JP3789564B2 - ポリアミンの調製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵母あるいは酵母培養液を原料とし、ポリアミンを効率良く大量に調製する方法に関する。詳しくは、酵母菌体及び/又は酵母培養液を酸性条件下で処理することを特徴とする、ポリアミンの調製方法に関する。さらに、これらの方法により得られた酵母由来のポリアミンを添加することを特徴とする、ポリアミン添加食品の調製方法に関する。本発明によって得られたポリアミンは異臭味がなく、さらに母乳のポリアミン組成に近い組成を有し、食品、特に乳幼児用の栄養組成物に有効に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミンは、プトレッシン、スペルミジン及びスペルミン等、第一級アミノ基を2つ以上もつ直鎖状の脂肪族炭化水素である。ポリアミンの生理作用としては、 (1)核酸との相互作用による核酸の安定化と構造変化、 (2)種々の核酸合成系への促進作用、 (3)蛋白質の合成系の活性化、 (4)ヒストンのアセチル化、非ヒストンクロマチン蛋白質のリン酸化促進、 (5)細胞膜の安定化や物質の膜透過性の強化、及び (6)2価金属イオンに影響を受ける種々の酵素の活性化等多岐にわたることが知られている(今掘和友,山川民夫監修,生化学辞典、第2版、p.1266,1990)。又、最近では、細胞の増殖や分化を促進する効果が報告されており、特に経口摂取したポリアミンは、消化管粘膜の成熟化を促進することが報告されている(Buts J.-P. et al., Digestive Diseases and Science, Vol.38, p1091 (1993) ; Grant,A.L. et al., J.Anim.Sci., Vol.68, p363 (1990) ; Dufour,C.et al., Gastroenterology, Vol.95, p112 (1988))。さらに、経口摂取したポリアミンは、速やかに体内に取り込まれ、組織で利用されることも報告されている(Bardocz,S. et al., J.Nutr.Biochem, Vol.4, p66 (1993) )。
【0003】
ポリアミンを食品に利用した例としては、コンニャク製造時にスペルミンやスペルミジンを添加することにより、コンニャク特有の臭いが少なく、他の食品と調理しても他の食品に悪影響を与えないコンニャクの製造方法(特開平6−38690号)、ポリアミンを配合することにより、蛋白質の吸収を促進させ、良好な発育及び健康状態を保つポリアミン配合栄養組成物(特開平6-305956号)などが、又、ポリアミンを医薬品として利用した例として、胃酸分泌を阻止する方法及び胃酸分泌阻止用摂取用組成物(特開昭58-131914 号)、並びに免疫賦活剤(特開昭59-98015及び特開平2-223514号)が挙げられる。
【0004】
このようにポリアミンには種々の効果が知られており、近年、その重要性が認識されはじめていることから、元来ポリアミン含量の少ない栄養組成物に強化することは、栄養学的観点からも望ましいと考えられる。しかし、食品に利用可能な高濃度のポリアミンの調製方法は、未だ確立されていない。
ポリアミンの食品中の含量は、肉類やチーズに多く、乳や野菜には少ないことや味噌などの醗酵食品に多いことが知られている(Bardocz,S. et al., J.Nutr.Biochem, Vol.4, p66 (1993) ;ポリアミン研究会、第12回研究発表会講演要旨集、4頁、1995年)。しかしながら、乳児用調製粉乳などの栄養組成物は、牛乳を主原料とするためにポリアミンはほとんど含まれていないことから、ポリアミン含量の少ない乳児用調製粉乳などに利用可能な高純度のポリアミンを大量に調製する必要がある。
【0005】
唯一、ポリアミン含量の高い栄養組成物として、蛋白質加水分解乳が挙げられる。Butsらは、膵臓由来の粗精製酵素で蛋白質源を分解した育児用粉乳中にポリアミンが多く含まれていることを報告した(Buts,J.P. et al., J.Pediatr.Gastroenterol.Nutr., Vol.21, p44 (1995))。この場合、ポリアミンは、蛋白質分解の目的に用いた粗酵素由来であり、ポリアミンを強化することを目的としたものではなかった。さらに、通常の組成物に膵臓由来の粗酵素を用いた場合、その中には蛋白質だけでなく、脂肪、糖質、核酸等を分解する酵素が含まれているため、組成物中のそれらの成分が不必要に分解される可能性もあり、ポリアミンを可能な限り精製した後、添加しなければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの状況に鑑み、本発明者らはポリアミン含量の高い天然物を求め鋭意探索した結果、酵母にスペルミジン及びスペルミンが高濃度に含まれること、さらには酵母由来のポリアミンは母乳中のポリアミン組成に非常に近い組成を有することを見出した。さらに、このポリアミンに着目し鋭意研究を重ねた結果、高純度のポリアミンを効率良く、大量に調製する方法を見い出した。即ち本発明は、酵母菌体あるいは酵母培養液を原料として、大量に且つ効率良くポリアミンを調製する方法を提供することを課題とする。さらに、酵母由来のポリアミンを添加することを特徴とする、異臭味のないポリアミン添加食品の調製方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酵母あるいは酵母培養液を原料とし、ポリアミンを効率良く大量に調製する方法に関する。詳しくは、酵母菌体及び/又は酵母培養液を酸性条件下で処理することを特徴とする、ポリアミンの調製方法に関する。さらに、これらの方法により得られた酵母由来のポリアミンを添加することを特徴とする、ポリアミン添加食品の調製方法に関する。本発明によって得られたポリアミンは異臭味がなく、食品に添加しても食品の品質を損なうことなく有効に利用できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の原料として使用する酵母としてはSaccharomyces 属、Candida 属、Zyrosasccharomyces属に属する酵母が挙げられ、特に好ましくはS. cerevisiae 、S. carbergensis 、S. uvarum 、S. diastaticus 、S. rosei 、C. utilis 、Z. rouxii などが挙げられる。これらの酵母菌体とその培養液、さらには母乳やその他の天然物中のポリアミン含量を表1に示す。
【0009】
【表1】
【0010】
これらの酵母類のポリアミン組成は、スペルミン及びスペルミジンの合計で70%以上である特徴を有し、母乳の組成に比較的近い。そのため、母乳代替品である乳児用調製粉乳等に利用した場合、母乳に近づけるという観点からは非常に望ましい。サケの白子にも多くのポリアミンが含まれるが、スペルミジンがほとんど含まれていないために、母乳のポリアミン組成に近づけるという目的には好ましくない。又、一般に販売されている栄養組成物中のポリアミン含量を表2に示す。市販乳児用栄養組成物には、ポリアミンがほとんど含まれていないことが明らかである。
【0011】
【表2】
【0012】
酵母からのポリアミンの抽出は、以下のように行うことができる。即ち、酵母菌体及び/又は酵母培養液を酸性条件下で処理することにより得られる。詳しくは、酵母菌体を破砕、均質化した後、酸溶液を添加して得られた抽出液を精製するか、酵母菌体に酸溶液を添加した後、破砕、均質化を行い、得られた抽出液を精製するか、あるいは酵母培養液に直接酸溶液を添加して得られた抽出液を精製することによって得られる。この時、液体培養後の酵母菌体を遠心分離により回収し、超音波法やフレンチプレス法等の物理的破砕法等により菌体を破壊する。また、酵母エキスを製造する際に利用するような自己消化法(トルエン、酢酸エチル等の有機溶媒の利用)も利用できる。この時、酵母を培養するために用いる培地は特に限定されないが、YM培地、糖蜜培地、麦芽エキス培地、馬鈴薯・グルコース培地などが挙げられ、特に糖蜜培地やYM培地が好ましい。又、ビール発酵後に除去した酵母類も利用できる。酵母の培養は、20〜37℃、pH3〜7で1〜3週間程培養する。その後、pHが2以下になるように酸溶液を加え、30〜80℃、0.5〜6時間程度攪拌してポリアミンを抽出する。この時、酸性溶液として0.01〜6N硫酸、塩酸、酢酸、リン酸、トリクロル酢酸、過塩素酸、スルホサリチル酸等の無機酸が挙げられる。次いで、遠心分離によって、上清画分と沈澱画分に分離し、それぞれを回収する。以降の精製処理に必要な画分は、上清画分であるが、沈澱画分についても再度酸溶液を添加し、同様の抽出操作によって上清画分を得る。これらの上清画分には、高濃度でポリアミンが抽出されるが、ポリアミン以外の蛋白質、脂質成分などが混入する可能性があるため、さらに精製、濃縮する必要がある。この時、上清画分をイオン交換法、ゲルろ過法、膜分画法、電気透析法、溶媒抽出法、又は加熱処理法の何れか1つ以上の方法を用いて精製処理することにより、ポリアミンの純度を高めることができる。
【0013】
この時、イオン交換法としては、イオン交換基がスルホン酸基、スルホプロピル基、リン酸基、カルボキシルメチル基、アミノエチル基、ジエチルアミノ基、4級アミノエチル基及び4級アンモニウム基等を有したものであれば何れでも良く、各工程で得られた上清画分を中和して通液することにより、ポリアミンが吸着され、さらに硫酸や塩酸等の酸性溶液で溶出して回収する。又、上清画分中に含有されるポリアミンと他の成分とは、分子量が大きく異なるため、ゲルろ過法や膜分画法で分画することができる。それぞれの分子量は、プトレッシンが88、スペルミジンが145、スペルミンが202である。一方、ポリアミンを含む上清画分中のきょう雑物には、比較的高分子の蛋白質などが含まれるため、ゲル濾過等で分画することが可能である。ゲルろ過法は、各工程で得られた上清画分を中和し、ゲルろ過担体を充填したカラムに通液して分子量分画により純度を高めて回収する。尚、ゲルろ過担体は、デキストラン系、アクリルアミド系、アガロース系、セルロース系、ポリビニル系、ガラス系、ポリスチレン系等何れの担体でも良く、分画分子量が100〜100,000の範囲であれば良い。膜分画法は、膜素材としてセルロース系、酢酸セルロース系、ポリスルホン系、ポリアミド系、ポリアクリロニトリル系、ポリ四フッ化エチレン系、ポリエステル系、ポリプロピレン系等の限外ろ過膜で、分画分子量が100〜100,000の範囲であれば何れの膜も使用できる。又、脱塩を目的とするならば、通常の透析膜を使用できる。電気透析法は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜によって仕切られた各膜間に、上記の方法で回収した上清画分と食塩水を交互に供給して、電気透析を行う。その条件は、初期電流密度0.5〜15A/dm2 、電圧0.1〜1.5V/槽が適当である。溶媒抽出法は、酸によって抽出された溶液をアルカリ性にした後、クロロホルム、アミルアルコール、n−ブタノール等の有機溶媒を用いてポリアミンを抽出する方法である。加熱処理法は、上清画分に混入している酵母由来の酵素を加熱変性、失活させる方法である。上清画分あるいは精製工程中で溶液状の場合に、80〜130℃に温度を上昇させ、酵素を失活させることができる。尚、このような精製処理工程を組み合わせて処理すると、より高純度のポリアミンを得ることができる。
【0014】
さらに、各工程で得られた上清画分中の酸は、必要に応じて中和、透析、電気透析あるいは減圧濃縮等によって除去する。又、各工程で得られた上清画分は、液状あるいは凍結乾燥や噴霧乾燥等によって粉末状にすることができ、使用形態によって適宜選択する。このようにして得られたポリアミンは異臭味がなく、さらに母乳のポリアミンに近い組成を有するため、食品、特に乳幼児用の栄養組成物に有効に利用できる。本発明のポリアミンを添加した食品あるいは栄養組成物としては、蛋白質、脂肪、糖質、ビタミン類、ミネラル類を主成分として構成されるものであるが、特に乳児用調製粉乳を挙げることができる。乳児用調製粉乳としては成熟児用調製粉乳、フォローアップミルク、アレルギー乳さらに未熟児用調製粉乳などを挙げることができる。
【0015】
蛋白質としては、カゼイン、乳清蛋白質濃縮物、乳清蛋白質分離物、乳蛋白質分画物(α−カゼイン、β−カゼイン、β−ラクトグロブリンやα−ラクトアルブミン、ラクトフェリン等)、大豆蛋白質さらにはこれらの蛋白質をプロテアーゼやペプチダーゼで処理した加水分解物等を利用できる。脂肪としては、魚油、ラード、乳脂肪等の動物性油脂、酵母、藻類などの微生物油、大豆油等の植物性油脂のほかに、これらの分別油、水添油、エステル交換油等を適宜組み合わせて利用できる。糖質には、澱粉、可溶性多糖類、デキストリン、蔗糖、乳糖、ブドウ糖、オリゴ糖などが利用できる。ビタミンとミネラルについては「日本国際酪農連盟発行、乳幼児食品を含む特殊用途食品のCODEX規格及び関連衛生作業規則、CAC/VOL.IX−第1版及びSupplement 1、2、3、4(1993)」、「食品と科学社発行、1993年版指定品目食品添加物便覧(改定第31版)(1993)」、「食品と科学社発行、届け出制食品添加物・食品素材天然物便覧(第12版)(1992)」に記載のビタミン、ミネラルのうち乳児用調製粉乳に使用可能なものを1種以上利用する。蛋白質、脂肪、糖質、ビタミン、ミネラルの配合比率は、固形あたりそれぞれ5〜40重量%、5〜40重量%、30〜80重量%、0.005〜5重量%、0.005〜5重量%とすることが望ましい。
【0016】
本発明で製造したポリアミンは、栄養組成物100gあたり0.1mg〜500mg、好適には0.2〜20mgのポリアミン含量になるように配合する。その配合量は、ポリアミンの純度にもよるが、栄養組成物の固形に対して0.001〜10重量%ほど添加すればよい。先にも述べたように、酵母から調製したポリアミンでは、スペルミジン、スペルミンが計70%以上となり、またその組成も母乳に近似できるため、栄養組成物の固形に対して、本発明のポリアミンを0.001〜10重量%ほど添加することで、固形あたりの量及び組成の両方で母乳レベルのポリアミンを確保できる。
【0017】
【実施例】
以下の実施例によって本発明をより詳細に説明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0018】
【実施例1】
ポリアミンの調製・1
C. utilis からポリアミンを調製した。即ち、YM培地にて培養した後、十分に水洗したC. utilis 1kg(湿重量)に水3lを加え、物理的破砕を行った。これに1N塩酸3lを加え、40℃、2時間、攪拌しながら酸抽出をおこなった。この時のpHは2以下であることを確認した。抽出終了後、遠心分離し上清を回収した。上清を10〜30%水酸化ナトリウム溶液で中和した後、さらに中和液をゲルろ過用担体(Superose12 及びSephadex G-25F、ファルマシアバイオテク社) を充填したカラムに通し、分子量分画によりポリアミンと不純物を分画した。この分画液を121℃、2秒間の加熱殺菌処理した後、凍結乾燥した。得られたポリアミン調製物中に含まれるポリアミン量を川上らの方法(日本小児栄養消化器病学会雑誌、9巻、115〜121頁、1995年)に従い測定した結果、得られたポリアミン調製物1g中には、ポリアミンが400mg含まれていた。なお、ポリアミン調製物中のスペルミン及びスペルミジンは、合計で370mg含まれていた。
【0019】
【実施例2】
ポリアミンの調製・2
S. cerevisiae からポリアミンを調製した。即ち、乾燥酵母(S. cerevisiae) 2kgに2N硫酸を4l加え、物理的破砕を行った後、35℃、5時間、攪拌しながら酸抽出をおこなった。この時のpHは2以下であることを確認した。抽出終了後、遠心分離し上清画分を回収した。上清を陽イオン交換樹脂(Dowex 50-X8(H +型) 、室町化学工業社) を充填したカラムに通し、ポリアミンを吸着させた。0.5M食塩水で樹脂を充分に洗浄して、不純物を除去した後、6N塩酸にてポリアミンを溶出した。溶出液に10〜30%水酸化ナトリウム溶液を加えて中和した後、電気透析装置(マイクロ・アシライザーS1、旭化成工業社、膜カートリッジ:AC-121-10)によって脱塩し、ポリアミン濃縮画分を得、この分画液を121℃、3秒間の加熱殺菌処理をした後、凍結乾燥した。実施例1と同様の方法により得られたポリアミン調製物中に含まれるポリアミン量を測定した結果、得られたポリアミン調製物1g中には、ポリアミンが200mg含まれていた。なお、ポリアミン調製物中のスペルミン及びスペルミジンは、合計で180mg含まれていた。
【0020】
【実施例3】
ポリアミンの調製・3
S. carbergensis からポリアミンを調製した。即ち、S. carbergensis 1kg(湿重量)に水3lを加え、物理的破砕を行った後、1N硫酸を3l加え、35℃、4時間、攪拌しながら酸抽出をおこなった。この時のpHは2以下であることを確認した。抽出終了後、遠心分離し上清を回収した。上清を陽イオン交換樹脂(Dowex 50-X8(H +型) 、室町化学工業社) を充填したカラムに通し、ポリアミンを吸着させた。0.8M食塩水で樹脂を充分に洗浄して、不純物を除去した後、5N硫酸にてポリアミンを溶出した。溶出液に10〜30%水酸化ナトリウム溶液を加えて中和した後、透析膜によって脱塩し、ポリアミン濃縮画分を得た。この画分を凍結乾燥した。実施例1と同様の方法により得られたポリアミン調製物中に含まれるポリアミン量を測定した結果、得られたポリアミン調製物1g中には、ポリアミンが90mg含まれていた。なお、ポリアミン調製物中のスペルミン及びスペルミジンは、合計で70mg含まれていた。
【0021】
【実施例4】
ポリアミンの調製・4
C. utilis からポリアミンを調製した。即ち、C. utilis を実施例1と同様の培地を用いて培養し、その培養液10lに2N硫酸50lを加え、ホモジナイザーにてホモジネートを調製した。このホモジネートを40℃、4時間、攪拌しながら酸抽出をおこなった。この時のpHは2以下であることを確認した。抽出終了後、遠心分離し上清画分を回収した。上清に10〜30%水酸化ナトリウム溶液を加えてアルカリ性にした後、n−ブタノールにて溶媒抽出を行った。抽出液をロータリーエバポレーターで濃縮し、溶媒を除去した。濃縮液を中和した後、電気透析装置(マイクロ・アシライザーS1、旭化成工業社、膜カートリッジ:AC-121-10)によって脱塩し、ポリアミン濃縮画分を得、凍結乾燥した。実施例1と同様の方法により得られたポリアミン調製物中に含まれるポリアミン量を測定した結果、得られたポリアミン調製物0.5g中には、ポリアミンが35mg含まれていた。なお、ポリアミン調製物中のスペルミン及びスペルミジンは、合計で30mg含まれていた。
【0022】
【実施例5】
ポリアミン添加粉乳の調製
脱脂乳470kg、乳清蛋白質濃縮物(WPC;デンマークプロテイン社)を20kgと乳糖93kg添加溶解し、これに水溶性ビタミン成分(ビタミンB1 、B2 、B6 、B12、C、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチン、コリン、イノシトールなど)とミネラル成分(炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、硫酸銅、硫酸亜鉛など)をそれぞれ1kgと、実施例1で調製したポリアミン調製物4gを温水300gに懸濁・溶解した液、及び脂溶性ビタミン類(ビタミンA、D、E、K、β−カロチンなど)を溶解し、リノール酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、α−リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、及びコレステロールを含む調製脂肪47.8kgを混合して均質化した。得られた溶液を殺菌し、常法により濃縮し、乾燥して、粉乳200kgを得た。尚、この粉乳を温水に溶解して、固形率13%に調整した調製乳には、ポリアミンが約100μg /100ml含まれていた。
【0023】
【実施例6】
ポリアミン添加粉乳の調製
WPC90kgと乳糖550kgを温湯に溶解し、これにカゼイン75kgを所定量のアルカリで溶解した溶液に、ビタミン及び及びミネラル成分(実施例5と同様)をそれぞれ10kgと、実施例3で調製したポリアミン調製物40gを水1000gに懸濁・溶解した液、及び実施例5と同様の脂溶性ビタミン類を溶解した調製脂肪239kgを混合して均質化した。得られた溶液を殺菌し、常法により濃縮し、乾燥して、粉乳1000kgを得た。尚、この粉乳を温水に溶解して、固形率13%に調整した調製乳には、ポリアミンが100μg /100ml含まれていた。
【0024】
【発明の効果】
以上の結果より、本発明により酵母あるいは酵母培養液を原料とし、ポリアミンを効率良く大量に調製する方法が提供される。詳しくは、酵母菌体及び/又は酵母培養液を酸性条件下で処理することにより、ポリアミンを高純度且つ大量に調製する方法が提供される。さらに、これらの方法により得られた酵母由来のポリアミンを添加することを特徴とする、ポリアミン添加食品の調製方法が提供される。本発明によって得られたポリアミンは異臭味がなく、食品に添加しても食品の品質を損なうことなく有効に利用できる。
Claims (4)
- 酵母菌体及び/又は酵母培養液を酸性条件下で処理することを特徴とする、ポリアミンの調製方法。
- pHが2以下になるように酸溶液を添加することを特徴とする、請求項1記載のポリアミンの調製方法。
- 精製法がイオン交換法、ゲルろ過法、膜分画法、電気透析法、溶媒抽出法、又は加熱処理法のいずれか1以上の方法である、請求項1又は2記載のポリアミンの調製方法。
- 酵母菌体又はその培養液から調製したポリアミンを添加することを特徴とする、異臭味のないポリアミン添加食品の調製方法。
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