地24個を調製した。この試験培地に上記で前培養した培
養液を各々0.1 ml(107c. f. u) 接種した。これ
を、スチールウール法にて嫌気的条件下で37℃、96時間
培養して、この培養液のpHを測定した。pHの測定結
果から、pH4.9 以下を++、pH5.0 から5.9 を+、
pH6.0以上を−として資化性を判定した。その結果を
表1に示す。
【0012】
【表1】 N−アセチルノイラミン酸およびシアリルラクトースのビフィズス菌 あるいは乳酸菌による資化性 ───────────────────────────────── 供試菌株 Glc Neu5Ac SL ───────────────────────────────── B.ロンガム ++ ++ − B.ブレーベ ++ + − B.ビフィダム ++ + − B.インファンティス ++ + ++ B.アドレッセンティス ++ + − L.アシドフィラス ++ − − L.カゼイ ++ ++ − L.サリバリアス ++ ++ − ───────────────────────────────── 表中、B.はビフィドバクテリウム、L.はラクトバチ
ルス、Glcはグルコース、Neu5AcはN−アセチ
ルノイラミン酸、SLはシアリルラクトースを表す。
【0013】表1から明らかなように、N−アセチルノ
イラミン酸はラクトバチルス・アシドフィラスを除く、
実験に供したすべての菌株に対して資化性を示し、特に
ビフィドバクテリウム・ロンガム、ラクトバチルス・カ
ゼイおよびラクトバチルス・サリバリアスにはグルコー
スと同等程度に良好な資化性を示した。一方、シアリル
ラクトースは、人の乳児の腸内細菌叢に特徴的なビフィ
ドバクテリウム・インファンティスに選択的に資化性を
示した。
【0014】実験例2ビフィズス菌の増殖促進効果実験 (1) 供試菌株 ビフィドバクテリウム・ブレーベ (Bifidobacteriu
m breve) ビフィドバクテリウム・ビフィダム (Bifidobacteriu
m bifidum)
【0015】(2) 実験方法 3.5 %の乳糖を含むTomarelli 培地を、15分間煮沸して
脱気冷却後、これに実験例1に示した方法と同じ方法で
調製したN−アセチルノイラミン酸およびシアリルラク
トースを濾過滅菌して、培地中の濃度が、各々について
0.01、0.1 および1.0 mg/mlとなるように添加し、
更に1.0 mlの濾過滅菌した1%アスコルビン酸溶液を
加えて10mlに調製した。なお、対照としてN−アセチ
ルノイラミン酸およびシアリルラクトースを添加しない
ものも調製した。この各々の培地に、上記の各供試菌を
0.1 %のシステイン塩酸と0.1 %のチオグリコール酸ナ
トリウムを含む生理食塩水に懸濁した懸濁液を2 滴接種
し、37℃で24時間培養した。そして各供試菌の増殖を、
培養液のpH、波長630 nmで測定した濁度および0.01
Nの水酸化ナトリウムを用いて滴定して求めた酸度によ
って測定した。また、培養後の培地中のN−アセチルノ
イラミン酸およびシアリルラクトース量は、シアル酸測
定キット(シアル酸テスト;極東製薬製)を用いて測定
した。その結果を表2および表3に示す。
【0016】
【表2】 N−アセチルノイラミン酸およびシアリルラクトースの ビフィドバクテリウム・ブレーベに対する増殖促進効果 ────────────────────────────────── サンプル pH 濁度 酸度 培地中のNeu5Ac又はSL量 ────────────────────────────────── 対照 5.11 0.68 0.37 検出せず Neu5Ac 0.01mg/ml 4.67 1.33 0.69 検出せず Neu5Ac 0.1mg/ml 4.43 1.91 0.97 検出せず Neu5Ac 1.0mg/ml 4.91 0.93 0.41 検出せず SL 0.01mg/ml 4.73 1.37 0.53 検出せず SL 0.1mg/ml 4.52 1.69 0.54 検出せず SL 1.0mg/ml 4.59 1.53 0.75 検出せず ────────────────────────────────── 表中、Neu5AcはN−アセチルノイラミン酸、SL
はシアリルラクトースを表す。
【0017】
【表3】 N−アセチルノイラミン酸およびシアリルラクトースの ビフィドバクテリウム・ビフィダムに対する増殖促進効果 ─────────────────────────────────── サンプル pH 濁度 酸度 培地中のNeu5Ac又はSL量 ─────────────────────────────────── 対照 4.52 2.23 0.95 検出せず Neu5Ac 0.01mg/ml 4.44 2.34 1.18 検出せず Neu5Ac 0.1mg/ml 4.40 2.39 1.22 検出せず Neu5Ac 1.0mg/ml 4.52 2.25 1.14 検出せず SL 0.01mg/ml 4.64 2.18 0.92 検出せず SL 0.1mg/ml 4.56 2.18 1.00 検出せず SL 1.0mg/ml 4.35 2.41 1.35 検出せず ─────────────────────────────────── 表中、Neu5AcはN−アセチルノイラミン酸、SL
はシアリルラクトースを表す。
【0018】ビフィドバクテリウム・ブレーベによる試
験においては、表2から明らかなように、N−アセチル
ノイラミン酸の添加によってpHが低下し、濁度および
酸度が上昇した。同様に、シアリルラクトースの添加に
よっても、pHが低下し、濁度および酸度が上昇した。
すなわち、ビフィドバクテリウム・ブレーベはN−アセ
チルノイラミン酸およびシアリルラクトースによって強
く増殖が促進されたことを示している。 また、ビフィ
ドバクテリウム・ビフィダムによる試験においても、表
3に示したように、N−アセチルノイラミン酸の添加に
よってpHが低下し、濁度および酸度が上昇した。全く
同様に、シアリルラクトースの添加によっても、pHが
低下し、濁度および酸度が上昇した。すなわち、ビフィ
ドバクテリウム・ビフィダムはN−アセチルノイラミン
酸およびシアリルラクトースによって強く増殖が促進さ
れたことを示すものである。実験例1に示した如く、N
−アセチルノイラミン酸およびシアリルラクトースと
も、ここで用いた供試菌株には炭素源としての糖より強
く資化されない。このことは炭素源としてグルコースが
豊富に含まれている培地において、痕跡量程度の含有に
よって増殖が促進されたことは、N−アセチルノイラミ
ン酸およびシアリルラクトースが、細菌の炭素源、すな
わち、栄養源として作用する効果に加えて、より強い増
殖を促進する効果を有することを示すものである。
【0019】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。 実施例1 脱脂乳2.0 kgを80℃で25分間殺菌した後、ヨーグルト
スターターを2 %となるように添加し、1 gのN−アセ
チルノイラミン酸を加えたものと、1 gのシアリルラク
トースを加えたものを調製し、更にそれぞれにビフィド
バクテリウム・ビフィダムの前培養液を1 %接種したも
のを調製した。また対照として、N−アセチルノイラミ
ン酸、シアリルラクトースのどちらも加えないものを調
製した。この各々の調製物を、各々40℃で5 時間発酵を
行いヨーグルトを製造した。このヨーグルトを4 ℃で14
日間保存し保存中の乳酸菌およびビフィズス菌の生菌数
を測定した。その結果を表4に示す。表4から明らかな
ように、N−アセチルノイラミン酸あるいはシアリルラ
クトースを添加したヨーグルトにおいては、いずれの時
点においても対照と比べビフィズス菌および乳酸菌の生
菌数が高いものであった。
【0020】
【表4】 ヨーグルト中のビフィズス菌および乳酸菌の生菌数の変化 ─────────────────────────────────── ビフィズス菌 乳酸菌 サンプル ───────────────────────────── 0日 7日 14日 0日 7日 14日 ─────────────────────────────────── 対照 28XI06 48X105 1X102 19X107 15X107 98X106 Neu5Ac添加 11X107 54X105 18X104 23X107 19X107 12X107 SL 添加 12X107 59X105 25X104 22X107 19X107 11X107 ─────────────────────────────────── 表中、Neu5AcはN−アセチルノイラミン酸、SL
はシアリルラクトースを表す。
【0021】実施例2 脱脂乳1.0 kgを90℃で20分間殺菌した後、乳酸菌スタ
ーターを1 %を添加し、0.5 gのN−アセチルノイラミ
ン酸を加えたものと、0.5 gのシアリルラクトースを加
えたものを調製し、40℃で24時間発酵を行い、それぞれ
に糖液、香料などの副原料を加え混合した後、更にビフ
ィズス菌のバルク・カルチャーを1 %接種し乳酸菌飲料
を製造した。また対照として、N−アセチルノイラミン
酸およびシアリルラクトースのどちらも加えないものを
製造した。これらを4 ℃で5 日間保存し保存中の乳酸菌
およびビフィズス菌の生菌数を測定した。その結果を表
5に示す。表5から明らかなように、N−アセチルノイ
ラミン酸あるいはシアリルラクトースを添加した乳酸菌
飲料においては、いずれの時点においても対照と比べ乳
酸菌の生菌数が高く、ビフィズス菌の生存率も高いもの
であった。
【0022】
【表5】 乳酸菌飲料中のビフィズス菌および乳酸菌の生菌数の変化 ───────────────────────────────── ビフィズス菌 乳酸菌 サンプル ────────────────────────── 0日 5日 0日 5日 ───────────────────────────────── 対照 48X103 2X103 15X105 98X103 Neu5Ac添加 48X103 19X103 20X105 18X104 SL 添加 48X103 22X103 21X105 16X104 ───────────────────────────────── 表中、Neu5AcはN−アセチルノイラミン酸、SL
はシアリルラクトースを表す。
【0023】実施例3 チーズホエー100 kgに塩酸280 gを添加してpHを2
に調整した後、92℃で1 時間加熱し加水分解を行った。
加熱変性して凝固したタンパク質を濾過により除去し、
N−アセチルノイラミン酸含有液を得た。得られたN−
アセチルノイラミン酸含有液を電気透析装置により電導
度2 mS/cmまで脱酸、脱塩した。ここで、電気透析
により膜を透過した濃縮槽中の透析外液を排液し、新た
に濃縮槽に純水10kgを入れて再び電気透析を行い、電
導度50μS/cmまで透析を行った。透析後、濃縮槽中
の透析外液を減圧濃縮し、これに5 倍容の酢酸を加えN
−アセチルノイラミン酸を結晶化させ、結晶を濾過して
採取し、更に、エーテルを用いて結晶を洗浄した後、減
圧下乾燥してN−アセチルノイラミン酸粉末5 gを得
た。この得られたN−アセチルノイラミン酸粉末をゼラ
チンよりなるソフトカプセルに一錠あたり500 mgになる
ように充填して、カプセル製剤とした。
【0024】実施例4 チーズホエー500 kgを陰イオン交換樹脂(オルガノ社
製 アンバーライト410 A、OH型、)を充填した50l
容のカラムに通液し、シアリルラクトースを樹脂に吸着
させた。このカラムを十分に水洗した後、4 重量%の水
酸化ナトリウム水溶液50kgを通液し、更に、水100 k
gを通液して、シアリルラクトースを含む溶出液150 k
gを得た。この溶出液に塩酸110 mlを加えて中和した
後、分画分子量20,000の限外濾過膜(ローヌプーラン社
製)を用いて限外濾過法によって濾過し、濾液160 kg
を得た。次に、この濾液を、HC−50膜(DDS社製)
を用いた逆浸透膜法によって脱塩、濃縮して濃縮液5 k
gを得た。更にこの濃縮液を陰イオン交換樹脂(ダウエ
ックス1-X4 、ギ酸型、ダウケミカル社製)を充填した
1.5 l容のカラムに通液し、シアリルラクトースを樹脂
に吸着させた。カラムを純水にて十分洗浄した後、ギ酸
濃度勾配法(0 〜2 M)によって溶出した。カラムから
の溶出液を1 画分25mlづつ分画して、エーリッヒ法に
よって発色する画分を集めた。この画分を穏和な条件で
減圧濃縮し、ギ酸を除去した後、凍結乾燥してシアリル
ラクトース6 gを得た。上記で得たシアリルラクトース
6 gとホエー粉7800g、ビタミンおよびミネラル成分10
0 gと共に水70kgに溶解した。さらに植物油2400gを
混合して均質した後、殺菌・濃縮・乾燥工程をへて、粉
乳を得た。得られた粉乳100 g中のシアリルラクトース
含量は、58 mgであった。
【0025】
【発明の効果】本発明におけるN−アセチルノイラミン
酸および/またはシアリルラクトースを有効成分とする
ビフィズス菌および乳酸菌増殖促進剤は、例えば錠剤、
カプセル剤、顆粒剤、散剤、ドリンク剤等の経口投与の
製剤の形態、あるいは栄養組成物、ヨーグルト、乳酸菌
飲料等の各種の食品や飲料等の形態、更にはビフィズス
菌あるいは乳酸菌培養用の原料などに添加して培地の形
態とすることにより、ビフィズス菌および乳酸菌増殖促
進に高い効果を示すものである。更に本発明のN−アセ
チルノイラミン酸およびシアリルラクトースを含有する
組成物を人あるいは動物が摂取することによって、摂取
した人あるいは動物の腸内でビフィズス菌および乳酸菌
の増殖を促進し、腸内環境を改善することができる。従
来、これらの効果があることの知見は全くなく、本発明
によって明らかにされたもので、N−アセチルノイラミ
ン酸およびシアリルラクトースの有効活用を更に図るこ
とができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12N 1/38 C12N 1/38 // C07H 7/027 C07H 7/027 (C12N 1/38 C12R 1:01 C12R 1:01) 1:225 (C12N 1/38 C12R 1:23 C12R 1:225) 1:245 (C12N 1/38 C12R 1:23) (C12N 1/38 C12R 1:245) (56)参考文献 特開 平1−157338(JP,A) 特開 平3−123445(JP,A) 特開 平2−261343(JP,A) 特開 平3−49648(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 7/027 A61K 31/7012,31/702 A23L 1/29,1/30 C12N 1/38 REGISTRY(STN) CA(STN) MEDLINE(STN) EMBASE(STN) BIOSIS(STN) JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−アセチルノイラミン酸および/また
    はシアリルラクトースを有効成分とするビフィズス菌お
    よび乳酸菌増殖促進剤。
  2. 【請求項2】 経口投与剤に添加するための請求項1記
    載のビフィズス菌および乳酸菌増殖促進剤。
  3. 【請求項3】 食品に添加するための請求項1記載のビ
    フィズス菌および乳酸菌増殖促進剤。
  4. 【請求項4】 培地に添加するための請求項1記載のビ
    フィズス菌および乳酸菌増殖促進剤。
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